JP7023566B2 - アレーアンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数のアンテナ素子(放射素子)が配設されたアレーアンテナ装置に関する。
レーダーのアレーアンテナ装置において、分解能を高めるにはアンテナの開口長を大きくすることが有効である。しかしながら、多くのアンテナ素子を配設すると、コストが嵩むばかりでなく、回路規模や演算規模が大きくなり実用化が困難になるおそれがある。一方、少ないアンテナ素子を長い開口に配設すると、グレーティングローブが発生して測角できる角度範囲が狭くなり、真の方位を推定できなくなる。
このため、少ないアンテナ素子で大開口と同等の性能を得るための手法として、共分散行列を利用したKhatri-Rao積(以下、「KR積」という)拡張アレーが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。詳細は後述するが、このKR積拡張アレーは、所定の間隔で直線状に配設されるべき実在アンテナ素子のうち、所定の条件を満たす一部の位置に仮想アンテナ素子を配設する(実在アンテナ素子を配設しない)ことで、あたかもすべての位置に実在アンテナ素子が配設されたとみなせるものである。
W.K.Ma,et al., IEEE Transactions on Signal Processing, vol.58,no.4,pp.2168-2180, April 2010
ところで、方位と高さを検出するには、複数の実在アンテナ素子を水平方向(横方向)と垂直方向(縦方向)に2次元、格子状に配設する必要があるが、このような2次元アレーアンテナは多くの実在アンテナ素子を要する。しかも、実在アンテナ素子の大きさや給電ポートの大きさなどの制約によって、実在アンテナ素子を理想的に配設できない場合がある。また、上記非特許文献1に示すような技術では、実在アンテナ素子が直線状に配設されたアンテナのみを対象とし、実在アンテナ素子を2次元に配設する場合については開示されていない。
また、2次元アレーアンテナは、広角度を検出するために広角度に電波を照射するので、利得が低くなる。そのため、比較的近距離で広い範囲の高さおよび方位を検出するような用途には向いているが、比較的遠距離を検出するような用途には向いていない。例えば、自動車用のレーダーで2次元アレーアンテナを利用する場合、駐停車時あるいは低速走行時の障害物の検出などには適しているが、高速道路などで比較的遠方にいる前方の車両などを検出するような用途には適していない。
そこで本発明は、少ない実在アンテナ素子で近距離の方位と高さを検出し、かつ、遠距離を高感度に検出することが可能なアレーアンテナ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、水平方向と垂直方向に仮想的に規定間隔で設けられた格子点のうち一部の格子点に実在アンテナ素子が配設され、他の格子点には前記実在アンテナ素子が配設されない仮想アンテナ素子が配設された実在アレーアンテナと、前記実在アンテナ素子間の位相差を利用して、前記仮想アンテナ素子の信号を補間する処理部と、を備え、前記処理部は、前記実在アレーアンテナの水平方向における位相差を利用して、水平方向の前記仮想アンテナ素子の信号を補間し、前記実在アンテナ素子と前記仮想アンテナ素子とが前記水平方向に連続配置された仮想水平アレーアンテナを生成する第1の処理と、前記実在アレーアンテナの水平方向と垂直方向とにおける位相差を利用して、水平方向および垂直方向の前記仮想アンテナ素子の信号を補間し、前記実在アンテナ素子と前記仮想アンテナ素子とが前記水平方向と前記垂直方向とに連続配置された仮想2次元アレーアンテナを生成する第2の処理と、を切り替えて実行する、ことを特徴とするアンテナ装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアレーアンテナ装置であって、前記処理部は、前記第1の処理および前記第2の処理において、ある特定の実在アンテナ素子の位置を基準点とし、その基準点から他の実在アンテナ素子の相対位置によって決まる位相差を利用して仮想アンテナ素子の信号を生成する演算規則に基づき、任意の格子点における仮想アンテナ素子の信号を生成するための実在アンテナ素子間の対応関係を保持し、前記保持した対応関係に基づいて仮想アンテナ素子の信号を生成する、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のアレーアンテナ装置であって、前記処理部は、前記第2の処理において、前記水平方向と前記垂直方向とに連続配置された前記実在アンテナ素子と前記仮想アンテナ素子とに対し、各行水平方向にフーリエ変換し、その後に各列垂直方向にフーリエ変換する、ことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のアレーアンテナ装置であって、水平方向のフーリエ変換の結果に対し、各格子点の位置に基づく位相回転を施してから、前記垂直方向のフーリエ変換を行う、ことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3または4のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置であって、水平方向と垂直方向の処理の順序を入れ替えての実施が可能である、ことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置であって、前記実在アンテナ素子は、前記仮想水平アレーアンテナによってSIMOレーダー用の受信アンテナを構成し、前記仮想2次元アレーアンテナによってMIMOレーダー用の受信アンテナを構成するように配設されている、ことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、充填されない状態で配置された複数のアンテナ素子に対し、水平および垂直の斜め方向から到来する信号によって生じるアンテナ素子間の位相差を利用して、実在アンテナ素子が配置されていない格子点を含め、垂直方向および水平方向に連続配置した仮想アンテナ素子が形成できるように実在アンテナ素子が配列されている実在アレーアンテナと、実在アレーアンテナのアンテナ素子間の位相差を利用して、仮想アンテナ素子を含む仮想アレーアンテナを生成する処理部とを備えているので、少数の実在アンテナ素子でより大開口化に対応することが可能である。
