JP7014031B2 - 車両用ドアハンドル装置 - Google Patents
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Description
本発明は、車両用ドアハンドル装置に関する。
車両用ドアハンドル装置の構成を開示した先行文献として、特開2016-188515号公報(特許文献1)および特開2015-4227号公報(特許文献2)がある。特許文献1および2の各々に記載された車両用ドアハンドル装置は、連係機構およびドア開放防止機構を備えている。
連係機構は、アウトサイドハンドルがドア閉位置からドア開位置に向けて回動するドア開動作を、車体に対して車両ドアを閉状態で保持可能に構成されたラッチ機構のアンラッチ動作に変換するように作動する。
ドア開放防止機構は、慣性力を受けて回動するレバーを含む。レバーは、車両衝突時の慣性力を受けた際に回動し、連係機構の動きを規制する。これにより、ラッチ機構のアンラッチ動作を阻止し、車両ドアが車両衝突時に開放することを防止する。
車両衝突時には、衝突形態に応じて、車両外方への慣性力が発生する時と、車両内方への慣性力が発生する時とがある。車両外方への慣性力および車両内方への慣性力の各々は、アウトサイドハンドルに対してドア閉位置からドア開位置に向けて回動するように作用し得る。
特許文献1に記載された車両用ドアハンドル装置のドア開放防止機構は、車両外方への慣性力を受けた際には、レバーが回動して連係機構の動きを規制することができるが、車両内方への慣性力を受けた際には、レバーによって連係機構の動きを規制できない場合が生じうる。
特許文献2に記載された車両用ドアハンドル装置のドア開放防止機構は、車両外方への慣性力および車両内方への慣性力が連続して交互に発生した場合に、レバーの回動が慣性力の変動に追従できず、レバーによって連係機構の動きを規制できない場合が生じうる。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、車両外方への慣性力および車両内方への慣性力のいずれに対しても慣性力の変動に対するドア開放防止機構の応答性を向上することにより、連係機構の動きをより確実に規制して車両ドアが車両衝突時に開放することを防止できる、車両用ドアハンドル装置を提供することを目的とする。
本発明に基づく車両用ドアハンドル装置は、ベースフレームと、アウトサイドハンドルと、連係機構と、ドア開放防止機構とを備える。ベースフレームは、車両ドアのドアアウタパネルに固定される。アウトサイドハンドルは、ドア閉位置とドア閉位置より車両外方のドア開位置との間で揺動可能にベースフレームに組付けられている。連係機構は、アウトサイドハンドルのドア開動作をドアラッチ機構のアンラッチ動作として伝達可能である。ドア開放防止機構は、車両の衝突時に車両ドアに作用する慣性力による連係機構のドア開方向作動を規制する。ドア開放防止機構は、第1係止部と、第2係止部と、第1付勢部材と、第2付勢部材とを含む。第1係止部は、車両衝突時の車両外方への慣性力を受けた際に第1回動方向に回動して連係機構を係止可能である。第2係止部は、車両衝突時の車両内方への慣性力を受けた際に第2回動方向に回動して連係機構を係止可能である。第1付勢部材は、第1係止部を第1回動方向とは反対方向に付勢する。第2付勢部材は、第2係止部を第2回動方向とは反対方向に付勢する。
本発明の一形態においては、ドア開放防止機構は、レバーと錘部とをさらに含む。レバーは、回動軸を有し、回動軸を中心に回動可能にベースフレームに支持されている。錘部は、レバーの一端に設けられている。第1係止部は、回動軸に関してレバーの上記一端とは反対側のレバーの他端に設けられている。第2係止部は、レバーの上記他端に設けられている。第2係止部は、車両衝突時の車両内方への慣性力を受けていないときには、第2付勢部材の付勢力によって第1係止部に当接している。
本発明の一形態においては、ドア開放防止機構は、壁部をさらに含む。壁部は、レバーの上記他端に設けられている。壁部は、第2係止部と間隔をあけて対向する。第2係止部は、車両衝突時の車両内方への慣性力を受けた際に第2回動方向に回動して壁部と接触した状態で連係機構を係止する。
本発明によれば、車両外方への慣性力および車両内方への慣性力のいずれに対しても慣性力の変動に対するドア開放防止機構の応答性を向上することにより、連係機構の動きをより確実に規制して車両ドアが車両衝突時に開放することを防止する。
以下、本発明の各実施形態に係る車両用ドアハンドル装置について図を参照して説明する。以下の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
なお、図面においては、車両前方および車両後方をそれぞれ矢印X1および矢印X2で示し、車両上方および車両下方をそれぞれ矢印Y1および矢印Y2で示し、車両内方および車両外方をそれぞれ矢印Z1および矢印Z2で示している。車両ドアに取付けられる前の状態の車両用ドアハンドル装置に対して、また車両ドアに取付けられた後の状態の車両用ドアハンドル装置に対して、これらの方向を適用することができる。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置を車外側から見て示す図である。図2は、本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置を車内側から見て示す図である。
図1は、本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置を車外側から見て示す図である。図2は、本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置を車内側から見て示す図である。
図1および図2に示すように、本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置100は、車両ドア10に組み付けられるものである。車両用ドアハンドル装置100は、ベースフレーム110と、アウトサイドハンドル120と、連係機構130と、ドア開放防止機構140とを備える。
