JP7019952B2 - 光偏向器検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光偏向器検査方法、光偏向器、および、画像投影装置に関する。
動作周波数が高くても小さな駆動源で効率よく動作させることができる共振現象を利用したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナが知られている。特許文献1は、可動部の共振周波数、すなわち、光偏向器の共振周波数を調整するために質量体を配設する技術を提案している。
しかしながら、従来のMEMSスキャナの共振周波数は製造工程によってばらつき易いという問題があった。デバイスチップを保護するためにデバイスチップがパッケージングされることがあるが、共振周波数を検査するのはパッケージング工程の後になる場合が多い。このため、共振周波数が規格外のデバイスチップが製造された場合、デバイスチップだけでなく、パッケージングのコストも無駄になるという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光偏向器をより効率的に製造可能とすることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、光偏向器を検査する光偏向器検査方法であって、前記光偏向器は、第1のシリコン層と、第2のシリコン層と、を有する基板と、前記基板上に設けられ、共振駆動を行う駆動部と、前記第2のシリコン層の厚さを測定するためのパターン部と、を備え、前記第2のシリコン層の一部は、共振を生じさせるねじれ部材を構成し、前記パターン部により前記第2のシリコン層の厚さを測定する測定工程と、前記測定工程で測定した厚さに基づき、前記共振駆動の共振周波数に異常があるか否かを判断する判断工程と、を含む。
本発明によれば、光偏向器をより効率的に製造可能になるという効果を奏する。
光走査システムの一例を示す概略図である。 光走査システムの一例のハードウェア構成図である。 駆動装置の一例の機能ブロック図である。 光走査システムに係る処理の一例のフローチャートである。 ヘッドアップディスプレイ装置を搭載した自動車の一例を示す概略図である。 ヘッドアップディスプレイ装置の一例を示す概略図である。 光書込装置を搭載した画像形成装置の一例を示す概略図である。 光書込装置の一例を示す概略図である。 レーザレーダ装置を搭載した自動車の一例を示す概略図である。 レーザレーダ装置の一例を示す概略図である。 パッケージングされた光偏向器の一例を示す概略図である。 片持ちタイプの光偏向器に段差パターンを適用した例を示す図である。 図12のP-P’断面図である。 図12のQ-Q’断面図である。 段差パターンによる厚み推定の場合の製造工程の一例を示すフローチャートである。 片持ちタイプの光偏向器に段差パターンを適用した他の例を示す図である。 図16のR-R’断面図である。 両持ちタイプの光偏向器に段差パターンを適用した例を示す図である。 両持ちタイプの光偏向器に段差パターンを適用した例を示す図である。 アドレス番号を段差パターンと兼用した例を示す図である。 ダイシングラインに段差パターンを適用した例を示す図である。 片持ちタイプの光偏向器にカンチレバーパターンを適用した例を示す図である。 図22のQ-Q’断面図である。 厚さと一次曲げモード共振周波数との関係の例を示すグラフである。 長さと一次曲げモード共振周波数との関係の例を示すグラフである。 カンチレバーの1次曲げモード共振周波数の測定方法を説明するための図である。 カンチレバーパターンによる厚み推定の場合の製造工程の一例を示すフローチャートである。 片持ちタイプの光偏向器にカンチレバーパターンを適用した他の例を示す図である。 図28のP-P’断面図である。 両持ちタイプの光偏向器にカンチレバーパターンを適用した例を示す図である。 両持ちタイプの光偏向器にカンチレバーパターンを適用した他の例を示す図である。 保護膜による共振周波数の調整を適用した例を示す図である。 図32のP-P’断面である。 保護膜厚と共振周波数の関係の一例を示す図である。 周波数調整を適用した場合の製造工程の一例を示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光偏向器検査方法、光偏向器、および、画像投影装置の一実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、パターン部(段差パターン)を用いてシリコン活性層の厚さが測定され、測定された厚さにより、光偏向器の特性値である共振周波数の異常の有無が判断(推定)される。この厚さは、例えばパッケージング工程より前に判断できるため、例えば不良品であるチップでパッケージングを行うなどの製造工程の無駄を未然に防止できる。すなわち、光偏向器をより効率的に製造可能となる。
[光走査システム]
まず、図1~図4を参照して、本実施形態に係る駆動装置を適用した光走査システムについて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の光走査システムの一例を示す概略図である。図1に示すように、光走査システム10は、駆動装置11の制御に従って光源装置12から照射された光を光偏向器13の有する反射面14により偏向して被走査面15を光走査するシステムである。光走査システム10は、駆動装置11、光源装置12、および、反射面14を有する光偏向器13により構成される。
駆動装置11は、例えばCPU(Central Processing Unit)およびFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を備えた電子回路ユニットである。光偏向器13は、例えば反射面14を有し、反射面14を可動可能なMEMSデバイスである。光源装置12は、例えばレーザを照射するレーザ装置である。なお、被走査面15は、例えばスクリーンである。
駆動装置11は、取得した光走査情報に基づいて光源装置12および光偏向器13の制御命令を生成し、制御命令に基づいて光源装置12および光偏向器13に駆動信号を出力する。
光源装置12は、入力された駆動信号に基づいて光源の照射を行う。光偏向器13は、入力された駆動信号に基づいて反射面14を1軸方向または2軸方向の少なくともいずれかに可動させる。
