以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 圧電素子
まず、本実施形態に係る圧電素子について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る圧電素子100を模式的に示す断面図である。
圧電素子100は、図1に示すように、第1電極10と、圧電体層20と、第2電極30と、を含む。圧電素子100は、例えば、基体2上に形成されている。
基体2は、例えば、半導体、絶縁体などで形成された平板である。基体2は、単層であっても、複数の層が積層された構造であってもよい。基体2は、上面が平面的な形状であれば内部の構造は限定されず、例えば、内部に空間等が形成された構造であってもよい。
基体2は、図1に示すように、可撓性を有し、圧電体層20の動作によって変形(変位)することのできる振動板230であってもよい。振動板230は、例えば、酸化シリコン層、酸化ジルコニウム層、またはこれらの積層体(例えば、酸化シリコン層上に酸化ジルコニウム層が設けられた積層体)などである。
第1電極10は、基体2の上方に設けられている。図示の例では、第1電極10は、振動板230上に設けられている。第1電極10の形状は、例えば、層状である。第1電極10の膜厚(厚さ)は、例えば、3nm以上200nm以下である。第1電極10の材質は、例えば、イリジウム層や白金層などの金属層、それらの導電性酸化物層(例えば酸化イリジウム層)、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO3:SRO)層などである。第1電極10は、上記に例示した層を複数積層した構造を有していてもよい。
第1電極10は、圧電体層20に電圧を印加するための一方の電極である。第1電極10は、圧電体層20の下に設けられた下部電極である。
なお、図示はしないが、第1電極10と基体2との間には、両者の密着性を向上させる密着層が設けられていてもよい。密着層は、例えば、チタン層、酸化チタン層、ジルコニウム層、酸化ジルコニウム層などである。
圧電体層20は、第1電極10の上方に設けられている。図示の例では、圧電体層20は、第1電極10上に設けられている。さらに、圧電体層20は、基体2上に設けられている。圧電体層20の膜厚は、例えば、100nm以上3μm以下である。圧電体層20は、第1電極10と第2電極30との間に電圧が印加されることにより、変形することができる。
圧電体層20は、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、およびニオブ(Nb)を含み、ペロブスカイト型構造を有している。さらに、圧電体層20は、チタン(Ti)およびジルコニウム(Zr)から選択される1種以上の特定元素(以下、単に「特定元素」ともいう)を含む。すなわち、圧電体層20は、TiおよびZrの一方を含んでいてもよいし、TiおよびZrの両方を含んでいてもよい。さらに、圧電体層20は、鉄(Fe)を含んでいてもよい。
圧電体層20は、第1層21と、第2層22と、を有している。第1層21は、例えば、第1電極10上に設けられている。第1層21の膜厚は、例えば、5nm以上200nm以下である。第2層22は、例えば、第1層21上に設けられている。図示の例では、第2層22は、第1電極10および第1層21を覆い、基体2上に設けられている。
第1層21の特定元素の原子濃度と、第2層22の特定元素の原子濃度とは、異なる。すなわち、第1層21のチタンの原子濃度と、第2層22のチタンの原子濃度とは、異なり、第1層21のジルコニウムの原子濃度と、第2層22のジルコニウムの原子濃度とは
、異なる。「特定元素の原子濃度」とは、ある体積に含まれる特定元素の原子の数を、ある体積に含まれる原子の総数で除したものであり、百分率としてatm%で表記される。
第1層21の特定元素の原子濃度は、例えば、第2層22の特定元素の原子濃度よりも大きい。すなわち、第1層21のチタンの原子濃度は、例えば、第2層22のチタンの原子濃度よりも大きく、第1層21のジルコニウムの原子濃度は、例えば、第2層22のジルコニウムの原子濃度よりも大きい。
第1層21は、特定元素を含み、第2層22は、特定元素を含まなくてもよい。第1層21は、TiおよびZrが添加されたニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)層であってもよく、第2層22は、TiおよびZrが添加されていないKNN層であってもよい。
第1層21の特定元素の原子濃度が第2層22の特定元素の原子濃度よりも大きい場合、第1層21のFeの原子濃度は、第2層22のFeの原子濃度よりも大きい。第1層21は、Feを含み、第2層22は、Feを含まなくてもよい。第1層21は、Ti、Zr、およびFeが添加されたKNN層であってもよく、第2層22は、Ti、Zr、およびFeが添加されていないKNN層であってもよい。
