JP7017770B2 - 解重合性を有する両親媒性ブロック共重合体 - Google Patents

解重合性を有する両親媒性ブロック共重合体 Download PDF

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Description

本発明は、解重合性を有する両親媒性ブロック共重合体、当該ブロック共重合体を含む高分子微粒子に関する。
ポリエステルを含む高分子微粒子は、生分解性など医用材料として好適な物性を示すことから注目されてきた。こうした高分子微粒子としては、マイクロスフィアや高分子ミセル、ベシクルなどの形態があり、世界規模で盛んに研究開発が行われている(例えば、特許文献1、非特許文献1、2)。
特にドラッグデリバリーシステム(DDS)等の薬物送達の用途に高分子微粒子を用いる場合、薬物送達等の目的を終えた後、当該高分子微粒子は迅速に分解されて体外に排出されることが望ましい。しかしながら、制御可能かつ積極的な分解性が施された高分子微粒子はこれまでに開発されていない。そのため、これまで医用材料として用いられてきた高分子種の骨格に大幅に手を加えることなく容易に分解し得る新規な高分子微粒子を開発することが求められている。
また、特定の薬剤分子に特化した従来のDDS用高分子微粒子では、薬剤投与の目的物である活性化合物を共有結合により親水性ポリマー鎖部分に直接連結させた構造を有しているため、薬剤毎に用いる高分子を設計する必要があった(例えば、特許文献2)。
特許第5131971号公報 特許第4781435号公報
Hrkachら、Sci. Transl. Med. 4, 128ra139, 2012、 Hubbellら、Nat. Mater. 12, 963-966, 2013
そこで、本発明は、ポリエステル類を基本骨格として有し、制御可能かつ優れた分解特性を有する新規な高分子微粒子材料、特に、分解生成物が生体適合性材料または天然由来分子となるような高分子微粒子材料を提供することを課題とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、環状エステル化合物であるラクトンが開環重合して形成される疎水性ブロックと、ポリエチレングリコールよりなる親水性ブロックとを含む構造を有する両親媒性の新規ブロック共重合体を用いることで、解重合反応による制御可能な優れた分解性を有する高分子微粒子を提供できることを見出した。また、かかる両親媒性のブロック共重合体が、ポリエチレングリコールを重合開始剤として用いて、ラクトンモノマーの開環重合を行うことにより一段階の反応工程で効率的に合成可能であることを見出した。これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一態様において、
<1>両親媒性ブロック共重合体であって、解重合性を有するラクトン重合体よりなるブロックAとポリエチレングリコールよりなるブロックBとを含み、前記ラクトン重合体よりなるブロックの末端にOH基を有する、該ブロック共重合体;
<2>前記ラクトン重合体よりなるブロックAの末端と前記ポリエチレングリコールよりなるブロックBの末端がエステル結合により連結した構造を有する、上記<1>に記載のブロック共重合体;
<3>外部環境の変化によって前記ラクトン重合体よりなるブロックAの解重合反応が生じ、前記解重合反応の分解生成物が水溶性分子のみからなる、上記<1>又は<2>に記載のブロック共重合体;
<4>前記解重合反応が塩基性条件下で生じる、上記<3>に記載のブロック共重合体;
<5>前記ラクトン重合体がポリ(γ-ブチロラクトン)である、上記<1>~<4>のいずれか1に記載のブロック共重合体;
<6>以下の構造を有する、上記<1>に記載のブロック共重合体:
Figure 0007017770000001

(式中、各Rは、同一であっても異なってもよく、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいエーテル結合を含む基、置換されていてもよいアミンを含む基、置換されていてもよいスルフィドを含む基、置換されていてもよいリン原子を含む基、又は置換されていてもよいケイ素原子を含む基を表しを表し;mは、5~250000の整数であり;及びnは、1~10000の整数である);
<7>前記ラクトン重合体よりなるブロックAにおけるOH基末端に保護基を導入した構造を有する、上記<1>~<6>のいずれか1に記載のブロック共重合体;及び
<8>前記保護基が、光の照射、pHの変化、酸化還元、又は温度条件による外部刺激によって、ポリマー鎖から脱離し得る基である、上記<7>に記載のブロック共重合体
を提供するものである。
また、別の態様において、本発明は、
<9>上記<1>~<8>のいずれか1に記載のブロック共重合体を含む高分子微粒子;
<10>ミセルを形成している、上記<9>に記載の高分子微粒子;及び
<11>活性化合物と、上記<1>~<8>のいずれか1に記載のブロック共重合体又は上記<9>若しくは<10>に記載の高分子微粒子を含む、医薬組成物
を提供するものである。
さらなる態様において、本発明は
