以下、本発明の樹脂組成物、樹脂シート、プリント配線板、半導体装置、及び樹脂組成物の製造方法について詳細に説明する。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、及び(C)無機充填材を含有する樹脂組成物であって、(C)成分が、(C1)アミノシラン化合物及びエポキシシラン化合物、(C2)ビニルシラン化合物及び(メタ)アクリルシラン化合物、(C3)メルカプトシラン化合物及びエポキシシラン化合物、又は(C4)アミノシラン化合物及びアクリルシラン化合物で表面処理されている。樹脂組成物は、必要に応じて、さらに(D)熱可塑性樹脂、(E)硬化促進剤、(F)難燃剤及び(G)有機充填材等の添加剤を含んでいてもよい。以下、本発明の樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<(A)エポキシ樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(A)成分は、熱膨張率を低下させる観点から、芳香族骨格含有エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及びビキシレノール型エポキシ樹脂から選択される1種以上であることがより好ましい。芳香族骨格とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物の硬化物の破断強度も向上する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス(株)製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、(株)ダイセル製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン)、三菱化学(株)製の「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP-7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学(株)製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」、「YX4000」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル(株)製の「PG-100」、「CG-500」、三菱化学(株)製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1~1:15の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)樹脂シートの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)樹脂シートの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる等の効果が得られる。上記i)~iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:1~1:10の範囲がより好ましく、1:1.1~1:8の範囲がさらに好ましい。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50~5000、より好ましくは50~3000、さらに好ましくは80~2000、さらにより好ましくは110~1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100~5000、より好ましくは250~3000、さらに好ましくは400~1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<(B)硬化剤>
本発明の樹脂組成物は、(B)硬化剤を含有する。硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤などが挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。(B)成分は、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上であることが好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び導体層との密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、「MEH-7851H」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製の「TD-2090」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA-3018-50P」、「EXB-9500」等が挙げられる。
導体層との密着性に優れる絶縁層を得る観点から、活性エステル系硬化剤も好ましい。活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「EXB-8000L-65TM」(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416-70BK」(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱化学(株)製)、「YLH1030」(三菱化学(株)製)、「YLH1048」(三菱化学(株)製)等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P-d」、「F-a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル(株)製の「V-03」、「V-07」等が挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.1~10:1の範囲が好ましく、1:0.5~5:1がより好ましく、1:1~3:1がさらに好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂と硬化剤との量比を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化物の耐熱性がより向上する。
一実施形態において、樹脂組成物は、先述の(A)エポキシ樹脂及び(B)硬化剤を含む。樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との混合物(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂の質量比は好ましくは1:0.1~1:15、より好ましくは1:1~1:10、さらに好ましくは1:1.1~1:8)を、(B)硬化剤としてフェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群から選択される1種以上を、それぞれ含むことが好ましい。
樹脂組成物中の硬化剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。また、下限は特に制限はないが好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、又は10質量%以上である。
<(C)無機充填材>
本発明の樹脂組成物は、(C)無機充填材を含有し、無機充填材は、少なくとも2種類のシラン化合物で表面処理されている。2種類のシラン化合物は、(C1)アミノシラン化合物及びエポキシシラン化合物、(C2)(メタ)アクリルシラン化合物及びビニルシラン化合物、(C3)メルカプトシラン化合物及びエポキシシラン化合物、又は(C4)アミノシラン化合物及びアクリルシラン化合物である。即ち、1種の無機充填材が、特定の2種類のシラン化合物で表面処理されている。
