JP7016992B1 - 塩素化塩化ビニル系樹脂 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、後塩素化ポリ塩化ビニルと特定の安定剤とを併用した組成物が開示されており、このような樹脂は、加工中の熱応力および機械応力に耐え得ることが開示されている。
また、得られた成形体は、パイプで使用する場合はスパイダー部での再融着強度が低く、継手で使用する場合はウェルド部での再融着強度が低いため、継手等に使用する場合に割れが生じるという問題がある。
以下に本発明を詳述する。
上記緩和時間TBと、200℃で5分間加熱した後におけるB30成分の緩和時間T5Bとの比[T5B/TB]を76%以上、96%未満とすることで、高圧が負荷される形態で使用する場合でも高い接着強度を維持し、強度不足に起因する割れ等の不具合が生じにくい成形体を製造することが可能となる。上記T5B/TBは、78%以上、95%以下であることが好ましい。80%以上、94%以下であることがより好ましく、81%以上、92%以下であることが更に好ましい。
なお、B30成分の緩和時間TBと、200℃で5分間加熱した後におけるB30成分の緩和時間T5Bとの比は、T5B/TBを百分率で表したものである。
上記パルスNMRでは、A30成分、B30成分の2成分が得られるが、上記A30成分は、パルスNMR測定における緩和時間の短い成分であり、分子運動性が低く、硬い成分を意味する。一方、B30成分は、パルスNMRにおける緩和時間の長い成分であり、分子運動性が高く、柔らかい成分を意味する。
上記緩和時間TBのより好ましい下限は0.150ms、より好ましい上限は0.170msである。
なお、上記緩和時間TBは、塩素化塩化ビニル系樹脂に対して、加熱を行わずに測定した場合における緩和時間を意味する。
上記緩和時間T5Bのより好ましい下限は0.115ms、より好ましい上限は0.145msである。
なお、上記緩和時間T5Bは、塩素化塩化ビニル系樹脂に対して、200℃で5分間加熱した後における緩和時間を意味する。
なお、上記緩和時間T20Bは、塩素化塩化ビニル系樹脂に対して、200℃で20分間加熱した後における緩和時間を意味する。
なお、上記緩和時間TA、塩素化塩化ビニル系樹脂に対して、加熱を行わずに測定した場合における緩和時間を意味する。
本発明の一実施態様である塩素化塩化ビニル系樹脂は、上記B30成分の成分比[B30成分/(A30成分+B30成分)]が1%以上であることが好ましく、10%以下であることが好ましい。
また、上記構成単位(a)、(b)及び(c)の合計モル数に対して、構成単位(b)の割合は5.0モル%以上であることが好ましく、15.0モル%以上であることがより好ましく、30.0モル%以下がより好ましく、25.0モル%以下であることが更に好ましい。
更に、上記構成単位(a)、(b)及び(c)の合計モル数に対して、構成単位(c)の割合は5.0モル%以上であることが好ましく、25.0モル%以上であることがより好ましく、55.0モル%以下であることがより好ましく、40.0モル%以下であることが更に好ましい。
上記他の構成単位の含有量は、塩素化塩化ビニル系樹脂中、0質量%以上であることが好ましく、10質量%未満であることが好ましい。
上記硫黄を含有する置換基としては、硫黄化合物に由来する置換基等が挙げられる。
上記塩素化塩化ビニル系樹脂において、下記に示す塩素化塩化ビニル系樹脂中の硫黄含有量が0質量ppm以上を超える場合は、樹脂中に硫黄が存在し、上記硫黄が樹脂と結合しているといえるため、上記塩素化塩化ビニル系樹脂は、硫黄を含有する置換基を有する構成単位を含むことが分かる。
上記硫黄を含有する置換基としては、硫黄化合物に由来する置換基等が挙げられる。上記硫黄化合物としては、後述する化合物が挙げられる。なかでも、チオグリコール酸及びチオグリコール酸のエステルからなる群から選択される少なくとも1種のチオグリコール酸系化合物が好ましい。
上記硫黄を含有する置換基を有する構成単位としては、例えば、下記式(d)に示す構成単位(d)等が挙げられる。上記構成単位(d)中のRとしては、アルキレン基、エステル基、アルキル基及びチオール基からなる群より選択される少なくとも1種が結合した基が好ましく、アルキレン基、エステル基及びアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種が結合した基であることがより好ましい。
