<警報器の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る警報器1の構成を示すブロック図である。図2は、図1に示す警報器1の外観を示す図である。図2における101で示される図は、警報器1の正面図であり、図2における102で示される図は、警報器1の右側面図である。なお、以下の説明では、警報器1の正面視上方を上側、正面視下方を下側、正面視左方向を左側、正面視右方向を右側と称する場合がある。
図1に示すように、警報器1は、第1検知部10と、第2検知部20と、押しボタン30と、通信部40と、計測部50と、記録部60と、報知部70と、制御部80と、お知らせランプL1と、CO警報ランプL2と、電源ランプL3と、ガス警報ランプL4と、アクセスランプL5と、を備えている。
なお、本発明は、第1検知部10の検知結果に基づき、ガス、一酸化炭素および火災の少なくとも1つに関する報知を行う警報器に適用範囲が限定されるものではない。本発明は、当該報知を行わずに、当該検知結果を後述するサーバ3に送信する警報器にも適用されるものである。
<警報器の外観構成>
また、図2に示すように、警報器1は、筐体11と、取り付けパネル12と、を備えている。筐体11は、合成樹脂等からなる容器状の外装パネルである。筐体11の右側側面の中央部には、警報器1の周辺雰囲気を筐体11の内部に取り込むための第1通気孔13が形成される。当該周辺雰囲気は、警報器1の周囲に存在する空気である。
筐体11の正面の中央部右側には、第1通気孔13と近接する位置に、周辺雰囲気を筐体11の内部に取り込むための第2通気孔14が形成される。また、筐体11の正面の中央部上側には、報知部70から出力される音声を筐体11の外部へ取り出すための出力孔15が形成される。
取り付けパネル12は、筐体11を建物内の壁面等に取り付けるための板状の部材である。取り付けパネル12は、筐体11の背面側にネジ等によって取り付けられる。取り付けパネル12は、背面視において略矩形状の平板部材であり、例えば合成樹脂等により構成される。
取り付けパネル12は、上側端部の中央部に、筐体11よりも上側に突出した突出部16を有する。突出部16に、縦長の貫通孔である引掛穴17が形成される。引掛穴17は、上段部に比して下段部の方が、開口幅が大きい段付き形状を有している。壁面に設けられたフック等に引掛穴17が係止されることにより、筐体11が壁面に取り付けられる。このように、警報器1は、建物内の壁面等に取り付けられる壁掛けタイプの警報器である。ただし、本発明に係る警報器は、建物内の天井等に取り付けられる天井取り付けタイプの警報器であってもよい。
筐体11の正面の下部には、お知らせランプL1、CO警報ランプL2、電源ランプL3、ガス警報ランプL4およびアクセスランプL5が設けられている。お知らせランプL1は、制御部80によるコンテンツの出力の機能に対応して発光する。CO警報ランプL2は、第1検知部10に含まれる後述するCOセンサにより実行される機能に対応して発光する。電源ランプL3は、警報器1の電源のONまたはOFFの状態に対応して発光する。
ガス警報ランプL4は、第1検知部10に含まれる後述するガスセンサにより実行される機能に対応して発光する。アクセスランプL5は、ネットワーク2上のサーバ3と通信部40との通信状態を示すとともに、通信部40により実行される機能に対応して発光する。
よって、警報器1は、第1検知部10および通信部40により実行される機能に対応して発光する複数の発光部として、CO警報ランプL2、ガス警報ランプL4およびアクセスランプL5を備えている。
<警報器の機能構成>
第1検知部10は、ガス、一酸化炭素(CO)および火災の少なくとも1つを検知する。換言すると、第1検知部10は、ガス、一酸化炭素および火災の少なくとも1つを含む監視対象について、報知が必要な状態にあるか否かを検知する。第1検知部10は、ガス、一酸化炭素および火災の少なくとも1つの検知結果を制御部80に送信する。
第1検知部10は、ガスを検知するガスセンサ、一酸化炭素を検知するCOセンサ、および、火災を検知する火災センサの少なくとも1つを含む。上記ガスセンサは、第1通気孔13および第2通気孔14から筐体11の内部に進入する周辺雰囲気に含まれる、都市ガスまたはLPガス等の可燃ガスの濃度を検知する。上記COセンサは、当該周辺雰囲気に含まれる、不完全燃焼等により生じる一酸化炭素の濃度を検知する。上記火災センサは、火災による熱または煙を検知する。