例えば、光走査情報の一例である画像情報(画像データ)に基づいた駆動装置11の制御によって、光偏向器13の反射面14を所定の範囲で2軸方向に往復可動させ、反射面14に入射する光源装置12からの照射光を偏向して光走査することにより、被走査面15に任意の画像を投影することができる。
なお、光偏向器13の詳細および駆動装置11による制御の詳細については後述する。
次に、図2を参照して、光走査システム10の一例のハードウェア構成について説明する。図2は、光走査システム10の一例のハードウェア構成図である。図2に示すように、光走査システム10は、駆動装置11、光源装置12および光偏向器13を備え、それぞれが電気的に接続されている。
[駆動装置]
駆動装置11は、CPU20、RAM21(Random Access Memory)、ROM22(Read Only Memory)、FPGA23、外部I/F(インタフェース)24、光源装置ドライバ25、および、光偏向器ドライバ26を備えている。
CPU20は、ROM22等の記憶装置からプログラムやデータをRAM21上に読み出し、処理を実行して、駆動装置11の全体の制御や機能を実現する演算装置である。
RAM21は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の記憶装置である。ROM22は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の記憶装置であり、CPU20が光走査システム10の各機能を制御するために実行する処理用プログラムやデータを記憶している。
FPGA23は、CPU20の処理に従って、光源装置ドライバ25および光偏向器ドライバ26に適した制御信号を出力する回路である。
外部I/F24は、例えば外部装置やネットワーク等とのインタフェースである。外部装置には、例えば、PC(Personal Computer)等の上位装置、並びに、USBメモリ、SDカード、CD、DVD、HDD、およびSSD等の記憶装置が含まれる。また、ネットワークは、例えば自動車のCAN(Controller Area Network)、LAN(Local Area Network)、および、インターネット等である。外部I/F24は、外部装置との接続または通信を可能にする構成であればよく、外部装置ごとに外部I/F24が用意されてもよい。
光源装置ドライバ25は、入力された制御信号に従って光源装置12に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。光偏向器ドライバ26は、入力された制御信号に従って光偏向器13に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。
駆動装置11において、CPU20は、外部I/F24を介して外部装置やネットワークから光走査情報を取得する。なお、CPU20が光走査情報を取得することができる構成であればよく、駆動装置11内のROM22やFPGA23に光走査情報を格納する構成としてもよいし、駆動装置11内に新たにSSD等の記憶装置を設けて、その記憶装置に光走査情報を格納する構成としてもよい。
ここで、光走査情報とは、被走査面15にどのように光走査させるかを示した情報であり、例えば、光走査により画像を表示する場合は、光走査情報は画像データである。また、例えば、光走査により光書込みを行う場合は、光走査情報は書込み順や書込み箇所を示した書込みデータである。他にも、例えば、光走査により物体認識を行う場合は、光走査情報は物体認識用の光を照射するタイミングと照射範囲を示す照射データである。
本実施形態に係る駆動装置11は、CPU20の命令および図2に示したハードウェア構成によって、次に説明する機能構成を実現することができる。
[駆動装置の機能構成]
次に、図3を参照して、光走査システム10の駆動装置11の機能構成について説明する。図3は、光走査システムの駆動装置の一例の機能ブロック図である。図3に示すように、駆動装置11は、機能として制御部30と駆動信号出力部31とを有する。
制御部30は、例えばCPU20、および、FPGA23等により実現され、外部装置から光走査情報を取得し、光走査情報を制御信号に変換して駆動信号出力部31に出力する。例えば、制御部30は、制御手段を構成し、外部装置等から画像データを光走査情報として取得し、所定の処理により画像データから制御信号を生成して駆動信号出力部31に出力する。
駆動信号出力部31は、印加手段を構成し、光源装置ドライバ25、および、光偏向器ドライバ26等により実現され、入力された制御信号に基づいて光源装置12または光偏向器13に駆動信号を出力する。駆動信号出力部31(印加手段)は、例えば、駆動信号を出力する対象ごとに設けられてもよい。
駆動信号は、光源装置12または光偏向器13の駆動を制御するための信号である。例えば、光源装置12においては、駆動信号は、光源の照射タイミングおよび照射強度を制御する駆動電圧である。また、例えば、光偏向器13においては、駆動信号は、光偏向器13の有する反射面14を可動させるタイミングおよび可動範囲を制御する駆動電圧である。なお、駆動装置11は、光源装置12および受光装置等の外部装置から光源の照射タイミングおよび受光タイミング等を取得し、これらを光偏向器13の駆動に同期するようにしてもよい。
[光走査処理]
次に、図4を参照して、光走査システム10が被走査面15を光走査する処理について説明する。図4は、光走査システムに係る処理の一例のフローチャートである。
ステップS11において、制御部30は、外部装置等から光走査情報を取得する。ステップS12において、制御部30は、取得した光走査情報から制御信号を生成し、制御信号を駆動信号出力部31に出力する。ステップS13において、駆動信号出力部31は、入力された制御信号に基づいて駆動信号を光源装置12および光偏向器13に出力する。ステップS14において、光源装置12は、入力された駆動信号に基づいて光照射を行う。また、光偏向器13は、入力された駆動信号に基づいて反射面14の可動を行う。光源装置12および光偏向器13の駆動により、任意の方向に光が偏向され、光走査される。
なお、光走査システム10では、1つの駆動装置11が光源装置12および光偏向器13を制御する装置および機能を有しているが、光源装置12用の駆動装置および光偏向器13用の駆動装置と、別体に設けてもよい。
