JP7028258B2 - タンパク質同定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、血液由来の対象試料に含まれるタンパク質を同定するためのタンパク質同定方法に関するものである。
タンパク質の網羅的解析を行うプロテオーム解析の分野では、液体クロマトグラフにより試料中の各成分を分離し、分離された各成分に対してMS/MS測定を順次行うことにより、得られたMS/MSスペクトルに基づいて各成分を同定する場合がある(例えば下記特許文献1参照)。この場合、トリプシンなどの消化酵素によりタンパク質試料を消化し、得られたペプチド断片の混合物(ペプチド混合物)に対する測定が行われる。
上記のような解析方法は、質量分析を用いたショットガン解析と呼ばれる方法として知られている。具体的には、液体クロマトグラフにより分離された各成分がイオン化され、そのイオン化された各成分の質量分析が行われることにより、MSスペクトルが測定される(MS測定)。そして、得られたMSスペクトルのデータから強度の強いピークが選択され、そのピークに対応するイオン(プリカーサイオン)を開裂させて質量分析を行うことにより、MS/MSスペクトルが測定される(MS/MS測定)。このようにして得られたMS/MSスペクトルを用いてデータベース検索を行うことにより、ペプチド配列の同定及びタンパク質の同定を行うことができる。
特開2015-148461号公報
上記のようなショットガン解析では、液体クロマトグラフにより分離されて送られてくる各成分に対して質量分析が順次行われるため、比較的短い時間間隔(例えば数秒程度)の間にMS/MS測定を繰り返す必要がある。そのため、プリカーサイオンとして選択できるイオンの数には限界があり、試料に含まれる全てのタンパク質由来のピークを選択してMS/MS測定を行うことは困難である。
特に、試料に含まれる複数種類のタンパク質の量比に偏りがある場合には、多量に含まれるタンパク質由来のピークが優先的に選択され、それらのピークに対応するイオンをプリカーサイオンとしてMS/MS測定が行われることとなる。この場合、少量のタンパク質由来のピークは選択されにくく、それらのピークに対応するイオンについてのMS/MSスペクトルが得られない場合がある。
例えば血液由来の試料は、一部の種類のタンパク質(例えばアルブミン)を多く含むという特性がある。このような血液由来の試料に対してショットガン解析を行う場合には、試料中に多く含まれているタンパク質由来のピークが優先的に選択されてMS/MS測定が行われるため、他の少量のタンパク質由来ピークについてのMS/MSスペクトルを取り逃がしてしまうことが問題となっている。
そこで、血液試料に多量に含まれるタンパク質を取り除くためのキット・カラム(例えばAgilent Technologies社の「Multiple Affinity Removal Column Human 14」)なども市販されている。しかし、このようなキット・カラムを用いたとしても、タンパク質の除去効率が悪かったり、主なタンパク質を取り除いた後に残ったタンパク質の濃度に偏りがあったりするため、問題の完全な解決には至っていないのが現状である。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、血液由来の対象試料に含まれるタンパク質の同定数を増やすことができるタンパク質同定方法を提供することを目的とする。
本発明に係るタンパク質同定方法は、第1前処理ステップと、第2前処理ステップと、混合ステップと、分離ステップと、MS測定ステップと、MS/MS測定ステップと、同定ステップとを含む。前記第1前処理ステップでは、複数種類のタンパク質を含む血液由来の対象試料に対して、タンパク質の断片化及びラベル化を行う。前記第2前処理ステップでは、前記対象試料よりもタンパク質の量比の偏りが少ない複数種類のタンパク質を含む添加試料に対して、タンパク質の断片化及びラベル化を行う。前記混合ステップでは、前記第1前処理ステップが行われた後の対象試料に、前記第2前処理ステップが行われた後の添加試料を混合することにより、混合試料を生成する。前記分離ステップでは、前記混合試料に含まれる成分を液体クロマトグラフにより分離する。前記MS測定ステップでは、分離された前記混合試料の各成分をイオン化し、そのイオン化された各成分の質量分析を行うことにより、MSスペクトルを測定する。前記MS/MS測定ステップでは、前記MSスペクトルに基づいて選択されるプリカーサイオンを開裂させて質量分析を行うことにより、MS/MSスペクトルを測定する。前記同定ステップでは、前記MS/MSスペクトルに基づいて対象試料に含まれるタンパク質を同定する。