ベースフレーム110は、車体の外表面に沿って車両前後方向に延在している。ベースフレーム110は、車両ドア10の外表面を構成する金属製のドアアウタパネル11の車内側に固定される。ベースフレーム110は、アウトサイドハンドル120と係合して、アウトサイドハンドル120を支持している。
ベースフレーム110に、連係機構130、ドア開放防止機構140およびキャップ150などが組み付けられている。キャップ150は、ベースフレーム110に対するアウトサイドハンドル120の抜け止めのために、ベースフレーム110の車両後方側の端部111に組み付けられている。ベースフレーム110は、樹脂材料で構成されている。
アウトサイドハンドル120は、車両ドアの車外側に配置され、車体の外表面に沿って車両前後方向に延在している。アウトサイドハンドル120は、グリップ型の操作ハンドルであり、車両前後方向の一端および他端を有する。アウトサイドハンドル120は、樹脂材料で構成されている。
アウトサイドハンドル120は、車両前方側の端部121に設けられたハンドル軸部121aを中心に、図1に示す状態のドア閉位置と、ドア閉位置より車両外方のドア開位置との間で、揺動可能となるようにベースフレーム110に組付けられている。
これにより、アウトサイドハンドル120をドア閉位置からドア開位置へと回動させるドア開動作と、アウトサイドハンドル120をドア開位置からドア閉位置へと回動させるドア閉動作とが可能にされている。
アウトサイドハンドル120は、車両後方側の端部122に設けられた係合部122aにおいて、連係機構130に含まれるベルクランク131と係合している。
連係機構130は、アウトサイドハンドル120がドア閉位置からドア開位置に向けて回動するドア開動作を、車体に対して車両ドア10を閉状態で保持可能に構成された図示しないドアラッチ機構のアンラッチ動作として伝達可能である。ドアラッチ機構のアンラッチ動作とは、ドアラッチ機構がラッチ状態からアンラッチ状態に移行する動作である。
ドアラッチ機構は、周知の構造を有し、車体側に固定されたストライカと係合可能に設けられ、車両ドア10側に組付けられたラッチおよびポールなどを含む。ドアラッチ機構のラッチ状態では、ストライカに係合しているラッチの回転がポールによって規制されているため、閉じられた状態の車両ドア10を開放するドア開動作が不能になっている。一方、ドアラッチ機構のアンラッチ状態では、ストライカに係合しているラッチの回転がポールによって規制されていないため、車両ドア10のドア開動作が可能になっている。
連係機構130は、ベルクランク131と、コイルスプリング132と、連結レバー133とを含む。図2に示すように、ベルクランク131は、車両ドア10が閉じた状態で車両前後方向に沿って延在する円柱状の軸部131aにてベースフレーム110に回転可能に組付けられている。ベルクランク131は、入力アーム部131bおよび出力アーム部131cを含む。
入力アーム部131bは、車両下方に延出している。入力アーム部131bの延出先端部は、アウトサイドハンドル120の係合部122aのうち車両外方側の部位に係合している。
出力アーム部131cは、円柱状の連結軸134を介して連結レバー133の上端部133aに連結されている。連結レバー133と連結軸134とが、一体形成されていてもよい。
ベルクランク131には、カウンターウェイト131dが設けられている。カウンターウェイト131dは、車両外方に向けて作用する慣性力でアウトサイドハンドル120が開動作することを規制するためのものである。この規制力は、カウンターウェイト131dの質量とコイルスプリング132の付勢力との双方によって設定される。
コイルスプリング132は、ベルクランク131を介してアウトサイドハンドル120をドア閉位置に向けて付勢する。コイルスプリング132は、ベルクランク131の軸部131aの外周に組付けられており、一方の端部がベースフレーム110に係合し、他方の端部がベルクランク131に係合している。
コイルスプリング132によってベルクランク131の入力アーム部131bがアウトサイドハンドル120の係合部122aと係合する方向に付勢されていることにより、ベルクランク131は、入力アーム部131bにおいてアウトサイドハンドル120の係合部122aと弾性的に係合している。
連結レバー133の下端部133bの先端は、二股形状になっている。連結レバー133の下端部133bは、図示しないアウトサイドオープンレバーと係合している。アウトサイドオープンレバーは、ドアラッチ機構のポールと連係している。
連結レバー133は、アウトサイドハンドル120がドア閉位置からドア開位置に操作されて、ベルクランク131がコイルスプリング132の付勢力に抗して回動するのに伴って、図2に示す状態の初期位置から下方に移動するように構成されている。
連結軸134は、ベルクランク131の出力アーム部131cに対して回転可能に組付けられており、ベルクランク131と共に回動可能である。このため、アウトサイドハンドル120がドア閉位置からドア開位置に向けてドア開方向に移動すると、ベルクランク131によって連結軸134および連結レバー133が駆動されて下方へ移動するため、連結レバー133によるドアラッチ機構のアンラッチ動作が可能になる。連結軸134の車両前方側の端部には、先端に向けて先細りする円錐形状の係合部134aが設けられている。
車両ドア10が閉じた状態で、アウトサイドハンドル120がドア閉位置にあり、かつ連結レバー133が初期位置にあるときには、ドアラッチ機構がラッチ状態になり、車両ドア10のドア開動作が不能になる。一方で、アウトサイドハンドル120がドア閉位置からドア開位置に操作されて、連結レバー133が初期位置から下方に移動したときには、ドアラッチ機構がアンラッチ状態になり、車両ドア10のドア開動作が可能になる。
ドア開放防止機構140は、ベースフレーム110に対して連係機構130より車両前方側に組付けられている。ドア開放防止機構140は、車両の衝突時に車両ドア10に作用する慣性力による連係機構130のドア開方向作動を規制する。連係機構130のドア開方向作動とは、連結軸134および連結レバー133が初期位置から下方に移動することをいう。
