JP7027764B2 - 減速機付モータ - Google Patents

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Description

本発明は、減速機付モータに関する。
下記特許文献1には、モータの回転を出力ギヤであるピニオンに減速して伝達させる減速機を備えた減速機付モータが開示されている。この文献に記載された減速機付モータでは、偏心軸を有するギヤリングによって他のギヤリングを公転させて、この公転されたギヤリングによってインナギヤリングを回転させることで、モータの回転を高い減速比で減速してピニオンに伝達させることが可能となっている。また、下記特許文献1に記載された減速機付モータでは、減速機を構成する各部品の軸方向へのガタつきを抑制するために、ハウジング(ベースエレメント)と偏心軸を有するギヤリングとの間にスプリングを介在させている。
米国特許出願公開第2013/0333496号明細書
ところで、減速機を構成する各部品の軸方向へのガタつきを抑制するためのスプリング(弾性部材)を有する減速機付モータでは、当該スプリングの繰り返し変形に伴うヘタり等の不具合を抑制できることが望ましい。また、減速機を構成する各部品の軸方向へのガタつきを抑制するための非金属性の弾性部材を有する減速機付モータにおいても同様に、当該弾性部材の繰り返し変形に伴う破損等の不具合を抑制できることが望ましい。
本発明は上記事実を考慮し、ガタつき抑制用の弾性部材の繰り返し変形に伴う不具合を抑制することができる減速機付モータを得ることが目的である。
請求項1記載の減速機付モータは、回転軸を有するモータと、前記回転軸と一体に回転する第1ギヤと、前記モータが固定されたハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持され、前記第1ギヤと噛み合う第2ギヤと、前記第2ギヤと一体回転可能に設けられ、該第2ギヤの回転中心に対して該第2ギヤの回転径方向にオフセットされた支軸部を有する偏心軸と、前記支軸部に支持され、前記第2ギヤが前記偏心軸と共に回転することで該第2ギヤの回転軸の回りを公転する第3ギヤと、前記第3ギヤと噛み合う第4ギヤを有し、前記第3ギヤが公転することで回転する出力部と、前記偏心軸と前記ハウジングとの間又は前記第2ギヤと前記ハウジングとの間に設けられ、前記偏心軸又は前記第2ギヤを前記出力部側へ向けて付勢する弾性部材と、前記ハウジングに設けられ、前記偏心軸又は前記第2ギヤが当接することで、前記偏心軸と前記ハウジングとの間又は前記第2ギヤと前記ハウジングとの間において前記弾性部材が配置された部分のクリアランスが確保される位置規制部と、を備え、前記偏心軸又は前記第2ギヤが前記位置規制部に当接した状態では、前記弾性部材の変形量が前記クリアランスに対応する変形量を超えて変形することが防止されていると共に、前記偏心軸又は前記第2ギヤから前記弾性部材に入力される荷重が、前記偏心軸又は前記第2ギヤが前記位置規制部に当接した状態よりも高まらないようになっており、前記位置規制部は、前記第2ギヤ側へ向けて突出すると共に前記偏心軸及び前記第2ギヤの回転周方向へ間隔をあけて配置された複数の位置規制凸部とされており、前記第2ギヤの外周部には、前記第1ギヤと噛み合う複数の外歯が形成され、前記第2ギヤの軸方向の端面において前記ハウジングの複数の前記位置規制凸部と軸方向に対向する面は、径方向及び周方向に延在する平面状の規制面とされ、複数の前記位置規制凸部が、前記規制面における複数の前記外歯側の部分に当接し、前記位置規制凸部は、軸方向一方側から見て周方向の両端が湾曲され、かつ周方向を長手方向とする楕円形状に形成されている
請求項1記載の減速機付モータによれば、モータの回転軸の回転が、第1ギヤ、第2ギヤ、第3ギヤ、及び第4ギヤで減速されて出力部に伝達される。すなわち、モータの回転軸が回転すると第1ギヤが回転する。また、第1ギヤが回転すると、当該第1ギヤと噛み合う第2ギヤが偏心軸と共に回転すると共に、偏心軸の支軸部に支持された第3ギヤが公転する。さらに、第3ギヤが公転すると、当該第3ギヤと噛み合う第4ギヤを有する出力部が回転する。また、請求項1記載の減速機付モータでは、偏心軸又は第2ギヤが弾性部材によって出力部側へ向けて付勢されていることで、偏心軸等のガタ付きが抑制されている。ここで、請求項1記載の減速機付モータでは、偏心軸又は第2ギヤがハウジングに設けられた位置規制部に当接することで、偏心軸とハウジングとの間又は第2ギヤとハウジングとの間において弾性部材が配置された部分のクリアランスが確保される。これにより、弾性部材の変形量が上記クリアランスに対応する変形量を超えて変形することが防止される。その結果、弾性部材の繰り返し変形に伴う不具合を抑制することができる。
