JP7029488B2 - 箱形ルーフによる地下構造物の構築方法 - Google Patents

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Description

本発明は、箱形ルーフ用筒体を防護工として用いて函体を推進または牽引させて鉄道、道路下に横断地下道を構築する箱形ルーフによる地下構造物の構築方法に関し、小土被りを対象とし、変位予測法及び変位抑制方法するものである。
鉄道、道路等の下部地中に大幅員の地下構造物を横断方向に掘進させるには、上部交通を支承するための防護工が必要となり、かかる防護工として従来鋼管等を水平に並列させるパイプルーフを設けることなどが挙げられるが、地中に掘進させる地下構造物の防護工を別工事として施工することなく、地下構造物の掘進と同時に行うので安全かつ確実に、しかも安価に工事ができ、また土被りも浅く施工できるものとして、次のような工法が知られている。
これは図13にも示すように、まず、鉄道等上部交通1の脇に土留め鋼矢板2を打設して、発進坑3と到達坑4を築造し、該発進坑3内に圧入機5を設置してこれで箱形ルーフ6を到達坑4に向けて圧入させる。
箱形ルーフ6は鋼管による略正方形断面の箱形筒体であり、側面に鉤状の構成部材が外向きに並ぶ雄型継手と、内向きに並ぶ雌型継手を長手方向に連続して形成し、また上面に平板からなるフリクションカッタープレート7を取付けている。
かかる箱形ルーフ6は単位筒体を1本ずつ圧入するものであり、図16に示すように、端部にボルト接合用の継手フランジ6cを形成し、この継手フランジ6c同士をボルト、ナット19で締結することにより1ピースずつ長さ方向に継ぎ足して必要長を埋設し、さらに継手6a、6bを介して横方向に連続させながら並列させる。
ボルト、ナット19での締結は、箱形ルーフ6の端部隅角を外向き開放の箱抜き6dとして、この部分において行なう。
箱形ルーフ6の並べ方は一文字型、門型、函型などで配設する地下構造物9に合わせて適宜選択される。
次いで、図14に示すように発進坑3内に反力壁8、コンクリート函体による地下構造物9をセットし、反力壁8と地下構造物9との間には元押しの推進ジャッキ10を設け、地下構造物9の先端に刃口11を設けるとともに地下構造物9の先端と前記箱形ルーフ6との間に小ジャッキ12を介在させる。
図中13は箱形ルーフ6の支持材、14はフリクションカッタープレート7の止め部材でこれらは発進坑3側に設け、一方、到達坑4側に受台15を設ける。
図15に示すように、小ジャッキ12を伸長して地下構造物9を反力としてフリクションカッタープレート7を残しながら箱形ルーフ6を1本ずつ順次押し進め、一通り箱形ルーフ6が前進したならば、小ジャッキ12を縮め、今度は推進ジャッキ10を伸長して地下構造物9を掘進させる。図中16は推進ジャッキ10と地下構造物9間に介在させるストラットである。
このようにして、箱形ルーフ6の前進と地下構造物9の前進とを交互に繰り返しながら、到達坑4に出た箱形ルーフ6は順次撤去する。
そして、地下構造物9の先端が到達坑4に達したならば、刃口11等を撤去し適宜裏込めグラウトを行って施工を完了する。
なお、地下構造物9はプレキャスト製のコンクリート函体を発進坑3内に順次吊り下ろして接続していくようにしてもよいし、発進坑3内でコンクリートを打設して必要長を増設するようにしてもよい。
また、地下構造物9の前進方法について、到達坑4側に反力壁及びセンターホール式の牽引ジャッキを設け、一端を地下構造物9に定着したPC鋼線による牽引部材をこの牽引ジャッキで引くことにより到達坑4側から地下構造物9を引き込むようにする工法もある。
前記のような軌道下に箱形ルーフを先行き施工した後、コンクリート構造物(函体)を推進して箱形ルーフと入れ替える地下構造物の構築方法においては、図17に示すように箱形ルーフ推進中および推進後から函体推進までの残置中、鉛直方向にたわむ傾向がある。
箱形ルーフの初期姿勢が中だるみしているケースでは、函体の推進に伴い地表面に相対的に大きな隆起が生じ、その後、箱形ルーフと函体が置き換わる段階で沈下が生じている。