第1層21がTiを含む場合、Tiは、KNN層のBサイトに含まれていてもよい。Tiの原子濃度は、Nbのモル数に対して、例えば、20モル%以下、好ましくは15モル%以下、より好ましくは10%以下である。第1層21がZrを含む場合、Zrは、KNN層のBサイトに含まれていてもよい。Zrの原子濃度は、Nbのモル数に対して、例えば、20モル%以下、好ましくは15モル%以下、より好ましくは10%以下である。 第1層21がFeを含む場合、Feは、KNN層のBサイトに含まれていてもよい。Feの原子濃度は、Nbのモル数に対して、例えば、20モル%以下、好ましくは15モル%以下、より好ましくは10%以下である。
なお、第1層21には、カルシウム(Ca)が添加されていてもよい。第1層21にCaが添加されることにより、第1層21上に設けられる第2層22の配向を制御することができる。
圧電体層20は、第1電極10と第2電極30との間に位置する部分(第1電極10および第2電極30に挟持されている電極被挟持部)23を有している。圧電体層20は、圧電体層20を膜厚方向の中心で2分割した場合に、第1電極10側の第1部分24と、第2電極30側の第2部分25と、を有している。圧電体層20の膜厚方向は、例えば、基体2の上面の垂線方向である。
ここで、「圧電体層20を膜厚方向の中心で2分割した場合」とは、圧電体層20の電極被挟持部23において、膜厚方向の中心で2分割した場合という意味であり、第1部分24および第2部分25は、電極被挟持部23に含まれている。また、「圧電体層20を膜厚方向の中心で2分割した場合」とは、例えば、電極被挟持部23において、第1電極10までの距離と第2電極30までの距離とが等しい仮想面によって圧電体層20を2分割した場合という意味である。
図示の例では、電極被挟持部23は、仮想平面Pの下側に第1部分24を有し、仮想平面Pの上側に第2部分25を有している。仮想平面Pは、電極被挟持部23の中心Cを通り、圧電体層20の膜厚方向と直交する(膜厚方向に伸びる垂線を有する)平面である。図示の例では、電極被挟持部23の形状は、長方形である。
第1部分24の特定元素の原子濃度と、第2部分25の特定元素の原子濃度とは、異な
る。すなわち、第1部分24のチタンの原子濃度と、第2部分25のチタンの原子濃度とは、異なり、第1部分24のジルコニウムの原子濃度と、第2部分25のジルコニウムの原子濃度とは、異なる。第1部分24に含まれる特定元素の原子の数(M1)を第1部分24に含まれる原子の総数(N1)で割った値(M1/N1)と、第2部分25に含まれる特定元素の原子の数(M2)を第2部分25に含まれる原子の総数(N2)で割った値(M2/N2)とは、異なる。
図示の例では、第1部分24は、第1層21および第2層22を有し、第2部分25は、第1層21を有さずに第2層22を有している。第1層21の特定元素の原子濃度は、第2層22の特定元素の原子濃度よりも大きい。そのため、第1部分24の特定元素の原子濃度は、第2部分25の特定元素の原子濃度よりも大きい。すなわち、第1部分24のチタンの原子濃度は、第2部分25のチタンの原子濃度よりも大きく、第1部分24のジルコニウムの原子濃度は、第2部分25のジルコニウムの原子濃度よりも大きい。例えば、値(M1/N1)は、値(M2/N2)よりも大きい。
第1部分24の特定元素の原子濃度と、第2部分25の特定元素の原子濃度と、の大小関係は、例えば、圧電体層20の膜厚方向において、二次イオン質量分析(SIMS)を行うことにより把握することができる。
例えば、SIMSにより、横軸を圧電体層の上面から膜厚方向における距離、縦軸を二次イオンによる信号強度としたグラフを取得し、第1部分24に対応する範囲での特定元素に由来する信号強度の積分値と、第2部分25に対応する範囲での特定元素に由来する信号強度の積分値と、を取得する。例えば、SIMSにおいて圧電体層の表面に照射する一次イオンの照射領域の径を10μm以上250μm以下として、第1部分24に対応する範囲での特定元素に由来する信号強度の積分値と、第2部分25に対応する範囲での特定元素に由来する信号強度の積分値と、を取得した場合は、当該積分値の大小関係を、第1部分24の特定元素の原子濃度と、第2部分25の特定元素の原子濃度と、の大小関係とみなすことができる。以上により、第1部分24の特定元素の原子濃度と、第2部分25の特定元素の原子濃度と、の大小関係を把握することができる。例えば、第1部分24に対応する範囲に、特定元素に由来する信号強度の極大値が位置していてもよい。
なお、第1部分24の特定元素の原子濃度と、第2部分25の特定元素の原子濃度と、の大小関係を把握することができれば、SIMS以外の方法によって、圧電体層20を分析してもよい。
また、第1層21の特定元素の原子濃度と、第2層22の特定元素の原子濃度と、の大小関係についても、第1部分24および第2部分25と同様に、例えばSIMSによって把握することができる。
