JP7028692B2 - マスダンパ - Google Patents

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Description

本発明は、構造物などの振動を抑制するのに用いられるマスダンパに関する。
従来のマスダンパとして、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このマスダンパは、一端部が第1部位に連結されたねじ軸と、ねじ軸にボールを介して螺合する回転自在のナットと、一端部が第2部位に連結され、ナットを回転自在に支持する内筒と、内筒に回転自在に支持された回転マスを備えている。また、ナットと回転マスの間には、軸力制限機構が設けられている。この軸力制限機構は、機械式のものであり、ナットの外周面に当接する摩擦材と、回転マスにねじ込まれた締め付けボルトと、摩擦材と締め付けボルトの間に配置され、摩擦材をナット側に付勢する皿ばねなどを備えている。
このマスダンパでは、地震時などに第1及び第2部位の間に相対変位が発生すると、ねじ軸の直線運動がナットの回転運動に変換され、回転マスに伝達される。これにより、回転マスが回転し、回転マスによる回転慣性効果が発揮されることによって、構造物の振動が抑制される。また、マスダンパの軸力(マスダンパに作用する軸方向の荷重)が、軸力制限機構の皿ばねのばね定数や締め付けボルトの締め付け度合などに応じて定まる所定値に達すると、摩擦材とナットの間に滑りが発生することによって、回転マスの回転が抑制され、マスダンパの軸力が制限される。
特許第5189213号公報
上述した従来のマスダンパでは、ナットと回転マスの間に設けられた、摩擦材を用いた軸力制限機構によって、回転マスの回転が抑制され、マスダンパの軸力が制限される。これに対し、近年、特に懸念されている長周期地震動の発生によって、大きな振動エネルギがマスダンパに繰り返し入力されるような場合には、摩擦材の発熱によって摩擦抵抗が低下する結果、回転慣性効果を安定して発揮できないとともに、マスダンパの軸力制限を適切に行えないおそれがある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、温度や振動エネルギの繰返し入力の影響を受けることなく、回転マスの回転慣性効果を安定して発揮させるとともに、マスダンパの軸力を適切に制限することができるマスダンパを提供することを目的とする。
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、構造物を含む系内の相対変位する第1部位と第2部位の間に設けられ、振動エネルギを減衰するマスダンパであって、一端部が第1部位に連結されるねじ軸、及びねじ軸にボールを介して螺合するナットを有するボールねじと、一端部が第2部位に連結され、ねじ軸と同軸状に延びるとともに、ナットを回転自在に支持する内筒と、ナットの外周を覆うように配置され、ナットに対して回転自在の筒状の回転マスと、ナットの外周面に周方向に並んだ状態で配置された複数の磁石で構成された第1磁石列と、回転マスの内周面に周方向に並んだ状態で配置され、第1磁石列の複数の磁石に対向するとともに対極の磁極を有する複数の磁石で構成された第2磁石列と、回転マスに対向するように配置され、回転マスに対して回転自在の筒状の第2回転マスと、第2回転マスに対向する回転マスの対向面に周方向に並んだ状態で配置された複数の磁石で構成された第3磁石列と、回転マスに対向する第2回転マスの対向面に周方向に並んだ状態で配置され、第3磁石列の複数の磁石に対向するとともに対極の磁極を有する複数の磁石で構成された第4磁石列と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、マスダンパのナット及び回転マスの互いの対向面に、それぞれ複数の磁石で構成された第1及び第2磁石列が配置されている。第1磁石列の複数の磁石と第2磁石列の複数の磁石は、それぞれ周方向に並んだ状態で配置され、互いに対向するとともに、対極の極性を有する。この構成により、第1磁石列の複数の磁石(以下「第1磁石」という)と第2磁石列の複数の磁石(以下「第2磁石」という)の間に、吸引力が作用する。