第2検知部20は、ガス、一酸化炭素および火災以外の外部環境の変化を検知する。第2検知部20は、当該外部環境の変化の一例として、警報器1の周囲の人の存在を検知する人感センサである。当該人感センサは、赤外線センサ、超音波センサ、可視光センサまたは焦電型センサである。第2検知部20は、上記外部環境の変化の検知結果を制御部80に送信する。
押しボタン30は、筐体11に設けられている。押しボタン30は、制御部80に対する指示を入力するためのボタンである。ユーザは、押しボタン30を押下することで、警報器1に対する指示を行うことができる。このように、押しボタン30は、ユーザによる所定の操作としての押下操作を受け付ける操作受付部である。
なお、警報器1は、当該操作受付部として、押しボタン30の代わりに、スマートフォン等の携帯端末からの当該所定の操作としての操作指示を受け付ける外部通信装置を備えていてもよい。当該外部通信装置は、ネットワーク2上のサーバ3および通信部40を介して、当該携帯端末からの操作指示を受け付ける。
通信部40は、警報器1から所定の情報、例えば第1検知部10や第2検知部20が検知した情報をサーバ3に送信する。また、通信部40は、ネットワーク2上のサーバ3との通信を行う。通信部40は、ネットワーク2を介して、警報器1が、ネットワーク2上のサーバ3との間の通信を実行するための通信インターフェースである。通信部40は、無線通信を通じてネットワーク2に接続されることが好ましい。警報器1は壁面等に設置されるため、有線通信方式が適用されると工事が必要になり、警報器1の設置が簡便ではなくなるからである。
通信部40は、無線通信方式として、建物内での無線ネットワークとして広く用いられている、例えばWi-Fi(登録商標)に対応した通信規格を用いる。通信部40は、第1検知部10の検知結果をサーバ3に送信する。通信部40は、警報器1の本質的機能とは異なる機能を実行する機能部の一例である。通信部40は、警報器1の本質的機能とは異なる機能として、ネットワーク2上のサーバ3との通信機能を実行する。
このため、後述するステップS12において、ユーザは、アクセスランプL5の発光によって、通信部40におけるネットワーク2上のサーバ3との通信状態を確認することができる。また、後述するステップS3において、ユーザは、アクセスランプL5の発光によって、第2検知部20の機能を確認することができる。
警報器1の本質的機能は、第1検知部10の検知結果に基づき、ガス、一酸化炭素および火災の少なくとも1つに関する報知を行う機能である。このため、後述するステップS12において、ユーザは、アクセスランプL5の発光によって、これらの少なくとも1つに関する報知を行う機能とは異なる機能を実行する通信部40の機能を確認することができる。また、後述するステップS3において、ユーザは、アクセスランプL5の発光によって、第2検知部20の機能を確認することができる。
通信部40は、所定のコンテンツをサーバ3から取得する。警報器1に提供するコンテンツの管理者は、例示として、ガス事業者、自治体、地方公共団体や警報器1の製造者、あるいはこれらいずれかから受託された事業者であり得る。コンテンツの管理者は、サーバ3を通じてコンテンツを警報器1に提供し得る。
コンテンツの例としては、防災、防犯に関連する情報、天気、災害に関する情報、交通、水道、その他インフラに関する情報、地域に関連したイベント等のその他の情報が挙げられる。また、ガス事業者による定期点検に関する情報や、ユーザのガス使用量に関する情報、警報器1やガス機器のメンテナンスや交換についての情報が挙げられる。
なお、警報器1に提供されるコンテンツの種別は、ユーザがコンテンツの管理者に対して要求することにより、少なくともその一部を選択できるようにすることもできる。コンテンツの管理者に対する要求は、インターネットを通じて行うようにすることもできる。ユーザは、必要と考える情報の種別を選択することで、コンテンツの管理者によるコンテンツの提供サービスをより便利に利用することができるようになる。
なお、コンテンツの態様は、聴覚を通じて報知される聴覚情報であることが好ましい。警報器1は天井に近い壁面の高い位置に設置されることが多い。そのため、所要の情報をユーザに伝達するために、人声または合成音声による音声コンテンツであることが好ましいからである。ただし、警報器1がディスプレイを備える場合、コンテンツの態様は、当該ディスプレイに表示される視覚を通じて報知される視覚情報を含んでいてもよい。
