JP7011493B2 - 立体物造形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基材上に、印刷装置、特に、インクジェットプリンターによって、セラミックス粉体を分散させた液体材料を用いて、セラミックスの立体物を造形する立体物造形方法に関するものである。
3次元の立体形状を持つセラミックスを製造するための従来のプロセスとして、プレス成型または鋳型を用いる方法があるが、多品種少量生産に適さない。
そこで、インクジェットプリンターを用いてセラミックス粉体と有機成分とを含む立体形状を製作し、これを焼結することで、セラミックス製の立体物を造形する方法が開発された(例えば、特許文献1を参照)。
その他の、コンピューター制御を利用したラピッドプロトタイピングによるセラミックス立体物の造形方法として、選択的レーザー焼結法がある(例えば、特許文献2を参照)。
特表2009-531260号公報 特開2016-216759号公報
しかしながら、従来例に示した特許文献1に記載の技術では、焼結工程において、有機成分を徐々に酸化及び気化させる必要があるため、焼結工程だけで数時間以上、場合によっては100時間以上を要してしまい、完成までに多大な時間を要するという問題があった。
また、従来例に示した特許文献2に記載の技術では、層ごとに焼結を行うため、短時間の造形が可能である一方、形状精度が悪いという問題があった。造形精度を上げようとしてレーザー光を絞りすぎると、大面積の走査に長時間を要することとなり、全体の造形時間が増加してしまう。
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、セラミックスの立体物を造形するに際して、短時間で高精度に造形することができる立体物造形方法を提供することを目的としている。
本発明の1つの態様の立体物造形方法は、
セラミックスの粉体を含む粉体層を基材に形成する第1ステップと、
前記第1ステップで形成した前記粉体層を熱処理して粉体を焼結し焼結層を形成する第2ステップと、
前記焼結層に発生したクラックのみを、セラミックスの粉体を含む粉体層で埋める第3ステップと
前記第3ステップで形成した粉体層を再度焼結する第4ステップとを備え、
前記第1、第2、第3、第4ステップを繰返し行う。
本発明の前記態様によれば、高精度に1又は2つの粉体層を形成するごとに焼結を行うので、長時間の焼結工程が必要なく、短時間で立体物を造形することができる。また、焼結工程で発生するクラックも埋めて修正することができるため、複雑な形状を、より正確に造形することができる。つまり、短時間で高精度に立体物を造形することができる。
本発明の実施の形態1における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態1における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態1における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態1における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態1における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態1における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態2における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態2における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態2における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態2における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態2における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態2における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態2における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態3における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態3における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態3における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