本発明のマスダンパによれば、地震時などに振動エネルギが構造物に入力され、第1及び第2部位の間に相対変位が発生すると、第1部位に連結されたねじ軸の相対的な直線運動が、ねじ軸に螺合するナットの回転運動に変換されることによって、ナットが回転する。このナットの回転に伴い、回転マスは、第1及び第2磁石の間に作用する吸引力により、ナットの回転と同期し、同じ回転速度で一体的に回転する(以下、この状態を「一体回転状態」という)。これにより、回転マスの等価質量が実質量に対して増幅され、大きな反力(回転慣性力)として作用する回転慣性効果が発揮されることによって、構造物の振動が抑制される。
その後、ナットの回転速度が増大し、ナットのトルクが磁石の吸引力に打ち勝つと、ナットが回転マスを取り残し、空回りしながら回転する状態(以下、この状態を「離脱回転状態」という)になり、回転マスが大きく減速する。これにより、回転マスによる回転慣性力が抑制されることによって、マスダンパの軸力が制限される。また、その後、ナットの回転速度が減少し、ナットのトルクが磁石の吸引力を下回るようになると、ナット及び回転マスが離脱回転状態から一体回転状態に自動的に復帰することによって、回転マスの回転慣性効果を再び有効に発揮させることができる。
磁石の吸引力は、構造物におけるマスダンパの使用環境では、温度依存性や繰り返し依存性を示さない。したがって、長周期地震動の発生時のように大きな振動エネルギが構造物に繰り返し入力される場合においても、温度や振動エネルギの繰返し入力の影響を受けることなく、回転マスの回転慣性効果を安定して発揮させることができる。
また、磁石の吸引力が大きいほど、これに打ち勝つのに必要なナットのトルクが大きくなり、それに応じて回転マスの回転慣性力はより大きくなる。さらに、磁石の吸引力は、磁束密度や磁石の断面積などに応じて概ね定まり、精度良く求めることができる。したがって、マスダンパに要求される回転慣性力とマスダンパの強度の両方を加味し、磁石の吸引力を適切に設定することによって、所要の回転慣性力及び振動抑制性能を確保できるとともに、マスダンパの軸力制限を適切に行うことができる。
また、本発明のマスダンパでは、回転マスに加えて第2回転マスが設けられ、回転マス及び第2回転マスの互いの対向面に、それぞれ複数の磁石で構成された第3及び第4磁石列が配置されている。第3磁石列の複数の磁石と第4磁石列の複数の磁石は、それぞれ周方向に並んだ状態で配置され、互いに対向するとともに、対極の極性を有する。この構成により、第3磁石列の複数の磁石(以下「第3磁石」という)と第4磁石列の複数の磁石(以下「第4磁石」という)の間に、吸引力が作用する。
したがって、このマスダンパによれば、ナットの回転に伴い、第1及び第2磁石の吸引力によって回転マスが一体回転するとともに、この回転マスの回転に伴い、第3及び第4磁石の吸引力によって、第2回転マスが回転マスと一体回転する。これにより、第2回転マスによる回転慣性効果が発揮され、回転マスの回転慣性効果に付加されることによって、構造物の振動をさらに抑制することができる。
また、回転マスの回転速度が増大し、回転マスのトルクが第3及び第4磁石の吸引力に打ち勝つと、回転マス及び第2回転マスが離脱回転状態になることで、第2回転マスが大きく減速する。これにより、第2回転マスによる回転慣性力が抑制されることによって、マスダンパの軸力が制限される。また、その後、回転マスの回転速度が減少し、回転マスのトルクが磁石の吸引力を下回るようになると、回転マス及び第2回転マスが離脱回転状態から一体回転状態に自動的に復帰することによって、第2回転マスの回転慣性効果を再び有効に発揮させることができる。