また、光走査システム10では、1つの駆動装置11に光源装置12および光偏向器13の制御部30の機能および駆動信号出力部31の機能を設けているが、これらの機能は別体として存在していてもよい。例えば制御部30を有した駆動装置11とは別に駆動信号出力部31を有した駆動信号出力装置を設ける構成としてもよい。なお、光走査システム10のうち、反射面14を有した光偏向器13と駆動装置11により、光偏向を行う光偏向システムを構成してもよい。
[画像投影装置]
次に、図5および図6を参照して、本実施形態の駆動装置11を適用した画像投影装置について詳細に説明する。図5は、画像投影装置の一例であるヘッドアップディスプレイ装置500を搭載した自動車400の一例を示す概略図である。また、図6はヘッドアップディスプレイ装置500の一例を示す概略図である。
画像投影装置は、光走査により画像を投影する装置であり、例えばヘッドアップディスプレイ装置500である。図5に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置500は、例えば、自動車400のウインドシールド(フロントガラス401等)の付近に設置される。ヘッドアップディスプレイ装置500から発せられる投射光Lがフロントガラス401で反射され、ユーザーである観察者(運転者402)に向かう。
これにより、運転者402は、ヘッドアップディスプレイ装置500によって投影された画像等を虚像として視認することができる。なお、ウインドシールドの内壁面にコンバイナを設置し、コンバイナによって反射する投射光によってユーザーに虚像を視認させる構成にしてもよい。
図6に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置500では、赤色、緑色、青色のレーザ光源501R、501G、501Bからレーザ光が出射される。出射されたレーザ光は、各レーザ光源に対して設けられるコリメータレンズ502、503、504と、2つのダイクロイックミラー505、506と、光量調整部507と、から構成される入射光学系を経た後、反射面14を有する光偏向器13にて偏向される。
そして、偏向されたレーザ光は、自由曲面ミラー509と、中間スクリーン510と、投射ミラー511とから構成される投射光学系を経て、スクリーンに投影される。
なお、ヘッドアップディスプレイ装置500では、レーザ光源501R、501G、501B、コリメータレンズ502、503、504、ダイクロイックミラー505、506は、光源ユニット530として光学ハウジングによってユニット化されている。
ヘッドアップディスプレイ装置500は、中間スクリーン510に表示される中間像を自動車400のフロントガラス401に投射することで、その中間像を運転者402に虚像として視認させる。
レーザ光源501R、501G、501Bから発せられる各色レーザ光は、それぞれ、コリメータレンズ502、503、504で略平行光とされ、2つのダイクロイックミラー505、506により合成される。合成されたレーザ光は、光量調整部507で光量が調整された後、反射面14を有する光偏向器13によって二次元走査される。光偏向器13で二次元走査された投射光Lは、自由曲面ミラー509で反射されて歪みを補正された後、中間スクリーン510に集光され、中間像を表示する。中間スクリーン510は、マイクロレンズが二次元配置されたマイクロレンズアレイで構成されており、中間スクリーン510に入射してくる投射光Lをマイクロレンズ単位で拡大する。
光偏向器13は、反射面14を2軸方向に往復可動させ、反射面14に入射する投射光Lを二次元走査する。この光偏向器13の駆動制御は、レーザ光源501R、501G、501Bの発光タイミングに同期して行われる。
以上、画像投影装置の一例としてのヘッドアップディスプレイ装置500の説明をしたが、画像投影装置は、反射面14を有した光偏向器13により光走査を行うことで画像を投影する装置であればよい。
例えば、机等に置かれ、表示スクリーン上に画像を投影するプロジェクタや、観測者の頭部等に装着される装着部材に搭載され、装着部材が有する反射透過スクリーンに投影、または眼球をスクリーンとして画像を投影するヘッドマウントディスプレイ装置等にも、同様に適用することができる。
また、画像投影装置は、車両や装着部材だけでなく、例えば、航空機、船舶、移動式ロボット等の移動体、および、その場から移動せずにマニピュレータ等の駆動対象を操作する作業ロボットなどの非移動体に搭載されてもよい。
[光書込装置]
次に、図7および図8を参照して、本実施形態の駆動装置11を適用した光書込装置について詳細に説明する。図7は、光書込装置600を組み込んだ画像形成装置の一例である。また、図8は、光書込装置の一例を示す概略図である。
図7に示すように、光書込装置600は、レーザ光によるプリンタ機能を有するレーザプリンタ650等に代表される画像形成装置の構成部材として使用される。画像形成装置において光書込装置600は、1本または複数本のレーザビームで被走査面15である感光体ドラムを光走査することにより、感光体ドラムに光書込を行う。
図8に示すように、光書込装置600において、レーザ素子などの光源装置12からのレーザ光は、コリメータレンズなどの結像光学系601を経た後、反射面14を有する光偏向器13により1軸方向または2軸方向に偏向される。
そして、光偏向器13で偏向されたレーザ光は、その後、第1レンズ602aと第2レンズ602b、反射ミラー部602cからなる走査光学系602を経て、被走査面15(例えば感光体ドラムや感光紙)に照射し、光書込みを行う。走査光学系602は、被走査面15にスポット状に光ビームを結像する。
また、光源装置12、および、反射面14を有する光偏向器13は、駆動装置11の制御に基づき駆動する。
このように光書込装置600は、レーザ光によるプリンタ機能を有する画像形成装置の構成部材として使用することができる。また、走査光学系を異ならせて1軸方向だけでなく2軸方向に光走査可能にすることで、レーザ光をサーマルメディアに偏向して光走査し、加熱することで印字するレーザラベル装置等の画像形成装置の構成部材として使用することができる。