計測部50は、所定の開始時点からの経過時間を計測する。記録部60は、警報器1の動作に必要な情報を記録する記録媒体である。記録部60は、例えば、フラッシュメモリまたはSSD(Solid State Drive)である。報知部70は、第1検知部10の検知結果に基づき、上記監視対象に関する報知を行う。具体的には、報知部70は、ユーザに対して音声を出力するスピーカである。報知部70は、警報動作時に、ガス漏れの発生および一酸化炭素ガスの発生を、聴覚を通じて報知するための警報音を出力する。
また、報知部70は、通信部40が取得したコンテンツを出力する。報知部70から出力された音声は、出力孔15から筐体11の外部へ取り出される。制御部80は、警報器1の全体の動作を制御する。制御部80は、例えば、マイクロコンピュータ等を主体として構成される。
<警報器の動作>
図3は、図1に示す警報器1が実行する動作を示すフローチャートである。図4は、図3に示す動作の続きを示すフローチャートである。制御部80は、後述する通り、特殊モード、機能確認モードおよび監視モードを実行可能である。まず、警報器1に電源投入が行われる場合を考える。
ここで、上記ガスセンサは、数百度程度まで温度が上昇し、抵抗変化を用いてガスを検知するものであり、上記ガスセンサの温度を一定にするために、警報器1には、一定の電力が供給される必要がある。このため、警報器1への電源投入は、警報器1の電源プラグを商用電源のコンセントに接続することにより行われることが好ましい。警報器1には、警報器1の電源をONさせる電源ボタンは設けられていない。
制御部80は、警報器1の電源投入時に、所定条件が満たされる場合には、特殊モードを実行する。当該所定条件は、押しボタン30が押下されている状態である。なお、上記所定条件は、押しボタン30の操作に限らず、例えば、警報器1の前回の電源投入時から第3所定時間(第1所定時間および第2所定時間については後述)が経過していない場合のように、時間を関連させた条件であってもよい。
上記所定条件が、警報器1の前回の電源投入時から第3所定時間が経過していないという条件である場合、制御部80は、警報器1の電源投入時に、警報器1が備える電波時計等の図示しないタイマから出力される時刻を記録部60に記録する。また、制御部80は、警報器1の電源投入時に、記録部60から、警報器1の前回の電源投入時の時刻と、上記タイマから出力される時刻と、を参照して、警報器1の前回の電源投入時から第3所定時間が経過しているか否かを判定する。
また、特殊モードは、後述する機能確認モードおよび監視モードとは異なるモードであり、かつ、警報器1の設定の種類が互いに異なる複数の設定モードを含むモードであるとともに、警報器1の設定を行うためのモードである。
特殊モードは、複数の設定モードとして、センサ点検モード、通信設定モードおよび設定消去モードを含む。センサ点検モードは、第2検知部20の機能を点検するためのモードである。通信設定モードは、ネットワーク2上のサーバ3との通信に係る通信部40の機能の設定に関するモードである。設定消去モードは、通信設定モードにて設定された、サーバ3との通信に係る通信部40の機能の設定を消去するためのモードである。
ここで、まず、ユーザによって押しボタン30が押下された状態で、警報器1への電源投入が行われたものとする(S1)。これにより、制御部80は、特殊モードを実行する。具体的には、制御部80は、特殊モードに含まれるセンサ点検モードを実行する。センサ点検モードは、ステップS2およびS3を含む。特殊モードは、ステップS1からS10を含む。
<センサ点検モード>
制御部80は、センサ点検モードを実行したとき、第2検知部20が安定するまで待機する(S2)。具体的には、制御部80は、センサ点検モードが実行された時点から30秒が経過するまで待機する。この場合、制御部80は、センサ点検モードが実行された時点で、センサ点検モードが実行された時点からの経過時間を計測部50に計測させる。計測部50は、計測している経過時間を制御部80に送信する。
制御部80は、ステップS2に進むと、電源ランプL3およびアクセスランプL5を点滅させる。このとき、電源ランプL3およびアクセスランプL5の点滅の周波数は、4Hzである。なお、ステップS2において、制御部80は、警報器1の電源投入時から30秒が経過するまで待機してもよい。この場合、制御部80は、警報器1の電源投入時に、警報器1の電源投入時からの経過時間を計測部50に計測させる。警報器1の電源投入時から30秒が経過すると、ステップS3に進む。
センサ点検モードが実行された時点から30秒が経過すると、制御部80は、3分30秒の間、第2検知部20の状態を示す(S3)。換言すると、制御部80は、センサ点検モードが実行された時点から4分が経過するまで、第2検知部20の状態を示す。このとき、制御部80は、第2検知部20の点検を開始する旨の音声を報知部70から出力させる。
