〔コンバインの基本構成〕
図1は、本発明に係る制御弁及び油圧駆動装置を適用した作業機の一例である普通型コンバインの前部を示している。この普通型コンバインは、運転部510の前方に配置された刈取部520(「作業装置」の一例)と、運転部510の後方に配置された脱穀装置530と、運転部510の下方に配置されたフィーダ540とを備えている。フィーダ540は、刈取部520から脱穀装置530に刈取穀稈を搬送する。
刈取部520は、バリカン型の刈刃521と、オーガ522と、回転リールユニット523とを備えている。刈刃521は、作物の株元を切断して刈り取る。オーガ522は、刈刃521によって刈り取られた作物を刈幅方向の中央部に寄せ集める。回転リールユニット523(「作業装置」の一例)は、刈取対象となる作物の穂先側を後方に向けて掻き込む。
刈取部520は、油圧シリンダである刈取昇降シリンダ550(「油圧シリンダ」の一例)により横向き枢支軸芯回りで上下方向に昇降可能に構成されている。回転リールユニット523は、油圧シリンダであるリール昇降シリンダ560(「油圧シリンダ」の一例)により横向き枢支軸心周りで上下方向に昇降可能に構成されている。
〔油圧駆動装置〕
図2に示されるように、刈取昇降シリンダ550及びリール昇降シリンダ560は、制御弁ユニット570を介して作動油供給用の油圧ポンプ580及び作動油タンク590に接続されている。刈取昇降シリンダ550、リール昇降シリンダ560、制御弁ユニット570、油圧ポンプ580、及び作動油タンク590により、刈取部520及び回転リールユニット523を昇降する油圧駆動装置が構成されている。刈取昇降シリンダ550は刈取部520を上下昇降させる。リール昇降シリンダ560は回転リールユニット523を上下昇降させる。
制御弁ユニット570は、刈取昇降制御弁600(「制御弁」の一例)と、刈取昇降パイロット弁650(「パイロット弁」の一例)と、リール昇降制御弁700(「制御弁」の一例)と、リール昇降パイロット弁750(「パイロット弁」の一例)と、リリーフ弁900とを備えている。
刈取昇降制御弁600は、油圧ポンプ580からの作動油の給排方向を切替制御し、刈取昇降シリンダ550及び刈取昇降パイロット弁650への作動油の給排を制御する電磁制御弁である。刈取昇降パイロット弁650は、刈取昇降シリンダ550からの作動油の戻りを規制するパイロット弁である。
リール昇降制御弁700は、油圧ポンプ580からの作動油の給排方向を切替制御し、リール昇降シリンダ560及びリール昇降パイロット弁750への作動油の給排を制御する電磁制御弁である。リール昇降パイロット弁750は、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを規制するパイロット弁である。
リリーフ弁900は、油圧ポンプ580からの圧油供給路581に接続された、作動油の過度の圧力上昇を抑制する弁である。
〔制御弁ユニットの構造〕
図3~図8に、制御弁ユニット570の構造を示す。以下の制御弁ユニット570に関する説明では、図3~図15に示される矢印UPの方向を「上」、矢印DNの方向を「下」、矢印RHの方向を「右」、矢印LHの方向を「左」、矢印FRの方向を「前」、矢印BKの方向を「後」とする。
制御弁ユニット570は、バルブブロック571、左右一対の上側ソレノイド572、左右一対の下側ソレノイド573、上側スプール1(「スプール」の一例)、下側スプール2(「スプール」の一例)等を備えている。バルブブロック571には、上側弁室3、下側弁室4、主ポンプ油路50、ドレン室60等の複数の弁室、室及び油路が形成されている。
また制御弁ユニット570は、ポンプポートPと、タンクポートTと、刈取シリンダポートHと、リールシリンダポートRとを備えている。ポンプポートPには、油圧ポンプ580からの圧油供給路581(図2)が接続される。タンクポートTには、作動油タンク590へのドレン油路591(図2)が接続される。刈取シリンダポートHには、刈取昇降シリンダ550への刈取昇降油路551(図2)が接続される。リールシリンダポートRには、リール昇降シリンダ560へのリール昇降油路561(図2)が接続される。
図6に示されるように、バルブブロック571の内部において、主ポンプ油路50とポンプポートPとがフィルタ51を介して接続されている。主ポンプ油路50に、ポンプポートPを介して油圧ポンプ580から作動油が供給される。主ポンプ油路50は、後述する上側弁室3の上側第2弁室32及び上側第5弁室35に接続されている。
図5に示されるように、バルブブロック571の内部において、ドレン室60とタンクポートTとが接続されている。ドレン室60に流入した作動油は、タンクポートT及びドレン油路591を介して作動油タンク590へ戻される。
図6に示されるように、主ポンプ油路50とドレン室60とがリリーフ弁900を介して接続されている。主ポンプ油路50の内部の作動油の圧力が過度に高くなると、リリーフ弁900が作動して、リリーフ弁900の後方に位置する油路(図示無し)を通じて主ポンプ油路50からドレン室60へ作動油が流出する。
〔刈取昇降制御弁〕
図5に示されるように、刈取昇降制御弁600は、バルブブロック571に形成された上側弁室3に上側スプール1を挿入して構成されている。刈取昇降制御弁600は、上昇状態と、下降状態と、中立状態とに状態を切り替え可能に構成されている。
上昇状態では、上側スプール1が上昇位置UW(図10)に位置し、ポンプポートPから刈取シリンダポートHへの油路が開かれて、油圧ポンプ580からの作動油が刈取昇降シリンダ550へ供給される。
下降状態では、上側スプール1が下降位置DW(図11)に位置し、刈取シリンダポートHからタンクポートTへの油路が開かれて、刈取昇降シリンダ550から作動油タンク590へ作動油が戻される。
中立状態では、上側スプール1が中立位置NL(図9)に位置し、刈取昇降シリンダ550の昇降作動は停止する。
上側スプール1の両端に、操作ロッド574が配置されている。この操作ロッド574が、上側弁室3の左右に配置された一対の上側ソレノイド572に挿入されている。上側スプール1の左右に、上側スプール1を中立位置NLへ復帰付勢する復帰バネ575が配置されている。刈取昇降制御弁600は、左右一対の上側ソレノイド572の一方への通電によって上側スプール1が上昇位置UW又は下降位置DWの何れかに択一的に切り換えられ、上側ソレノイド572への通電が断たれると復帰バネ575の付勢によって上側スプール1が中立位置NLへ復帰するように構成されている。
図5に示されるように、上側弁室3は、右から順に、上側第1弁室31、上側第2弁室32、上側第3弁室33、上側第4弁室34、上側第5弁室35、上側第6弁室36を備えている。
上側第1弁室31は、図7に示されるように、上側パイロット油路71を介して上側パイロット弁室37の上右弁室37a(後述)と連通している。上側第2弁室32は、図6に示されるように、主ポンプ油路50と連通し、且つ、副ポンプ油路52を介して下側弁室4の下側第2弁室42(後述)と連通している。上側第3弁室33は、図7に示されるように、上側シリンダ油路81を介して上側パイロット弁室37の上左弁室37b(後述)と連通しており、刈取昇降パイロット弁650を介して刈取シリンダポートHと接続可能に構成されている。
上側第4弁室34は、図5に示されるように、ドレン室60と連通している。上側第5弁室35は、図6に示されるように、主ポンプ油路50と連通している。上側第6弁室36は、図5に示されるように、ビヨンド油路90を介して下側弁室4の下側第5弁室45(後述)と連通している。