無機充填材の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填材の平均粒径は、回路埋め込み性を向上させ、表面粗度の低い絶縁層を得る観点から、好ましくは5μm以下、より好ましくは2.5μm以下、さらに好ましくは2μm以下、より好ましくは1.5μm以下である。該平均粒径の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、又は0.5μm以上である。このような平均粒径を有する無機充填材の市販品としては、例えば、新日鉄住金マテリアルズ(株)製「SP60-05」、「SP507-05」、「SPH516-05」、(株)アドマテックス製「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、デンカ(株)製「UFP-30」、(株)トクヤマ製「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」、(株)アドマテックス製「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」等が挙げられる。
無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製「LA-500」等を使用することができる。
本発明の樹脂組成物に含まれる無機充填材は、(C1)アミノシラン化合物及びエポキシシラン化合物、(C2)(メタ)アクリルシラン化合物及びビニルシラン化合物、(C3)メルカプトシラン化合物及びエポキシシラン化合物、又は(C4)アミノシラン化合物及びアクリルシラン化合物により表面処理されている。
本発明者らは、2種類のシラン化合物で無機充填材を表面処理することを検討した結果、(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分、又は(C4)成分で無機充填材を表面処理することでめっき密着性の長期信頼性及び下地密着性の長期信頼性を向上させることが可能となることを見出した。これは、無機充填材の表面に2種類のシラン化合物が処理されることにより、シラン化合物が互いに結合し、より強固なネットワークが構築されるため、めっき金属や下地金属との結合力が増すことにより、めっき密着性の長期信頼性及び下地密着性の長期信頼性が向上すると考えている。
(C1)成分で無機充填材を表面処理する際、アミノシラン化合物とエポキシシラン化合物のモル比(アミノ基/エポキシ基)としては、好ましくは0.05~20、より好ましくは0.1~10、さらに好ましくは0.2~5である。
(C1)成分におけるアミノシラン化合物としては、アミノ基を有するシラン化合物であれば特に限定されないが、めっき密着性の長期信頼性及び下地密着性の長期信頼性を向上させる観点からアミノシラン系カップリング剤が好ましい。アミノシラン化合物の市販品としては、信越化学工業(株)製「KBM-903」(3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、「KBE-903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、「KBM-573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、「KBM-602」(N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン)、「KBM-603」(N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、「KBM-6803」(N-2-(アミノエチル)-8-アミノオクチルトリメトキシシラン)などが挙げられる。
エポキシシラン化合物としては、エポキシ基を有するシラン化合物であれば特に限定されないが、めっき密着性の長期信頼性及び下地密着性の長期信頼性を向上させる観点から、エポキシシラン系カップリング剤が好ましい。エポキシシラン化合物の市販品としては、信越化学工業(株)製「X-12-1231」(3-(2-グリシジルフェニル)プロピルトリメトキシシラン)、「KBM-403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、「KBM-303」(2-(3,4)-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)、「KBM-402」(3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン)、「KBE-403」(3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)、「KBE-402」(3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)、「KBM-4803」(8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン)などが挙げられる。
(C2)成分で無機充填材を表面処理する際、ビニルシラン化合物と(メタ)アクリル化合物のモル比(ビニル基/(メタ)アクリル基)としては、好ましくは0.05~20、より好ましくは0.1~10、さらに好ましくは0.2~5である。
(メタ)アクリルシラン化合物としては、(メタ)アクリル基を有するシラン化合物であれば特に限定されないが、めっき密着性の長期信頼性及び下地密着性の長期信頼性を向上させる観点から、(メタ)アクリルシラン系カップリング剤が好ましい。(メタ)アクリルシラン化合物の市販品としては、信越化学工業(株)製「KBM-503」(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、「KBE-503」(3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)、「KBM-502」(3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン)、「KBE-502」(3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン)、「KBM-5803」(8-メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン)、「KBM-5103」(3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル基及びメタクリル基を指す。
ビニルシラン化合物としては、ビニル基を有するシラン化合物であれば特に限定されないが、めっき密着性の長期信頼性及び下地密着性の長期信頼性を向上させる観点から、ビニルシラン系カップリング剤が好ましい。ビニルシラン化合物の市販品としては、信越化学工業(株)製「KBE-1003」(ビニルトリエトキシシラン)、「KBM-1003」(ビニルトリメトキシシラン)、「KBM-1083」(トリメトキシ(7-オクテン1-イル)シラン)などが挙げられる。
(C3)成分で無機充填材を表面処理する際、メルカプトシラン化合物とエポキシシラン化合物のモル比(メルカプト基/エポキシ基)としては、好ましくは0.05~20、より好ましくは0.1~10、さらに好ましくは0.2~5である。
メルカプトシラン化合物としては、メルカプト基を有するシラン化合物であれば特に限定されないが、めっき密着性の長期信頼性及び下地密着性の長期信頼性を向上させる観点から、メルカプトシラン系カップリング剤が好ましい。メルカプトシラン化合物の市販品としては、信越化学工業(株)製「KBM-803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、「KBM-802」(3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン)などが挙げられる。
(C3)成分におけるエポキシシラン化合物としては、(C1)成分におけるエポキシシラン化合物と同様のエポキシシラン化合物を用いることができる。
(C4)成分で無機充填材を表面処理する際、アミノシラン化合物とアクリルシラン化合物のモル比(アミノ基/アクリル基)としては、好ましくは0.05~20、より好ましくは0.1~10、さらに好ましくは0.2~5である。
(C4)成分におけるアミノシラン化合物としては、(C1)成分におけるアミノシラン化合物と同様のアミノシラン化合物を用いることができる。(C4)成分におけるアクリルシラン化合物としては、アクリル基を有するシラン化合物であれば特に限定されないが、めっき密着性の長期信頼性及び下地密着性の長期信頼性を向上させる観点から、アクリルシラン系カップリング剤が好ましい。アクリルシラン化合物の市販品としては、信越化学工業(株)製「KBM-5103」(3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)などが挙げられる。
