JP7014679B2 - 石英ガラスルツボ - Google Patents

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Description

本発明は石英ガラスルツボに関し、特に、シリコン単結晶の製造において用いられる石英ガラスルツボに関する。
シリコン単結晶の製造においては、チョクラルスキー法が広く用いられている。この方法は、石英ガラスルツボ内に収容された原料シリコン融液の表面に種結晶を接触させ、石英ガラスルツボを回転させるとともに、種結晶を反対方向に回転させながら上方へ引上げることにより、種結晶の下端に単結晶インゴットを育成していくものである。
この方法に用いられる石英ガラスルツボとしては、熱性に優れた天然シリカガラスにより形成された外側層と、高純度の合成シリカガラスにより形成された内側層とを有する2層構造の石英ガラスルツボが用いられるのが一般的である。
このような2層構造の石英ガラスルツボの製造方法の例として、回転モールド法が知られている。この回転モールド法では、回転するモールドの側壁及び底面に、合成シリカガラスおよび天然シリカガラスの原料粉末の夫々を遠心力で積層形成し、これをアークで加熱溶融してガラス化する。
回転モールド法で成形される石英ガラスルツボの形状は、一般に高さ方向の寸法が要求寸法より高くなるように成形されており、高さが要求寸法になるように開口部の側壁を切断して要求寸法の石英ガラスルツボを製造する。
ところで、近年、シリコン単結晶製造の効率化のため、引上げるシリコン単結晶の大口径化が進み、これに伴い、シリコン単結晶の製造に要する時間も長くなり、石英ガラスルツボの使用時間、即ち、加熱時間も長くなり、石英ガラスルツボは長時間にわたって高温下に曝されるようになっている。
このため、石英ガラスルツボを構成する石英ガラスの粘度が低下し、石英ガラスルツボに変形が生じやすく、長時間その形状を維持できない虞がある。
また、シリコン単結晶の大口径化に伴い、使用される原料シリコン融液も増量し、石英ガラスルツボ自体のサイズも大きくなるため、石英ガラスルツボに対する重量負荷が大きくなり、しかも、原料シリコン融液の湯面振動も大きくなる虞がある。
このように、従来の石英ガラスルツボにあっては、高温域での粘性値が低く、高温環境下では長時間その形状を維持することが困難であり、その結果、石英ガラスルツボが変形し、溶融シリコンの湯面の変動や石英ガラスルツボの破損など、シリコン単結晶引上げ工程上で問題を生じていた。
かかる問題を解決するため、特許文献1では、高粘性化により耐久性のある石英ガラスルツボとなすために、ルツボの外側層がAl添加石英層、中間層が天然石英層または高純度合成石英層、内層が透明高純度合成石英層からなる3層構造である石英ガラスルツボが提案されている。
また、特許文献2では、この高温下での石英ガラスルツボの変形抑制するために、石英原料粉にアルミニウム(Al)やリチウム(Li)などを添加することにより、石英ガラスルツボの強度を調整する方法が提案されている。
更に、特許文献3では、ノンドープの内面層の外側に鉱化元素が島状に偏在した鉱化元素偏在領域が分散している鉱化元素偏在層を備えたシリカガラスルツボが提案されている。
前記鉱化元素は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、
バリウム、アルミニウムまたは、鉄から選択される元素であり、この鉱化元素偏在層を設けることにより、ルツボ外側層を結晶化して、ルツボの強度向上を図っている。
また、特許文献4では、機械的強度を高め、シリカ坩堝の寿命を延ばすために、シリカ坩堝の外周面に、外部コーティング層を形成したシリカ坩堝が開示されている。この外部コーティング層の前駆物質としては、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、ラジウム、クロム、セレン、バリウム、イットリウム、セリウム、ハフニウム、タンタル、スズ、およびシリコンからなる群より選択された1つまたは複数の金属を含むことが開示されている。
特開2000-247778号公報 特開2014-005154号公報 特許第5500689号公報 特表2013-544745号公報
ところで、特許文献1に示すルツボにあっては、石英ガラス中のAl含有濃度が高い場合、ルツボ使用時の高温下において、ルツボの結晶化が急速に進行し、厚い結晶層が形成され、特に、底部の湾曲部において、冷却時にルツボにクラックが生じ、湯漏れを招くおそれがある。