また、処理部によって行われる第1の処理と第2の処理とにより、実在アレーアンテナの水平方向におけるアンテナ素子間の位相差を利用して、格子点のうち実在アンテナ素子が配設されていない水平方向の格子点に仮想アンテナ素子が配設され、実在アンテナ素子と仮想アンテナ素子とが水平方向に連続配置した仮想水平アレーアンテナと、実在アレーアンテナの水平方向と垂直方向とにおけるアンテナ素子間の位相差を利用して、格子点のうち実在アンテナ素子が配設されていない格子点に仮想アンテナ素子が配設され、実在アンテナ素子と仮想アンテナ素子とが水平方向と垂直方向とに連続配置した仮想2次元アレーアンテナとを切り替えて生成することが可能となる。したがって、仮想水平アレーアンテナを生成した場合には、少ない実在アンテナ素子で大開口の水平アレーアンテナを得ることができ、これを自動車のレーダーなどに適用すれば、高速道路などの比較的速い速度域で比較的遠距離にある前方の車両などを感度よく検出することが可能となる。また、仮想2次元アレーアンテナを生成した場合には、自動車を駐車するような場面において、比較的近距離で広い範囲の高さおよび方位を検出することが可能となる。このように、少数の実在アンテナ素子で、大開口の水平アレーアンテナだけでなく、広い面積の2次元アレーアンテナも仮想的に生成することが可能となるので、自動車のように、駐車時または高速走行時など全く特性の異なるレーダーが必要な場合でも、本発明のアレーアンテナ装置で兼用することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、所定の演算規則に基づき、任意の格子点における仮想アンテナ素子の信号を生成するためのアンテナ素子間の対応関係を保持し、保持した対応関係に基づき、連続した格子点に対応する仮想アンテナ素子の信号を生成するため、少ない実在アンテナ素子で方位と高さを検出することが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、矩形が見出せる領域において、各行水平方向にフーリエ変換し、各列垂直方向にフーリエ変換することによって、物標の水平角および垂直角に応じた格子点に大きな振幅を積み上げるため、縦横に広い実在アンテナ素子が配設されたのと同等の2次元アレーアンテナを構成することが可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、矩形で抱ける領域よりもさらに大きな領域をフーリエ変換の対象とするため、縦横により広く実在アンテナ素子が配設されたのと同等の2次元アレーアンテナを構成することが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、水平方向と垂直方向の処理の順序を入れ替えての実施が可能であるため、処理、設計の自由度が高まる。
請求項6に記載の発明によれば、実在アンテナ素子は、仮想水平アレーアンテナによってSIMOレーダー用の受信アンテナを構成し、仮想2次元アレーアンテナによってMIMOレーダー用の受信アンテナを構成するように配設されているので、SIMOレーダーおよびMIMOレーダーにおいて、少ない実在アンテナ素子でより大開口化に対応することが可能となる。
アレーアンテナ装置を備えたレーダー装置を示す概略構成図である。 この発明の実施の形態におけるKR積拡張アレーを説明するための共分散行列を示す図であり、すべてのアレーが存在する場合の図である。 図2の共分散行列において、一部のアレーが欠落する場合を示す図である。 この発明の実施の形態におけるKR積拡張アレーを説明するためのアンテナ素子の補間状態例を示す図である。 図4の場合の共分散行列の指数のみを示す図である。 実在のアレーアンテナから生成される水平アンテナ素子群の一例を示す図(a)と、2次元アレーアンテナの一例を示す図(b)である。 アレーアンテナ装置において、複数の水平独立成分群を縦方向に並べた状態を示す概念図(a)と、水平独立成分群を水平方向にずらした状態を示す概念図(b)である。 実在のアレーアンテナから仮想の2次元アレーアンテナを生成する手順を示す概略図である。 図7(a)の状態からフーリエ変換した状態を示す概念図である。 図9の状態における各素子成分の位相状態を示す説明図である。 図9の状態から各素子成分をずらす方法を示す説明図である。 水平アンテナ素子群の具体的な移動手順を示す説明図である。 図12の2次元アレーアンテナに対する共分散行列の指数のみを示す図である。 図13の共分散行列に基づいて水平独立成分群を縦方向に並べた状態を示す図である。 図1のアレーアンテナ装置のアンテナ素子の配置図である。 図15の受信アンテナの共分散行列の指数のみを示す図である。 図15の受信アンテナに受信用仮想アンテナ素子を配置した仮想水平アレーアンテナの説明図である。 図17の仮想水平アレーアンテナにKR積アレー拡張を施した仮想水平アレーアンテナの説明図である。 図15の送信アンテナの各実在送信アンテナ素子間で送信信号に位相差を生じさせるために移相器を接続した状態を示す説明図である。 図15の受信アンテナに受信用仮想アンテナ素子を配置した仮想2次元水平アレーアンテナの説明図である。 図19の仮想2次元アレーアンテナにKR積アレー拡張を施した仮想2次元アレーアンテナの説明図である。