また、請求項記載の減速機付モータによれば、偏心軸又は第2ギヤがハウジングに設けられた複数の位置規制凸部に当接することで、偏心軸とハウジングとの間又は第2ギヤとハウジングとの間において弾性部材が配置された部分のクリアランスが確保される。ここで、請求項2記載の減速機付モータでは、複数の位置規制凸部が偏心軸及び第2ギヤの回転周方向へ間隔をあけて配置されている。当該構成では、各々の位置規制凸部の突出高さを調節することで、各々の位置規制凸部と偏心軸又は第2ギヤとの接触状態を調節することができる。
請求項記載の減速機付モータは、請求項記載の減速機付モータにおいて、前記偏心軸及び前記弾性部材は、金属材料を用いて形成され、前記弾性部材が、前記偏心軸を前記出力部側へ向けて付勢し、前記ハウジング及び前記第2ギヤは、樹脂材料を用いて形成され、位置規制部が、前記第2ギヤに当接することで、前記偏心軸と前記ハウジングとの間において前記弾性部材が配置された部分のクリアランスが確保される。
請求項記載の減速機付モータによれば、弾性部材及び偏心軸の両方を金属性とすることにより、金属製の弾性部材と金属性の偏心軸との接触箇所の摩耗タフネスを向上させることができる。また、ハウジング及び第2ギヤの両方を自己潤滑性を期待できる樹脂製とすることで、ハウジングに設けられた位置規制部と第2ギヤとの摺動抵抗を低減することができる。
第1実施形態の減速機付モータを分解して示す分解斜視図である。 第1実施形態の減速機付モータを分解して示す分解斜視図であり、図1とは反対側から見た図を示している。 第1実施形態の減速機付モータを示す平面図である。 モータが取付けられたハウジングを示す斜視図である。 モータが取付けられたハウジングを示す平面図である。 図3に示された6-6線に沿って切断した減速機付モータの断面を示す断面図である。 図3に示された6-6線に沿って切断した減速機付モータの断面を示す断面図であり、ヘリカルギヤが位置規制凸部に当接した状態を示している。
図1~図6を用いて本発明の実施形態に係る減速機付モータ10について説明する。なお、図中に適宜示す矢印Z方向、矢印R方向及び矢印C方向は、出力ギヤであるピニオンギヤ28の回転軸方向一方側、回転径方向外側及び回転周方向一方側をそれぞれ示すものとする。また以下、単に軸方向、径方向、周方向を示す場合は、特に断りのない限り、ピニオンギヤ28の回転軸方向、回転径方向、回転周方向を示すものとする。
図1、図2及び図3に示されるように、本実施形態の減速機付モータ10は、車両用シートのシートクッションをシート上下方向に移動させるためのパワーシート用モータである。この減速機付モータ10は、直流モータであるモータ12と、当該モータ12が取付けられていると共にその内部にモータ12の回転軸12A(図6参照)の回転を出力部としての出力ギヤ体30に減速して伝達させるための減速機14が設けられたハウジング16と、を備えている。また、減速機14は、モータ12の回転軸12Aに固定された第1ギヤとしてのウォームギヤ18と、ウォームギヤ18と噛み合う第2ギヤとしてのヘリカルギヤ20と、ヘリカルギヤ20と一体に設けられた偏心軸22と、を備えている。さらに、減速機14は、偏心軸22に支持された第3ギヤとしてのプラネタリギヤ24と、プラネタリギヤ24と噛み合う第4ギヤとしてのインターナルギヤ26及び出力ギヤとしてのピニオンギヤ28を有する出力ギヤ体30と、を備えている。また、減速機14は、プラネタリギヤ24の回転を制限するスライダプレート32と、スライダプレート32を保持する保持プレート34と、を備えている。また、減速機付モータ10は、偏心軸22及びヘリカルギヤ20等の軸方向へのガタ付きを抑制するための弾性部材としてのスプリング36を備えている。