第1部分24の特定元素の原子濃度が第2部分25の特定元素の原子濃度よりも大きい場合、第1部分24のFeの原子濃度は、第2部分25のFeの原子濃度よりも大きい。第1部分24のFeの原子濃度と、第2部分25のFeの原子濃度と、の大小関係は、特定元素と同様に、例えばSIMSによって把握することができる。
第2電極30は、圧電体層20の上方に設けられている。図示の例では、第2電極30は、圧電体層20上に設けられている。さらに、第2電極30は、圧電体層20の側面、および基体2上に設けられている。第2電極30が圧電体層20の側面に設けられていることにより、圧電体層20の側面から水分が圧電体層20に浸入することを抑制することができる。
第2電極30の形状は、例えば、層状である。第2電極30の膜厚は、例えば、50nm以上300nm以下である。第2電極30は、例えば、イリジウム層や白金層などの金属層、それらの導電性酸化物層(例えば酸化イリジウム層)、ルテニウム酸ストロンチウム層などである。第2電極30は、上記に例示した層を複数積層した構造を有していてもよい。
第2電極30は、圧電体層20に電圧を印加するための他方の電極である。第2電極30は、圧電体層20の上に設けられた上部電極である。
圧電素子100は、例えば、圧力発生室の液体を加圧する圧電アクチュエーターとして、液体吐出ヘッドや、該液体吐出ヘッドを用いたプリンターなどに用いられてもよいし、圧電体層の変形を電気信号として検出する圧電センサー(超音波センサー、ジャイロセンサー)等に用いられてもよい。
圧電素子100は、例えば、以下の特徴を有する。
圧電素子100では、圧電体層20の第1部分24の特定元素の原子濃度と、圧電体層20の第2部分25の特定元素の原子濃度とは、異なる。そのため、圧電素子100では、第1部分24および第2部分25のうち特定元素の原子濃度が大きい部分で、リーク電流(圧電体層20を介して第1電極10と第2電極30との間を流れるリーク電流)を抑制することができ、第1部分24および第2部分25のうち特定元素の原子濃度が小さい部分で良好な圧電特性を有することができる。したがって、圧電素子100では、良好な圧電特性を有し、かつリーク電流を抑制することができる。
ここで、特定元素(Ti、Zr)の原子濃度が大きいと、リーク電流を抑制することができる理由について説明する。図2~図4は、ペロブスカイト構造におけるリーク電流を説明するための図である。図2~図4において、Aは、Aサイトの陽イオンを示し、Bは、Bサイトの陽イオンを示している。なお、図2~図4では、便宜上、酸素原子の図示を省略している。
KNN層は、AサイトがKまたはNa、BサイトがNbであるペロブスカイト構造を有している。KNN層では、KおよびNaは+1価の価数を有し(K+1、Na+1)、Nbは+5価の価数を有している(Nb+5)。
KNN層のKおよびNaは、KNN層の成膜工程などで拡散しやすく、KNN層は、図2に示すように、Aサイトに、欠陥(ホール)Hが生成しやすい。Aサイトに欠陥Hがある状態で、KNN層に電圧を印加すると、図2に示すように、Aサイトの陽イオンA(K+1またはNa+1)が欠陥Hに移動し、図3に示すように、移動した陽イオンAが存在した場所に新たに欠陥Hが生成する。さらに、図3に示すように、新たに生成した欠陥Hに陽イオンAが移動し、図4に示すように、移動した陽イオンAが存在した場所に新たに欠陥Hが生成する。以上のことを繰り返し、欠陥Hが移動することにより、リーク電流が発生する。
一方、Bサイトに特定元素が位置する場合、Tiは+3価または+4価の価数を有し(Ti+3、Ti+4)、Zrは+4価の価数を有するため(Zr+4)、Bサイトに+5価のNbが位置している場合に比べて、ペロブスカイト構造において、プラスの価数が減ることになる。そのため、プラスの価数を有する陽イオンAを、Aサイトに留めておく力が働き、陽イオンAは、移動し難くなる。したがって、欠陥Hが移動することを抑制することができ、リーク電流を抑制することができる。よって、圧電素子100では、第1部分24および第2部分25のうち特定元素の原子濃度が大きい部分でリーク電流を抑制す
ることができる。
さらに、特定元素の原子濃度が大きい部分では、ペロブスカイト構造が崩れる場合がある。このペロブスカイト構造が崩れた部分において、欠陥Hの移動が遮られ、リーク電流を抑制することができる場合がある。
上記のように、特定元素の原子濃度が大きい部分では、ペロブスカイト構造が崩れる場合があるため、圧電特性が劣化する場合がある。よって、圧電素子100では、第1部分24および第2部分25のうち特定元素の原子濃度が小さい部分で、良好な圧電特性を確保することができる。
以上のように、圧電素子100では、第1部分24の特定元素の原子濃度と、第2部分25の特定元素の原子濃度とが、異なることにより、良好な圧電特性を有し、かつリーク電流を抑制することができる。