また、特許文献2に示すルツボにあっては、アルミニウム(Al)、リチウム(Li)が添加されるため、Al含有濃度のほか、Li濃度についても管理する必要がある。
即ち、Li濃度が高い場合、結晶構造において、シリコン(Si)の位置に同型置換しAlが電荷拘束される割合が低下し、この部分が結晶化の起点となりやすいため、過剰な結晶化が誘発され、この場合も、ルツボが脆くなり、クラックの発生や湯漏れを招くおそれがある。
したがって、アルミニウムとリチウムの濃度を管理する必要があり、濃度の管理が煩雑なだけでなく、製造誤差を招来させる原因にもなる。
更に、特許文献3に示すルツボにあっては、ナトリウム、カリウムのアルカリ元素が拡散し、粘性が下がる虞がある。
また、特許文献4に示すシリカ坩堝にあっては、シリカガラスの結晶化を促進するイットリウムなどが外表面に存在するため、外表面から結晶化が進行することになる。そのため、外側層全体が結晶化するまでに断面方向で時間差が生じ、石英ガラスルツボが変形する虞がある。また、外部コーティング層の密着性を向上させても剥離の虞があり、外部コーティング層が剥離すると結晶化にムラが生じる虞がある。
本発明者らは、添加物質の含有濃度の管理を容易にするため、複数の添加物質を含有させることなくまた石英ガラスの結晶化を過度に促進することなく、石英ガラスの粘度を高めるため、Al以外の単独の添加物質を含有させることを前提に、石英ガラスルツボの強度の向上を図る研究を鋭意行い、本発明を完成するに至った。
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、イットリウムを添加させることにより、高温環境下において、石英ガラスの適度に、より均一な結晶化をなし得、また石英ガラスの高い粘性を有する石英ガラスルツボを提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明に係る石英ガラスルツボは、上端が開口を形成する直胴部と前記直胴部の下端を閉塞する底部とを有する石英ガラスルツボであって、
合成または天然シリカガラスにより形成された内側層と、天然シリカガラスにより前記内側層の外側に形成された中間層と、前記中間層の外側に形成されたイットリウムを含有する天然シリカガラスにより形成された外側層と、を含み、前記外側層は、前記直胴部のみに形成されていることを特徴としている。
このように本発明に係る石英ガラスルツボは、合成シリカガラスまたは天然シリカガラスにより形成された内側層と、天然シリカガラスにより前記内側層の外側に形成された中間層と、前記中間層の外側に形成されたイットリウムを含む天然シリカガラスにより形成された外側層と、を備えているため、高温環境下において、外側層の適度な結晶化をなすことができ、また高い粘性を得ることができる。
その結果、ルツボに生じるクラックを抑制でき、湯漏れを防止することができる。また、外側層の添加物質はイットリウムのみであるため、従来のように複数の元素を含有させる場合と比べて、管理が容易であり、製造誤差を抑制することができる。更に、外側層にイットリウムが添加されるため、外側層の外周面にコーティング層を設けた場合に比べて剥離の虞がないため、結晶化のムラを抑制でき、より均一な結晶化をなすことができる。
前記外側層は、前記直胴部にのみ形成されている。
前記外側層が前記直胴部にのみ形成されているため、直胴部に変形、特にルツボ開口の変形を抑制できる。一方、底部の結晶化が抑制されるため、石英ガラスルツボを保持する保持部材の凹部底面の形状に、石英ガラスルツボの底面を前記形状に倣わせることができ、石英ガラスルツボを安定的に保持することができる。
また、前記外側層におけるイットリウムの濃度は30wtppm以上100wtppm以下であることが望ましい。
このように、外側層におけるイットリウムの濃度が30wtppm未満の場合には、石英ガラスの粘性が低いため、好ましくは30wtppm以上である。
一方、イットリウムの濃度が100wtppmを超える場合には、失透し易く、石英ガラスの結晶化が急速に進むため、イットリウムの濃度は100wtppm以下が好ましい。
よって、前記外側層の結晶化、粘性を考慮した場合、イットリウムの濃度は30wtppm以上100wtppm以下であることが望ましい。
