以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の固液分離装置は、下水処理施設における沈砂池や沈殿池、あるいは、工場排水に含まれている金属粉等を除去する装置、さらにはダム湖等の貯水池に設置され流入した土砂等を除去する装置に採用することができる。本実施形態では、本発明を沈砂池に採用した例を用いて説明する。この沈砂池は、下水処理施設の上流側に配置され、下水または雨水などの汚水に含まれる砂を沈降させた後、沈降させた砂を集砂ピットに移動させて汚水から取り除くものである。
図1は、本発明の一実施形態に相当する沈砂池1を上方から見た平面図であり、図2は、図1に示す沈砂池1のA-A断面図である。
図1に示すように、沈砂池1は、除塵機2と、トラフ3と、集砂ピット42とを備えた平面視長方形状の池である。以下、沈砂池1の長辺方向を長手方向と称し、短辺方向を幅方向と称することがある。図1に示す沈砂池1は、図の左側から汚水を受け入れ、受け入れた水は図の右側に向かってゆっくりと流れていく(図1および図2に示す矢印参照)。すなわち、沈砂池1の長手方向が水の流れの方向になり、図1および図2では図の左側が上流側になり右側が下流側になる。
除塵機2は、沈砂池1に流れ込んできた汚水に混入している混入物のうち、所定の大きさ以上の石塊やし渣等を除去するためのものであり、トラフ3や集砂ピット42よりも上流側に設置されている。除塵機2は、無端チェーン21と、その無端チェーン21に間隔をあけて取り付けられた複数のレーキ22と、水中に没する濾過スクリーン23とを有する。無端チェーン21は、沈砂池1の幅方向両側それぞれに斜めに起立した状態で設けられたものであり、図2に示すように、地上側スプロケット211と、池底側スプロケット212に巻きかけられている。無端チェーン21が駆動すると、レーキ22は水中を出入りする。濾過スクリーン23は、無端チェーン21の下流側に配置されている。この濾過スクリーン23は、上下方向に延びるバーが所定間隔(例えば、25mm~75mm)で並べられ、所定間隔以上の大きさの混入物の通過を遮るものである。本実施形態では、上下方向に延びるバーが75mm間隔で並べられている。濾過スクリーン23で遮られた混入物は、レーキ22によって掻き揚げられ、掻き揚げられた混入物は、地上側で不図示のベルトコンベア等の運搬手段に載せられる。
除塵機2の下流側には、上流側池底部10a、集砂ピット42、および下流側池底部10bが、上流側から下流側にかけて記載順に設けられている。以下、上流側池底部10aと下流側池底部10bを区別する必要がない場合は、総称して池底部10と称することがある。図2に示すWLは汚水の水面を表している。この水面WLの位置は、沈砂池1へ流れ込む汚水の量によって、池底部10からの高さが例えば1m以上5m以下の範囲で変化する。沈砂池1に流れ込んだ汚水中の砂は、池底部10および集砂ピット42に沈降し、池底部10に沈降した砂は、後述するように、吐出口7aから吐出された水によって集砂ピット42に移送される。これによって、沈砂池1に流れ込んだ汚水中の砂は、集砂ピット42に集められる。すなわち、吐出口7aから集砂ピット42に向かう方向が移送方向に相当し、図1および図2に示す沈砂池1においては、上流側池底部10aでは右方向が移送方向になり、下流側池底部10bでは左方向が移送方向になる。また、池底部10は、底部の一例に相当し、集砂ピット42は集積部の一例に相当し、沈砂池1に流れ込んだ汚水中の砂は、受け入れた液体に含まれている混入物の一例に相当する。
池底部10には、幅方向両側から幅方向の中央に向けて下方に傾斜した傾斜面41,41が設けられ、傾斜面41,41につながるようにトラフ3が設けられている。本実施形態では、傾斜面41は、コンクリートを打設することで形成されている。トラフ3は、池底部10において、集砂ピット42に向けて延在し上方に向かって開口した溝に相当するものである。上流側池底部10aに設けられたトラフ3の上流側、および下流側池底部10bに設けられたトラフ3の下流側それぞれには、詳しくは後述する吐出口7aを備えた吐出部材7が設けられている。また、上流側池底部10aに設けられたトラフ3の下流側、および下流側池底部10bに設けられたトラフ3の上流側それぞれは、集砂ピット42に接続している。トラフ3内には、空間形成部材8が設けられている。この空間形成部材8は、トラフ3に沿って延在したものであり、上流側池底部10aに設けられた空間形成部材8の下流側の端部、および下流側池底部10bに設けられた空間形成部材8の上流側の端部それぞれは、集砂ピット42の内部に突出している。トラフ3および空間形成部材8についての詳しい説明は後述する。
集砂ピット42には、揚砂ポンプ51が設けられている。この揚砂ポンプ51は、集砂ピット42の底面に配置され、集砂ピット42に集められた砂を沈砂池1の外部に搬送するものである。また、揚砂ポンプ51は、揚砂管52(図1参照)に着脱自在に接続されており、集砂ピット42の底面近傍に位置する吸引口から揚砂ポンプ51に吸引された砂は、揚砂管52を通して沈砂池1の外部に送られる。すなわち、揚砂ポンプ51は、除去手段の一例に相当する。この揚砂ポンプ51は、上端部にワイヤを取付けた状態で揚砂管52から取り外し、次いでワイヤを引き上げることで、集砂ピット42から地上に引き上げてメンテナンス等をすることができる。また、揚砂ポンプ51には、笠部材6が取り付けられている。揚砂ポンプ51を地上に引き上げると、笠部材6も一緒に地上に引き上げることができる。笠部材6は、囲み部材の一例に相当するものであるが、詳しい説明は後述する。さらに、集砂ピット42の内部には、揚砂ポンプ51の吸引口の下方に向けて水を吐出する撹拌部材53が設けられている。この撹拌部材53は、揚砂ポンプ51の吸引口の下方に堆積した砂に向けて水を吐出し、吸引口の下方に堆積した砂を撹乱させることによって、揚砂ポンプ51の吸引口が塞がれてしまうことを防止するとともに砂の吸引を促進するものである。
下流側池底部10bよりもさらに下流側には、不図示のポンプ井が設けられている。ポンプ井には、砂が取り除かれた汚水が貯留される。ポンプ井の内部には、揚水ポンプが設けられ、揚水ポンプによって吸引された汚水は、不図示の沈殿池に送られる。
次に、図3~図6を用いて、吐出部材7と、吐出部材7が配置された周辺の構成を説明する。なお、上流側池底部10aと下流側池底部10bは、集砂ピット42を挟んで対称に構成されている。このため、以下の説明では、上流側池底部10aに設けられた構成と下流側池底部10bに設けれられた構成が共通する場合には、上流側池底部10aに設けられた構成を例に挙げて説明し、下流側池底部10bに設けられた構成の説明は省略する場合がある。
図3(a)は、図2に示す沈砂池1のB-B断面図であり、図3(b)は、同図(a)のC-C断面図である。図3(a)では図の左右方向が幅方向になり、図の奥側から図の手前側に向かう方向が移送方向になる。また、図3(b)では図の右方向が、移送方向になる。
