本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る治具を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る治具の構成例を示す斜視図である。図2は、実施形態1に係る治具の加工対象の電線の端末を示す斜視図である。図3は、図2中のIII-III線に沿う断面図である。図4は、図2に示された電線の端末が治具により加工された状態を示す斜視図である。
実施形態1に係る図1に示す治具1は、図2及び図3に示す電線100の端末の被覆部101を除去するための治具である。実施形態1に係る治具1の加工対象の電線100は、図2及び図3に示すように、導線102と、導線102を被覆する被覆部101とからなる。導線102は、銅合金等の導電性を有する金属から構成された金属線103を少なくとも一本備える。実施形態1では、導線102は、金属線103を7本備える所謂撚線であるが、本発明では、導線102を構成する金属線103は、7本に限定されない。
実施形態1に係る治具1は、電線100の被覆部101の端末から所定距離200の位置に被覆部101を切断する切り込み110(図2中に一点鎖線で示す)を入れて、図3に示すように、端末の被覆部101を除去して、電線100をむくための治具である。なお、切り込み110は、電線100の長手方向に対して直交する方向に沿って延在して、実施形態1では、電線100の全周に形成される。
次に、治具1を説明する。図5は、実施形態1に係る治具の平面図である。図6は、図5中のVI-VI線に沿う断面図である。図7は、実施形態1に係る治具のガイド部の斜視図である。
治具1は、図1、図5及び図6に示すように、本体部10と、ガイド部材20とを備える。本体部10は、図6に示すように、切り刃11と、切り刃11を覆うホルダー12とからなる。本体部10は、切り刃11の長手方向に沿って、切り刃11をホルダー12内に移動自在に設ける所謂カッターナイフである。
切り刃11は、金属で構成され、帯板状に形成されている。切り刃11は、幅方向の一方の縁に被覆部101に切り込むことが可能な刃13が設けられている。刃13は、切り刃11の長手方向の全長に亘って設けられている。
実施形態1において、ホルダー12は、合成樹脂で構成され、切り刃11を長手方向に沿ってスライド自在に収容する刃収容孔14を備えている。ホルダー12は、刃収容孔14の先端を通して、ホルダー12外に切り刃11の先端を露出させ、切り刃11の先端の刃13が対象物に切り込むことを許容する。また、ホルダー12の刃収容孔14は、先端からの切り刃11の脱落を規制している。
また、ホルダー12は、刃収容孔14の基端を通して、切り刃11が刃収容孔14に出し入れ自在である。ホルダー12は、切り刃11が刃収容孔14の基端を通して出し入れされることで、収容する切り刃11を交換可能である。また、ホルダー12は、切り刃11の基端を支持するとともに、ホルダー12の長手方向に沿って移動自在に設けられて、切り刃11のホルダー12の長手方向の位置を位置決めする位置決め部材15を取り付けている。
また、ホルダー12には、切り欠け部16が複数形成されている。切り欠け部16は、ホルダー12の幅方向の一端から円弧状にホルダー12を切り欠いて形成され、切り刃11の刃13を露出している。切り欠け部16は、内側に電線100を位置づけることが可能であり、内側に電線100を位置づけることで、電線100の外周の一部が嵌合する。
また、複数の切り欠け部16は、ホルダー12の長手方向に間隔をあけて配置され、実施形態1では、三つ設けられているが、本発明では、切り欠け部16の数は、三つに限定されない。また、複数の切り欠け部16の曲率半径は、互いに異なるとともに、露出する切り刃11の刃13の刃先出し量201は、互いに異なる。なお、刃先出し量201は、切り刃11の刃13の刃先から切り欠け部16の底までの距離である。
複数の切り欠け部16は、それぞれ、嵌合する電線100の外径202が予め設定されている。切り欠け部16の曲率半径と刃先出し量201とは、切り欠け部16が嵌合する電線100の外径202に応じて設定されている。なお、切り欠け部16が嵌合する電線100を、切り欠け部16が対応する電線100と記す。実施形態1において、切り欠け部16の曲率半径は、切り欠け部16が対応する電線100の半径と略等しい。切り欠け部16の刃先出し量201は、切り欠け部16が対応する電線100の被覆部101の厚みに応じて設定され、実施形態1では、切り欠け部16が対応する電線100の被覆部101の厚みよりも若干大きな値に設定されている。即ち、複数の切り欠け部16は、対応する電線100の外径202の大きなものが小さなものよりも曲率半径及び刃先出し量201が大きくなっている。