(C)成分は、めっき密着性の長期信頼性及び下地密着性の長期信頼性を向上させる観点から、無機充填材100質量部に対して、0.5質量部以上の(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分、又は(C4)成分で表面処理されていることが好ましく、より好ましくは0.8質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上である。上限は、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2.5質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分、又は(C4)成分で無機充填材を表面処理した後、他の表面処理剤でさらに表面処理をしてもよい。また、予め他の表面処理剤で表面処理された無機充填材に、さらに(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分、又は(C4)成分で表面処理をしてもよい。また、(C1)成分~(C4)成分のうち複数成分で無機充填材を表面処理してもよい。他の表面処理剤とは、(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分、又は(C4)成分で表面処理する際、(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分、又は(C4)成分に含まれるシラン化合物((C1)成分の場合はアミノシラン化合物及びエポキシシラン化合物、(C2)成分の場合はビニルシラン化合物及び(メタ)アクリルシラン化合物、(C3)成分の場合はメルカプトシラン化合物及びエポキシシラン化合物、(C4)成分の場合はアミノシラン化合物及びアクリルシラン化合物)以外の表面処理剤を意味する。
他の表面処理剤としては、アミノシラン化合物、エポキシシラン化合物、メルカプトシラン化合物、ビニルシラン化合物、(メタ)アクリルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、ヘキサメチルジシラザン等のオルガノシラザン化合物、アルコキシオリゴマー、チタネート系カップリング剤等の1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業(株)製「KBM-103」(フェニルトリメトキシシラン)、等が挙げられる。
(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分、又は(C4)成分による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m2以上が好ましく、0.05mg/m2以上がより好ましく、0.1mg/m2以上がさらに好ましく、0.2mg/m2以上がより好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1mg/m2以下が好ましく、0.8mg/m2以下がより好ましく、0.5mg/m2以下がさらに好ましい。他の表面処理剤で表面処理されている場合、(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分、又は(C4)成分に他の表面処理剤を加えた合計量が上記範囲内であればよい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。具体的には、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、後述する<カーボン量の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、熱膨張率を低下させるという観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、又は65質量%以上である。上限は、絶縁層の機械強度、特に伸びの観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下、又は80質量%以下である。
<(D)熱可塑性樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(D)熱可塑性樹脂を含有していてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられ、フェノキシ樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000~70,000の範囲が好ましく、10,000~60,000の範囲がより好ましく、20,000~60,000の範囲がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC-9A/RID-6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K-800P/K-804L/K-804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度を40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、新日鉄住金化学(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」、「YL7891BH30」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、例えば、デンカ(株)製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006-37083号公報記載のポリイミド)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002-12667号公報及び特開2000-319386号公報等に記載のポリイミド)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、三菱ガス化学(株)製のオリゴフェニレンエーテル・スチレン樹脂「OPE-2St 1200」等が挙げられる。
中でも、熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。したがって好適な一実施形態において、熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される1種以上を含む。
樹脂組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。上限については特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下等とし得る。
<(E)硬化促進剤>
本発明の樹脂組成物は、(E)硬化促進剤を含有していてもよい。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられ、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱化学(株)製の「P200-H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は特に限定されないが、エポキシ樹脂と硬化剤の不揮発成分を100質量%としたとき、0.01質量%~3質量%が好ましい。
<(F)難燃剤>
本発明の樹脂組成物は、(F)難燃剤を含有していてもよい。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三光(株)製の「HCA-HQ」、大八化学工業(株)製の「PX-200」等が挙げられる。
樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、難燃剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは0.5質量%~20質量%、より好ましくは0.5質量%~15質量%、さらに好ましくは0.5質量%~10質量%がさらに好ましい。
<(G)有機充填材>