態3における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態3における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態3における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態4における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態4における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態4における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態4における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態4における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態4における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図 本発明の実施の形態4における立体物造形方法の1つの工程での形成物の構成を示す断面図
以下、本発明の実施の形態における立体物造形方法について図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図1A~図1Fを参照して説明する。
図1A~図1Fは、本発明の実施の形態1における立体物造形方法の各工程での形成物の構成を示す断面図である。
図1Aにおいて、例えばイットリア安定化ジルコニア(以下、単に「YSZ」と称する。)粉体セラミックスからなる粉体を分散させた液体材料としての第1インクを、インクジェットヘッドから基材1の表面に向けて吐出することにより塗布する。このようにして、基材1の表面に、YSZを含む粉体層として第1インクの粉体層2をインクジェット法により形成する。この第1インクの粉体層2は、粉体と、バインダー(例えば樹脂製バインダー)と、溶剤と、界面活性剤となどで構成される。
ジルコニア(ZrO)に、酸化イットリウム(Y)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)などの酸化物を添加して固溶させたものをイットリア安定化ジルコニア(YSZ)といい、立方晶が広範囲の温度帯において安定して存在するようになる。YSZの焼結温度は、800~1600℃程度であり、焼結によりセラミックス塊となる。ジルコニアに添加する酸化物量を安定化ジルコニアの量よりも少なくすると、単斜晶あるいは正方晶が分散した状態となる。この状態のものを、部分安定化ジルコニアという。本明細書においては、両者を区別せず、ともに安定化ジルコニア(YSZ)と呼ぶこととする。YSZは、義歯材料などとして広く実用化されている。
次に、図1Bにおいて、ライン状の誘導結合型プラズマトーチ(ICPトーチプラズマ)を用いて、第1インクの粉体層2が形成された基材1の表面の平面状の部分全体を熱処理することにより、粉体層2の粉体を焼結し、ジルコニアセラミックスからなる第1インク焼結層4を焼結層として形成する。
第1インク焼結層4は、バインダー(例えば樹脂製バインダー)と、溶剤と、界面活性剤となどの大半が、第1インクの粉体層2から熱処理により揮発して失われており、その過程で体積収縮が起きる。したがって、第1インク焼結層4の厚さは、図1Aにおける第1インクの粉体層2の厚さ(例えば5~50μm程度)の25~50%程度と小さくなり、クラック6が発生する。
ICPトーチによる熱処理は極めて短時間(数秒以下)で行われるため、基材1の温度は第1インクの粉体層2が焼結されている瞬間の温度よりも低く保たれる。よって、熱処理された基材1の最表面の温度は、急速に低下する。したがって、ごく僅か(例えば数秒~数十秒)の冷却時間をあけて、次の塗布工程に進むことができる。
なお、特許文献3(特開2015-189024号公報)には、樹脂製の立体物を造形する方法として、インクジェットプリンターを用いて層を印刷するに際して、層を形成するごとに、造形物に対して低温プラズマを照射し、層間の密着性を向上させる方法が知られている。が、ここで開示されているプラズマ処理で用いられているのは、低温プラズマであり、セラミックスを焼結させることができるような高温を得ることは不可能である。
次に、図1Cにおいて、第1インク焼結層4に発生したクラック6の位置及び大きさをクラック検出手段7で検出する。この検出手段7としては、カメラと画像認識処理部とで構成される画像認識手段、又は、磁性材料を検出する磁気センサなどを利用することができる。