図1、図2および図3(a)に示すように、吐出部材7は、その後端部分に給水管70が接続され、その先端部分に吐出口7aを備えたものである。給水管70から吐出部材7に供給された水が、吐出口7aから移送方向に吐出される。本実施形態では、吐出口7aから吐出される水の吐出流速は、8m/sec以上に設定され、吐出圧は、0.05MPa以上0.3MPa以下に設定されている。また、後述するように、トラフ3の全長が10m程度に設定される本実施形態では、吐出口7aから吐出される水の流量は、毎分2000リットル程度に調整される。ここで、トラフ3の全長を5m程度に設定する場合には、吐出口7aから吐出される水の流量は、毎分1500リットル程度に調整される。このように、吐出口7aから吐出される水の流量は、トラフ3の全長等に応じて適宜調整すればよい。なお、吐出口7aから吐出する水は、汚水処理場に受け入れた汚水を使用してもよいが、その他の流体であってもよい。
また、図3(a)および同図(b)に示すように、吐出部材7が配置された領域には、補助トラフ30、補助空間形成部材80および第1支持板91が設けられている。補助トラフ30は、トラフ3と幅方向の断面形状が同一であるが、トラフ3(図1および図2参照)に比べて移送方向の長さが大幅に短いものである。また、補助空間形成部材80も、空間形成部材8と幅方向の断面形状が同一であるが、空間形成部材8(図1および図2参照)に比べて移送方向の長さが大幅に短く、さらに補助トラフ30と比べても移送方向の長さが半分程度のものである。補助トラフ30および補助空間形成部材80は、ボルトとナットからなる締結部材913によって、第1支持板91における移送方向上流側に固定されている。なお、第1支持板91における移送方向下流側には、トラフ3と空間形成部材8が溶接によって固定されている。
図4(a)は、吐出部材7の平面図であり、同図(b)は、同図(a)に示す吐出部材7を下方から見た側面図である。図4(a)では、上下方向が幅方向になり、同図(b)では、紙面に直交する方向が幅方向になり、右方向が移送方向になる。図4(a)および同図(b)に示すように、吐出部材7は、2つのL型パイプ71,72、直線状のパイプ73およびノズル部74が連結されて構成されている。ノズル部74は、本実施形態では、丸パイプを扁平状につぶして形成したものであり、その先端に吐出口7aが形成されている。このように丸パイプを扁平状につぶしてノズル部74を形成する態様を採用すれば、その作製が容易になる。なお、直線状のパイプ73には、幅方向外側にそれぞれ延在した載置片731,731が設けられている。
図5(a)は、補助トラフ30の正面図(下流側から見た図)であり、同図(b)は、同図(a)に示す補助トラフ30を左側から見た側面図である。図5(a)では、図の左右方向が幅方向になり、図5(b)では、図の右方向が移送方向になる。図5(a)および同図(b)に示すように、補助トラフ30は、詳しくは後述するトラフ3と同様に丸パイプの上側部分を切欠いた形状のものである。また、補助トラフ30には、移送方向下流側(図5(b)の右側)の端部に板状のフランジ部31が設けられている。このフランジ部31には、第1支持板91に固定するボルトを通すボルト孔31aが形成されている。補助トラフ30は、トラフ3と同様に溝に相当するものであり、溝を確定する溝画定面30aには、幅方向内側に延在した一対の支持片32,32が設けられている。
図6(a)は、補助空間形成部材80の正面図(下流側から見た図)であり、同図(b)は、同図(a)に示す補助空間形成部材80を左側から見た側面図である。図6(b)では、図の右方向が移送方向になる。図6(a)および同図(b)に示すように、補助空間形成部材80は、詳しくは後述する空間形成部材8と同様に丸パイプの下側部分を切欠いた形状のものである。また、補助空間形成部材80には、移送方向下流側(図6(b)の右側)の端部に板状のフランジ部81が設けられている。このフランジ部81には、第1支持板91に固定するボルトを通すボルト孔81aが形成されている。
図3(a)および同図(b)に示すように、補助トラフ30は、そのフランジ部31を第1支持板91の移送方向下流側の面に接合した状態で、本実施形態では4つの締結部材913によって第1支持板91に固定されている。また、補助空間形成部材80は、そのフランジ部81を第1支持板91の移送方向下流側の面に接合した状態で、本実施形態では5つの締結部材913によって第1支持板91に固定されている。これらによって、補助トラフ30および補助空間形成部材80と、第1支持板91との間に不用意に隙間を生じさせない工夫がなされている。さらに、前述したように、第1支持板91の移送方向上流側の面にはトラフ3が固定されており、補助トラフ30とトラフ3とは、第1支持板91を挟んで移送方向に連続した状態に接続されている。また、第1支持板91の移送方向上流側の面には空間形成部材8が固定されており、補助空間形成部材80と空間形成部材8も、第1支持板91を挟んで移送方向に連続した状態に接続されている。
吐出部材7は、載置片731が、補助トラフ30の支持片32に載置された状態で締結部材732によって補助トラフ30に固定されている。これによって、図3(b)に示すように、吐出口7aが補助空間形成部材80内に入り込んだ位置に配置され、本実施形態では、実線の矢印で示すように、吐出口7aから移送方向に向けて略水平方向に水が吐出される姿勢に吐出部材7が支持されている。なお、補助空間形成部材80を第1支持板91から取り外すとともに、吐出部材7を、補助トラフ30および給水管70から取り外せば、補助空間形成部材80内に入り込んだ吐出口7aを補助空間形成部材80内に入り込んだ状態から取り出すことができる。これにより、例えば、吐出口7aに混入物が詰まってしまった場合にその混入物を取り除くといったメンテナンスを行うことができる。
図3(a)に示すように、第1支持板91は、下側部分が矩形状で、上側部分が台形状の外形を有する板材である。図では、打設されたコンクリートに埋設される部分911はクロスハッチングで示している。また、第1支持板91は、補助トラフ30内の空間S10(図3(b)参照)とトラフ3内の空間S1のうち、補助空間形成部材80内の空間S20(図3(b)参照)と空間形成部材8の空間S2とが連続する領域には第1開口91aが形成され、さらに、下側部分において1/3程度のドーナツ状に第2開口91bが形成されている。これによりトラフ3内の空間S1および補助トラフ30内の空間S10のうち、第1開口91aおよび第2開口91b以外の部分は、第1支持板91によって移送方向に仕切られている。この仕切られた部分は、図では間隔が大きいハッチングで示し、以下、第1区画部分912と称することがある。この第1区画部分912の移送方向上流側の面に、補助空間形成部材80が締結部材913で固定されることによって、補助空間形成部材80が第1支持板91に支持されている。また、第1区画部分912の移送方向下流側の面に、空間形成部材8が溶接で固定されることによって、空間形成部材8が第1支持板91に支持されている。第1支持板91は、空間形成部材8の延在方向に交わる方向(本実施形態では上下方向)に沿って設けられた厚さ3mm程度の板材であり、厚さ方向と直交する方向(高さ方向)の長さよりも厚さ方向の長さの方を短くしたものである。これにより、第1支持板91上には、砂等の混入物が堆積しにくく、また、紐状の混入物が巻き付きにくい。すなわち、第1支持板91は、支持部材の一例に相当する。
第1支持板91は、移送方向において吐出口7aに近い位置に配置され、吐出口7aから吐出される水は、勢いが強い状態で第1支持板91の第1開口91aを通過する。この結果、第1支持板91は、空間形成部材8の移送方向下流端部分を支持する、後述する第2支持板92と比べて、トラフ3内の空間S1を仕切ることによる弊害が相対的に小さい。このため、本実施形態では、空間形成部材8および補助空間形成部材80の支持を重視し、第1支持板91の第2開口91bを、1/3程度のドーナツ状の開口とし、空間形成部材8および補助空間形成部材80を固定する部分を十分に確保する態様を採用している。