<12>ラクトン重合体よりなるブロックAとポリエチレングリコールよりなるブロックBとを含む両親媒性ブロック共重合体の製造方法であって、
ポリエチレングリコールを重合開始剤として用いて、ラクトンモノマーの開環重合を行うことにより前記ブロック共重合体を得る工程を含む、該製造方法;及び
<13>前記開環重合における触媒として有機触媒を用いる、上記<12>に記載の製造方法
を提供するものである。
本発明の両親媒性ブロック共重合体は、pH等の外部環境の変化によるラクトン重合体ブロック部分における解重合を制御することができ、さらに当該解重合による分解生成物は水溶性分子のみからなるため、生体適合性材料として好適である。ラクトン重合体ブロックの末端がOH基であるため、これを適切な官能基で保護処理することにより解重合反応を制御することもできる。
また、本発明の両親媒性ブロック共重合体は、親水性部と疎水性部を有するため水中に分散させることによりミセル等の高分子微粒子を好適に形成することができ、DDS用材料として用いた場合、内包した薬剤等の徐放の後、迅速分解されて、分解生成物である水溶性分子として体外に排出することが可能となる。
さらに、本発明の製造方法によれば、ポリエチレングリコールを重合開始剤として用いてラクトンモノマーの開環重合を行うことにより、一段階の反応工程で上記両親媒性ブロック共重合体を簡便かつ効率的に合成可能である。
図1は、本発明の両親媒性ブロック共重合体により形成した高分子微粒子(ミセル)の原子間力顕微鏡イメージ図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
1.両親媒性ブロック共重合体
本発明の両親媒性ブロック共重合体は、解重合性を有するラクトン重合体よりなるブロックAとポリエチレングリコールよりなるブロックBとを含み、前記ラクトン重合体よりなるブロックの末端にOH基を有することを特徴とするものである。ラクトン重合体よりなるブロックAが末端OH基を有することにより、特定の環境下において当該ブロックAが段階的に解重合してポリマー鎖が分解するという特性を有する。
両親媒性ブロック共重合体を構成成分であるブロックAは、ラクトン重合体よりなる疎水性のポリマーブロック(セグメント)である。当該ブロックAは、後述のように、ラクトン化合物が開環重合して形成されるポリマー構造を有する。モノマーであるラクトンは、当該技術分野において公知の環状エステル化合物を用いることができる。ラクトン重合体の解重合性の観点から、好ましくは、当該ラクトンは五員環ラクトン化合物、さらに好ましくは、γ-ブチロラクトンとすることができる。この場合、ブロックAはポリ(γ-ブチロラクトン)となる。
ラクトン重合体よりなるブロックAは、好ましくは、100~1,000,000の範囲、より好ましくは100~100,000の範囲の分子量(数平均分子量)を有する。
同じく両親媒性ブロック共重合体の構成成分であるブロックBは、ポリエチレングリコールよりなる親水性のポリマーブロック(セグメント)である。当該ポリエチレングリコールとしては、当該技術分野において公知のポリエチレングリコールを用いることができる。
ポリエチレングリコールよりなるブロックBは、好ましくは、500~10,000,000の範囲、より好ましくは500~1,000,000の範囲の分子量(数平均分子量)を有する。
好ましくは、本発明の両親媒性ブロック共重合体は、上記ラクトン重合体よりなるブロックAの末端と上記ポリエチレングリコールよりなるブロックBの末端がエステル結合により連結した構造を有する。すなわち、前記ラクトン重合体よりなるブロックAは、好ましくは、その末端のカルボニル基を介して前記ポリエチレングリコールよりなるブロックBのエーテル鎖と結合することができる。かかる結合様式によってブロック共重合体を形成する場合には、ラクトン重合体よりなるブロックAの一方の末端(すなわち、両親媒性ブロック共重合体におけるブロックA側の末端)にOH基が存在することができる。
かかる結合様式を有する本発明の両親媒性ブロック共重合体の非限定的な具体例としては、以下の式(1)で表されるポリマー構造が挙げられる。
Figure 0007017770000002
式中、各Rは、同一であっても異なってもよく、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいエーテル結合を含む基、置換されていてもよいアミンを含む基、置換されていてもよいスルフィドを含む基、置換されていてもよいリン原子を含む基、置換されていてもよいケイ素原子を含む基を表す。本明細書中において、「アルキル」は直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせからなる脂肪族炭化水素基のいずれであってもよい。アルキル基の炭素数は特に限定されないが、例えば、炭素数1~20個(C1~20)、炭素数1~10個(C1~10)、炭素数1~5個(C1~5)である。本明細書中において、「アリール」は単環式又は縮合多環式の芳香族炭化水素基のいずれであってもよく、環構成原子としてヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子など)を1個以上含む芳香族複素環であってもよい。この場合、これを「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」と呼ぶ場合もある。アリールが単環及び縮合環のいずれである場合も、全ての可能な位置で結合しうる。好ましくは、各Rは、いずれも水素原子である。ただし、ラクトン重合体よりなるブロックAの解重合性を制御するために、各Rのいずれか又は全てに上記置換基を導入してもよい。