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1~図20は、この発明の実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係るアレーアンテナ装置2を備えたレーダー装置1を示す概略構成図である。このレーダー装置1は、送信アンテナ3と受信アンテナ(実在アレーアンテナ)4と処理部5とを備えるアレーアンテナ装置2と、受信信号をデジタルビームフォーミング等によって信号処理して物体の検出を行う信号処理装置6と、を備える。
このレーダー装置1は、例えば、自動ブレーキシステムなどを備えた自動車に搭載されるものであり、処理部5でSIMOレーダーとして機能する遠距離モードと、MIMOレーダーとして機能する近距離モードに切り替えられる。すなわち、幹線道路や高速道路などで比較的高速で走行する場合には、レーダー装置1は遠距離(SIMO)モードに切り替えられ、比較的遠距離にいる前方の車両などの検出に用いられる。また、自動車を駐車するなど比較的低速で走行する場面では、レーダー装置1は近距離(MIMO)モードに切り替えられ、比較的近距離にある障害物などの高さおよび方位を広い範囲で検出する。
ここで、まず、KR積拡張アレーについて説明する。所定の間隔で直線状に実在アンテナ素子が配設されている場合、例えば図2に示すように、アンテナの受信信号と受信信号の複素共役との積によって形成される共分散行列は、その独立成分が連続(連番)となる。また、実在アンテナ素子が配設されるべき位置に実在アンテナ素子が配設されていない場合、すなわち、例えば図4に示すように、共分散行列の成分に冗長性があれば受信信号と受信信号の複素共役とに欠落がある場合であっても、共分散行列における独立成分が連続となる場合がある。このように、所定の条件を満たす一部の位置に、実在アンテナ素子を配設しないで仮想アンテナ素子(欠落)を配設しても、すべての位置に実在アンテナ素子が配設されているとみなせる場合がある。つまり、信号の欠落をKR積で補間できる場合がある。
具体的には、例えば図4に示すように、所定の間隔dごとに複数の配設位置P~Pが設けられ、この配設位置P~Pのうち一部の配設位置P、P、P、P、Pに実在アンテナ素子F、F、F、F、Fが配設され、他の配設位置P、P、Pには実在アンテナ素子が配設されない仮想アンテナ素子F、F、Fが配設されているとする。この場合、仮想アンテナ素子F、F、Fの信号を、間隔dを利用して実在アンテナ素子F、F、F、F、Fの信号で補間することができる。
すなわち、仮想アンテナ素子Fは、実在アンテナ素子Fから間隔4dだけ離れているため、実在アンテナ素子F、F間の信号差(位相回転)S4を利用して補間する。同様に、仮想アンテナ素子Fは、実在アンテナ素子Fから間隔2dだけ離れているため、実在アンテナ素子F、F間の信号差S2を利用して補間する。また、仮想アンテナ素子Fは、実在アンテナ素子Fから間隔dだけ離れているため、実在アンテナ素子F、F間の信号差S1を利用して補間する。
さらに、同様にして、実在アンテナ素子Fを原点とする反対方向の配設位置P-1~P-7に、複素共役の仮想アンテナ素子F-1~F-7を配設することができる。このように、5つの実在アンテナ素子F、F、F、F、Fで、15のアンテナ素子F-7~Fを配設したのと等価のアンテナ(仮想水平アレーアンテナ)を構成することが可能となる。
そして、このようなKR積拡張アレーが成立するには、共分散行列における独立成分が連続となる必要がある。すなわち、共分散行列einα(n:0、±1、±2・・・)における独立成分の指数のみを見た場合、図4に示すアレーでは、図5に示すような行列となり、-7~+7まで連番が得られ、KR積拡張アレーが成立することになる。換言すると、このように独立成分が連続となるように、実在アンテナ素子つまり仮想アンテナ素子を配設する必要がある。ここで、図5は、図中最上行に実在アンテナ素子F、F、F、F、Fの配設位置に対応する数値(0、1、2、4、7)が記載され、図中最左列に実在アンテナ素子F、F、F、F、Fの配設位置に対応する複素共役の数値(-0、-1、-2、-4、-7)が記載され、これらの数値を縦横加算した数値がマトリクス状に記載されているものに相当する。
このような水平方向のKR積拡張アレーを前提として、少数の実在アンテナ素子から、多数のアンテナ素子が2次元状(マトリクス状)に配設された仮想2次元アレーアンテナを生成することも可能である。具体的には、横方向に複数の配設位置が設けられ、前記配設位置のうち一部の配設位置に実在アンテナ素子が配設され、他の配設位置には前記実在アンテナ素子が配設されない仮想アンテナ素子が配設された水平アンテナ素子群が、複数縦方向に、かつ、端部が横方向にずれるように配設され、各前記水平アンテナ素子群の実在アンテナ素子は、共分散行列における独立成分が連続するように配設され、かつ、縦方向に並ぶいずれかの列の前記実在アンテナ素子に対して、共分散行列における独立成分が連続するように各前記水平アンテナ素子群がずれて配設され、すべての前記実在アンテナ素子に対する共分散行列の独立成分を前記水平アンテナ素子群に対応する水平独立成分群ごとに縦方向に並べ、前記水平独立成分群ごとにフーリエ変換してその結果に基づいて、縦方向における前記水平独立成分群の重なりが多くなるように前記水平独立成分群を水平方向にずらす処理部を備える。