図3は、本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置が備えるドア開放防止機構を車内側から見て示す斜視図である。図4は、本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置が備えるドア開放防止機構を車内側から見て示す分解斜視図である。図5は、本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置が備えるドア開放防止機構を車外側から見て示す斜視図である。図6は、本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置が備えるドア開放防止機構を車外側から見て示す分解斜視図である。
図2~図6に示すように、ドア開放防止機構140は、第1係止部145aと、第2係止部145bと、第1付勢部材であるコイルスプリング147と、第2付勢部材であるコイルスプリング149bとを含む。本実施形態においては、ドア開放防止機構140は、壁部146と錘部とをさらに含む。
本実施形態に係るドア開放防止機構140においては、第1係止部145a、第2係止部145b、コイルスプリング147、コイルスプリング149b、壁部146および錘部が、レバー141に一体的に構成されている。レバー141は、車両前後方向に延在している。レバー141は、回動軸142、第1アーム部143および第2アーム部144を有する。
レバー141の一端に錘部が設けられている。回動軸142に関してレバー141の一端とは反対側のレバー141の他端に、第1係止部145a、第2係止部145bおよび壁部146の各々が設けられている。なお、壁部146は必ずしも設けられていなくてもよい。
具体的には、第1アーム部143は、回動軸142から車両後方X2へ延出している。第1アーム部143の延出先端に、第1係止部145aおよび壁部146の各々が設けられている。第1アーム部143の延出先端に、第2係止部145bが組み付けられている。
第1アーム部143の延出先端は、車両内外方向において互いに間隔をあけて対向するように、第1係止部145aと壁部146とに分岐している。壁部146が第1係止部145aよりも車内側に配置されている。第1アーム部143の延出先端において、第1係止部145aの車両下方位置から車両後方X2へ回動軸145sが延出している。
第2係止部145bは、車両前後方向に互いに間隔をあけて位置し、回動軸145sが挿通される1対の孔部145bhを有する。第2係止部145bは、1対の孔部145bhに対して車両上方の位置に重心を有している。
第2係止部145bは、孔部145bh同士の間にコイルスプリング149bが配置された状態で、1対の孔部145bhおよびコイルスプリング149bを挿通した回動軸145sに、回動可能に組み付けられている。第2係止部145bは、回動軸145sに組み付けられた状態において、壁部146に間隔をあけて対向している。第2係止部145bは、回動軸145sを中心に、第1係止部145aと壁部146との間で回動可能に設けられている。第2係止部145bは、樹脂材料で構成されている。
第2アーム部144は、回動軸142から車両前方X1へ延出している。第2アーム部144の延出先端に、錘部である金属製のカウンターウェイト148が取付けられている。
図2に示すように、レバー141は、取付けピン142aによってベースフレーム110に回動可能に取付けられている。レバー141は、回動軸142を回動中心として、図2に示す状態の初期位置と、連係機構130の連結軸134が車両下方へ移動するのを規制するための規制位置との間で、回動可能にベースフレーム110に支持されている。レバー141は、樹脂材料で構成されている。
コイルスプリング147は、回動軸142とベースフレーム110との間に組付けられている。コイルスプリング147は、回動軸142の外周に組付けられている。コイルスプリング147は、レバー141を連係機構130の連結軸134の動きを規制しない初期位置に向けて、すなわち、レバー141を車両上方から見たときの左回り方向に付勢している。
このため、レバー141は、車両外方Z2への慣性力を受けていない場合には、コイルスプリング147の付勢力にしたがって初期位置に保持されるように構成されている。一方で、レバー141は、コイルスプリング147の付勢力を上回る車両外方Z2への慣性力を受けた場合には、コイルスプリング147の付勢力に抗して初期位置から規制位置に向けて回動するように構成されている。
コイルスプリング149bは、回動軸145sの外周に組付けられている。コイルスプリング149bは、第2係止部145bを連係機構130の連結軸134の動きを規制しない図3および図5に示す状態の初期位置に向けて、すなわち、第2係止部145bを車両後方から見たときの右回り方向に付勢している。
このため、第2係止部145bは、車両内方Z1への慣性力を受けていない場合には、コイルスプリング149bの付勢力にしたがって初期位置に保持されるように構成されている。一方で、第2係止部145bは、コイルスプリング149bの付勢力を上回る車両内方Z1への慣性力を受けた場合には、コイルスプリング149bの付勢力に抗して初期位置から規制位置に向けて回動するように構成されている。
図3および図5に示すように、第2係止部145bは、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力を受けていないときには、コイルスプリング149bの付勢力によって第1係止部145aに当接している。
以下、本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置100における連係機構130およびドア開放防止機構140の動作について説明する。
図7は、図2の車両用ドアハンドル装置をA-A線矢印方向から見た断面図である。レバー141は、車両衝突時の車両外方Z2への慣性力を受けていないときには、コイルスプリング147の付勢力M1にしたがって図7に示すように初期位置に保持される。
このとき、第1係止部145aは、ベースフレーム110と当接している。第2係止部145bは、コイルスプリング149bの付勢力M2によって第1係止部145aに当接している。レバー141の第1アーム部143の壁部146は、ベルクランク131の軸部131aである回動軸Cを中心に回動する係合部134aの移動軌跡T上に位置している。