本発明の樹脂組成物は、(G)有機充填材を含有していてもよい。有機充填材としては、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子等が挙げられる。
ゴム粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダウ・ケミカル日本(株)製の「EXL2655」、アイカ工業(株)製の「AC3816N」等が挙げられる。
樹脂組成物が有機充填材を含有する場合、有機充填材の含有量は、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは0.2質量%~10質量%、さらに好ましくは0.3質量%~5質量%、又は0.5質量%~3質量%である。
<(H)任意の添加剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、めっき密着性の長期信頼性が良好な絶縁層をもたらす。したがって本発明の樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物)として好適に使用することができ、プリント配線板の層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の層間絶縁層用樹脂組成物)としてより好適に使用することができる。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物の製造方法は、(C1)アミノシラン化合物及びエポキシシラン化合物、(C2)(メタ)アクリルシラン化合物及びビニルシラン化合物、(C3)メルカプトシラン化合物及びエポキシシラン化合物、又は(C4)アミノシラン化合物及びアクリルシラン化合物により、無機充填材を表面処理する工程を含む。
無機充填材を表面処理する工程は、特に限定されず、公知の方法で無機充填材を表面処理することができる。
例えば、(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分、又は(C4)成分に含まれる2種類のシラン化合物で無機充填材を同時に表面処理してもよい。(C1)成分で表面処理する場合、アミノシラン化合物とエポキシシラン化合物で無機充填材を同時に表面処理すればよい。
好適な一実施形態において、本発明では、(C1)アミノシラン化合物及びエポキシシラン化合物、(C2)(メタ)アクリルシラン化合物及びビニルシラン化合物、(C3)メルカプトシラン化合物及びエポキシシラン化合物、又は(C4)アミノシラン化合物及びアクリルシラン化合物により、無機充填材を表面処理する工程を含み、該工程が、(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分、又は(C4)成分に含まれる2種類のシラン化合物のうち、一方のシラン化合物で無機充填材を表面処理した後に、他方のシラン化合物で無機充填材を表面処理する。本発明者らは、この方法により、めっき密着性の長期信頼性及び下地密着性の長期信頼性をより向上させることができることを見出した。2種類のシラン化合物を別個に順番に表面処理することで、官能基同士((C1)成分の場合はアミノシラン化合物のアミノ基とエポキシシラン化合物のエポキシ基、(C2)成分の場合はビニルシラン化合物のビニル基と(メタ)アクリルシラン化合物の(メタ)アクリル基、(C3)成分の場合はメルカプトシラン化合物のメルカプト基とエポキシシラン化合物のエポキシ基、(C4)成分の場合はアミノシラン化合物のアミノ基とアクリルシラン化合物のアクリル基)とが互いに反応しやすくなるためと考えられる。
具体的には、(C1)成分で無機充填材を表面処理する際、凝集しづらく処理のしやすさの観点からアミノシラン化合物で無機充填材を表面処理した後に、エポキシシラン化合物でさらに無機充填材を表面処理することが好ましい。
(C2)成分で無機充填材を表面処理する際、凝集しづらく処理のしやすさの観点からビニルシラン化合物で無機充填材を表面処理した後に、(メタ)アクリルシラン化合物でさらに無機充填材を表面処理することが好ましい。
(C3)成分で無機充填材を表面処理する際、凝集しづらく処理のしやすさの観点からメルカプトシラン化合物で無機充填材を表面処理した後に、エポキシシラン化合物でさらに表面処理することが好ましい。
(C4)成分で無機充填材を表面処理する際、凝集しづらく処理のしやすさの観点からアミノシラン化合物で無機充填材を表面処理した後に、アクリルシラン化合物でさらに表面処理することが好ましい。
本発明の樹脂組成物の製造方法において、(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分、又は(C4)成分における表面処理の程度、及び各シラン化合物の含有比率等は上述したとおりである。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、表面処理した無機充填材を、他の成分と混合して樹脂組成物を形成する工程を含む。混合方法等は公知の方法を用いることができる。他の成分は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(D)熱可塑性樹脂、(E)硬化促進剤、(F)難燃剤及び(G)有機充填材等であり、これらについては先述のとおりである。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、本発明の樹脂組成物を含む樹脂組成物層と、を有する。
樹脂組成物層の厚さは、めっきもぐり深さを小さく抑えることができるため、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上等とし得る。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック(株)製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ(株)製の「ルミラーT6AM」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN-メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
樹脂シートにおける樹脂組成物層(又は樹脂組成物)の最低溶融粘度は、樹脂組成物層が薄くとも厚みを安定して維持するという観点から、500poise以上が好ましく、1000poise以上がより好ましく、1500poise以上がさらに好ましい。最低溶融粘度の上限は、良好な部品埋め込み性を得る観点から、好ましくは10000poise以下、より好ましくは8000poise以下、さらに好ましくは6500poise以下、5000poise以下、又は4000poise以下である。
樹脂組成物層の最低溶融粘度とは、樹脂組成物層の樹脂が溶融した際に樹脂組成物層が呈する最低の粘度をいう。詳細には、一定の昇温速度で樹脂組成物層を加熱して樹脂を溶融させると、初期の段階は溶融粘度が温度上昇とともに低下し、その後、ある程度を超えると温度上昇とともに溶融粘度が上昇する。最低溶融粘度とは、斯かる極小点の溶融粘度をいう。樹脂組成物層の最低溶融粘度は、動的粘弾性法により測定することができ、例えば、後述する<最低溶融粘度の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物(又は樹脂組成物層)の硬化物(例えば100℃で30分間加熱した後、180℃で30分間硬化させて得られる硬化物)は、デスミア処理後の表面粗度が良好な算術平均粗さ(Ra)を示す。即ち、良好なデスミア処理後の表面粗度を示す絶縁層をもたらす。算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下である。下限は、1nm以上等とし得る。算術平均粗さ(Ra)の測定は、後述する(算術平均粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)の測定)に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物(又は樹脂組成物層)の硬化物(例えば100℃で30分間加熱した後、180℃で30分間硬化させて得られる硬化物)は、デスミア処理後の表面粗度が良好な二乗平均平方根粗さ(Rq)を示す。即ち、良好なデスミア処理後の表面粗度を示す絶縁層をもたらす。二乗平均平方根粗さ(Rq)は、好ましくは300nm以下、より好ましくは250nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。