JP5131652B2 - ポリグリセロールデンドリマーの3次元架橋物及び3次元架橋方法、並びにこれを用いたヒドロゲル、薬物送達システム - Google Patents

ポリグリセロールデンドリマーの3次元架橋物及び3次元架橋方法、並びにこれを用いたヒドロゲル、薬物送達システム Download PDF

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本発明は、ポリグリセロールデンドリマー(以下、PGDと称する。)を化学架橋した3次元架橋方法及び3次元架橋に関するものである。さらに、本発明は、PGDの3次元架橋物を用いたヒドロゲル及び薬物送達システムに関する。
デンドリマーとは、ギリシャ語の“dendra”(樹木)を語源とするもので、規則正しく分岐した構造を有する高分子である。前記デンドリマーは、そのユニークな構造から、近年、分子エレクトロニクス、薬物キャリア等、多くの分野において研究が進められている。例えば、アミドアミン(以下、PAMAMと称する。)のデンドリマーが1985年にTomaliaらによって報告され(例えば非特許文献1を参照)、その後、市販されるに至り、非常に多くの研究例が報告されるようになってきている。
近年では、バイオマテリアルとして生体との相互作用や体内動態が検討されるようになってきており、例えば細胞毒性に関する報告がなされている(例えば非特許文献2を参照)。さらには、PAMAMデンドリマー表面を生体適合性の高いポリエチレングリコール(以下、PEGと称する。)で化学修飾すること(例えば非特許文献3を参照)や、生体適合性を考慮したポリエーテル−エステルデンドリマー(例えば非特許文献4等を参照)が提案されている。
また、デンドリマーではないが、ハイパーブランチ型ポリグリセロール(以下、HyPGと称する。)も注目を集めており、その製品化にまで至っている(例えば非特許文献5を参照)。最近ではHyPGにメタクリル基などの二重結合を導入し、ラジカル重合の原理に基づく3次元架橋する方法が提案され(例えば非特許文献6を参照)、その基礎的物性について検討がなされている。ただし、HyPGはその構造が均一ではなく、分子量分布も比較的広いため、医薬品としての応用に鑑みた場合には実用化の点で懸念が残る。
一方、難水溶性薬物の溶解性を改善する技術としては、薬物の結晶微粒子を分散させ、水溶性高分子を噴霧・コーティングする方法(例えば特許文献1を参照)、薬物と流動化剤を混合して水溶性高分子含有水溶液を用いて造粒する方法(例えば特許文献2を参照)、親水性セグメントと疎水性セグメントからなるブロック共重合体を難水溶性薬物とともに有機溶媒中へ溶解し、水中油エマルジョンから有機溶媒を除去したポリマーミセルを形成する方法(例えば特許文献3を参照)、2−メタクリエオイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)とメタクリル酸n-ブチル(BMA)との共重合体水溶液に可溶化させる方法(例えば特許文献4を参照)等が知られている。
しかしながら、前述の特許文献1〜4に記載される発明では、その大部分が溶液状に難水溶性薬物を可溶化するに留まっており、生体適合性に優れたヒドロゲルを代表とする3次元架橋体のデバイス化によって可溶化からその後の放出制御に至る一連の機能を網羅できる薬物送達システムを実現することは難しいものと考えられる。とりわけ、抗ガン剤の経口投与の実現には、可溶化した抗ガン剤を小腸から効率よく吸収されるために、約2時間程度で放出する制御が必要とされているが、このような制御を特許文献1〜4に記載される発明で実現することは難しい。
このような状況の中、前述のデンドリマーの1種であるPGDの薬物送達システムへの応用についての研究も進められている。PGDは、Haggらによって初めて合成されたデンドリマーであり、分子量分布が極めて小さく、均一な構造を有するという特徴を有している。既に、世代数3〜5のPGDの合成法が確立され(例えば非特許文献7を参照)、そのナノサイズPG構造によって難水溶性薬物であるパクリタキセル(商品名タキソール)を溶解することが知られている。例えば、PGDの場合、パクリタキセルの溶解性が、製薬業界にて使用されているポリエチレングリコール400(PEG400)と比較して著しく向上することが明らかとなっている(例えば非特許文献7、8を参照)。