光書込装置600に適用される反射面14を有した光偏向器13は、ポリゴンミラー等を用いた回転多面鏡に比べ駆動のための消費電力が小さいため、光書込装置600の省電力化に有利である。また、光偏向器13の振動時における風切り音は回転多面鏡に比べ小さいため、光書込装置600の静粛性の改善に有利である。光書込装置600は回転多面鏡に比べ設置スペースが圧倒的に少なくて済み、また光偏向器13の発熱量もわずかであるため、小型化が容易であり、よって画像形成装置の小型化に有利である。
[物体認識装置]
次に、図9および図10を参照して、本実施形態の駆動装置11を適用した物体認識装置について詳細に説明する。図9は、物体認識装置の一例であるレーザレーダ装置を搭載した自動車の概略図である。また、図10はレーザレーダ装置の一例を示す概略図である。物体認識装置は、対象方向の物体を認識する装置であり、例えばレーザレーダ装置である。
図9に示すように、レーザレーダ装置700は、例えば自動車701に搭載され、対象方向を光走査して、対象方向に存在する被対象物702からの反射光を受光することで、被対象物702を認識する。
図10に示すように、光源装置12から出射されたレーザ光は、発散光を略平行光とする光学系であるコリメートレンズ703と、平面ミラー704とから構成される入射光学系を経て、反射面14を有する光偏向器13で1軸もしくは2軸方向に走査される。
そしてレーザ光は、投光光学系である投光レンズ705等を経て装置前方の被対象物702に照射される。光源装置12および光偏向器13は、駆動装置11により駆動を制御される。被対象物702で反射された反射光は、光検出器709により光検出される。すなわち、反射光は受光光学系である集光レンズ706等を経て撮像素子707により受光され、撮像素子707は検出信号を信号処理回路708に出力する。信号処理回路708は、入力された検出信号に2値化やノイズ処理等の所定の処理を行い、結果を測距回路710に出力する。
測距回路710は、光源装置12がレーザ光を発光したタイミングと、光検出器709でレーザ光を受光したタイミングとの時間差、または、受光した撮像素子707の画素ごとの位相差によって、被対象物702の有無を認識し、さらに被対象物702との距離情報を算出する。
反射面14を有する光偏向器13は多面鏡に比べて破損しづらく、小型であるため、耐久性の高い小型のレーダ装置を提供することができる。
このようなレーザレーダ装置700は、例えば車両、航空機、船舶、および、ロボット等に取り付けられ、所定範囲を光走査して障害物の有無や障害物までの距離を認識することができる。
物体認識装置の一例としてレーザレーダ装置700を説明したが、物体認識装置は、反射面14を有した光偏向器13を駆動装置11で制御することにより光走査を行い、光検出器709により反射光を受光することで被対象物702を認識する装置であればよく、上述した例に限定されるものではない。
例えば、手や顔を光走査して得た距離情報から形状等の物体情報を算出し、記録と参照することで対象物を認識する生体認証装置、対象範囲への光走査により侵入物を認識するセキュリティセンサ、および、光走査により得た距離情報から形状等の物体情報を算出して認識し、3次元データとして出力する3次元スキャナ、の構成部材などにも同様に適用することができる。
[パッケージング]
次に、図11を参照して、本実施形態の駆動装置11により制御される光偏向器13のパッケージングについて説明する。図11は、パッケージングされた光偏向器の一例を示す概略図である。
図11に示すように、光偏向器13は、パッケージ部材801の内側に配置される取付部材802に取り付けられ、パッケージ部材の一部を透過部材803で覆われて、密閉されることでパッケージングされる。さらに、パッケージ内は窒素等の不活性ガスが密封されている。これにより、光偏向器13の酸化による劣化が抑制され、さらに温度等の環境の変化に対する耐久性が向上する。
次に、以上に説明した光偏向システム、光走査システム、画像投射装置、光書込装置、および、物体認識装置に使用される光偏向器13の詳細および本実施形態の駆動装置11による制御の詳細について説明する。なお図1~図11の構成は、後述する第2~第3の実施形態の光偏向器にも適用できる。
[光偏向器の詳細]
まず、図12、図13、図14を参照して、光偏向器13について詳細に説明する。図12は、2軸方向に光偏向可能な片持ちタイプの光偏向器13の平面図である。図13は、図12のP-P’断面図である。図14は図12のQ-Q’断面図である。
図12に示すように、光偏向器13は、ミラー部101と、第1駆動部110a、110bと、支持部材としての可動枠120と、第2駆動部130a、130bと、支持部材としての固定枠140と、電極接続部150と、を有する。ミラー部101は、入射した光を反射する。第1駆動部110a、110bは、ミラー部101に接続され、ミラー部101をY軸に平行な第1軸周りに駆動(共振駆動)する。可動枠120は、ミラー部101および第1駆動部110a、110bを支持する。第2駆動部130a、130bは、可動枠120に接続され、ミラー部101および可動枠120をX軸に平行な第2軸周りに駆動(共振[ノコギリ波]駆動)する。固定枠140は、第2駆動部130a、130bを支持する。電極接続部150は、第1駆動部110a、110b、第2駆動部130a、130bおよび駆動装置11に電気的に接続される。
光偏向器13は、例えば、1枚のSOI(Silicon On Insulator)基板に対するエッチング処理等により成形される。成形された基板上に反射面14、第1圧電駆動部112a、112b、第2圧電駆動部131a~131f、132a~132f、および、電極接続部150等を形成することで、各構成部が一体的に形成されている。なお、各構成部の形成は、SOI基板の成形後に行ってもよいし、SOI基板の成形中に行ってもよい。
SOI基板は、単結晶シリコン(Si)からなる第1のシリコン層の上に酸化シリコン層162が設けられ、その酸化シリコン層162の上にさらに単結晶シリコンからなる第2のシリコン層が設けられている基板である。以降、第1のシリコン層をシリコン支持層161、第2のシリコン層をシリコン活性層163とする。
シリコン活性層163は、X軸方向またはY軸方向に対してZ軸方向への厚みが小さいため、シリコン活性層163のみで構成された部材は、弾性を有する弾性部としての機能を備える。