実施形態1は、複数の切り欠け部16同士を区別する場合、複数の切り欠け部16のうちホルダー12の最も先端側の切り欠け部16を符号16-1で示し、複数の切り欠け部16のうち中央の切り欠け部16を符号16-2で示し、複数の切り欠け部16のうちホルダー12の最も基端側の切り欠け部16を符号16-3で示し、区別しない場合には、切り欠け部16を単に符号16で示す。また、実施形態1は、切り欠け部16-1,16-2,16-3の構成要素及び対応する電線100を区別する場合には、各構成要素及び対応する電線100の符号の末尾に-1,-2,-3を付して示し、切り欠け部16-1,16-2,16-3の各構成要素及び対応する電線100同士を区別しない場合には、各要素の符号の末尾に-1,-2,-3を付さずに示す。
実施形態1において、切り欠け部16-1の曲率半径は、他の切り欠け部16-2,16-3の曲率半経よりも小さく、切り欠け部16-1の刃先出し量201-1は、他の切り欠け部16-2,16-3の刃先出し量201-2,201-3よりも小さい。切り欠け部16-1が対応する電線100-1の外径202-1は、他の切り欠け部16-2,16-3が対応する電線100-2,100-3の外径202-2,202-3よりも小さい。
切り欠け部16-3の曲率半径は、他の切り欠け部16-1,16-2の曲率半経よりも大きく、切り欠け部16-3の刃先出し量201-3は、他の切り欠け部16-1,16-2の刃先出し量201-1,201-2よりも大きい。切り欠け部16-3が対応する電線100-3の外径202-3は、他の切り欠け部16-1,16-2が対応する電線100-1,100-2の外径202-1,202-2よりも大きい。
切り欠け部16-2の曲率半径は、切り欠け部16-1の曲率半径よりも大きくかつ切り欠け部16-3の曲率半経よりも小さい。切り欠け部16-2の刃先出し量201-2は、切り欠け部16-1の刃先出し量201-1よりも大きく、かつ切り欠け部16-3の刃先出し量201-3よりも小さい。切り欠け部16-2が対応する電線100-2の外径202-2は、切り欠け部16-1が対応する電線100-1の外径202-1よりも大きく、かつ切り欠け部16-3が対応する電線100-3の外径202-3よりも小さい。
また、切り欠け部16-1が対応する電線100-1の被覆部101の厚みは、他の切り欠け部16-2,16-3が対応する電線100-2,100-3の被覆部101の厚みよりも薄い。切り欠け部16-3が対応する電線100-3の被覆部101の厚みは、他の切り欠け部16-1,16-2が対応する電線100-1,100-2の被覆部101の厚みよりも厚い。切り欠け部16-2が対応する電線100-2の被覆部101の厚みは、切り欠け部16-1が対応する電線100-1の被覆部101の厚みよりも厚くかつ切り欠け部16-3が対応する電線100-3の被覆部101の厚みよりも薄い。
また、切り欠け部16-1,16-2,16-3の刃先出し量201-1,201-2,201-3は、切り欠け部16-1,16-2,16-3が対応する電線100-1,100-2,100-3の被覆部101の厚みに応じて設定されているので、対応する電線100-1,100-2,100-3の被覆部101の厚みに応じて異なる。
ガイド部材20は、電線100をガイドするガイド部30と、本体部10を支持する支持部40とを備える。ガイド部30は、図7に示すように、平面形状が矩形状の底壁部31と、底壁部31の幅方向の両端から立設した一対の立設壁32と、一対の立設壁32間に設けられかつ底壁部31から立設した仕切壁33とを一体に備える。
一対の立設壁32と仕切壁33とは、互いに間隔をあけて平行に配置されている。実施形態1では、仕切壁33は、二つ設けられ、ガイド部30は、互いに隣り合う立設壁32及び仕切壁33間に電線100を収容するガイド溝34が形成されている。即ち、実施形態1では、ガイド溝34は、三つ形成されているが、本発明では、二つ以上形成されていれば良い。また、ガイド溝34は、底壁部31の上面から凹に形成されている。ガイド溝34は、支持部40が支持した本体部10の長手方向と交差(実施形態1では、直交)する方向に延在し、電線100を収容して、収容した電線100をガイドする。