請求項に係る発明は、請求項に記載のマスダンパにおいて、第2回転マスは、回転マスに対して軸線方向に並び、端面同士が対向するように配置されており、第3磁石列は回転マスの端面に配置され、第4磁石列は第2回転マスの端面に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、第2回転マスは、回転マスに対して軸線方向に並んだ状態で配置されており、回転マス及び第2回転マスの互いに対向する端面にそれぞれ配置された第3及び第4磁石の吸引力により、回転マス及び第2回転マスの一体回転状態と離脱回転状態が切り替えられる。これにより、請求項2による作用を得ることができる。また、第2回転マスが回転マスと軸線方向に並んだ状態で配置されるので、径方向におけるマスダンパのコンパクト化を図ることができる。
請求項に係る発明は、請求項に記載のマスダンパにおいて、第2回転マスは、回転マスの外周側に配置されており、第3磁石列は回転マスの外周面に配置され、第4磁石列は第2回転マスの内周面に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、第2回転マスは回転マスの外周側に配置されており、回転マスの外周面及び第2回転マスの内周面にそれぞれ配置された第3及び第4磁石の吸引力により、回転マス及び第2回転マスの一体回転状態と離脱回転状態が切り替えられる。これにより、請求項2による作用を得ることができる。また、第2回転マスが回転マスの外周側に配置されるので、軸線方向におけるマスダンパのコンパクト化を図ることができる。
本発明の実施形態によるマスダンパを含む免震装置を構造物に設置した例を概略的に示す図である。 第1実施形態によるマスダンパを示す縦断面図である。 図2の矢印Aで示す部分を拡大して示す断面図である。 第2実施形態によるマスダンパを示す縦断面図である。 図4の矢印Bで示す部分を拡大して示す断面図である。 第4磁石列及びこれを構成する第4永久磁石を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、実施形態によるマスダンパ1を、積層ゴム支承2とともに、建物などの構造物3に免震装置として設置した例を示す。積層ゴム支承2は、複数個(2つのみ図示)設けられており、構造物3と基礎4の間に固定され、構造物3を支持している。マスダンパ1は、複数個(1つのみ図示)設けられており、その両端部において、構造物3から下方に突設された支持部材5aと、基礎4から上方に突設された支持部材5bとの間に、設置される。
図2に示すように、マスダンパ1は、ボールねじ11、内筒12、回転マス13、粘性体14、第1及び第2磁石列15、16などで構成されている。
ボールねじ11は、ねじ軸11aと、ねじ軸11aに多数のボール11bを介して螺合するナット11cを有する。ねじ軸11aは、外端部において、自在継手17aを介して、第1フランジ17に移動不能に連結され、内端部は、ナット11cから突出し、内筒12の内部に延びている。ナット11cは、例えば鋼材で構成され、内端部において、クロスローラベアリング21を介して内筒12に嵌合し、回転自在に支持されている。
内筒12は、鋼材で構成され、ナット11cと同軸状に配置されており、外端部において、自在継手18aを介して、第2フランジ18に移動不能に連結されている。
回転マス13は、比重が比較的大きな材料、例えば鋼材で構成され、肉厚の円筒状に形成されている。回転マス13は、ボールねじ11及び内筒12の外側に同軸状に配置されており、両端部において軸受け22、22を介し、ナット11c及び内筒12に回転自在に支持されている。
粘性体14は、内筒12と回転マス13との間の間隙Gに、シール23、23を介して液密状態で充填されている。粘性体14は、所定の粘度を有する粘性材、例えばシリコンオイルで構成されている。
図3に示すように、第1磁石列15は、ナット11cの外周面に配置された複数(例えば8つ)の永久磁石(以下「第1永久磁石」という)15aで構成され(1つのみ図示)、これらの第1永久磁石15aは、周方向に等間隔に配置されている。各第1永久磁石15aは、例えば円板状のフェライト磁石で構成されており、その底部及び外周部に同心状に被せられたヨーク(継鉄)15bとともに、非磁性体のケース15cに収容されている。
