JP7026896B2 - 結晶材料、放射線検出器、非破壊検査装置、および撮像装置 - Google Patents

結晶材料、放射線検出器、非破壊検査装置、および撮像装置 Download PDF

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Description

本発明は、結晶材料、結晶製造法、放射線検出器、非破壊検査装置および撮像装置に関する。
シンチレータ単結晶は、γ線、X線、α線、中性子線などを検出する放射線検出器に用いられている。このような放射線検出器は、陽電子放射断層撮影(positron emission tomography、PET)装置やX線CT装置などの医療画像装置(撮像装置)、高エネルギー物理分野における各種放射線計測装置、および資源探査装置[例えば石油資源探査(oil well logging)などの資源探査]などに幅広く応用されている。
一般に、放射線検出器は、γ線、X線、α線、中性子線を吸収し、シンチレーション光に変換するシンチレータと、シンチレーション光を受光し、電気信号などに変換する受光素子などの光検出器とから構成される。例えば、高エネルギー物理や陽電子放射断層撮影(PET)イメージングシステムでは、シンチレータと、放射性壊変によって発生する放射線との相互作用に基づいて画像が作成される。ここで陽電子放射断層撮影(PET)イメージングシステムでは、被検体内の陽電子(ポジトロン)と対応する電子との相互作用から生じるガンマ線がシンチレータに入射し、光検出器によって検出することのできるフォトンに変換される。シンチレータから放出されたフォトンはフォト・ダイオード(PD)、シリコンフォトマルチプライヤー(Si-PM)、もしくは光電子増倍管(PMT)、または他の光検出器を使用して、検出することができる。
PMTは400nm付近の波長域に高い量子効率(光子を電子(電流信号)に変換する効率)を有し、主に400nm付近に発光ピーク波長を有するシンチレータと組み合わせて使用されている。シンチレータをアレー状に配列したシンチレータアレーに対しては、位置敏感型PMT(PS-PMT)などを組み合わせて用いる。これによって、重心演算から、フォトンがシンチレータアレーのどのピクセルで検出されたかを突き止めることができる。さらに、350nm以下の短波長発光シンチレータに関しても、200nm付近の波長においても一定の量子効率、感度をもつ短波長PMTを使用するなどして放射線検出器が実現可能である。
一方、フォト・ダイオード(PD)、アバランシェ・フォト・ダイオード(APD)やシリコン・フォト・マルチプライヤー(Si-PM)といった半導体光検出器は、特に放射線検出器やイメージング機器において、広範な用途を有する。様々な半導体光検出器が知られている。例えば、シリコン半導体から構成されるPDやSi-PMは、量子効率が350nmから900nmまでの波長帯域において50%を超えており、PMTの量子効率が最大で45%であるのにくらべて、量子効率が高い。上記波長帯域の中で感度の高い波長帯域は500nm~700nmであり、600nm付近で最も感度が高く、量子効率は80%程度になる。このため、これらの半導体光検出器は、600nm付近を中心に、350nmから900nmまでの間に発光ピーク波長を有するシンチレータと組み合わせて使用されている。
PMTと同様に、PD、APD、Si-PMに関しても、位置検出感度を持つPDアレー、位置検知性アバランシェ・フォトダイオード(PSAPD)、およびSi-PMアレーが存在する。これらの素子でも、フォトンがシンチレータアレーのどのピクセルで検出されたかを突き止めることができる。さらに、350nm以下の短波長発光シンチレータに関しても、短波長用Si-PMや波長変換素子を使用するなどして、シンチレータ光をシリコン半導体が感度を有する波長領域の光に変換することで、シリコン半導体による読み出しを行う放射線検出器が実現可能である。
これらの放射線検出器に適するシンチレータには、検出効率の点から密度が高く原子番号が大きいこと(光電吸収比が高いこと)、高エネルギー分解能の点から発光量が高く、高速応答の必要性から蛍光寿命が短いことが望まれる。加えて、近年のシステムでは多層化・高分解能化のため、多数のシンチレータを細長い形状(例えばPETでは5mm×30mm程度)で稠密に並べる必要から、取り扱い易さ、加工性、大型結晶作製が可能なこと、さらには価格も重要な選定要因となっている。また、シンチレータの発光波長が光検出器の検出感度の高い波長域と一致することも重要である。