具体的には、レバー141が初期位置にあるとき、第1アーム部143の壁部146の第2係止部145bに対向している部分が移動軌跡T上に位置している。一方で、レバー141が初期位置にあるとき、第1係止部145aおよび第2係止部145bの各々は、係合部134aの移動軌跡T外に位置している。
このため、アウトサイドハンドル120が通常操作時にドア閉位置からドア開位置へと回動する動作に伴って係合部134aが移動軌跡T上を図7中の矢印D1方向に移動する際、係合部134aは、壁部146の第2係止部145bに対向している部分を押圧する。押圧された壁部146は、図7中の矢印D2方向に移動して移動軌跡T外へと押し出されるため、連結軸134および連結レバー133のドア開方向移動が許容される。
このとき、レバー141は、コイルスプリング147の付勢力M1に抗して回動するが、この回動量は僅かであり、レバー141が規制位置まで到達することはない。本構成によれば、アウトサイドハンドル120の通常操作に伴って、レバー141が僅かに回動するため、初期位置にあるレバー141の回動部分に塵または埃が付着して固着することを防止することができる。その結果、レバー141の適正な動作が長期間にわたって維持される。
図8は、車両外方への慣性力を受けた際の本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置をA-A線矢印方向から見た断面図である。図8に示すように、レバー141は、車両衝突時の車両外方Z2への慣性力G1を受け、かつ、慣性力G1がコイルスプリング147の付勢力M1を上回ったときには、カウンターウェイト148に作用する慣性力を利用してコイルスプリング147の付勢力M1に抗して規制位置に移行する。
これにより、第1係止部145aは、第1回動方向である図8中の矢印D3方向に回動して、係合部134aの移動軌跡T上に位置する。第1回動方向は、コイルスプリング147の付勢力M1の付勢方向とは反対方向である。
レバー141が規制位置にあるとき、第1係止部145aは、移動軌跡T上に位置し、連係機構130を係止可能となっている。一方で、レバー141が規制位置にあるとき、壁部146は、係合部134aの移動軌跡T外に位置している。
レバー141が規制位置に移行した状態では、図7に示す移動軌跡T上を矢印D1方向に移動する移動初期において係合部134aが第1係止部145aの上面に当接する。その結果、第1係止部145aによって連結軸134が車両下方へ移動することが規制される。
連結軸134の移動が第1係止部145aによって阻止されて連結レバー133のドア開方向移動が規制されることにより、アウトサイドハンドル120はドア開位置へ回動することができない。このように、車両衝突時に車両外方Z2への慣性力G1を受けた際、第1係止部145aが第1回動方向に回動して連係機構130を係止することにより、連結レバー133のドア開方向移動を規制することができ、ドアラッチ機構のアンラッチ動作を阻止し、車両ドアが車両衝突時に開放することを防止することができる。
図9は、車両内方への慣性力を受けた際の本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置をA-A線矢印方向から見た断面図である。図9に示すように、レバー141は、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受けているときには、コイルスプリング147の付勢力M1にしたがって初期位置に保持される。
第2係止部145bは、重心が回動軸145sより車両上方の位置にあるため、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受け、かつ、慣性力G2がコイルスプリング149bの付勢力M2を上回ったときには、コイルスプリング149bの付勢力M2に抗して第2回動方向である図9中の矢印D4方向に回動し、図9に示すように規制位置に移行する。第2回動方向は、コイルスプリング149bの付勢力M2の付勢方向とは反対方向である。
第2係止部145bが規制位置にあるとき、第2係止部145bは、移動軌跡T上に位置し、連係機構130を係止可能となっている。一方で、第2係止部145bが規制位置にあるとき、第1係止部145aは、係合部134aの移動軌跡T外に位置している。
第2係止部145bが規制位置に移行した状態では、図7に示す移動軌跡T上を矢印D1方向に移動する移動初期において係合部134aが第2係止部145bの上部に当接する。その結果、第2係止部145bによって連結軸134が車両下方へ移動することが規制される。
連結軸134の移動が第2係止部145bによって阻止されて連結レバー133のドア開方向移動が規制されることにより、アウトサイドハンドル120はドア開位置へ回動することができない。このように、車両衝突時に車両内方Z1への慣性力G2を受けた際、第2係止部145bが第2回動方向に回動して連係機構130を係止することにより、連結レバー133のドア開方向移動を規制することができ、ドアラッチ機構のアンラッチ動作を阻止し、車両ドアが車両衝突時に開放することを防止することができる。
本実施形態においては、第2係止部145bは、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受けた際に第2回動方向に回動して壁部146と接触した状態で連係機構130を係止する。
上記のように、本実施形態に係る車両用ドアハンドル装置100においては、車両衝突時の車両外方Z2への慣性力G1を受けた際には、第1係止部145aがコイルスプリング147の付勢力M1に抗して第1回動方向に回動することにより連係機構130を係止して車両ドアが車両衝突時に開放することを防止する。一方、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受けた際には、第2係止部145bがコイルスプリング149bの付勢力M2に抗して第2回動方向に回動することにより連係機構130を係止して車両ドアが車両衝突時に開放することを防止する。