第1インクの粉体層2として、磁性を持つセラミックス粉体を使用する場合、あるいは、第1インクに、磁性を持つセラミックス粉体又はその他の磁性材料を添加することが可能な場合は、磁気センサを用いる方法が好適である。画像認識による方法では、基材1の表面が鏡面になっていたり、又は傾きがあると、微小なクラック6を検出するのが困難になる。一方、クラック6のエッジ部では、物理的に磁性が強くなるため、磁気センサを用いる方法は、画像認識を用いる方法に比べて、クラック6の検出が容易になる。また、サイズ及び価格ともに磁気センサを用いる方法のほうが、画像認識を用いる方法に比べて、優位性がある。
次に、図1Dにおいて、第1インク焼結層4のクラック6の位置に、粉体を分散させた液体材料としての第1インクを、インクジェットヘッドから吐出して塗布することにより、クラック6を埋め、平な粉体層2aを形成する。
次に、図1Eにおいて、再び、第1インクをインクジェットヘッドから図1Dの第1インク焼結層4と粉体層2aとの上に吐出して塗布することにより、図1Dの工程で得られた第1インク焼結層4と粉体層2aとの上に、粉体層2bをインクジェット法により形成する。
なお、粉体層2,2a,2bは形成される場所が異なるだけで、材料は同じである。
この後は、図1Bの熱処理を行ったのち、図1C~図1Eまでの工程を繰り返すことによって、所望の形状の立体物11を造形する。
このようにして、少なくとも、図1D及び/又は図1Eなどの塗布工程と図1Fなどの熱処理工程とを適宜繰り返し行うことにより、図1Fに示すように、短時間で高精度に、白色で硬度の高いジルコニアセラミックス立体物11を造形することができる。
ここでは、熱処理においてICPトーチプラズマを照射する場合を例示したが、ICPトーチプラズマに代えて、短時間で熱処理が可能な強力な熱源を用いる他の熱処理方法を用いることも可能である。例えば、フラッシュランプによる閃光、又はレーザーなどのエネルギーを照射してもよい。レーザーを用いる場合は、パターンを直描する必要はないので、生産性を得るためにライン状に整形されたレーザービームを走査することが望ましい。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図2A~図2Gを参照して説明する。
図2A~図2Gは、本発明の実施の形態2における立体物造形方法の各工程での形成物の構成を示す断面図である。
まず、図2Aにおいて、例えばYSZからなる粉体を分散させた液体材料としての第1インクを、インクジェットヘッドから基材1の表面に向けて吐出することにより塗布する。このようにして、基材1の表面に、YSZを含む粉体層として第1インクの粉体層2をインクジェット法により形成する。この第1インクの粉体層2は、粉体と、バインダー(例えば樹脂製バインダー)と、溶剤と、界面活性剤となどで構成される。
次に、図2Bにおいて、ライン状のICPトーチプラズマを用いて、第1インクの粉体層2が形成された基材1の表面の平面状の部分全体を熱処理することにより、粉体層2の粉体を焼結し、ジルコニアセラミックスからなる第1インク焼結層4を形成する。この際、インクの粉体層2の収縮によりクラック6が発生する。
次に、図2Cにおいて、第1インク焼結層4に発生したクラック6の位置及び大きさをクラック検出手段7で検出する。
次に、図2Dにおいて、第1インク焼結層4のクラック6の位置に、粉体を分散させた液体材料としての第1インクを、インクジェットヘッドから吐出して塗布することにより、クラック6を埋め、平な粉体層2aを形成する。
クラック6へ塗布する第1インクの粉体層2aの量は、次工程での熱処理によるインクの収縮率を考慮して、クラック6の体積より多めにする。このため、一例として、第1インク焼結層4のクラック6において、粉体層2aの厚みは第1インク焼結層4の厚みよりも大きくしている。より具体的な例としては、粉体層2aの厚みは、第1インク焼結層4の厚みの2倍程度とすることができる。
次に、図2Eにおいて、再び、ライン状のICPトーチプラズマを用いて、熱処理することにより、粉体層2aを焼結し、ジルコニアセラミックスからなる第1インク焼結層4aをクラック6に形成する。この結果、クラック6内の第1インク焼結層4aと、クラック6以外の第1インク焼結層4とが一体的になり、1つの第1インク焼結層4になる。
次に、図2Fにおいて、再び、第1インクを、インクジェットヘッドから図2Eの第1インク焼結層4の上に吐出して塗布することにより、図2Eの工程で得られた第1インク焼結層4の上に、粉体層2bをインクジェット法により形成する。
この後は、図2Bの熱処理を行ったのち、図2C~図2Fまでの工程を繰り返すことによって、所望の形状の立体物12を造形する。