具体的には、制御部80は、第2検知部20によって警報器1の周囲の人の存在が検知されている場合、アクセスランプL5を点灯させる。また、制御部80は、第2検知部20によって警報器1の周囲の人の存在が検知されていない場合、アクセスランプL5を消灯させる。
これにより、ユーザは、警報器1の設置位置における第2検知部20の反応具合をアクセスランプL5で点検することにより、警報器1の設置位置の妥当性を確認することができる。ステップS3は、制御部80が第2検知部20の機能に対して点検を行う動作である。
また、制御部80は、第2検知部20による人の存在に係る検知の強度を示してもよい。具体的には、制御部80は、検知の強度が強い場合、アクセスランプL5を点灯させる。このとき、制御部80は、検知の強度が強い旨の音声を報知部70から出力させてもよい。また、制御部80は、検知の強度が弱い場合、アクセスランプL5を点滅させる。このとき、制御部80は、検知の強度が弱い旨の音声を報知部70から出力させてもよく、アクセスランプL5の点滅の周波数は4Hzである。なお、音声に代えてブザー音で検知の強度を知らせる、または、音声およびブザー音で検知の強度を知らせるようにしてもよく、検知の強度によって「ピー」や「ピッピッ」のように音を切り替えるようにしてもよい。
さらに、制御部80は、第2検知部20により人の存在が検知されない場合、アクセスランプL5を消灯させる。このとき、制御部80は、人の存在が検知されていない旨の音声を報知部70から出力させてもよい。これにより、ユーザは、アクセスランプL5によって、第2検知部20の検知範囲を確認することができる。
ステップS3において、第2検知部20の状態が示されている場合、押しボタン30が後述する第1長押し操作を受け付けた場合であっても、制御部80は、センサ点検モードの実行から設定消去モードの実行へ変更することはできない。
なお、ステップS3において、制御部80は、警報器1の電源投入時から4分が経過するまで、第2検知部20の状態を示してもよい。この場合、警報器1の電源投入時から4分が経過すると、制御部80は、センサ点検モードの実行を終了し、ステップS4に進む。
センサ点検モードが実行された時点から4分が経過すると、制御部80は、センサ点検モードの実行を終了する。このとき、制御部80は、電源ランプL3およびアクセスランプL5を消灯させる。つまり、センサ点検モードにおいて、第2検知部20により実行される機能に対応して発光するアクセスランプL5は、センサ点検モードが終了した後に消灯する。これにより、ユーザは、第2検知部20により実行される機能に対応して発光するアクセスランプL5によって、センサ点検モードが終了したことを確認することができる。
制御部80は、センサ点検モードの実行を終了すると、通信設定モードを実行する。換言すると、制御部80は、複数の設定モードのうちのセンサ点検モードの実行から、複数の設定モードのうちの通信設定モードの実行へ変更する。
なお、センサ点検モードでは、制御部80は、ステップS2とステップS3との間で、第2検知部20の機能に対して設定を行ってもよく、ステップS3の代わりに、第2検知部20の機能に対して設定を行ってもよい。つまり、センサ点検モードは、第2検知部20の機能に対して点検および設定の少なくとも一方を行うモードである。
制御部80は、センサ点検モードにおいて、第2検知部20の機能に対して点検および設定の少なくとも一方を行う場合を考える。この場合、制御部80は、複数の発光部として、CO警報ランプL2、ガス警報ランプL4およびアクセスランプL5のうち少なくとも1つを発光させてもよい。
これにより、後述する監視モードとは異なるモードである特殊モードにおいて、ユーザは、第1検知部10および通信部40に対応して発光する発光部の発光を見ながら、外部環境の変化を検知する第2検知部20の機能を確認することができる。このように第2検知部20の機能の確認に、第1検知部10および通信部40に対応して発光する発光部を用いることができるので、例えば、監視モードでは発光させる必要がない機能について、新たに発光部を設けることなく機能の確認を行うことができる。
<押下操作による通信設定モードの実行への変更>
センサ点検モードが実行された時点から4分が経過するまでの間(センサ点検モード中)に、押しボタン30がユーザによる短押し操作を受け付けると、制御部80は、センサ点検モードの実行から通信設定モードの実行へ変更する。当該短押し操作の押下時間は1秒程度とすることができ、例えば1秒未満である。