かかる地表面変位は軌道を上下に変位させる原因となり、また、このたわみ部分が地下構造物の掘進に支障を来すことにもなり、施工が困難となる。
下記特許文献はルーフ用筒体が下方にたわむことを防止し、施工性の向上を図ることのできる地下構造物の構築方法におけるルーフ用筒体の沈下防止装置および沈下防止方法として提案したものである。
特許第3702265号公報
図18に示すように上部にフリクションカッタープレート7を配設した箱形ルーフ6を発進坑3から地中に圧入して並列させ、発進坑3に残る箱形ルーフ6の後部に地下構造物9を配設し、フリクションカッター7を地中に残置しながら地下構造物9を掘進させる地下構造物9の構築方法において、前記箱形ルーフ6の内部に長さ方向にわたって該ルーフ用筒体6の下方へのたわみ部分を引き上げる引き上げ用の索条17a、17bを貫通させた。
箱形ルーフ6の内部に長さ方向にわたって貫通させた索条を水平方向に引っ張ることで、該索条に作用する上下の垂直方向への分力が箱形ルーフ6に伝達され、箱形ルーフ6のたるみ部分が引き上げられて、たるみが解消される。
箱形ルーフ6のたわみ防止の手段としては、主にボルト、ナット19を増設したり、引張側(ルーフ下側)への後付プレートで対応しているが、十分な効果を得ることが出来なかった。
また、前記特許文献1によるルーフ用筒体の沈下防止では索条によりたるみ部分を引き上げるもので、装置が大掛かりなものとなる。
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、箱形ルーフが経時変化により中央部が撓んだ形状になる場合が多いことから,この形状を基本とした簡易な変位予測法および,変位抑制方法を提供するもので、また,小土被りに限定し,地山の地盤特性(ダイレイタンシー正負)に関係しないので施工性の向上を図ることのできる箱形ルーフによる地下構造物の構築方法を提供することにある。
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、防護工としての箱形ルーフを発進坑と到達坑との間の地中に水平に圧入して並列させ、発進坑に残る箱形ルーフ後部に地下構造物となる函体を配設し、箱形ルーフとコンクリート函体を推進することで箱形ルーフとコンクリート函体を入れ替える地下構造物の構築方法において、箱形ルーフ端部の下端に鉛直方向の高さが調節できる高さ調整材を設置し、その直下に端部を支承する受梁を設置し、前記箱形ルーフとコンクリート函体を入れ替える各施工において高さ調整材を高さ調整することで支点の鉛直方向座標を鉛直下向きに制御できるようにしたことを要旨とするものである。
請求項1記載の本発明によれば、箱形ルーフの端部において高さ調整を行うことで勾配を修正し、箱形ルーフの初期姿勢で生じた傾斜を緩和できる。
また、高さ調整は、箱形ルーフ端部の下端に鉛直方向の高さが調節できる高さ調整材を設置して行うので簡単かつ確実に行うことができる。
請求項2記載の本発明は、高さ調整材は、鋼材、合成樹脂材、木材のいずれかを用いて作製し、同部材を切断により高さ調整する請求項1記載の箱形ルーフによることを要旨とするものである。
請求項2記載の本発明によれば、高さ調整材の切断によって、座標(xdm、ydm)から(xdm、ydm-νdm)に支点の鉛直座標をコントロールでき、鋼管の初期姿勢で生じた傾斜を緩和できる。
請求項3記載の本発明は、鋼材による高さ調整材は、溝形鋼の上に表面に滑材を塗布した板を配設してなることを要旨とするものである。
請求項3記載の本発明によれば、高さ調整材は溝形鋼と箱形ルーフとの間に滑材を塗布した板を配設することで箱形ルーフの摩擦を軽減するとともに、振動および騒音の発生を少なくすることができる。
請求項4記載の本発明は、箱形ルーフの端部において高さ調整は、箱形ルーフ推進ごとの変位を予測し、予測に連動する施工時の変位制御を行うことを要旨とするものである。
請求項4記載の本発明によれば、線路下横断構造物に関して施工時の地山と鋼管およびコンクリート函体の相互作用を考慮した地表面変位の予測法を既往の知見を反映しながら構築し、加えて、予測法と連動した施工時の地表面変位の低減できる逐次対策法を行うことができる。