第2磁石列16は、回転マス13の内周面に、周方向に等間隔に配置された複数(例えば8つ)の永久磁石(以下「第2永久磁石」という)16aで構成されており(1つのみ図示)、その数は第1永久磁石15aと同じである。各第2永久磁石16aは、第1永久磁石15aと同様、例えば円板状のフェライト磁石で構成されており、その底部及び外周部に同心状に被せられたヨーク16bとともに、非磁性体のケース16cに収容されている。また、図3に示すように、第1及び第2永久磁石15a、16aは、互いに対極の磁極を有する。以上の構成により、第1永久磁石15aと第2永久磁石16aの間に、吸引力が作用する。
以上の構成のマスダンパ1は、例えば図1の構造物3及び基礎4に設けられた支持部材5a、5bに、第1及び第2フランジ17、18を介して連結され、設置される。この状態で、地震などの発生により、構造物3と基礎4の間に相対変位が発生すると、それらに連結された内筒12に対するねじ軸11aの直線運動がナット11cの回転運動に変換され、ナット11cが回転する。
このナット11cの回転に伴い、第1及び第2永久磁石15a、16aの間に作用する吸引力によって、回転マス13は、ナット11cと同期し、同じ回転数で一体的に回転する(一体回転状態)。この回転マス13の回転により、回転マス13の等価質量が実質量に対して増幅され、大きな回転慣性力として作用する回転慣性効果が発揮され、それにより、構造物3の振動が抑制される。
その後、ナット11cの回転速度が増大し、ナット11cのトルクが第1及び第2永久磁石15a、16aの吸引力に打ち勝つと、ナット11cが回転マス13を取り残し、空回りしながら回転する状態(離脱回転状態)になり、回転マス13が大きく減速する。これにより、回転マス13による回転慣性力が抑制されることで、マスダンパ1の軸力が制限される。また、その後、ナット11cの回転速度が減少し、ナット11cのトルクが第1及び第2永久磁石15a、16aの吸引力を下回った場合には、ナット11c及び回転マス13が離脱回転状態から一体回転状態に自動的に復帰することによって、回転マス13の回転慣性効果を再び有効に発揮させることができる。
永久磁石の吸引力は、構造物におけるマスダンパの使用環境では、温度依存性や繰り返し依存性を示さない。したがって、長周期地震動の発生時のように大きな振動エネルギが構造物に繰り返し入力される場合においても、温度や振動エネルギの繰返し入力の影響を受けることなく、回転マス13の回転慣性効果を安定して発揮させることができる。
また、第1及び第2永久磁石15a、16aの吸引力が大きいほど、これに打ち勝つのに必要なナット11cのトルクが大きくなり、それに応じて回転マス13の回転慣性力はより大きくなる。一方、第1及び第2永久磁石15a、16aの吸引力Fは、次式(1)によって、精度良く求めることができる。
F=B0 2・A/2μ0 ・・・(1)
ここで、B0は対向空間の磁束密度、Aは第1及び第2永久磁石15a、16aの断面積、μ0は真空の透磁率である。
したがって、マスダンパ1に要求される回転慣性力とマスダンパ1の強度の両方を加味し、第1及び第2永久磁石15a、16aの吸引力を適切に設定することによって、所要の回転慣性力及び振動抑制性能を確保できるとともに、マスダンパ1の軸力制限を適切に行うことができる。
図4は、本発明の第2実施形態によるマスダンパ51を示す。図2との比較から明らかなように、このマスダンパ51は、上述した第1実施形態によるマスダンパ1に対し、第2回転マス53や、第2回転マス53を回転させるための第3及び第4磁石列55、56などを付加したものである。したがって、マスダンパ1と同じ又は同等の構成要素について同じ符号を付するとともに、以下、マスダンパ1と異なる部分を中心として、マスダンパ51について説明する。
マスダンパ51は、マスダンパ1と同様、回転マス13、粘性体14及び第1及び第2磁石列15、16を備えており、これらの構成はマスダンパ1と同じである。なお、回転マス13及び粘性体14の軸線方向の長さは、マスダンパ1よりも短く設定されている。
第2回転マス53は、比重が比較的大きな材料、例えば鋼材で構成され、肉厚の円筒状に形成されており、回転マス13と同じ外径及び内径を有する。第2回転マス53は、回転マス13と軸線方向に並んだ状態で配置されており、端面同士が対向している。また第2回転マス53は、両端部において軸受け57、57を介し、回転マス13及び内筒12にそれぞれ回転自在に支持されている。
