JP7020140B2 - 蓄電装置 - Google Patents

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この開示は蓄電装置に関するものである。
蓄電装置は、たとえば特開2014-110145号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1に記載の構造では、バスバーのリードには、貫通孔が形成されているこの貫通孔にボルトが挿入されている。これにより、電池ブロックの正極端子が形成されている。一般に正極端子のボルトには接続ケーブルなどが接続され、他の蓄電装置の負極端子に接続される。
特開2014-110145号公報
一般に、バスバーはボス構造などの固定構造によって、ケースに固定されている。ここで正極端子に接続ケーブルなどをナットなどで巻締めて接続する際に、締結トルクにより座面に摩擦力が発生する。リードに締結トルクが加えられると、バスバーがトルク方向に回転して上記の固定構造にもバスバーの回転を抑える反力が加えられる。固定部材の配置位置によっては固定構造に大きなトルクが加えられ、固定部材が損傷するおそれがあった。
そこで、この開示は上記の問題を解決するためになされたものであり、固定構造の破損を防止できる蓄電装置を提供することを目的とするものである。
この開示に従った蓄電装置は、単位電池の電極に接続されたバスバーと、バスバーをケースに取付面上で固定する複数の固定部材と、バスバーに設けられた端子部とを備えた蓄電装置であって、端子部には仮想中心線を中心として螺旋状に延びるネジ溝が形成されており、取付面を平面視したときに少なくとも一部の固定部材は仮想中心線と重なる位置または仮想中心線の近傍に配置されている。
このように構成された蓄電装置では取付面を平面視したときに少なくとも一部の固定部材は仮想中心線と重なる位置または仮想中心線の近傍に配置されているため、仮想中心線を中心としてネジ溝に螺合部材を螺合させて螺合部材を回転させることで回転力がバスバーに伝達される。バスバーが回転するためバスバーが固定部材を外す方向に移動するが、外す方向の負荷を低減することができるため、固定部材を用いた固定構造の破損を防止できる。
蓄電装置1が搭載された車両2を示す模式図である。 蓄電装置1の電池ユニット4を示す斜視図である。 電池モジュール11を示す分解斜視図である。 電池モジュール11およびその周囲を示す断面図である。 円筒電池43の下面側を示す斜視図である。 正極バスバー45の平面図である。 埋め込みボルトに螺合するネジの斜視図である。 図6中の矢印VIIIで示す方向から見た電池モジュール11の一部断面を含む側面図である。 比較例に従った電池モジュールの側面図である。 正極バスバー45と一体化された固定部材102を示す図である。
図1から図8を用いて、本実施の形態に係る蓄電モジュールについて説明する。図1から図8に示す構成のうち、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する場合がある。
図1は、蓄電装置1が搭載された車両2を示す模式図である。車両2は、車内に配置された蓄電装置1を含む。なお、蓄電装置1が搭載された車両2は、ハイブリッド車両、電気自動車や燃料電池車両などの電動車両ある。蓄電装置1は、電池ケース3と、電池ユニット4と、ファン5とを含む。電池ユニット4は、電池ケース3内に収容されており、ファン5は電池ケース3内に車室内の空気を供給する。なお、蓄電装置1は車両2に駆動力を提供するためのものに限られず、車両2に駆動力以外を供給する補助バッテリーであってもよい。
図2は、蓄電装置1の電池ユニット4を示す斜視図である。電池ユニット4は、複数の電池モジュール10~13と、電池ユニット4の両端に設けられた固定プレート14,15とを備える。電池ユニット4は略直方体形状であり、車両2の幅方向に長くなるように配置されている。
固定プレート14は電池ユニット4の長手方向の一端に設けられており、固定プレート15は電池ユニット4の他端に設けられている。
固定プレート14は複数のボルト20~27によって電池モジュール10~13に固定されており、固定プレート14によって、電池モジュール10~13は互いに固定されている。固定プレート14は、ボルト28,29によって、電池ケース3の底面に固定されている。固定プレート15も固定プレート14と同様に、各電池モジュール10~13および電池ケース3の底面に固定されている。
このため、電池モジュール10~13は、固定プレート14,15によって互いに連結されると共に、電池ケース3の底面に固定されている。
図3は、電池モジュール11を示す分解斜視図である。電池モジュール11は、底蓋40と、負極バスバーアッセンブリ41と、電池ホルダー42と、円筒電池43と、樹脂カバー44と、正極バスバー45と、天井蓋46と、複数の接続板47と、を含む。