圧電素子100では、第1部分24の特定元素の原子濃度は、第2部分25の特定元素の原子濃度よりも大きい。特定元素の原子濃度が大きい第1部分24は、特定元素の原子濃度が小さい第2部分25に比べて、第1電極10を構成する導電材料に対して、高いバリア性を有することができる。そのため、圧電素子100では、第1部分24が第2部分25よりも第1電極10側に設けられていることにより、第1電極10が圧電体層20に拡散することを抑制することができる。特に、第1部分24は、白金に対して高いバリア性を有することができる。
圧電素子100では、第1部分24のFeの原子濃度は、第2部分25のFeの原子濃度よりも大きくてもよい。BサイトにFeが位置する場合、Feは+3価の価数を有するため(Fe+3)、Bサイトに+5価のNbが位置している場合に比べて、ペロブスカイト構造において、プラスの価数が減ることになる。そのため、上述した特定元素の場合と同様に、第1部分24によって欠陥Hが移動することを抑制することができ、リーク電流を抑制することができる。さらに、特定元素の場合と同様に、Feの原子濃度が大きい部分では、ペロブスカイト構造が崩れる場合がある。そのため、第2部分25によって、良好な圧電特性を確保することができる。
なお、上記では、第1部分24が特定元素の原子濃度が大きい第1層21を有している例について説明したが、第1部分24においてリーク電流を抑制することができれば、特定元素の原子濃度が大きい領域は、層状でなくてもよい。ただし、リーク電流をより確実に抑制するためには、特定元素の原子濃度が大きい領域は、層状であることが好ましい。
また、上記では、第2層22が第1電極10および第1層21を覆い、さらに、第2電極30が圧電体層20の側面に設けられている例について説明したが、本発明に係る圧電素子では、第2層22は、第1層21の上方にのみ設けられ、第2電極30は、第2層22の上方にのみ設けられていてもよい。
2. 圧電素子の製造方法
次に、本実施形態に係る圧電素子100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る圧電素子100の製造工程を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、基体2を準備する。具体的には、シリコン基板を熱酸化することによって酸化シリコン層を形成する。次に、酸化シリコン層上にスパッタ法などによってジルコニウム層を形成し、ジルコニウム層を熱酸化することによって酸化ジルコニウム層を
形成する。以上の工程により、基体2を準備することができる。
次に、基体2上に、第1電極10を形成する。第1電極10は、例えば、スパッタ法や真空蒸着法などによって形成される。
次に、第1電極10上に、圧電体層20の第1層21を形成する。第1層21は、例えば、ゾルゲル法やMOD(Metal Organic Deposition)などの液相法(化学溶液法)によって形成される。以下、第1層21の形成方法について説明する。
例えば、Kを含む金属錯体、Naを含む金属錯体、Nbを含む金属錯体、Tiを含む金属錯体、およびZrを含む金属錯体を、有機溶媒に溶解または分散させて第1前駆体溶液を調整する。第1前駆体容器は、Feを含む金属錯体を含んでいてもよい。
調整された第1前駆体溶液を、第1電極10上に、スピンコート法等を用いて塗布して第1前駆体層を形成する(塗布工程)。次に、第1前駆体層を、例えば130℃以上250℃以下で加熱して一定時間乾燥させ(乾燥工程)、さらに、乾燥した第1前駆体層を、例えば300℃以上450℃以下で加熱して一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。次に、脱脂した第1前駆体層を、例えば650℃以上800℃以下で加熱し、この温度で一定時間保持することによって結晶化させる(焼成工程)。
以上の工程により、第1電極10上に第1層21を形成する。なお、上記の塗布工程から焼成工程までの一連の工程を複数回繰り返すことによって、複数の第1前駆体層からなる第1層21を形成してもよい。
Kを含む金属錯体としては、例えば、2-エチルヘキサン酸カリウム、酢酸カリウムなどが挙げられる。Naを含む金属錯体としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。Nbを含む金属錯体としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ニオブ、ペンタエトキシニオブなどが挙げられる。Tiを含む金属錯体としては、例えば、チタニウムイソプロポキシド等のチタニウムアルコキシドなどが挙げられる。Zrを含む金属錯体としては、例えば、ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナートなどが挙げられる。Feを含む金属錯体としては、例えば、2-エチルヘキサン酸鉄などが挙げられる。なお、2種以上の金属錯体を併用してもよい。例えば、カリウムを含む金属錯体として、2-エチルへキサン酸カリウムと酢酸カリウムとを併用してもよい。