このような構成によれば、血液由来の対象試料に含まれるタンパク質が断片化されるとともに、対象試料よりもタンパク質の量比の偏りが少ない添加試料に含まれるタンパク質が断片化され、それらが混合される。これにより、対象試料よりもタンパク質の量比の偏りが低減された混合試料を生成することができる。したがって、生成された混合試料を用いてMS/MS測定を行うことにより、対象試料に含まれる少量のタンパク質について、そのタンパク質由来ピークのMS/MSスペクトルを取り逃がしてしまうことを防止できるため、血液由来の対象試料に含まれるタンパク質の同定数を増やすことができる。
また、血液由来の対象試料、及び、対象試料に混合される添加試料は、いずれもラベル化が行われた後に混合される。これにより、対象試料由来のタンパク質と添加試料由来のタンパク質とを明確に区別することができるため、血液由来の対象試料に含まれるタンパク質のみを確実に同定することができる。
前記添加試料は、刺激を加えることによりタンパク質の量比を変化させた試料であってもよい。
このような構成によれば、刺激を加えることによりタンパク質の量比を変化させた添加試料を血液由来の対象試料に混合し、生成された混合試料を用いてMS/MS測定を行うことにより、刺激によって増加したタンパク質を同定することができる。
前記添加試料は、細胞由来又は組織由来の試料であってもよい。
このような構成によれば、血液由来の対象試料と比較してタンパク質の量比の偏りが少ない細胞由来又は組織由来の試料を添加試料として用いることにより、血液由来の対象試料に含まれるタンパク質の同定数を良好に増やすことができる。
本発明によれば、対象試料よりもタンパク質の量比の偏りが低減された混合試料を生成することができるため、生成された混合試料を用いてMS/MS測定を行うことにより、血液由来の対象試料に含まれるタンパク質の同定数を増やすことができる。
本発明の一実施形態に係るタンパク質同定方法を行う際に用いられる分析装置の構成例を示したブロック図である。 対象試料に含まれる複数種類のタンパク質と存在量との関係を概念的に示した図である。 添加試料に含まれる複数種類のタンパク質と存在量との関係を概念的に示した図である。 混合試料に含まれる複数種類のタンパク質と存在量との関係を概念的に示した図である。 本発明の一実施形態に係るタンパク質同定方法の一例を示したフローチャートである。 対象試料である血漿のみを用いてタンパク質の同定を行ったときの手順の流れを示した図である。 対象試料である血漿に添加試料としてのHela細胞を混合してタンパク質の同定を行ったときの手順の流れを示した図である。
図1は、本発明の一実施形態に係るタンパク質同定方法を行う際に用いられる分析装置の構成例を示したブロック図である。この分析装置には、液体クロマトグラフ1と質量分析装置2とが備えられている。
液体クロマトグラフ1は、カラム(図示せず)を備えており、当該カラムにより試料に含まれる成分が時間的に分離される。液体クロマトグラフ1において時間的に分離された試料中の成分は、それぞれ異なる保持時間(リテンションタイム)で質量分析装置2に順次送られる。
質量分析装置2は、イオン化室21、第1質量分離部22、衝突室23、第2質量分離部24及び検出器25などを備えている。液体クロマトグラフ1において分離された試料中の成分は、イオン化室21に順次送られ、当該イオン化室21内でイオン化される。試料中の成分のイオン化は、例えばエレクトロスプレーイオン化法(ESI法:Electro Spray Ionization)や大気圧化学イオン化法(APCI法:Atmospheric Pressure Chemical Ionization)などの公知のイオン化法を用いて行うことができる。
第1質量分離部22は、例えば四重極マスフィルタを備えており、所定の質量電荷比を有するイオンのみを選択して通過させる。第1質量分離部22を通過したイオンは、衝突室23を介して第2質量分離部24へと送られる。衝突室23では、第1質量分離部22からのイオンをガス(アルゴン又は窒素など)と衝突させて開裂させることにより、フラグメント化されたプロダクトイオンを生成することができる。
