JP7023138B2 - 絶縁監視システム - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁監視システムに関する。さらに詳しくは、微弱な零相電流に基づいた精度の良い絶縁監視を、残留電流の影響を受けずに行う絶縁監視システムに関する。
電路や電気機器の絶縁不良は、電気火災や感電事故等の重大な事故を引き起こす可能性がある。このため、電路及び電気機器の絶縁状態を調べることを目的とした様々な手法が存在する。例えば、絶縁抵抗計を用いて電路及び電気機器の絶縁状態を調べる手法があるが、測定のために対象となる電路及び電気機器を一時的に停電させる必要があるため、24時間連続稼動が前提となる現代のシステムに対応することができない。
このような問題に対し、無停電で電路及び電気機器の絶縁状態を調べる手法が一般的に用いられるようになった。例えば、特許文献1で提案されている絶縁監視装置を用いた手法は、無停電で電路及び電気機器の絶縁状態を調べるものとして一般的に用いられている手法である。この手法で用いられる絶縁監視装置は、電路の電圧の位相と、接地線に流れる電流(以下「漏洩電流」と呼ぶ)とを検出し、この漏洩電流から、送電路の電圧の位相と同成分の成分(以下「抵抗成分」と呼ぶ)のみを取り出し、この抵抗成分に基づいて電路及び電気機器の絶縁状態を判定する、とされる。
すなわち、従来からある絶縁監視装置は、漏洩電流を検出するために零相変流器が用いられている。零相変流器によって検出される漏洩電流は、抵抗成分と、電路の電圧に対して位相が90°進む成分(以下「静電容量成分」と呼ぶ)とがベクトル合算されたものである。静電容量成分は、電路の絶縁状態に影響を及ぼすことはなく、抵抗成分のみが電路の絶縁状態に影響を及ぼす。つまり、従来からある絶縁監視装置は、零相変流器によって検出された漏洩電流から、さらに抵抗成分のみを検出して、絶縁状態を判定するものである。
特開2008-8823号公報
しかしながら、特許文献1で提案されている技術を含め、従来からある絶縁監視装置では、微弱な零相電流を検出することができない。例えば、絶縁抵抗値が1MΩ(メガオーム)である場合には、200μA(マイクロアンペア)程度の微弱な零相電流を検出する必要があるが、従来からある絶縁監視装置では、このような微弱な零相電流を検出することができない。これは、零相変流器は、コア材料の透磁率、コアの磁気飽和、一次側導体の位置、二次側導体の巻き回され方や配置などの影響により、絶縁監視とは関係のない残留電流と呼ばれる零相電流が流れることがあり、このような残留電流が、精度の良い絶縁監視を行う際の障害となるからである。
これに対して、電子機器の小型化、微細化が進む現代において、市場に出回っている電子機器の中には、このような微弱な零相電流を検出可能とする精度の良い絶縁監視を要求するものが多く存在する。
本発明の目的は、微弱な零相電流に基づいた精度の良い絶縁監視を、残留電流の影響を受けずに行うことができる絶縁監視システムを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る絶縁監視システムは、電路の絶縁状態を監視する絶縁監視システムであって、交流電源から負荷に負荷電流を流すための負荷電線と、抑圧電流を流す抑圧電線とを貫通させる環状のコアを有し、貫通された前記負荷電線に流れる零相電流であって絶縁監視の対象とは異なる零相電流である残留電流を検出する電流検出手段と、検出された前記残留電流と同相かつ同レベルの抑圧電流を生成し、前記抑圧電流が前記残留電流を相殺するように、前記抑圧電線に前記残留電流とは逆向きの前記抑圧電流を流す抑圧電流出力手段と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、電流検出手段によって検出された残留電流と同相かつ同レベルの抑圧電流を生成し、生成された抑圧電流が残留電流を相殺するように、抑圧電線に残留電流とは逆向きに流されるので、残留電流が低減化された好適な監視環境を整えることができる。
本発明に係る絶縁監視システムにおいて、前記交流電源は3相交流電源であり、前記負荷は3相負荷であり、前記電流検出手段は零相変流器である、ことが好ましい。この発明によれば、零相変流器は、3相の負荷電線の各相に流れる電流を合算した零相電流を残留電流として検出し、この残留電流と同相かつ同レベルの抑圧電流が生成され、この抑圧電流が残留電流を相殺するように、抑圧電線に残留電流とは逆向きに流されるので、残留電流が低減化された好適な監視環境を整えることができる。