よって、ドア開放防止機構140において、車両衝突時の車両外方Z2への慣性力G1に対する機構と、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2に対する機構とが、独立して作動可能であるため、車両衝突時の車両外方Z2への慣性力G1および車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2のいずれに対しても慣性力の変動に対するドア開放防止機構140の応答性を向上することができる。その結果、ドア開放防止機構140によって連係機構130の動きをより確実に規制して車両ドアが車両衝突時に開放することを防止することができる。
また、第1係止部145aおよび第2係止部145bの各々がレバー141の他端に設けられ、第2係止部145bが、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受けていないときには、コイルスプリング149bの付勢力によって第1係止部145aに当接していることにより、ドア開放防止機構140を小型で簡易に構成することができる。
さらに、第2係止部145bが、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受けた際に第2回動方向に回動して壁部146と接触した状態で連係機構130を係止することにより、第2係止部145bが壁部146と連結軸134とに挟まれるように位置するため、第2係止部145bによって連結軸134の移動を確実に阻止することができる。その結果、ドア開放防止機構140によって連係機構130の動きをより確実に規制して車両ドアが車両衝突時に開放することを防止することができる。
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置について図を参照して説明する。なお、本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置は、ドア開放防止機構の構成のみ本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置100と異なるため、本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置100と同様の構成については説明を繰り返さない。
以下、本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置について図を参照して説明する。なお、本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置は、ドア開放防止機構の構成のみ本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置100と異なるため、本発明の実施形態1に係る車両用ドアハンドル装置100と同様の構成については説明を繰り返さない。
図10は、本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置を図7と同一の断面視にて示す断面図である。本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置においては、第1係止部245a、第2係止部245b、コイルスプリング147、コイルスプリング249b、壁部246およびカウンターウェイト148が、レバー141に一体的に構成されている。
本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置においては、レバー141の他端に、第1係止部245a、第2係止部245bおよび壁部246の各々が設けられている。具体的には、第1アーム部143の延出先端に、第1係止部245aおよび壁部246の各々が設けられている。第1アーム部143の延出先端に、第2係止部245bが組み付けられている。
第1アーム部143の延出先端は、車両内外方向において互いに間隔をあけて対向するように、第1係止部245aと壁部246とに分岐している。壁部246が第1係止部245aよりも車内側に配置されている。第1アーム部143の延出先端において、壁部246の車両外方位置から車両後方X2へ回動軸245sが延出している。
第2係止部245bは、車両前後方向に互いに間隔をあけて位置し、回動軸245sが挿通される1対の孔部を有する。第2係止部245bは、1対の孔部に対して車両下方の位置に重心を有している。
第2係止部245bは、孔部同士の間にコイルスプリング249bが配置された状態で、1対の孔部およびコイルスプリング249bを挿通した回動軸245sに、回動可能に組み付けられている。第2係止部245bは、回動軸245sに組み付けられた状態において、第1係止部245aに間隔をあけて対向している。第2係止部245bは、回動軸245sを中心に、第1係止部245aと壁部246との間で回動可能に設けられている。
図10に示すように、コイルスプリング249bは、回動軸245sの外周に組付けられている。コイルスプリング249bは、第2係止部245bを連係機構130の連結軸134の動きを規制しない初期位置に向けて、すなわち、第2係止部245bを車両後方から見たときの左回り方向に付勢している。
このため、第2係止部245bは、車両外方Z2への慣性力を受けていない場合には、コイルスプリング249bの付勢力にしたがって初期位置に保持されるように構成されている。一方で、第2係止部245bは、コイルスプリング249bの付勢力を上回る車両外方Z2への慣性力を受けた場合には、コイルスプリング249bの付勢力に抗して初期位置から規制位置に向けて回動するように構成されている。
以下、本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置における連係機構およびドア開放防止機構の動作について説明する。
図10に示すように、レバー141は、車両衝突時の車両外方Z2への慣性力を受けていないときには、コイルスプリング147の付勢力M1にしたがって初期位置に保持される。
このとき、第1係止部245aは、ベースフレーム110と当接している。第2係止部245bは、コイルスプリング249bの付勢力M2によって壁部246に当接している。第2係止部245bは、ベルクランク131の軸部131aである回動軸Cを中心に回動する係合部134aの移動軌跡T上に位置している。