図5に示すように、第3磁石列55は、回転マス13の端面に配置された複数(この例では8つ)の永久磁石(以下「第3永久磁石」という)55aで構成され(1つのみ図示)、これらの第3永久磁石55aは、周方向に等間隔に配置されている。各第3永久磁石55aは、例えば円板状のフェライト磁石で構成されており、その底部及び外周部に同心状に被せられたヨーク(継鉄)55bとともに、非磁性体のケース55cに収容されている。
図5及び図6に示すように、第4磁石列56は、第2回転マス53の端面に、周方向に等間隔に配置された複数(この例では8つ)の永久磁石(以下「第4永久磁石」という)56aで構成されており、その数は第3永久磁石55aと同じである。各第4永久磁石56aは、第3永久磁石55aと同様、例えば円板状のフェライト磁石で構成されており、その底部及び外周部に同心状に被せられたヨーク56bとともに、非磁性体のケース56cに収容されている。また、図5に示すように、第3及び第4永久磁石55a、56aは、互いに対極の磁極を有する。以上の構成により、第3永久磁石55aと第4永久磁石56aの間に、吸引力が作用する。
以上の構成のマスダンパ51によれば、地震などの発生により、構造物3と基礎4の間に相対変位が発生すると、マスダンパ1の場合と同様、内筒12に対するねじ軸11aの直線運動がナット11cの回転運動に変換され、ナット11cが回転するのに伴い、第1及び第2永久磁石15a、16aの吸引力により、回転マス13がナット11cと一体回転することによって、回転マス13の回転慣性効果が発揮される。
また、この回転マス13の回転に伴い、第3及び第4永久磁石55a、56aの吸引力により、第2回転マス53が回転マス13と一体回転する。これにより、第2回転マス53による回転慣性効果が発揮され、回転マス13の回転慣性効果に付加されることによって、構造物3の振動をさらに抑制することができる。
また、回転マス13の回転速度が増大し、回転マス13のトルクが第3及び第4永久磁石55a、56aの吸引力に打ち勝つと、回転マス13及び第2回転マス53が離脱回転状態になることで、第2回転マス53が大きく減速する。これにより、第2回転マス53による回転慣性力が抑制されることで、マスダンパ51の軸力が制限される。
したがって、マスダンパ51に要求される回転慣性力とマスダンパ51の強度の両方を加味し、第3及び第4永久磁石55a、56aの吸引力を適切に設定することによって、所要の回転慣性力及び振動抑制性能を確保できるとともに、マスダンパ51の軸力制限を適切に行うことができる。
また、その後、回転マス13の回転速度が減少し、回転マス13のトルクが第3及び第4永久磁石55a、56aの吸引力を下回った場合には、回転マス13及び第2回転マス53が離脱回転状態から一体回転状態に自動的に復帰することによって、第2回転マス53の回転慣性効果を再び有効に発揮させることができる。
さらに、マスダンパ51では、第2回転マス53が回転マス13と軸線方向に並んだ状態で配置されるので、径方向におけるマスダンパ51のコンパクト化を図ることができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、第2実施形態では、第2回転マス53が回転マス13と軸線方向に並んだ状態で配置され、それらの対向する端面に第3及び第4磁石列55、56が配置されている。これに代えて、第2回転マスを回転マスの外周側に同軸状に配置するとともに、第3磁石列を回転マスの外周面に、第4磁石列を第2回転マスの内周面にそれぞれ配置してもよい。この構成によっても、前述した第2実施形態による効果を同様に得ることができる。また、この場合には、第2回転マスが回転マスの外周側に配置されるので、軸線方向におけるマスダンパのコンパクト化を図ることができる。