本発明に係る絶縁監視システムにおいて、前記電流検出手段は、さらに、前記抑圧電流によって前記残留電流が相殺された状態において、前記負荷電線を流れる零相電流を検出し、検出された前記零相電流の値に基づいて、前記電路の絶縁状態が良好か否かを判定する絶縁状態判定手段をさらに備える、ことが好ましい。本発明によれば、残留電流が低減化された好適な監視環境の下で、微弱な零相電流に基づいた精度の良い絶縁監視を、残留電流の影響を受けることなく行うことができる。
本発明によれば、微弱な零相電流に基づいた精度の良い絶縁監視を、残留電流の影響を受けずに行うことができる。
本発明の第1実施形態に係る絶縁監視システムを含む電路の構成を示す図である。 図1の絶縁監視システムを用いた残留電流低減化試験の内容と結果とを示す図である。 本発明の第2実施形態及び第3実施形態に係る絶縁監視システムを含む高電圧電路の構成を示す図である。 図3の絶縁監視システムの構成を示すブロック図である。 図4の絶縁監視システムにより測定される電圧信号と漏洩電流との位相差を示すベクトル図である。 本発明の第3実施形態に係る絶縁監視システムの構成を示すブロック図である。
以下、本発明に係る絶縁監視システムについて図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は図示の実施形態に限定されるものではない。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る絶縁監視システム1は、3相電路の絶縁状態を監視するシステムであって、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)10と、電流検出部11と、抑圧電流出力部12と、絶縁状態判定部13とを備える。絶縁監視システム1は、3相の負荷電線300から残留電流Idを検出し、検出された残留電流Idと同相かつ同レベルの抑圧電流Isを生成し、抑圧電流Isが残留電流Idを相殺するように、抑圧電線400に残留電流Idとは逆向きの抑圧電流Isを流す。そして、絶縁監視システム1は、負荷電線300を流れる負荷電流Ilから零相電流Izを検出し、検出された零相電流Izの値に基づいて、電路の絶縁状態が良好か否かを判定する。
以下、絶縁監視システム1の各構成要素を詳しく説明する。
(CPU)
CPU10は、電流検出部11、抑圧電流出力部12、及び絶縁状態判定部13によって実行される各種処理の制御を行う。
(電流検出部)
本実施形態における電流検出部11は、環状のコア(図示せず)と、コアに巻き回された導体(図示せず)と、コアと導体とを収納する外装ケース(図示せず)からなる零相変流器(ZCTともいう)であり、負荷電線300に流れる電流を検出する。電流検出部11を構成するコアは、3相交流電源から3相負荷200に負荷電流Ilを流すための3相の負荷電線300と、抑圧電流Isを流す抑圧電線400とを貫通させる。電流検出部11のコアに貫通された負荷電線300に負荷電流Ilが流れると、3相の負荷電線300にそれぞれ流れる負荷電流Ilが合算された零相電流Izが導体に流れる。すなわち、正常時は、各相に流れる負荷電流Ilの大きさはいずれも同じであり、つり合った状態となっているため、零相電流Izの大きさはゼロになる。このため、例えば地絡や漏電のような異常が発生していない正常時は、導体に電流(零相電流Iz)が流れることはない。
しかしながら、電流検出部11は、コア材料の透磁率、コアの磁気飽和、負荷電線300の位置、導体の巻き回され方や配置などの影響により、絶縁監視とは関係のない残留電流と呼ばれる零相電流が流れることがある。このような残留電流Idは、精度の良い絶縁監視を行う際の障害となる。このため、絶縁監視システム1は、後述する抑圧電流出力部12により生成される抑圧電流Isを用いて残留電流Idを相殺させる。これにより、残留電流Idを低減化させることができる。なお、抑圧電流Isを用いて残留電流Idを低減化させる具体的手法は後述する。
電流検出部11のコアの大きさは、負荷電線300と抑圧電線400とを貫通させることができる大きさであれば特に限定されない。コアの材質は、特に限定されず、パーマロイ(登録商標)、ファインメット(登録商標)等、コアの素材として一般的に用いられるものを採用することができる。なお、本実施形態では、パーマロイの平板を積層させたコアとしている。導体は、コアに巻き回される導体である。なお、導体の材質は特に限定されず、導体として一般的に用いられる絶縁被覆銅線等を用いることができる。