本発明によれば、イットリウムを添加させることにより、高温環境下において、石英ガラスの適度に、より均一な結晶化をなし得、また石英ガラスの高い粘性を有する石英ガラスルツボを得ることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る石英ガラスルツボの層構造を示す断面図である。 図2は、本発明の他の実施形態に係る石英ガラスルツボの層構造を示す断面図である。 図3は、本発明の実施形態に係る石英ガラスルツボの回転モールド法における成形方法を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る石英ガラスルツボにつき、図面に基づいて説明する。
本発明にかかる石英ガラスルツボ1は、図1に示すように、上端6が開口を形成する直胴部7と、直胴部7の下端を閉塞する底部9とを有する、有底円筒状の形状を有している。
また、図1に示すように、本発明の実施形態に係る石英ガラスルツボ1は、外側層2と中間層3と内側層4とからなる3層構造を有している。内側層4は、合成シリカガラスまたは天然シリカガラスにより形成され、内側層4の外側に形成された中間層3は、天然シリカガラスにより形成され、中間層4の外側に形成された外側層2は、イットリウムを含む天然シリカガラスにより形成されている。
ここで、天然シリカガラスとは、水晶等の天然質原料を溶融して製造されるシリカガラスを意味し、合成シリカガラスとは、例えばシリコンアルコキシドの加水分解により合成された合成原料を溶融して製造されるシリカガラスを意味する。
そしてイットリウムを含む天然シリカガラスとは、水晶等の天然質原料を溶融して製造されるシリカガラスの原料粉末に、例えばリン酸イットリウムを添加して製造した天然シリカガラスであり、外側層2におけるイットリウムの重量濃度は、後に詳述する実験によれば、30wtppm以上であることが好ましく、100wtppm以下であることが好ましい。
尚、添加物質としては、リン酸イットリウム以外にも硝酸イットリウムを用いることができる。
また、外側層2の厚さは0.5mm以上3mm以下であることが好ましい。
外側層2の厚さが0.5mm未満の場合は、石英ガラスの粘性が高くなり難い。一方、外側層2の厚さが3mmを超える場合、結晶化層(失透化層)が厚くなりすぎ、クラックが発生しやすい。
また、図1にあっては、外側層2が、直胴部7及び底部9に形成された場合、即ち中間層4の外側全体を覆うように形成された場合を示したが、例えば、図2に示すように、外側層2が直胴部7のみに形成されていても良い。
前記直胴部7と前記底部9の間の湾曲部8に、熱膨張の差に起因する応力が集中する。そのため、湾曲部8にイットリウムを含む外側層を形成すると、イットリウムの結晶化を促進作用により、前記応力に起因するクラックが発生する虞がある。
また、前記石英ガラスルツボ1は、石英ガラスルツボ保持部材の凹部内に収容して用いられる。
そのため、前記底部9にイットリウムを含む外側層を形成すると、イットリウムの結晶化を促進作用により、石英ガラスルツボ保持部材(図示せず)の凹部の底面と、石英ガラスルツボ1の底部がなじまない虞がある。
言い換えれば、石英ガラスルツボ1の底部の結晶化を抑制して、底部を変形させ、前記保持部材の凹部の底面の形状に倣わせるのが、石英ガラスルツボ1を安定的に保持する上で、好ましい。
尚、外側層2の層厚を調整することによって、湾曲部8や底部9にも外側層2を形成しても良く、本発明は湾曲部8や底部9にも外側層2を形成した石英ガラスルツボを排除するものではない。
図3は、本発明の実施形態に係る石英ガラスルツボの回転モールド法を用いた製造方法であり、本発明の実施形態に係る石英ガラスルツボの製造方法の一例である。
回転モールド法における石英ガラスルツボの成形方法では、図3に示すようなルツボ製造装置10が用いられる。
このルツボ製造装置10は、ルツボ成形用モールド11を備えており、ルツボ成形用モールド11は、原料粉末層が形成される内側部材12と、内側部材12を保持する保持体14とを備えている。また、ルツボ成形用モールド11は、回転軸15を矢印方向に回転可能に構成されている。
さらに、ルツボ成形用モールド11の内側部材12には貫通穴12aが形成され、内側部材12と保持体14との間には、貫通穴12aが連通する通気路13が形成されている。通気路13は吸引部16および排気路17を介して、ポンプ等の減圧機構18に接続されている。
内側部材12に対向する上部にはアーク放電用のアーク電極19と、第1原料供給ノズル20と、第2原料供給ノズル21と、第3原料供給ノズル22とが設けられている。
第1原料供給ノズル20は、外側層2を形成するための原料、すなわちイットリウムが添加された天然シリカ紛を供給するためのノズルである。
また、第2原料供給ノズル21は、中間層3を形成するための原料、すなわち(イットリウムを含まない)天然シリカ紛を供給するためのノズルである。