図4及び図5に示されるように、ハウジング16は、樹脂材料を用いて形成されている。このハウジング16は、モータ12の回転軸12Aが軸方向(矢印Z方向)と直交する方向に向けられた状態で固定されるモータ固定部16Aと、モータ12へ給電するための外部コネクタが接続されるコネクタ部16Bと、を備えている。また、ハウジング16は、減速機14が収容される減速機収容凹部16Cを備えている。この減速機収容凹部16Cは、軸方向一方側(矢印Z方向側)が開放された凹状に形成されている。この減速機収容凹部16Cは、当該減速機収容凹部16Cの底を形成する底壁部16Dと、底壁部16Dの外周部から軸方向一方側へ延びると共に内周面が略円筒面状に形成された側壁部16Eと、を含んで構成されている。減速機収容凹部16Cの底壁部16Dの中央部には、後述する回転軸部としての回転中心軸31(図1参照)の軸方向他方側の端部が挿入される回転中心軸挿入孔16Fが形成されている。また、回転中心軸挿入孔16Fの開放端側の周縁部には、回転中心軸31が挿入される円柱状のボス部16Gが立設されている。
また、底壁部16Dにおけるボス部16Gのまわりには、軸方向一方側へ向けて突出する複数の(本実施形態では8つの)位置規制部としての位置規制凸部16Jが形成されている。この位置規制凸部16Jは、軸方向一方側(矢印Z方向側)から見て周方向を長手方向とする楕円形状に形成されている。また、各々の位置規制凸部16Jは周方向に沿って環状に配置されていると共に周方向に等間隔に配置されている。さらに、位置規制凸部16Jの底壁部16Dからの突出高さHは、後述するスプリング36(図1参照)の自由長(荷重が作用していない状態での軸方向への寸法)よりも低い寸法に設定されている。また、本実施形態では、位置規制凸部16Jの径方向外側の面から側壁部16Eの内周面までの間隔C1(径方向への間隔)が、位置規制凸部16Jの径方向内側の面からボス部16Gの外周面までの間隔C2(径方向への間隔)よりも狭い間隔に設定されている。そして、底壁部16Dにおけるボス部16Gと複数の位置規制凸部16Jとの間の部分は、後述するスプリング36が配置されるスプリング配置部16Kとされている。
また、減速機収容凹部16Cの側壁部16Eの内周部には、後述する保持プレート34の一部が嵌合されることで、当該保持プレート34の周方向への回転変位を規制する3つの保持プレート係合凹部16Hが形成されている。3つの保持プレート係合凹部16Hのうち2つの保持プレート係合凹部16Hの軸方向他方側(矢印Z方向とは反対側)には、後述するタッピングスクリュ46が螺入されるタッピングスクリュ螺入孔16Lが形成されている。また、ハウジング16における減速機収容凹部16Cの開放端側の外周部には、3つのカラム38がインサート成形により固定されている。この3つのカラム38にボルトが螺入されることで、減速機付モータ10をシートクッションフレーム等の被取付部に取付けることが可能となっている。さらに、ハウジング16における減速機収容凹部16Cの開放端側の外周部には、カバープレート40に設けられた3つの係止爪部40Aがそれぞれ係止される3つの被係止部16Iが設けられている。そして、図3に示されるように、カバープレート40に設けられた3つの係止爪部40Aが3つの被係止部16Iにそれぞれ係止されることで、減速機収容凹部16Cの開放端側がカバープレート40によって閉止されるようになっている。なお、図2に示されるように、カバープレート40には、ピニオンギヤ28を減速機収容凹部16Cの外側へ露出させるための露出開口40Bが形成されており、この露出開口40Bの周縁部には、軸方向他方側へ向けて屈曲された環状のリブ40Cが形成されている。
図4~図6に示されるように、ウォームギヤ18は、金属材料を用いて形成されており、このウォームギヤ18の外周部には螺旋状の歯部が形成されている。このウォームギヤ18が回転軸12Aに固定された状態のモータ12が、ハウジング16に固定されることで、ウォームギヤ18がハウジング16の減速機収容凹部16Cの底壁部16D側かつ側壁部16Eの内周面側に配置されている。