また、実施形態1では、ガイド溝34は、収容する電線100の外径202に応じた幅(大きさに相当)に形成されている。実施形態1では、一方の立設壁32と仕切壁33との間のガイド溝34(以下、ガイド溝34同士を区別する際には、符号34-1と記す)は、電線100-1を収容する。ガイド溝34-1の幅は、電線100-1の外径202-1に応じた幅である。
仕切壁33間のガイド溝34(以下、ガイド溝34同士を区別する際には、符号34-2と記す)は、電線100-2を収容する。ガイド溝34-2の幅は、電線100-2の外径202-2に応じた幅である。他方の立設壁32と仕切壁33との間のガイド溝34(以下、ガイド溝34同士を区別する際には、符号34-3と記す)は、電線100-3を収容する。ガイド溝34-3の幅は、電線100-3の外径202-3に応じた幅である。なお、各ガイド溝34-1,34-2,34-3の底面は、収容する電線100-1,100-2,100-3の外径202-1,202-2,202-3に応じた曲率の円弧状に形成されている。
また、ガイド溝34-1,34-2,34-3は、対応する電線100-1,100-2,100-3を収容した際に、図6に示すように、収容した電線100-1,100-2,100-3の導線102の上端が水平方向に並ぶように、底面の位置、即ち深さが定められている。なお、実施形態1では、ガイド溝34-1,34-2,34-3にはガイド部30の長手方向の一端部側の開口35を通して、電線100-1,100-2,100-3が出し入れされる。また、図6は、電線100-1,100-2,100-3の金属線103を省略して、導線102の一つの丸で示している。
さらに、ガイド部30には、支持部40に支持された本体部10の一部であるホルダー12の幅方向の一端が侵入する進入溝36が形成されている。進入溝36は、ガイド部30の長手方向の一端部に設けられ、幅が支持部40に支持された本体部10の幅と等しく形成されて、ホルダー12を移動自在に進入させる。実施形態1では、進入溝36は、一対の立設壁32と二つの仕切壁33との一部を切り欠いて構成されている。
また、ガイド部30は、図1、図5及び図7に示すように、目盛り37と、突き当て部38とを備える。目盛り37は、ガイド溝34の長手方向に沿って等間隔に形成された複数の印371により構成されている。印371は、ガイド溝34の長手方向に沿った方向の支持部40により支持された本体部10の切り刃11の刃13からの距離を示している。実施形態1において、目盛り37は、一対の立設壁32と仕切壁33の上面に設けられている。
突き当て部38は、ガイド溝34と1対1で対応して設けられている。突き当て部38は、対応するガイド溝34内に取り付けられて、対応するガイド溝34に収容された電線100を突き当てる。突き当て部38は、ガイド溝34内に収容される被収容部381と、ガイド部30の底壁部31に設けられた図示しないナット等に螺合して被収容部381をガイド部30に固定するボルト部382とを備える。ボルト部382は、被収容部381を貫通しているとともに、螺合するナットなどを適宜変更可能である。突き当て部38は、ボルト部382が螺合するナットなどを適宜変更することによって、ガイド溝34に対する電線100の差し込み方向であるガイド溝34の長手方向の位置を変更可能である。このように、突き当て部38は、ボルト部382が螺合するナットなどを適宜変更することによって、ガイド溝34の長手方向に進退可能である。また、突き当て部38は、ボルト部382がガイド溝34の上面にナット等を介してねじ止めされても良い。
支持部40は、ガイド部30の長手方向の一端部と一体の支持部本体41と、位置づけ手段50とを備える。支持部本体41は、図5に示すように、ガイド部30の長手方向の一端部からガイド溝34の長手方向に対して交差(実施形態1では、直交)する方向に延びた底板42と、底板42の幅方向の両端から立設した一対の側板43とを備えている。底板42は、他方の立設壁32に設けられた進入溝36の底に連なり、一対の側板43の内面は、他方の立設壁32に設けられた進入溝36の内側面に連なっている。支持部本体41は、底板42と一対の側板43との間に本体部10を収容する収容溝45を形成している。