現在、各種放射線検出器へ応用される好ましいシンチレータとして、パイロクロア型構造を持つシンチレータCe:Gd2Si27がある。当該シンチレータは化学的に安定で、劈開性や潮解性が無く、発光量が高いという利点がある。例えば、非特許文献1、2や特許文献1に記載の、Ce3+の4f5d準位からの発光を利用するパイロクロア型構造を持つシンチレータは、汎用されているシンチレータの1つであるCe:Gd2SiO5に比べて発光量が2.5倍高かった。しかしながら、一方で非特許文献1に記載の通り、蛍光寿命は46nsとなり、次世代PETイメージングシステムなどの計測では不十分ということが示唆される。
さらに、Eu,Pr、Ceなどの発光中心はEu3+、Pr4+およびCe4+になることがあるが、この場合、シンチレータ発光として利用されているEu2+、Pr3+およびCe3+の割合が減り、発光量が低下する可能性や、また遅い蛍光寿命成分が発生する可能性がある。
特開2009-74039号公報 国際公開第2003/083010号公報
S. Kawamura, J. H. Kaneko, M. Higuchi, T. Yamaguchi, J. Haruna, Y. Yagi, K. Susa, F. Fujita, A. Homma, S. Nishiyama, H. Ishibashi, K. Kurashige and M. Furusaka, IEEE Nuclear Science Symposium Conference Record, San Diego, USA, pp. 1160-1163, 29 October-5 November 2006. S. Kawamura, M. Higuchi, J. H. Kaneko, S. Nishiyama, J. Haruna, S. Saeki, S. Ueda, K. Kurashige, H. Ishibashi and M. Furusaka, Crystal Growth & Design, vol. 9, no. 3, pp. 1470-1473, 2009.
発光中心として添加する発光賦活剤として、例えばCe3+やPr3+があげられるが、これらの賦活剤は、その価数が、一部目的の価数よりも大きいもの、例えばCe4+やPr4+で存在してしまい、発光の阻害をすること、および蛍光寿命が遅く(長く)なってしまうという課題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、蛍光寿命の短い結晶材料およびその製造方法、ならびに当該結晶材料を用いた放射線検出器、撮像装置、非破壊検査装置を提供することを目的とする。
本発明に係る結晶材料は、(RExLn1-x-s―tst2Si27で表され、LnはGdおよびYから選択される少なくとも1種以上を含み、REはCe、Pr、Nd、Eu、TbおよびYbから選択される少なくとも1種以上を含み、Aはアルカリ土類金属ないしはアルカリ金属から選択される少なくとも1種類以上を含み、MはAl、Zr、Hf、TaおよびWから選択される少なくとも1種以上を含み、0<x<0.1であり、0≦s<0.3、かつ、0≦t<0.3であり、パイロクロア型構造を持つ。
上記結晶材料において、0<x<0.05、0≦s<0.005、0≦t<0.005である。また、0<x<0.04、0≦s<0.005、0≦t<0.005である。
上記結晶材料において、放射線の照射によってシンチレーション光を発し、シンチレーション光に含まれる蛍光成分は、蛍光寿命が1マイクロ秒以下であり、且つ、蛍光ピーク波長が170nm以上900nm以下の範囲とされている。
上記結晶材料において、放射線の照射によってシンチレーション光を発し、シンチレーション光に含まれる蛍光成分は、蛍光寿命が80ナノ秒以下であり、且つ、蛍光ピーク波長が300nm以上700nm以下の範囲とされている。
本発明に係る光検出器は、上述したいずれかの結晶材料から構成されるシンチレータと、シンチレータからのシンチレーション光を受光する光検出器とを備える。
本発明に係る放射線検出器は、上述したいずれかの結晶材料から構成されるシンチレータと、シンチレータからのシンチレーション光を受光し、受光したシンチレーション光に含まれる波長260nm~350nmの光の波長を320nm~700nmの範囲のいずれかの波長に変換する波長変換素子と、波長変換素子が波長変換した光を受光する光検出器とを備える。
また、本発明に係る放射線検出器は、上述したいずれかの結晶材料から構成されるシンチレータを備え、位置感度を持たせている。
本発明に係る撮像装置は、上述したいずれかの放射線検出器を備える。
本発明に係る非破壊検査装置は、上述したいずれかの放射線検出器を備える。