このようにして、少なくとも、図2D及び/又は図2Fなどの塗布工程と図2E及び/又は図2Gなどの熱処理工程とを適宜繰り返し行うことにより、図2Gに示すように、短時間で高精度に、白色で硬度の高いジルコニアセラミックス立体物12を造形することができる。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3について、図3A~図3Fを参照して説明する。
図3A~図3Fは、本発明の実施の形態3における立体物造形方法の各工程での形成物の構成を示す断面図である。
まず、図3Aにおいて、例えばYSZからなる粉体を分散させた液体材料としての第1インクを、インクジェットヘッドから基材1の表面に向けて吐出することにより塗布する。このようにして、基材1の表面に、YSZを含む粉体層として第1インクの粉体層2をインクジェット法により形成する。この第1インクの粉体層2は、粉体と、バインダー(例えば樹脂製のバインダー)、溶剤と、界面活性剤となどで構成される。
次に、図3Bにおいて、ライン状のICPトーチプラズマを用いて、第1インクの粉体層2が形成された基材1の表面の平面状の部分全体を熱処理することにより、粉体層2の粉体を焼結し、ジルコニアセラミックスからなる第1インク焼結層4を形成する。この際、インクの粉体層2の収縮によりクラック6が発生する。
次に、図3Cにおいて、液体材料としての第2インクを、インクジェットヘッドから基材1の表面に向けて吐出して塗布することにより、基材1の表面に第2インク層をインクジェット法により形成する。その後、熱又はUV(すなわち紫外線)によって第2インク層を硬化させて、第2インク硬化層5を形成する。この第2インク硬化層5は、樹脂材料と、溶剤と、界面活性剤となどで構成される。第2インク硬化層5は、造形中の立体物を支えるためのサポート層として機能する。このサポート層が無いと、2層目に塗布する第1インクの端部が垂れて基材1と直に接するような配置となってしまい、所望の立体形状が得られない。一般的に樹脂材料からなる立体物を造形する場合、サポート層としても樹脂材料が用いられる。樹脂材料の例としては、熱硬化材又はUV硬化材などが用いられる。
所望形状の立体物の造形が終了した後、サポート層のみが溶融する液体に浸すなどして、サポート層を造形物から分離することにより、所望形状の立体物を得ることもできる。
しかし、本実施形態では、セラミックスの焼結を行うため、各層が800℃以上の高温になる。よって、従来の樹脂材料のサポート層を用いることができない。高温においても失われないサポート層として、第1インク中のセラミックス(YSZ)と異なるセラミックス材料を用いることが考えられるが、これが同時に焼結されてしまうと、造形が終了した後に、サポート層5と立体物13とを分離することができない。こうしたことから、実施の形態3及び後述する実施の形態4においては、第1インク中のYSZが焼結する温度において、第2インク中の耐熱性粉体が粉体のままの状態を維持するよう、焼結が起きないジルコニア粉体を第2インクの主成分として用いている。よって、第2インク硬化層5は、粉体層2の粉体とは材料特性が異なる樹脂を含むサポート層として機能する。
この際、第2インク硬化層5の厚さは第1インク焼結層4より少し厚めに形成することが望ましい。
次に、図3Dにおいて、第1インクを図3Cの工程で得られた層の全面に塗布し、スキージ等を用いた印刷方法で、クラック6を第1インクで埋め、クラック6内に粉体層2aを印刷形成する。
次に、図3Eにおいて、再び、第1インクをインクジェットヘッドから、図3Dの工程で得られた層に吐出することにより塗布して、図3Dの工程で得られた層の上に、粉体層2bをインクジェット法により形成する。
この後は、図3Bの熱処理を行ったのち、図3C~図3Fまでの工程を繰り返すことによって、所望の形状の立体物13を造形する。
このようにして、少なくとも、図3D及び/又は図3Eなどの塗布工程と図3Fなどの熱処理工程とを適宜繰り返し行うことにより、図3Fに示すように、短時間で高精度に、白色で硬度の高いジルコニアセラミックス立体物13を造形することができる。
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4について、図4A~図4Gを参照して説明する。
図4A~図4Gは、本発明の実施の形態4における立体物造形方法の各工程での形成物の構成を示す断面図である。
まず、図4Aにおいて、例えばYSZからなる粉体を分散させた液体材料としての第1インクを、インクジェットヘッドから基材1の表面に向けて吐出することにより塗布する。このようにして、基材1の表面に、YSZを含む粉体層として第1インクの粉体層2をインクジェット法により形成する。この第1インクの粉体層2は、粉体と、バインダー(例えば樹脂製のバインダー)、溶剤と、界面活性剤となどで構成される。