第2質量分離部24は、例えば第1質量分離部22と同様に四重極マスフィルタを備えており、所定の質量電荷比を有するイオンのみを通過させることができる。第2質量分離部22を通過したイオンは検出器25により検出され、検出器25は、検出したイオンの量に応じた検出信号を出力する。この検出器25からの検出信号に基づいて、スペクトルデータを得ることができる。
ただし、第1質量分離部22及び第2質量分離部24は、それぞれ四重極マスフィルタを備えた構成に限られるものではない。例えば、第1質量分離部22としてイオントラップを用いた構成を採用したり、第2質量分離部24として飛行時間型質量分析器(TOF-MS)を用いた構成を採用したりすることも可能である。
この分析装置では、イオン化室21内でイオン化された試料中の成分を、衝突室23内で開裂させずに検出器25で検出して質量分析を行うことにより、MSスペクトルを測定することができる(MS測定)。また、MSスペクトルのデータから強度の強いピークを選択し、そのピークに対応するイオン(プリカーサイオン)を衝突室23内で開裂させることによりプロダクトイオンを生成し、そのプロダクトイオンを検出器25で検出して質量分析を行うことにより、MS/MSスペクトルを測定することができる(MS/MS測定)。
本実施形態では、複数種類のタンパク質を含む血液由来の試料を測定の対象(対象試料)として、この対象試料に添加試料を混合した混合試料を準備し、その混合試料を上述の分析装置で測定することにより、対象試料に含まれるタンパク質を同定する。添加試料は、対象試料よりもタンパク質の量比の偏りが少ない複数種類のタンパク質を含む試料であれば特に限定されないが、例えば細胞由来又は組織由来の試料が好適に用いられる。なお、血液由来の試料としては、例えば血漿、血清、全血又は血球などを例示することができる。また、細胞由来の試料は、例えば癌細胞などの各種細胞に由来する試料であり、組織由来の試料は、各種細胞からできた組織に由来する試料である。
図2Aは、対象試料に含まれる複数種類のタンパク質と存在量との関係を概念的に示した図である。図2Bは、添加試料に含まれる複数種類のタンパク質と存在量との関係を概念的に示した図である。図2Cは、混合試料に含まれる複数種類のタンパク質と存在量との関係を概念的に示した図である。
図2Aに示すように、血液由来の対象試料においては、対象試料に含まれる複数種類のタンパク質の量比に大きな偏りがある。すなわち、存在量が多いタンパク質の種類100と、その他のタンパク質の種類200との間で、存在量の差が比較的大きい。そのため、存在量が多いタンパク質の種類100に対応するピークが強い強度で検出されやすく、その結果、その他のタンパク質の種類200に対応するピークがプリカーサイオンとして選択されにくくなり、それらのピークに対応するイオンについてのMS/MSスペクトルが得られない場合がある。この場合、存在量が少ないタンパク質の種類200については、対象試料に含まれているにもかかわらず、MS/MSスペクトルに基づいて同定できない場合がある。
一方、図2Bに示すように、細胞由来又は組織由来などの添加試料においては、添加試料に含まれる複数種類のタンパク質の量比の偏りが、図2Aに示した対象試料よりも小さい。すなわち、存在量が多いタンパク質の種類と、存在量が少ないタンパク質の種類との間で、存在量の差が対象試料ほど大きくない。添加試料に含まれるタンパク質の種類と、対象試料に含まれるタンパク質の種類とは、少なくとも一部が重複しており、図2A及び図2Bの例では、対象試料において存在量が多いタンパク質の種類100と、その他のタンパク質の種類200のいずれも添加試料に含まれているが、それらの量比の偏りは対象試料よりも小さい。
上記のような対象試料と添加試料とを混合した場合、図2Cに示すように、得られた混合試料に含まれる複数種類のタンパク質の量比の偏りは、図2Aに示した対象試料のみの場合よりも小さくなる。すなわち、対象試料のみの場合に存在量が多かったタンパク質の種類100だけでなく、その他のタンパク質の種類200の中の少なくとも一部の存在量も多くなり、その結果、タンパク質の量比の偏りが対象試料のみの場合よりも小さくなっている。
図3は、本発明の一実施形態に係るタンパク質同定方法の一例を示したフローチャートである。対象試料に含まれるタンパク質を同定する際には、まず、対象試料に対する第1前処理が行われるとともに(ステップS101:第1前処理ステップ)、添加試料に対する第2前処理が行われた上で(ステップS102:第2前処理ステップ)、それらの対象試料及び添加試料が混合されることにより混合試料が生成される(ステップS103:混合ステップ)。