上記塩素化塩化ビニル系樹脂中の硫黄含有量は、IC(イオンクロマトグラフィー)を用いた定量分析によって検出できる。具体的には、塩素化塩化ビニル系樹脂をTHFに溶解し、遠心分離機にて不溶部を分離・濾過後、過剰量のメタノールを加えて再沈殿させて吸引濾過により分離、真空乾燥機にて80℃で乾燥させることで得られる試料をセラミックボートに入れて秤量後、自動資料燃焼装置を用いて燃焼させ、発生したガスを吸収液10mLに捕集する。この吸収液を超純水で15mLに調整した液についてICによる定量分析を行う。例えば、自動燃焼装置(三菱ケミカルアナリテック社製、AQF-2100H)、IC(Thermo Fisher Scientific社製、ICS-5000)を用いて測定することで、塩素化塩化ビニル系樹脂中の硫黄含有量(質量ppm)を定量することが出来る。
上記付加塩素化量を1.0質量%以上とすることで、成形品としての耐熱性が充分なものとなり、16.0質量%以下とすることで、成形性が向上する。
上記付加塩素化量は、3.2質量%以上であることがより好ましく、6.2質量%以上であることが更に好ましく、15.2質量%以下であることがより好ましく、12.2質量%以下であることが更に好ましい。
なお、塩化ビニル系樹脂の塩素含有量は通常56.8質量%であるが、上記付加塩素化量は、塩化ビニル系樹脂に対する塩素の導入割合を意味するものであり、JIS K 7229に記載の方法により測定することができる。
上記重合度を上述の範囲内とすることで、成形時の流動性と成型品の強度を両立することができる。
特に、上記B30成分の緩和時間TBと、200℃で5分間加熱した後におけるB30成分の緩和時間T5Bとの比[T5B/TB]が所定の範囲内である塩素化塩化ビニル系樹脂は、上記塩素化工程において、使用する塩化ビニル樹脂の平均重合度及び添加濃度、平均塩素消費速度、反応方法(光塩素化、熱塩素化)、反応温度、反応圧力を調整すること、上記塩素化工程を行った後に、硫黄化合物を添加すること、上記硫黄化合物の添加量を調整することで製造することができる。
上記塩素化工程における塩化ビニル系樹脂の水性媒体懸濁液中の濃度(添加濃度)は、20~40質量%が好ましい。
上記塩素化工程における反応温度は30~130℃であることが好ましい。特に、光塩素化の場合の塩素化工程における反応温度は、30~90℃であることが好ましく、40~80℃がより好ましい。また、光塩素化の場合の光エネルギーの照射強度(W)と原料PVC及び水の合計量(kg)との比は、0.001~6(W/kg)とすることが好ましく、照射する光の波長は280~420nmであることが好ましい。
上記過酸化水素を添加する場合、塩素化速度が向上するため、加熱温度を比較的低くすることができる。例えば、65~110℃の範囲であってよい。
上記方法で塩素化を行うことにより、塩素化状態の不均一性が少なく、熱安定性の優れたCPVCを得ることができる。
上記塩素化工程を行った後、一般的には、中和工程、洗浄工程、脱水工程及び乾燥工程が順に行われる。上記硫黄化合物を添加する工程は、脱水工程中、又は、脱水工程の後に行うことが好ましい。なお、上記硫黄化合物は、1回で全量を添加してもよく、複数回に分けて添加してもよい。また、そのまま添加してもよく、水等の溶媒に希釈して添加してもよい。
上記硫黄化合物を添加した場合、後の乾燥工程にて塩素化塩化ビニル系樹脂の主鎖から脱離した塩素の代わりに硫黄化合物が付加されることから、成形時の脱塩酸量が低減し、熱安定性が向上する。
なかでも、チオグリコール酸及びチオグリコール酸のエステルからなる群から選択される少なくとも1種のチオグリコール酸系化合物がより好ましい。
上記チオグリコール酸塩としては、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸メチルアミン、チオグリコール酸エチルアミン、チオグリコール酸モノエタノールアミン、チオグリコール酸ジエタノールアミン、チオグリコール酸トリエタノールアミン等が挙げられる。
上記アルカンジオールジチオグリコレートとしては、エチレングリコールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ネオペンチルグリコールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート等が挙げられる。
上記アルカンポリオールポリチオグリコレートとしては、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールトリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサチオグリコレート等が挙げられる。