なお、上記外部通信装置がスマートフォン等の携帯端末からの第1操作指示を受け付けると、制御部80は、センサ点検モードの実行から通信設定モードの実行へ変更してもよい。当該第1操作指示の内容は、センサ点検モードの実行から通信設定モードの実行への変更を指示する内容である。
また、センサ点検モードが実行された時点から30秒が経過するまでの間に、押しボタン30がユーザによる短押し操作を受け付けると、制御部80は、センサ点検モードの実行から通信設定モードの実行へ変更してもよい。つまり、後述する内容から、センサ点検モードの実行から通信設定モードの実行への変更が可能な期間と、センサ点検モードの実行から設定消去モードの実行への変更が可能な期間と、が同一であってもよいことが言える。
<押下操作による設定消去モードの実行への変更>
ステップS2において、センサ点検モードが実行された時点から30秒が経過するまでの間に、押しボタン30がユーザによる第1長押し操作を受け付ける場合を考える。この場合、制御部80は、センサ点検モードの実行から、複数の設定モードのうちの設定消去モードの実行へ変更する。当該第1長押し操作の押下時間は例えば5秒である。
なお、上記外部通信装置がスマートフォン等の携帯端末からの第2操作指示を受け付けると、制御部80は、センサ点検モードの実行から設定消去モードの実行へ変更してもよい。当該第2操作指示の内容は、センサ点検モードの実行から設定消去モードの実行への変更を指示する内容である。
また、センサ点検モードが実行された時点から4分が経過するまでの間に、押しボタン30がユーザによる第1長押し操作を受け付けると、制御部80は、センサ点検モードの実行から設定消去モードの実行へ変更してもよい。つまり、センサ点検モードの実行から通信設定モードの実行への変更が可能な期間と、センサ点検モードの実行から設定消去モードの実行への変更が可能な期間と、が同一であってもよい。
以上により、制御部80は、特殊モードが実行されている場合、押しボタン30が所定の操作を受け付けると、複数の設定モードのうちの第1設定モードの実行から、複数の設定モードのうちの第2設定モードの実行へ変更する。当該第2設定モードが通信設定モードに該当する場合、当該所定の操作が短押し操作、当該第1設定モードがセンサ点検モードとなる。一方、上記第2設定モードが設定消去モードに該当する場合、上記所定の操作が第1長押し操作、上記第1設定モードがセンサ点検モードとなる。
上記構成によれば、押しボタン30が所定の操作を受け付けるだけで、設定モードの変更が可能である。このため、警報器1の設定を行うための特殊モードが実行されている場合において、設定モードの変更を容易に行うことができる。
また、制御部80は、特殊モードが実行されている場合、第1所定時間が経過するまでの間に、押しボタン30が所定の操作としての第1操作を受け付けると、第1設定モードの実行から、第2設定モードの実行へ変更する。さらに、制御部80は、第1所定時間と同一の時間または異なる時間である第2所定時間が経過するまでの間に、押しボタン30が第1操作とは異なる所定の第2操作を受け付けると、第1設定モードの実行から、複数の設定モードのうちの第3設定モードの実行へ変更する。
第2設定モードが通信設定モード、第3設定モードが設定消去モードに該当する場合、第1所定時間が4分、第1操作が短押し操作、第1設定モードがセンサ点検モード、第2所定時間が30秒または4分、第2操作が第1長押し操作となる。一方、第2設定モードが設定消去モード、第3設定モードが通信設定モードに該当する場合、第1所定時間が30秒、第1操作が第1長押し操作、第1設定モードがセンサ点検モード、第2所定時間が30秒または4分、第2操作が短押し操作となる。
上記構成によれば、第1設定モードが実行されている場合において、押しボタン30が受け付ける操作の種類に応じて、第1設定モードの実行から、2つの設定モードの実行へ変更することができる。よって、2つの設定モードのそれぞれにおいて警報器1の設定を独立して行うことができる。
<通信設定モード>
制御部80は、センサ点検モードの実行から通信設定モードの実行へ変更したとき、自動設定モードを実行する(S4)。このとき、制御部80は、電源ランプL3およびアクセスランプL5を点滅させるとともに、通信部40の設定を開始する旨、および、自動設定モードである旨の音声を報知部70から出力させる。また、電源ランプL3の点滅の周波数は4Hzであり、アクセスランプL5の点滅の周波数は2Hzである。
通信設定モードは、ステップS4の自動設定モードおよびステップS7の手動設定モードを含む。なお、制御部80は、センサ点検モードの実行から通信設定モードの実行へ変更したとき、ステップS4よりも先に、ステップS7の手動設定モードを実行してもよい。また、通信設定モードは、ステップS4からS8を含んでもよい。