また、式中、mは、5~250000の整数であり、nは、1~10000の整数である。好ましくは、mは、5~2,500の整数であり、nは、1~1000の整数である。m及びnの範囲は、実質的に上記の各ブロックの分子量の範囲に対応するものである。
ここで、ブロックAとブロックBの比率は、ミセルを形成させる場合には、好ましくは、分子量比で1:1よりもブロックAの分子量が小さいような比率であり、例えば、1:2とすることができる。これによりブロック共重合体の親水性と疎水性のバランスを調整することができ、解重合性や後述のミセル形成能等を制御することができる。
上述のように、ラクトン重合体よりなるブロックAの一方の末端(すなわち、両親媒性ブロック共重合体におけるブロックA側の末端)には、OH基を有する。当該末端OH基が存在することにより、外部環境の変化によってブロックAにおけるラクトン重合体が解重合により分解され得る。かかる解重合は、一のモノマー単位だけではなく、段階的かつ連続的に生じることができる。当該解重合反応の機構を上記(1)の化合物を例として以下のスキームに示す。
Figure 0007017770000003
本発明の両親媒性ブロック共重合体のブロックA(右側部分)の末端において、OH基が隣接するエステル結合に求核攻撃することでラクトンのモノマー単位が脱離する(これにより、繰り返し数nがn-1となる)。これにより、水溶性のラクトン化合物(γ-ブチロラクトン)が生成物として生じる(図示していないが、直鎖状の4-ヒドロキシブチレート及びその中和反応生成物である塩も生じる場合がある)。次いで、新たに末端となったOH基から同様の反応が進行することでモノマー単位が同様に脱離し、ラクトン化合物が生成物として生じる。かかる連続的な解重合により、最終的には、ブロックAの重合は全て解消し、水溶性のポリエチレングリコールよりなるブロックB部分が残存する。この結果、解重合により生じる生成物は、全て水溶性分子からなるため、DDS用途等において薬剤の徐放後にポリマー由来の成分を体外に好適に放出することができる。
好ましくは、当該解重合反応を生じされる「外部環境の変化」には、pHの変化や温度の変化を挙げることができる。例えば、本発明の両親媒性ブロック共重合体は、塩基性条件下で解重合反応を生じることができる。好ましくは、当該塩基性条件下は、pHが8~12の範囲であり、より好ましくはpHが8~10の範囲であり、特に好ましくはpH8付近の環境である。また、上記温度変化としては、例えば、溶媒中に分散させた本発明の両親媒性ブロック共重合体を100℃以上に加熱すること、或いは、溶媒に分散させない状態では200℃程度に加熱することが挙げられる。
また、別の態様において、ラクトン重合体よりなるブロックAにおけるOH基末端に任意の保護基を導入することもできる。かかる保護基は、光の照射又は温度条件による外部刺激によって、ポリマー鎖から脱離し得る基であることができる。例えば、保護基として、ニトロ基を有するアリール基を導入することで、光誘起解重合を生じさせる構造を採用することもできる。この場合、DDS用途においては、光誘起により薬物放出を制御することが可能となる。
2.高分子微粒子
本発明の両親媒性ブロック共重合体を用いて、高分子微粒子を形成することができる。すなわち、本発明は、当該両親媒性ブロック共重合体を含む高分子微粒子にも関する。
より具体的には、本発明の両親媒性ブロック共重合体を水中に分散させることによって、ポリエチレングリコールよりなるブロックBよりなる親水性のブロックBが外側に配向し、ラクトン重合体よりなる疎水性のブロックAが内部に配向した構造を有するミセルを形成することができる。これにより、薬剤等の化合物を高分子微粒子に内包することができる。ミセルは球状のものであってもよいし、棒状ミセル、円板状ミセル、又は中空上のベシクルであってもよい。
かかるミセルを形成する方法は特に限定されないが、本発明の両親媒性ブロック共重合体を水性媒体中に溶解または分散後撹拌することによって調製することができる。その際、超音波、圧力、剪断力またはそれらを組合せた物理的エネルギーを与えてもよい。または、ブロック共重合体を揮発性の有機溶媒に溶解後、水性媒体に懸濁させ、さらに当該有機溶媒を揮発させることによっても調製することができる。さらには、ブロック共重合体を揮発性の有機溶媒に溶解後、当該溶媒を揮発させて乾固し、そこに水性媒体を加えて撹拌し、超音波、圧力、剪断力またはそれらを組合せた物理的エネルギーを与えることによっても調製することができる。ここで、水性媒体とは、水、生理食塩水、緩衝液等を挙げることができる。また、揮発性の有機溶媒とは、メタノール、エタノール、アセトン、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等を挙げることができる。