位置づけ手段50は、支持部40が支持したガイド部30の底壁部31と本体部10とを底壁部31に直交する方向即ちガイド溝34に収容した電線100に直交する方向に沿ってガイド部30と本体部10とを相対的に離反及び接近させるものである。位置づけ手段50は、図6に示すように、本体部10を支持する支持部材51と、支持部本体41にスライド自在に設けられたスライド部材52とを備える。
支持部材51は、底板42に対して直交する方向、即ち、ガイド溝34に収容された電線100に対して直交する方向にスライド自在に支持部本体41に設けられている。支持部材51は、一対の側板43の内面に設けられたスライド溝46によりスライド自在に設けられているとともに、一対の側板43からの脱落が規制されている。また、支持部材51は、底板42との間に設けられた付勢手段であるばね53により底板42から離れる方向に付勢されている。
また、支持部材51は、内側に本体部10を収容して本体部10を位置決め、固定する固定用孔54を備えている。固定用孔54は、ガイド部30から離れた側から本体部10の先端部が挿入されて、本体部10を収容する。支持部材51は、固定用孔54内に本体部10を出し入れされることで、本体部10が着脱可能である。支持部材51は、固定用孔54内に本体部10を収容して位置決めすると、本体部10の切り欠け部16-1,16-2,16-3が対応するガイド溝34-1,34-2,34-3と対向する位置に本体部10を位置決めする。
このように、ガイド部材20は、本体部10の切り欠け部16-1,16-2,16-3とガイド溝34-1,34-2,34-3とが対応するように、支持部40を介してガイド部30に本体部10を設置する。なお、本体部10の切り欠け部16-1,16-2,16-3とガイド溝34-1,34-2,34-3とが対応するとは、本体部10の切り欠け部16-1,16-2,16-3が対応する電線100-1,100-2,100-3を収容するガイド溝34-1,34-2,34-3と対向することを示している。また、支持部材51に本体部10を着脱可能とすることで、本体部10は、支持部40を介して本体部10に対して着脱可能に設置される。
また、支持部材51は、底板42から離れた側の上端部に傾斜面55を備えている。傾斜面55は、ガイド部30から離れるのにしたがって底板42に徐々に近づく方向に傾斜している。
スライド部材52は、板状に形成され、中央に上方に凸の操作用凸部56を備える。スライド部材52は、一対の側板43の内面の底板42から離れた上端部に設けられたスライド溝47により支持部40が支持する本体部10の長手方向に沿ってスライド自在に設けられている。また、スライド部材52は、スライド溝47により案内されるスライド方向に沿って、支持部材51の傾斜面55に対向している。スライド部材52は、スライド溝47に沿ってガイド部30に近づけられると、傾斜面55に当接する。スライド部材52は、傾斜面55に当接した状態で更にガイド部30に近付けられると、傾斜面55が前述した方向に傾斜しているので、ばね53の付勢力に抗して、支持部材51を本体部10と共に底板42に近付く方向に押し下げる。
次に、前述した構成の治具1を用いた電線100の被覆部101を除去する方法を説明する。図8は、図6に示された治具のスライド部材が支持部材を押し下げている状態を示す要部の断面図である。図9は、図8に示された状態からスライド部材が支持部材を更に押し下げて切り刃の刃が電線の被覆部に切り込んだ状態を示す要部の断面図である。
電線100の被覆部101を除去する際には、オペレータが被覆部101を除去する電線100を収容するガイド溝34に突き当て部38を取り付ける。突き当て部38を取り付ける際には、オペレータが、電線100の端末からの被覆部101を除去する所定距離200(図2等に示す)を示す印371と突き当て部38の被収容部381の開口35に対向する端面とが同一平面上となる位置に突き当て部38を取り付ける。