ミラー部101は、例えば、円形状のミラー部基体102と、ミラー部基体102の+Z側の面上に形成された反射面14とから構成される。ミラー部基体102は、例えば、シリコン活性層163から構成される。反射面14は、例えば、アルミニウム、金、銀等を含む金属薄膜で構成される。
また、ミラー部101は、ミラー部基体102の-Z側の面に補強用のリブが形成されていてもよい。リブは、例えば、シリコン支持層161および酸化シリコン層162から構成され、可動によって生じる反射面14の歪みを抑制することができる。
第1駆動部110a、110bは、2つのトーションバー111a、111bと、第1圧電駆動部112a、112bとを有する。トーションバー111a、111bは、ミラー部基体102に一端が接続し、第1軸方向にそれぞれ延びてミラー部101を可動可能に支持する。第1圧電駆動部112a、112bは、一端がトーションバー111a、111bに接続され、他端が可動枠120の内周部に接続される。
図13(P-P’断面図)に示すように、トーションバー111a、111bはシリコン活性層163から構成される。また、第1圧電駆動部112a、112bは、弾性部であるシリコン活性層163の+Z側の面上に下部電極201、圧電部202、上部電極203の順に形成されて構成される。
上部電極203および下部電極201は、例えば金(Au)または白金(Pt)等から構成される。圧電部202は、例えば、圧電材料であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる。
図12に戻り、可動枠120は、例えば、シリコン支持層161、酸化シリコン層162、および、シリコン活性層163から構成され、ミラー部101を囲うように形成された矩形形状の支持体である。
第2駆動部130a、130bは、例えば、折り返すように連結された複数の第2圧電駆動部131a~131f、132a~132fから構成されている。第2駆動部130a、130bの一端は可動枠120の外周部に接続され、他端は固定枠140の内周部に接続されている。
このとき、第2駆動部130aと可動枠120の接続箇所および第2駆動部130bと可動枠120の接続箇所、さらに第2駆動部130aと固定枠140の接続箇所および第2駆動部130bと固定枠140の接続箇所は、反射面14の中心に対して点対称となっている。
図14(Q-Q’断面図)に示すように、第2駆動部130a、130bは、弾性部であるシリコン活性層163の+Z側の面上に下部電極201、圧電部202、上部電極203の順に形成されて構成される。上部電極203および下部電極201は、例えば金(Au)または白金(Pt)等から構成される。圧電部202は、例えば、圧電材料であるPZTからなる。
図12に戻り、固定枠140は、例えば、シリコン支持層161、酸化シリコン層162、シリコン活性層163から構成され、ミラー部101、第1駆動部110a、110b、可動枠120および第2駆動部130a、130bを囲うように形成された矩形の支持体である。
図12、および、図12のQ-Q’断面図(図14)に示すように、固定枠140ではシリコン活性層163に穴が形成されており、酸化シリコン層162、および、シリコン支持層161に対して段差パターン1201が形成されている。これによってシリコン活性層163の厚さを正確に測定することが可能である。図12に示す段差パターン1201は一例でありこれに限られるものではない。例えば、側面が第2のシリコン層であり、底面が第1のシリコン層である凹部となるような段差パターンを用いてもよい。
電極接続部150は、例えば、固定枠140の+Z側の面上に形成され、第1圧電駆動部112a、112b、第2圧電駆動部131a~131fの各上部電極203および各下部電極201、並びに、駆動装置11に、アルミニウム(Al)等の電極配線を介して電気的に接続されている。
なお、上部電極203または下部電極201は、それぞれが電極接続部150と直接接続されていてもよいし、電極同士を接続する等により間接的に接続されていてもよい。
なお、本実施形態では、圧電部202が弾性部であるシリコン活性層163の一面(+Z側の面)のみに形成された場合を一例として説明した。圧電部202は、弾性部の他の面(例えば-Z側の面)に設けても良いし、弾性部の一面および他面の双方に設けても良い。
また、ミラー部101を第1軸周りまたは第2軸周りに駆動可能であれば、各構成部の形状は実施形態の形状に限定されない。例えば、トーションバー111a、111bおよび第1圧電駆動部112a、112bが曲率を有した形状を有していてもよい。
さらに、第1駆動部110a、110bの上部電極203の+Z側の面上、可動枠120の+Z側の面上、第2駆動部130a、130bの上部電極203の+Z側の面上、および、固定枠140の+Z側の面上、の少なくともいずれかに酸化シリコン膜からなる絶縁層が形成されていてもよい。
このとき、絶縁層の上に電極配線を設け、また、上部電極203または下部電極201と電極配線とが接続される接続スポットに、開口部として部分的に絶縁層を除去または絶縁層を形成しないことにより、第1駆動部110a、110b、第2駆動部130a、130bおよび電極配線の設計自由度をあげ、さらに電極同士の接触による短絡を抑制することができる。なお、絶縁層は絶縁性を有する部材であればよく、また、反射防止材としての機能を備えさせてもよい。
[駆動装置の制御の詳細]
次に、光偏向器13の第1駆動部110a、110bおよび第2駆動部130a、130bを駆動させる駆動装置11の制御の詳細について説明する。
第1駆動部110a、110b、および、第2駆動部130a、130bが有する圧電部202は、分極方向に電圧が印加されると印加電圧の電位に比例した変形が生じ、いわゆる逆圧電効果を発揮する。圧電部202はシリコン活性層163の片側にのみ固着されたユニモルフ構造になっている。圧電部202が伸縮するのに対し、シリコン活性層163は変形しないため、電圧印加によって第1駆動部110a、110b、および、第2駆動部130a、130bに反り変形が生じる。このように逆圧電効果を利用してミラー部101を可動させる。
このとき、ミラー部101の反射面14に入射した光束が偏向される角度を振れ角とよぶ。圧電部202に電圧を印加していないときの振れ角をゼロとし、その角度よりも偏向角度が大きい場合を正の振れ角、小さい場合を負の振れ角とする。