図5に示されるように、上側スプール1は、右から順に、上右端大径部11、上右小径部12、上右中大径部13、上中小径部14、上左中大径部15、上左小径部16、上左端大径部17を備えている。上右端大径部11には、上右端ノッチ部11aが形成されている。上左中大径部15には、上左中第1ノッチ部15aと上左中第2ノッチ部15bとが形成されている。上右端ノッチ部11a、上右小径部12、上中小径部14、上左中第1ノッチ部15a、上左中第2ノッチ部15b、上左小径部16は、上側スプール1の外周面と上側弁室3の内周面との間に通油用の間隙を形成する。
上右小径部12は、上側第1弁室31と上側第2弁室32とを接続可能に構成されている。上中小径部14は、上側第2弁室32と上側第3弁室33、又は上側第3弁室33と上側第4弁室34とを接続可能に構成されている。上左小径部16は、上側第5弁室35と上側第6弁室36とを接続可能に構成されている。
上右端ノッチ部11aは、上側スプール1の軸方向に沿って延びる、上右端大径部11の表面に形成された溝である。本実施形態では、上右端ノッチ部11aは、上側スプール1の軸方向に視て位置を90°ずつ異ならせた4箇所に形成されている。上右端ノッチ部11aは、上右端大径部11の右端部まで右方向に延び、上右端大径部11の外周面における上側第1弁室31の内部に対応する位置まで左方向に延びている。上右端ノッチ部11aは、上側第1弁室31とドレン室60とを接続可能に構成されている。本実施形態では、上右端ノッチ部11aは上側スプール1の位置にかかわらず常に上側第1弁室31とドレン室60とを接続している。
上左中第1ノッチ部15a及び上左中第2ノッチ部15bは、長軸が上側スプール1の軸方向に沿う、上左中大径部15の表面に形成された楕円形の溝である。本実施形態では、2つの上左中第1ノッチ部15aが上側スプール1の中心軸を挟んで対向する位置に配置される。そして2つの上左中第2ノッチ部15bが上側スプール1の中心軸を挟んで対向する位置に配置される。上左中第1ノッチ部15aと上左中第2ノッチ部15bとは、90°位相を異ならせた位置に配置される。上左中第2ノッチ部15bは、上左中第1ノッチ部15aよりも左に位置する。上左中第1ノッチ部15aは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続可能に構成されている。上左中第2ノッチ部15bは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続可能に構成されている。
〔刈取昇降パイロット弁〕
図7に示されるように、刈取昇降パイロット弁650は、バルブブロック571に形成された上側パイロット弁室37に上パイロットスプール18を挿入し、バルブブロック571に形成された上側ポート室38に上パイロット弁体19を挿入して構成されている。刈取昇降パイロット弁650は、刈取昇降シリンダ550からの作動油の戻りを規制する規制状態と、刈取昇降シリンダ550からの作動油の戻りを許容する許容状態とに切り替え可能に構成されている。
図7に示されるように、上側パイロット弁室37は、上右弁室37aと上左弁室37bとを備えている。上右弁室37aは、上パイロットスプール18よりも右側に位置する弁室であって、上側パイロット油路71を介して上側弁室3の上側第1弁室31と連通している。上左弁室37bは、上パイロットスプール18よりも左側に位置する弁室であって、上側シリンダ油路81を介して上側弁室3の上側第3弁室33と連通し、且つ、上側ポート室38と連通している。
図7に示されるように、上パイロットスプール18は、左突出部18aを備えている。左突出部18aは、上パイロット弁体19と当接可能に構成されている。
図7に示されるように、上パイロット弁体19は、内部空間19aを備えている。上パイロット弁体19は、バネ19bにより上パイロット弁座19cに向けて右方向に付勢され、上パイロット弁座19cと当接離間が可能に構成されている。
図7に示されるように、上側ポート室38は、上パイロット弁体19の内部空間19aを介して刈取シリンダポートHに接続され、且つ、上側パイロット弁室37の上左弁室37bと連通可能に構成されている。
上側パイロット弁室37の上右弁室37aに油圧ポンプ580から作動油が供給されないとき、上パイロット弁体19はバネ19bに右方向に付勢されて上パイロット弁座19cと当接する。従って、刈取昇降パイロット弁650は、刈取昇降シリンダ550からの作動油の戻りを規制する規制状態となる。
上側パイロット弁室37の上右弁室37aに油圧ポンプ580から作動油が供給されるとき、上パイロットスプール18は左方向へ移動する。左突出部18aが上パイロット弁体19に当接して、上パイロット弁体19を左方向へ移動させる。上パイロット弁体19が上パイロット弁座19cと離間する。上側パイロット弁室37の上左弁室37bと、上側ポート室38と、上パイロット弁体19の内部空間19aとが連通する。そうすると、刈取シリンダポートHを介して刈取昇降シリンダ550から上側パイロット弁室37の上左弁室37bへ作動油が流出可能な状態となる。従って、刈取昇降パイロット弁650は、刈取昇降シリンダ550からの作動油の戻りを許容する許容状態となる。
上側パイロット弁室37の上左弁室37bに油圧ポンプ580から作動油が供給されるとき、作動油の圧力により上パイロット弁体19は左方向に移動して、上パイロット弁体19が上パイロット弁座19cと離間する。上側パイロット弁室37の上左弁室37bと、上側ポート室38と、上パイロット弁体19の内部空間19aとが連通する。そうすると、刈取シリンダポートHを介して上側パイロット弁室37の上左弁室37bから刈取昇降シリンダ550へ作動油が供給される。
〔刈取昇降制御弁及び刈取昇降パイロット弁による作動油の給排制御〕
〔中立状態〕
刈取昇降制御弁600が中立状態にあるとき、上側スプール1は図9に示される位置(中立位置NL)に位置する。
上側スプール1が中立位置NLにあるとき、上側スプール1の上右小径部12は、上側第1弁室31と上側第2弁室32とを接続しない。上側スプール1の上中小径部14は、上側第2弁室32と上側第3弁室33とを接続せず、上側第3弁室33と上側第4弁室34とを接続する。上右端ノッチ部11aは、上側第1弁室31とドレン室60とを接続する。
従って、刈取昇降パイロット弁650の上右弁室37aは、上側第1弁室31、上右端ノッチ部11a、ドレン室60、タンクポートTを介して作動油タンク590と接続される。従って、上側パイロット弁室37の上右弁室37aに作動油が供給されない。すなわち、刈取昇降パイロット弁650は、刈取昇降シリンダ550からの作動油の戻りを規制する規制状態となる。
なお、刈取昇降パイロット弁650の上左弁室37bは、上側シリンダ油路81、上側第3弁室33、上側第4弁室34、ドレン室60、タンクポートT、ドレン油路591を介して作動油タンク590と接続される。従って、刈取昇降パイロット弁650の上左弁室37bには作動油は供給されない。
上側スプール1が中立位置NLにあるとき、上左小径部16は、上側第5弁室35と上側第6弁室36とを接続する。上左中第1ノッチ部15aは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続しない。上左中第2ノッチ部15bは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続しない。
従って、リール昇降制御弁700の下側弁室4の下側第5弁室45は、ビヨンド油路90、上側弁室3の上側第5弁室35、上側第6弁室36、主ポンプ油路50、ポンプポートP、圧油供給路581を介して油圧ポンプ580と接続される。従って、刈取昇降制御弁600を介してリール昇降制御弁700の下側第5弁室45へ油圧ポンプ580から作動油が供給される。
〔上昇状態〕
刈取昇降制御弁600が上昇状態にあるとき、上側スプール1は図10に示される位置(上昇位置UW)に位置する。上昇位置UWでは、上側スプール1は中立位置NLよりも右側(図中左側)に位置する。