以上説明したように、本発明によれば、結晶材料を、パイロクロア型構造をもつ(RExLn1-x-s―tst2Si27から構成し、目的とする発光賦活剤の価数と異なる価数の元素を共添加することで、安定的に目的とする価数で発光賦活剤を存在させることができるので、蛍光寿命が短いという優れた特性を保つという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態に係る放射線検出器の構成を示す構成図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る非破壊検査装置の構成を示す構成図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る撮像装置の構成を示す構成図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る放射線検出器の構成を示す構成図である。 図5は、137Csγ線(662keV)を照射して得られた実施例1の結晶の蛍光減衰曲線のプロファイルを示す特性図である。
以下に、図面を参照して本発明に係る結晶材料、結晶製造方法、放射線検出器、撮像装置および非破壊検査装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係る結晶材料は、「(RExLn1-x-s―tst2Si27・・・(1)」で表され、パイロクロア型構造を持つことを特徴とする。ここで、式(1)において、Lnは、GdおよびYから選択される少なくとも1種以上を含み、REはCe、Pr、Nd、Eu、TbおよびYbから選択される少なくとも1種以上を含み、0<x<0.1であり、Aはアルカリ土類金属ないしはアルカリ金属から選択される少なくとも1種類以上を含み、MはAl、Zr、Hf、TaおよびWから選択される少なくとも1種以上を含み、0≦s<0.3、かつ、0≦t<0.3である。
好ましくは、0<x<0.05、0≦s<0.005、0≦t<0.005であるとよい。また、より好ましくは、0<x<0.04、0≦s<0.005、0≦t<0.005であるとよい。
上述した実施の形態に係る結晶材料によれば、放射線の照射により発生するシンチレーション光の発光量が高く、蛍光寿命の短い結晶材料となる。この結晶材料は、光学材料として用いることができる。
また、本実施の形態に係る結晶材料は、例えば図1に示されるように、結晶材料101が発するシンチレーション光を受光できる光検出器102と組み合わせることで、放射線検出器100としての使用が可能となる。さらに、例えば図2に示されるように、放射線源201からの放射線を測定対象物202に照射し、測定対象物202を透過した放射線を放射線検出器100で検出することで、放射線検出器100を備えた非破壊検査装置200としての放射線計測装置や資源探査装置としても使用可能である。
また、本実施の形態に係る結晶材料は、シンチレーション光に含まれる蛍光成分の蛍光寿命を10マイクロ秒以下、且つ、蛍光ピーク波長を150nm以上900nm以下の範囲とすることができる。さらには、蛍光寿命を2マイクロ秒以下、且つ、蛍光ピーク波長を250nm以上900nm以下の範囲とすることができる。このように、蛍光寿命が短いので、蛍光測定のためのサンプリング時間が短くて済み、高時間分解能、すなわちサンプリング間隔を低減することができる。また、高時間分解能が実現されることにより、単位時間でのサンプリング数を増加させることが可能になる。
このような短寿命の発光を有する結晶材料は、撮像装置であるPET、SPECT(Single photon emission computed tomography;単一光子放射断層撮影)、およびCT用の高速応答の放射線検出のためのシンチレータとして好適に利用できる。例えば、図3に示されるように、放射線源201と放射線検出器100とを円周の対称点に配置し、放射線源201と放射線検出器100とを、上記円周の上を走査させ、測定対象物202のトモグラフィー像を取得することで、CTを用いた撮像装置300としての使用が可能となる。
また、蛍光成分の蛍光ピーク波長が150nm以上900nm以下の範囲であるので、シリコン半導体から構成されるPD、APD、またはSi-PMなどの半導体光検出器と組み合わせて検出できるものである。特に、蛍光成分の蛍光ピーク波長が250nm以上400nm以下の場合、波長変換素子を用いて300nm以上900nm以下の波長、すなわち上述の光検出器の波長感度が十分ある領域の波長に変換することが有効である。このような波長変換素子としては、シンチレーション光に含まれる波長260nm~350nmの光の波長を320nm~700nmの範囲のいずれかの波長に変換するものが利用できる。