当該高分子微粒子の粒径は特に限定されないが、例えば、10~500nm、好ましくは20~300nmの直径を有することができる。当該粒径は、高分子微粒子の用途に応じて調節することが可能であり、例えばDDS用途の場合には、特定の薬物の投与の対象となる標的患部等に応じて、その粒子径を決定することができる。
高分子微粒子の粒径や形状は、例えば、ブロック共重合体におけるブロックAとブロックBの比率により制御することができる。本発明のブロック共重合体によりミセルを形成させる場合には、典型的には、ブロックAとブロックBの比率は、好ましくは、分子量比で1:2である。
ミセル等の高分子微粒子を形成した場合でも、本発明の両親媒性ブロック共重合体は上記で説明した解重合により分解することができる。すなわち、外部環境の変化等による解重合反応によって、高分子微粒子を迅速に崩壊させることができる。加えて、当該解重合による生成物は、水溶性分子からなるため、DDS用途等において薬剤の徐放後に高分子微粒子由来の成分を体外に好適に放出することができる。
本発明の高分子微粒子は、その内部に薬剤等の化合物を内包することができる。したがって、本発明は、活性化合物と、上記ブロック共重合体又は高分子微粒子とを含む、医薬組成物にも関する。
本発明の高分子微粒子に内包し得る活性化合物は、種々の薬物を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、抗癌薬、抗炎症性ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、抗微生物薬などを挙げることができる。
上記両親媒性ブロック共重合体に用いられるブロックA及びブロックBを構成するポリマー成分は、それぞれ単独で、既に医用材料として応用されているポリマーであるため、DDS等に用途において実現が容易であるという利点も有する。なお、本発明の両親媒性ブロック共重合体及び当該共重合体よりなる高分子微粒子は、上記医薬組成物に限らず、農薬や医薬部外品、化粧品、蛍光試薬、造影剤、食品、洗剤、化粧品、表面処理剤、工業材料等の用途に用いることもできる。
3.両親媒性ブロック共重合体の合成
本発明は、また上記両親媒性ブロック共重合体の製造方法にも関する。すなわち、本発明は、ラクトン重合体よりなるブロックAとポリエチレングリコールよりなるブロックBとを含む両親媒性ブロック共重合体の製造方法であって、ポリエチレングリコールを重合開始剤として用いて、ラクトンモノマーの開環重合を行うことにより前記ブロック共重合体を得る工程を含む、該製造方法
従来、ブロックAに相当するγ-ブチロラクトンの開環重合は困難であるとされており、特に、かかるラクトン重合体を含むブロック共重合体の化学的合成に関する具体的な例は報告されていなかった。これに対し、本発明では、ポリエチレングリコールを重合開始剤として用いることで、γ-ブチロラクトン等の開環重合が進行し、一段階でブロック共重合体を製造できることを見出したものである。
本発明の製造方法では、上記開環重合反応における触媒として、有機触媒を用いることができる。そのような有機触媒としては、例えば、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)などのグアニジン塩基類が好適である。また、有機触媒として、例えば、1-tert-ブチル-2,2,4,4,4,-ペンタキス(ジメチルアミノ)-2λ,4λ-カテナジ(ホスファゼン)、1-tert-オクチル-4,4,4-トリス(ジメチルアミノ)-2,2-ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]-2λ,4λ-カテナジ(ホスファゼン)などのホスファゼン塩基類も好適に用いることが出来る。
また、上記開環重合反応には、任意の非プロトン性有機溶媒を用いることができるが、は、具体的には、塩化メチレン、トルエン、ベンゼン、又はテトラヒドロフランを用いることができる。また、反応温度も重合させるモノマーの天井温度以下であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、-80~0℃、或いは、-40~-20℃の範囲を用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.両親媒性ブロック共重合体の合成
1-a 合成例1
Figure 0007017770000004
α-メトキシ-ω-ヒドロキシ-ポリエチレングリコール(200mg)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(140mg)、γ-ブチロラクトン(7.6mL)、及び塩化メチレン(1mL)を混合した。-40℃で21時間、開環重合を行ったのちに、反応混合物に酢酸(0.5mL)および塩化メチレン(1.0mL)を添加することで反応を停止した。反応混合物のジエチルエーテルへの再沈殿精製を経て白色粉末を640mg得た。