上側スプール1が上昇位置UWにあるとき、上側スプール1の上右小径部12は、上側第1弁室31と上側第2弁室32とを接続しない。上側スプール1の上中小径部14は、上側第2弁室32と上側第3弁室33とを接続し、上側第3弁室33と上側第4弁室34とを接続しない。上右端ノッチ部11aは、上側第1弁室31とドレン室60とを接続する。
従って、刈取昇降パイロット弁650の上左弁室37bは、上側シリンダ油路81、上側第3弁室33、上側第2弁室32、主ポンプ油路50、ポンプポートP、圧油供給路581を介して油圧ポンプ580と接続される。従って、刈取昇降パイロット弁650の上左弁室37bに作動油が供給される。そうすると、刈取シリンダポートHを介して刈取昇降シリンダ550へ作動油が供給され、刈取部520が上昇する。
上側スプール1が上昇位置UWにあるとき、上左小径部16は、上側第5弁室35と上側第6弁室36とを接続しない。上左中第1ノッチ部15aは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続しない。上左中第2ノッチ部15bは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続しない。
従って、刈取昇降制御弁600を介したリール昇降制御弁700の下側弁室4の下側第5弁室45への作動油の供給は、上昇状態においては停止される。
〔下降状態〕
刈取昇降制御弁600が下降状態にあるとき、上側スプール1は図11に示される位置(下降位置DW)に位置する。下降位置DWでは、上側スプール1は中立位置NLよりも左側(図中右側)に位置する。
上側スプール1が下降位置DWにあるとき、上側スプール1の上右小径部12は、上側第1弁室31と上側第2弁室32とを接続する。上側スプール1の上中小径部14は、上側第2弁室32と上側第3弁室33とを接続せず、上側第3弁室33と上側第4弁室34とを接続する。上右端ノッチ部11aは、上側第1弁室31とドレン室60とを接続する。
従って、刈取昇降パイロット弁650の上右弁室37aは、上側パイロット油路71、上側第2弁室32、主ポンプ油路50、ポンプポートP、圧油供給路581を介して油圧ポンプ580と接続される。これにより、刈取昇降パイロット弁650の上右弁室37aに作動油が供給される。従って、刈取昇降パイロット弁650は、刈取昇降シリンダ550からの作動油の戻りを許容する許容状態となる。
そして、刈取昇降パイロット弁650の上側パイロット弁室37の上左弁室37bは、上側シリンダ油路81、刈取昇降制御弁600の上側第3弁室33、上側第4弁室34、ドレン室60、タンクポートT、ドレン油路591を介して作動油タンク590と接続される。従って、刈取昇降シリンダ550から、刈取シリンダポートH、刈取昇降パイロット弁650、刈取昇降制御弁600を介して作動油タンク590へ作動油が流出し、刈取部520が下降する。
上側スプール1が下降位置DWにあるとき、上左小径部16は、上側第5弁室35と上側第6弁室36とを接続しない。上左中第1ノッチ部15aは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続しない。上左中第2ノッチ部15bは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続しない。
従って、刈取昇降制御弁600を介したリール昇降制御弁700の下側弁室4の下側第5弁室45への作動油の供給は、上昇状態においては停止される。
上側スプール1に上右端ノッチ部11aが設けられていない場合、刈取昇降パイロット弁650の上右弁室37aに油圧ポンプ580から作動油が供給されると、上右弁室37a及び上側第1弁室31の内部の作動油の圧力が大きく上昇し、油圧ポンプ580のエネルギー消費が大きくなってしまう。本実施形態では、上側スプール1が上右端ノッチ部11aを備えていることにより、上右端ノッチ部11aが上側第1弁室31とドレン室60とを連通するので、上右弁室37a及び上側第1弁室31からドレン室60を介してドレン油路591へ作動油が流出する。これにより、上右弁室37a及び上側第1弁室31の内部の作動油の圧力上昇が抑制されるので、油圧駆動装置のエネルギー消費の増大を抑制することができる。
上側パイロット油路71は「パイロット油路」の一例である。上側第1弁室31は「パイロット流路」の一例である。圧油供給路581、ポンプポートP、主ポンプ油路50は「第2油路」の一例である。上側第2弁室32は「第3流路」の一例である。上側スプール1の上右小径部12は「パイロット接続部」の一例である。ドレン室60は「タンク流路」の一例である。上右端ノッチ部11aは「副タンク接続部」の一例である。上側スプール1の中立位置NLは「第4位置」の一例であり、下降位置DWは「第5位置」の一例である。
本実施形態では、上右端ノッチ部11aは、上側スプール1の位置に関わらず常に上側第1弁室31とドレン室60とを接続する。
本実施形態では、上側スプール1は、中立位置NL及び下降位置DWに移動可能である。上右小径部12は、上側スプール1が中立位置NLである場合に上側第1弁室31と上側第2弁室32とを切断可能で且つ、上側スプール1が下降位置DWである場合に上側第1弁室31と上側第2弁室32とを接続可能である。上右端ノッチ部11aは、上側スプール1が中立位置NL又は下降位置DWである場合に上側第1弁室31とドレン室60を接続可能である。中立位置NLは「第4位置」の一例である。下降位置DWは「第5位置」の一例である。
〔下降状態から中立状態への遷移〕
刈取昇降制御弁600が下降状態から中立状態へ遷移するとき、上側スプール1は図12に示される位置(下降中間位置MD)を通過する。下降中間位置MDは、中立位置NLと下降位置DWの間の位置である。下降中間位置MDでは、上側スプール1は中立位置よりも右側(図中左側)に位置する。
本実施形態では、刈取昇降制御弁600が下降状態から中立状態へ遷移する際、上側スプール1が下降中間位置MDに位置したとき、上左中第1ノッチ部15aが上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続することにより、上側第5弁室35の作動油の圧力を低下させ、上側スプール1を中立位置NLへ移動させるための操作力を低減させることができる。
上側スプール1が下降中間位置MDにあるとき、上右小径部12は、上側第1弁室31と上側第2弁室32とを接続する。上中小径部14は、上側第2弁室32と上側第3弁室33とを接続せず、上側第3弁室33と上側第4弁室34とを接続する。上右端ノッチ部11aは、上側第1弁室31とドレン室60とを接続する。上左小径部16は、上側第5弁室35と上側第6弁室36とを接続しない。
上左中第1ノッチ部15aは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続する。これにより、上側第5弁室35が上側第4弁室34を介してドレン室60と連通する。上左中第2ノッチ部15bは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続しない。
上側第5弁室35は主ポンプ油路50と連通している。刈取昇降制御弁600が下降状態にあり、上側スプール1が下降位置DWにあるとき、上側第5弁室35は上側第4弁室34及び上側第6弁室36と連通していないため、上側第5弁室35の作動油の圧力は高くなっている。そして上側第6弁室36は、図5に示されるようにビヨンド油路90を介して下側弁室4の下側第5弁室45と連通しており、当該下側第5弁室45はドレン室60にのみ連通可能な弁室であるため、上側第6弁室36の圧力は上側第5弁室35の圧力に比べて低い。