上記ポリアルキレングリコールジチオグリコレートとしては、ジエチレングリコールジチオグリコレート等が挙げられる。
また、上記チオグリコール酸系化合物は、HSCH2COOR(RはH又はアルキル基を示す)で表される化合物であることが好ましい。更に、上記アルキル基の炭素数は1~8であることが好ましい。
なお、上記硫黄化合物の添加方法は特に限定されないが、添加速度20~500g/minで添加することが好ましい。
また、上記硫黄化合物の添加後の乾燥温度は、60~120℃であることが好ましい。
更に、乾燥時間は6~48時間が好ましい。乾燥温度、時間が上記範囲内であることで、上記硫黄化合物の付加反応が促進される。上記乾燥方法としては、例えば、静置乾燥、熱風乾燥、送風乾燥、遠赤外線加熱乾燥、真空減圧乾燥等が挙げられる。
上記塩素化塩化ビニル系樹脂を含有する成形用樹脂組成物もまた本発明の1つである。
上記有機錫系安定剤としては、例えば、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。
上記鉛系安定剤としては、ステアリン酸鉛、二塩基性亜りん酸鉛、三塩基性硫酸鉛等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、例えばα-メチルスチレン系、N-フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。
上記範囲とすることで、得られる成形体に強度を充分に高めることができる。
上記光安定剤としては特に限定されず、例えば、ヒンダードアミン系等の光安定剤等が挙げられる。
上記充填剤としては特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
上記強化材としては特に限定されず、繊維系強化材および非繊維系強化材が挙げられる。繊維系強化材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、セルロースナノファイバー(CNF)、ケナフ等が挙げられる。非繊維系強化材としては、黒鉛、グラフェン等が挙げられる。
なお、成形体の場合、成形体中の塩素化塩化ビニル系樹脂を有機溶剤等で抽出することで、塩素化塩化ビニル系樹脂のB30成分の緩和時間TBと、200℃で5分間加熱した後におけるB30成分の緩和時間T5Bとの比[T5B/TB]を測定することができる。
上記成形体は、ガラス繊維、炭素繊維等の強化材を含んでいてもよい。
また、電池パックカバーの材料については、軽量化の要求に対応して、従来の鉄からアルミや樹脂への変更が提案されているが、アルミ製や樹脂製のカバーでは電池装置の電池セルが発火した際に火炎や発煙を防ぐことができず、これらへの対策も必要になっている。
更に、強度を向上させるため、電池パック下面には金属が使われるが、金属を用いた場合、輸送機の路面側からの接炎により電池パック内の温度が上昇し、セルが熱暴走して発火するおそれがあり、電池パック内への火炎の侵入阻止及び電池パック内温度の上昇を防ぐ必要がある。また、燃料電池車には爆発の危険性がある水素タンクが搭載されており、外部火炎に対する対策が必要である。一方、車室内の空間拡大やレイアウトの自由設計のため、水素タンクの小型化や軽量化が進み、水素タンクの配置箇所が増えると、接炎の可能性がある部位が特定できなくなるおそれがある。そこで、電池パックや水素タンク全体を覆うカバーについても、加熱、発火への対策が必要となっている。
また、上記輸送機用の部材としては、機構部材、内装部材、外装部材、ガラス、ライトカバー等が挙げられる。
上記機構部材としては、冷却パイプ、エアバッグカバー、エアーダクト、ヒーターユニット等が挙げられる。
上記内装部材としては、天井、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、アームレスト、シートベルトバックル、スイッチ類、ドアトリム等が挙げられる。
上記外装部材としては、エンブレム、ナンバープレートハウジング、バンパー芯材、アンダーカバー等が挙げられる。
電池装置用部材としては、バッテリーケース、バッテリー冷却用ウォータージャケット、水素タンクカバー、コネクタ、絶縁用シート等が挙げられる。