また、第1区画部分912は、空間形成部材8および補助空間形成部材80よりも上方に位置する部分を有している。以下、第1区画部分912のうち、空間形成部材8および補助空間形成部材80よりも上方に位置する部分を、仕切部9121と称することがある。図3(a)では、一点鎖線を用いて仕切部9121をその他の部分と区別している。補助トラフ30と補助空間形成部材80との間隔Cよりも大きな石塊R(図では二点鎖線で示している)が沈砂池1に受け入れられると、補助トラフ30における溝画定面30aの上縁と補助空間形成部材80との間に引っ掛かってしまう場合がある。本実施形態では、このような大きな石塊Rは、第1支持板91の第1区画部分912のうち、特に仕切部9121によって堰き止めることができる。すなわち、第1支持板91の第1区画部分912のうち、少なくとも仕切部9121は、仕切部材に相当する。
図7は、図2に示す沈砂池1のD-D断面図である。図7では、左右方向が幅方向になり、紙面奥側から紙面手前側に向かう方向が移送方向になる。また、図7では、図面を簡略化するため、吐出部材7のうち吐出口7aのみを示し、また、第1支持板91は省略している。
図7に示すように、トラフ3の幅方向両側に設けられている傾斜面41は、トラフ3に向かって下方に30度程度傾斜している。トラフ3は、内部に空間S1が形成されるとともに、溝を画定する円弧状の溝画定面3aを有しており、この溝画定面3aの上端部分に上縁3bを有している。また、トラフ3は、全長10m、直径300mm、板厚3mm程度のステンレス製の円筒体の上方の略1/3を切り欠いた形状のものであり、上方に向かって開口している。以下、上方に向かって開口している部分をトラフ3の開口と称する。なお、トラフ3の幅方向の断面形状は円弧状に限られず、U字状やV字状等であってもよい。
空間形成部材8は、トラフ3内の空間S1を仕切るものであって、下端より上の部分が閉塞した空間S2を形成するものである。また、空間形成部材8は、直径150mm、板厚3mm程度のステンレス製の円筒体の下方の略1/6を切り欠いた形状のものであり、円弧状の側面8aを有するとともに、下方に向かって開口している。以下、この開口している部分を吸込口8bと称する。この吸込口8bは、幅方向に開口長Lをもった開口であり、本実施形態では、吸込口8bの幅方向の開口長Lを、除塵機2の濾過スクリーン23におけるバー(図1および図2参照)の間隔よりも大きい、例えば80mm程度に設定している。吸込口8bの幅方向の開口長Lの大きさは特に限られるものではないが、濾過スクリーン23を通過してきた混入物が、吸込口8bに詰まらないようにするためには、吸込口8bの幅方向の開口長Lを、除塵機2の濾過スクリーン23におけるバーの間隔(目幅)以上に設定することが好ましい。なお、本実施形態では、空間S2は、吸込口8bにつながる下端部分が、その吸込口8bに近づくほど狭くなっており、この態様を採用するためには、吸込口8bの幅方向の開口長Lを、空間形成部材8の直径よりも小さくすればよい。なお、詳しくは後述するが、空間形成部材8は、トラフ3の全長よりも僅かに長い全長を有している。
空間形成部材8は、前述したように、その移送方向上流側の端部が第1支持板91(図3参照)に支持され、その移送方向下流側の端部は、詳しくは後述する第2支持板92(図8参照)に支持されている。図7に示すように、本実施形態では、空間形成部材8の径方向の中心を、トラフ3の径方向の中心に一致させている。したがって、トラフ3と空間形成部材8との径方向の間隔Cはいずれの箇所においても略同じ大きさになり、本実施形態では80mm以上は確保されている。このように、吸込口の幅方向の開口長Lと同様に、トラフ3と空間形成部材8との間隔Cも、濾過スクリーン23の目幅(ここでは75mm)以上確保しているため、上流側の濾過部材を通過してしまった混入物がその間隔Cに詰まることが抑制される。また、本実施形態では、空間形成部材8の径方向の中心を、トラフ3の径方向の中心に一致させているため、いずれの箇所においても濾過スクリーン23の目幅以上の間隔Cを確保することが容易になる。
沈砂池1に流れ込んだ汚水に含まれている砂は、汚水が下流側へ流れていく課程において池底部10や集砂ピット42に沈降していく。上流側池底部10aに沈降してきた砂のうち、傾斜面41に沈降した砂は、図では直線の矢印で示すように、傾斜面41に沿ってさらにトラフ3に向かって流れ落ち、トラフ3の開口からトラフ3と空間形成部材8との隙間に入り込む。空間形成部材8にも砂が沈降してくるが、円弧状であるため、砂が堆積しにくく、空間形成部材8に沈降してきた砂は、円弧状の側面8aをつたってトラフ3と空間形成部材8との隙間に入り込む。したがって、上流側池底部10aに沈降してきた砂は、トラフ3内に堆積していく。また、トラフ3と空間形成部材8との間隔Cよりも大きい石塊R等が流れ込んでしまった場合には、溝画定面3aの上縁3bと、空間形成部材8との間に引っ掛かかる。本実施形態では、沈砂池1の上流側に除塵機2を設けているため、その濾過スクリーン23の目幅以上、すなわちトラフ3と空間形成部材8との間隔Cよりも大きい石塊R等が濾過スクリーン23を通過し、上流側池底部10aに流れ込んでくる可能性は少ない。しかしながら、濾過スクリーン23を通過する際の石塊の向き等によっては、トラフ3の上縁3bと空間形成部材8との間に引っ掛かるような大きさの石塊R等が不用意に濾過スクリーン23を通過し、上流側池底部10aに流れ込んでしまう可能性がある。また、除塵機2を、沈砂池1の上流側ではなく下流側に設けている場合には、トラフ3と空間形成部材8との間隔Cよりも大きい石塊R等が流れ込んでくる可能性が高くなる。
図7に示すように、本実施形態では、吐出口7aは、移送方向から見た位置が空間形成部材8内における空間S2の中央になるように配置されている。この吐出口7aは、前述したように、パイプ状の給水管の先端を扁平につぶすことで形成された長孔形状のものであり、その幅方向の開口長Wを、吸込口8bの幅方向の開口長Lよりも長く設定している。具体的には、本実施形態における吐出口7aの幅方向の開口長Wは120mm程度、その高さHは20mm程度である。吐出口7aをこのような扁平な形状にすることで、真円の形状のものよりも、流速を高めた範囲を広く確保することができる。なお、吐出口7aの幅方向の開口長は、図において二点鎖線で示すように空間形成部材8内いっぱいまで大きくすることができる。ただし、吐出口7aの幅方向の開口長を大きくしていくと、補助トラフ30(図3参照)との間の隙間が小さくなっていき、この隙間にゴミ等が詰まり易くなったり、吐出部材7(図3参照)を取り外す際に補助トラフ30に干渉してしまうといった不都合が生じてしまう場合がある。このため、このような不都合が生じない範囲で、吐出口7aの幅方向の開口長Wを決定することが好ましい。この吐出口7aからは、空間形成部材8の軸心と平行あるいは略平行に水が吐出される。すなわち、水平方向あるいは略水平方向に水が吐出される(図3(b)中における実線の右向きの矢印参照)。