溶媒としては、例えば、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、オクタン、デカン、シクロヘキサン、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸、オクチル酸、2-nブトキシエタノール、n-オクタンまたはこれらの混合溶媒などが挙げられる。
次に、第1層21および第1電極10をパターニングする。これにより、図5に示すように、所定形状の第1層21および第1電極10を形成することができる。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。
図1に示すように、圧電体層20の第2層22を形成する。第2層22は、第1層21と同様に、例えば液相法によって形成される。
第2層22を形成するための第2前駆体溶液は、例えば、Kを含む金属錯体、Naを含
む金属錯体、Nbを含む金属錯体を含む。第2前駆体溶液は、例えば、Tiを含む金属錯体、Zrを含む金属錯体、およびFeを含む金属錯体を含まない。第2前駆体溶液のKを含む金属錯体、Naを含む金属錯体、Nbを含む金属錯体の種類は、例えば、第1前駆体溶液と同じである。
第2前駆体溶液に対して、第1前駆体溶液と同様に、塗布工程、乾燥工程、脱脂工程、および焼成工程を行い、第2前駆体層を形成する。そして、例えば、上記の塗布工程から焼成工程までの一連の工程を複数回繰り返すことによって、複数の第2前駆体層からなる第2層22を形成する。
第1層21および第2層22を形成するための乾燥工程、脱脂工程、および焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、赤外線ランプの照射により加熱するRTA(Rapid Thermal Annealing)装置が挙げられる。
次に、第2層22をパターニングする。これにより、図1に示すように、所定形状の第2層22を形成することができ、圧電体層20を形成することができる。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。
次に、圧電体層20上に第2電極30を形成する。第2電極30は、例えば、スパッタ法や真空蒸着法などによる成膜、およびフォトリソグラフィーおよびエッチングによるパターニングによって形成される。
以上の工程により、圧電素子100を製造することができる。
なお、上記では、液相法によって圧電体層20を形成する例について説明したが、第1部分24の特定元素の原子濃度と、第2部分25の特定元素の原子濃度とが異なれば、圧電体層20の形成方法は、特に限定されず、例えば、スパッタ法などであってもよい。
3. 圧電素子の変形例
3.1. 第1変形例
次に、本実施形態の第1変形例に係る圧電素子について、図面を参照しながら説明する。図6は、本実施形態の第1変形例に係る圧電素子110を模式的に示す断面図である。以下、本実施形態の第1変形例に係る圧電素子110において、上述した本実施形態に係る圧電素子100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上述した圧電素子100では、図1に示すように、第1部分24が特定元素の原子濃度の大きい第1層21を有するため、第1部分24の特定元素の原子濃度は、第2部分25の特定元素の原子濃度よりも大きかった。さらに、圧電素子100では、第1部分24の鉄の原子濃度は、第2部分25の鉄の原子濃度よりも大きかった。
これに対し、圧電素子110では、図6に示すように、第2部分25が第1層21を有しており、第2部分25の特定元素の原子濃度は、第1部分24の特定元素の原子濃度よりも大きい。すなわち、第2部分25のチタンの原子濃度は、第1部分24のチタンの原子濃度よりも大きく、第2部分25のジルコニウムの原子濃度は、第1部分24のジルコニウムの原子濃度よりも大きい。さらに、圧電素子110では、第2部分25の鉄の原子濃度は、第1部分24の鉄の原子濃度よりも大きい。図示の例では、第1部分24は、第1層21を有さず、第2層22によって構成されている。第2部分25は、第1層21および第2層22によって構成されている。
圧電素子110では、まず、第1電極10上に第2層22を形成し、次に、第2層22上に第1層21を形成することによって、圧電体層20を形成することができる。
圧電素子110は、例えば、以下の特徴を有する。
圧電素子110では、第2部分25の特定元素の原子濃度は、第1部分24の特定元素の原子濃度よりも大きい。すなわち、第1部分24の特定元素の原子濃度は、第2部分25の特定元素の原子度よりも小さい。そのため、圧電素子110では、第1部分24の圧電特性は、第2部分25の圧電特性よりも良好であり、振動板230側に圧電特性の良好な第1部分24が設けられている。したがって、圧電素子110では、例えば第1部分24の特定元素の原子濃度が第2部分25の特定元素の原子濃度よりも大きい場合に比べて、良好な圧電特性を有する第1部分24の変形を、振動板230に伝え易く、効率よく振動板230を変位させることができる。