例えば、図4に示されるように、波長変換素子103としては、例えばプラスチック製の波長変換用光ファイバ[例えばクラレ社製Y11(200)M-S]などを用いたものが利用可能であり、結晶材料101が発するシンチレーション光を波長変換した後に光検出器104で受光することができる。また、組み合わせる光検出器の種類は、蛍光ピーク波長などに合わせて適宜利用でき、例えばPMTやPS-PMTを利用してもよい。
また、多結晶(粉体)そのもの、ないしは、それを例えば1mm以下の厚みで透明体に塗布したサンプルは、X線やアルファ線の検出器としても利用可能である。
そのほか、放射線検出器のみならず、照明機器における波長変換素子、長残光成分を用いた蓄光材料としても利用可能である。
発光賦活剤として、Eu2+などの2価を添加した場合には3価以上の添加材、Ce3+などの3価を添加した場合には4価以上イオンを一般式(1)のMに該当する部分に添加することができる。例えば、MとしてTi4+、Zr4+,Zr4+,W4+、Ta5+,などがあるが、これに限定されない。Gdのサイトについて、一部Yに置換することも可能である。
また、本実施の形態に係る結晶材料では、環境温度が摂氏0度の場合の蛍光成分の発光量を基準とした場合に、環境温度が室温から摂氏150度の範囲における蛍光成分の発光量の前記基準からの減衰割合を50%未満とすることができる。さらに、摂氏400度以上の環境下に12時間以上放置したのちの蛍光成分の常温下での発光量は20%以上の変動はなく、5G以上の圧力下でも物理的に破壊せず機械強度が強く、したがって、本実施の形態に係る結晶材料は、高温環境下でも発光量の減衰を少なくできるので、高温環境下、または、大振動下で使用される結晶材料として非常に有用である。
特に、本実施の形態に係る結晶材料から構成されるシンチレータと、シンチレータからの発光を受光し、室温以上、摂氏200度以下の環境温度で動作する光検出器とを組み合わせて放射線検出器を構成することで、高温環境下、且つ、大振動下での計測が必須となる資源探査などにも無冷却で利用可能であるので好ましい。
本実施の形態に係る結晶材料の単結晶の製造方法(結晶製造方法)について、以下に説明する。いずれの組成の単結晶の製造方法においても、出発原料としては、一般的な酸化物原料が使用可能であるが、シンチレータ用単結晶として使用する場合、99.99%以上(4N以上)の高純度原料を用いることが特に好ましい。A、SiおよびREを含むこれらの出発原料を、融液形成時に目的の組成(本実施の形態に係る結晶材料の元素比)となるように秤量、混合し、配合したものを結晶育成原料として用いる。さらにこれらの出発原料中には、目的とする組成以外の不純物が極力少ない(例えば、1ppm以下)ものが特に好ましい。
出発原料組成は化学量論的組成ではなく、融液が本実施の形態の調和溶融組成の比になることを考慮して準備することが望ましい。この際、イグニッションロスなど、結晶製造過程でのロスを考慮することが望ましい。
結晶の育成は、不活性ガス(例えば、Ar、N2、Heなど)雰囲気下で行うことが好ましい。または、不活性ガス(例えば、Ar、N2、Heなど)と酸素ガスとの混合ガスを使用してもよい。ただし、この混合ガスの雰囲気下で結晶の育成を行う場合、坩堝の酸化を防ぐ目的で、酸素の分圧は2%以下であることが好ましい。ただし、フローティングゾーン法の様に坩堝を使用しない作製法を用いる場合は、酸素分圧は100%まで設定可能である。なお、結晶成長後のアニールなどの後工程においては、酸素ガス、不活性ガス(例えば、Ar、N2、Heなど)、および不活性ガス(例えば、Ar、N2、Heなど)と酸素ガスとの混合ガスを用いることができる。後工程においては、混合ガスを用いる場合、酸素分圧は2%以下という制限は受けず、酸素分圧0%から100%までいずれの混合比のものを使用してもよい。
本実施の形態に係る結晶材料の単結晶の製造方法としては、フローティングゾーン法、マイクロ引き下げ法、チョコラルスキー法(引き上げ法)、ブリッジマン法、帯溶融法(ゾーンメルト法)、および縁部限定薄膜供給結晶成長(EFG法)などが挙げられるが、これらに限定されず、各種結晶育成方法を用いることができる。なお、大型単結晶を得るためには、チョコラルスキー法またはブリッジマン法が好ましい。大型単結晶を用いることにより、単結晶の歩留まりを向上させ、相対的には加工ロスを軽減することができる。したがって、特許文献1に記載のような、多結晶化した中から単結晶を取り出す方法と比較して、低コスト且つ高品質の結晶材料を得ることができる。ただし、本実施の形態に係る結晶材料は、単結晶に限定されず、固相反応法などにより製造できるセラミックスなどの多結晶の焼結体でもよい。