以上述べたように本発明の地下構造物の構築方法は、防護工としての箱形ルーフを発進坑と到達坑との間の地中に水平に圧入して並列させ、発進坑に残る箱形ルーフ後部に地下構造物となる函体を配設し、箱形ルーフとコンクリート函体を推進することで箱形ルーフとコンクリート函体を入れ替える地下構造物の構築方法において、箱形ルーフが経時変化により中央部が撓んだ形状になる場合が多いことから,この形状を基本とした簡易な変位予測および,変位抑制を可能とする考案しています.また,小土被り(工法実績から約1.5m以下)に限定し,地山の地盤特性(ダイレイタンシー正負)に関係しない)し、施工性の向上(現場で函体推進・けん引ステップ毎に予測計算が可能であり,現場で活用できる)を図ることのできるものである。
本発明の箱形ルーフによる地下構造物の構築方法の説明図である。 箱形ルーフ(鋼管)の初期姿勢を示す説明図である。 箱形ルーフ(鋼管)移動時の地表面変位傾向を示す説明図である。 地表面変位分布図である。 箱形ルーフ(鋼管)の剛体回転を示す説明図である。 各施工段階における鉛直変位を示す説明図である。 試計算した鋼管初期姿勢を示す説明図である。 ステップ毎の地表面変位予測を示すグラフである。 地下構造物(函体)の刃口部の側面図である。 地下構造物(函体)の刃口部の拡大側面図である。 発進坑側に設置する高さ調整材の斜視図である。 到達坑側に設置する高さ調整材の斜視図である。 地下構造物の構築方法の第1工程の縦断側面図である。 地下構造物の構築方法の第2工程の縦断側面図である。 地下構造物の構築方法の第3工程の縦断側面図である。 箱形ルーフ筒体の一例を示す部分斜視図である。 従来の地下構造物の構築方法での箱形ルーフ筒体の問題を示す説明図である。 従来例を示す縦断側面図である。
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の箱形ルーフによる地下構造物の構築方法の説明図であり、図中6は鋼管による略正方形断面の箱形ルーフである。
図示は省略するが箱形ルーフ6は端部にボルト挿通孔を形成した板体である継手フランジを有し、これを相互に重ねることでボルト締結ができ、端部隅角を外向き開放の箱抜きとし、ここをボルト・ナットの締結部としている。
一例として箱形ルーフ6は断面形状が1,000×1,000(mm)、長さ3,000(mm)、もしくは、断面形状が800×800(mm)、長さ6,000(mm)である。
箱形ルーフ6を防護工として使用する地下構造物の構築方法の概略は前記図13~図15で説明した通りである。鉄道等上部交通1の脇に土留め鋼矢板2を打設して、発進坑3と到達坑4を築造し、該発進坑3内に圧入機5を設置してこれで箱形ルーフ6を到達坑4に向けて圧入させる。
かかる箱形ルーフ6は単位筒体を1本ずつ圧入するものであり、上面に平板からなるフリクションカッタープレート7を取付けている。箱形ルーフ6の並べ方は一文字型、門型、函型などで配設する地下構造物9に合わせて適宜選択される。
発進坑3内に反力壁8、コンクリート函体による地下構造物9をセットし、反力壁8と地下構造物9との間には元押しの推進ジャッキ10を設け、地下構造物9の先端に刃口11を設けるとともに地下構造物9の先端と前記ルーフ用筒体6との間に小ジャッキ12を介在させる。小ジャッキ12は短尺な箱形ルーフの管をルーフ収納管としてその中に収める。
小ジャッキ12を伸長して地下構造物9を反力としてフリクションカッタープレート7を残しながら箱形ルーフ6を1本ずつ順次押し進め、一通り箱形ルーフ6が前進したならば、小ジャッキ12を縮め、今度は推進ジャッキ10を伸長して地下構造物9を掘進させる。
このようにして、ルーフ用筒体6の前進と地下構造物9の前進とを交互に繰り返しながら、到達坑4に出た箱形ルーフ6は順次撤去する。
そして、地下構造物9の先端が到達坑4に達したならば、刃口11等を撤去し適宜裏込めグラウトを行って施工を完了する。