吐出口7aから空間形成部材8の空間S2内に水が吐出されることで、空間形成部材8の内(空間S2)と外とで圧力差が生じ、トラフ3内(空間S1)に堆積した砂は、図7に示す曲線の矢印のように、吸込口8bから空間S2内に吸い込まれる。さらに、その空間形成部材8の空間S2内では、吸い込まれた砂が、吐出口7aから吐出された水の流れによって集砂ピット42(図1および図2参照)に向かって移動する。ところで、空間形成部材8の吸込口8bは、トラフ3内に堆積した砂を、吐出口7aから水が吐出されることで空間S2内に吸い込む吸込口として機能するものであるが、吐出口7aの形状や、吐出口7aとの大きさの関係によっては、吐出口7aから吐出された流体の勢いによって空間内S2内に吸い込まれた砂を吐き出す吐き出し口として機能してしまう場合がある。本実施形態では、吐出口7aの幅方向の開口長Wが、吸込口8bの幅方向の開口長Lよりも長いものであるため、吸込口8bから空間S2内にものを吸い込む吸込力と比べ、吸込口8bから空間S2内の砂を吐き出す吐き出し力が相対的に弱まる。これにより、吸込口8bが、空間S2内の砂を吐き出す吐き出し口として機能してしまうことを抑え、集砂ピット42まで十分に砂を送ることができる。なお、吐出口7aの幅方向の開口長Wが、吸込口8bの幅方向の開口長Lよりも小さいものであっても、トラフ3内に堆積した砂を吸込口8bから空間S2内に吸い込ませることができる。しかしながら、前述したように、吸込口8bが吐き出し口として機能してしまう場合には、空間S2内を移動する砂が集砂ピット42まで到達する前に吸込口8bから外に出てしまう場合がある。このため、砂をより遠くまで移動させるためには、吐出口7aの幅方向の開口長Wを、吸込口8bの幅方向の開口長Lよりも長くすることが好ましい。
なお、本実施形態では、吐出口7aの高さ方向の位置を、空間形成部材8の空間S2の中心に配置し、図3(b)に示すように、吐出口7aから水平方向あるいは略水平方向に水を吐出させる構成を採用しているが、図3(b)の一点鎖線で示すように、吐出口7aの高さ方向の位置を、空間形成部材8の空間S2の中心よりも下方に配置し、吐出口7aからやや上方に向けて水を吐出させる構成を採用することもできる。こうすることで、特に吐出口7a近傍領域において、吸込口8bから空間S2内に砂を吸い込む吸込力を向上させることが可能になる。
また、トラフ3の空間S1内に堆積する砂が多い場合には特に、空間形成部材8の空間S2内における砂の移動に伴い、空間S2外でも堆積した砂が集砂ピット42に向かって移動する。この空間S2外の移動に引き摺られるようにして、トラフ3の上縁3bと空間形成部材8との間に引っ掛かってしまった石塊Rも集砂ピット42に向かって移動する場合がある。
次に、図8を用いて、トラフ3の移送方向下流側の端部の構造および空間形成部材8の移送方向下流側の端部の構造、ならびにこれらを支持する第2支持板92について説明する。
図8(a)は、図2に示す沈砂池1のE-E断面図であり、図8(b)は、図2に示す沈砂池1における円で囲むF部を拡大して示す拡大断面図である。図8(a)では、左右方向が幅方向になり、詳しくは後述する笠部材6は省略している。図8(b)では、右方向が移送方向になる。
図8(a)および同図(b)に示すように、第2支持板92は、矩形状の板材である。また、第2支持板92は、図1、図2および図8(b)に示すように、移送方向下流側の面が集砂ピット42に面する位置に設けられており、図8(a)では、クロスハッチングで示す部分921の移送方向上流側(図8(a)では裏面側)には、打設されたコンクリートが存している。図8(b)に示すように、空間形成部材8は、第2支持板92を移送方向に貫通し、その集砂ピット42側の端部が、第2支持板92よりも集砂ピット42内に突出している、すなわち空間形成部材8は、トラフ3の集砂ピット42側の端部よりも集砂ピット42側(移送方向)に突出している。以下、空間形成部材8の、集砂ピット42内に突出した部分を突出部8cと称することがある。空間形成部材8は、第2支持板92に貫通した状態でその貫通した部分が溶接で固定されることによって第2支持板92に支持されている。
ところで、空間形成部材8の集砂ピット42側の端部を、トラフ3の集砂ピット42側の端部に一致させると、吐出口7aから吐出された水は、集砂ピット42に到達した直後に、集砂ピット42の空間内に拡散する。このため、空間形成部材8の集砂ピット42近傍部分では、空間形成部材8の内と外との圧力差が小さくなって吸込力が低下し、空間形成部材8の空間S2内を集砂ピット42に向かって移動してきた砂の一部が、集砂ピット42に到達する前に、吸込口8bから出てしまい、砂が集砂ピット42まで到達しない場合があることがわかってきた。本実施形態の空間形成部材8は、突出部8cを有しているため、図8(b)で水の流れを示す3本の曲線の矢印のうち最も上流側の矢印で示すように、空間S2内を集砂ピット42に向けて移動していく砂が、空間形成部材8の下流側の端部よりも上流側で吸込口8bから落下してしまった場合でも、砂を集砂ピット42まで到達させやすくする構成を採用している。これにより、本実施形態では、より多くの砂を集砂ピット42まで移送することができる。
第2支持板92は、第1支持板91と同様に、トラフ3内の空間S1のうち、空間形成部材8の空間S2が集砂ピット42に繋がる領域には第1開口92aが形成され、さらに、下側部分において1/2程度のドーナツ状に第2開口92bが形成されている。これによりトラフ3内の空間S1のうち、第1開口92aおよび第2開口92b以外の部分は、第2支持板92によって移送方向に仕切られている。この仕切られた部分は、図では間隔が大きいハッチングで示し、以下、第2区画部分922と称することがある。この第2区画部分922に貫通した状態で空間形成部材8が支持されている。第2支持板92も、第1支持板91と同様に、空間形成部材8の延在方向に交わる方向(本実施形態では上下方向)に沿って設けられた厚さ3mm程度の板材であり、厚さ方向と直交する方向(高さ方向)の長さよりも厚さ方向の長さの方を短くしたものである。これにより、第2支持板92上には、砂等の混入物が堆積しにくく、また、紐状の混入物が巻き付きにくい。すなわち、第2支持板92も、支持部材の一例に相当する。なお、第1支持板91も第2支持板92も、上下方向に対して傾斜させる態様としてもよい。
前述したように、吐出口7aから吐出された水の勢いは、下流側にいけばいくほど相対的に弱まるため、本実施形態の第2支持板92では、空間形成部材8の支持よりも水を通過させる点を重視し、第2開口92bの大きさを第1支持板91の第2開口91bよりも大きく設定している。
また、第2区画部分922も、図8(a)では一点鎖線で区別して示すように、空間形成部材8よりも上方に位置する仕切部9221を有している。補助トラフ30と補助空間形成部材80との間隔Cよりも大きな石塊Rが流れてきても、特に仕切部9221によって堰き止めることができる。すなわち、第2支持板92の第2区画部分922のうち、少なくとも仕切部9221は、仕切部材に相当する。また、この仕切部9221は、図3(a)に示す第1支持板91の仕切部9121に比べて大きく形成している。これは、集砂ピット42に配置された揚砂ポンプ51(図1および図2参照)に大きな石塊等の混入物が詰まってしまうことを抑えるため、集砂ピット42の直前において大きな石塊Rを確実に堰き止めようとする意図である。なお、図2および図3(a)に示すように、第1支持板91の仕切部9121は、傾斜面41の上端41a(図9(a)、図13(c)等参照)の高さ位置よりも低い位置に設けられたものであり、図2および図8(a)に示すように、第2支持板92の仕切部9221であっても、傾斜面41の上端41aの高さ位置よりも低い位置に設けられたものである。ここで、移送方向において水の流れを堰き止めると、その部分で水の流速が速まり砂が沈降しにくくなるといった不具合が生じる。このため、これら仕切部9121,9221によって、必要以上に水の流れを堰き止めることがないように、仕切部9121,9221の高さを制限している。