例えば図6(a)に示すように、横方向(水平方向)に複数の配設位置P0~P14が設けられ、この配設位置P0~P14のうち一部の配設位置P0、P1、P3、P4、P6、P7、P10、P11、P13、P14に実在アンテナ素子RFが配設され、他の配設位置P2、P5、P8、P9、P12には実在アンテナ素子RFが配設されない仮想アンテナ素子VFが配設されたアンテナ素子群を、水平アンテナ素子群HAとする。
このような水平アンテナ素子群HAが、図6(b)に示すように、複数縦方向に、かつ、端部が横方向に(垂直方向から見て)ずれるように配設されて、仮想2次元アレーアンテナVAが構成されている。すなわち、水平アンテナ素子群HAが縦方向に複数配設された状態で、全体が長方形状ではなく、両側辺が真っ直ぐ縦に延びないように(凹凸または傾斜するように)、複数の水平アンテナ素子群HAが配設されている。
ここで、各水平アンテナ素子群HAの実在アンテナ素子RFは、共分散行列における独立成分が連続するように配設されている。すなわち、各水平アンテナ素子群HAが上記のようなKR積拡張アレーを形成するように、実在アンテナ素子RFと仮想アンテナ素子VFが設けられている。この要件を満たせば、各水平アンテナ素子群HAの実在アンテナ素子RFと仮想アンテナ素子VFの配設は、同一でも異なっていてもよい。
また、縦方向に並ぶいずれかの列Lの実在アンテナ素子RFに対して、共分散行列における独立成分が連続するように各水平アンテナ素子群HAがずれて配設されている。すなわち、複数の水平アンテナ素子群HAのアンテナ素子RF、VFが縦方向に並び連なる集合を列Lとする。そして、いずれかの列Lにおいて上記のようなKR積拡張アレーを形成するように、つまり、該列Lでの共分散行列における独立成分が連続になるように、各水平アンテナ素子群HAがずれて配設されている。
例えば、図6(b)の列L7において、縦方向に上から順に、実在アンテナ素子RF、実在アンテナ素子RF、仮想アンテナ素子VF、仮想アンテナ素子VF、実在アンテナ素子RFと配設されて、共分散行列における独立成分が連続になるように配設されている。換言すると、これらの要件を満たしさえすれば、実在アンテナ素子RFを配設するスペースの大きさ、形状や実在アンテナ素子RFの大きさなどに応じて、実在アンテナ素子RFを配設すればよく、配設自由度が高い。
次に、すべての実在アンテナ素子RFに対する共分散行列の独立成分IFを水平アンテナ素子群HAに対応する水平独立成分群HFごとに縦方向に並べ、水平独立成分群HFごとにフーリエ変換してその結果に基づいて、縦方向における水平独立成分群HFの重なりが多くなるように水平独立成分群HFを水平方向にずらし、さらに、縦方向に連なる独立成分IFを縦方向(列)ごとにフーリエ変換を行う。
すなわち、概念的には、例えば、図6(b)に示すように実在アンテナ素子RF(0、1、2…14…)のすべてに対して共分散行列を演算し、図7(a)に示すように、その独立成分IFを水平アンテナ素子群HAに対応する水平独立成分群HFごとに縦方向に並べる。このとき、各水平独立成分群HFの端部が横方向に(垂直方向から見て)ずれており、縦方向における水平独立成分群HFの重なり、つまり、すべての水平独立成分群HFが重なる領域SFは小さい。
次に、水平独立成分群HFごとにフーリエ変換し、その結果に基づいて、図7(b)に示すように、縦方向における水平独立成分群HFの重なりが多くなるように、つまり、各水平独立成分群HFの端部の横方向のずれが小さくなるように、水平独立成分群HFを水平方向にずらす。これにより、すべての水平独立成分群HFが重なる領域SFが大きくなる。さらに、縦方向に連なる独立成分IFを縦方向(列)ごとにフーリエ変換する。
このような処理について、図8~図11を用いて具体的に説明する。図9では、図8に示す水平フーリエ変換器(FFT)51で水平独立成分群HFごとにフーリエ変換した後において、第0(基準)の水平独立成分群HFに対して、第1の水平独立成分群HFが1アンテナ素子分右にずれ、第2の水平独立成分群HFが2アンテナ素子分右にずれ、第kの水平独立成分群HFがuアンテナ素子分右にずれているものとする。また、各水平独立成分群HFにおける素子成分数は、「0」、「1」、「2」…「m」…「N-1」のN個とする。そして、各水平独立成分群HF0~kにおいては、図10に示すように、第0(基準)の素子成分(図中「0」)が0位相回転し(回転してない)、第1の素子成分(図中「1」)がλ/dN(λ:波長、d:素子間隔、N:素子数)だけ位相が回転し、第2の素子成分(図中「2」)が2λ/dNだけ位相が回転し、第mの素子成分(図中「m」)がmλ/dNだけ位相が回転している。
そして、縦方向における水平独立成分群HF0~kの重なりが多くなるように、水平独立成分群HF0~kを水平方向にずらすには、例えば、第0の水平独立成分群HFの左端に他の水平独立成分群HF1~kの左端を合わせればよい。すなわち、第1の水平独立成分群HFを1アンテナ素子分左にずらし、第2の水平独立成分群HFを2アンテナ素子分左にずらし、第kの水平独立成分群HFをuアンテナ素子分左にずらす。
このような移動を行うには、上記のように、各素子成分の位相が回転していることから、図8に示す乗算器(位相回転部)52によって各素子成分にexp(-iuλm/dN)を乗ずればよい。具体的には、図11に示すように、第0の水平独立成分群HFの各素子成分には、exp(-i0λm/dN)=1を乗ずるため、そのままの値となる。次に、第1の水平独立成分群HFの各素子成分には、
exp(-iλm/dN)
m:0~(Nー1)