まず、第1駆動部110a、110bを駆動させる駆動装置11の制御について説明する。第1駆動部110a、110bでは、第1圧電駆動部112a、112bが有する圧電部202に、上部電極203および下部電極201を介して駆動電圧が並列に印加されると、それぞれの圧電部202が変形する。この圧電部202の変形による作用により、第1圧電駆動部112a、112bが屈曲変形する。
その結果、2つのトーションバー111a、111bのねじれを介してミラー部101に第1軸周りの駆動力が作用し、ミラー部101が第1軸周りに可動する。第1駆動部110a、110bに印加される駆動電圧は、駆動装置11によって制御される。
そこで、駆動装置11によって、第1駆動部110a、110bが有する第1圧電駆動部112a、112bに所定の正弦波形の駆動電圧を並行して印加することで、ミラー部101を、第1軸周りに所定の正弦波形の駆動電圧の周期で可動させることができる。
特に、例えば、正弦波形電圧の周波数がトーションバー111a、111bの共振周波数と同程度である約20kHzに設定された場合、トーションバー111a、111bのねじれによる機械的共振が生じるのを利用して、ミラー部101を約20kHzで共振振動させることができる。
ここで、シリコン材料を用いてトーションバー111a、111bのねじれの機械的共振を利用する場合、共振峰が急峻であるため、小さな電圧で非常に大きな振幅を得ることが可能である。特に高速かつ大振幅でミラーを振動させるためには共振動作が不可欠となっている。しかし、一方で、シリコン構造における機械的共振は、製造ばらつきが大きいことが大きな課題となっている。
また、図11に示すようなパッケージングされたMEMSである光偏向器13においてはミラーの共振周波数を検査するのは、取り扱いや配線の理由からパッケージング工程の後となることが多く、共振周波数が規格外であることが判明するのはパッケージング後である場合が生じる。この場合、光偏向器13だけでなくパッケージのコストが無駄になる。
本実施形態は、トーションねじりによる共振周波数のばらつきの要因を考え、シリコン活性層163の厚さの寄与率が非常に大きいこと(設計パラメータや工程能力にもよるがある条件では60%以上)からシリコン活性層163の厚さを管理することで、量産時の共振周波数を効率よく管理できることに着眼したものである。
ここで、光偏向器13の製造工程の例について説明する。図15は、光偏向器13の製造工程の例を示すフローチャートである。製造工程には、製造された光偏向器13を検査する工程(光偏向器検査方法)が含まれる。
まず、SOI基板が納入される(ステップS101)。SOI基板に対して、下部電極201、圧電部202(PZT)、および、上部電極203など膜が形成される(ステップS102)。次に、圧電部202(PZT)および電極のパタニングが実行される(ステップS103)。例えば、必要な部分の電極、圧電部202(PZT)、および、配線のパターンを残してエッチングが行われる。
次に、シリコン活性層163の形状を残してエッチングが行われる(ステップS104)。この工程で段差パターン1201が形成される。次に、電気特性が検査される(ステップS105)。例えば、導通チェック、および、圧電部202(PZT)の電気的特性の検査が行われる。またシリコン活性層163の厚さなど重要な寸法値の検査(測定)が行われる(ステップS106)。
次に、SOI基板が反転される(ステップS107)。そしてシリコン支持層161、および、酸化シリコン層162がエッチングされる(ステップS108)。次に、ダイシング(チップ化)が行われ、個々のデバイスチップに小片化される(ステップS109)。
次に、異常があるか否かによりチップの選別が行われる(ステップS110)。例えば、電気特性、および、シリコン活性層163の厚さを含む各種寸法が検査される。例えばシリコン活性層163の厚さが予め定められた範囲内の値であるか否かにより、異常があるか否かが判断される。この工程は、パッケージング工程の前に、シリコン活性層163の厚さに基づき、共振周波数に異常があるか否かを判断(推定)することに相当する。例えばシリコン活性層163の厚さが範囲内でない場合に、共振周波数に異常があると判断(推定)される。
電気特性および寸法検査で異常値となった場合(ステップS110:Yes)、異常値となったチップが除外される(ステップS111)。異常がない場合(ステップS110:No)、パッケージングが行われる(ステップS112)。
次に、デバイス特性(共振周波数、振幅など)に異常があるかが検査される(ステップS113)。異常がある場合(ステップS113:Yes)、異常があるチップが除外される(ステップS114)。異常がない場合(ステップS113:No)、該当チップが出荷される(ステップS115)。
このように、本実施形態によれば、シリコン活性層163の厚さをエッチング工程後に検査することが可能となる。これにより、パッケージング工程の前に共振周波数が異常となる可能性が高いチップを除外することができ、無駄なパッケージングコストを防ぐことができる。
(変形例1)
さらに高い効果が得られるように、段差パターン1201をトーションバー111a、111bの近傍(例えばトーションバー111a、111bからの距離が予め定められた値以下となる位置)に配置した変形例を図16および図17に示す。図16に示すように、本変形例では、シリコン活性層163による段差パターン1201が、一対のトーションバー111a、111bを挟んだ両側に配置されている。これにより、ミラーの共振周波数に寄与するトーションバー111a、111bの近傍の厚さが測定できるため、より精度の高い判別を行うことができる。
(変形例2)
上記実施形態および変形例では、光偏向器13は図12に示すように、トーションバー111a、111bから+X方向に向かって第1圧電駆動部112a、112bが延びる片持ちタイプの光偏向器13を用いている。電圧印加された圧電部202により反射面14を可動させる構成であれば、これに限られない。
例えば、図18および図19に示すように、トーションバー211a、211bから+X方向に向かって延びる第1圧電駆動部212a、212bおよび-X方向に向かって延びる第1圧電駆動部212c、212dを有する両持ちタイプの光偏向器13を用いてもよい。
(変形例3)