内容積300Lのグラスライニング製反応容器に、イオン交換水130kgと平均重合度1000の塩化ビニル樹脂50kgを投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を70℃に昇温した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、攪拌しながら塩素分圧が0.04MPaになるように塩素(酸素含有量50ppm)を導入して、高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射強度160Wで照射し塩素化反応を開始した。
その後、塩素化温度を70℃、塩素分圧を0.04MPaに保ち、平均塩素消費速度が0.02kg/PVC-kg・5minになるように調整し、付加塩素化量が9.5質量%に到達した時点で、高圧水銀灯での紫外線の照射と塩素ガスの供給を停止し、塩素化を終了した。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素を除去し、得られた塩素化塩化ビニル系樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、遠心分離機(株式会社田辺鐵工所製、O-15型)に投入し、3分間脱水をした。
脱水を行った後、塩素化塩化ビニル系樹脂100質量部(50kg)に対して0.1質量部(0.05kg)のチオグリコール酸2-エチルヘキシル(富士フイルム和光純薬社製)を200g/minで添加した。その後90℃で静置乾燥をして、光塩素化された粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂(付加塩素化量が9.5質量%)を得た。
内容積300Lのグラスライニング製反応容器に、イオン交換水130kgと平均重合度1000の塩化ビニル樹脂50kgを投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を140℃に昇温した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、攪拌しながら塩素分圧が0.04MPaになるように塩素(酸素含有量50ppm)を導入して熱塩素化を開始した。
その後、塩素化温度を140℃、塩素分圧を0.4MPaに保ち、付加塩素化量が4.4質量%に到達した後、200ppmの過酸化水素水を、塩化ビニル樹脂に対して過酸化水素として15ppm/Hrとなるように添加開始し、平均塩素消費速度が0.05kg/PVC-kg・5minになるように調整した。その後、付加塩素化量が9.5質量%に達した時点で、過酸化水素水と塩素ガスの供給を停止し、塩素化を終了した。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素を除去し、得られた塩素化塩化ビニル樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、遠心分離機(株式会社田辺鐵工所製、O-15型)に投入し、3分間脱水した。その後、90℃静置乾燥して、熱塩素化された粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂(付加塩素化量が9.5質量%)を得た。
表1に示すように、塩化ビニル樹脂の平均重合度及び投入量、硫黄化合物の添加量、反応温度、平均塩素消費速度、乾燥温度、乾燥時間を変更した以外は実施例1と同様にして、粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂を得た。
実施例、比較例で得られた塩素化塩化ビニル系樹脂について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
得られた粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂を、パルスNMR装置の測定範囲内に入るように直径10mmのガラス製のサンプル管(BRUKER社製、品番1824511、10mm径、長さ180mm、フラットボトム)に導入した。サンプル管をパルスNMR装置(BRUKER社製「the minispec mq20」)に設置し、30℃において、以下の条件でSolid Echo法での測定を行い、1Hのスピン-スピン緩和の自由誘導減衰曲線を得た。
<Solid Echo法>
Scans:128times
Recycle Delay:1sec
Acquisition scale:0.5ms
なお、BRUKER社製の解析ソフトウェア「TD-NMRA(Version4.3 Rev0.8)」を用い製品マニュアルに従って、A30成分及びB30成分はガウシアン型でフィッティングを行った。
A30成分、B30成分は、パルスNMR測定における緩和時間の短い順に定義された成分である。