図2及び図6に示されるように、ヘリカルギヤ20は、樹脂材料を用いて形成されている。このヘリカルギヤ20の外周部には、ウォームギヤ18の歯部と噛み合う複数の外歯が形成されている。また、ヘリカルギヤ20の軸方向他方側の端面においてハウジング16の複数の位置規制凸部16Jと軸方向に対向する面は、径方向及び周方向に延在する平面状の規制面20Aとされている。なお、ウォームギヤ18の歯部の捩れ角度及びヘリカルギヤ20の外歯の捩れ角度は、一例として7°程度に設定されている。当該設定では、ウォームギヤ18とヘリカルギヤ20間の伝達効率を良好にすることができ、モータ12の小型化を図ることができる。しかしながら、後述するピニオンギヤ28側からの回転力がヘリカルギヤ20及びウォームギヤ18に伝達された際に、両者をロック状態にすること(セルフロックさせること)が難しい。そのため、本実施形態では、図示しないクラッチ機構を設け、後述するピニオンギヤ28側からの回転力がヘリカルギヤ20及びウォームギヤ18に伝達された際にクラッチ機構が作動されることで、上記セルフロックと同様の状態を実現することが可能となっている。また、ヘリカルギヤ20の軸心部には、後述する偏心軸22がインサート成形により固定されている。そして、ヘリカルギヤ20は、偏心軸22及び回転中心軸31を介してハウジング16に回転可能に支持されている。
図6に示されるように、偏心軸22は、金属材料を用いて形成されていると共にその一部がヘリカルギヤ20にインサートされることで当該ヘリカルギヤ20と一体回転可能となっている。具体的には、偏心軸22は、軸方向を厚み方向として径方向に延在する円板状に形成された円板部22Aを備えている。この円板部22Aの軸中心とヘリカルギヤ20の回転中心とが一致した状態で、円板部22Aがヘリカルギヤ20の内周部に固定されている。また、偏心軸22は、円板部22Aの中心部から軸方向一方側へ向けて突出すると共に径方向外側の面が円筒面状に形成された支軸部22Bを備えている。この支軸部22Bの軸中心は、円板部22Aの軸中心に対して径方向外側にオフセットされている。また、偏心軸22には、円板部22A及び支軸部22Bを軸方向に貫通すると共に回転中心軸31が挿通される回転中心軸挿通孔22Cが形成されている。この回転中心軸挿通孔22Cの軸中心(回転中心軸挿通孔22Cに挿通された回転中心軸31の軸中心)は、円板部22Aの軸中心と一致している。
図1及び図2に示されるように、プラネタリギヤ24は、金属材料を用いて形成されており、このプラネタリギヤ24はその外周部に複数の外歯が形成されたプラネタリギヤ本体部24Aを備えている。また、プラネタリギヤ本体部24Aの軸心部には、偏心軸22の支軸部22Bが挿通される支軸部挿通孔24Bが形成されている。そして、偏心軸22の支軸部22Bが支軸部挿通孔24Bに挿通された状態で、プラネタリギヤ24が偏心軸22の支軸部22Bに支持されている。なお、支軸部挿通孔24Bの内周面には、樹脂材料等を用いて形成された軸受コーティング部42が接合されている。これにより、プラネタリギヤ24と偏心軸22の支軸部22Bとの金属同士の接触が防止又は抑制されている。また、図1に示されるように、プラネタリギヤ24は、プラネタリギヤ本体部24Aの軸方向他方側の面から軸方向他方側へ向けて突出する2つの制限突起部24Cを備えている。この2つの制限突起部24Cは周方向に沿って等間隔に(180度のピッチで)配置されている。そして、2つの制限突起部24Cが後述するスライダプレート32に係合されることで、プラネタリギヤ24の偏心軸22の支軸部22Bまわりへの回転(自転)が制限されるようになっている。
図1及び図2に示されるように、出力ギヤ体30は、金属材料を用いて形成されている。この出力ギヤ体30は、プラネタリギヤ24と噛み合う複数の内歯が内周部に形成されたインターナルギヤ26と、インターナルギヤ26に対して軸方向一方側において当該インターナルギヤ26と同軸上に配置されていると共に複数の外歯が外周部に形成されたピニオンギヤ28と、を備えている。また、出力ギヤ体30におけるインターナルギヤ26とピニオンギヤ28との間には、インターナルギヤ26とピニオンギヤ28とをつなぐと共にカバープレート40に形成されたリブ40Cに軸支される被軸支部30Aが設けられている。なお、リブ40Cの内周面には、樹脂材料等を用いて形成された軸受ブッシュ44が接合されている。これにより、出力ギヤ体30の被軸支部30Aとカバープレート40のリブ40Cとの金属同士の接触が防止又は抑制されている。また、出力ギヤ体30の軸心部には、金属材料を用いて棒状に形成された回転中心軸31が圧入等により固定されている。