また、シリコン活性層163の厚さを測定する段差パターンを特別に設ける必要はなく、図20のようにウエハ内の位置を示すアドレス番号(ウエハアドレス番号)などを、シリコン活性層163のエッチングパターンとして設けておくことで、この部分の深さを厚さとして測定してもよい。図20では両持ちタイプの光偏向器13の例を示しているが、片持ちタイプの光偏向器13に対しても同様に適用できる。
(変形例4)
また、最終製品で機能的に不要な形状を残したくない場合、図21のようにチップを小片化するダイシングライン部分に段差パターンを設けておくことでダイシング後には段差パターンをなくすることも可能である。図21では両持ちタイプの光偏向器13の例を示しているが、片持ちタイプの光偏向器13に対しても同様に適用できる。
以上のように、第1の実施形態では、シリコン活性層(第2のシリコン層)の厚さを測定するためのパターン部(段差パターン)が設けられ、このパターン部によりシリコン活性層の厚さを測定する。シリコン活性層の厚さは、共振周波数のばらつきに対する寄与が大きいため、厚さが異常であるか判断することにより、共振周波数に異常があるか否かを、例えばパッケージング工程より前に判断(推定)できる。これにより例えば不良品であるチップでパッケージングを行うなどの製造工程の無駄を未然に防ぎ、不要なコストの発生を抑制できる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、基板反転後、シリコン支持層161をエッチングし、酸化シリコン層162のエッチングをすることで、SOI基板全体が完全に抜けたパターンが形成される。ウエハ面内で酸化シリコン層162のエッチングの速度が分布を持つため、面内すべてのエッチングが完了するまでに、先に酸化シリコン層162がなくなった部分はシリコン活性層163の裏面からダメージを受け、厚さが薄くなっていく場合がある。このため、シリコン活性層163の厚さは、図15の工程フローにおける酸化シリコン層162のエッチングの際にも変動する。従って、段差パターンを用いた厚さの測定では、裏面のオーバーエッチングによる厚さ変動が反映されず、その分共振周波数のばらつきに影響する場合がある。
第2の実施形態では、工程中の厚さ変動を含めたばらつきに対応可能な例を説明する。第2の実施形態では、シリコン活性層の厚さを測定するためのパターン部として、シリコン活性層により支持されるカンチレバーパターンが形成される。またカンチレバーパターンの共振周波数が測定され、この共振周波数からシリコン活性層の厚さが算出される。そして算出されたシリコン活性層の厚さにより、デバイスチップの特性を検査する前に、光偏向器の特性値である共振周波数の異常の有無が判断(推定)される。
図22は、片持ちタイプの光偏向器13-2の平面図である。図23は、図22のQ-Q’断面図である。
図22に示すように、固定枠140の一部に、シリコン活性層163のみで形成されたカンチレバー(片持ち梁)パターン2201が形成される。このカンチレバーパターン2201における1次の曲げモードの共振周波数fは以下の(1)式および(2)式のような理論式で得られる。tは厚さ、Lは長さ、wは幅、Eはヤング率、ρは密度、Aは断面積(=w・t)、Iは断面2次モーメント(=w/t)を表す。
f=(1.875/L)/2π√(EI/ρA) ・・・(1)
t=(L/1.875)/(2πf)・√(12ρ/E) ・・・(2)
図24は、厚さと一次曲げモード共振周波数との関係の例を示すグラフである。図25は、長さと一次曲げモード共振周波数との関係の例を示すグラフである。グラフ中の数値は、一次曲げモード共振周波数(Hz)を厚さ(μm)で除算した値を表す。
寸法値にもよるが、光偏向器13-2の共振周波数は、シリコン活性層163の厚さと長さに依存し、特に厚さによる影響が非常に大きい。(1)式および(2)式により、カンチレバーの1次曲げモード共振周波数から逆算して、シリコン活性層163の厚さを求めることが可能である。
長さの影響は軽微ではあるが、ウエハ状態での寸法測定を行って式を補正してもよい。カンチレバーの1次曲げモード共振周波数は、ダイシングする前のウエハ状態のままで測定することが可能であり、パッケージング前に不具合チップを除外することができる。
図26は、カンチレバーの1次曲げモード共振周波数の測定方法を説明するための図である。カンチレバーパターン2201が形成されたチップを含むウエハ全体が加振テーブル2902に固定され、外部加振により振動が与えられる。周波数スウィープにより、Z方向(矢印2911)の振動が調整される。センサ2901は、1次曲げモード共振周波数に合致した時にカンチレバーの振幅が急増することを検知する。センサ2901は、スキャニングドップラー振動計などを用いるとウエハ面内を一括で測定できる。
次に光偏向器13-2の製造工程の例について説明する。図27は、光偏向器13-2の製造工程の例を示すフローチャートである。
ステップS201~ステップS205、および、ステップS207~ステップS208は、第1の実施形態の光偏向器13の製造工程を示す図15のステップS101~ステップS105、および、ステップS107~ステップS108と同様であるため説明を省略する。
本実施形態の寸法検査では、トーションバー111a、111bの幅およびカンチレバーの長さなど寸法値が検査される(ステップS206)。また本実施形態では、図26に示した方法などにより、カンチレバーの一次曲げモード共振周波数が測定され、(1)式および(2)式などにより、一次曲げモード共振周波数からシリコン活性層163の厚さが算出される(ステップS209)。
ステップS210~ステップS216は、第1の実施形態の光偏向器13の製造工程を示す図15のステップS109~ステップS115と同様であるため説明を省略する。
(変形例5)
さらに高い効果が得られるように、カンチレバーパターン2201をトーションバー111a、111bの近傍に配置した変形例を図28および図29示す。図28に示すように、本変形例では、シリコン活性層163によるカンチレバーパターン2201が、一対のトーションバー111a、111bに隣接して配置されている。これによってミラー共振周波数に寄与するトーションバー111a、111bの近傍の厚さが求められるため、より精度の高い判別を行うことができる。
(変形例6)