(抑圧電流出力部)
抑圧電流出力部12は、同期信号検出治具121と、正弦波生成器122と、パワーアンプ123と、位相差計124とで構成される。抑圧電流出力部12は、電流検出部11により検出された残留電流Idと同相かつ同レベルの抑圧電流Isを生成し、抑圧電流Isが残留電流Idを相殺するように、抑圧電線400に残留電流Idとは逆向きの抑圧電流Isを流す。すなわち、抑圧電線400に流された抑圧電流Isが残留電流Idを打ち消すように働くので、残留電流が低減化された好適な監視環境を整えることができる。
同期信号検出治具121は、フィルタと、アンプと、SCF(スイッチト・キャパシタ・フィルタ)とで構成される。フィルタ(図示せず)は、図1に示す電路に生じる電圧信号Vaを検出し、検出した電圧信号Vaからノイズ成分を除去する。アンプ(図示せず)は、フィルタから出力される電圧信号Vaを増幅する。SCFは、電圧信号Vaのうち、遮断周波数よりも低い周波数の成分についてはほとんど減衰させずに、遮断周波数よりも高い周波数の成分を低減させるローパスフィルタとしての機能を備えるとともに、予め決められたクロック周波数に基づいて、アンプから出力される電圧信号Vaの位相を調整する。
正弦波生成器122は、同期信号検出治具121のSCFから出力される電圧信号Vaのレベル及び位相の調整を行い、正弦波を生成する。
パワーアンプ123は、正弦波生成器122により生成された正弦波を増幅して、残留電流Idと同相かつ同レベルの抑圧電流Isを生成し、抑圧電流Isが残留電流Idを相殺するように、抑圧電線400に残留電流Idとは逆向きの抑圧電流Isを流す。これにより、電流検出部11では、相殺の結果残存した残留電流Idのみが検出されることになるので、残留電流を低減化させることができる。その結果、絶縁監視における好適な監視環境を整えることができる。
位相差計124は、負荷電流Ilの位相と抑圧電流Isの位相とを測定し、両者の差を検出する計器である。位相差計124によって負荷電流Ilの位相と抑圧電流Isの位相との差が検出されるので、パワーアンプ123は、残留電流Idと同相の抑圧電流Isを生成することができる。
(絶縁状態判定部)
絶縁状態判定部13は、残留電流測定器131と、測定値表示端末132とで構成される。絶縁状態判定部13は、電流検出部11により検出された零相電流Izの値に基づいて、図1に示す電路の絶縁状態が良好か否かを判定する。
残留電流測定器131は、電流検出部11により検出された零相電流Izの値を測定し、この零相電流Izの値が予め設定した閾値を上回った場合に、電路の絶縁状態が劣化したものと判断し、警報を発する。これにより、絶縁状態の劣化をいち早く操作者に知らせることができる。
測定値表示端末132は、電流検出部11により検出された零相電流Izの値をディスプレイ(図示せず)に表示する。操作者はこの表示を見ることにより、図1に示す電路の絶縁状態を認識することができる。
図1の絶縁監視システム1を用いた場合、残留電流がどの程度低減化されるのかについて、下記の条件の下に試験を行った。
[試験1]
(内容)
負荷電流が、R相(100A)、S相(100A)、T相(100A)であり、残留電流Idが845μA(位相差は67.8deg)である場合に、同レベルかつ同相の抑圧電流Isを生成して、抑圧電流Isを流した場合に、残留電流Idにどのような変化が生じるかを確認した。試験は同じ条件で4回行った。
(結果)
抑圧電流を流した結果、残存した残留電流は、1回目の平均値が2.09μA、2回目の平均値が3.81μA、3回目の平均値が3.12μA、4回目の平均値が4.72μAとなった。つまり、抑圧電流を流すことにより、845μAの残留電流を2.09μA~4.72μA程度まで劇的に低減化させることができた。
[試験2]
(内容)
負荷電流が、R相(100A)、S相(130A)、T相(100A)であり、残留電流Idが845μA(位相差は67.8deg)である場合に、同レベルかつ同相の抑圧電流Isを生成して、抑圧電流Isを流した場合に、残留電流Idにどのような変化が生じるかを確認した。試験は同じ条件で4回行った。
(結果)
抑圧電流を流した結果、残存した残留電流は、1回目の平均値が242μA、2回目の平均値が243μA、3回目の平均値が244μA、4回目の平均値が243μAとなった。抑圧電流Isを流すことで残留電流Idを低減化させることはできるが、試験1の結果のような劇的な低減化は起こらなかった。つまり、特定の相(S相)における負荷電流が100Aから130Aに変動すると、残留電流Idは、レベル及び位相ともに変化することがわかった。