を乗ずればよい。例えば、第1の素子成分にexp(-iλ/dN)を乗じ、第2の素子成分にexp(-i2λ/dN)を乗じ、第mの素子成分にexp(-imλ/dN)を乗じる。
同様に、第2の水平独立成分群HFの各素子成分に、exp(-i2λm/dN)を乗じ、第kの水平独立成分群HFの各素子成分に、exp(-iuλm/dN)を乗じる。具体的に、第kの水平独立成分群HFの場合、第1の素子成分にexp(-iuλ/dN)を乗じ、第2の素子成分にexp(-i2uλ/dN)を乗じ、第mの素子成分にexp(-imuλ/dN)を乗じる。
このようにして水平独立成分群HF1~kをずらすことで、図8に示すように、縦方向においてすべての水平独立成分群HF0~kが重なった状態、つまり、縦方向における水平独立成分群HF0~kの重なりが多くなった状態となる。その後、縦方向に連なる素子成分(独立成分)を列ごと(「0」ごと、「1」ごと、「m」ごと、)に垂直フーリエ変換器(FFT)53でフーリエ変換するものである。
このような処理を実際に行う場合の処理について、図12に示す簡単な例に従って説明する。ここで、各水平アンテナ素子群HA、HAの実在アンテナ素子RFは、共分散行列における独立成分が連続するように配設され、いずかの列L(例えば、「1」の列)の実在アンテナ素子RFに対して、共分散行列における独立成分が連続するように各水平アンテナ素子群HA、HAがずれている。また、横方向のアンテナ素子間でα(上記の例でmλ/dNに相当)だけ位相がずれ、縦方向のアンテナ素子間でβ(上記の例でuλ/dNに相当)だけ位相がずれているとする。
このようなアンテナ構成の場合、すべての実在アンテナ素子RFに対する共分散行列の独立成分の指数は、図13に示すような行列となる。ここで、図中最上行に実在アンテナ素子RFの配設位置に対応する値(α、βの数)が記載されている。すなわち、実在アンテナ素子RF00に対する「0」、実在アンテナ素子RF10に対する「α」、実在アンテナ素子RF30に対する「3α」、実在アンテナ素子RF11に対する「α+β」、実在アンテナ素子RF21に対する「2α+β」、実在アンテナ素子RF41に対する「4α+β」が記載されている。また、図中最左列に実在アンテナ素子RFの配設位置に対応する値に対応する複素共役の値(マイナス値)が記載されている。そして、図13の行列は、これらの値を縦横加算した数値(独立成分の指数)がマトッリクス状に記載されているものに相当する。
そして、これらの独立成分を水平アンテナ素子群HA、HAに対応する水平独立成分群HF-1~1ごとに縦方向に並べると、図14に示すような配置となる。ここで、水平独立成分群HFが水平アンテナ素子群HAに対応し、水平独立成分群HFが水平アンテナ素子群HAに対応し、水平独立成分群HF-1が水平アンテナ素子群HAの複素共役に対応する。
このように、6つの実在アンテナ素子RFで、21のアンテナ素子が縦横に格子状に配設された2次元アレーアンテナが構成される。また、それぞれのアンテナ素子に対しては、該当する位置の値(α、βの数)だけ位相をずらすことで、各アンテナ素子の素子成分を演算することができる。すなわち、予め図14に示すようなずれ量を示すテーブルを作成、記憶し、信号受信時に、水平フーリエ変換器51で横方向に各素子成分をフーリエ変換して、このテーブルに従って各素子成分の位相をずらし、その後、垂直フーリエ変換器53で縦方向に各素子成分をフーリエ変換すればよい。
以上のように、各水平アンテナ素子群HAにおいて一部の配設位置Pのみに実在アンテナ素子RFが配設されて他の配設位置Pには仮想アンテナ素子VFが配設され、かつ、端部が横方向にずれるように複数の水平アンテナ素子群HAが縦方向に配設されているため、少ない実在アンテナ素子RFで方位と高さを検出することが可能となり、かつ、少ない実在アンテナ素子RFでより大開口化に対応することが可能となる。
すなわち、各水平アンテナ素子群HAにおいて実在アンテナ素子RFが配設されない仮想アンテナ素子VFがあっても、共分散行列において独立成分が連続するように実在アンテナ素子RF(換言すると仮想アンテナ素子VF)が配設されていれば、KR積拡張アレーが形成され、すべての配設位置Pに実在アンテナ素子RFが配設されているものと等価となり、実在アンテナ素子RFの配設数を減らすことができる。同様に、いずれかの列の実在アンテナ素子RFに対しても、共分散行列における独立成分が連続するように実在アンテナ素子RFが配設されていれば、KR積拡張アレーが形成され、実在アンテナ素子RFの配設数を減らすことができる。
さらに、すべての実在アンテナ素子RFに対する共分散行列の独立成分を水平独立成分群HFごとに縦方向に並べ、縦方向における水平独立成分群HFの重なりが多くなるように水平独立成分群HFを水平方向にずらすことで、縦横に広い実在アンテナ素子RFが配設されたのと同等の2次元アレーアンテナ(仮想2次元アレーアンテナ)を構成することが可能となる。そして、実在アンテナ素子RFの大きさなどの制約によって実在アンテナ素子RFを理想的に配設できない場合であっても、上記のような要件を満たすように実在アンテナ素子RFを配設することで、所望の2次元アレーアンテナを構成することが可能となる。なお、水平方向と垂直方向の処理の順序を入れ替えて実施してもよい。
次に、図1に示すアレーアンテナ装置2の処理部5により、上述した仮想水平アレーアンテナを生成する処理(第1の処理)と、上述した仮想2次元アレーアンテナを生成する処理(第2の処理)とを切り替えて実行することで、SIMOレーダーとして機能する遠距離(SIMO)モードと、MIMOレーダーとして機能する近距離(MIMO)モードとの間で切り替えられるようにしたレーダー装置1について説明する。