自動設定モードが実行されている状態で、建物内に配置されたルータに設けられたWPS(Wi-Fi Protected Setup)ボタンがユーザによって押下されると、制御部80は、当該ルータと通信部40とが通信するための設定を自動的に行う。このとき、制御部80は、上記ルータのSSID(Service Set Identifier)や暗号化キー等の登録情報を、通信部40から受信して記録部60に記録する。
自動設定モードが実行された時点から15分以内に、上記登録情報が記録部60に記録される場合、制御部80は、設定が成功したことを示す(S5)。具体的には、制御部80は、電源ランプL3を点滅させ、アクセスランプL5を点灯させるとともに、設定が成功した旨の音声を報知部70から出力させる。このとき、電源ランプL3の点滅の周波数は4Hzである。
制御部80は、設定が成功したことを示した後、10秒間、通信部40によるネットワーク2との通信強度を示す(S6)。具体的には、制御部80は、通信強度が強い場合、アクセスランプL5を点灯させるとともに、通信強度が強い旨の音声を報知部70から出力させる。
また、制御部80は、通信強度が弱い場合、アクセスランプL5を点滅させるとともに、通信強度が弱い旨の音声を報知部70から出力させる。このとき、アクセスランプL5の点滅の周波数は4Hzである。さらに、制御部80は、通信強度について通信不可の場合、アクセスランプL5を消灯させるとともに、通信不可の旨の音声を報知部70から出力させる。そして、特殊モードが終了する。
ステップS4において、押しボタン30がユーザによる第2長押し操作を受け付ける場合、制御部80は、自動設定モードの実行から手動設定モードの実行へ変更する(S7)。このとき、制御部80は、手動設定モードである旨の音声を報知部70から出力させる。当該第2長押し操作の押下時間は3秒である。また、ステップS7において、押しボタン30がユーザによる第2長押し操作を受け付ける場合、制御部80は、手動設定モードの実行から自動設定モードの実行へ変更する。
制御部80は、手動設定モードを実行すると、通信部40をアクセスポイントとして動作させる。このとき、ユーザは、PC(Personal Computer)やスマートフォン、タブレット等の操作端末を通信部40に接続し、当該操作端末を操作することにより、上記登録情報を通信部40に入力することができる。制御部80は、通信部40に入力された上記登録情報を記録部60に記録する。これにより、上記ルータにWPSボタンが設けられていない場合であっても、上記登録情報が記録部60に記録されることが可能となる。
手動設定モードが実行された時点から15分以内に、上記登録情報が記録部60に記録される場合、ステップS5に進む。このとき、制御部80は、記録部60に記録した当該登録情報を用いて、通信部40を上記ルータに接続させる。
ステップS4の自動設定モードまたはステップS7の手動設定モードが実行されているときに、押しボタン30がユーザによる短押し操作を受け付けると、制御部80は、上記ルータと通信部40とが通信するための設定を中断する。また、自動設定モードまたは手動設定モードが実行された時点から15分が経過したときに、上記登録情報が記録部60に記録されていない場合、制御部80は、上記ルータと通信部40とが通信するための設定を中断する。
この場合、制御部80は、設定が失敗したことを示す(S8)。具体的には、制御部80は、電源ランプL3およびアクセスランプL5を点滅させるとともに、設定が失敗した旨の音声を報知部70から出力させる。そして、特殊モードが終了する。このとき、電源ランプL3およびアクセスランプL5の点滅の周波数は4Hzである。
<設定消去モード>
制御部80は、センサ点検モードの実行から設定消去モードの実行へ変更したとき、上記ルータと通信部40とが通信するための設定の消去を実行する(S9)。具体的には、制御部80は、記録部60に記録されている上記登録情報を消去する。これにより、警報器1を廃棄した場合であっても、記録部60から上記登録情報が消去されている状態となることにより、不正アクセスや情報漏洩の防止等のセキュリティ対策を行うことができる。
このとき、制御部80は、電源ランプL3を消灯させる。設定消去モードは、ステップS9およびステップS10を含む。設定消去モードが実行されているときに、押しボタン30がユーザによる短押し操作を受け付けた場合であっても、設定消去モードは中断されない。ただし、逆に、設定消去モードが実行されているときに、押しボタン30がユーザによる短押し操作を受け付けた場合に、設定消去モードが中断されてもよい。設定消去モードが中断されると、制御部80は、後述するステップS11の機能確認モードを実行する。