具体的には、レバー141が初期位置にあるとき、第2係止部245bの第1係止部245aに対向している部分が移動軌跡T上に位置している。一方で、レバー141が初期位置にあるとき、第1係止部245aは、係合部134aの移動軌跡T外に位置している。
このため、アウトサイドハンドル120が通常操作時にドア閉位置からドア開位置へと回動する動作に伴って係合部134aが移動軌跡T上を図10中の矢印D1方向に移動する際、係合部134aは、第2係止部245bの第1係止部245aに対向している部分を押圧する。押圧された第2係止部245bは、図10中の矢印D2方向に移動して移動軌跡T外へと押し出されるため、連結軸134および連結レバー133のドア開方向移動が許容される。
このとき、レバー141は、コイルスプリング147の付勢力M1に抗して回動するが、この回動量は僅かであり、レバー141が規制位置まで到達することはない。本構成によれば、アウトサイドハンドル120の通常操作に伴って、レバー141が僅かに回動するため、初期位置にあるレバー141の回動部分に塵または埃が付着して固着することを防止することができる。その結果、レバー141の適正な動作が長期間にわたって維持される。
図11は、車両外方への慣性力を受けた際の本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置を図8と同一の断面視にて示す断面図である。図11に示すように、レバー141は、車両衝突時の車両外方Z2への慣性力G1を受け、かつ、慣性力G1がコイルスプリング147の付勢力M1を上回ったときには、カウンターウェイト148に作用する慣性力を利用してコイルスプリング147の付勢力M1に抗して規制位置に移行する。
これにより、第1係止部245aは、第1回動方向である図11中の矢印D3方向に回動して、係合部134aの移動軌跡T上に位置する。第1回動方向は、コイルスプリング147の付勢力M1の付勢方向とは反対方向である。
レバー141が規制位置にあるとき、第1係止部245aは、移動軌跡T上に位置し、連係機構130を係止可能となっている。一方で、レバー141が規制位置にあるとき、壁部246および第2係止部245bの各々は、係合部134aの移動軌跡T外に位置している。
レバー141が規制位置に移行した状態では、図10に示す移動軌跡T上を矢印D1方向に移動する移動初期において係合部134aが第1係止部245aの上面に当接する。その結果、第1係止部245aによって連結軸134が車両下方へ移動することが規制される。
連結軸134の移動が第1係止部245aによって阻止されて連結レバー133のドア開方向移動が規制されることにより、アウトサイドハンドル120はドア開位置へ回動することができない。このように、車両衝突時に車両外方Z2への慣性力G1を受けた際、第1係止部245aが第1回動方向に回動して連係機構130を係止することにより、連結レバー133のドア開方向移動を規制することができ、ドアラッチ機構のアンラッチ動作を阻止し、車両ドアが車両衝突時に開放することを防止することができる。
図12は、車両内方への慣性力を受けた際の本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置を図9と同一の断面視にて示す断面図である。図12に示すように、レバー141は、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受けているときには、コイルスプリング147の付勢力M1にしたがって初期位置に保持される。
第2係止部245bは、重心が回動軸245sより車両下方の位置にあるため、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受け、かつ、慣性力G2がコイルスプリング249bの付勢力M2を上回ったときには、コイルスプリング249bの付勢力M2に抗して第2回動方向である図12中の矢印D4方向に回動し、図12に示すように規制位置に移行する。第2回動方向は、コイルスプリング249bの付勢力M2の付勢方向とは反対方向である。
第2係止部245bが規制位置にあるとき、第2係止部245bは、移動軌跡T上に位置し、連係機構130を係止可能となっている。一方で、第2係止部245bが規制位置にあるとき、第1係止部245aは、係合部134aの移動軌跡T外に位置している。
第2係止部245bが規制位置に移行した状態では、図10に示す移動軌跡T上を矢印D1方向に移動する移動初期において係合部134aが第2係止部245bの上面に当接する。その結果、第2係止部245bによって連結軸134が車両下方へ移動することが規制される。
連結軸134の移動が第2係止部245bによって阻止されて連結レバー133のドア開方向移動が規制されることにより、アウトサイドハンドル120はドア開位置へ回動することができない。このように、車両衝突時に車両内方Z1への慣性力G2を受けた際、第2係止部245bが第2回動方向に回動して連係機構130を係止することにより、連結レバー133のドア開方向移動を規制することができ、ドアラッチ機構のアンラッチ動作を阻止し、車両ドアが車両衝突時に開放することを防止することができる。
上記のように、本実施形態に係る車両用ドアハンドル装置においては、車両衝突時の車両外方Z2への慣性力G1を受けた際には、第1係止部245aがコイルスプリング147の付勢力M1に抗して第1回動方向に回動することにより連係機構130を係止して車両ドアが車両衝突時に開放することを防止する。一方、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受けた際には、第2係止部245bがコイルスプリング249bの付勢力M2に抗して第2回動方向に回動することにより連係機構130を係止して車両ドアが車両衝突時に開放することを防止する。
よって、ドア開放防止機構において、車両衝突時の車両外方Z2への慣性力G1に対する機構と、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2に対する機構とが、独立して作動可能であるため、車両衝突時の車両外方Z2への慣性力G1および車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2のいずれに対しても慣性力の変動に対するドア開放防止機構の応答性を向上することができる。その結果、ドア開放防止機構によって連係機構130の動きをより確実に規制して車両ドアが車両衝突時に開放することを防止することができる。