圧電素子110では、第2部分25の鉄の原子濃度は、第1部分24の鉄の原子濃度よりも大きくてもよい。そのため、圧電素子110では、第1部分24によって良好な圧電特性を有することができ、第2部分25によってリーク電流を抑制することができる。
なお、図示はしないが、第1層21は、第1電極10に接しておらず、かつ、第2電極30に接していなくてもよい。例えば、第1層21は、2つの第2層22の間に設けられていてもよい。この場合、第1部分24が第1層21を有していてもよいし、第2部分25が第1層21を有していてもよい。
3.2. 第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係る圧電素子について、図面を参照しながら説明する。図7は、本実施形態の第2変形例に係る圧電素子120を模式的に示す断面図である。以下、本実施形態の第2変形例に係る圧電素子120において、上述した本実施形態に係る圧電素子100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上述した圧電素子100では、図1に示すように、圧電体層20は、1つの第1層21と、1つの第2層22と、を有していた。
これに対し、圧電素子120では、図7に示すように、圧電体層20は、複数の第1層21と、複数の第2層22と、を有している。第1層21の数および第2層22の数は、特に限定されないが、図示の例では、第1層21および第2層22は、3つずつ設けられている。
第1層21および第2層22は、交互に積層されている。図示の例では、圧電体層20の電極被挟持部23において、第1電極10上に、第1層21、第2層22、第1層21、第2層22、第1層21、第2層22の順で、第1層21および第2層22が交互に積層されている。
圧電体層20の最も第1電極10側には、第1層21が設けられている。ここで、「圧電体層20の最も第1電極10側」とは、圧電体層20の電極被挟持部23において最も第1電極10側と意味である。図示の例では、第1電極10上には、第1層21が設けられている。
第1層21の特定元素の原子濃度は、例えば、第2層22の特定元素の原子濃度よりも大きい。例えば、複数の第1層21のうち最も特定元素の原子濃度が小さい第1層21の
特定元素の原子濃度は、複数の第2層22のうち最も特定元素の原子濃度が大きい第2層22の特定元素の原子濃度よりも、大きい。
第1層21の鉄の原子濃度は、例えば、第2層22の鉄の原子濃度よりも大きい。例えば、複数の第1層21のうち最も鉄の原子濃度が小さい第1層21の鉄の原子濃度は、複数の第2層22のうち最も鉄の原子濃度が大きい第2層22の鉄の原子濃度よりも、大きい。
圧電素子120は、例えば、以下の特徴を有する。
圧電素子120では、圧電体層20は、複数の第1層21と、複数の第2層22と、を有し、第1層21および第2層22は、交互に積層され、第1層21の特定元素の原子濃度と、第2層22の特定元素の原子濃度とは、異なる。そのため、圧電素子120では、例えば外部からの力によって圧電体層の所定部分にクラックが生じ、クラック発生部における第1層21および第2層22にクラックが生じたとしても、第1層21および第2層22が交互に積層されているため、クラックが生じていない第1層21および第2層22が存在する可能性を高くすることができる。これにより、圧電素子120では、圧電体層20のクラック発生部において、第1層21のリーク電流を抑制する機能、および第2層22の圧電特性を確保する機能が損なわれたとしても、クラックが生じていない第1層21および第2層22によって、良好な圧電特性を有し、かつリーク電流を抑制することができる。このように、圧電素子120では、1つの第1層21および1つの第2層22の機能が損なわれたとしても、他の第1層21および他の第2層22によって、良好な圧電特性を有し、かつリーク電流を抑制することができる。
なお、1つの第1層21および1つの第2層22の機能が損なわれる理由としては、クラックの発生に限定されない。例えば、何らかの理由で、1つの第1層21から特定元素が抜けることにより、1つの第1層21のリーク電流を抑制する機能が損なわれても、他の第1層21は特定元素を含むため、圧電素子120では、リーク電流を抑制することができる。
圧電素子120では、第1層21の特定元素の原子濃度は、第2層22の特定元素の原子濃度よりも大きく、圧電体層20の最も第1電極10側には、第1層21が設けられている。特定元素の原子濃度が大きい第1層21は、特定元素の原子濃度が小さい第2層22に比べて、第1電極10を構成する導電材料に対して、高いバリア性を有することができる。そのため、圧電素子120では、圧電体層20の最も第1電極10側に第2層22が設けられている場合に比べて、例えば第1電極10と圧電体層20との界面において第1電極10の拡散を抑制することができる。したがって、圧電素子120では、第1電極10が圧電体層20に拡散することを、より確実に抑制することができる。