前記のように函体推進・けん引工法によってコンクリート函体による地下構造物9を推進して函体と角形鋼管である箱形ルーフ6を置換する場合、図2に示すように、鋼管(箱形ルーフ6)の初期姿勢が周辺の地山によって拘束されるため、函体推進時にはそのままの姿勢で地山内を移動する。
その結果、図3のように地表面変位を生じさせる可能性があり、また、土被り厚や列車荷重の影響によって、図2のように鋼管(箱形ルーフ6)接合部を中心として傾斜(中だるみ形状)しやすい。さらに、軌道管理の立場からは、軌道が沈下した場合にはバラストを追加してレールの高さを確保すればよいが、隆起した場合には一般的に軌道整備が困難である軌このような背景から、本発明は、鋼管が中だるみ形状の場合に関し、鋼管(箱形ルーフ6)が地山内を推進する際の地表面変位を施工段階ごとに予測することにした。
土被りが小さく地盤の変形特性よりも鋼管(箱形ルーフ6)の初期配置のほうが地表面に与える影響が大きいと仮定すると、図2のように函体推進時に鋼管が水平方向に剛体変位する状況では図4に示す地表面の変位分布が生じる。
ここで実際の箱形ルーフ6が地下構造物9と置換されるときの境界条件を考えると、地下構造物9の外縁に合わせて切断した土留め壁の上端あるいは刃口を支点として図2のように箱形ルーフ6の端点の鉛直変位が固定される。
図4の条件に基づいて、箱形ルーフ6の端点の境界条件を加味すると、図5に示す(x0 m、y0 m)を中心とした剛体回転によって中だるみした接合箱形ルーフ6は移動し、これに伴って地表面が変形するとモデル化できる。
上付きの添え字mは施工ステップがm番目終了時であることを示しており、箱形ルーフ6(鋼管)の姿勢、すなわち箱形ルーフ6(鋼管)の傾きをk1 mとすると、
Figure 0007029488000001
と表される.(xi m、yi m)はi番目の箱形ルーフ6(鋼管)の端点の座標であるki mを用いて(xo m、yo m)を表すと次式になる.
Figure 0007029488000002
(xd m、yd m)と(xr m、yr m)は発進側と到達側の支点座標であり、各施工段階mにおいて可変である。
発進側の支点直上には施工終了まで同じ箱形ルーフ6(鋼管)が配置するが、到達側は箱形ルーフ6(鋼管)が順々に到達立坑側に押し出され回収されていく。したがって、xr m>xn-1 mの条件を満たした場合には箱形ルーフ6(鋼管)の総数はnがn-1に変化する。
ここで、図6に示すように、各施工段階mにおいて水平方向にΔumだけ箱形ルーフ6(鋼管)が挿入される場合に、回転軸座標(xo m、yo m)と箱形ルーフ6(鋼管)の端点(xi m、yi m)の関係を考えると、i番目の端点の鉛直変位Δvi mは、
Figure 0007029488000003
で表される。
Ri mは(xo m、 yo m)と (xi m、 yi m)の距離であり、次式で表される。
Figure 0007029488000004
以上より、施工段階m番目とm-1番目の鋼管i番目の座標は、
Figure 0007029488000005
ここで、箱形ルーフ6(鋼管)表面の任意の座標を(x、yp m)とすると、
Figure 0007029488000006
となり、地盤は変形せず、地表面の変形は箱形ルーフ6(鋼管)の姿勢に依存すると仮定した場合の任意点xの地表面変位増分Δδ は、
Figure 0007029488000007
と予測できる。
実施工では箱形ルーフ6(鋼管)と上部地盤の間にフリクションカッタープレート7と呼ばれる鋼板を設置するが、この鋼板の影響はここでは考えない。
最後に、箱形ルーフ6(鋼管)背後の地下構造物9(函体)がxに到達すれば、地山が地下構造物9の天端で支持され、その後xの地表面変位はボックスカルバート天端のy座標分布yb(x)に依存して変化する。
Figure 0007029488000008
umは各施工ステップにおける箱形ルーフ6(鋼管)の変位増分Δumの累積値である。
地下構造物9と箱形ルーフ6(鋼管)の境界は実際には不連続であり、地下構造物9と箱形ルーフ6(鋼管)の端点の座標が一致しない場合も想定される。