上記実施形態および変形例では、光偏向器13-2は図22および図28に示すように、トーションバー111a、111bから+X方向に向かって第1圧電駆動部112a、112bが延びる片持ちタイプの光偏向器を用いている。電圧印加された圧電部202により反射面14を可動させる構成であれば、これに限られない。
例えば、図30および図31に示すように、トーションバー211a、211bから+X方向に向かって延びる第1圧電駆動部212a、212bおよび-X方向に向かって延びる第1圧電駆動部212c、212dを有する両持ちタイプの光偏向器13-2を用いてもよい。
以上のように、第2の実施形態では、カンチレバーの1次曲げモード共振周波数を測定し、この1次曲げモード共振周波数からシリコン活性層163の厚さを算出する。シリコン活性層163の厚さは、酸化シリコン層162のエッチング工程後にその加工誤差も含めて算出することが可能である。また、パッケージング工程の前に共振周波数が異常なチップを除外することができ、無駄なパッケージングコストの発生を防ぐことができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態で把握した光偏向器の特性値である共振周波数が仕様範囲外であった場合、トーションバー上の保護膜をエッチングすることで共振周波数を調整可能とする。すなわち本実施形態では、共振周波数特性のばらつきの主要因を製造過程で測定(検査)して、共振周波数を事前に把握し、パッケージングの前に共振周波数を調整することで、損失を回避する。
以下では、第2の実施形態の変形例5(図28、図29)を元に本実施形態の手法を適用した例を説明する。他の形態(第1の実施形態、第1の実施形態の変形例、第2の実施形態、および、第2の実施形態の他の変形例)に対しても同様の手法を適用できる。
図32は、保護膜による共振周波数の調整を適用した光偏向器13-3の平面図である。図33は、図32のP-P’断面図である。図33に示すように、デバイスの最上面には酸化シリコン層である保護膜3301が形成されている。保護膜3301は、トーションバー111a、111b上にも積層されており、シリコン活性層163ほどではないが共振周波数に影響を及ぼす。
図34は、保護膜3301の材料をSiO2(silicon dioxide)とした場合の保護膜3301の厚さと、光偏向器13-3の共振周波数(トーションねじり共振)との関係を示す図である。図34に示すように保護膜の厚さが共振周波数に与える影響度は小さいものの、単位膜厚(nm)あたり0.36Hzの変化が見込まれる。このことを利用して、予め厚めに保護膜3301を形成しておき、共振周波数を推定したあと、トーションバー111a、111b上の保護膜3301を追加でエッチングする。保護膜3301は、例えばシリコン活性層163の厚さに応じて調整された厚さを有するようにエッチングされる。エッチングする量は、例えば図34の関係などを元に決定すればよい。これにより、共振周波数を適正な値に補正することが可能となる。
次に光偏向器13-3の製造工程の例について説明する。図35は、光偏向器13-3の製造工程の例を示すフローチャートである。
ステップS301、ステップS303~ステップS309は、第2の実施形態の光偏向器13-2の製造工程を示す図27のステップS201、ステップS203~ステップS209と同様であるため説明を省略する。
本実施形態では、SOI基板に対して、下部電極201、圧電部202(PZT)、および、上部電極203などに加え、保護膜3301が形成される(ステップS302)。また本実施形態では、保護膜3301に対するエッチング処理が追加される(ステップS310)。
ステップS311は、第2の実施形態のステップS210と同様であるため説明を省略する。
本実施形態では、カンチレバー検査の後に保護膜3301の追加エッチングを行って共振周波数を調整するため、チップの選別を行う必要がなくなる。すなわち、例えば第2の実施形態のステップS211およびステップS212の処理が不要となる。
この後のステップS312~ステップS315は、第2の実施形態の光偏向器13-2の製造工程を示す図27のステップS213~ステップS216と同様であるため説明を省略する。
このように、本実施形態では、共振周波数を正常な特性に調整することにより不良品の発生を回避し、製造工程における損失を防ぐことが可能となる。
10 光走査システム
11 駆動装置
12 光源装置
13、13-2、13-3 光偏向器
14 反射面
20 CPU
21 RAM
22 ROM
23 FPGA
24 外部I/F
25 光源装置ドライバ
26 光偏向器ドライバ
特開2014-235244号公報

Claims (5)

  1. 光偏向器を検査する光偏向器検査方法であって、
    前記光偏向器は、第1のシリコン層と、第2のシリコン層と、を有する基板と、前記基板上に設けられ、共振駆動を行う駆動部と、前記第2のシリコン層の厚さを測定するためのパターン部と、を備え、
    前記第2のシリコン層の一部は、共振を生じさせるねじれ部材を構成し、
    前記パターン部により前記第2のシリコン層の厚さを測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定した厚さに基づき、前記共振駆動の共振周波数に異常があるか否かを判断する判断工程と、
    を含む光偏向器検査方法。
  2. 前記パターン部は、前記第2のシリコン層に形成された穴である、
    請求項1に記載の光偏向器検査方法
  3. 前記光偏向器は、
    光反射面を有するミラー部と、
    前記ミラー部を支持する支持部材と、をさらに備え、
    前記パターン部は、前記支持部材の近傍に形成される、
    請求項1に記載の光偏向器検査方法
  4. 前記光偏向器は、
    光反射面を有するミラー部と、
    前記ミラー部を支持する支持部材と、
    前記第2のシリコン層の厚さに応じて調整された厚さを有する、前記支持部材上に形成された保護膜と、をさらに備える、
    請求項1に記載の光偏向器検査方法
  5. 前記光偏向器
    前記光偏向器に光を照射する光源を備える画像投影装置に備えられる、
    請求項1に記載の光偏向器検査方法
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