更に、第3原料供給ノズル22は、内側層4を形成するための原料、すなわち合成シリカ紛または天然シリカ粉を供給するためのノズルである。
回転モールド法による石英ガラスルツボの製造方法では、ルツボ成形用モールド11を高速で回転させつつ、減圧機構18の作動により、内側部材12の貫通穴12aおよび通気路13を介して吸引しながら、ルツボ成形用モールド11の内部に、イットリウムが添加された天然シリカ紛を第1原料供給ノズル20から供給する。
その後、同様にして、天然シリカ紛を第2原料供給ノズル21から供給し、更に合成シリカ紛または天然シリカ粉を第3原料供給ノズル22から供給する。
すると、初めに供給されたイットリウムが添加された天然シリカ粉は、前記吸引及び遠心力によって、ルツボ成形用モールド11の内側部材12に押圧され、外側層2が形成される。
このとき、外側層2が直胴部7のみに形成されるように(図2参照)、イットリウムが添加された天然シリカ粉の供給を調節することが好ましい。
その後、イットリウムが添加された天然シリカ粉に続いて供給された天然シリカ粉は、前記吸引及び遠心力によって外側層2に押圧され、中間層3が形成される。
更に、天然シリカ粉に続いて供給された合成シリカ粉または天然シリカ粉は、前記吸引及び遠心力によって外側層2に押圧され、内側層4が形成される。
このように、ルツボ成形用モールド11の形状に型取られたシリカ粉成形体が形成される。
その後、内側部材12の貫通穴12aおよび通気路13を介して、シリカ粉成形体を外側方向に吸引する状態を維持しながら、アーク電極19に通電してアーク放電させて、シリカ粉成形体の内側から加熱溶融し、ガラス化する。
そして、これを冷却した後、上端部の切断等の形状加工を施すことにより、図1または図2に示した石英ガラスルツボ1が得られる。
(実験1)
この実験1では、石英ガラスルツボの外側層の原料として用いられる天然シリカ粉を用いた。まず、リン酸イットリウムを添加しない、イットリウムの濃度が0wtppm(比較例1)の前記天然シリカ粉をもちいて、上記した回転モールド法による石英ガラスルツボの製造方法によって、内側層2mm、中間層14mm、外側層2mmの外径18インチのルツボ形状サンプルを製作した。前記サンプルの直動部から110×50×6mmの評価片を切り出して評価を行った。
次に、前記天然シリカ粉にリン酸イットリウムを添加し、イットリウムの濃度が0.2wtppm(実施例1)のサンプルと、イットリウムの濃度が1wtppm(実施例2)のサンプルと、イットリウムの濃度が10wtppm(実施例3)のサンプルと、イットリウムの濃度が30wtppm(実施例4)のサンプル、イットリウムの濃度が60wtppm(実施例5)のサンプルと、イットリウムの濃度が100wtppm(実施例6)のサンプルと、イットリウムの濃度が120wtppm(実施例7)のサンプルを作製した。
更に、比較例1と同様に、前記サンプルの直動部から110×50×6mmの評価片を切り出して評価を行った。
まず、評価片内表面に室温のフッ化水素酸を滴下し、数分間放置して目的の深さまで溶解後、フッ化水素酸溶液を回収し、回収したフッ化水素酸溶液を加熱・濃縮した後、定容して測定溶液を調製した。この測定溶液を用い、分析目的の不純物元素に応じて原子吸光分光光度計、誘導結合プラズマ質量分析装置などを用いて、不純物の濃度を測定した。
Figure 0007014679000001
そして、これらサンプルを、1500℃の温度で100時間保持する熱処理を行い、熱処理後の点失透の密度(単位立方cm当たりの個数)を調べた。測定は、外表面層を除去した後、肉中に存在する点失透の個数を目視で確認して行った。
その結果を表2に示す。尚、点失透は、結晶化の起点となる核であるため、点失透の密度が高いことは、結晶化が促進されていることを示している。
Figure 0007014679000002
上記実験から解るように、イットリウムの濃度(Y濃度)が高いほど、点失透密度が高い。即ち、イットリウムの濃度(Y濃度)が高いほど、結晶化が促進されることが認められた。尚、イットリウムの濃度が100wtppmを超える場合には、失透し易く、石英ガラスの結晶化が急速に進むため、イットリウムの濃度は100wtppm以下が好ましいことが認められた。
(実験2)
次に、イットリウムの濃度と粘性の関係を検証する実験を行った。
この実験2においても、実験1と同様に、原料として、天然シリカ粉を用いた。そして、前記天然シリカ粉にリン酸イットリウムを添加し、イットリウムの濃度が0wtppm(添加しない:比較例1)と、10wtppm(実施例3)と、30wtppm(実施例4)と、100wtppm(実施例6)と、120wtppm(実施例5)の実験1で作成したルツボ形状サンプルの直動部から110×50×6mmの評価片を切り出した。