配設スペースの大きさ、形状や実在アンテナ素子の大きさ、給電ポートの大きさなどの制約によって、例えば、図15に示すように、6つの送信用実在アンテナ素子TFを備えた送信アンテナ3と、8つの受信用実在アンテナ素子(実在アンテナ素子)RF1を備える受信アンテナ(実在アレーアンテナ)4を配設したとする。
送信アンテナ3は、搭載されている自動車の速度に応じて、SIMOモードとMIMOモードとの間で切り替えられる。例えば、自動車が幹線道路や高速道路などで比較的速い速度で走行する場合(例えば、時速60km以上)、SIMOモードに切り替えられる。このSIMOモードでは、感度の要請からSIMOレーダーが用いられ、送信アンテナ3は、複数のアンテナ素子が1個のアンテナ素子として取り扱われることになり、すべてのアンテナ素子から同一位相、またはそれに準じた規則に基づく位相で同時に信号が送信されるので、電磁波が空間合成され、特定方位に大きな利得をもつことが可能となる。したがって、SIMOモードでは、遠距離の前方車両を検知するための感度は確保できるが、電磁波の照射範囲が狭くなるので監視領域が狭い範囲に限定される。
また、自動車を駐車するために比較的低速で走行している場合(例えば、時速10km以下)、MIMOモードに切り替えられる。このMIMOモードでは、MIMOレーダーが用いられ、送信アンテナ3の各アンテナ素子から独立した(数学的に直交した)信号を送信するので、電磁波が空間合成されず広角度に伝搬し、広角度の観測が可能となる。なお、自動車の速度は、自動車の車速センサから取得してもよいし、レーダー装置1で測定した結果を利用してもよい。
受信アンテナ4には、横方向(水平方向)に所定間隔で配設され、かつ、縦方向(垂直方向)で位置がずらされた複数の配設位置P~P15が設けられ、一部の配設位置P、P、P、P、P、P10、P14、P15に共分散行列における独立成分が連続するように8個の受信用実在アンテナ素子RF1が配設されている。この受信アンテナ4の受信用実在アンテナ素子RF1について共分散行列を求めた場合、図16に示すように、-14~14までの独立成分が連続して得られる。
このようなアレーアンテナ装置2において、SIMOモードでは、処理部5で第1の処理を実行することにより、受信アンテナ4よりもアンテナ素子数が多い仮想水平アレーアンテナを生成することができる。つまり、SIMOモードでは、受信アンテナ4のみをKR積によって充填する。すなわち、実在アレーアンテナの水平方向におけるアンテナ素子間の位相差を利用して、格子点のうち実在アンテナ素子が配設されていない水平方向の格子点に仮想アンテナ素子が配設され、実在アンテナ素子と仮想アンテナ素子とが水平方向に連続配置した仮想水平アレーアンテナを生成する。具体的には、第1の処理では、各送信用実在アンテナ素子TFからの送信信号を各受信用実在アンテナ素子RF1で受信して信号処理する際に、配設位置P~P15の垂直方向のずれ量を無視して、配設位置P、P~P、P11~P13に受信用仮想アンテナ素子RF2が配置されたものとして処理することで、図17に示すように、16のアンテナ素子を有する仮想水平アレーアンテナ4Aを得ることができる。
さらに、この仮想水平アレーアンテナ4Aに、本実施の形態におけるKR積アレー拡張を適用することで、図18に示すように、配設位置P-15~P15に31のアンテナ素子を有する仮想水平アレーアンテナ4Bを得ることができる。すなわち、ある特定の実在アンテナ素子の位置(配設位置P)を基準点とし、その基準点から他の実在アンテナ素子の相対位置によって決まる位相差を、他の実在アンテナ素子の信号から逆転させることによって、仮想アンテナ素子の信号を生成する演算規則に基づき、任意の格子点における仮想アンテナ素子の信号を生成するためのアンテナ素子間の対応関係を保持し、保持した対応関係に基づき、連続した格子点に対応する仮想アンテナ素子の信号を生成する。これにより、実在アレーアンテナである受信アンテナ4よりも格段にアンテナ素子数が多く大開口の水平アレーアンテナを得ることができる。
このように、SIMOモードにおいて、送信アンテナ3から同一位相の送信信号が送信される場合に、処理部5に上述した第1の処理を実行させることで、レーダー装置1は、実質的に大開口の水平アレーアンテナを備えたSIMOレーダーとして機能する。すなわち、送信アンテナ3は、複数のアンテナ素子が1個のアンテナ素子として取り扱われ、すべてのアンテナ素子から同一位相、またはそれに準じた規則に基づく位相で同時に信号が送信され、電磁波が空間合成され、特定方位に大きな利得をもつことが可能となる。ターゲットで反射した信号は、受信アンテナ4から処理部5によって生成された仮想水平アレーアンテナ4Aによって受信され、信号処理装置6により受信信号がデジタルビームフォーミング等によって信号処理されてターゲットが検出される。したがって、高速道路などの比較速い速度域で自動車が走行する際に、比較的遠距離に存在する車両などを感度よく検出することが可能である。
なお、このアレーアンテナ装置2では、周知のデジタルビームフォーミングを施したとしてもビーム幅が狭くなる。これを解決するには、例えば、送信アンテナ3の各アンテナ素子から送信される信号の位相を個別に制御してビームの合成方位を細かくずらしながら複数回送信し、それらによる反射波の振幅を比較することで方位を精密に測定可能である。最も簡単な方位特定は、ビームの合成方位を細かくずらして3回データをとり、その中からピーク位置を計算することで、角度を精密測定できる。なお、性能を上げるために送信回数を増やしてもよいが、それだけ観測時間が長くなってしまう。具体的には、例えば、図19に示すように、送信アンテナ3の各送信用実在アンテナ素子TFに移相器PSを接続し、アンテナ素子間で送信される送信信号に位相差を生じさせて複数回の検出を行うことが好ましい。