下流側池底部10bは、これまで例にあげて説明した上流側池底部10aと、集砂ピット42を挟んで対称の構成を備えている。このため、下流側池底部10bにおける吐出口7aは、下流側池底部10bの下流側の端部に配置され、その吐出口7aから上流側に向けて水が吐出される。これにより、吐出口7aの水の吐出方向、すなわち移送方向は、上流側池底部10aと反対になり、空間形成部材8内の空間S2内を、下流側から上流側に向けて砂が移動し集砂ピット42に集められる。なお、沈砂池1に大きな混入物が流れ込んだ場合には、上流側池底部10aに沈降する可能性が高く、下流側池底部10bに、トラフ3と空間形成部材8との間隔Cよりも大きい石塊R等が流れ込んでくる可能性は低い。また、下流側池底部10bにおいて、たとえトラフ3と空間形成部材8との間に大きな石塊R等が挟まったとしても、上流側から下流側に向けて水の流れがあるため、挟まった石塊R等は、集砂ピット42まで移動しにくい。これらのため、下流側池底部10bでは、図3(a)に示す第1支持板91の仕切部9121を省略し、あるいは面積を小さくする態様も採用可能であり、また、図8(a)に示す第2支持板92の仕切部9221を省略し、あるいは面積を小さくする態様を採用してもよい。
さらに、図1、図2および図8(b)に示すように、本実施形態では、大きな石塊等の混入物が揚砂ポンプ51に詰まってしまうことを抑える工夫として、仕切部9121,9221に加え、笠部材6も設けている。図9を用いて、笠部材6について説明する。
図9(a)は、図1に示す沈砂池1の集砂ピット42およびその周辺部分を円で囲むG部を拡大して示す図であり、図9(b)は、同図(a)のH-H断面図であり、同図(c)は、同図(a)のI-I断面図である。図9(a)および同図(b)では、左側が上流側になり、右側が下流側になる。図9(c)では、左右方向が幅方向になる。図9(d)は、同図(a)に示す笠部材6を、上流側の左斜め上方から見た斜視図である。
図9(a)~同図(c)に示すように、笠部材6は、トラフ3および空間形成部材8から集砂ピット42の揚砂ポンプ51につながる流路を確保した状態で揚砂ポンプ51を囲むものである。すなわち、笠部材6は、囲み部材の一例に相当する。囲み部材としては、トラフ3および空間形成部材8から集砂ピット42の揚砂ポンプ51につながる流路以外の部分を閉塞して揚砂ポンプ51を囲むものであってもよいが、本実施形態の笠部材6は、所定の隙間をあけた状態で揚砂ポンプ51を囲んでいる。
笠部材6は、図9(a)~同図(d)に示すように、上面に位置する天井部61、この天井部61の上流側と下流側に設けられた仕切壁62,62、揚砂管52が位置する側の側壁を構成する第1側壁部63、および他方の側壁を構成する第2側壁部64を備えている。本実施形態の笠部材6は、揚砂ポンプ51を囲むとともに、天井部61によって揚砂ポンプ51を覆っている。
天井部61は、概略矩形状のものであり、上流側と下流側それぞれに突出した突出部611,611と、平面視略中央に設けられた貫通孔61aと、揚砂管52を回避するための略U字状の切欠部61bを有している。また、笠部材6は、天井部61の貫通孔61aに揚砂ポンプ51が貫通した状態で、不図示の締結部材によって揚砂ポンプ51に取り付けられている。これによって、前述したように、揚砂ポンプ51を集砂ピット42から引き上げることで、笠部材6も集砂ピット42から引き上げることができる。
仕切壁62は、天井部61の突出部611から略逆三角形状に垂下したものであり、下端部分が円弧状に切欠かれている。また、仕切壁62は、図9(a)および同図(b)に示すように、上流側池底部10aにおける第2支持板92よりも上流側と、下流側池底部10bにおける第2支持板92よりも下流側にそれぞれ位置している。すなわち、仕切壁62を、第2支持板92よりも、移送方向上流側に位置させている。これにより、前述したように、吐出口7aから吐出される水による砂の移送に伴い集砂ピット42に向かって移動してきた石塊R(図8(a)等参照)は、まずは、仕切壁62によって堰き止められる。この仕切壁62を通過してしまった石塊Rがある場合には、最終的に第2支持板92によって堰き止められる。なお、仕切壁62は、第2支持板92よりも移送方向下流側に位置させてもよい。ただし、この態様では、仕切壁62と第2支持板92との間に石塊等が挟まってしまうと、揚砂ポンプ51が駆動する際の振動等によって仕切壁62が動いて仕切壁62と第2支持板92との間に挟まった石塊等が集砂ピット42に落下してしまう場合がある。これに対し、図9に示すように、仕切壁62が、第2支持板92よりも移送方向上流側に位置する態様とすれば、仕切壁62が動いても、仕切壁62と第2支持板92との間に挟まった石塊等が集砂ピット42に落下してしまうこともない。
また、仕切壁62は、その下端部分が円弧状に切欠かれていることにより、図9(c)に示すように、仕切壁62と空間形成部材8との間には、トラフ3と空間形成部材8との間隔と略同じ大きさの間隔が設けられている。
第1側壁部63は、移送方向に間隔をあけて設けられた一対の矩形状壁部631,631と、これら矩形状壁部631,631に挟まれた位置であって天井部61の切欠部61bから垂下したU字状壁部632を有している。このU字状壁部632は、揚砂ポンプ51を揚砂管52から取り外し、揚砂ポンプ51とともに笠部材6を集砂ピット42から取り出す際に、笠部材6の揚砂管52への接触を回避しつつ、第1側壁部63側から揚砂ポンプ51の吸引口につながる流路をある程度遮るものである。第2側壁部64は、一枚の矩形状の壁部である。これら、第1側壁部63および第2側壁部64は、集砂ピット42の底に対して隙間をあけて配置されている。この隙間の設定により、揚砂ポンプ51に達することを阻む混入物の大きさの下限値を調整することができる。
この笠部材6によって、揚砂ポンプ51に不具合を生じさせるような混入物が揚砂ポンプ51に達することを阻むことが可能になる。なお、天井部61は必ずしも必要ではないが、本実施形態のように揚砂ポンプ51を囲むとともに天井部61によって覆う状態とすれば、側方から流れてくる混入物のみならず上方から沈降してきた混入物をも遮ることができる。
次に、前述した実施形態の変形例について説明する。これより後の説明では、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
図10は、仕切部材の変形例を示す図である。図10では、左右方向が幅方向になる。
前述した実施形態では、図3(a)および図8(a)に示すように、第1支持板91の一部である仕切部9121や第2支持板92の一部である仕切部9221が、仕切部材としての機能を有しているが、空間形成部材8を支持する機能を有さない仕切部材として構成してもよい。図10では、空間形成部材8を支持する機能を有さない仕切部材を設けた変形例を示している。