[試験3]
(内容)
負荷電流が、R相(130A)、S相(100A)、T相(130A)であり、残留電流Idが845μA(位相差は67.8deg)である場合に、同レベルかつ同相の抑圧電流Isを生成して、抑圧電流Isを流した場合に、残留電流Idにどのような変化が生じるかを確認した。試験は同じ条件で4回行った。
(結果)
抑圧電流を流した結果、残存した残留電流は、1回目の平均値が127μA、2回目の平均値が125μA、3回目の平均値が122μA、4回目の平均値が121μAとなった。抑圧電流Isを流すことで残留電流Idを低減化させることはできるが、試験2のときと同様に、試験1の結果のような劇的な低減化は起こらなかった。つまり、特定の相(R相及びT相)における負荷電流が100Aから130Aに変動すると、残留電流Idは、レベル及び位相ともに変化することがわかった。
[試験4]
(内容)
上記試験2の結果として残存した残留電流Idに対し、再調整した抑圧電流Isを生成して流すことで残留電流Idにどのような変化が生じるかを確認した。試験は同じ条件で4回行った。
(結果)
再調整した抑圧電流Isを流した結果、残存した残留電流Idは、1回目の平均値が7.16μA、2回目の平均値が6.57μA、3回目の平均値が6.96μA、4回目の平均値が6.95μAとなった。つまり、再調整した抑圧電流Isを流すことで残留電流Idを低減化させることができることわかった。
[試験5]
(内容)
上記試験3の結果として残存した残留電流Idに対し、再調整した抑圧電流Isを生成して流すことで残留電流Idにどのような変化が生じるかを確認した。試験は同じ条件で4回行った。
(結果)
再調整した抑圧電流Isを流した結果、残存した残留電流Idは、1回目の平均値が1.30μA、2回目の平均値が3.70μA、3回目の平均値が2.85μA、4回目の平均値が2.28μAとなった。つまり、再調整した抑圧電流Isを流すことで残留電流Idを低減化させることができることわかった。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る絶縁監視システム2は、高電圧電路Wの絶縁状態を監視するシステムである。高電圧電路Wは、図3に示すように、高圧受電線より受電される高電圧(例えば、6600V)を商用電圧(例えば、110V)に変圧する変圧器TR1を有しており、変圧器TR1の低圧側は、送電路500及び501を経由して負荷200に接続されている。送電路501は、B種接地線(以下「接地線」と呼ぶ)600を経由してグランドに接地されている。送電路500とグランドとの間には、対地絶縁抵抗R0と、対地静電容量(浮遊容量)C0とを合成した対地インピーダンスZ0が存在する。このため、接地線600には、対地インピーダンスZ0を経由して流れる電流と同一の電流が流れている。絶縁監視システム2は、図3に示すように、接地線600を貫通させるとともに、送電路500及び501に接続された状態で配置されている。
絶縁監視システム2は、図4に示すように、CPU20と、電流検出部21と、漏洩電流増幅部22と、抑圧電流出力部23と、情報提示部60とを備える。絶縁監視システム2は、電流検出部21に接地線600と抑圧用電線700とを貫通させた状態で、接地線600に流れる漏洩電流I0と等大で逆向きとなる抑圧電流Isを抑圧用電線700に流す。そして、電流検出部21により検出される零相電流Izがゼロになったときに、抑圧電流Isを構成する成分のうち電圧信号Vaと同相となる成分(以下「同相成分」と呼ぶ)を認識し、この同相成分に基づいて高電圧電路Wの絶縁状態が良好か否かを判定する。
以下、絶縁監視システム2の各構成要素を詳しく説明する。
(CPU20)
本実施形態におけるCPU20は、電流検出部21、漏洩電流増幅部22、抑圧電流出力部23、及び情報提示部60により実行される各種処理の制御を行う。例えばCPU20は、基準信号調整部37により生成された基準信号と、電流検出部21で検出される漏洩電流I0に基づいて、図5に示すように、電流I0の位相角θを求める。CPU20は、位相角θに基づいて、電流I0の抵抗成分I0rと、電流I0の静電容量成分I0cとを求める。CPU20は、抵抗成分I0rと、静電容量成分I0cとに基づいて、Ir調整信号と、Ic調整信号とを生成し、これらの調整信号を、Ir抑圧信号発生器38と、Ic抑圧信号発生器40とにそれぞれ出力する。すなわち、CPU20は、送電路500と501との間に生じる電圧の位相を検出する位相検出手段として機能する。