ここで、上側スプール1に上左中第1ノッチ部15aが設けられていない場合を考える。上側スプール1が下降位置DWから中立位置NLへ移動するとき、高圧の上側第5弁室35と低圧の上側第6弁室36とが上左小径部16によって接続され、上側第5弁室35の圧力が大きく変化するので、上側スプール1の操作に必要な力は大きなものとなってしまう。
本実施形態では、上側スプール1に上左中第1ノッチ部15aが設けられているので、上側スプール1が下降中間位置MDに位置したときに、上左中第1ノッチ部15aが上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続するので、上側第5弁室35の圧力が低下する。これにより、上左小径部16が上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続する際に必要となる上側スプール1の操作力を小さくすることができる。ビヨンド油路90は「第1油路」の一例である。上側弁室3の上側第6弁室36は「第1流路」の一例である。圧油供給路581、ポンプポートP、主ポンプ油路50は「第2油路」の一例である。上側弁室3の上側第5弁室35は「第2流路」の一例である。ドレン油路591、タンクポートT、ドレン室60は「タンク油路」の一例である。上側弁室3の上側第4弁室34は「タンク流路」の一例である。上左小径部16は「特定接続部」の一例である。上左中第1ノッチ部15aは「タンク接続部」の一例である。本実施形態では、図5に示されるように、上側第5弁室35(第2流路)と上側第4弁室34(タンク流路)とが左右方向に隣接して配置されている。
本実施形態では、刈取昇降制御弁600が、上側第6弁室36と上側第5弁室35とが接続されていない下降状態から、上側第6弁室36と上側第5弁室35とが接続された中立状態へ切り替わるときに、上側第6弁室36と上側第5弁室35とが上左中第1ノッチ部15aによって接続された状態となり、上側第5弁室35から上側第4弁室34へ作動油が流れる。下降状態は「第1状態」の一例である。中立状態は「第2状態」の一例である。上側スプール1が下降中間位置MDに位置する状態は「中間状態」の一例である。
本実施形態では、上側スプール1が下降位置DWから右方向へ移動して下降中間位置MDに位置したときには、上左中第1ノッチ部15aが上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続し、上左小径部16が上側第5弁室35と上側第6弁室36とを接続しない。そして上側スプール1が下降中間位置MDから更に右方向へ移動したときに、上左小径部16が上側第5弁室35と上側第6弁室36とを接続する。換言すれば、刈取昇降制御弁600が、上側第6弁室36と上側第5弁室35とが接続されていない下降状態から、上側第6弁室36と上側第5弁室35とが接続された中立状態へ切り替わるときに、先ず上側第6弁室36と上側第5弁室35とが上左中第1ノッチ部15aによって接続され、その後に上側第6弁室36と上側第5弁室35とが上左中第1ノッチ部15aによって接続される。
本実施形態では、上側弁室3の上側第6弁室36と上側第5弁室35とが上左小径部16によって接続されているとき、すなわち上側スプール1が中立位置NLにあるときには、上側弁室3の上側第5弁室35と上側第4弁室34とが切断されている。
本実施形態では、上側スプール1は、下降位置DW、中立位置NL、及び下降中間位置MDに移動可能である。上左小径部16は、上側スプール1が下降位置DW及び下降中間位置MDである場合に上側第6弁室36と上側第5弁室35とを切断可能で且つ、上側スプール1が中立位置NLである場合に上側第6弁室36と上側第5弁室35とを接続可能である。上左中第1ノッチ部15aは、上側スプール1が下降位置DW及び中立位置NLである場合に上側第5弁室35と上側第4弁室34とを切断可能で且つ、上側スプール1が下降中間位置MDである場合に上側第5弁室35と上側第4弁室34とを接続可能である。下降位置DWは「第1位置」の一例である。中立位置NLは「第2位置」の一例である。下降中間位置MDは「第3位置」の一例である。
〔上昇状態から中立状態への遷移〕
刈取昇降制御弁600が上昇状態から中立状態へ遷移するとき、上側スプール1は図13に示される位置(上昇中間位置MU)を通過する。上昇中間位置MUは、中立位置NLと上昇位置UWの間の位置である。上昇中間位置MUでは、上側スプール1は中立位置よりも左側(図中右側)に位置する。
本実施形態では、刈取昇降制御弁600が上昇状態から中立状態へ遷移する際、上側スプール1が上昇中間位置MUに位置したとき、上左中第2ノッチ部15bが上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続することにより、上側第5弁室35の作動油の圧力を低下させ、上側スプール1を中立位置NLへ移動させるための操作力を低減させることができる。
上側スプール1が上昇中間位置MUにあるとき、上右小径部12は、上側第1弁室31と上側第2弁室32とを接続しない。上中小径部14は、上側第2弁室32と上側第3弁室33とを接続し、上側第3弁室33と上側第4弁室34とを接続しない。上右端ノッチ部11aは、上側第1弁室31とドレン室60とを接続する。上左小径部16は、上側第5弁室35と上側第6弁室36とを接続しない。
上左中第1ノッチ部15aは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続しない。上左中第2ノッチ部15bは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続する。これにより、上側第5弁室35が上側第4弁室34を介してドレン室60と連通する。
上側第5弁室35は主ポンプ油路50と連通している。刈取昇降制御弁600が上昇状態にあり、上側スプール1が上昇位置UWにあるとき、上側第5弁室35はおける上側第4弁室34及び上側第6弁室36と連通していないため、上側第5弁室35の作動油の圧力は高くなっている。そして上側第6弁室36は、図5に示されるようにビヨンド油路90を介して下側弁室4の下側第5弁室45と連通しており、当該下側第5弁室45はドレン室60にのみ連通可能な弁室であるため、上側第6弁室36の圧力は上側第5弁室35の圧力に比べて低い。
ここで、上側スプール1に上左中第2ノッチ部15bが設けられていない場合を考える。上側スプール1が上昇位置UWから中立位置NLへ移動するとき、高圧の上側第5弁室35と低圧の上側第6弁室36とが上左小径部16によって接続され、上側第5弁室35の圧力が大きく変化するので、上側スプール1の操作に必要な力は大きなものとなってしまう。
本実施形態では、上側スプール1に上左中第2ノッチ部15bが設けられているので、上側スプール1が上昇中間位置MUに位置したときに、上左中第2ノッチ部15bが上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続するので、上側第5弁室35の圧力が低下する。これにより、上左小径部16が上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続する際に必要となる上側スプール1の操作力を小さくすることができる。ビヨンド油路90は「第1油路」の一例である。上側弁室3の上側第6弁室36は「第1流路」の一例である。圧油供給路581、ポンプポートP、主ポンプ油路50は「第2油路」の一例である。上側弁室3の上側第5弁室35は「第2流路」の一例である。ドレン油路591、タンクポートT、ドレン室60は「タンク油路」の一例である。上側弁室3の上側第4弁室34は「タンク流路」の一例である。上左小径部16は「特定接続部」の一例である。上左中第2ノッチ部15bは「タンク接続部」の一例である。