また、第1係止部245aおよび第2係止部245bの各々がレバー141の他端に設けられ、第2係止部245bが、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受けていないときには、コイルスプリング249bの付勢力によって壁部246に当接していることにより、ドア開放防止機構を小型で簡易に構成することができる。
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係る車両用ドアハンドル装置について図を参照して説明する。なお、本発明の実施形態3に係る車両用ドアハンドル装置は、ドア開放防止機構の構成が主に、本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置と異なるため、本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置と同様の構成については説明を繰り返さない。
以下、本発明の実施形態3に係る車両用ドアハンドル装置について図を参照して説明する。なお、本発明の実施形態3に係る車両用ドアハンドル装置は、ドア開放防止機構の構成が主に、本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置と異なるため、本発明の実施形態2に係る車両用ドアハンドル装置と同様の構成については説明を繰り返さない。
図13は、本発明の実施形態3に係る車両用ドアハンドル装置を図10と同一の断面視にて示す断面図である。本発明の実施形態3に係る車両用ドアハンドル装置においては、第1係止部345a、第2係止部245b、コイルスプリング349b、コイルスプリング249bおよび壁部246が、レバー141に一体的に構成されている。本実施形態においては、コイルスプリング147およびカウンターウェイト148は設けられていない。すなわち、レバー141は初期位置に固定されている。
本発明の実施形態3に係る車両用ドアハンドル装置においては、レバー141の他端に、第1係止部345a、第2係止部245bおよび壁部246の各々が設けられている。具体的には、第1アーム部143の延出先端に、壁部246が設けられている。第1アーム部143の延出先端に、第1係止部345aおよび第2係止部245bの各々が組み付けられている。
第1アーム部143の延出先端から、回動軸245sに対して車両内外方向において間隔をあけて略平行に、車両後方X2へ回動軸345sが延出している。
第1係止部345aは、車両前後方向に互いに間隔をあけて位置し、回動軸345sが挿通される1対の孔部を有する。第1係止部345aは、1対の孔部に対して車両上方の位置に重心を有している。
第1係止部345aは、孔部同士の間にコイルスプリング349bが配置された状態で、1対の孔部およびコイルスプリング349bを挿通した回動軸345sに、回動可能に組み付けられている。第1係止部345aは、回動軸345sに組み付けられた状態において、第2係止部245bに間隔をあけて対向している。第1係止部345aは、回動軸345sを中心に、ベースフレーム110と第2係止部245bとの間で回動可能に設けられている。
図13に示すように、コイルスプリング349bは、回動軸345sの外周に組付けられている。コイルスプリング349bは、第1係止部345aを連係機構130の連結軸134の動きを規制しない初期位置に向けて、すなわち、第1係止部345aを車両後方から見たときの右回り方向に付勢している。
このため、第1係止部345aは、車両内方Z1への慣性力を受けていない場合には、コイルスプリング349bの付勢力にしたがって初期位置に保持されるように構成されている。一方で、第1係止部345aは、コイルスプリング349bの付勢力を上回る車両内方Z1への慣性力を受けた場合には、コイルスプリング349bの付勢力に抗して初期位置から規制位置に向けて回動するように構成されている。
以下、本発明の実施形態3に係る車両用ドアハンドル装置における連係機構およびドア開放防止機構の動作について説明する。
図13に示すように、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力を受けていないときには、第1係止部345aは、コイルスプリング349bの付勢力M3によってベースフレーム110と当接している。第2係止部245bは、コイルスプリング249bの付勢力M2によって壁部246に当接している。第1係止部345aおよび第2係止部245bの各々は、係合部134aの移動軌跡T外に位置している。
図14は、車両内方への慣性力を受けた際の本発明の実施形態3に係る車両用ドアハンドル装置を図11と同一の断面視にて示す断面図である。図14に示すように、第1係止部345aは、重心が回動軸345sより車両上方の位置にあるため、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受け、かつ、慣性力G2がコイルスプリング349bの付勢力M3を上回ったときには、コイルスプリング349bの付勢力M3に抗して第1回動方向である図14中の矢印D3方向に回動して規制位置に移行する。第1回動方向は、コイルスプリング349bの付勢力M3の付勢方向とは反対方向である。
第1係止部345aが規制位置にあるとき、第1係止部345aは、移動軌跡T上に位置し、連係機構130を係止可能となっている。一方で、第2係止部245bは、係合部134aの移動軌跡T外に位置している。
第1係止部345aが規制位置に移行した状態では、図13に示す移動軌跡T上を矢印D1方向に移動する移動初期において係合部134aが第1係止部345aの上面に当接する。その結果、第1係止部345aによって連結軸134が車両下方へ移動することが規制される。