電池ホルダー42は、金属製の板状部材である。この電池ホルダー42には電池ホルダー42の厚さ方向に延びる複数の貫通孔50が形成されている。貫通孔50はアレイ状に形成されている。
電池ホルダー42は、上面51と、下面52と、一対の側面53,54と、一対の端面55,56とを含む。各貫通孔50は、上面51から下面52に達している。
電池ホルダー42の端面55および端面56側には、排気路および排気口が形成されている。なお、この図3においては、端面55側に形成された排気路57および排気口58が図示されているが、端面56側にも同様の排気路および排気口が形成されている。
排気路57は、下面52から電池ホルダー42内に入り込むように延び、その後、端面55に向けて延びるように形成されている。そして、排気路57は、端面55に形成された排気口58に接続されている。
円筒電池43は、充放電可能な二次電池である。円筒電池43としては、たとえば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などである。円筒電池43の上端部に正極60が形成されており、円筒電池43の下端部には負極61が形成されている。なお、本実施の形態としては、単位蓄電部として、円筒電池を採用した例について説明したが、角型電池でもよく、また、キャパシタであってもよい。
円筒電池43は、電池ホルダー42に形成された貫通孔50に挿入されている。円筒電池43の正極60は電池ホルダー42の上面51よりも上方に配置されており、円筒電池43の負極61は電池ホルダー42の下面52よりも上方に位置している。円筒電池43の上端部には、正極60が形成されており、円筒電池43の下端部には、負極61が形成されている。
電池ホルダー42の貫通孔50の内周面と、円筒電池43の外周面との間には樹脂などが配置されており、円筒電池43が電池ホルダー42に固定されている。
樹脂カバー44は、電池ホルダー42の上面51に配置されている。樹脂カバー44は下方に向けて開口するよう形成されており、樹脂カバー44は、天板65と、一対の側壁66,67と、一対の端壁68,69とを含む。
側壁66には、複数の通風口73が形成されている。通風口73は、側壁66の長手方向に間隔をあけて形成されている。側壁67にも、側壁66と同様に複数の通風口が形成されている。側壁66,67の下端部と、端壁68,69の下端部は、電池ホルダー42の上面51に配置される。
複数の正極バスバー45は、樹脂カバー44の天板65側に配置されている。各正極バスバー45は、たとえば、10個程度の円筒電池43の正極60を並列に接続する。
天井蓋46は、正極バスバー45の上方に配置されている。天井蓋46は樹脂などの絶縁材料によって形成されている。
負極バスバーアッセンブリ41は、電池ホルダー42の下面52側に配置されている。負極バスバーアッセンブリ41は、図示されていない複数の負極バスバーと、この複数の負極バスバーを一体成形する樹脂モールドとを含む。負極バスバーの外形形状と、正極バスバー45の外形形状とは近似している。そして、負極バスバーアッセンブリ41(負極バスバー)には、複数の孔75が形成されている。各孔75には、孔75の内周面から突出するように形成された端子76が形成されている。端子76は、円筒電池43の負極61に接続される。
負極バスバーは、正極バスバー45と同じ円筒電池43の負極61を並列に接続するように形成されている。
複数の接続板47は、側壁66に設けられている。各接続板47は、正極バスバー45および複数バスバーを接続する。複数の接続板47は、複数の正極バスバー45および複数の負極バスバーを直列に接続する。ここで、正極バスバー45および負極バスバーによって並列に接続された複数の円筒電池43を円筒電池群とすると、複数の円筒電池群が接続板47によって直列に接続される。
負極バスバーアッセンブリ41の一端には排気路77が形成されており、他端には排気路78が形成されている。排気路77,78は、いずれも、負極バスバーアッセンブリ41の厚さ方向に貫通するように形成されている。
排気路77は、電池ホルダー42に形成された排気路57と連通している。排気路78は電池ホルダー42の端面56側に形成された排気路と連通している。
底蓋40は、負極バスバーアッセンブリ41の下面側に配置されている。底蓋40は、アルミニウムなどの金属によって形成されている。
図4は、電池モジュール11およびその周囲を示す断面図である。この図4に示すように、底蓋40および負極バスバーアッセンブリ41によって、排気路80が形成されている。図5は、円筒電池43の下面側を示す斜視図である。円筒電池43は、周壁部71と、下壁部72とを含む。負極61および排気部70は、下壁部72に形成されている。