本実施形態では、刈取昇降制御弁600が、上側第6弁室36と上側第5弁室35とが接続されていない上昇状態から、上側第6弁室36と上側第5弁室35とが接続された中立状態へ切り替わるときに、上側第6弁室36と上側第5弁室35とが上左中第2ノッチ部15bによって接続された状態となり、上側第5弁室35から上側第4弁室34へ作動油が流れる。上昇状態は「第1状態」の一例である。中立状態は「第2状態」の一例である。上側スプール1が上昇中間位置MUに位置する状態は「中間状態」の一例である。
本実施形態では、上側スプール1が上昇位置UWから左方向へ移動して上昇中間位置MUに位置したときには、上左中第2ノッチ部15bが上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続し、上左小径部16が上側第5弁室35と上側第6弁室36とを接続しない。そして上側スプール1が上昇中間位置MUから更に左方向へ移動したときに、上左小径部16が上側第5弁室35と上側第6弁室36とを接続する。換言すれば、刈取昇降制御弁600が、上側第6弁室36と上側第5弁室35とが接続されていない上昇状態から、上側第6弁室36と上側第5弁室35とが接続された中立状態へ切り替わるときに、先ず上側第6弁室36と上側第5弁室35とが上左中第2ノッチ部15bによって接続され、その後に上側第6弁室36と上側第5弁室35とが上左中第2ノッチ部15bによって接続される。
本実施形態では、上側スプール1は、上昇位置UW、中立位置NL、及び上昇中間位置MUに移動可能である。上左小径部16は、上側スプール1が上昇位置UW及び上昇中間位置MUである場合に上側第6弁室36と上側第5弁室35とを切断可能で且つ、上側スプール1が中立位置NLである場合に上側第6弁室36と上側第5弁室35とを接続可能である。上左中第2ノッチ部15bは、上側スプール1が上昇位置UW及び中立位置NLである場合に上側第5弁室35と上側第4弁室34とを切断可能で且つ、上側スプール1が上昇中間位置MUである場合に上側第5弁室35と上側第4弁室34とを接続可能である。下降位置DWは「第1位置」の一例である。中立位置NLは「第2位置」の一例である。上昇中間位置MUは「第3位置」の一例である。
〔リール昇降制御弁〕
図5に示されるように、リール昇降制御弁700は、バルブブロック571に形成された下側弁室4に下側スプール2を挿入して構成されている。図5~図8に示されるように、リール昇降制御弁700の下側スプール2及び下側弁室4の形状は、刈取昇降制御弁600の上側スプール1及び上側弁室3の形状とほぼ同じである。以下のリール昇降制御弁700の説明では、刈取昇降制御弁600と同様の構成、機能、動作については説明を省略する場合がある。
リール昇降制御弁700は、上昇状態と、下降状態と、中立状態とに状態を切り替え可能に構成されている。上昇状態では、下側スプール2が上昇位置UW(図10と同様)に位置し、ポンプポートPからリールシリンダポートRへの油路が開かれて、油圧ポンプ580からの作動油がリール昇降シリンダ560へ供給される。下降状態では、下側スプール2が下降位置DW(図11と同様)に位置し、リールシリンダポートRからタンクポートTへの油路が開かれて、リール昇降シリンダ560から作動油タンク590へ作動油が戻される。中立状態では、下側スプール2が中立位置NL(図9と同様)に位置し、リール昇降シリンダ560の昇降作動は停止する。
リール昇降制御弁700における下側ソレノイド573、操作ロッド574、復帰バネ575の構成、機能、動作は、刈取昇降制御弁600と同様であるため説明を省略する。
図5に示されるように、下側弁室4は、右から順に、下側第1弁室41、下側第2弁室42、下側第3弁室43、下側第4弁室44、下側第5弁室45、下側第6弁室46を備えている。
下側第1弁室41は、図8に示されるように、下側パイロット油路72を介して下側パイロット弁室47の下右弁室47a(後述)と連通している。下側第2弁室42は、図5に示されるように、副ポンプ油路52を介して上側弁室3の上側第2弁室32と連通している。すなわち下側第2弁室42は、副ポンプ油路52及び上側第2弁室32を介して主ポンプ油路50と連通している。下側第3弁室43は、図8に示されるように、下側シリンダ油路82を介して下側パイロット弁室47の下左弁室47b(後述)と連通しており、リール昇降パイロット弁750を介してリールシリンダポートRと接続可能に構成されている。
下側第4弁室44は、図5に示されるように、ドレン室60と連通している。下側第5弁室45は、図5に示されるように、ビヨンド油路90を介して上側第6弁室36と連通している。すなわち下側第5弁室45には、刈取昇降制御弁600が中立状態にあるときに、油圧ポンプ580から作動油が供給される。下側第6弁室46は、図5に示されるように、ドレン室60と連通している。
図5に示されるように、下側スプール2は、右から順に、下右端大径部21、下右小径部22、下右中大径部23、下中小径部24、下左中大径部25、下左小径部26、下左端大径部27を備えている。下右端大径部21には、下右端ノッチ部21aが形成されている。下左中大径部25には、下左中第1ノッチ部25aと下左中第2ノッチ部25bとが形成されている。下右端ノッチ部21a、下右小径部22、下中小径部24、下左中第1ノッチ部25a、下左中第2ノッチ部25b、下左小径部26は、下側スプール2の外周面と下側弁室4の内周面との間に通油用の間隙を形成する。
下右小径部22は、下側第1弁室41と下側第2弁室42とを接続可能に構成されている。下中小径部24は、下側第2弁室42と下側第3弁室43、又は下側第3弁室43と下側第4弁室44とを接続可能に構成されている。下左小径部26は、下側第5弁室45と下側第6弁室46とを接続可能に構成されている。
下右端ノッチ部21aの形状、配置については、上側スプール1の上右端ノッチ部11aと同様であるため説明を省略する。下右端ノッチ部21aは下側スプール2の位置にかかわらず常に下側第1弁室41とドレン室60とを接続している。
下左中第1ノッチ部25a及び下左中第2ノッチ部25bの構成、機能、動作は、上側スプール1の上左中第1ノッチ部15a及び上左中第2ノッチ部15bと同様であるため説明を省略する。下左中第1ノッチ部25aは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続可能に構成されている。下左中第2ノッチ部25bは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続可能に構成されている。
〔リール昇降パイロット弁〕
図8に示されるように、リール昇降パイロット弁750は、バルブブロック571に形成された下側パイロット弁室47に下パイロットスプール28を挿入し、バルブブロック571に形成された下側ポート室48に下パイロット弁体29を挿入して構成されている。以下のリール昇降パイロット弁750の説明では、刈取昇降パイロット弁650と同様の構成、機能、動作については説明を省略する場合がある。
リール昇降パイロット弁750は、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを規制する規制状態と、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを許容する許容状態とに切り替え可能に構成されている。
図8に示されるように、下側パイロット弁室47は、下右弁室47aと下左弁室47bとを備えている。下右弁室47aは、下パイロットスプール28よりも右側に位置する弁室であって、下側パイロット油路72を介して下側弁室4の下側第1弁室41と連通している。下左弁室47bは、下パイロットスプール28よりも左側に位置する弁室であって、下側シリンダ油路82を介して下側弁室4の下側第3弁室43と連通し、且つ、下側ポート室48と連通している。
