JP7029136B2 - 地中埋設管構造内への充填材の施工方法及び地中埋設管構造 - Google Patents
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この対策として、内管と外管の間にセメントを含む充填材を充填することで、管内への土砂の流入を防止し陥没を防ぐ手法が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
(B)内管内に存在する空隙により、充填材の充填時に、内管に浮力がかかり、内管の損傷を招く虞があった。
(C)外管内に水が浸入してきている場合、その水により充填材の充填が妨げられる虞があった。
(D)地中埋設管構造を開削せずに内部に充填材を充填する際に、充填状況の確認が困難であるため、空隙が残ってしまう虞があった。
〔2〕前記二重管の外管の端部のみを開削し、当該開削部から地中埋設管構造の内管と外管の間に注入管を挿入し、当該注入管を通して、充填材を注入することを特徴とする〔1〕に記載の充填材の施工方法。
〔3〕前記内管のうち、地中埋設管構造内のケーブルを通していない内管に少なくとも1つの充填材の噴出孔と止水栓を設け、当該ケーブルを通していない内管内に充填材を注入し、当該噴出孔を介して地中埋設管構造の内管と外管の間に充填材を注入することを特徴とする〔1〕に記載の充填材の施工方法。
〔4〕前記ケーブルを通していない内管にガイド管を具備するパイプカメラを挿入し、充填材の充填状態を当該パイプカメラにより観察しながら充填材を注入することを特徴とする〔3〕に記載の充填材の施工方法。
〔5〕前記低発熱型充填材が、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に従って測定したフロー値(落下運動なし)が200mm以上である〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の充填材の施工方法。
〔6〕複数の内管と一の外管の二重管より成り、内管内部にケーブルを通してある地中埋設管構造の内管と外管の間が、密度が1.15~1.35kg/Lである低発熱型充填材で満たされていることを特徴とする、地中埋設管構造。
二重管の内管と外管の間に充填材を充填する際、二重管の内管と外管の間に存在する空気又は二重管の内管と内管内に存在する空気により、充填材の充填時に、内管と外管の間又は内管に浮力がかかる虞がある。充填材の密度が1.35kg/Lを超える場合、内管と外管の間又は内管との密度差が大きくなり過ぎて、内管と外管の間又は内管にかかる浮力が過大となり、内管の損傷を招く虞がある。充填材の密度が1.15kg/L未満となる場合、強度発現性が低下することは自明であるが、さらに材料分離抵抗性が大きく低下する虞がある。混練後の充填材の好ましい密度は1.18~1.35kg/Lであり、さらに好ましい密度は1.20~1.35kg/Lである。
ケーブル構成材料の軟化点を考慮した場合、充填後の管内の温度は70℃を超えないことが好ましく、60℃を超えないことがより好ましく、50℃を超えないことがさらに好ましい。かかる観点から、充填材は低発熱型充填材であることが必要である。
本発明における低発熱型充填材とは、簡易断熱試験において、温度上昇量が30℃以下の充填材をいう。温度上昇量としては、20℃以下がより好ましく、15℃以下がさらに好ましい。ここで簡易断熱試験は下記のように行うことができる。
水と混練した充填材を、魔法瓶(デュワー瓶)の中に設置した内容積0.7リットルのポリ容器へ直ちに充填し、魔法瓶の蓋を閉じた後、充填材中心部の最高温度到達時の温度上昇量を測定する。温度測定は、充填材の中心部に差込んだ熱電対によって5分毎に実施する(図4参照)。
既設二重管内にモルタルを充填する際には、二重管全体を開削することなく、地中20cm以上の深さを保ったまま施工を行うことが好ましい。セメント等の水硬性成分の量を減じれば発熱量が減少することは自明であるが、減少しすぎると硬化時の強度が低下しすぎるだけでなく、材料分離抵抗性が低下する虞がある。本発明の施工方法では、温度が安定している地中20cm以上の深さを保ったまま充填材を充填できることから、混練時の水硬性成分量は1~5vol%の範囲であれば必要な強度を得ることができるため好ましい。水硬性成分量が少なすぎる場合、強度発現性が低下するのみならず、材料分離抵抗性が大きく低下するため好ましくない。また、水硬性成分量が多すぎる場合、光ファイバーケーブル等のケーブル構成材料の一部が軟化点を超える虞があるため、好ましくない。より好ましい水硬性成分の含有量は2~5vol%であり、さらに好ましくは2.5~5vol%である。
水中不分離性混和剤を使用する場合には、JSCE D-104「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格」が指標となり、当該規格に従って測定したpH値が12.0以下であることが、材料分離抵抗性の観点から好ましい。pH値が12.0を超える場合は、材料分離抵抗性の向上が顕著に表れない虞があるため好ましくない。
ここでケーブルとは、光ファイバーケーブル、メタルケーブル等の通信用ケーブル、電力および制御ケーブル等が挙げられ、内管とは、ケーブルが通る通信用管路、あるいは電力および制御ケーブル等が通る電力用管路が挙げられる。また外管とは、地上からの荷重に耐えうるヒューム管等が挙げられる。外管は上部から力の加わる道路、線路等の下だけに設置されている。内管以外の端部はレンガ等で封鎖されており、内管と外管の間は通常空洞になっている。