CPU20は、電流検出部21で検出される漏洩電流I0の抵抗成分I0rと、静電容量成分I0cとが共にゼロになるように、Ir調整信号と、Ic調整信号とを生成し、抵抗成分I0rと、静電容量成分I0cとが共にゼロになったときのIr調整信号を、漏洩電流I0の抵抗成分I0rであるものと認識する。すなわち、CPU20は、抑圧電流Isを流すことにより、電流検出部21で検出された電流値がゼロになったときの同相成分に基づいて、送電路500及び501の絶縁状態が良好であるか否かを判定する絶縁状態判定手段としても機能する。
(電流検出部)
本実施形態における電流検出部21は、環状のコア(図示せず)と、コアに巻き回された導体(図示せず)と、コアと導体とを収納する外装ケース(図示せず)からなる零相変流器(ZCT)である。電流検出部21は、接地線600と、後述する抑圧用電線700とを貫通させる。電流検出部21を構成するコアが、接地線600と抑圧用電線700とを貫通させるので、電流検出部21は、接地線600に流れる漏洩電流I0と、抑圧用電線700に流れる抑圧電流Isとの差分となる零相電流Izを検出することができる。なお、電流検出部21を構成するコアの大きさや材質等の特徴、及び導体の材質等の特徴については、上述の第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
(漏洩電流増幅部)
漏洩電流増幅部22は、ヘッドアンプ32と、フィルタ33とで構成される。ヘッドアンプ32は、電流検出部21により検出された漏洩電流I0を増幅する。フィルタ33は、ヘッドアンプ32により増幅された漏洩電流I0からノイズ成分を除去し、ノイズ成分が除去された漏洩電流I0をCPU20に供給する。
(抑圧電流出力部)
抑圧電流出力部23は、フィルタ34と、アンプ35と、SCF(スイッチト・キャパシタ・フィルタ)36と、基準信号調整部37と、Ir抑圧信号発生器38と、位相シフト回路39と、Ic抑圧信号発生器40と、パワーアンプ41とで構成される。
フィルタ34は、2本の送電路500と501との間に生じる電圧信号Vaを検出し、検出した電圧信号Vaからノイズ成分を除去する。アンプ35は、フィルタ34から出力された電圧信号Vaを増幅する。SCF36は、ローパスフィルタとして機能するとともに、予め決められたクロック周波数に基づいて、アンプ35から出力された電圧信号Vaの位相を調整する。基準信号調整部37は、SCF36から出力された電圧信号Vaに対してレベル調整を行い、基準信号を生成する。Ir抑圧信号発生器38は、SCF36から出力された電圧信号Vaと同相の信号であり、かつ、Ir調整信号に基づいて決定されたレベルの信号であるIr抑圧信号を生成する。位相シフト回路39は、SCF36にから出力された電圧信号Vaの位相を90°進める。Ic抑圧信号発生器40は、位相シフト回路39により90°進められた位相の信号であり、かつ、Ic調整信号によって決定されたレベルの信号であるIc抑圧信号を生成する。パワーアンプ41は、Ir抑圧信号発生器38で生成されたIr抑圧信号と、Ic抑圧信号発生器40で生成されたIc抑圧信号とを合成して増幅させた抑圧電流Isを生成し、生成した抑圧電流Isを抑圧用電線700に供給する。すなわち、パワーアンプ41は、電流検出部21により検出される電流I0を、CPU20により検出された位相と同相の成分(同相成分)と、位相が90°進められた成分(以下「位相進み成分」と呼ぶ)とに分解し、これら2つの成分からなる抑圧電流Isを生成して、この抑圧電流Isを、接地線600に流れる電流と逆向きとなるように抑圧用電線700に流す電流生成手段として機能する。
(情報提示部)
情報提示部60は、絶縁監視システム2の操作者に対し、各種の情報の提供を行う。情報提示部60は、ディスプレイ51と、警報装置52とで構成される。ディスプレイ51は、送電路500及び501の絶縁状態等の各種の情報を表示する。警報装置52は、絶縁抵抗が劣化したと判断された場合に警報を発する。
上述した構成を有する絶縁監視システム2は、電流検出部21が接地線600と抑圧用電線700とを貫通させて、電流検出部21により検出される漏洩電流I0がゼロになるように、抑圧用電線700に流す抑圧電流Isを制御する。そして、電流検出部21により検出された漏洩電流I0がゼロになったときのIr調整信号が、漏洩電流I0の抵抗成分I0rであるものと認識し、この抵抗成分I0rが予め設定された閾値を上回った場合に、送電路500及び501の絶縁状態が劣化したものと判断し、操作者に対し警報を発する。その結果、操作者は、送電路500及び501の絶縁状態の劣化を早期に知ることができる。