連結軸134の移動が第1係止部345aによって阻止されて連結レバー133のドア開方向移動が規制されることにより、アウトサイドハンドル120はドア開位置へ回動することができない。このように、車両衝突時に車両内方Z1への慣性力G2を受けた際、第1係止部345aが第1回動方向に回動して連係機構130を係止することにより、連結レバー133のドア開方向移動を規制することができ、ドアラッチ機構のアンラッチ動作を阻止し、車両ドアが車両衝突時に開放することを防止することができる。
本実施形態においては、第1係止部345aは、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受けた際に第1回動方向に回動して、壁部246と当接している第2係止部245bと接触した状態で連係機構130を係止する。
図15は、車両外方への慣性力を受けた際の本発明の実施形態3に係る車両用ドアハンドル装置を図12と同一の断面視にて示す断面図である。図15に示すように、車両衝突時の車両外方Z2への慣性力G1を受けた際、第2係止部245bは、移動軌跡T上に位置し、連係機構130を係止可能となっている。一方で、第2係止部245bが規制位置にあるとき、第1係止部345aは、係合部134aの移動軌跡T外に位置している。
上記のように、本実施形態に係る車両用ドアハンドル装置においては、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受けた際には、第1係止部345aがコイルスプリング349bの付勢力M3に抗して第1回動方向に回動することにより連係機構130を係止して車両ドアが車両衝突時に開放することを防止する。一方、車両衝突時の車両外方Z2への慣性力G1を受けた際には、第2係止部245bがコイルスプリング249bの付勢力M2に抗して第2回動方向に回動することにより連係機構130を係止して車両ドアが車両衝突時に開放することを防止する。
よって、ドア開放防止機構において、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2に対する機構と、車両衝突時の車両外方Z2への慣性力G1に対する機構とが、独立して作動可能であるため、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2および車両衝突時の車両外方Z2への慣性力G1のいずれに対しても慣性力の変動に対するドア開放防止機構の応答性を向上することができる。その結果、ドア開放防止機構によって連係機構130の動きをより確実に規制して車両ドアが車両衝突時に開放することを防止することができる。
また、第1係止部345aが、車両衝突時の車両内方Z1への慣性力G2を受けた際に第1回動方向に回動して、壁部246と当接している第2係止部245bと接触した状態で連係機構130を係止することにより、第1係止部345aによって連結軸134の移動を確実に阻止することができる。その結果、ドア開放防止機構によって連係機構130の動きをより確実に規制して車両ドアが車両衝突時に開放することを防止することができる。
上記の実施形態においては、第1係止部および第2係止部の各々は、樹脂材料で構成されているが、これに限られず、金属材料で構成されていてもよい。また、実施形態1~3の各々の構成において相互に組み合わせ可能な構成を互いに組み合わせてもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 車両ドア、11 ドアアウタパネル、100 車両用ドアハンドル装置、110 ベースフレーム、111,121,122 端部、120 アウトサイドハンドル、121a ハンドル軸部、122a,134a 係合部、130 連係機構、131 ベルクランク、131a 軸部、131b 入力アーム部、131c 出力アーム部、131d,148 カウンターウェイト、132,147,149b,249b,349b コイルスプリング、133 連結レバー、133a 上端部、133b 下端部、134 連結軸、140 ドア開放防止機構、141 レバー、142,145s,245s,345s,C 回動軸、142a 取付けピン、143 第1アーム部、144 第2アーム部、145a,245a,345a 第1係止部、145b,245b 第2係止部、145bh 孔部、146,246 壁部、150 キャップ。
Claims (3)
- 車両ドアのドアアウタパネルに固定されるベースフレームと、
ドア閉位置と該ドア閉位置より車両外方のドア開位置との間で揺動可能に前記ベースフレームに組付けられたアウトサイドハンドルと、
前記アウトサイドハンドルのドア開動作をドアラッチ機構のアンラッチ動作として伝達可能な連係機構と、
車両の衝突時に車両ドアに作用する慣性力による前記連係機構のドア開方向作動を規制するドア開放防止機構とを備え、
前記ドア開放防止機構は、
車両衝突時の車両外方への慣性力を受けた際に第1回動方向に回動して前記連係機構を係止可能な第1係止部と、
車両衝突時の車両内方への慣性力を受けた際に第2回動方向に回動して前記連係機構を係止可能な第2係止部と、
前記第1係止部を前記第1回動方向とは反対方向に付勢する第1付勢部材と、
前記第2係止部を前記第2回動方向とは反対方向に付勢する第2付勢部材とを含む、車両用ドアハンドル装置。 - 前記ドア開放防止機構は、
回動軸を有し、該回動軸を中心に回動可能に前記ベースフレームに支持されたレバーと、
前記レバーの一端に設けられた錘部とをさらに含み、
前記第1係止部は、前記回動軸に関して前記レバーの前記一端とは反対側の前記レバーの他端に設けられており、
前記第2係止部は、前記レバーの前記他端に設けられており、車両衝突時の車両内方への慣性力を受けていないときには、前記第2付勢部材の付勢力によって前記第1係止部に当接している、請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置。 - 前記ドア開放防止機構は、前記レバーの前記他端に設けられ、前記第2係止部と間隔をあけて対向する壁部をさらに含み、
前記第2係止部は、車両衝突時の車両内方への慣性力を受けた際に前記第2回動方向に回動して前記壁部と接触した状態で前記連係機構を係止する、請求項2に記載の車両用ドアハンドル装置。
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