図1の態様では、この地面を開削後、外管の封鎖端部の一部に孔を開け、注入ホースを挿入することになる。
より具体的には、前記ケーブルを通していない内管にガイド管を具備するパイプカメラ(ラインスコープ)を挿入し、充填材の充填状態を当該パイプカメラにより観察しながら充填材を注入する(図2参照)。すなわち、既設二重管内に充填材を充填する際に、二重管を開削することなく、地中20cm以上の深さを保ったまま、マンホールから地中埋設管構造の内管に注入管を挿入し、当該注入管を通して前記の充填材を注入する。内管に注入された充填材は、内管に設けられた一又は二以上の噴出口から噴出し、内管と外管の間に充填されることとなる。また、この注入管とは別にガイド管を敷設し、ガイド管の内部には、パイプカメラを挿入し、充填材の充填状態をパイプカメラにより観察しながら充填するのが好ましい。また、このガイド管は、エア抜きの役目も兼ねさせることができる(図2)。充填施工の最終段階において、パイプカメラは抜き取られる。充填材は最終的には、パイプカメラが抜き取られたガイド管に侵入し、ガイド管内を通ってマンホール内に戻ってくる。これをもって充填材が内管と外管の空洞部内に十分充填されたことを判断することができる。ガイド管及びパイプカメラの状態の拡大図を図3に示す。
(1)充填材の調整
水硬性成分として普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、発熱しない成分として珪石粉(秩父工業社製)、密度調整材としてパーライト(太平洋パーライト社製「太平洋パーライト」)を使用した。混練後の充填材が所定の密度(単位容積質量)および発熱する成分量となるように充填材組成物の配合を調整した。充填材の密度は1.30kg/L、充填材中の水硬性成分量は4.3vol%であった。
一方、比較例として、市販品である低発熱型充填材及び軽量充填材を使用した。
上記充填材組成物および市販品を、20℃恒温度試験室内にて、水(水道水)を加えてハンドミキサ(日立工機製、回転速度1100rpm)で120秒間混練し、試験用の試料を作製した。
いずれの充填材も混練後の流動性がフロー値で250±20mmとなるように調整した。
1)単位容積質量
内容積0.5リットルの鋼製円柱容器を用い、JIS A 1171「ポリマーセメントモルタルの試験方法」の手法に準じて測定した。
2)20℃の7日経過時点での硬化状況
φ50mm×H100mmの樹脂製型枠を用い、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験法」の手法に準じて成型を行い、20℃恒温度試験室内にて7日間静置し、7日経過後に型枠を脱型し、脱型可能であったもの(形が崩れなかったもの)を○、それ以外を×として評価した。
3)簡易断熱条件下における温度上昇量
練混ぜが終了した充填材を、魔法瓶(デュワー瓶)の中に設置した内容積0.7リットルのポリ容器へ直ちに充填し、魔法瓶の蓋を閉じた後、充填材中心部の最高温度到達時の温度上昇量を測定した。温度測定は、充填材の中心部に差込んだ熱電対によって、データロガー(東京測器社製)を用いて5分毎に実施した(図4)。
4)ブリーディング率
JIS A 1123「コンクリートのブリーディング試験方法」の手法に従って測定を行った。
5)フロー試験
JIS R 5201「セメントの物理試験方法」の手法に従って測定した。
試験結果を表1に示す。本発明品では、所定の流動性および単位容積質量が確保された上で、簡易断熱温度上昇が低減されていることが分かる。また、ブリーディングもなく、7日経過後の硬化状況も良好であった。
上記の実施例の配合を用い、20℃の恒温室内において、地中埋設構造を模擬した型枠内(内径1m×高さ1.2m)への充填試験を行った。型枠を図5に示す。
充填材の混練はグラウトミキサを用いて実施した。混練後の充填材はスクイーズ式ポンプを用いて圧送し、型枠への充填を行った。充填後の管内の充填材内部の温度を熱電対で測定した。
本発明の充填材を用いることで管内への充填は問題無く実施できることを確認した。また、充填材内部の温度は最高で43℃であり、温度上昇量は25℃以内に抑えられていることを確認した。
Claims (3)
- 複数の内管と一の外管の二重管より成り、内管内部にケーブルを通してある地中埋設管構造の内管と外管の間への充填材の施工方法であって、当該充填材が、密度が1.15~1.35kg/Lである低発熱型充填材であり、
前記複数の内管のうち、地中埋設管構造内のケーブルを通していない内管に少なくとも1つの充填材の噴出孔と止水栓を設け、当該ケーブルを通していない内管内に充填材を注入し、当該噴出孔を介して地中埋設管構造の内管と外管の間に充填材を注入することを特徴とする充填材の施工方法。 - 前記ケーブルを通していない内管にガイド管を具備するパイプカメラを挿入し、充填材の充填状態を当該パイプカメラにより観察しながら充填材を注入することを特徴とする請求項1に記載の充填材の施工方法。
- 前記低発熱型充填材が、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に従って測定したフロー値(落下運動なし)が200mm以上である請求項1又は2記載の充填材の施工方法。
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