下壁部72において、排気部70が位置する部分の厚さは、他の部分の厚さよりも薄い。このため、円筒電池43内の内圧が上昇して、円筒電池43内の内圧が所定圧以上になると、排気部70が破断する。そして、破断した部分から排気ガスが、円筒電池43の外部に排出される。図4を参照して、各円筒電池43に形成された排気部70は排気路80に露出している。
なお、通風口73には、図1に示すファン5からの冷却風が供給される。冷却風は、電池モジュール11内に入り込み、複数の円筒電池43を冷却した後、側壁67に形成された通風口から排気される。
図6は、正極バスバー45の平面図である。図6で示すように、正極バスバー45はケースの上に設けられている。正極バスバー45は平板形状である。正極バスバー45の取付面45fには複数の孔45hが設けられている。孔45hに正極60が嵌合している。正極60と正極バスバー45とはヒューズ101により接続されている。
樹脂カバー44はボス44aを有する。ボス44aは樹脂カバー44の一部分が突出することで形成されている。ボス44aは樹脂カバー44を貫通している。ボス44aの先端に固定部材102が嵌合している正極バスバー45が樹脂カバー44と環状の固定部材102との間に挟まれることで正極バスバー45が樹脂カバー44上に固定されている。
樹脂カバー44にはボルト44tが設けられている。埋め込みボルト44tの外周にはネジ溝44sが設けられている。ネジ溝44sの軸線が仮想中心線44iである。取付面45fから見て、仮想中心線44iと重なるようにボス44aおよび固定部材102が設けられている。
図6では一つの固定部材102のみが示されているが、取付面45fには複数の固定部材102が存在する。複数の固定部材102を設けることで、確実に樹脂カバー44に正極バスバー45を固定することができる。
図7は、埋め込みボルトに螺合するネジの斜視図である。図7で示すように、埋め込みボルト44tはバッテリ端子板45Lおよびケーブル端子板201を貫通している。バッテリ端子板45Lおよびケーブル端子板201は、それぞれ導電部材により構成されている。
バッテリ端子板45Lは正極バスバー45の一部分を構成している。バッテリ端子板45Lは取付面45fに直交するように配置されている。ケーブル端子板201は、導電ケーブルの末端に設けられている。ケーブル端子板201およびバッテリ端子板45Lはナット110により固定されている。ケーブル端子板201の幅Wの範囲においてナット110の回転トルクが正極バスバー45を構成するバッテリ端子板45Lに伝達される。
図8は、図6中の矢印VIIIで示す方向から見た電池モジュール11の一部断面を含む側面図である。図8で示すように、埋め込みボルト44tにナット110が螺合している。バッテリ端子板45Lは正極バスバー45の一部分である。ボス44aは正極バスバー45を貫通している。固定部材102は取付面45f上でボス44aに嵌合している。図8では図7で示すケーブル端子板201を省略している。
ナット110を矢印Rで示す方向に回転させるとナット110の回転がバッテリ端子板45Lを経由して正極バスバー45へ伝達される。その結果正極バスバー45は矢印Rで示す方向に回転しようとする。回転中心(ボルト44tの中心)と固定部材102とを結ぶ直線109が取付面45fに対してなす角度をθとする。固定部材102の端部もボルト44tを中心に回転するため矢印105で示す方向に回転力Fが加えられる。この力の垂直成分(取付面45fに垂直な成分)はFcosθであり、矢印106で示す垂直成分は固定部材102を上方向に動かす。固定部材102が仮想中心線近傍に位置しているため、cosθを小さくすることができる。その結果、固定部材102を上方向へ動かす力Fcosθを小さくできる。
すなわち、ナット110を矢印Rで示す方向に回転させるとこの回転力がバッテリ端子板45Lおよび正極バスバー45に伝達される。正極バスバー45は矢印Rで示す方向に回転しようとする。この回転の力はボス44aおよび固定部材102にも伝達される。固定部材102はボルト44tの真上に位置しているため、固定部材102には矢印103で示す方向の力が加わり、これと直交する方向(矢印zで示す方向)の力が小さくなる。その結果、ボス44aから固定部材102が外れることを防止できる。
図9は、比較例に従った電池モジュールの一部断面を含む側面図である。図9で示すように、ボルト44tから離れた位置にボス44b、44cが設けられている。各々のボス44b,44cには固定部材102が嵌合している。ボス44b,44cは樹脂カバー44の一部分である。