得られた粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂を、アルミ製のバットに300g投入し均等に平たくした後、オーブン(東洋精機製作所社製、CO-O2)にて200℃で5分間加熱した。その後、上記と同様の方法で、A30成分、B30成分の2成分の比率、及び、A30成分の緩和時間T5A、B30成分の緩和時間T5Bを求めた。
得られた粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂を、アルミ製のバットに300g投入し均等に平たくした後、オーブン(東洋精機製作所社製、CO-O2)にて、200℃で20分間加熱した。その後、上記と同様の方法で、A30成分、B30成分の2成分の比率、及び、A30成分の緩和時間T20A、B30成分の緩和時間T20Bを求めた。
また、得られた TB、T5B及びT20Bから、T5B/TB及びT5B/T20Bを算出した。
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂について、JIS K 7229に準拠して付加塩素化量を測定した。
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂について、R.A.Komoroski,R.G.Parker,J.P.Shocker,Macromolecules,1985,18,1257-1265に記載のNMR測定方法に準拠して分子構造解析を行い、構成単位(a)、(b)及び(c)の合計モル数に対する構成単位(a)、(b)の含有量を測定した。
NMR測定条件は以下の通りである。
装置:FT-NMRJEOLJNM-AL-300
測定核:13C(プロトン完全デカップリング)
パルス幅:90°
PD:2.4sec
溶媒:o-ジクロロベンゼン:重水素化ベンゼン(C5D5)=3:1
試料濃度:約20%
温度:110℃
基準物質:ベンゼンの中央のシグナルを128ppmとした
積算回数:20000回
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂10質量部に対してTHF300質量部を添加し、24時間攪拌して溶解させ、さらに遠心分離機(コクサン社製、H-200NR)で14000rpm、1時間攪拌させることで不溶部を析出させた。これを濾過して、濾液にメタノール1000質量部を添加し、再度樹脂を析出させた。メタノールで樹脂を洗浄しながらアスピレーター(アズワン社製、GAS-1N)により吸引濾過を行い、樹脂を濾液から分離した。これにより、硫黄が結合した樹脂を得られることが出来るため、これを真空乾燥機(東京理化器械社製、VOS-451SD)に入れ80℃で24時間乾燥し、燃焼ICの測定により、CS結合の検出を行った。試料をセラミックボートに入れて秤量後、自動試料燃焼装置を用いて燃焼させ、発生したガスを吸収液10mLに捕集した。この吸収液を超純水で15mLに調整した液についてICによる定量分析を行った。SO4 2-アニオンの検量線を標準物質の測定により直線近似した後、サンプルを測定することで、塩素化塩化ビニル系樹脂中の硫黄含有量(質量ppm)を定量した。
自動燃焼装置の測定条件は以下の通りである。
装置:三菱ケミカルアナリテック社製、AQF-2100H
Inlet温度:1000℃
Outlet温度:1100℃
ガス流量O2:400mL/min
ガス流量Ar:200mL/min
Ar送水ユニット:100mL/min
また、ICの測定条件は以下の通りである。装置:Thermo Fisher Scientific社製、ICS-5000
分離カラム:Dionex IonPac AS18-4μm(2mm×150mm)
ガードカラム:Dionex IonPac AG18-4μm(2mm×30mm)
除外システム:Dionex AERS-500(エクスターナルモード)
検出器:電気伝導度検出器
溶離液:KOH水溶液(溶離液ジェネレーターEGC500)
溶離液流量:0.25mL/min
試料注入量:100μL
(パイプの作製)
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、耐衝撃改質剤4.0質量部を添加した。更に、熱安定剤0.5質量部を添加して混合した。なお、耐衝撃改質剤としては、カネエースB-564(カネカ社製、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体)を用いた。また、熱安定剤としては、TVS#1380(日東化成社製、有機錫系安定性)を用いた。