これらの端点のx座標の差が1施工ステップごとの箱形ルーフ6(鋼管)の挿入量Δumに対して微小であるため、本発明では線形補間するものとする。
以上のように導いた地表面変位の予測法を用い、鋼管の初期姿勢で変化する地表面変位を図7の二種類の条件を想定して具体的に模型実験を想定した寸法でシミュレートした。
図7(a)は箱形ルーフ6(鋼管)が水平に設置されている場合で、図7(b)は中央に向けて箱形ルーフ6(鋼管)が10‰で傾斜(中だるみ)する場合を想定している。横断長L=1500mm鋼管の長さはLp1=900mmおよびLp2=1000mm、箱形ルーフ6(鋼管)の高さは100mmを設定し、到達側の支点は固定、発進側の支点は函体の端点から150mmの距離を保つように設定した。
また、図7(b)の箱形ルーフ6(鋼管)端点が地下構造物9天端よりも高い位置にある状況は、施工現場で実際に行われている‘上げ越し’を模しており、箱形ルーフ6(鋼管)の傾斜で地表面が隆起することへの対策として実際に実施されている。
各施工ステップにおける箱形ルーフ6(鋼管)の水平変位Δum=125mmで一定として14ステップの逐次施工を行った場合の地表面変位を図8にシミュレートした。同図は図7の地表面AおよびB点での変位を示しており、図8(a)と(b)はそれぞれ図7(a)と(b)のケースの結果を示す。
箱形ルーフ6(鋼管)鋼管の初期姿勢が水平のケースでは、鋼管の姿勢の影響が無いため地表面変位は発生しない。
これに対し、箱形ルーフ6(鋼管)の初期姿勢が中だるみしているケースでは、地下構造物9の推進に伴い地表面に相対的に大きな隆起が生じ、その後、箱形ルーフ6(鋼管)と地下構造物9が置き換わる段階で沈下が生じている。
ここでの試計算は、図7(b)のケースの施工ステップ毎の箱形ルーフ6(鋼管)の挙動のように、支点高さ(yd mとyr m)を一定値に設定しているが、yd mとyr mを制御して箱形ルーフ6(鋼管)の姿勢をコントロールすることができれば、地表面沈下よりも問題となっている地表面隆起を低減できる可能性が大きい。
線路下横断構造物の施工をより効果的に行うには、予測法と連動した逐次対策が必要である。
本発明は、前記地表面変位の予測法における箱形ルーフ6(鋼管)の支点の鉛直座標(yd mとyr m)を操作することで、地表面変位を低減する逐次対策を行う。
図1に示すように、箱形ルーフ6(鋼管)端部の下端に鉛直方向の高さが調節できる機構(ハッチング部材)として高さ調整材20を設置し、その直下に地下構造物9の刃口11内で端部を支承する受梁21を設置する。
この受梁21はH形鋼などの鋼材で組んだ架台24の上床張り出し部として構成するものである。
地下構造物9(函体)側の箱形ルーフ6の端部は、函体推進直後の鏡切断までは土留め鋼矢板2が支点としているが、鏡切断後からは、刃口11と呼ばれる切羽掘削スペース内に設置された刃口11内ルーフ受梁21に支点が置き換わる。
前記高さ調整材20はH形鋼などの鋼材22を用いて作製し、各施工ステップにおいて鋼材22を高さ方向に切断することで支点の鉛直方向座標(yd mとyr m)を鉛直下向きに制御できる。
高さ調整材20は、鋼材22としての溝形鋼の上に表面にグリース材の滑材を塗布した板23を配設した。この滑材についてはグリース材の他にもシリコーン系のものなどが使用可能であるが、板23には木矢板(松矢板)や通常使用される松矢板に比べて許容圧縮力が高いタモ材が好適である。
箱形ルーフ6端部には地下構造物9(函体)を反力として到達側へ箱形ルーフ6を押し出す小ジャッキ12を搭載したジャッキ収納管25が接続される。
発進坑3側の箱形ルーフ支点箇所である示す刃口内ルーフ受梁21では、通常50mmの離隔を箱形ルーフ端部位置(ジャッキ収納管25の位置)で確保しており、その離隔に板23を挟み込むことで受梁21と箱形ルーフ6の摩擦を軽減するとともに、振動および騒音対策になる。
なお、高さ調整材20の鋼材22は箱形ルーフ6の押し出し時にその摩擦によって到達側へ移動しないように止め板として板鋼材を前後へ溶接設置し、前後方向のズレを拘束するものとした。