ナット110を矢印Rで示す方向に回転させるとナット110の回転がバッテリ端子板45Lを経由して正極バスバー45へ伝達される。その結果正極バスバー45は矢印Rで示す方向に回転しようとする。回転中心(ボルト44tの中心)と固定部材102とを結ぶ直線109が取付面45fに対してなす角度をθとする。図9中の左側の固定部材102の端部もボルト44tを中心に回転するため矢印105で示す方向に回転力Fが加えられる。この力の垂直成分(取付面45fに垂直な成分)はFcosθであり、矢印106で示す垂直成分は固定部材102を上方向に動かす。図9におけるcosθは図8におけるcosθよりも大きい。その結果、固定部材102がボス44bから外れる。矢印Rと反対方向にナット110を回転させた場合には、図9中の右側の固定部材102がボス44cから外れる。
固定部材102を回転させる力のうち、垂直成分(Fcosθ)が固定部材102をボス44bから外して固定構造を破壊する原因であることを見出した。そしてFcosθの値を小さくすることで固定構造の破壊を抑制できることを見出した。
図10は、正極バスバー45と一体化された固定部材102を示す図である。図10で示すように正極バスバー45と固定部材102が一体化されていてもよい。正極バスバー45と固定部材102とを一体化することで、部品点数を減少させることができる。
蓄電装置1は、単位電池の電極に接続されたバスバーとしての正極バスバー45と、正極バスバー45をケースとしての樹脂カバー44に取付面45f上で固定する複数の固定部材102と、正極バスバー45に設けられた端子部としてのボルト44tとを備え、ボルト44tには仮想中心線44iを中心として螺旋状に延びるネジ溝44sが形成されており、取付面45fを平面視したときに少なくとも一部の固定部材102は仮想中心線44iと重なる位置または仮想中心線44iの近傍に配置されている。仮想中心線44iと重なる位置または仮想中心線44iの近傍に固定部材102を配置すれば、Fcosθの値は小さくなるため固定部材102が外れることを防止できる。
固定部材102は図6における仮想中心線44iと重ねて配置される必要はなく、仮想中心線44iの近傍に配置されていればよい。「近傍に配置」とは幅W内に固定部材102の一部分が配置されていることをいう。
なお上記の実施の形態では正極バスバー45にボス44aを貫通させ、これに固定部材102を嵌合させる構成を示したが、負極バスバーアッセンブリ41にボス44aを貫通させ、これに固定部材102を嵌合させてもよい。
さらに、樹脂カバー44にボルト44tが設けられている例について説明したが、樹脂カバー44にネジ孔が設けられており、このネジ孔にボルトが螺合していてもよい。ボルトを回転させることで樹脂カバー44にバッテリ端子板45Lを押圧することができる。その場合にネジ孔の仮想中心線上またはその近傍に固定部材102を配置する。
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された事項はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 蓄電装置、2 車両、3 電池ケース、4 電池ユニット、5 ファン、10,11,13 電池モジュール、14,15 固定プレート、20,27,28,29,44t ボルト、40 底蓋、41 負極バスバーアッセンブリ、42 電池ホルダー、43 円筒電池、44 樹脂カバー、44a,44b,44c ボス、44i 仮想中心線、44s ネジ溝、45 正極バスバー、45L バッテリ端子板、45f 取付面、45h,75 孔、46 天井蓋、47 接続板、50 貫通孔、51 上面、52 下面、53,54 側面、55,56 端面、57,77,78,80 排気路、58 排気口、60 正極、61 負極、65 天板、66,67 側壁、68,69 端壁、70 排気部、71 周壁部、72 壁部、73 通風口、76 端子、101 ヒューズ、102 固定部材、103,105,106,R,VIII,z 矢印、109 直線、110 ナット、201 ケーブル端子板。

Claims (1)

  1. 単位電池の電極に接続された、取付面およびバッテリー端子板を有するバスバーと、
    前記バスバーをケースに前記取付面上で固定する、複数のボスの各々に嵌合する複数の固定部材と、
    前記バスバーの前記バッテリー端子板に設けられた端子部とを備えた蓄電装置であって、
    前記端子部には仮想中心線を中心として螺旋状に延びるネジ溝が形成されており、
    前記取付面を平面視したときに少なくとも一部の前記固定部材は前記仮想中心線と重なる位置または前記仮想中心線の近傍に配置され、
    前記端子部の回転中心と前記少なくとも一部の前記固定部材の端部とを結ぶ直線が前記取付面に対してなす角度をθとし、前記バッテリー端子板を前記回転中心を中心に回転させると前記少なくとも一部の前記固定部材の端部が前記端子部を中心に回転するため前記少なくとも一部の前記固定部材の端部に回転力Fが加えられ、この力の垂直成分はFcosθであり前記少なくとも一部の前記固定部材を前記ボスから外す方向の力である、蓄電装置。
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