更に、ポリエチレン系滑剤(三井化学社製、Hiwax220MP)1.5質量部、脂肪酸エステル系滑剤(エメリーオレオケミカルズジャパン社製、LOXIOL G-32)0.2質量部を添加した。その後、スーパーミキサーで均一に混合して、塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を、直径50mmの2軸異方向コニカル押出機(長田製作所社製、SLM-50)に供給し樹脂温度200℃にて外径26.7mm、肉厚2.4mmのパイプを作製した。
塩素化塩化ビニル系樹脂(積水化学工業社製、HA-24KL)100質量部に対して、耐衝撃改質剤5.0質量部を添加した。更に、熱安定剤3.0質量部を添加して混合した。なお、耐衝撃改質剤としては、カネエースM-511(カネカ社製、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体)を用いた。また、熱安定剤としては、TVS#1380(日東化成社製、有機錫系安定性)を用いた。
更に、ポリエチレン系滑剤(三井化学社製、Hiwax220MP)2.0質量部、脂肪酸エステル系滑剤(エメリーオレオケミカルズジャパン社製、LOXIOL G-32)0.3質量部を添加した。その後、スーパーミキサーで均一に混合して、塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を、直径30mmの2軸異方向コニカル押出機(長田製作所、OSC-30)に供給し、樹脂温度190℃でペレットを作製した。得られたペレットを射出成型機(JSW社製、J350ADS)に供給し、外径34.7mm、内径26.9mmのソケットを作製した。
得られたパイプ2本を長さ20cmにカットし、得られた継手の両側に接着剤(IPS社製、WELD―ON724)を使用し接着した。その後、23℃で14日間養生し、82℃のオーブン(東洋精機製作所製、CO-O2)にて2日間養生することでアッセンブルサンプルを得た。
得られたアッセンブルサンプルの内部に水を満たし、オーブンで65℃の雰囲気とした状態で耐静水圧試験機(IPT社製、1662-0021)を用いて、パイプにフープ応力15.93MPaになるように加圧して試験を開始し、接着剤を塗布したパイプ-継手間に抜けが発生するまでの時間を測定した。
なお、試験開始後1000時間後に抜けが無い場合を〇、1000時間までに抜けが発生した場合を×として判定した。
「(5)接着性評価」と同様に(パイプの作製)(継手の作製)を行った後に、下記の方法で(アッセンブルサンプルの作製)(短期接合性評価)を行った。
得られたパイプ2本を長さ20cmにカットし、得られた継手の両側に接着剤(IPS社製、WELD―ON724)を使用し接着した。その後、23℃で24時間養生し、82℃のオーブン(東洋精機製作所製、CO-O2)にて2日間養生することでアッセンブルサンプルを得た。
得られたアッセンブルサンプルの内部に水を満たし、オーブンで82℃の雰囲気とした状態で熱間内圧クリープ試験機(米倉製作所社製)を用いて、パイプに実圧で3.6MPaになるように加圧して試験を開始し、接着剤を塗布したパイプ-継手間に抜けが発生するまでの時間を測定し、以下の基準で評価した。
〇:試験開始後6分後に抜け無し
×:試験開始後6分までに抜け発生
「(5)接着性評価」を行った後に、パイプ、継手に割れや亀裂が無いか確認し、以下の基準で評価した。
〇:1000時間後に割れや亀裂無し
×:1000時間までに割れや亀裂有り
Claims (4)
- パルスNMRを用いて30℃でSolid Echo法で測定し、1Hのスピン-スピン緩和の自由誘導減衰曲線を、最小二乗法により緩和時間が短い順にA30成分、B30成分の2成分に由来する2つの曲線に波形分離して得た、B30成分の緩和時間TBと、200℃で5分間加熱した後におけるB30成分の緩和時間T5Bとの比[T5B/TB]が76%以上、96%未満であり、硫黄を含有する、塩素化塩化ビニル系樹脂。
- 200℃で5分間加熱した後におけるB30成分の緩和時間T5Bと、200℃で20分間加熱した後におけるB30成分の緩和時間T20Bとの比[T5B/T20B]が76%以上、96%未満である、請求項1記載の塩素化塩化ビニル系樹脂。
- 請求項1又は2に記載の塩素化塩化ビニル系樹脂を含有する、成形用樹脂組成物。
- 請求項3に記載の成形用樹脂組成物から成形された、成形体。
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