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前述のように、PGDは難水溶性薬物の溶解性向上に寄与しているが、その水溶液を希釈すると同時にパクリタキセルが析出し、沈殿を生ずるという現象が発生する。この現象は、パクリタキセルを利用した癌治療への応用に鑑みた場合には好ましいものではなく、希釈条件においてもPGDが局所的に集合し、パクリタキセルが溶解した状態で徐放される製剤が望まれる。
本発明は、前述のような実情に鑑みて提案されたものであり、難水溶性薬物を溶解することが可能で、希釈によって難水溶性薬物が析出、沈殿することがなく、しかも例えば経口投与に適した放出制御が可能な新規な3次元架橋物及び3次元架橋方法、さらにはヒドロゲルを提供することを目的とする。また、本発明は、難水溶性薬物を数時間程度で薬物放出することが可能な新規な薬物送達システムを提供することを目的とする。
本発明者は、前述の目的を達成するために、長期に亘り種々の研究を重ねてきた。その結果、ポリグリセロールデンドリマーを3次元架橋した3次元架橋物のヒドロゲルにおいて、そのナノ構造が例えば難水溶性薬物の溶解に最適であり、さらに難水溶性薬物の放出についても、例えば経口投与において要求される放出時間に制御可能であることを見出すに至った。
本発明は、このような知見に基づいて案出されたものである。すなわち、本発明の3次元架橋物は、本発明のポリグリセロールデンドリマーの3次元架橋方法3次元架橋方法によって製造されたものであり、ポリグリセロールデンドリマーがエチレングリコールジグリシジルエーテルまたはポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテルによって架橋されている
本発明のポリグリセロールデンドリマーの3次元架橋方法は、ポリグリセロールデンドリマーと、架橋剤であるポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテルとを、ジメチルスルホキシド中で3次元架橋反応させることを特徴とする。本発明は、前記3次元架橋反応をジメチルスルホキシド中で行う際に、ジメチルアミノピリジンを触媒として使用することを特徴とする。
本発明のヒドロゲルは、前記3次元架橋方法によって製造されたポリグリセロールデンドリマーの3次元架橋物が、水またはエタノールのいずれかないしは両方を分散媒として膨潤していることを特徴とする。また、本発明のヒドロゲルは、前記3次元架橋方法によって製造されたポリグリセロールデンドリマーの3次元架橋物が、水及びエタノールを分散媒として膨潤しており、かつ、パクリタキセルが溶解され分散されていることを特徴とする。本発明の薬物送達システムは、前記ヒドロゲルを経口投与し、前記パクリタキセルを生体内で放出させることを特徴とする。
本発明の3次元架橋物は、ポリグリセロールのナノサイズのデンドリマーを3次元架橋したものであり、水やエタノール等の分散媒によって膨潤し、ヒドロゲルを構成する。このヒドロゲルのゲルマトリックス中には、PGDとの相互作用によって難水溶性薬物が界面活性剤等を用いることなく取り込まれ、溶解・分散される。この時、例えば難水溶性薬物を溶解したヒドロゲルを水等によって希釈しても、難水溶性薬物が析出したり沈殿したりすることがない。また、難水溶性薬物を取り込んだヒドロゲルにおいては、数時間内での薬物放出が可能である。
本発明の3次元架橋物を用いたヒドロゲルにおいては、難水溶性薬物を溶解することが可能である。この難水溶性薬物を溶解したヒドロゲルにおいては、希釈によって難水溶性薬物が析出、沈殿することがなく、しかも例えば経口投与に適した数時間程度での放出制御が可能である。したがって、本発明の3次元架橋物及びヒドロゲルを薬物送達システムに応用することで、経口投与時等に要求される数時間内での管腔内薬物放出が可能な新たな薬物送達システムを構築することが可能である。
以下、本発明を適用したポリグリセロールデンドリマーの3次元架橋物、3次元架橋方法、ヒドロゲル、薬物送達システムについて説明する。
本発明の3次元架橋物は、ポリグリセロールデンドリマーを架橋剤を用いて3次元架橋したものである。ポリグリセロールデンドリマーは、中心分子とデンドロンと称される側鎖部分とから構成されるもので、前記中心分子及び側鎖部分のいずれもがポリグリセロールにより構成される。