H NMRによる分析の結果、生成物はポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(γ-ブチロラクトン)であり、ポリ(エチレングリコール)ブロックの数平均分子量は2000、ポリ(γ-ブチロラクトン)ブロックの数平均分子量は10500であることを確認した。
1-b 合成例2
Figure 0007017770000005
α-メトキシ-ω-ヒドロキシ-ポリエチレングリコール(2.0g)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(139mg)、γ-ブチロラクトン(7.6mL)、及び塩化メチレン(1mL)を混合した。-20℃で約44時間、開環重合を行ったのちに、反応混合物に酢酸(0.3mL)および塩化メチレン(3.0mL)を添加することで反応を停止した。反応混合物のジエチルエーテルへの再沈殿精製を経て白色粉末を1.22g得た。
H NMRによる分析の結果、生成物はポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(γ-ブチロラクトン)であり、ポリ(エチレングリコール)ブロックの数平均分子量は2000、ポリ(γ-ブチロラクトン)ブロックの数平均分子量は500であることを確認した。
2.高分子ミセルの形成
上記合成例2で得たポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(γ-ブチロラクトン)を水に分散させた溶液(10 mg/mL)を調製し、シリコンウェハー表面に一滴のせ、30秒間静置したのちに空気を吹き付けて表面の分散液を除去した。十分乾燥させた後にシリコンウェハー表面を原子間力顕微鏡で観察したところ、直径20-50 nm程度の高分子ミセルが均一に存在することが分かった。原子間力顕微鏡イメージを図1に示す。
3.塩基条件下における解重合(加水分解)
上記合成例2で得たポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(γ-ブチロラクトン)の水分散液(10 mg/mL)に水酸化ナトリウム水溶液を加え、分散液のpHが12、11、10、および8となるようにそれぞれ調整した。ポリ(γ-ブチロラクトン)の解重合挙動をH NMRを利用した分析によって評価したところ、pHを12および11に調整した分散液中のポリ(γ-ブチロラクトン)は5分以内に速やかに分解することが分かった。また、pHを10に調整した分散液中のポリ(γ-ブチロラクトン)は30分以内に分解し、中性に近い弱塩基性となるよう調整されたpHが8の分散液中のポリ(γ-ブチロラクトン)も30分程度で一部が分解した。

Claims (9)

  1. 両親媒性ブロック共重合体であって、
    解重合性を有するラクトン重合体よりなるブロックAとポリエチレングリコールよりなるブロックBとを含み、
    前記ラクトン重合体が五員環ラクトン化合物の開環重合体であり、
    前記ラクトン重合体よりなるブロックAの末端と前記ポリエチレングリコールよりなるブロックBの末端がエステル結合により連結した構造を有し、
    前記ラクトン重合体よりなるブロックAの末端にOH基を有し、
    外部環境の変化によって前記ラクトン重合体よりなるブロックAの解重合反応が生じ、前記解重合反応の分解生成物が水溶性分子のみからなる、
    該ブロック共重合体。
  2. 前記解重合反応が塩基性条件下で生じる、請求項1に記載のブロック共重合体。
  3. 前記ラクトン重合体がポリ(γ-ブチロラクトン)である、請求項1又は2に記載のブロック共重合体。
  4. 以下の構造を有する、請求項1に記載のブロック共重合体:
    Figure 0007017770000006

    (式中、各Rは、同一であっても異なってもよく、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいエーテル結合を含む基、置換されていてもよいアミンを含む基、置換されていてもよいスルフィドを含む基、置換されていてもよいリン原子を含む基、又は置換されていてもよいケイ素原子を含む基を表し;mは、5~250000の整数であり;及びnは、1~10000の整数である)。
  5. 前記ラクトン重合体よりなるブロックAにおけるOH基末端に保護基を導入した構造を有する、請求項1~のいずれか1に記載のブロック共重合体。
  6. 前記保護基が、光の照射、pHの変化、酸化還元、又は温度条件による外部刺激によって、ポリマー鎖から脱離し得る基である、請求項5に記載のブロック共重合体。
  7. 請求項1~のいずれか1に記載のブロック共重合体を含む高分子微粒子。
  8. ミセルを形成している、請求項7に記載の高分子微粒子。
  9. 活性化合物と、請求項1~のいずれか1に記載のブロック共重合体又は請求項7若しくはに記載の高分子微粒子を含む、医薬組成物。
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