また、送信アンテナ3のアンテナ素子の配置によっては、注目方位だけでなく、グレーティングローブという不要方向へのビーム形成がされてしまい、不要方向からの反射波も受信してしまうので、それを除去しなければならない。この場合、不要方向からの反射は、受信アンテナ3のアレーにおけるアレー処理によって角度が定まるので、不要方向に積み上がった信号を捨てればよい。
また、アレーアンテナ装置2において、MIMOモードでは、処理部5で第2の処理を実行することにより、受信アンテナ4よりもアンテナ素子数が多い仮想2次元アレーアンテナを生成することができる。すなわち、処理部5は、上述した水平フーリエ変換器51、乗算器52および垂直フーリエ変換器53を備えており、生成された仮想アンテナ素子が存在する格子点の部分において、矩形が見出せる領域において、各行水平方向にフーリエ変換し、各列垂直方向にフーリエ変換することによって、物標の水平角および垂直角に応じた格子点に大きな振幅を積み上げる。さらに、水平方向のフーリエ変換の結果に対し、各格子点の位置に基づく位相回転を施し、前記位相回転に基づき格子上の信号列を垂直方向にたどりながら水平方向にジグザグに前記垂直方向のフーリエ変換に入力することによって、前記矩形で抱ける領域よりもさらに大きな領域をフーリエ変換の対象とする。
この第2の処理では、処理部5は、各送信用実在アンテナ素子TFからの送信信号を各受信用実在アンテナ素子RF1で受信して信号処理する際に、垂直方向にずれて配設された配設位置P、P~P、P11~P13に受信用仮想アンテナ素子RF3が配置されたものとして処理することで、図20に示すように、48(=6×8)のアンテナ素子を有する仮想2次元アレーアンテナ4Cが形成される。
さらに、この仮想2次元アレーアンテナ4Cに対して、上記のようなKR積アレー拡張と、水平アンテナ素子群の移動処理とを適用すると、図21に示すように、385(=11×35)のアンテナ素子を有する仮想2次元アレーアンテナ4Dを形成することができる。すなわち、ある特定の実在アンテナ素子の位置を基準点とし、その基準点から他の実在アンテナ素子の相対位置によって決まる位相差を、他の実在アンテナ素子の信号から逆転させることによって、仮想アンテナ素子の信号を生成する演算規則に基づき、任意の格子点における仮想アンテナ素子の信号を生成するためのアンテナ素子間の対応関係を保持し、保持した対応関係に基づき、連続した格子点に対応する仮想アンテナ素子の信号を生成する。なお、図20、図21では、アンテナ素子の大きさは無視して代表位置のみを図示している。ここで、図21の符号SZ1は、MIMOレーダー単独の限界サイズ(=48素子)を示し、SZ2は、ハードウエア実装サイズ(=6×18素子)を示す。これから明らかなように、アンテナ素子を配設するハードウエア実装サイズSZ2が小さくても、より大きい仮想の2次元アレーアンテナ4Dを構成することができる。
そして、送信アンテナ3の各送信用実在アンテナ素子TFから、異なる位相の送信信号が送信される場合に、処理部5に上述した第2の処理を実行させることで、レーダー装置1は、実質的に大開口の2次元アレーアンテナを備えたMIMOレーダーとして機能する。すなわち、送信アンテナ3の各アンテナ素子から独立した(数学的に直交した)信号を送信され、電磁波が空間合成されず広角度に伝搬する。ターゲットで反射した信号は、受信アンテナ4から処理部5によって生成された仮想2次元アレーアンテナ4Dによって受信され、信号処理装置6により受信信号が信号処理されてターゲットが検出される。したがって、自動車を駐車するような場面で、比較的近距離に存在する障害物などの高さおよび方位を広い範囲で検出することが可能となる。
以上で説明したように、本発明によれば、受信用実在アンテナ素子RF1が共分散行列において独立成分が連続するように配設されているため、少数の受信用実在アンテナ素子RF1でより大開口化に対応することが可能となる。すなわち、受信用実在アンテナ素子RF1が配設されない受信用仮想アンテナ素子RF2があっても、共分散行列において独立成分が連続するように受信用実在アンテナ素子(換言すると受信用仮想アンテナ素子)RF1が配設されていれば、KR積拡張アレーが形成され、すべての配設位置に受信用実在アンテナ素子RF1が配設されているものと等価となり、受信用実在アンテナ素子RF1の配設数を減らすことができる。
また、処理部5によって行われる第1の処理と第2の処理とにより、受信用実在アンテナ素子RF1と受信用仮想アンテナ素子RF2とが横方向に配設された仮想水平アレーアンテナ4Bと、受信用実在アンテナ素子RF1と受信用仮想アンテナ素子RF2とが2次元状に配設された仮想2次元アレーアンテナ4Dとを切り替えて生成することが可能となる。したがって、仮想水平アレーアンテナ4Bを生成した場合には、少ない受信用実在アンテナ素子RF1で大開口の水平アレーアンテナを得ることができ、これを自動車のレーダー装置1などに適用すれば、高速道路などの比較的速い速度域で比較的遠距離にある前方の車両などを感度よく検出することが可能となる。また、仮想2次元アレーアンテナ4Dを生成した場合には、自動車を駐車するような場面において、比較的近距離で広い範囲の高さおよび方位を検出することが可能となる。このように、少数の受信用実在アンテナ素子RF1で、大開口の水平アレーアンテナ4Bだけでなく、広い面積の2次元アレーアンテナ4Dも仮想的に生成することが可能となるので、自動車のように、駐車時または高速走行時など全く特性の異なるレーダーが必要な場合でも、本発明のアレーアンテナ装置2で兼用することが可能となる。