また、第2実施形態では、回転マス13及び第2回転マス53の離脱回転により、第2回転マス53の回転慣性力が抑制されることによって、マスダンパ51の軸力が制限される。本発明は、これに限らず、第1及び第2永久磁石15a、16aの吸引力や第3及び第4永久磁石55a、56aの吸引力などを変更することで、ナット11c及び回転マス13の離脱回転が、回転マス13及び第2回転マス53の離脱回転よりも前に発生するようにしてもよい。その場合には、ナット11c及び回転マス13の離脱回転により、回転マス13及び第2回転マス53の両方の回転慣性力を同時に抑制することによって、マスダンパの軸力制限を行うことができる。
また、実施形態では、永久磁石として、フェライト磁石を用いているが、あくまで例示であり、他の材質の永久磁石、例えばネオジム磁石やアルニコ磁石を用いてもよい。さらに、各磁石列を構成する磁石として、永久磁石に代えて、電磁石を採用することが可能である。この場合にも、前述した実施形態による効果を同様に得ることができる。
また、実施形態に示した第1~第4永久磁石の数は、あくまで例示であり、適宜、増減でき、それらの形状についても、実施形態に示した円形に限らず、他の適当な形状を採用できる。さらに、ヨークを永久磁石と同心状に配置することは必須ではなく、また、ヨークやケースは省略してもよい。
また、実施形態は、マスダンパ1及び51を構造物の免震装置として用いた例であるが、制震装置として用いてもよい。その他、細部の構成を、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することが可能である。
1 マスダンパ
3 構造物
5a 支持部材(第1部位)
5b 支持部材(第2部位)
11 ボールねじ
11a ねじ軸
11b ボール
11c ナット
12 内筒
13 回転マス
15 第1磁石列
15a 第1永久磁石(第1磁石列の磁石)
16 第2磁石列
16a 第2永久磁石(第2磁石列の磁石)
51 マスダンパ
53 第2回転マス
55 第3磁石列
55a 第3永久磁石(第3磁石列の磁石)
56 第4磁石列
56a 第4永久磁石(第4磁石列の磁石)

Claims (3)

  1. 構造物を含む系内の相対変位する第1部位と第2部位の間に設けられ、振動エネルギを減衰するマスダンパであって、
    一端部が前記第1部位に連結されるねじ軸、及び当該ねじ軸にボールを介して螺合するナットを有するボールねじと、
    一端部が前記第2部位に連結され、前記ねじ軸と同軸状に延びるとともに、前記ナットを回転自在に支持する内筒と、
    前記ナットの外周を覆うように配置され、前記ナットに対して回転自在の筒状の回転マスと、
    前記ナットの外周面に周方向に並んだ状態で配置された複数の磁石で構成された第1磁石列と、
    前記回転マスの内周面に周方向に並んだ状態で配置され、前記第1磁石列の複数の磁石に対向するとともに対極の磁極を有する複数の磁石で構成された第2磁石列と、
    前記回転マスに対向するように配置され、前記回転マスに対して回転自在の筒状の第2回転マスと、
    前記第2回転マスに対向する前記回転マスの対向面に周方向に並んだ状態で配置された複数の磁石で構成された第3磁石列と、
    前記回転マスに対向する前記第2回転マスの対向面に周方向に並んだ状態で配置され、前記第3磁石列の複数の磁石に対向するとともに対極の磁極を有する複数の磁石で構成された第4磁石列と、
    を備えることを特徴とするマスダンパ。
  2. 前記第2回転マスは、前記回転マスに対して軸線方向に並び、端面同士が対向するように配置されており、
    前記第3磁石列は前記回転マスの前記端面に配置され、前記第4磁石列は前記第2回転マスの前記端面に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のマスダンパ。
  3. 前記第2回転マスは、前記回転マスの外周側に配置されており、
    前記第3磁石列は前記回転マスの外周面に配置され、前記第4磁石列は前記第2回転マスの内周面に配置されていることを特徴とする、請求項に記載のマスダンパ。
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