図1に示されるように、スライダプレート32は、金属製の板材を用いて形成されている。このスライダプレート32は、軸方向視で矩形状に形成されていると共にプラネタリギヤ24の2つの制限突起部24Cが係合される制限孔32Aが形成されたスライダプレート本体部32Bを備えている。なお、制限孔32Aの中心部には、回転中心軸31が挿通されるようになっている。また、スライダプレート32は、スライダプレート本体部32Bから径方向外側へ向けて突出する2つの回止突起部32Cを備えている、この2つの回止突起部32Cは周方向に沿って等間隔に(180度のピッチで)配置されている。
図2に示されるように、保持プレート34は、スライダプレート32と同様に金属製の板材を用いて形成されている。この保持プレート34は、軸方向視で環状に形成されていると共にスライダプレート32のスライダプレート本体部32Bが内部に配置されるスライダプレートガイド孔34Aが形成された保持プレート本体部34Bを備えている。また、保持プレート本体部34Bにおけるスライダプレートガイド孔34Aの内周部には、スライダプレート32の2つの回止突起部32Cがそれぞれ係合される2つの回止凹部34Cが形成されている。そして、スライダプレート32のスライダプレート本体部32Bがスライダプレートガイド孔34Aの内部に配置されると共に、スライダプレート32の2つの回止突起部32Cが2つの回止凹部34Cにそれぞれ係合されることで、スライダプレート32の保持プレート34に対する周方向への回転変位が規制された状態で、スライダプレート32が径方向へ所定の範囲で移動することが可能となっている。これにより、偏心軸22が回転した際に、当該偏心軸22の支軸部22Bに支持されたプラネタリギヤ24の自転が制限された状態で、当該プラネタリギヤ24が回転中心軸31の軸中心回りに公転するようになっている。また、保持プレート34は、保持プレート本体部34Bから径方向外側へ向けて突出すると共にハウジング16に形成された3つの保持プレート係合凹部16Hにそれぞれ係合される3つの回止突起部34Dを備えている。なお、3つの回止突起部34Dのうち2つの回止突起部34Dには、タッピングスクリュ46が挿通されるタッピングスクリュ挿通孔34Eが形成されている。そして、タッピングスクリュ挿通孔34Eに挿通されたタッピングスクリュ46がハウジング16に形成されたタッピングスクリュ螺入孔16Lに螺入されることで、保持プレート34がハウジング16に固定されている。なお、他の方法によって保持プレート34をハウジング16に固定してもよい。一例として、タッピングスクリュ挿通孔34Eに挿通されるポール部をハウジング16に立設し、ポール部にプッシュナット等を係止させることで、保持プレート34をハウジング16に固定してもよい。
図2及び図6に示されるように、スプリング36は、金属製の材料を用いて形成された環状のスプリングワッシャである。具体的には、スプリング36は、軸方向を厚み方向とすると共に周方向の所定の箇所において軸方向に湾曲された帯状の金属板が周方向に螺旋状に巻回されることによって形成されている。図6に示されるように、このスプリング36は、ハウジング16に形成されたボス部16Gと複数の位置規制凸部16Jとの間のスプリング配置部16Kに配置された状態で、偏心軸22とハウジング16の底壁部16Dとの間で圧縮されている。これにより、偏心軸22が軸方向一方側へ付勢されて、ヘリカルギヤ20の規制面20Aと複数の位置規制凸部16Jとが離間した状態で、減速機14を構成する各部品の軸方向へのガタ付きが抑制されるようになっている。なお、本実施形態では、金属性のワッシャ48が、スプリング36とハウジング16の底壁部16Dとの間に設けられている。
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