圧電素子120では、第1層21の鉄の原子濃度は、第2層22の鉄の原子濃度よりも大きくてもよい。そのため、圧電素子120では、第1層21によってリーク電流を抑制することができ、第2層22によって良好な圧電特性を確保することができる。
4. 液体吐出ヘッド
次に、本実施形態に係る液体吐出ヘッドについて、図面を参照しながら説明する。図8は、本実施形態に係る液体吐出ヘッド200を模式的に示す分解斜視図である。図9は、本実施形態に係る液体吐出ヘッド200を模式的に示す平面図である。図10は、本実施形態に係る液体吐出ヘッド200を模式的に示す図9のIX-IX線断面図である。なお、図8~図10では、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
本発明に係る液体吐出ヘッドは、本発明に係る圧電素子を含む。以下では、一例として、圧電素子100を含む液体吐出ヘッド200について説明する。
液体吐出ヘッド200は、図8~図10に示すように、例えば、圧電素子100と、流路形成基板210と、ノズルプレート220と、振動板230と、保護基板240と、回路基板250と、コンプライアンス基板260と、を含む。なお、便宜上、図8では、回路基板250および接続配線204の図示を省略している。
流路形成基板210は、例えば、シリコン基板である。流路形成基板210には、圧力発生室211が設けられている。圧力発生室211は、複数の隔壁212によって区画されている。
流路形成基板210のうち、圧力発生室211の+X軸方向側の端部には、インク供給路213および連通路214が設けられている。インク供給路213は、圧力発生室211の+X軸方向側の端部をY軸方向から絞ることで、その開口面積が小さくなるように構成されている。連通路214のY軸方向の大きさは、圧力発生室211のY軸方向の大きさと、例えば同じである。連通路214の+X軸方向側には、連通部215が設けられている。連通部215は、マニホールド216の一部を構成する。マニホールド216は、各圧力発生室211の共通のインク室となる。このように、流路形成基板210には、圧力発生室211、インク供給路213、連通路214、および連通部215からなる液体流路が形成されている。
ノズルプレート220は、流路形成基板210の一方の面(-Z軸方向側の面)に設けられている。ノズルプレート220の材質は、例えば、SUS(Steel Use Stainless)である。ノズルプレート220は、例えば接着剤や熱溶着フィルム等によって、流路形成基板210に接合されている。ノズルプレート220には、Y軸に沿ってノズル開口222が並設されている。ノズル開口222は、圧力発生室211に連通している。
振動板230は、流路形成基板210の他方の面(+Z軸方向側の面)に設けられている。振動板230は、例えば、流路形成基板210上に形成された第1絶縁層232と、第1絶縁層232上に設けられた第2絶縁層234と、により構成されている。第1絶縁層232は、例えば、酸化シリコン層である。第2絶縁層234は、例えば、酸化ジルコニウム層である。
圧電素子100は、例えば、振動板230上に設けられている。圧電素子100は、複数設けられている。圧電素子100の数は、特に限定されない。
液体吐出ヘッド200では、電気機械変換特性を有する圧電体層20の変形によって、振動板230および第1電極10が変位する。すなわち、液体吐出ヘッド200では、振動板230および第1電極10が、実質的に振動板としての機能を有している。なお、振動板230を省略して、第1電極10のみが振動板として機能するようにしてもよい。流路形成基板210上に第1電極10を直接設ける場合には、第1電極10にインクが接触しないように、第1電極10を絶縁性の保護膜等で保護することが好ましい。
第1電極10は、圧力発生室211ごとに独立する個別電極として構成されている。第1電極10のY軸方向の大きさは、圧力発生室211のY軸方向の大きさよりも小さい。第1電極10のX軸方向の大きさは、圧力発生室211のX軸方向の大きさよりも大きい。X軸方向において、第1電極10の両端部は、圧力発生室211の両端部より外側に位
置している。第1電極10の-X軸方向側の端部には、リード電極202が接続されている。
圧電体層20のY軸方向の大きさは、例えば、第1電極10のY軸方向の大きさよりも大きい。圧電体層20のX軸方向の大きさは、例えば、圧力発生室211のX軸方向の大きさよりも大きい。圧電体層20の+X軸方向側の端部は、例えば、第1電極10の+X軸方向側の端部よりも外側に(+X軸方向側に)位置している。すなわち、第1電極10の+X軸方向側の端部は、圧電体層20によって覆われている。一方、圧電体層20の-X軸方向側の端部は、例えば、第1電極10の-X軸方向側の端部よりも内側に(+X軸方向側に)位置している。すなわち、第1電極10の-X軸方向側の端部は、圧電体層20によって覆われていない。