一方、シンチレータ用単結晶として小型の単結晶のみを使用するのであれば、後加工の必要が無いかあるいは少ないことから、フローティングゾーン法、ゾーンメルト法、EFG法、マイクロ引き下げ法、またはチョコラルスキー法が好ましく、坩堝との濡れ性などの理由から、マイクロ引き下げ法、またはゾーンメルト法が特に好ましい。
また、使用できる坩堝およびアフターヒータの材料としては、白金、イリジウム、ロジウム、レニウム、またはこれらの合金が挙げられる。
シンチレータ用単結晶の製造においては、さらに高周波発振機、集光加熱器、および抵抗加熱機を使用してもよい。
以下に、本実施の形態に係る結晶材料の単結晶の製造方法の例として、チョクラルスキー法およびフローティングゾーン法を用いた単結晶製造法を示すが、本実施の形態に係る結晶材料の単結晶の製造方法はこれに限定されるものではない。
チョクラルスキー法について説明する。チョクラルスキー法は公知の高周波誘導加熱による雰囲気制御型引き上げ装置を用いて行うことができる。引き上げ装置は、例えば、原料融液を収容する坩堝と、原料融液に接触させる種結晶を保持する種結晶保持具と、種結晶保持具を上方に移動させる移動機構と、移動機構の速度を制御する移動速度制御装置と、坩堝を加熱する誘導加熱手段(例えば高周波誘導加熱コイル)とを具備した単結晶製造装置である。このような単結晶製造装置によれば、融液上面に固液界面を形成し、上方向に種結晶を移動させることで、単結晶を作製することができる。
種結晶としては、結晶成長対象物と同等ないしは、構造・組成ともに近いものを使用することが好ましいが、これに限定されない。また種結晶として結晶方位の明確なものを使用することが好ましい。
つぎに、フローティングゾーン法について説明する。フローティングゾーン法は、通常2ないし4つの回転楕円体ミラーによってハロゲンランプなどの光を集光し、その楕円焦点に多結晶で作った試料棒の一部を設置し、光エネルギーによって高温にして多結晶を融かし、徐々にミラー(焦点)を移動さることによって融けている部分を移動させ、その一方で融けていた部分をゆっくり冷やしていくことで、当該試料棒を大きな単結晶に変化させる方法である。
フローティングゾーン法では、坩堝を使用しないため、より高純度の結晶の育成が可能であり、さらに、酸素雰囲気では坩堝が酸化してしまい結晶育成が困難な条件でも、結晶の育成可能である。
以下、本発明の実施例および比較例について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。なお、以下の実施例では、Ce濃度は、特定の結晶中における濃度か、融液(仕込み)における濃度かのいずれかの記載となっている。
[実施例1]
フローティングゾーン法により、(Ce0.01Gd0.989Ca0.0005Zr0.00052Si27の組成で表される結晶を作製した。この結晶は、パイロクロア型酸化物である。
[実施例2]
フローティングゾーン法により、(Ce0.01Gd0.989Sr0.0005Zr0.00052Si27の組成で表される結晶を作製した。この結晶は、パイロクロア型酸化物である。
[実施例3-11]
前記に加えてフローティングゾーン法、固相反応法により、表1のとおりの組成であらわされる結晶を作製した。この結晶は、パイロクロア型酸化物である。
[比較例1]
公知の比較例としてフローティングゾーン法により、(Ce0.01Gd0.992Si27の組成で表される結晶を作製した。この結晶は、パイロクロア型酸化物である。
[比較例2]
公知の比較例2として、市販されている5mm×5mm×5mmサイズの(Ce0.005Gd0.9952SiO5(Ce0.5%:GSO)結晶を用意した。
表1は、上記実施例1~11、比較例1,2について、その組成を示したものである。
Figure 0007026896000001
つぎに、実施例1~11の結晶について、透過率測定と同じサンプル、すなわち1mmの厚さに切断し、鏡面研磨を行ったサンプルについて、Edinburgh社の分光器(型式:Instrument FLS920)を用いてRadio-luminescence(5.5MeVのアルファ線励起)の測定を行った結果、発光域は表2の通りになった。これらの波長は光電子増倍管やSi半導体といった光検出器での検出が可能な範囲内にあることから、十分な利用価値がある。なお、表2の発光域には代表的な発光の波長領域のみを示し、これに限定されるものではなく、例えば欠陥由来の発光などこれ以外に発光帯域があってもよい。
Figure 0007026896000002