そして、制御部80は、上記ルータと通信部40とが通信するための設定の消去が完了する(S10)。このとき、制御部80は、電源ランプL3およびアクセスランプL5を点灯させる。そして、設定消去モードが終了するとともに、特殊モードが終了する。
以上により、特殊モードは、設定モードとして、サーバ3との通信に係る機能の設定に関する通信設定モードを少なくとも含む。これにより、特殊モードに、ネットワーク2上のサーバ3との通信に係る機能の設定に関する通信設定モードが含まれるため、後述する監視モードの実行と、通信設定モードの実行とを独立して行うことができる。周辺雰囲気の検知の確実性を向上させると共に、ネットワーク2上のサーバ3との通信に係る機能の設定を行うことができる。
<機能確認モード>
ステップS6、S8またはS10の後、F1を介して、制御部80は、警報器1の機能を確認する機能確認モードを実行する(S11)。機能確認モードが実行されている場合、制御部80は、警報器1が備える各部の機能を確認する。例えば、制御部80は、第1検知部10による上記監視対象を検知する検知機能、第2検知部20による上記外部環境の変化を検知する検知機能、および、通信部40によるサーバ3との通信機能を確認する。
制御部80は、これらの機能の確認結果を、お知らせランプL1、CO警報ランプL2、電源ランプL3、ガス警報ランプL4およびアクセスランプL5の少なくとも1つを点灯させるとともに、音声を報知部70から出力させることによって示す。よって、制御部80は、特殊モードが終了した後、機能確認モードを実行する。これにより、特殊モードの実行と機能確認モードの実行とを独立して行うことができる。
<監視モード>
制御部80は、機能確認モードが終了した後、第1検知部10の検知結果に基づき周辺雰囲気の検知を行うための監視モードを実行する(S12)。監視モードが実行されている場合、制御部80は、監視対象である可燃ガス、一酸化炭素および火災について、所定値を超えている場合、警報報知動作を警報器1に実行させる。
具体的には、制御部80は、上記ガスセンサ、上記COセンサおよび上記火災センサから検知結果を受信した場合、これらの検知結果の数値が所定値を超えているか否かを判定する。制御部80は、上記検知結果の数値が所定値を超えていると判定した場合、監視対象に応じた警報報知動作を警報器1に実行させる。
例えば、制御部80は、上記ガスセンサが送信した検知結果において、可燃ガスの濃度が第1所定値を超えていると判定した場合、ガス警報ランプL4を点灯させると共に、ガス漏れの発生を音声で報知する警報音を報知部70から出力させる。同様に、制御部80は、上記COセンサが送信した検知結果において、一酸化炭素の濃度が第2所定値を超えていると判定した場合、CO警報ランプL2を点灯させると共に、一酸化炭素ガスの発生を音声で報知する警報音を報知部70から出力させる。
さらに、制御部80は、上記火災センサが送信した検知結果において、周辺雰囲気の温度が第3所定値を超えている、または、煙の濃度が第4所定値を超えていると判定した場合、火災の発生を音声で報知する警報音を報知部70から出力させる。
また、制御部80は、ネットワーク2上のサーバ3からコンテンツを通信部40が取得した場合、コンテンツ報知動作を警報器1に実行させる。制御部80は、第2検知部20によって警報器1の周囲に人の存在が検知されている場合に、警報器1にコンテンツ報知動作を実行させる。よって、制御部80は、監視モードを実行する際、第1検知部10による検知だけではなく、第2検知部20による検知も行う。
具体的には、制御部80は、通信部40から送信されるコンテンツ信号を受信した場合、第2検知部20による検知結果に基づき、警報器1の周囲に人がいるか否かを判定する。制御部80は、警報器1の周囲に人がいると判定した場合、お知らせランプL1を点灯させると共に、コンテンツを報知部70から出力させる。このように、第2検知部20によって警報器1の周囲に人の存在が検知されている場合のみコンテンツ報知動作を警報器1が実行することにより、警報器1の周囲にユーザがいない場合にコンテンツが出力されることを回避することができる。
また、監視モードが実行されている状態で、押しボタン30がユーザによる短押し操作、第1長押し操作または第2長押し操作を受け付けた場合、制御部80は、ステップS11と同様に、警報器1が備える各部の機能を確認する。これにより、ユーザは、警報器1が備える各部の機能を点検することができる。監視モードが実行されている状態で、押しボタン30が受け付ける短押し操作は、警報器1の点検操作となる。