本実施形態では、漏洩電流I0を相殺する抑圧電流Isを生成し、抑圧電流Isの抵抗成分を漏洩電流I0の抵抗成分I0rとして検出するので、電流検出部21による検出の精度にばらつきが存在する場合や、周囲に磁界が発生している場合であっても、抵抗成分I0rを高精度に測定して送電路500及び501の絶縁状態を監視することが可能となる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る絶縁監視システム3は、図6に示すように、上述の第2実施形態に係る絶縁監視システム2と対比して、Ir抑圧信号発生器38を設けていない点と、CPU20がIr抑圧信号発生器38に供給するためのIr調整信号を生成しない点とが相違する。第3実施形態に係る絶縁監視システム3のCPU20は、電流検出部21で検出された漏洩電流I0を抵抗成分I0rと静電容量成分I0cに分離し、静電容量成分I0cをゼロにするためのIc調整信号を生成して出力する。そして、静電容量成分I0cがゼロになったときの抵抗成分I0rを、漏洩電流I0の抵抗成分I0rとして認識する。なお、それ以外の構成は、図4に示す構成と同様であるので、同一符号を付して構成の説明を省略する。
上述した構成を有する絶縁監視システム3は、電流検出部21に接地線600と抑圧用電線700とを貫通させて、電流検出部21により検出される漏洩電流I0の静電容量成分I0cがゼロになるように、抑圧用電線700に流す電流(抑圧電流Is)を制御する。そして、電流検出部21により検出された電流の静電容量成分がゼロになったときの抵抗成分I0rを、漏洩電流I0の抵抗成分I0rであるものと認識し、抵抗成分I0rが予め設定した閾値を上回った場合に、送電路500及び501の絶縁状態が劣化したものと判断し、操作者に対し警報を発する。その結果、操作者は、送電路500及び501の絶縁状態の劣化を早期に知ることができる。
1,2,3 絶縁監視システム
10,20 CPU
11,21 電流検出部
12 抑圧電流出力部
13 絶縁状態判定部
22 漏洩電流増幅部
23 抑圧電流出力部
32 ヘッドアンプ
33,34 フィルタ
35 アンプ
36 SCF(スイッチト・キャパシタ・フィルタ)
37 基準信号調整部
38 Ir抑圧信号発生器
39 位相シフト回路
40 Ic抑圧信号発生器
41 パワーアンプ
51 ディスプレイ
52 警報装置
60 情報提示部
121 同期信号検出治具
122 正弦波生成器
123 パワーアンプ
124 位相差計
131 残留電流測定器
132 測定値表示端末
200 負荷
300 負荷電線
400 抑圧電線
500,501 送電路
600 接地線
700 抑圧用電線
C0 浮遊容量
I0 漏洩電流
I0c 静電容量成分
I0r 抵抗成分
Id 残留電流
Il 負荷電流
Is 抑圧電流
Iz 零相電流
TR1 変圧器
R0 対地絶縁抵抗
R 相
S 相
T 相
Va 電圧信号
W 高電圧電路
Z0 インピーダンス

Claims (3)

  1. 電路の絶縁状態を監視する絶縁監視システムであって、
    交流電源から負荷に負荷電流を流すための負荷電線と、抑圧電流を流す抑圧電線とを貫通させる環状のコアを有し、貫通された前記負荷電線に流れる零相電流であって絶縁監視の対象とは異なる零相電流である残留電流を検出する電流検出手段と、
    検出された前記残留電流と同相かつ同レベルの抑圧電流を生成し、前記抑圧電流が前記残留電流を相殺するように、前記抑圧電線に前記残留電流とは逆向きの前記抑圧電流を流す抑圧電流出力手段と、
    を備えることを特徴とする絶縁監視システム。
  2. 前記交流電源は3相交流電源であり、前記負荷は3相負荷であり、前記電流検出手段は零相変流器である、
    請求項1に記載の絶縁監視システム。
  3. 前記電流検出手段は、さらに、前記抑圧電流によって前記残留電流が相殺された状態において、前記負荷電線を流れる零相電流を検出し、
    検出された前記零相電流の値に基づいて、前記電路の絶縁状態が良好か否かを判定する絶縁状態判定手段をさらに備える、
    請求項1又は2に記載の絶縁監視システム。
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