図10(a)に示す仕切部材93は、その下端部931が、幅方向に略直線状に設けられ、空間形成部材8の上端とトラフ3の溝画定面3aの上縁につながる状態、すなわち空間形成部材8の上端とトラフ3の上縁3bにつながる状態に設けられている。これにより、仕切部材93は、空間形成部材8の上端とトラフ3の上縁3bにつながる領域から上方の領域に設けられている。仕切部材93の高さ寸法は、トラフ3の上縁3bと空間形成部材8との最小となる間隔Cと略同じ長さに設定され、上端部932は幅方向に略直線状に設けられている。なお、トラフ3内における空間形成部材8の高さ位置を変更する場合には、図10(a)では二点鎖線で示すように、仕切部材93の下端部分を、空間形成部材8の上端とトラフ3の上縁3bにつながるように傾斜させて設ければよい。この仕切部材93によれば、空間形成部材8とトラフ3の上縁3bとの間に挟まった石塊Rを安定して堰き止めることができる。
図10(b)に示す仕切部材94は、その下端部941と上端部942が上方に凸の円弧状に形成されている。空間形成部材8は、溝画定面3aの、トラフ3の延在方向に交差する方向におけるいずれの上縁3bからも等しい距離離れた位置に配置され、空間形成部材8と下端部941との間は、トラフ3の上縁3bと空間形成部材8との最小となる間隔Cと略同じ大きさの間隔を有している。また、仕切部材94の高さ寸法は、間隔Cと略同じに設定されている。この仕切部材94によれば、より大きな石塊Rが流れてきても安定して堰き止めることができ、特に、除塵機2が下流側に設けられ、大きな石塊等が流れ込みやすい態様の沈砂池に有用である。
図10(c)に示す仕切部材95は、空間形成部材8が、トラフ3内の幅方向の中心に配置されず幅方向に偏った位置に配置される態様に用いられるものである。図10(c)に示す空間形成部材8は、溝画定面3aにおける、図では左側に示す第2上縁3b2よりも、図では右側に示す第1上縁3b1寄りに配置されたものである。これにより、第2上縁3b2と空間形成部材8との最小となる間隔C2は、第1上縁3b1と空間形成部材8との最小となる間隔C1より大きくなっている。仕切部材95は、その下端部951と上端部952が上方に凸の円弧状に形成され、空間形成部材8と下端部951との最小となる間隔は、第2上縁3b2と空間形成部材8との最小となる間隔C2と略同じに設定されている。ここで、図10(c)に示すように、空間形成部材8が、溝画定面3aの、トラフ3の延在方向に交差する方向におけるいずれか一方の上縁(ここでは図の左側に示す第2上縁3b2)よりもいずれか他方の上縁(ここでは図の右側に示す第1上縁3b1)寄りに配置される態様では、第1上縁3b1と空間形成部材8との最小となる間隔C1よりも、第2上縁3b2と空間形成部材8との最小となる間隔C2の方が大きくなる。この態様において、仕切部材95によって、第2上縁3b2と空間形成部材8との最小となる間隔よりも小さな石塊R等を堰き止めても、堰き止めた石塊Rと同じ大きさの石塊R等が、第2上縁3b2と空間形成部材8との隙間から入り込んでしまう場合があり、堰き止める石塊R等の大きさにバラツキが生じてしまう。図10(c)に示す変形例では、仕切部材95の下端部951を、空間形成部材8の上端より、第2上縁3b2と空間形成部材8との最小となる間隔C2分上方に設けることによって、堰き止める石塊R等の大きさの下限値を一定にすることができる。
図11は、図8(b)に示す空間形成部材8の変形例を示す図である。
図11に示す空間形成部材8’の突出部8c’は、下端部分に吸込口8bが設けられておらず、移送方向に見て円環状に構成されている。こうすることで、集砂ピット42に到達する前に吸込口8bから落下してしまう砂をより少なくすることできる。
図12(a)および同図(b)は、図9に示す笠部材6の第1変形例について、図9(c)および同図(d)に対応した様子を示す図である。
図12(a)および同図(b)に示すように、第1変形例の笠部材6’は、天井部61の突出部611,611それぞれから垂下した仕切壁62’,62’が矩形状に形成され、この仕切壁62’,62’を挟んだ幅方向の両側には、天井部61から垂下した矩形状の移送方向側仕切壁621,621が設けられている。第1変形例の笠部材6’では、移送方向側仕切壁621によって、集砂ピット42に流れ込んでくる混入物を堰き止めることが可能になる。
図13は、図9に示す笠部材6の第2変形例と、図9に示す第2支持板92の変形例について、図9に対応した様子を示す図である。図13(b)は、同図(a)のJ-J断面図であり、同図(c)は、同図(a)のK-K断面図である。
図13(a)~同図(d)に示すように、第2変形例の笠部材6’’は、上流側に上流側壁部65を備え、下流側に下流側壁部66を備えている。上流側壁部65には、矩形状の開口部65aが形成され、下流側壁部66にも同様に開口部66aが形成されている。
変形例の第2支持板92’は、空間形成部材8の上側に位置し集砂ピット42側に折曲した折曲部923を有している。この折曲部923が、笠部材6’’の開口部65a,66aから笠部材6’’内に入り込んでいる。これにより、集砂ピット42の上流側は、笠部材6’’の上流側壁部65および第2支持板92’の折曲部923によって堰き止められ、集砂ピット42の下流側は、笠部材6’’の下流側壁部66および第2支持板92’の折曲部923によって堰き止められている。なお、折曲部923は、その先端923aが笠部材6’’内に僅かでも入り込めばよいが、本変形例では安全をみて折曲部923の先端923aが笠部材6’’内に十分に入り込む長さに設定している。また、折曲部の先端923aを笠部材6’’内に入り込ませず、笠部材6’’外であって、上流側壁部65や下流側壁部66と所定の隙間をあけて対向させる構成としてもよい。ただし、折曲部の先端923aと、上流側壁部65等との間に嵌り込んだ石塊等が、揚砂ポンプ51が駆動する際の振動による上流側壁部65等のずれによって集砂ピット42に落下してしまう場合がある。従って、折曲部の先端923aを笠部材6’’内に入り込ませる態様がより好ましい。
図14は、図13に示す第2変形例の笠部材6’’と、変形例の第2支持板92’において、第2変形例の笠部材6’’を第3変形例とした態様について、図13(a)~(c)に対応した様子を示す図である。図14(b)は、同図(a)のL-L断面図であり、同図(c)は、同図(a)のM-M断面図である。
図14(a)~同図(c)に示すように、第3変形例の笠部材60は、天井部61’に形成された切欠部61b’が、揚砂ポンプ51を避けるように大きく切欠かれ、この切欠部61b’からU字状壁部632’が垂下している。図14(a)および同図(b)に示すように、笠部材60は揚砂ポンプ51とは分離しており、図14(a)~同図(c)に示すように、一端が集砂ピット42の側壁421に固定された支持片67が4本設けられ、これら支持片67の他端が天井部61’に固定されている。これによって、図14(b)および同図(c)に示すように、笠部材60は、集砂ピット42の底に対して隙間をあけて配置されている。図14に示す態様では、揚砂ポンプ51は、独立して集砂ピット42から引き上げられる。