図8に示されるように、下パイロットスプール28は、左突出部28aを備えている。左突出部28aは、下パイロット弁体29と当接可能に構成されている。
図8に示されるように、下パイロット弁体29は、内部空間29aを備えている。下パイロット弁体29は、バネ29bにより下パイロット弁座29cに向けて右方向に付勢され、下パイロット弁座29cと当接離間が可能に構成されている。
図8に示されるように、下側ポート室48は、下パイロット弁体29の内部空間29aを介してリールシリンダポートRに接続され、且つ、下側パイロット弁室47の下左弁室47bと連通可能に構成されている。
リール昇降パイロット弁750の動作については詳細な説明を省略する。下側パイロット弁室47の下右弁室47aに油圧ポンプ580から作動油が供給されないとき、リール昇降パイロット弁750は、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを規制する規制状態となる。下側パイロット弁室47の下右弁室47aに油圧ポンプ580から作動油が供給されるとき、リール昇降パイロット弁750は、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを許容する許容状態となる。下側パイロット弁室47の下左弁室47bに油圧ポンプ580から作動油が供給されるとき、リールシリンダポートRを介して下側パイロット弁室47の下左弁室47bからリール昇降シリンダ560へ作動油が供給される。
〔リール取昇降制御弁及びリール昇降パイロット弁による作動油の給排制御〕
〔中立状態〕
リール昇降制御弁700が中立状態にあるとき、下側スプール2は中立位置NL(図9の上側スプール1と同じ位置)に位置する。
下側スプール2が中立位置NLにあるとき、下側スプール2の下右小径部22は、下側第1弁室41と下側第2弁室42とを接続しない。下側スプール2の下中小径部24は、下側第2弁室42と下側第3弁室43とを接続せず、下側第3弁室43と下側第4弁室44とを接続する。下右端ノッチ部21aは、下側第1弁室41とドレン室60とを接続する。
従って、リール昇降パイロット弁750の下右弁室47aは、下側第1弁室41、下右端ノッチ部21a、ドレン室60、タンクポートTを介して作動油タンク590と接続される。従って、下側パイロット弁室47の下右弁室47aに作動油が供給されない。すなわち、リール昇降パイロット弁750は、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを規制する規制状態となる。
なお、リール昇降パイロット弁750の下左弁室47bは、下側シリンダ油路82、下側第3弁室43、下側第4弁室44、ドレン室60、タンクポートT、ドレン油路591を介して作動油タンク590と接続される。従って、リール昇降パイロット弁750の下左弁室47bには作動油は供給されない。
下側スプール2が中立位置NLにあるとき、下左小径部26は、下側第5弁室45と下側第6弁室46とを接続する。下左中第1ノッチ部25aは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。下左中第2ノッチ部25bは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。
従って下側第6弁室46は、下側第5弁室45及びビヨンド油路90を介して上側弁室3の上側第6弁室36と連通される。刈取昇降制御弁600とリール昇降制御弁700とが共に中立状態にある場合には、ビヨンド油路90を介して刈取昇降制御弁600から下側第5弁室45へ供給された作動油は、下側第6弁室46、ドレン室60、タンクポートT、ドレン油路591を介して作動油タンク590へ戻される。
〔上昇状態〕
リール昇降制御弁700が上昇状態にあるとき、下側スプール2は上昇位置UW(図10の上側スプール1と同じ位置)に位置する。上昇位置UWでは、下側スプール2は中立位置NLよりも右側(図中左側)に位置する。
下側スプール2が上昇位置UWにあるとき、下側スプール2の下右小径部22は、下側第1弁室41と下側第2弁室42とを接続しない。下側スプール2の下中小径部24は、下側第2弁室42と下側第3弁室43とを接続し、下側第3弁室43と下側第4弁室44とを接続しない。下右端ノッチ部21aは、下側第1弁室41とドレン室60とを接続する。
従って、リール昇降パイロット弁750の下左弁室47bは、下側シリンダ油路82、下側第3弁室43、下側第2弁室42、主ポンプ油路50、ポンプポートP、圧油供給路581を介して油圧ポンプ580と接続される。従って、リール昇降パイロット弁750の下左弁室47bに作動油が供給される。そうすると、リールシリンダポートRを介してリール昇降シリンダ560へ作動油が供給され、回転リールユニット523が上昇する。
下側スプール2が上昇位置UWにあるとき、下左小径部26は、下側第5弁室45と下側第6弁室46とを接続しない。下左中第1ノッチ部25aは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。下左中第2ノッチ部25bは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。
従って、刈取昇降制御弁600が中立状態にある場合には、下側第5弁室45は、ビヨンド油路90を介して刈取昇降制御弁600から供給された作動油に満たされて、圧力が高い状態となる。
〔下降状態〕
リール昇降制御弁700が下降状態にあるとき、下側スプール2は下降位置DW(図11の上側スプール1と同じ位置)に位置する。下降位置DWでは、下側スプール2は中立位置NLよりも左側(図中右側)に位置する。
下側スプール2が下降位置DWにあるとき、下側スプール2の下右小径部22は、下側第1弁室41と下側第2弁室42とを接続する。下側スプール2の下中小径部24は、下側第2弁室42と下側第3弁室43とを接続せず、下側第3弁室43と下側第4弁室44とを接続する。下右端ノッチ部21aは、下側第1弁室41とドレン室60とを接続する。
従って、リール昇降パイロット弁750の下右弁室47aは、下側パイロット油路72、下側第2弁室42、主ポンプ油路50、ポンプポートP、圧油供給路581を介して油圧ポンプ580と接続される。これにより、リール昇降パイロット弁750の下右弁室47aに作動油が供給される。従って、リール昇降パイロット弁750は、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを許容する許容状態となる。
そして、リール昇降パイロット弁750の下側パイロット弁室47の下左弁室47bは、下側シリンダ油路82、リール昇降制御弁700の下側第3弁室43、下側第4弁室44、ドレン室60、タンクポートT、ドレン油路591を介して作動油タンク590と接続される。従って、リール昇降シリンダ560から、リールシリンダポートR、リール昇降パイロット弁750、リール昇降制御弁700を介して作動油タンク590へ作動油が流出し、回転リールユニット523が下降する。
下側スプール2が下降位置DWにあるとき、下左小径部26は、下側第5弁室45と下側第6弁室46とを接続しない。下左中第1ノッチ部25aは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。下左中第2ノッチ部25bは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。
従って、刈取昇降制御弁600が中立状態にある場合には、下側第5弁室45は、ビヨンド油路90を介して刈取昇降制御弁600から供給された作動油に満たされて、圧力が高い状態となる。