また、デンドリマーは、デンドロン部分(側鎖部分)の分岐回数が世代と言い表され、様々な世代の高分子が知られているが、本発明の3次元架橋物においては、ポリグリセロールデンドリマーとしていずれの世代のデンドリマーも使用することが可能である。具体的に例示するならば、化1に示す第3世代(デンドロン部分の分岐数3)のポリグリセロールデンドリマー(PGD−G3と称する。)、化2に示す第4世代(デンドロン部分の分岐数4)のポリグリセロールデンドリマー(PGD−G4と称する。)、化3に示す第5世代(デンドロン部分の分岐数5)のポリグリセロールデンドリマー(PGD−G5と称する。)等を挙げることができる。これらの中では、PGD−G3及びPGD−G4が好適である。
Figure 0005131652
Figure 0005131652
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架橋剤については、グリシジル基を有する化合物を用いる。具体的には、化4に示すエチレングリコールジグリシジルエーテルや、化5に示すポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル等を用いることができる。
Figure 0005131652
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前記ポリグリセロールデンドリマーと架橋剤を反応させることで3次元架橋が行われるが、前記3次元架橋反応は、水酸化ナトリウム水溶液中、あるいはジメチルスルホキシド(DMSO)中で行う。なお、ジメチルスルホキシド中で3次元架橋反応を行う場合には、触媒を併用することが好ましい。使用する触媒としては、ジメチルアミノピリジン(DMAP)等を挙げることができる。
以上により合成される3次元架橋物は、水やエタノールによって膨潤され、ヒドロゲルを構成する。このヒドロゲルにおいては、使用する3次元架橋物を合成する際の条件(例えば、ポリグリセロールデンドリマーと架橋剤の比率等)によって膨潤比率を調整することが可能である。
前記ヒドロゲルにおいては、難水溶性薬物を界面活性剤等を用いることなく溶解・分散することが可能である。前記ヒドロゲル中において、PGDと難水溶性薬物分子が相互作用し、溶解した状態を保持するためと考えられる。
前記ヒドロゲルに溶解・分散可能な難水溶性薬物としては、例えばパクリタキセル(商品名タキソール)等を挙げることができる。パクリタキセルは、イチイ科の植物の針葉または小葉からの抽出物を原料として合成される抗腫瘍剤であり、癌細胞分裂を阻害して抗腫瘍活性を発揮する。
本発明のヒドロゲルにおいては、前記パクリタキセル等の難水溶性薬物をナノ構造を有するヒドロゲルマトリックス中に速やかに取り込むことができ、例えばこれを水等で希釈しても難水溶性薬物が析出したり沈殿したりすることがない。また、ヒドロゲルに取り込まれる難水溶性薬物の量は、例えば前記膨潤比率により調整することが可能である。ヒドロゲルの膨潤比率にほぼ比例した量の難水溶性薬物が取り込まれる。
前記ヒドロゲルに取り込まれた難水溶性薬物は、ヒドロゲルから除放させることが可能である。この場合、例えばヒドロゲルに用いる3次元架橋物におけるPGDの世代、使用する架橋剤、3次元架橋条件等を調整することにより、難水溶性薬物の放出時間を調整することが可能であり、例えば経口投与時等に要求される数時間での管腔内薬物放出を実現することが可能である。
したがって、前述の難水溶性薬物を溶解・分散したヒドロゲルを用いることで、経口投与に適した薬物送達システムを構築することが可能である。すなわち、前述の3次元架橋物が水またはエタノールを分散媒として膨潤され、且つ難水溶性薬物が溶解・分散されたヒドロゲルを投与し、前記難水溶性薬物を生体内で放出させることで、経口投与に適した薬物送達システムが実現される。
以下、本発明を適用した実施例について、具体的な実験結果を基に説明する。
エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)により架橋されたPGD−G33次元架橋物のヒドロゲル(G3−EG)の調製
以下の2方法により、架橋剤としてEGDGEを使用してPGD−G3の3次元架橋物を合成し、ヒドロゲル(G3−EG)を調製した。
(A)NaOH水溶液中での調製