さらに、受信用実在アレーアンテナRF1に、横方向に所定間隔で配設され、かつ、縦方向で位置がずらされた複数の配設位置P~P15を設け、この配設位置P~P15の一部に共分散行列における独立成分が連続するように受信用実在アンテナ素子RF1が配設され、受信用実在アンテナ素子RF1が配設されていない配設位置に受信用仮想アンテナ素子RF2が配置されるようにしたので、受信用実在アンテナ素子RF1と受信用仮想アンテナ素子RF2が配設された水平アンテナ素子群を生成し、この水平アンテナ素子群が縦方向に複数配設された仮想2次元アレーアンテナ4Cを生成することが可能となる。これにより、少数の受信用実在アンテナ素子RF1で方位と高さを検出することが可能となり、かつ、大開口化に対応することが可能となる。
さらに、すべての受信用実在アンテナ素子RF1に対する共分散行列の独立成分を水平独立成分群ごとに縦方向に並べ、縦方向における水平独立成分群の重なりが多くなるように水平独立成分群を水平方向にずらすことで、縦横に広く受信用実在アンテナ素子が配設されたのと同等の仮想2次元アレーアンテナ4Dを構成することが可能となる。そして、受信用実在アンテナ素子RF1の大きさなどの制約によって受信用実在アンテナ素子RF1を理想的に配設できない場合であっても、上記のような要件を満たすように受信用実在アンテナ素子RF1を配設することで、所望の仮想2次元アレーアンテナを構成することが可能となる。
さらに、受信用実在アンテナ素子RF1は、仮想水平アレーアンテナ4BによってSIMOレーダー用の受信アンテナを構成し、仮想2次元アレーアンテナ4DによってMIMOレーダー用の受信アンテナを構成するように配設されているので、SIMOレーダーおよびMIMOレーダーにおいて、少ない受信用実在アンテナ素子RF1でより大開口化に対応することが可能となる。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。
例えば、上記の実施の形態では、レーダー装置1が搭載されている自動車の速度に基づいてSIMOモードとMIMOモードとを切り替えるようにしたが、車両や障害物などの検出対象物までの距離に応じて切り替えてもよいし、所定時間ごとにSIMOモードとMIMOモードとを交互に切り替えるようにしてもよい。
1 レーダー装置
2 アレーアンテナ装置
3 送信アンテナ
4 受信アンテナ(実在アレーアンテナ)
4A、4B 仮想水平アレーアンテナ
4C、4D 仮想2次元アレーアンテナ
5 処理部
51 水平フーリエ変換器
52 乗算器(位相回転部)
53 垂直フーリエ変換器
6 信号処理装置
~P15 配設位置
RF 実在アンテナ素子
VF 仮想アンテナ素子
HA 水平アンテナ素子群
HF 水平独立成分群

Claims (6)

  1. 水平方向と垂直方向に仮想的に規定間隔で設けられた格子点のうち一部の格子点に実在アンテナ素子が配設され、他の格子点には前記実在アンテナ素子が配設されない仮想アンテナ素子が配設された実在アレーアンテナと、
    前記実在アンテナ素子間の位相差を利用して、前記仮想アンテナ素子の信号を補間する処理部と、を備え、
    前記処理部は、
    前記実在アレーアンテナの水平方向における位相差を利用して、水平方向の前記仮想アンテナ素子の信号を補間し、前記実在アンテナ素子と前記仮想アンテナ素子とが前記水平方向に連続配置された仮想水平アレーアンテナを生成する第1の処理と、
    前記実在アレーアンテナの水平方向と垂直方向とにおける位相差を利用して、水平方向および垂直方向の前記仮想アンテナ素子の信号を補間し、前記実在アンテナ素子と前記仮想アンテナ素子とが前記水平方向と前記垂直方向とに連続配置された仮想2次元アレーアンテナを生成する第2の処理と、を切り替えて実行する、
    ことを特徴とするアレーアンテナ装置。
  2. 前記処理部は、前記第1の処理および前記第2の処理において、
    ある特定の実在アンテナ素子の位置を基準点とし、その基準点から他の実在アンテナ素子の相対位置によって決まる位相差を利用して仮想アンテナ素子の信号を生成する演算規則に基づき、任意の格子点における仮想アンテナ素子の信号を生成するための実在アンテナ素子間の対応関係を保持し、前記保持した対応関係に基づいて仮想アンテナ素子の信号を生成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のアレーアンテナ装置。
  3. 前記処理部は、前記第2の処理において、
    前記水平方向と前記垂直方向とに連続配置された前記実在アンテナ素子と前記仮想アンテナ素子とに対し、各行水平方向にフーリエ変換し、その後に各列垂直方向にフーリエ変換する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のアレーアンテナ装置。
  4. 水平方向のフーリエ変換の結果に対し、各格子点の位置に基づく位相回転を施してから、前記垂直方向のフーリエ変換を行う
    ことを特徴とする請求項3に記載のアレーアンテナ装置。
  5. 水平方向と垂直方向の処理の順序を入れ替えての実施が可能である、
    ことを特徴とする請求項3または4のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置。
  6. 前記実在アンテナ素子は、前記仮想水平アレーアンテナによってSIMOレーダー用の受信アンテナを構成し、前記仮想2次元アレーアンテナによってMIMOレーダー用の受信アンテナを構成するように配設されている、
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置。
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