下限は、1nm以上等とし得る。二乗平均平方根粗さ(Rq)の測定は、後述する(算術平均粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)の測定)に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物(又は樹脂組成物層)の硬化物(例えば100℃で30分間加熱した後、180℃で30分間硬化させて得られる硬化物)は、良好なめっき密着性を示す。即ち良好なめっきピール強度を示す絶縁層をもたらす。硬化後の樹脂組成物のめっきピール強度は、好ましくは1.5kgf/cm以下、より好ましくは1kgf/cm以下、さらに好ましくは0.8kgf/cm以下である。下限は、0.1kgf/cm以上等とし得る。めっき密着性の評価は、後述する(めっき密着性(めっきピール強度)の測定)に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物(又は樹脂組成物層)の硬化物(例えば100℃で30分間加熱した後、180℃で30分間硬化させて得られる硬化物)は、130℃、85%RHの条件下で良好なめっき密着性を示す。即ち良好なHAST後のめっきピール強度を示す絶縁層をもたらす。硬化後の樹脂組成物のHAST後のめっきピール強度は、好ましくは1.5kgf/cm以下、より好ましくは1kgf/cm以下、さらに好ましくは0.6kgf/cm以下である。下限は、0.1kgf/cm以上等とし得る。HAST後のめっき密着性の評価は、後述する(めっき密着性(めっきピール強度)の測定)に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物(又は樹脂組成物層)の硬化物(例えば100℃で30分間加熱した後、180℃で30分間加熱し、さらに190℃で90分間硬化させて得られる硬化物)は、良好な下地密着性を示す。即ち良好な下地ピール強度を示す絶縁層をもたらす。硬化後の樹脂組成物の下地ピール強度は、好ましくは1.5kgf/cm以下、より好ましくは1kgf/cm以下、さらに好ましくは0.8kgf/cm以下である。下限は、0.1kgf/cm以上等とし得る。下地密着性の評価は、後述する<下地密着性の評価>に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物(又は樹脂組成物層)の硬化物(例えば100℃で30分間加熱した後、180℃で30分間加熱し、さらに190℃で90分間硬化させて得られる硬化物)は、130℃、85%RHの条件下で良好な下地密着性を示す。即ち良好なHAST後の下地ピール強度を示す絶縁層をもたらす。硬化後の樹脂組成物のHAST後の下地ピール強度は、好ましくは1.5kgf/cm以下、より好ましくは1kgf/cm以下、さらに好ましくは0.6kgf/cm以下である。下限は、0.1kgf/cm以上等とし得る。HAST後の下地密着性の評価は、後述する<下地密着性の評価>に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂シートの代わりに、シート状繊維基材に本発明の樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグを用いてもよい。
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。プリント配線板の薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは900μm以下であり、より好ましくは800μm以下、さらに好ましくは700μm以下、さらにより好ましくは600μm以下である。特に本発明はめっきもぐり深さを小さく抑えることができるため、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。シート状繊維基材の厚さの下限は特に限定されないが、通常、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上等とし得る。
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
プリプレグの厚さは、上述の接着シートにおける樹脂組成物層と同様の範囲とし得る。
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む。
詳細には、本発明のプリント配線板は、上述の樹脂シートを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、樹脂シートを、該樹脂シートの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程
工程(I)で用いる「内層基板」とは、主として、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板、又は該基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された回路基板をいう。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物の内層回路基板も本発明でいう「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用すればよい。
内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、(株)名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ(株)製のバキュームアップリケーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
工程(II)において、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。
樹脂組成物層の熱硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は120℃~240℃の範囲(好ましくは150℃~220℃の範囲、より好ましくは170℃~200℃の範囲)、硬化時間は5分間~120分間の範囲(好ましくは10分間~100分間、より好ましくは15分間~90分間)とすることができる。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間)予備加熱してもよい。
プリント配線板を製造するに際しては、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、及び(V)導体層を形成する工程の少なくともいずれかをさらに実施してもよい。これらの工程(III)乃至(V)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。
他の実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述のプリプレグを用いて製造することができる。製造方法は基本的に樹脂シートを用いる場合と同様である。
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に硬化体を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~80℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
工程(V)は、導体層を形成する工程である。
導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
一実施形態において、導体層は、めっきにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
[半導体装置]
本発明の半導体装置は、プリント配線板を含む。本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を用いて製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
本発明の半導体装置は、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