つぎに、実施例1~3、10,11および比較例1の結晶の蛍光寿命蛍光寿命を求めた。ここで結晶は、光学グリース(応用光研社製6262A)にて光電子増倍管(浜松ホトニクス社製R7600U-200)に光学接着し、1MBqの放射能を有する137Cs密封線源を用い、ガンマ線を照射して励起、発光させた。そして、光電子増倍管からの信号をオシロスコープ(Tektronix社製TDS 3034B)で信号の時間分布を測定することで、蛍光寿命を求めた。
図5は、実施例1の結晶の蛍光減衰曲線のプロファイルを示す特性図である。図5において、横軸は時間を表し、縦軸は発光強度に対応する電圧を表している。なお、実線は減衰定数を求めるために時間tを変数とする次の関数I(t)でフィットした結果である。ここで、I(t)は「I(t)=0.011・exp(-t/43ns)+0.026・exp(-t/302ns)+0.012」となった。すなわち、実施例1の結晶の蛍光の蛍光寿命は43ナノ秒であり、高速シンチレータを構成できるものであった。表3には、実施例1~3、10、11および比較例1、2の蛍光寿命を示している。
Figure 0007026896000003
以上に説明したように、本発明によれば、結晶材料を、パイロクロア型構造をもつ(RExLn1-x-s―tst2Si27から構成したので、蛍光寿命の短い結晶材料およびその製造方法、ならびに当該結晶材料を用いた放射線検出器、撮像装置、非破壊検査装置が提供できるようになる。
100…放射線検出器、101…結晶材料、102…光検出器、103…波長変換素子、104…光検出器、200…非破壊検査装置、201…放射線源、202…測定対象物、300…撮像装置。

Claims (10)

  1. (RExLn1-x-s―tst2Si27で表され、
    LnはGdおよびYから選択される少なくとも1種以上を含み、
    REはCe、Pr、Nd、Eu、TbおよびYbから選択される少なくとも1種以上を含み、
    Aはアルカリ土類金属ないしはアルカリ金属から選択される少なくとも1種類以上を含み、
    MはAl、Zr、Hf、TaおよびWから選択される少なくとも1種以上を含み、
    0<x<0.1であり、0.0005≦s<0.005、かつ、0.0005≦t<0.005であり、
    パイロクロア型構造を持つことを特徴とする結晶材料。
  2. 請求項1記載の結晶材料において、
    さらに、0<x<0.05であることを特徴とする結晶材料。
  3. 請求項1記載の結晶材料において、
    さらに、0<x<0.04であることを特徴とする請求項1に記載の結晶材料。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の結晶材料において、
    放射線の照射によってシンチレーション光を発し、
    前記シンチレーション光に含まれる蛍光成分は、蛍光寿命が1マイクロ秒以下であり、且つ、蛍光ピーク波長が170nm以上900nm以下の範囲とされている
    ことを特徴とする結晶材料。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載の結晶材料において、
    放射線の照射によってシンチレーション光を発し、
    前記シンチレーション光に含まれる蛍光成分は、蛍光寿命が80ナノ秒以下であり、且つ、蛍光ピーク波長が300nm以上700nm以下の範囲とされている
    ことを特徴とする結晶材料。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の結晶材料から構成されるシンチレータと、
    前記シンチレータからのシンチレーション光を受光する光検出器と
    を備えることを特徴とする放射線検出器。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載の結晶材料から構成されるシンチレータと、
    前記シンチレータからのシンチレーション光を受光し、受光したシンチレーション光に含まれる波長260nm~350nmの光の波長を320nm~700nmの範囲のいずれかの波長に変換する波長変換素子と、
    前記波長変換素子が波長変換した光を受光する光検出器と
    を備えることを特徴とする放射線検出器。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載の結晶材料から構成されるシンチレータを備え、位置感度を持たせたことを特徴とする放射線検出器。
  9. 請求項6~8のいずれか1項に記載の放射線検出器を備えることを特徴とする撮像装置。
  10. 請求項6~8のいずれか1項に記載の放射線検出器を備えることを特徴とする非破壊検査装置。
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