また、電線100の被覆部101を除去する際には、オペレータが固定用孔54内にガイド部30から離れた側から本体部10の先端部を挿入して、支持部材51に本体部10を収容して、位置決めする。また、オペレータが、被覆部101を除去する電線100を開口35を通してガイド溝34に挿入し、端末を突き当て部38に突き当てる。なお、図8及び図9に示す例では、ガイド溝34-1,34-2,34-3それぞれが、電線100-1,100-2,100-3を収容して、電線100-1,100-2,100-3の被覆部101を除去する例を示している。
その後、オペレータが、スライド部材52をガイド部30に向かってスライドさせて、図8に示すように、スライド部材52が傾斜面55上をスライドして、支持部材51をばね53の付勢力に抗して底板42に近付く方向に押し下げる。実施形態1では、オペレータが、スライド部材52を更にガイド部30に向かってスライドさせて、スライド部材52が支持部材51に乗り上げると、図9に示すように、切り刃11の刃13が電線100-1,100-2,100-3の被覆部101に切り込む。そして、スライド部材52が支持部材51上に乗り上げた状態で、オペレータが電線100-1,100-2,100-3を軸心回りに回転させて、切り刃11の刃13を被覆部101の全周に亘って切り込ませて、切り込み110を形成する。切り刃11の刃13を被覆部101の全周に亘って切り込ませると、オペレータは、スライド部材52をガイド部30から遠ざけて、ばね53の付勢力によって支持部材51を切り刃11の刃13を切り込ませる前の初期位置に位置づける。その後、オペレータは、ガイド溝34から電線100-1,100-2,100-3を取り出して、切り込み110よりも端末側の被覆部101を除去する。
実施形態1に係る治具1は、本体部10のホルダー12に切り刃11を露出し、電線100の一部が嵌合する切り欠け部16を備えているので、切り欠け部16に電線100を嵌合させることで、切り刃11を被覆部101に切り込ませることができる。治具1は、切り欠け部16に電線100の被覆部101が接触すると、切り刃11が電線100に切り込むことができないので、切り刃11が導線102に切り込むことを抑制することができる。
また、実施形態1に係る治具1は、切り欠け部16に電線100を嵌合させることで、切り刃11を被覆部101に切り込ませた状態で電線100を軸心回りに回転させると、電線100の被覆部101の全周に亘って切り刃11を容易に切り込ませることができ、電線100の被覆部101に切り込む際の切り込み110の切り込み開始点と切り込み終着点とのずれを抑制することができる。その結果、治具1は、導線102に切り込むことを抑制しながら電線100の被覆部101に切り込む際の切り込み開始点と切り込み終着点とのずれを抑制することができる。
また、実施形態1に係る治具1は、本体部10のホルダー12に刃先出し量201が異なる切り欠け部16を複数形成しているので、被覆部101の厚みが刃先出し量201に対応している切り欠け部16に電線100を嵌合させることで、全周に亘って切り刃11を切り込ませる際にも導線102に切り刃11が切り込むことを抑制することができる。
また、実施形態1に係る治具1は、電線100を収容するガイド溝34が形成されたガイド部30を備えているので、ガイド溝34に収容された電線100の切り欠け部16に嵌合させる位置を適宜変更することで、端末から被覆部101を除去する所定距離200を指定することが可能となる。
また、実施形態1に係る治具1は、ガイド部30に一体でかつ本体部10を支持する支持部40を備えているので、電線100と本体部10との相対的な位置を容易に位置決めすることができる。
また、実施形態1に係る治具1は、ガイド部30と本体部10とを底壁部31に直交する方向に沿って離反及び接近させる位置づけ手段50を備えているので、位置づけ手段50により切り刃11を被覆部101に容易に切り込ませることができる。
また、位置づけ手段50が、傾斜面55を備える支持部材51と、支持部材51を底板42から離れる方向に付勢するばね53と、スライドすることで支持部材51をばね53の付勢力に抗して押し下げるスライド部材52とを備えるので、スライド部材52をスライドさせることで、切り刃11を電線100に近付けたり、電線100から遠ざけることができる。
また、実施形態1に係る治具1は、ガイド部30が目盛り37と突き当て部38とを備えるので、電線100の端末からの被覆部101を除去する所定距離200を示す印371と突き当て部38の被収容部381の開口35に対向する端面とを同一平面上に位置させることで、端末から所定距離200となる位置に切り刃11を切り込ませることができ、被覆部101を所定距離200分除去することができる。