本発明の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、構造式中のMeはメチル基を表す。
まずは各種測定方法・評価方法について説明する。
<平均粒径の測定>
無機充填材100mg、分散剤(サンノプコ(株)製「SN9228」)0.1g、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて20分間分散した。レーザー回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製「SALD-2200」)を使用して、回分セル方式で粒度分布を測定し、メディアン径による平均粒径を算出した。
<比表面積の測定>
BET全自動比表面積測定装置((株)マウンテック製Macsorb HM-1210)を使用して、無機充填材の比表面積を測定した。
<カーボン量の測定>
下記の各無機充填材3gをそれぞれ試料として用いた。試料と30gのMEK(メチルエチルケトン)とを遠心分離機の遠心管に入れ、撹拌し固形分を懸濁させて、500Wの超音波を25℃で5分間照射した。その後、遠心分離により固液分離し、上澄液20gを除去した。さらに、20gのMEKを足し、撹拌して固形分を懸濁させて、500Wの超音波を25℃で5分間照射した。その後、遠心分離により固液分離し、上澄液26gを除去した。残りの懸濁液を160℃にて30分間乾燥させた。この乾燥試料0.3gを測定用坩堝に正確に量りとり、さらに測定用坩堝に助燃剤(タングステン3.0g及びスズ0.3g)を入れた。測定用坩堝をカーボン分析計((株)堀場製作所製「EMIA-321V2」)にセットし、カーボン量を測定した。カーボン量の測定値を、使用した無機充填剤の比表面積で除すことにより、単位表面積当たりのカーボン量を算出した。
<使用した無機充填材>
無機充填材1:球形シリカ((株)アドマテックス製「SO-C2」をヘキサメチルジシラザンで表面処理したもの、平均粒径0.77μm、比表面積5.8m2/g)100部に対して、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM-573」)0.6部で処理した後、エポキシシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM-403」)0.4部で処理したもの。単位表面積当たりのカーボン量は0.45mg/m2であった。
無機充填材2:球形シリカ(新日鉄住金マテリアルズ(株)製「SPH516-05」、平均粒径0.29μm、比表面積16.3m2/g)100部に対して、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBE-903」)0.5部で処理した後、エポキシシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「X-12-1231」)1.5部で処理したもの。単位表面積当たりのカーボン量は0.42mg/m2であった。
無機充填材3:球形シリカ(デンカ(株)製「UFP-30」、平均粒径0.078μm、比表面積30.7m2/g)100部に対して、ビニルシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBE-1003」)1部で処理した後、メタクリルシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM-503」)1部で処理したもの。単位表面積当たりのカーボン量は0.36mg/m2であった。
無機充填材4:球形シリカ(新日鉄住金マテリアルズ(株)製「SPH516-05」、平均粒径0.29μm、比表面積16.3m2/g)100部に対して、メルカプトシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM-803」)0.5部で処理した後、エポキシシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「X-12-1231」)1.5部で処理したもの。単位表面積当たりのカーボン量は0.40mg/m2であった。
無機充填材5:球形シリカ((株)アドマテックス製「SO-C2」をヘキサメチルジシラザンで表面処理したもの、平均粒径0.77μm、比表面積5.8m2/g)100部に対して、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM-573」)0.6部で処理したもの。単位表面積当たりのカーボン量は0.39mg/m2であった。
無機充填材6:球形シリカ((株)アドマテックス製「SO-C2」をヘキサメチルジシラザンで表面処理したもの、平均粒径0.77μm、比表面積5.8m2/g)100部に対して、エポキシシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM-403」)0.6部で処理したもの。単位表面積当たりのカーボン量は0.31mg/m2であった。
無機充填材7:球形シリカ(新日鉄住金マテリアルズ(株)製「SPH516-05」、平均粒径0.29μm、比表面積16.3m2/g)100部に対して、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBE-903」)0.5部で処理した後、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM-573」)1.5部で処理したもの。単位表面積当たりのカーボン量は0.43mg/m2であった。
無機充填材8:球形シリカ(デンカ(株)製「UFP-30」、平均粒径0.078μm、比表面積30.7m2/g)100部に対して、エポキシシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM-403」)1部で処理した後、メタクリルシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM-503」)1部で処理したもの。単位表面積当たりのカーボン量は0.35mg/m2であった。
無機充填材9:球形シリカ(デンカ(株)製「UFP-30」、平均粒径0.078μm、比表面積30.7m2/g)100部に対して、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBE-903」)0.6部で処理した後、アクリルシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM-5103」)1部で処理したもの。単位表面積当たりのカーボン量は0.31mg/m2であった。
<支持体付き樹脂シートの作製(実施例1~5、比較例1~5)>
以下の手順により調製した樹脂ワニス(樹脂組成物)を用いて、実施例及び比較例の支持体付き樹脂シートを作製した。
(樹脂ワニス1の調製)
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製「ZX1059」、エポキシ当量約169、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)6部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)9部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000L」、エポキシ当量288)21部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液)10部を、ソルベントナフサ20部及びシクロヘキサノン5部の混合溶媒に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック系硬化剤(水酸基当量151、DIC(株)製「LA-3018-50P」、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)6部、活性エステル化合物(DIC(株)製「HPC-8000-65T」、重量平均分子量が約2700、活性基当量約223の不揮発分65質量%のトルエン溶液)20部、アミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)2部、難燃剤(三光(株)製「HCA-HQ」、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド、平均粒径2μm)2部、無機充填剤1を170部混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した後に、カートリッジフィルター(ROKITECHNO製「SHP050」)で濾過して、樹脂ワニス1を調製した。