その後、1500℃における粘性を調べた。この測定はビームベンディング法を用いて行った。その結果を表3に示す。
Figure 0007014679000003
この実験2から解るように、イットリウムの濃度(Y濃度)が高いほど、粘性が高い。つまり、イットリウムの濃度(Y濃度)が高いほど、高温環境化において変形しにくいことが認められた。尚、イットリウムの濃度が30wtppm未満の場合には、石英ガラスの粘性が低いため、好ましくは30wtppm以上である。
上記実験1,2からすると、イットリウムの濃度は30wtppm以上100wtppm以下であることが望ましい。
(実験3)
次に、図1の外側層におけるイットリウムの濃度が0wtppm(添加しない)の石英ガラスルツボ(比較例1)と、外側層におけるイットリウムの濃度が30wtppmの石英ガラスルツボ(実施例4)と、外側層におけるイットリウムの濃度が100wtppmの石英ガラスルツボ(実施例6)と、外側層におけるイットリウムの濃度が120wtppmの石英ガラスルツボ(実施例7)をを用いてチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の引き上げを行った。
シリコン単結晶の引上げ前後において、イットリウムを添加しない石英ガラスルツボでは、直胴部の上端に0.42mmの沈み込みが観測されたのに対し、イットリウムの濃度が30wtppmの石英ガラスルツボでは、直胴部の上端の沈み込みが0.25mmに減少し、湯漏れも発生しなかった。
また、イットリウムの濃度が100wtppmの石英ガラスルツボ(実施例6)では、
0.22mmであり、外側層2におけるイットリウムの濃度が120wtppmの石英ガラスルツボ(実施例7)では、0.23mmであった。
よって、外側層におけるイットリウムの濃度は、30wtppm以上の石英ガラスルツボであることが、より好ましいことが判明した。
以上のように本発明の実施形態に係る石英ガラスルツボによれば、イットリウムの濃度のみで結晶化をコントロールすることができるため、製造誤差を発生させる要因が少なく、精度の高い石英ガラスの製造を行うことができる。
また、本発明の実施形態に係る石英ガラスルツボは、石英ガラスの適度な結晶化をなし得、また石英ガラスの高い粘性を有する石英ガラスルツボを得ることができ、使用に耐えうる強度を有し、かつ、高温化における変形も十分に抑制されている。
尚、上記実施形態では、合成シリカガラスにより形成された内側層と、天然シリカガラスにより前記内側層の外側に形成された中間層と、前記中間層の外側に形成されたイットリウムを含有する外側層とを備える3層構造の石英ガラスルツボについて説明した。
しかしながら、例えば、合成シリカガラスにより形成された内側層を天然シリカガラスにより形成した石英ガラスルツボとしても良い。
また、合成シリカガラスにより形成された内側層を2層に分け、あるいはまた天然シリカガラスにより前記内側層の外側に形成された中間層を2層に分ける等して、3層以上を備える石英ガラスルツボとしても良い。
1 石英ガラスルツボ
2 外側層
3 中間層
4 内側層
6 上端
7 直胴部
8 湾曲部
9 底部
10 ルツボ製造装置
11 ルツボ成形用モールド
12 内側部材
12a 貫通穴
13 通気路
14 保持体
15 回転軸
16 吸引部
17 排気路
18 減圧機構
19 アーク電極
20 第1原料供給ノズル
21 第2原料供給ノズル
22 第3原料供給ノズル

Claims (2)

  1. 上端が開口を形成する直胴部と前記直胴部の下端を閉塞する底部とを有する石英ガラスルツボであって、
    合成または天然シリカガラスにより形成された内側層と、
    天然シリカガラスにより前記内側層の外側に形成された中間層と、
    前記中間層の外側に形成されたイットリウムを含有する天然シリカガラスにより形成された外側層と、
    を含み、
    前記外側層は、前記直胴部のみに形成されていることを特徴とする石英ガラスルツボ。
  2. 前記外側層におけるイットリウムの濃度は、30wtppm以上100wtppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の石英ガラスルツボ。
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