図6に示されるように、本実施形態の減速機付モータ10によれば、モータ12の回転軸12Aの回転が、減速機14で減速されて出力ギヤ体30に伝達される。すなわち、モータ12の回転軸12Aが回転するとウォームギヤ18が回転する。また、ウォームギヤ18が回転すると、当該ウォームギヤ18と噛み合うヘリカルギヤ20が偏心軸22と共に回転すると共に、偏心軸22の支軸部22Bに支持されたプラネタリギヤ24が公転する。さらに、プラネタリギヤ24が公転すると、当該プラネタリギヤ24と噛み合うインターナルギヤ26を有する出力ギヤ体30が回転する。これにより、出力ギヤ体30のピニオンギヤ28と噛み合うギヤを介して車両のパワーシートを作動させることができる。
また、本実施形態の減速機付モータ10では、偏心軸22がスプリング36によって軸方向一方側へ付勢されることで、減速機14を構成する各部品の軸方向へのガタ付きが抑制されている。これにより、減速機付モータ10の作動時に異音が発生することを抑制又は防止することができる。
ここで、本実施形態の減速機付モータ10では、ピニオンギヤ28側からバックトルクが入力されること等により、ヘリカルギヤ20に軸方向他方側への力が入力されると、ヘリカルギヤ20が偏心軸22と共に軸方向他方側へ移動する。その結果、スプリング36が偏心軸22の円板部22Aとハウジング16の底壁部16Dとの間で圧縮される。また、ヘリカルギヤ20が偏心軸22と共に軸方向他方側へ移動すると、図7に示されるように、ヘリカルギヤ20の規制面20Aがハウジング16に形成された複数の位置規制凸部16Jに当接する。これにより、偏心軸22とハウジング16の底壁部16Dとの間においてスプリング36が配置された部分の軸方向へのクリアランスC3が確保される。すなわち、偏心軸22とハウジング16の底壁部16Dとの間においてスプリング36が配置された部分の軸方向へのクリアランスC3が、複数の位置規制凸部16Jの突出高さと対応する寸法以下となることが防止される。これにより、スプリング36の変形量が上記クリアランスC3に対応する変形量を超えて変形することが防止される。その結果、スプリング36の繰り返し変形に伴うヘタりや疲労破壊等の不具合を抑制することができる。
また、本実施形態では、複数の位置規制凸部16Jが周方向へ間隔をあけて配置されている。当該構成では、各々の位置規制凸部16Jの突出高さを調節することで、各々の位置規制凸部16Jとヘリカルギヤ20の規制面20Aとの接触状態を調節することができる。特に、当該構成では、各々の位置規制凸部16Jとヘリカルギヤ20の規制面20Aとの接触状態を調節するための金型の改修を容易に行うことができる。また、周方向の全体に位置規制凸部16Jと対応する位置規制部を設けた場合と比べて、ハウジング16を形成する樹脂材料を削減することができる。
さらに、本実施形態では、スプリング36及び偏心軸22の両方を金属性とすることにより、金属製のスプリング36と金属性の偏心軸22との接触箇所の摩耗タフネスを向上させることができる。また、ハウジング16及びヘリカルギヤ20の両方を自己潤滑性を期待できる樹脂製とすることで、ハウジング16に設けられた位置規制凸部16Jとヘリカルギヤ20との摺動抵抗を低減することができる。
なお、本実施形態では、ヘリカルギヤ20をハウジング16に形成された複数の位置規制凸部16Jに当接させることで、スプリング36の変形量を制限した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、スプリング36がヘリカルギヤ20とハウジング16の底壁部16Dとの間に配置されている構成においては、偏心軸22の一部をハウジング16に形成された複数の位置規制凸部16Jに当接させることで、スプリング36の変形量を制限してもよい。
また、本実施形態では、周方向へ間隔をあけて配置された複数の位置規制凸部16Jによって、スプリング36の変形量を制限した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、軸方向視で環状に形成された単一の位置規制凸部によって、スプリング36の変形量を制限してもよい。また、位置規制凸部16Jと対応する凸部をヘリカルギヤ20に設け、この凸部を位置規制部としてのハウジング16の底壁部16Dに当接させることで、スプリング36の変形量を制限してもよい。
さらに、本実施形態では、スプリング36及び偏心軸22を金属性とし、ハウジング16及びヘリカルギヤ20を樹脂製とした例について説明したが、本発明はこれに限定されない。各部材を構成する材料は、減速機付モータ10に要求される耐久性や重量等を考慮して適宜設定すればよい。