第1前処理ステップ(ステップS101)では、対象試料に対して、タンパク質の断片化及びラベル化が行われる。具体的には、トリプシンなどの消化酵素により対象試料に含まれるタンパク質が消化され、ペプチド断片に断片化される。また、Thermo Fisher Scientific社のTMT試薬などの安定同位体試薬を用いて、対象試料に含まれるタンパク質がラベル修飾されることにより、ラベル化が行われる。これらの断片化及びラベル化の方法については周知であるため、詳細な説明を省略する。なお、対象試料に対するタンパク質の断片化及びラベル化は、いずれが先に行われてもよい。
第2前処理ステップ(ステップS102)では、添加試料に対して、タンパク質の断片化及びラベル化が行われる。添加試料に対するタンパク質の断片化及びラベル化の方法は、対象試料に対する第1前処理ステップと同様であり、断片化及びラベル化のいずれが先に行われてもよい。また、第1前処理ステップ及び第2前処理ステップは、いずれが先に行われてもよく、並行して行われてもよい。タンパク質のラベル化は、MS/MS測定時にプリカーサイオンを開裂させたときに対象試料と添加試料とで質量差が生じるような異なる試薬を用いて行えばよい。
第1前処理ステップが行われた後の対象試料は、第2前処理ステップが行われた後の添加試料が混合されることにより混合試料とされ(ステップS103)、その混合試料が液体クロマトグラフ1に導入される。これにより、混合試料に含まれる成分が液体クロマトグラフ1により分離される(ステップS104:分離ステップ)。
液体クロマトグラフ1により分離された混合試料の各成分は、質量分析装置2に導入される。質量分析装置2では、まず、分離された混合試料の各成分がイオン化室21においてイオン化され、そのイオン化された各成分の質量分析が行われることにより、MSスペクトルが測定される(ステップS105:MS測定ステップ)。
その後、MSスペクトルのデータから強度が閾値以上のピークが選択されることにより、そのピークに対応するイオンがプリカーサイオンとして選択される。そして、選択されたプリカーサイオンが衝突室23内で開裂されることによりプロダクトイオンが生成され、そのプロダクトイオンに対する質量分析が行われることにより、MS/MSスペクトルが測定される(ステップS106、S107:MS/MS測定ステップ)。
上記のようなMS/MS測定ステップ(ステップS106、S107)は、選択された全てのプリカーサイオンに対して行われる。そして、全てのプリカーサイオンに対してMS/MS測定ステップが行われた後(ステップS108でYes)、得られたMS/MSスペクトルに基づいて、対象試料に含まれるタンパク質が同定される(ステップS109:同定ステップ)。この同定ステップは、例えばデータベース検索などの公知の方法を用いて行うことができる。
このように、本実施形態では、対象試料と添加試料を混合することにより混合試料を生成した上で(ステップS101~S103)、その混合試料に対するLC-MS/MS分析(ステップS104~S109)が行われる。すなわち、血液由来の対象試料に含まれるタンパク質が断片化されるとともに、対象試料よりもタンパク質の量比の偏りが少ない添加試料に含まれるタンパク質が断片化され、それらが混合される。これにより、図2Cに示すように、対象試料よりもタンパク質の量比の偏りが低減された混合試料を生成することができる。したがって、生成された混合試料を用いてMS/MS測定を行うことにより、対象試料に含まれる少量のタンパク質について、そのタンパク質由来ピークのMS/MSスペクトルを取り逃がしてしまうことを防止できるため、血液由来の対象試料に含まれるタンパク質の同定数を増やすことができる。
また、血液由来の対象試料、及び、対象試料に混合される添加試料は、いずれも第1前処理ステップ(ステップS101)又は第2前処理ステップ(ステップS102)でラベル化が行われた後に混合される(ステップS103)。これにより、対象試料由来のタンパク質と添加試料由来のタンパク質とを明確に区別することができるため、血液由来の対象試料に含まれるタンパク質のみを確実に同定することができる。
特に、血液由来の対象試料と比較してタンパク質の量比の偏りが少ない細胞由来又は組織由来の試料を添加試料として用いれば、図2Cに示すように、タンパク質の量比の偏りを良好に低減させることができるため、血液由来の対象試料に含まれるタンパク質の同定数を良好に増やすことができる。