(樹脂ワニス2の調製)
液状ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量144、DIC(株)製「HP4032SS」)5部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185)5部、ナフタレン型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製「ESN475V」、エポキシ当量330)15部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液)6部を、ソルベントナフサ20部及びシクロヘキサノン5部の混合溶媒に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、活性エステル化合物(DIC(株)製「HPC-8000-65T」、重量平均分子量が約2700、活性基当量約223の不揮発分65質量%のトルエン溶液)10部、カルボジイミド樹脂(日清紡ケミカル(株)製「V-03」、不揮発成分50質量%のトルエン溶液)6部、ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)製「BA230S75」、シアネート当量約232、不揮発分75質量%のMEK溶液)20部、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)0.5部、硬化促進剤(東京化成(株)製、コバルト(III)アセチルアセトナート[Co(III)Ac、固形分1質量%のMEK溶液])3部、ゴム粒子(ダウ・ケミカル日本(株)製、PARALOID EXL2655)2部、難燃剤(三光(株)製「HCA-HQ」、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド、平均粒径2μm)2部、無機充填剤2を100部混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した後に、カートリッジフィルター(ROKITECHNO製「SHP030」)で濾過して、樹脂ワニス2を調製した。
(樹脂ワニス3の調製)
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製「ZX1059」、エポキシ当量約169、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)5部、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7760」、エポキシ当量238)10部、ナフタレン型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製「ESN475V」、エポキシ当量330)5部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液)10部を、ソルベントナフサ20部及びシクロヘキサノン5部の混合溶媒に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、活性エステル化合物(DIC(株)製「HPC-8000-65T」、重量平均分子量が約2700、活性基当量約223の不揮発分65質量%のトルエン溶液)20部、オリゴフェニレンエーテル・スチレン樹脂(三菱ガス化学(株)製「OPE-2St 1200」、固形分72質量%のトルエン溶液)15部、アミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)2部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業(株)製「1B2PZ」1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、固形分5%のMEK溶液)0.5部、無機充填剤3を60部混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した後に、カートリッジフィルター(ROKITECHNO製「SHP020」)で濾過して、樹脂ワニス3を調製した。
(樹脂ワニス4の調製)
樹脂ワニス1の調製において、1)無機充填剤1の170部を無機充填剤4の100部に変更し、2)カートリッジフィルター(ROKITECHNO製「SHP050」)を、カートリッジフィルター(ROKITECHNO製「SHP030」)と変えた。以上の事項以外は樹脂ワニス1の調製と同様にして樹脂ワニス4を調製した。
(樹脂ワニス5の調製)
樹脂ワニス1の調製において、無機充填剤1 170部を無機充填剤5 170部に変更した以外は樹脂ワニス1の調製と同様にして樹脂ワニス5を調製した。
(樹脂ワニス6の調製)
樹脂ワニス1の調製において、無機充填剤1 170部を無機充填剤6 170部に変更した以外は樹脂ワニス1の調製と同様にして樹脂ワニス6を調製した。
(樹脂ワニス7の調製)
樹脂ワニス1の調製において、無機充填剤1 170部を無機充填剤5 85部、及び無機充填剤6 85部に変更した以外は樹脂ワニス1の調製と同様にして樹脂ワニス7を調製した。
(樹脂ワニス8の調製)
樹脂ワニス2の調製において、無機充填剤2 100部を無機充填剤7 100部に変更した以外は樹脂ワニス1の調製と同様にして樹脂ワニス8を調製した。
(樹脂ワニス9の調製)
樹脂ワニス3の調製において、無機充填剤3 60部を無機充填剤8 60部に変更した以外は樹脂ワニス1の調製と同様にして樹脂ワニス9を調製した。
(樹脂ワニス10の調製)
樹脂ワニス3の調製において、無機充填剤3 60部を無機充填剤9 60部に変更した以外は樹脂ワニス1の調製と同様にして樹脂ワニス10を調製した。
樹脂ワニス1~10に用いた成分とその配合量(不揮発分の質量部)を下記表に示す。
(樹脂シートの作製)
支持体として、アルキド樹脂系離型剤(リンテック(株)製「AL-5」)で離型処理したPETフィルム(東レ(株)製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃、「離型PET」)を用意した。
各樹脂ワニスを離型PET上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが20μmとなるよう、ダイコーターにて均一に塗布し、70℃から100℃で2.5分間乾燥することにより、離型PET上に樹脂組成物層を得た。次いで、樹脂組成物層の支持体と接合していない面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子エフテックス(株)製「アルファンMA-411」、厚み15μm)の粗面を、樹脂組成物層と接合するように積層した。これにより、支持体、樹脂組成物層、及び保護フィルムの順からなる樹脂シートを得た。
<最低溶融粘度の測定>
離型PET(支持体)から樹脂組成物層のみを剥離し、金型で圧縮することにより測定用ペレット(直径18mm、1.2~1.3g)を作製した。
動的粘弾性測定装置((株)ユー・ビー・エム製「Rheosol-G3000」)を用い、試料樹脂組成物層1gについて、直径18mmのパラレルプレートを使用して、開始温度60℃から200℃まで昇温速度5℃/分にて昇温し、測定温度間隔2.5℃、振動数1Hz、ひずみ1degの測定条件にて動的粘弾性率を測定し、最低溶融粘度(poise)を算出した。
<めっき密着性、表面粗度(算術平均粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq))の評価>
実施例及び比較例で作製した樹脂シートを用いて、以下の手順に沿って測定用基板A、Bを作製し、めっき密着性、表面粗度を評価した。
(1)積層板の下地処理
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、Panasonic(株)製「R1515F」)の両面をメック(株)製粗化処理剤(CZ8101)により1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行い、防錆処理(CL8300)を施した。その後、130℃の温度条件で、130℃のオーブンに投入後30分間、加熱処理した。