また、板23についても鋼材22と同様にズレ防止のため、鋼材22の上面に止め板として板鋼材を前後へ溶接設置した。
到達坑4側の箱形ルーフ6の端部支点位置となる土留め鋼矢板2(仮土留鋼矢板)箇所については、水平部箱形ルーフ6を仮土留全体で支持させるため、ルーフ受工と呼ばれるH型鋼材が受梁21として箱形ルーフ下側の仮土留に溶接設置される。
よって、到達坑4側では、この受梁21の上側面と箱形ルーフ下側面との間に高さ調整材20を設置するものとして、発進側の刃口内ルーフ受梁位置での高さ調整材と同様に、溝形鋼と鋼材を組合せた高さ調整材20を設置した。
図11に発進坑3側の高さ調整材20を、図12に到達坑4側の高さ調整材20を示す。
箱形ルーフ端部支点高さを下方に調整する方法は、高さ調整材20の鋼材22のウェブ切断箇所をガス切断によって1回の切断を5mm2程度として下方への高さ調整を行う。
高さ調整は、函体推進直前の箱形ルーフ6の出来形形状をあらかじめ計測により把握し、前記簡易な計算手法による変位予測法をもとにして、函体推進ごとの軌道間中央での地表面計測箇所の変位量を計算し、地盤変位抑制法による端部高さ調整による変位シミュレーションを実施した。
高さ調整を実施するタイミングについては、シミュレーションに従って、函体推進直前から函体推進1.0mごとに4.0m推進まで高さ調整をおこなう。
例えば発進側立坑近傍の支点であれば、高さ調整材20の切断によって、座標(xd m、yd m)から(xd m、yd m -νd m)に支点の鉛直座標をコントロールでき、鋼管の初期姿勢で生じた傾斜を緩和できる。
同様に到達坑4側近傍の支点でも高さ調整材20で到達側支点の座標(xr m、yr m)も制御する。
前記実施形態では高さ調整材20はH形鋼などの鋼材22を用いて作製した例を示したが、鋼材以外でも、合成樹脂材、木材のいずれかを用いて作製することもできる。
条件としては、切断して高さが変更できるものであればよく、合成樹脂材の場合は,ウレタン等の圧縮への抵抗が強い素材が好適である。
形状は箱形ルーフ6の支承と、切断可能であることの2つを満たすものとしてボックスタイプ、枠組架構タイプなどである。
1…上部交通 2…土留め鋼矢板
3…発進坑 4…到達坑
5…圧入機 6…箱形ルーフ用筒体
6a、6b…継手 6c…継手フランジ
6d…箱抜き 7…フリクションカッタープレート
8…反力壁 9…地下構造物
10…推進ジャッキ 11…刃口
12…小ジャッキ 13…支持材
14…止め部材 15…受台
16…ストラット 17a、17b…索条
19…ボルト、ナット 20…高さ調整材
21…受梁 22…鋼材
23…板 24…架台
25…ジャッキ収納管

Claims (4)

  1. 防護工としての箱形ルーフを発進坑と到達坑との間の地中に水平に圧入して並列させ、発進坑に残る箱形ルーフ後部に地下構造物となる函体を配設し、箱形ルーフとコンクリート函体を推進することで箱形ルーフとコンクリート函体を入れ替える地下構造物の構築方法において、箱形ルーフ端部の下端に鉛直方向の高さが調節できる高さ調整材を設置し、その直下に端部を支承する受梁を設置し、前記箱形ルーフとコンクリート函体を入れ替える各施工において高さ調整材を高さ調整することで支点の鉛直方向座標を鉛直下向きに制御できるようにしたことを特徴とする箱形ルーフによる地下構造物の構築方法。
  2. 高さ調整材は、鋼材、合成樹脂材、木材のいずれかを用いて作製し、同部材を切断により高さ調整する請求項1記載の箱形ルーフによる地下構造物の構築方法。
  3. 鋼材としての高さ調整材は、溝形鋼の上に表面に滑材を塗布した板を配設してなる請求項1または請求項2に記載の箱形ルーフによる地下構造物の構築方法。
  4. 箱形ルーフの端部において高さ調整は、箱形ルーフ推進ごとの変位を予測し、予測に連動する施工時の変位制御を行う請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の箱形ルーフによる地下構造物の構築方法。
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