上記のように対象試料及び添加試料を単に混合するのではなく、添加試料に刺激を加えた上で対象試料に混合することも可能である。添加試料に刺激を加える方法としては、例えば添加試料に薬剤を加える方法の他、添加試料を加熱又は冷却したり、攪拌したりするなどの各種方法を例示することができる。このように、添加試料に刺激を加えることにより、添加試料がタンパク質の量比を変化させた試料とされた上で、対象試料に混合される。このようにして生成された混合試料を用いてMS/MS測定を行えば、刺激によって増加したタンパク質を同定することができる。
以下では、血液由来の対象試料に添加試料を混合してLC-MS/MS分析を行うことにより、対象試料に含まれるタンパク質の同定数を増やすことができることの効果試験の結果について説明する。血液由来の対象試料としては血漿を用い、添加試料としては細胞由来の試料であるHela細胞を用いた。また、タンパク質のラベル化には、Thermo Fisher Scientific社のTMT試薬(TMT126及びTMT131)を用い、測定には同社のOrbitrap-Fusionを用いた。なお、血漿は、アルブミンなどの一部のタンパク質を多量に含み、そのタンパク質の量比に偏りがある典型的な試料である。
図4Aは、対象試料である血漿のみを用いてタンパク質の同定を行ったときの手順の流れを示した図である。この場合、血漿由来のタンパク質を断片化してTMT126でラベル化した対象試料と、血漿由来のタンパク質を断片化してTMT131でラベル化した対象試料とを混合し、その混合試料に対してLC-MS/MS分析を行った。その結果、対象試料に含まれるタンパク質の同定数は、「284」であった。
図4Bは、対象試料である血漿に添加試料としてのHela細胞を混合してタンパク質の同定を行ったときの手順の流れを示した図である。この場合、Hela細胞由来のタンパク質を断片化してTMT126で断片化した添加試料と、血漿由来のタンパク質を断片化してTMT131でラベル化した対象試料とを混合し、その混合試料に対してLC-MS/MS分析を行った。その結果、対象試料に含まれるタンパク質の同定数は、「1283」となり、タンパク質の同定数が飛躍的に増加した。
1 液体クロマトグラフ
2 質量分析装置
21 イオン化室
22 質量分離部
23 衝突室
24 質量分離部
25 検出器

Claims (5)

  1. 複数種類のタンパク質を含む血液由来の対象試料に対して、タンパク質の断片化及びラベル化を行う第1前処理ステップと、
    前記対象試料よりもタンパク質の量比の偏りが少ない複数種類のタンパク質を含む添加試料に対して、タンパク質の断片化及びラベル化を行う第2前処理ステップと、
    前記第1前処理ステップが行われた後の対象試料に、前記第2前処理ステップが行われた後の添加試料を混合することにより、当該対象試料よりもタンパク質の量比の偏りが低減された混合試料を生成する混合ステップと、
    前記混合試料に含まれる成分を液体クロマトグラフにより分離する分離ステップと、
    分離された前記混合試料の各成分をイオン化し、そのイオン化された各成分の質量分析を行うことにより、MSスペクトルを測定するMS測定ステップと、
    前記MSスペクトルに基づいて選択されるプリカーサイオンを開裂させて質量分析を行うことにより、MS/MSスペクトルを測定するMS/MS測定ステップと、
    前記MS/MSスペクトルに基づいて対象試料に含まれるタンパク質を同定する同定ステップとを含むことを特徴とするタンパク質同定方法。
  2. 前記添加試料は、刺激を加えることによりタンパク質の量比を変化させた試料であることを特徴とする請求項1に記載のタンパク質同定方法。
  3. 前記添加試料は、細胞由来又は組織由来の試料であることを特徴とする請求項1又は2に記載のタンパク質同定方法。
  4. 前記対象試料が、血漿を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のタンパク質同定方法。
  5. 前記添加試料が、癌細胞に由来する試料を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のタンパク質同定方法。
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