下右端ノッチ部21aの機能については、刈取昇降制御弁600の上右端ノッチ部11aと同様であるため、詳しい説明を省略する。
下側パイロット油路72は「パイロット油路」の一例である。下側第1弁室41は「パイロット流路」の一例である。圧油供給路581、ポンプポートP、主ポンプ油路50、上側第2弁室32、副ポンプ油路52は「第2油路」の一例である。下側第2弁室42は「第3流路」の一例である。下側スプール2の下右小径部22は「パイロット接続部」の一例である。ドレン室60は「タンク流路」の一例である。下右端ノッチ部21aは「副タンク接続部」の一例である。下側スプール2の中立位置NLは「第4位置」の一例であり、下降位置DWは「第5位置」の一例である。
本実施形態では、下右端ノッチ部21aは、下側スプール2の位置に関わらず常に下側第1弁室41とドレン室60とを接続する。
本実施形態では、下側スプール2は、中立位置NL及び下降位置DWに移動可能である。下右小径部22は、下側スプール2が中立位置NLである場合に下側第1弁室41と下側第2弁室42とを切断可能で且つ、下側スプール2が下降位置DWである場合に下側第1弁室41と下側第2弁室42とを接続可能である。下右端ノッチ部21aは、下側スプール2が中立位置NL又は下降位置DWである場合に下側第1弁室41とドレン室60を接続可能である。中立位置NLは「第4位置」の一例である。下降位置DWは「第5位置」の一例である。
〔下降状態から中立状態への遷移〕
リール昇降制御弁700が下降状態から中立状態へ遷移するとき、下側スプール2は下降中間位置MD(図12の上側スプール1の位置)を通過する。下降中間位置MDは、中立位置NLと下降位置DWの間の位置である。下降中間位置MDでは、下側スプール2は中立位置よりも右側(図中左側)に位置する。
本実施形態では、リール昇降制御弁700が下降状態から中立状態へ遷移する際、下側スプール2が下降中間位置MDに位置したとき、下左中第1ノッチ部25aが下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続することにより、下側第5弁室45の作動油の圧力を低下させ、下側スプール2を中立位置NLへ移動させるための操作力を低減させることができる。
下側スプール2が下降中間位置MDにあるとき、下右小径部22は、下側第1弁室41と下側第2弁室42とを接続する。下中小径部24は、下側第2弁室42と下側第3弁室43とを接続せず、下側第3弁室43と下側第4弁室44とを接続する。下右端ノッチ部21aは、下側第1弁室41とドレン室60とを接続する。下左小径部26は、下側第5弁室45と下側第6弁室46とを接続しない。
下左中第1ノッチ部25aは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続する。これにより、下側第5弁室45が下側第4弁室44を介してドレン室60と連通する。下左中第2ノッチ部25bは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。
刈取昇降制御弁600が中立状態にあるとき、下側第5弁室45にはビヨンド油路90を介して油圧ポンプ580からの作動油が供給される。リール昇降制御弁700が下降状態にあり、下側スプール2が下降位置DWにあるとき、下側第5弁室45は下側第4弁室44及び下側第6弁室46と連通していないため、下側第5弁室45の作動油の圧力は高くなっている。そして下側第6弁室46はドレン室60に連通しているため、下側第6弁室46の圧力は下側第5弁室45の圧力に比べて低い。
ここで、下側スプール2に下左中第1ノッチ部25aが設けられていない場合を考える。下側スプール2が下降位置DWから中立位置NLへ移動するとき、高圧の下側第5弁室45と低圧の下側第6弁室46とが下左小径部26によって接続され、下側第5弁室45の圧力が大きく変化するので、下側スプール2の操作に必要な力は大きなものとなってしまう。
本実施形態では、下側スプール2に下左中第1ノッチ部25aが設けられているので、下側スプール2が下降中間位置MDに位置したときに、下左中第1ノッチ部25aが下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続するので、下側第5弁室45の圧力が低下する。これにより、下左小径部26が下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続する際に必要となる下側スプール2の操作力を小さくすることができる。ドレン室60は「第1油路」の一例である。下側弁室4の下側第6弁室46は「第1流路」の一例である。圧油供給路581、ポンプポートP、主ポンプ油路50、上側第5弁室35、上側第6弁室36、ビヨンド油路90は「第2油路」の一例である。下側弁室4の下側第5弁室45は「第2流路」の一例である。ドレン油路591、タンクポートT、ドレン室60は「タンク油路」の一例である。下側弁室4の下側第4弁室44は「タンク流路」の一例である。下左小径部26は「特定接続部」の一例である。下左中第1ノッチ部25aは「タンク接続部」の一例である。
〔上昇状態から中立状態への遷移〕
リール昇降制御弁700が上昇状態から中立状態へ遷移するとき、下側スプール2は上昇中間位置MU(図13の上側スプール1の位置)を通過する。上昇中間位置MUは、中立位置NLと上昇位置UWの間の位置である。上昇中間位置MUでは、下側スプール2は中立位置よりも左側(図中右側)に位置する。
本実施形態では、リール昇降制御弁700が上昇状態から中立状態へ遷移する際、下側スプール2が上昇中間位置MUに位置したとき、下左中第2ノッチ部25bが下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続することにより、下側第5弁室45の作動油の圧力を低下させ、下側スプール2を中立位置NLへ移動させるための操作力を低減させることができる。
下側スプール2が上昇中間位置MUにあるとき、下右小径部22は、下側第1弁室41と下側第2弁室42とを接続しない。下中小径部24は、下側第2弁室42と下側第3弁室43とを接続し、下側第3弁室43と下側第4弁室44とを接続しない。下右端ノッチ部21aは、下側第1弁室41とドレン室60とを接続する。下左小径部26は、下側第5弁室45と下側第6弁室46とを接続しない。
下左中第1ノッチ部25aは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。下左中第2ノッチ部25bは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続する。これにより、下側第5弁室45が下側第4弁室44を介してドレン室60と連通する。
刈取昇降制御弁600が中立状態にあるとき、下側第5弁室45にはビヨンド油路90を介して油圧ポンプ580からの作動油が供給される。リール昇降制御弁700が上昇状態にあり、下側スプール2が上昇位置UWにあるとき、下側第5弁室45は下側第4弁室44及び下側第6弁室46と連通していないため、下側第5弁室45の作動油の圧力は高くなっている。そして下側第6弁室46はドレン室60に連通しているため、下側第6弁室46の圧力は下側第5弁室45の圧力に比べて低い。
ここで、下側スプール2に下左中第2ノッチ部25bが設けられていない場合を考える。下側スプール2が上昇位置UWから中立位置NLへ移動するとき、高圧の下側第5弁室45と低圧の下側第6弁室46とが下左小径部26によって接続され、下側第5弁室45の圧力が大きく変化するので、下側スプール2の操作に必要な力は大きなものとなってしまう。