また、実施形態1に係る治具1は、支持部40の支持部材51を介してガイド部30に本体部10が着脱可能であるので、本体部10の切り刃11を容易に交換することができる。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る治具を図面に基づいて説明する。図10は、実施形態2に係る治具の断面図である。図10は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2に係る治具1-2は、図10に示すように、位置づけ手段50がスライド部材52を備えずに、一対の側板43が初期位置の支持部材51よりも低く形成されて、初期位置の支持部材51の傾斜面55が一対の側板43間から露出していること以外、実施形態1と同じ構成である。
実施形態2に係る治具1-2は、電線100の被覆部101を除去する際に、実施形態1と同様に、突き当て部38をガイド部30に取り付け、支持部40の支持部材51に本体部10を取り付け、ガイド溝34に電線100を収容する。実施形態2に係る治具1-2は、電線100の被覆部101を除去する際には、オペレータがばね53の付勢力に抗して、支持部材51を底板42に近付く方向に押圧して、本体部10の切り刃11の刃13を電線100の被覆部101に切り込ませて、以後、実施形態1と同様に行う。
実施形態2に係る治具1-2は、本体部10のホルダー12に切り刃11を露出し、電線100の一部が嵌合する切り欠け部16を備えているので、切り欠け部16に電線100を嵌合させることで、切り刃11を被覆部101に切り込ませることができる。治具1-2は、切り欠け部16に電線100の被覆部101が接触すると、切り刃11が電線100に切り込むことができないので、切り刃11が導線102に切り込むことを抑制することができる。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る治具を図面に基づいて説明する。図11は、実施形態3に係る治具の断面図である。図11は、実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態3に係る治具1-3は、実施形態1及び実施形態2では底板42と支持部材51との間に設けられたばね53を備えていないこと以外、実施形態2と構成が同じである。
実施形態3に係る治具1-3は、電線100の被覆部101を除去する際に、実施形態1と同様に、突き当て部38をガイド部30に取り付け、支持部40の支持部材51に本体部10を取り付け、ガイド溝34に電線100を収容する。実施形態3に係る治具1-3は、電線100の被覆部101を除去する際には、オペレータが支持部材51を底板42に近付く方向に押圧して、本体部10の切り刃11の刃13を電線100の被覆部101に切り込ませて、以後、実施形態1と同様に行う。
実施形態3に係る治具1-3は、本体部10のホルダー12に切り刃11を露出し、電線100の一部が嵌合する切り欠け部16を備えているので、切り欠け部16に電線100を嵌合させることで、切り刃11を被覆部101に切り込ませることができる。治具1-3は、切り欠け部16に電線100の被覆部101が接触すると、切り刃11が電線100に切り込むことができないので、切り刃11が導線102に切り込むことを抑制することができる。
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4に係る治具を図面に基づいて説明する。図12は、実施形態4に係る治具のガイド部材を示す斜視図である。図13は、実施形態4に係る治具の本体部の切り刃が電線の被覆部に切り込んでいる状態を示す斜視図である。図12及び図13は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態4に係る治具1-4は、図12に示すように、ガイド部材20-4が支持部40を備えずにガイド部30のみで構成され、ガイド部30が目盛り37と突き当て部38とを備えてないこと以外、実施形態1と構成が同じである。