第2電極30は、圧電体層20および振動板230上に連続して設けられている。第2電極30は、複数の圧電素子100に共通する共通の電極として構成されている。なお、図示はしないが、第2電極30ではなく、第1電極10を共通の電極としてもよい。
保護基板240は、接着剤203によって流路形成基板210に接合されている。保護基板240には、貫通孔242が設けられている。図示の例では、貫通孔242は、保護基板240をZ軸方向に貫通しており、連通部215と連通している。貫通孔242および連通部215は、各圧力発生室211の共通のインク室となるマニホールド216を構成している。さらに、保護基板240には、保護基板240をZ軸方向に貫通する貫通孔244が設けられている。貫通孔244には、リード電極202の端部が位置している。
保護基板240には、開口部246が設けられている。開口部246は、圧電素子100の駆動を阻害しないための空間である。開口部246は、密封されていてもよいし、密封されていなくてもよい。
回路基板250は、保護基板240上に設けられている。回路基板250には、圧電素子100を駆動させるための半導体集積回路(IC)を含む。回路基板250とリード電極202は、接続配線204を介して電気的に接続されている。
コンプライアンス基板260は、保護基板240上に設けられている。コンプライアンス基板260は、保護基板240上に設けられた封止層262と、封止層262上に設けられた固定板264と、を有している。封止層262は、マニホールド216を封止するための層である。封止層262は、例えば、可撓性を有する。固定板264には、貫通孔266が設けられている。貫通孔266は、固定板264をZ軸方向に貫通している。貫通孔266は、平面視において(Z軸方向からみて)、マニホールド216と重なる位置に設けられている。
液体吐出ヘッド200は、良好な圧電特性を有し、かつリーク電流を抑制することができる圧電素子100を含む。そのため、液体吐出ヘッド200では、振動板230を効率よく変位させることができる。
5. プリンター
次に、本実施形態に係るプリンターについて、図面を参照しながら説明する。図11は、本実施形態に係るプリンター300を模式的に示す斜視図である。
本発明に係るプリンターは、本発明に液体吐出ヘッドを含む。以下では、一例として、液体吐出ヘッド200を含むプリンター300について説明する。
プリンター300は、インクジェット式のプリンターである。プリンター300は、図11に示すように、ヘッドユニット310を含む。ヘッドユニット310は、液体吐出ヘッド200を有している。液体吐出ヘッド200の数は、特に限定されない。ヘッドユニット310は、インク供給手段を構成するカートリッジ312,314が着脱可能に設けられている。ヘッドユニット310を搭載したキャリッジ316は、装置本体320に取り付けられたキャリッジ軸322に軸方向移動自在に設けられており、例えば、各々ブラックインク組成物およびカラーインク組成物を吐出する。
プリンター300では、駆動モーター330の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト332を介してキャリッジ316に伝達されることで、ヘッドユニット310を搭載したキャリッジ316は、キャリッジ軸322に沿って移動される。一方、装置本体320には搬送手段としての搬送ローラー340が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー340により搬送されるようになっている。記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られず、ベルトやドラム等であってもよい。
プリンター300は、プリンターコントローラー350を含む。プリンターコントローラー350は、液体吐出ヘッド200の回路基板250(図10参照)と電気的に接続されている。プリンターコントローラー350は、例えば、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、制御プログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、CPU(Central Processing Unit)等を含んで構成された制御部、および液体吐出ヘッド200へ供給するための駆動信号を発生する駆動信号発生回路などを備えている。
プリンター300は、振動板230を効率よく変位させることができる液体吐出ヘッド200を含む。そのため、プリンター300では、低消費電力で、記録シートSにインクを吐出することができる。
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。