本実施形態では、下側スプール2に下左中第2ノッチ部25bが設けられているので、下側スプール2が上昇中間位置MUに位置したときに、下左中第2ノッチ部25bが下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続するので、下側第5弁室45の圧力が低下する。これにより、下左小径部26が下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続する際に必要となる下側スプール2の操作力を小さくすることができる。ドレン室60は「第1油路」の一例である。下側弁室4の下側第6弁室46は「第1流路」の一例である。圧油供給路581、ポンプポートP、主ポンプ油路50、上側第5弁室35、上側第6弁室36、ビヨンド油路90は「第2油路」の一例である。下側弁室4の下側第5弁室45は「第2流路」の一例である。ドレン油路591、タンクポートT、ドレン室60は「タンク油路」の一例である。下側弁室4の下側第4弁室44は「タンク流路」の一例である。下左小径部26は「特定接続部」の一例である。下左中第2ノッチ部25bは「タンク接続部」の一例である。
なお、上述した刈取昇降制御弁600における上左中第1ノッチ部15a及び下左中第2ノッチ部25bによる作動油圧力の低減(緩和)は、ビヨンド油路90に接続された上側第6弁室36と主ポンプ油路50に接続された上側第5弁室35とが上左小径部16による接続される際に機能した。ビヨンド油路90は、刈取昇降制御弁600の下流側のリール昇降制御弁700に油圧ポンプ580からの作動油を供給する油路である。しかし、この圧力低減の作用は、ビヨンド油路90へ作動油を供給する弁室のみに限られるものではない。リール昇降制御弁700の下側第6弁室46のように、例えばドレン室60等の作動油タンク590へ接続された油路へ連通する弁室においても同様の作用を生じる。
〔他の実施形態〕
〔1〕本実施形態では、図14に示されるように、上側スプール1の上右端大径部11に、上右端ノッチ部11aに加えて、上右端副ノッチ部11bが設けられる。以下の説明では、上記の実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
上右端副ノッチ部11bは、上側スプール1の軸方向に沿って延びる、上右端大径部11の表面に形成された溝である。本実施形態では、2つの上右端副ノッチ部11bが上側スプール1の中心軸を挟んで対向する位置に配置される。そして2つの上右端ノッチ部11aが上側スプール1の中心軸を挟んで対向する位置に配置される。上右端ノッチ部11aと上右端副ノッチ部11bとは、90°位相を異ならせた位置に配置されている。
図14には、上側スプール1が下降位置DWに位置する状態が示されている。上右端副ノッチ部11bは、上右端大径部11の右端部まで右方向に延びている。上右端副ノッチ部11bの左端は、上側弁室3の上側第1弁室31の右端よりも右側に位置する。
本実施形態では、一対の上側ソレノイド572は、供給される電力の大きさに応じて、上側スプール1を図14に示される下降位置DWと、図15に示される油圧緩和位置PRとに移動可能なように構成されている。油圧緩和位置PRでは、上側スプール1は下降位置DWよりも左側(図中右側)に位置する。
油圧駆動装置は、制御部を備えている。当該制御部は、油圧ポンプ580からの作動油の供給圧力に応じて、上側ソレノイド572に供給する電力の大きさを制御するよう構成されている。例えば、制御部は、油圧ポンプ580からの作動油の供給圧力が所定の閾値圧力よりも小さい場合に上側ソレノイド572が下降位置DWに位置し、油圧ポンプ580からの作動油の供給圧力が閾値圧力以上である場合に上側ソレノイド572が油圧緩和位置PRに位置するように、上側ソレノイド572に供給する電力の大きさを制御する。
油圧ポンプ580からの作動油の供給圧力は、普通型コンバインのエンジンの回転数や、油圧ポンプ580の出力、複数の油圧シリンダに作動油を供給しているか否か等により変化する。制御部が、エンジンの回転数、油圧ポンプ580の出力、油圧シリンダの動作状況等に応じて上側ソレノイド572に供給する電力の大きさを制御するよう構成されてもよい。また、圧油供給路581や主ポンプ油路50に作動油の圧力を測定するセンサを設け、制御部が当該センサの出力に応じて上側ソレノイド572に供給する電力の大きさを制御するよう構成されてもよい。
上側スプール1が図14に示される下降位置DWにあるとき、上右端ノッチ部11aは上側第1弁室31とドレン室60とを接続し、上右端副ノッチ部11bは上側第1弁室31とドレン室60とを接続しない。上側スプール1が図15に示される油圧緩和位置PRにあるとき、上右端ノッチ部11aと上右端副ノッチ部11bの両方が上側第1弁室31とドレン室60とを接続する。ここで上右端ノッチ部11aと上右端副ノッチ部11bとによって形成される上側第1弁室31とドレン室60との間の油路の断面積について検討すると、上側スプール1が油圧緩和位置PRにあるときの断面積は、上側スプール1が下降位置DWにあるときの断面積よりも大きい。
すなわち本実施形態では、上側スプール1は、上側第1弁室31とドレン室60とを接続可能な上右端副ノッチ部11bを有する。制御部により、油圧ポンプ580からの作動油の供給圧力が第1圧力である場合に、上側第1弁室31とドレン室60とが上右端ノッチ部11aによって接続された状態となる。油圧ポンプ580からの作動油の供給圧力が第1圧力よりも大きい第2圧力である場合に、上側第1弁室31とドレン室60とが上右端ノッチ部11a及び上右端副ノッチ部11bによって接続された状態となる。これにより、油圧ポンプ580からの作動油の供給圧力が大きい場合に上右端ノッチ部11aと上右端副ノッチ部11bの両方によって上側第1弁室31とドレン室60とが接続されるので、作動油の圧力上昇を更に確実に抑制することができる。上右端副ノッチ部11bは「予備タンク接続部」の一例である。
また本実施形態では、上側スプール1は中立位置NL、下降位置DW、油圧緩和位置PRに移動可能である。下降位置DWは、中立位置NLと油圧緩和位置PRとの間に位置する。上右小径部12は、上側スプール1が中立位置NLである場合に上側第6弁室36と上側第5弁室35とを切断可能で且つ、上側スプール1が下降位置DW、油圧緩和位置PRである場合に上側第6弁室36と上側第5弁室35とを接続可能である。上右端ノッチ部11aは、上側スプール1が中立位置NL、下降位置DW、油圧緩和位置PRである場合に上側第1弁室31とドレン室60とを接続可能である。上右端副ノッチ部11bは、上側スプール1が油圧緩和位置PRである場合に上側第1弁室31とドレン室60とを接続可能である。中立位置NLは「第4位置」の一例である。下降位置DWは「第5位置」の一例である。油圧緩和位置PRは「第6位置」の一例である。
〔2〕上記実施形態では、上側第5弁室35(第2流路)と上側第4弁室34(タンク流路)とが左右方向に隣接して配置されている例が説明された。主ポンプ油路50に接続される弁室(第2流路)と、ドレン室60に連通する弁室(タンク流路)とが隣接しないよう、刈取昇降制御弁600を構成してもよい。
〔3〕上記実施形態では、上側スプール1が中立位置NLにあるときには、上側弁室3の上側第5弁室35と上側第4弁室34とが切断されている例が説明された。上側スプール1が中立位置NLにあるときに上側弁室3の上側第5弁室35と上側第4弁室34とが接続されるように、上左中第1ノッチ部15aが構成されてもよい。
〔4〕上右端ノッチ部11a及び上右端副ノッチ部11bを介した上側第1弁室31からドレン室60への作動油の流出を補助する構成が設けられてもよい。例えば、上側スプール1の右端の突出部と、当該突出部を支持する軸受け座金との間に、比較的大きな間隙が設けられてもよい。例えば、当該突出部の外周面に上側スプール1の軸方向に沿って延びる溝が設けられてもよい。