(2)樹脂シートのラミネート
実施例及び比較例で作製した樹脂シートから保護フィルムを剥離して露出した樹脂組成物層を、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が基板と接合するように、基板両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、積層された樹脂シートを、大気圧下、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスして平滑化した。
(3)樹脂組成物層の熱硬化
樹脂シートの積層後、支持体である離型PETが付いた状態で、100℃の温度条件で、100℃のオーブンに投入後30分間、次いで180℃の温度条件で、180℃のオーブンに移し替えた後30分間、熱硬化して絶縁層を形成した。
(4)粗化処理
絶縁層を形成した積層板を、支持体である離型PETを剥離し、膨潤液であるアトテックジャパン(株)製のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスウェリング・ディップ・セキュリガンスP(グリコールエーテル類、水酸化ナトリウムの水溶液)に、60℃で5分間浸漬した。次に粗化液として、アトテックジャパン(株)製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に、80℃で15分間浸漬した。最後に中和液として、アトテックジャパン(株)製のリダクションショリューシン・セキュリガントP(硫酸の水溶液)に40℃で5分間浸漬した。80℃で30分乾燥後、この基板を評価用基板Aとした。
(5)導体層を形成する工程
(5-1)無電解メッキ工程
上記評価用基板Aの表面に導体層を形成するため、下記1~6の工程を含むメッキ工程(アトテックジャパン(株)製の薬液を使用した銅めっき工程)を行って導体層を形成した。
1.アルカリクリーニング(絶縁層の表面の洗浄と電荷調整)
商品名:Cleaning Cleaner Securiganth 902(商品名)を用いて60℃で5分間洗浄した。
2.ソフトエッチング
硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃で1分間処理した。
3.プレディップ(Pd付与のための絶縁層の表面の電荷の調整)
Pre. Dip Neoganth B(商品名)を用い、室温で1分間処理した。
4.アクティヴェーター付与(絶縁層の表面へのPdの付与)
Activator Neoganth 834(商品名)を用い、35℃で5分間処理した。
5.還元(絶縁層に付与されたPdを還元)
Reducer Neoganth WA(商品名)とReducer Acceralator 810 mod.(商品名)との混合液を用い、30℃で5分間処理した。
6.無電解銅メッキ工程(Cuを絶縁層の表面(Pd表面)に析出)
Basic Solution Printganth MSK-DK(商品名)と、Copper solution Printganth MSK(商品名)と、Stabilizer Printganth MSK-DK(商品名)と、Reducer Cu(商品名)との混合液を用いて、35℃で20分間処理した。形成された無電解銅めっき層の厚さは1μmであった。
(5-2)電解メッキ工程
次いで、150℃にて30分間の加熱処理を行った後に、硫酸銅電解めっきを行い、25μmの厚さの導体層を形成した。次に、アニール処理を190℃にて90分間行い得られた基板を評価用基板Bとした。
(算術平均粗さ(Ra)、二乗平均平方根粗さ(Rq)の測定)
評価用基板Aを、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値によりRa値、Rq値を求めた。それぞれ6点の平均値を算出し、下一桁を四捨五入した結果を下記表に示した。
(めっき密着性(めっきピール強度)の測定)
評価用基板Bの導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具((株)ティー・エス・イー、オートコム型試験機 AC-50C-SL)で掴み、インストロン万能試験機を用いて、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、環境試験前のめっきピール強度とした。さらに、同一サンプルを高度加速寿命試験装置PM422(楠本化成(株)製)にて、130℃、85%RHの条件で100時間の加速環境試験(HAST)の後に、同様の方法で引き剥がし強さの測定を行い、環境試験後のめっきピール強度とした。環境試験後のメッキピール強度が0.25kgf/cm以上のものを「○」と評価し、0.25kgf/cm未満のものを「×」と評価した。
<下地密着性の評価>
(1)内層回路基板の下地処理
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、Panasonic(株)製「R1515F」)の両面をメック(株)製粗化処理剤(CZ8101)により1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行い、防錆処理(CL8300)を施した。その後、130℃の温度条件で、130℃のオーブンに投入後30分間、加熱処理した。
(2)樹脂シートのラミネート
実施例及び比較例で作製した樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP-500((株)名機製作所製)を用いて、積層板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、120℃、圧力0.74MPaで圧着することにより行った。
(3)銅箔の下地処理
三井金属鉱山(株)製3EC-III(電界銅箔、35μm)の光沢面を、メック(株)製粗化処理剤(CZ8101)により1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行い、防錆処理(CL8300)を施した。その後、130℃の温度条件で、130℃のオーブンに投入後30分間、加熱処理した。
(4)銅箔のラミネートと絶縁層形成
上記(2)においてラミネートされた樹脂シートから離型PETフィルムを剥離し、上記(3)で処理した銅箔の光沢面を樹脂組成物層側にし、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が基板と接合するように、基板両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、積層された樹脂シートを、大気圧下、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスして平滑化した。
(5)樹脂組成物層の熱硬化
銅箔積層後、100℃の温度条件で、100℃のオーブンに投入後30分間、次いで180℃の温度条件で、180℃のオーブンに移し替えた後30分間、さらに190℃のオーブンに移し替えた後90分間熱硬化して絶縁層を形成し、基板を作製した。
(6)銅箔との密着性(下地ピール強度)の測定
上記(5)で作製した基板を150mm×30mmの小片に切断した。小片の銅箔部分に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、銅箔の一端を剥がしてつかみ具((株)ティー・エス・イー、オートコム型試験機 AC-50C-SL)で掴み、インストロン万能試験機を用いて、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重を測定し、環境試験前の下地ピール強度(銅箔ピール強度)とした。さらに、同一サンプルを高度加速寿命試験装置PM422(楠本化成(株)製)にて、130℃、85%RHの条件で100時間の加速環境試験(HAST)の後に、同様の方法で引き剥がし強さの測定を行い、環境試験後の下地ピール強度とした。環境試験後の下地ピール強度が0.25kgf/cm以上のものを「○」と評価し、0.25kgf/cm未満のものを「×」と評価した。
*無機充填材5に含まれるSO-C2、及び無機充填材6に含まれるSO-C2を表す。