次に、図4Bにおいて、ライン状のICPトーチプラズマを用いて、第1インクの粉体層2が形成された基材1の表面の平面状の部分全体を熱処理することにより、粉体層2の粉体を焼結し、ジルコニアセラミックスからなる第1インク焼結層4を形成する。この際、インクの粉体層2の収縮によりクラック6が発生する。
次に、図4Cにおいて、液体材料としての第2インクを、インクジェットヘッドから基材1の表面に向けて吐出して塗布することにより、基材1の表面に第2インク層をインクジェット法により形成する。その後、熱又はUVによって第2インク層を硬化させて、第2インク硬化層5を形成する。この第2インク硬化層5は、樹脂材料と、溶剤と、界面活性剤となどで構成される。樹脂材料の例としては、熱硬化材又はUV硬化材などが用いられる。
この際、第2インク硬化層5の厚さは第1インク焼結層4より少し厚めに形成することが望ましい。
次に、図4Dにおいて、第1インクを図4Cの工程で得られた層の全面に塗布し、スキージ等を用いた印刷方法で、クラック6を第1インクで埋め、クラック6内に粉体層2aを印刷形成する。
次に、図4Eにおいて、再び、ライン状のICPトーチプラズマを用いて、熱処理することにより、粉体層2aを焼結し、ジルコニアセラミックスからなる第1インク焼結層4aをクラック6に形成する。この結果、クラック6内の第1インク焼結層4aと、クラック6以外の第1インク焼結層4とが一体的になり、1つの第1インク焼結層4になる。
次に、図4Fにおいて、再び、第1インクを、インクジェットヘッドから図4Eの第1インク焼結層4の上に吐出して塗布することにより、図4Eの工程で得られた第1インク焼結層4の上に、粉体層2bをインクジェット法により形成する。
この後は、図4Bの熱処理を行ったのち、図4C~図4Gまでの工程を繰り返すことによって、所望の形状の立体物14を造形する。
このようにして、少なくとも、図4C及び/又は図4D及び/又は図4Fなどの塗布工程と図4E及び/又は図4Gなどの熱処理工程とを適宜繰り返し行うことにより、図4Gに示すように、短時間で高精度に、白色で硬度の高いジルコニアセラミックス立体物14を造形することができる。
以上述べた立体物造形方法は、本発明の適用範囲のうちの典型例を例示したに過ぎない。
例えば、ジルコニアセラミックスによる立体物を造形する場合を例示したが、他のセラミックス(アルミナ、シリコンカーバイド、又はチッ化珪素など)を造形する場合にも適用可能である。
前記実施形態1~4によれば、高精度に1又は2つの粉体層2,2a,2bを形成するごとに焼結を行うので、長時間の焼結工程が必要なく、短時間で立体物11,12,13,14を造形することができる。また、焼結工程で発生するクラック6も粉体層2aで埋めて修正することができるため、複雑な形状を、より正確に造形することができる。つまり、短時間で高精度に立体物11,12,13,14を造形することができる。
なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
以上のように、本発明の前記態様にかかる立体物造形方法は、セラミックスからなる立体物を造形するに際して、短時間で高精度に造形することができる立体物造形方法を提供することができ、例えば、ジルコニア製の義歯の製造、又は、ジルコニア、アルミナ、シリコンカーバイド、又はチッ化珪素などのエンジニアリングセラミックスの製造に利用できる。
1・・・基材
2,2a,2b・・・第1インクの粉体層
4,4a・・・第1インク焼結層
5・・・第2インク硬化層
6・・・クラック
7・・・クラック検出手段
11,12,13,14・・・立体物

Claims (4)

  1. セラミックスの粉体を含む粉体層を基材に形成する第1ステップと、
    前記第1ステップで形成した前記粉体層を熱処理して粉体を焼結し焼結層を形成する第2ステップと、
    前記焼結層に発生したクラックのみを、セラミックスの粉体を含む粉体層で埋める第3ステップと、
    前記第3ステップで形成した粉体層を再度焼結する第4ステップとを備え、
    前記第1、第2、第3、第4ステップを繰返し行う、
    立体物造形方法。
  2. 前記第3ステップで、前記クラックを埋める前に、前記クラックをクラック検出手段で検出する、
    請求項1に記載の立体物造形方法。
  3. 前記第2ステップと前記第3ステップとの間に、前記粉体層の前記粉体とは材料特性が異なるジルコニア粉体を主成分とする粉体に樹脂を含むサポート層を形成する第5ステップを備える、
    請求項1または2のいずれか1項に記載の立体物造形方法。
  4. 前記第3ステップが、スキージを使用した印刷によって行われる、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の立体物造形方法。
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