ここまでは、上流側池底部10aおよび下流側池底部10bそれぞれに、1つのトラフ3および1つの空間形成部材8を設けた沈砂池1を例に挙げた説明してきた。ここで、上流側池底部10aおよび下流側池底部10bの移送方向の長さが長い場合には、複数のトラフ3を移送方向に接続し、また、複数の空間形成部材8も移送方向に接続する態様としてもよい。また、図1および図2に示すような、上流側池底部10aと下流側池底部10bとの間に集砂ピット42を設ける態様ではなく、集砂ピット42を沈砂池1の下流側の端部に設け、池底部10の長さを長くした場合も同様である。これらの場合には、吐出部材7を移送方向に間隔をあけて複数設けてもよい。
図15(a)は、複数のトラフ3および複数の空間形成部材8それぞれを移送方向に接続し、吐出部材7を複数設ける態様における幅方向の断面図であり、同図(b)は、同図(a)のN-N断面図である。同図(a)では、左右方向が幅方向になり、同図(b)では、右方向が移送方向になる。すなわち、同図(b)では、左側が移送方向上流側になり、右側が移送方向下流側になる。
図15(b)に示すように、移送方向上流側に設けられた、トラフ3および空間形成部材8は、それぞれの移送方向下流側の端部が第3支持板96に支持されている。なお、これらトラフ3および空間形成部材8それぞれの移送方向上流側の端部は、図3に示す第1支持板91に支持されている。また、図15(b)に示すように、移送方向下流側に設けられた、トラフ3および空間形成部材8は、それぞれの移送方向上流側の端部が第3支持板96に支持されている。なお、これらトラフ3および空間形成部材8それぞれの移送方向下流側の端部は、図8(a)に示す第2支持板92に支持されている。
図15(b)に示すように、第3支持板96どうしを重ね締結部材963で固定することで、2つのトラフ3が移送方向に接続され、2つの空間形成部材8が移送方向に接続されている。これにより、トラフ3内の空間S1と、空間形成部材8内の空間S2も移送方向に接続されている。吐出部材7は、空間形成部材8の上端部に形成された挿入口8dから挿入され、吐出口7aから略水平方向に水が吐出される姿勢に支持されている。
図15(a)に示すように、第3支持板96は、図8(a)に示す第2支持板92と同様に、トラフ3内の空間S1のうち、空間形成部材8の空間S2の領域には第1開口96aが形成され、さらに、下側部分において1/2程度のドーナツ状に第2開口96bが形成されている。これによりトラフ3内の空間S1のうち、第1開口96aおよび第2開口96b以外の部分は、第3支持板96によっても移送方向に仕切られている。
図16は、図3(a)や図8に示す吐出口7aに対し、形状や位置を変えた吐出口の変形例を示す図である。図16では、左右方向が幅方向になり、空間形成部材8と、吐出部材のうちの吐出口のみを示している。
図16において実線で示す第1変形例の吐出口70aは、幅方向における両端部分が下方に向くように、円弧状に変形させたものである。こうすることで、吐出口70aにおける幅方向の中央部分が、空間形成部材8の吸込口8bから遠ざかり、吸込口8bが、空間S2内に吸い込まれた砂を吐き出す吐き出し口として機能してしまうことを抑える作用が期待できる。
図16において一点鎖線で示す第2変形例の吐出口70a’は、空間形成部材8の内周面8eに当接するまで、高さ方向の位置を変更するものである。さらに、図16において二点鎖線で示す第3変形例の吐出口70a’’は、吸込口8bの幅方向の開口長Lよりも僅かに大きくなるまで幅方向の開口長Wを縮小させた上で、空間形成部材8の内周面8eに当接するまで、高さ方向の位置を変更するものである。こうすることで、第3変形例の吐出口70a’’は、第2変形例の吐出口70a’よりも高さ方向の位置を変更させる範囲を広げることができる。
これら変形例のように、吐出口は、高さ方向がつぶれ幅方向に拡がった扁平な形状のものであって、幅方向の開口長Wが、吸込口8bの幅方向の開口長Lよりも長いものであるという要件の範囲のなかで、その形状や配置位置を変更することができる。
本発明は前述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、第1支持板91、第2支持板92および第3支持板96や、仕切部材93,94,95、さらには笠部材6について、その一部あるいは全部にスリットを形成したり、複数の棒材を連結させたすのこ状の部材等で構成することで、これら第1仕切部材93等によって沈砂池1における水の流れを阻害してしまうことを抑える態様を採用してもよい。
なお、以上説明した実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、実施形態や他の変形例に適用してもよい。
以下、これまで説明したことを含めて付記する。
(付記1)他の固液分離システムは、受け入れた液体に含まれている混入物を底部に沈
降させ、沈降させた混入物を集積部まで移送し、該集積部から該混入物を除去する固液分離システムであって、
前記底部において、前記集積部に向けて延在し、上方に向かって開口した溝と、
前記溝を画定する溝画定面との間に隙間をあけて該溝に沿って配置されたものであり、上端部分が閉塞した空間を形成し、該上端部分より下方に該溝の底部から離間した吸込口が設けられた空間形成部材と、
前記空間内において流体を、前記混入物の移送方向下流側に向けて吐出する吐出口と、
前記溝の延在方向と交差する方向に前記底部を仕切る仕切部材とを備え、
前記吸込口は、前記溝内で開口し、該溝内に堆積した混入物を、前記吐出口から流体が吐出されることで前記空間内に吸い込む開口として機能するものであり、
前記空間形成部材は、前記空間内に吸い込まれた混入物が、前記吐出口から流体が吐出されることで前記集積部に向かって移動する経路として機能するものであり、
前記仕切部材は、前記空間形成部材よりも上方に少なくとも設けられたものであることを特徴とする。
(付記2)また、この固液分離システムにおいて、前記仕切部材は、前記空間形成部材の上端より上方から前記溝画定面の上縁につながる領域に少なくとも設けられたものでものであってもよい。
前記隙間に入り込まない大きな混入物は、前記溝画定面の上縁と前記空間形成部材との間に位置する場合が多い。このため、前記仕切部材を、前記空間形成部材の上端より上方から前記溝画定面の上縁につながる領域に設けることで、前記隙間に入り込まない大きな混入物をより安定して堰き止めることができる。
(付記3)また、他の固液分離システムは、受け入れた液体に含まれている混入物を底部に沈降させ、沈降させた混入物を集積部まで移送し、該集積部から該混入物を除去する固液分離システムであって、
前記底部において、前記集積部に向けて延在し、上方に向かって開口した溝と、
前記溝を画定する溝画定面との間に隙間をあけて該溝に沿って配置されたものであり、上端部分が閉塞した空間を形成し、該上端部分より下方に該溝の底部から離間した吸込口が設けられた空間形成部材と、
前記空間内において流体を、前記混入物の移送方向下流側に向けて吐出する吐出口と、
前記溝の延在方向と交差する方向に前記底部を仕切る仕切部材とを備え、
前記吸込口は、前記溝内で開口し、該溝内に堆積した混入物を、前記吐出口から流体が吐出されることで前記空間内に吸い込む開口として機能するものであり、
前記空間形成部材は、前記空間内に吸い込まれた混入物が、前記吐出口から流体が吐出されることで前記集積部に向かって移動する経路として機能するものであり、
前記仕切部材は、前記溝画定面と前記空間形成部材との隙間よりも大きな混入物の、前記集積部に向かう移動を堰き止めるように、前記空間形成部材よりも上方に延在したものであることを特徴とする。