また、本実施形態では、金属性のスプリング36を用いて減速機14を構成する各部品の軸方向へのガタ付きを抑制した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、弾性部材としてのゴム製のOリング等を用いて減速機14を構成する各部品の軸方向へのガタ付きを抑制してもよい。この場合、前述の実施形態の構成が適用されていることにより、Oリングの過剰な変形を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、スプリング36が、偏心軸22とハウジング16の底壁部16Dとの間で圧縮されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、スプリング36が、ヘリカルギヤ20とハウジング16の底壁部16Dとの間で圧縮されるように構成してもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
10…減速機付モータ、12…モータ、12A…回転軸、16…ハウジング、16J…位置規制凸部(位置規制部)、18…ウォームギヤ(第1ギヤ)、20…ヘリカルギヤ(第2ギヤ)、22…偏心軸、22B…支軸部、24…プラネタリギヤ(第3ギヤ)、26…インターナルギヤ(第4ギヤ)、30…出力ギヤ体(出力部)、36…スプリング(弾性部材)

Claims (2)

  1. 回転軸を有するモータと、
    前記回転軸と一体に回転する第1ギヤと、
    前記モータが固定されたハウジングと、
    前記ハウジングに回転可能に支持され、前記第1ギヤと噛み合う第2ギヤと、
    前記第2ギヤと一体回転可能に設けられ、該第2ギヤの回転中心に対して該第2ギヤの回転径方向にオフセットされた支軸部を有する偏心軸と、
    前記支軸部に支持され、前記第2ギヤが前記偏心軸と共に回転することで該第2ギヤの回転軸の回りを公転する第3ギヤと、
    前記第3ギヤと噛み合う第4ギヤを有し、前記第3ギヤが公転することで回転する出力部と、
    前記偏心軸と前記ハウジングとの間又は前記第2ギヤと前記ハウジングとの間に設けられ、前記偏心軸又は前記第2ギヤを前記出力部側へ向けて付勢する弾性部材と、
    前記ハウジングに設けられ、前記偏心軸又は前記第2ギヤが当接することで、前記偏心軸と前記ハウジングとの間又は前記第2ギヤと前記ハウジングとの間において前記弾性部材が配置された部分のクリアランスが確保される位置規制部と、
    を備え、
    前記偏心軸又は前記第2ギヤが前記位置規制部に当接した状態では、前記弾性部材の変形量が前記クリアランスに対応する変形量を超えて変形することが防止されていると共に、前記偏心軸又は前記第2ギヤから前記弾性部材に入力される荷重が、前記偏心軸又は前記第2ギヤが前記位置規制部に当接した状態よりも高まらないようになっており、
    前記位置規制部は、前記第2ギヤ側へ向けて突出すると共に前記偏心軸及び前記第2ギヤの回転周方向へ間隔をあけて配置された複数の位置規制凸部とされており、
    前記第2ギヤの外周部には、前記第1ギヤと噛み合う複数の外歯が形成され、
    前記第2ギヤの軸方向の端面において前記ハウジングの複数の前記位置規制凸部と軸方向に対向する面は、径方向及び周方向に延在する平面状の規制面とされ、
    複数の前記位置規制凸部が、前記規制面における複数の前記外歯側の部分に当接し、
    前記位置規制凸部は、軸方向一方側から見て周方向の両端が湾曲され、かつ周方向を長手方向とする楕円形状に形成されている減速機付モータ。
  2. 前記偏心軸及び前記弾性部材は、金属材料を用いて形成され、
    前記弾性部材が、前記偏心軸を前記出力部側へ向けて付勢し、
    前記ハウジング及び前記第2ギヤは、樹脂材料を用いて形成され、
    位置規制部が、前記第2ギヤに当接することで、前記偏心軸と前記ハウジングとの間において前記弾性部材が配置された部分のクリアランスが確保される請求項記載の減速機付モータ。
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