実施形態4に係る治具1-4は、電線100の被覆部101を除去する際には、被覆部101を除去する電線100を対応するガイド溝34に収容した後、ガイド部30に対する電線100の位置を適宜調整した後、図13に示すように、ガイド溝34に対応する切り欠け部16を対向させて、本体部10を進入溝36内に侵入させる。実施形態4に係る治具1-4は、電線100の被覆部101を除去する際には、オペレータが本体部10を底板42に近付く方向に押圧して、本体部10の切り刃11の刃13を電線100の被覆部101に切り込ませて、以後、実施形態1と同様に行う。
実施形態4に係る治具1-4は、本体部10のホルダー12に切り刃11を露出し、電線100の一部が嵌合する切り欠け部16を備えているので、切り欠け部16に電線100を嵌合させることで、切り刃11を被覆部101に切り込ませることができる。治具1は、切り欠け部16に電線100の被覆部101が接触すると、切り刃11が電線100に切り込むことができないので、切り刃11が導線102に切り込むことを抑制することができる。
〔変形例〕
本発明の実施形態1から実施形態3の変形例に係る治具を図面に基づいて説明する。図14は、実施形態1から実施形態3の変形例に係る治具のガイド部材の斜視図である。図14は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態1から実施形態3の変形例に係る治具1-1は、図14に示すように、ガイド部材20-1のガイド部30-1が仕切壁33を備えずに、電線100の外径に応じたガイド溝34が一つ形成されていること以外、実施形態1から実施形態3と構成が同じである。また、図14に示す変形例の治具1-1は、ガイド部材20-1がガイド部30-1と支持部40とを備えているが、本発明では、実施形態4と同様に、ガイド部材20-1が支持部40を備えずにガイド部30-1のみ備え、ガイド部30-1が目盛り37及び突き当て部38を備えていなくても良い。
変形例に係る治具1-1は、本体部10のホルダー12に切り刃11を露出し、電線100の一部が嵌合する切り欠け部16を備えているので、切り欠け部16に電線100を嵌合させることで、切り刃11を被覆部101に切り込ませることができる。治具1-1は、切り欠け部16に電線100の被覆部101が接触すると、切り刃11が電線100に切り込むことができないので、切り刃11が導線102に切り込むことを抑制することができる。
〔実施形態5〕
本発明の実施形態5に係る治具を図面に基づいて説明する。図15は、実施形態5に係る治具の本体部の側面図である。図16は、実施形態5に係る治具の本体部の切り刃が電線の被覆部に切り込んでいる状態を示す斜視図である。図15及び図16は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態5に係る治具1-5は、図15に示すように、ガイド部材20を備えずに、本体部10みで構成され、切り欠け部16-1,16-2,16-3に露出する切り刃11の刃先出し量201-1,201-2,201-3は、切り欠け部16-1,16-2,16-3が対応する電線100-1,100-2,100-3の被覆部101の厚みと等しいこと以外、実施形態1と構成が同じである。
実施形態5に係る治具1-5は、電線100の被覆部101を除去する際には、図16に示すように、被覆部101を除去する電線100を対応する切り欠け部16に嵌合させて、本体部10の切り刃11の刃13を電線100の被覆部101に切り込ませて、電線100を軸心回りに回転させる。
実施形態5に係る治具1-5は、本体部10のホルダー12に切り刃11を露出し、電線100の一部が嵌合する切り欠け部16を備えているので、切り欠け部16に電線100を嵌合させることで、切り刃11を被覆部101に切り込ませることができる。治具1-5は、切り欠け部16に電線100の被覆部101が接触すると、切り刃11が電線100に切り込むことができないので、切り刃11が導線102に切り込むことを抑制することができる。
また、実施形態5に係る治具1-5は、刃先出し量201-1,201-2,201-3は、切り欠け部16-1,16-2,16-3が対応する電線100-1,100-2,100-3の被覆部101の厚みと等しいので、ガイド部材20を用いずに、切り刃11を被覆部101に切り込ませても、切り刃11が導線102に切り込むことを抑制することができる。
なお、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。