この固液分離システムによれば、前記溝内に堆積した混入物は、前記吐出口から流体が吐出されることで、前記吸込口から前記空間内に吸い込まれ、前記集積部に向かって移動する他、該空間外でも前記集積部に向かってある程度は移動する。
ここで、前記隙間に入り込まない大きな混入物は、前記溝画定面の上縁と前記空間形成部材との間に引っ掛かる等して該隙間を塞ぐような状態になり、前記吐出口からの流体の吐出に伴う前記空間外における移動に引き摺られるようにして前記集積部に向けて移動する場合がある。すなわち、前記隙間に入り込まない大きな混入物は、前記空間形成部材よりも上方に突出した状態で集積部に向かって移動する場合がある。
この固液分離システムによれば、前記溝の延在方向と交差する方向に前記底部を仕切り、前記空間形成部材よりも上方に少なくとも設けられた前記仕切部材によって、前記隙間に入り込まない大きさの混入物を堰き止め、前記集積部への流入を阻むことができる。また、前記隙間の大きさの設定により、前記隙間に入り込まず前記仕切部材によって堰き止められる混入物の大きさを調整することができる。これらの結果、所定の大きさ以上の混入物が集積部に流入することを阻むことができる。
なお、受け入れた液体は、ある程度の流速をもっているが、前記底部を仕切る部材は、受け入れた液体の流れを阻害するため、該部材付近では、上記流速が速くなり、この流速が速くなった領域では混入物が沈降しにくくなってしまう。このため、前記底部を仕切る部材は、必要最小限に設けることが好ましい。この固液分離システムでは、前記仕切部材を前記空間形成部材よりも上方のみに設ける態様も採用することができ、前記底部を仕切る部材を最小限に留め、混入物が沈降しにくくなる不具合を抑えることも可能になる。
(付記4)また、付記3記載の固液分離システムにおいて、前記仕切部材は、前記溝の延在方向の長さを厚みとした場合に、該厚みよりも長く上方に延在したものであってもよい。
(付記5)さらに、付記3又は4記載の固液分離システムにおいて、前記空間形成部材は、前記溝画定面の、前記溝の延在方向に交差する方向におけるいずれか一方の上縁よりもいずれか他方の上縁寄りに配置されたものであり、
前記仕切部材は、前記空間形成部材の上端より、前記一方の上縁と該空間形成部材との間隔が最小となる間隔分上方に少なくとも設けられたものであってもよい。
前記空間形成部材が、前記溝画定面の、前記溝の延在方向に交差する方向におけるいずれか一方の上縁よりもいずれか他方の上縁寄りに配置される態様では、該他方の上縁と該空間形成部材との間隔よりも、該一方の上縁と該空間形成部材との間隔の方が大きくなる。このため、前記他方の上縁と前記空間形成部材との間隔よりも大きな混入物を堰き止めても、堰き止めた混入物と同じ大きさの混入物が、前記一方の上縁と該空間形成部材との隙間から入り込んでしまう場合があり、堰き止める混入物の大きさにバラツキが生じてしまう。そこで、前記仕切部材を、前記空間形成部材の上端より、前記一方の上縁と該空間形成部材との間隔が最小となる間隔分上方に設けることによって、堰き止める混入物の大きさの下限値を一定にすることができる。
(付記6)また、付記3又は4記載の固液分離システムにおいて、前記空間形成部材は、前記溝画定面の、前記溝の延在方向に交差する方向におけるいずれの上縁からも等しい距離離れた位置に配置されたものであり、
前記仕切部材は、前記空間形成部材の上端より、前記上縁と該空間形成部材との間隔が最小となる間隔分上方に少なくとも設けられたものであってもよい。
こうすることで、前記溝画定面の、前記溝の延在方向に交差する方向におけるいずれの上縁からも等しい距離離れた位置に前記空間形成部材が配置された態様においても、堰き止める混入物の大きさの下限値を一定にすることができる。
(付記7)さらに、付記3から6のうちいずれか1つに記載の固液分離システムにおいて、前記底部に設けられ、前記溝画定面の上縁から互いに離れるように斜め上方に向けて延びた傾斜面を備え、
前記仕切部材は、上縁の位置が、前記傾斜面の上端の高さ位置よりも低い位置に設けられたものであってもよい。
こうすることで、前記仕切部材によって必要以上に液体の流れを堰き止めることがなくなり、この結果、前記仕切部材の部分での液体の流速が急激に速まることが低減する。これにより、流速が速まって混入物が沈降しにくくなる不具合が少なくなる。
(付記8)また、他の固液分離システムは、受け入れた液体に含まれている混入物を底部に沈降させ、沈降させた混入物を集積部まで移送し、該集積部から該混入物を除去する固液分離システムであって、
前記底部に堆積した混入物の移送方向と交差する方向に該底部を仕切る第1仕切部材を備え、
前記第1仕切部材は、前記移送方向における、前記集積部の直前に配置されたものであることを特徴とする。
(付記9)また、付記8記載の固液分離システムにおいて、前記移送方向における、前記集積部とは反対側に配置され、前記移送方向と交差する方向に前記底部を仕切る第2仕切部材を備えていてもよい。
(付記10)さらに、付記8記載の固液分離システムにおいて、前記第1仕切部材は、前記移送方向の長さを厚みとした場合に、該厚みよりも長く上方に延在したものであってもよい。
(付記11)またさらに、付記9記載の固液分離システムにおいて、前記第1仕切部材および前記第2仕切部材は、前記移送方向の長さを厚みとした場合に、該厚みよりも長く
上方に延在したものであってもよい。
(付記12)また、他の固液分離システムは、受け入れた液体に含まれている混入物を底部に沈降させ、沈降させた混入物を集積部まで移送し、該集積部から該混入物を除去する固液分離システムであって、
前記底部において、前記集積部に向けて延在し、上方に向かって開口した溝と、
前記溝を画定する溝画定面との間に隙間をあけて該溝に沿って配置されたものであり、上端部分が閉塞した空間を形成し、該上端部分より下方に該溝の底部から離間した開口が設けられた空間形成部材と、
前記底部に堆積した混入物の移送方向と交差する方向に該底部を仕切る第1仕切部材とを備え、
前記第1仕切部材は、前記移送方向における、前記集積部の直前に配置され、前記空間形成部材よりも上方で前記隙間よりも大きな混入物を堰き止めるものであることを特徴とする。
(付記13)さらに、付記12記載の固液分離システムにおいて、前記第1仕切部材は、前記移送方向の長さを厚みとした場合に、前記空間形成部材よりも上方に該厚みよりも長く延在したものであってもよい。
(付記14)また、他の固液分離システムは、受け入れた液体に含まれている混入物を底部に沈降させ、沈降させた混入物を集積部まで移送し、該集積部から該混入物を除去する固液分離システムであって、
前記底部において、前記集積部に向けて延在し、上方に向かって開口した溝と、
前記溝を画定する溝画定面との間に隙間をあけて該溝に沿って配置されたものであり、上端部分が閉塞した空間を形成し、該上端部分より下方に該溝の溝底部から離間した開口が設けられた空間形成部材と、
前記底部に堆積した混入物の移送方向と交差する方向に該底部を仕切る仕切部材とを備え、
前記仕切部材は、前記空間形成部材よりも上方で前記隙間よりも大きな混入物を堰き止めるものであることを特徴とする。
(付記15)また、付記14記載の固液分離システムにおいて、前記仕切部材は、前記移送方向における、前記集積部とは反対側に配置されたものであってもよい。