PGD−G3とEGDGEとを、サンプルボトル内(モールドサイズ:14mm×3.5mm)に入れ、1M NaOH水溶液中、60℃、一昼夜反応させ、3次元架橋して3次元架橋物(G3−EG)を合成した。反応式を化6に示す。これを水またはエタノールで膨潤してヒドロゲル(G3−EG)を作製した。作製したヒドロゲル(G3−EG)の合成条件及び膨潤特性を表1に示す。なお、表1には、合成時の溶媒の種類、EGDGE濃度、PGD−G3濃度、PDG−G3の1分子中の水酸基の数とEGDGEの比率(EGDGE/OH基)、水による膨潤比率、エタノールによる膨潤比率を示した。膨潤比率は、下記の数式に基づいて算出した。
膨潤比率(q)=Ws/Wd
Ws:膨潤したヒドロゲルの重量
Wd:乾燥したヒドロゲルの重量
Figure 0005131652
(B)DMSO中での調製
PGD−G3とEGDGEとを、サンプルボトル内(モールドサイズ:14mm×3.5mm)に入れ、触媒としてジメチルアミノピリジン(DMAP)を含むジメチルスルホキシド(DMSO)中、60℃、一昼夜反応させ、3次元架橋した。反応式を化7に示す。これを水またはエタノールで膨潤してヒドロゲル(G3−EG)を作製した。作製したヒドロゲル(G3−EG)の合成条件及び膨潤特性を表1に示す。
Figure 0005131652
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例えば水溶性多糖類のヒドロキシル基は、NaOH水溶液中、あるいはDMAPのような触媒剤の存在下、DMSO中で、グリシジルエーテルによって修飾されることが知られている。PGDは、ヒドロキシル基を多く含んでいるので、前述の各方法は、PGDの3次元架橋、さらにはこれを膨潤してヒドロゲル(G3−EG)とするのに適した方法と言える。
ここで、表1に示すように、PDGG3とEGDGEの濃度を変更して合成を行った。この際、1M NaOH水溶液におけるEGDGEの溶解度には限度があるので、EGDGEとPGD−G3のヒドロキシル基の比率が増加した時に、反応混合物に1M NaOHを加えた。これにより、PGD−G3の濃度が減少する。水中での膨潤比率は、EGDGEの濃度が上がり、PGD−G3の濃度が下がれば上昇する。DMSO/DMAP条件をゲルの調製に用いれば、EGDGEとPGD−G3の両方の濃度が上がる。表1に示すように、EGDGEの濃度が高いので、ヒドロゲル4の膨潤比率が最も小さい値となった。また、ヒドロゲル4を除き、全てのヒドロゲルは円板状の形態を維持し得る硬度を有していた。これらのヒドロゲルはエタノールで膨潤することから、パクリタキセルを溶解・分散可能であると考えられる。
ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル(PEGDGE)により架橋されたPGD−G33次元架橋物のヒドロゲル(G3−PEG)の調製
PGD−G3とPEGDGE(Mn=526)とを、サンプルボトル内(モールドサイズ:14mm×3.5mm)に入れ、触媒としてジメチルアミノピリジン(DMAP)を含むジメチルスルホキシド(DMSO)中、60℃、一昼夜反応させ、3次元架橋した。反応式を化8に示す。これを水またはエタノールで膨潤してヒドロゲル(G3−PEG)を作製した。作製したヒドロゲル(G3−EG)の合成条件及び膨潤特性を表2に示す。なお、G3−EGの場合と同様、NaOH水溶液中での反応も試みたが、ヒドロゲルを得ることはできなかった。
Figure 0005131652
Figure 0005131652
ヒドロゲル(G3−EG)及びヒドロゲル(G3−PEG)へのパクリタキセルの導入
ゲルの初期重量を把握するため、乾燥したヒドロゲルを秤取した。パクリタキセルをエタノール(1mg/ml)中に溶解し、このパクリタキセルエタノール溶液中にヒドロゲルを加えた。その後、2日間放置し、ゲルの膨潤が平衡に達するようにした。
2日後にヒドロゲルをパクリタキセル溶液から回収し、乾燥するまで温度37℃に保たれたオーブン中で放置した。ヒドロゲルが乾燥した後、アセトニトリルを加え、ゲル内に取り込まれたパクリタキセルを再度抽出した。抽出後、パクリタキセルの濃度をHPLCで測定し、ヒドロゲル内のパクリタキセル濃度を算出した。各ヒドロゲル内のパクリタキセル(PTX)量を表3に示す。
Figure 0005131652
パクリタキセル量は、概ねヒドロゲルのエタノールによる膨潤比率に比例している。パクリタキセルの溶解性を確認するために、パクリタキセルを導入したヒドロゲルを水中に入れ、1日放置した。ヒドロゲルは透明状態を維持していたので、パクリタキセルは水中で結晶化せずにヒドロゲル内に溶解・分散状態が維持されたものと考えられる。
エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)により架橋されたPGD−G43次元架橋物のヒドロゲル(G4−EG)の調製
PGD−G4とEGDGEとを、サンプルボトル内(モールドサイズ:14mm×3.5mm)に入れ、1M NaOH水溶液中、60℃、一昼夜反応させ、3次元架橋して3次元架橋物(G4−EG)を合成した。反応式を化6に示す。これを水またはエタノールで膨潤してヒドロゲル(G4−EG)を作製した。作製したヒドロゲル(G4−EG)の合成条件及び膨潤特性を表4に示す。
なお、PGD−G4を用いた場合には、EGDGE及びPGDの濃度が同じであるにもかかわらず、各ヒドロゲルの膨潤比率は、ヒドロゲル(G3−EG)の膨潤比率よりも若干小さかった。これは、ヒドロキシル基の密度が高いため、ナノレベルの超分岐構造がより多く形成されたことによるものと推測される。
Figure 0005131652
ヒドロゲル(G4−EG)へのパクリタキセルの導入
パクリタキセルのヒドロゲルへの導入や抽出は、ヒドロゲル(G3−EG)やヒドロゲル(G3−PEG)の場合と同様にして行った。各ヒドロゲル内に溶解・分散されたパクリタキセル(PTX)量を表5に示す。
Figure 0005131652
パクリタキセル量は、概ねヒドロゲル(G4−EG)のエタノールによる膨潤比率に比例している。パクリタキセルの溶解性を確認するために、パクリタキセルを導入したヒドロゲルを水中に入れ、1日放置した。ヒドロゲルは透明状態を維持していたので、パクリタキセルは水中で結晶化せずにヒドロゲル内に溶解・分散状態が維持されたものと考えられる。
赤外顕微鏡イメージングからパクリタキセルのゲル中での分布
図1はPDG3次元架橋物のヒドロゲルマトリックスの赤外顕微鏡写真であり、図2はパクリタキセル(PTX)の当該ヒドロゲル中における分散状態を示す赤外顕微鏡写真である。これらの写真から、ゲルマトリックス中にパクリタキセルが分散して存在していたことがわかり、ヒドロゲル中においてPGDとパクリタキセル分子が相互作用し、溶解した状態を保持しているものと推測された。
ヒドロゲル(G4−EG)からの放出挙動
パクリタキセル含有ヒドロゲル(ヒドロゲルNo.12)をシンク状態を満たす水溶液に浸し、37℃にて撹拌しながら経時的に放出されたパクリタキセル量をHPLCにより定量したところ、図3に示すように、90分間で約60%のパクリタキセルが放出された。通常、ポリエチレングリコールーポリ乳酸(PEG−PLA)ブロック共重合体等のミセルの疎水場に分配・保持されたパクリタキセルの場合、放出に1日〜2日を要するので、前記ヒドロゲルを用いることで、経口投与時等に要求される数時間内での管腔内薬物放出が可能であることがわかった。
PDG3次元架橋物のヒドロゲルマトリックスの赤外顕微鏡写真である。 パクリタキセル(PTX)のヒドロゲル中における分散状態を示す赤外顕微鏡写真である。 ヒドロゲル(G4−EG)におけるパクリタキセル放出量の経時変化を示す特性図である。

Claims (6)

  1. ポリグリセロールデンドリマーと、架橋剤であるポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテルとを、ジメチルスルホキシド中で3次元架橋反応させることを特徴とするポリグリセロールデンドリマーの3次元架橋方法。
  2. 前記3次元架橋反応をジメチルスルホキシド中で行う際に、ジメチルアミノピリジンを触媒として使用することを特徴とする請求項1記載のポリグリセロールデンドリマーの3次元架橋方法。
  3. 請求項1または2記載の3次元架橋方法によって製造されたポリグリセロールデンドリマーの3次元架橋物。
  4. 請求項1または2記載の3次元架橋方法によって製造されたポリグリセロールデンドリマーの3次元架橋物が、水またはエタノールのいずれかないしは両方を分散媒として膨潤していることを特徴とするヒドロゲル。
  5. 請求項1または2記載の3次元架橋方法によって製造されたポリグリセロールデンドリマーの3次元架橋物が、水及びエタノールを分散媒として膨潤しており、かつ、パクリタキセルが溶解され分散されていることを特徴とするヒドロゲル。
  6. 請求項5記載のヒドロゲルを経口投与し、前記パクリタキセルを生体内で放出させることを特徴とする薬物送達システム。
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