よって、特殊モードが実行されている場合に押しボタン30が受け付ける所定の操作は、監視モードが実行されている場合に押しボタン30が受け付ける警報器1の点検操作と同一である。これにより、実行されているモードが異なる場合、同一の操作であっても、警報器1に対して異なる動作を行うことができる。
さらに、監視モードが実行されている場合、アクセスランプL5は、ネットワーク2上のサーバ3と通信部40との通信状態に応じて発光するだけであり、アクセスランプL5の発光は、第2検知部20による警報器1の周囲の人の存在の検知とは関連しない。
センサ点検モードにおいて、第2検知部20により実行される機能に対応して発光する発光部は、監視モードでは、第1検知部10または通信部40のいずれかにより実行される機能に対応して発光してもよい。
例えば、上述した通り、センサ点検モードにおいて、第2検知部20により実行される機能に対応して発光する発光部はアクセスランプL5であり、アクセスランプL5は、監視モードでは、通信部40により実行される機能に対応して発光する。また、センサ点検モードにおいて、第2検知部20により実行される機能に対応してCO警報ランプL2およびガス警報ランプL4の少なくとも一方が発光する場合を考える。この場合、監視モードでは、CO警報ランプL2およびガス警報ランプL4の少なくとも一方は、第1検知部10により実行される機能に対応して発光する。
このように、実行されているモードが異なる場合、異なる対象により実行される機能に対応して発光部が発光する。このため、ユーザは、同一の発光部の発光によって異なる対象により実行される機能を確認することができる。よって、同一の発光部に対して異なる機能を持たせることができる。
制御部80は、警報器1の電源投入時に、上記所定条件が満たされない場合には、図3に示すステップS1からS10の動作を省略し、機能確認モードを実行する。つまり、警報器1の電源投入時に、押しボタン30が押下されていない場合、制御部80は、ステップS1からS10の動作を省略し、機能確認モードを実行する。同様に、制御部80は、機能確認モードが終了した後、監視モードを実行する。
以上により、警報器1の設定を行うための特殊モードが実行されるためには、警報器1の電源投入時に、所定条件が満たされる必要がある。これにより、監視モードの実行と特殊モードの実行とが独立して行われる。これに加えて、特殊モードは、複数の設定モードを含むため、第1検知部10の検知結果に基づく周辺雰囲気の検知の確実性を向上させると共に、警報器1の詳細な設定を行うことができる。
警報器1は、第2検知部20により実行される機能に対応して発光する発光部を備えてもよく、第1検知部10や通信部40により実行される機能に対応して発光する発光部を第2検知部20により実行される機能に対応して発光するように兼用してもよい。
第2検知部20の検知対象は、周囲の人の存在の検知に限られない。例えば、温度や湿度を検知してもよい。ガスセンサとしては、化学反応を用いてガスを検知するセンサなど、他の検知原理のセンサを用いてもよい。警報器1の電源は、商用電源に限らず、電池であってもよい。
警報器1には、電源をONするための電源ボタンが設けられてもよい。この場合、当該電源ボタンも使用した操作が、上記所定条件を満たすようにしてもよい。つまり、上記所定条件は、押しボタン30および上記電源ボタンの少なくとも一方が押下されている状態であってもよい。
制御部80は、第2検知部20によって警報器1の周囲に人の存在が検知されている場合、および、人の存在が検知されていない場合のいずれでも、ネットワーク2上のサーバ3からコンテンツを通信部40が取得した場合、コンテンツ報知動作を警報器1に実行させるようにしてもよい。また、制御部80は、ネットワーク2上のサーバ3から取得した情報に応じて、人の存在が検知されている場合にのみ報知動作を行う、人の存在が検知されていない場合でも報知動作を行う、のように動作方法を変更するようにしてもよい。
〔ソフトウェアによる実現例〕
警報器1の制御ブロック(特に制御部80)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、警報器1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された複数の技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても本発明の技術的範囲に含まれる。