JP7010805B2 - フード支持構造 - Google Patents
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Description
ヒンジ部材は、アクチュエータにより上方へ回動されるとともに変形部が変形することにより、フードを上方に移動させる。シャフトの先端部はヒンジ部材の変形部に当接するので、アクチュエータからの入力が変形中心に集中し、変形部を確実に変形させることができる。よって、フードの移動量を目標値に対して高精度に制御できる。また、アクチュエータの出力を変形部の変形に効率よく変換できるので、アクチュエータの出力を抑えることができる。よって、アクチュエータの小型化や低出力化による省エネルギー化及び低コスト化を図ることができる。
したがって、衝突荷重を効果的に吸収し、安定した作動が可能なフード支持構造を提供できる。
ヒンジ部材の剛性は、変形部、台座部、支持部の順に高くなるように設定されているので、剛性の最も低い変形部を優先的に変形させることができる。ここで、変形部は、アクチュエータが当接することによりさらに変形しやすくされているので、台座部及び支持部の剛性を過度に高く設定する必要がない。よって、ヒンジ部材を軽量化し、ヒンジ部材の設計自由度を向上できる。
また、台座部にはフードが取り付けられる。これにより台座部の強度が維持されるので、支持部に比べて台座部の剛性を低く設定することができる。一方、支持部の剛性を高めることにより、アクチュエータ作動時における支持部の変形を抑制し、ヒンジ部材を即座に作動できる。よって、迅速な作動が可能なフード支持構造とすることができる。
材料を変更することにより、台座部及び変形部と比較して支持部の剛性を高めることができる。これにより、支持部の形状に自由度を持たせることができる。よって、設計自由度を向上したヒンジ部材を有するフード支持構造とすることができる。
したがって、衝突荷重を効果的に吸収し、安定した作動が可能なフード支持構造を提供できる。
図1は、フード支持構造1が作動した時の車体Vの前部を示す斜視図である。図2は、フード支持構造1が作動した時の車体Vの前部を車幅方向の左側から見た側面図である。車体Vは、例えば前部にエンジンやモータ(いずれも不図示)等の駆動源を備えた自動車の車体である。車体Vは、前部においてフード支持構造1を備える。フード支持構造1は、例えば走行時において車体Vの前方からフロントバンパーに衝撃荷重F1が入力された際に、フロントバンパーに設置されたGセンサ(不図示)からの信号を受信して作動する。フード支持構造1は、フード2と、ヒンジ部材3と、アクチュエータ4と、を備える。
フード2は、車体Vの前方に設けられている。フード支持構造1が作動していない状態において、フード2は、車体Vの前方に設けられたエンジンルームEの開口部10を閉塞している。エンジンルームEの内部には、不図示のエンジン等の部品(以下、エンジン部品という。)が収容されている。車体Vの前方に衝撃荷重F1が入力されてフード支持構造1が作動すると、フード2は、フード2の全体が車体Vに対して上方に移動するとともに車体Vの後方に向かってスライドする。このように、フード2が上方及び後方に移動することにより、エンジンルームE内部のエンジン部品とフード2との間に所定の間隙が確保される。
図3は、ヒンジ部材3の側面図である。また、図4は、図3の第一状態S1におけるヒンジ部材3の上面図である。
ヒンジ部材3は、開口部10の後方側において左右一対に設けられている(図1も参照)。一対のヒンジ部材3は同様の構成であるため、以下の説明においては左側に配置されるヒンジ部材3について説明する。ヒンジ部材3は、フード2の下方に配置されている。ヒンジ部材3は、車体Vとフード2とを接続している。ヒンジ部材3は、車体Vに対して回動可能に支持されている。図3に示すように、ヒンジ部材3は、回動開始前の第一状態S1と、回動終了後の第二状態S2と、の間で車体Vに対して回動可能とされている。
第一状態S1において、ヒンジ部材3は車体Vの前後方向に延びている。第一状態S1において、ヒンジ部材3は、エンジンルームEの内部に収容されている。第二状態S2において、ヒンジ部材3は第一状態S1におけるヒンジ部材3よりも上方に位置している。フード支持構造1が作動すると、ヒンジ部材3が車体Vに対して回転するとともにヒンジ部材3の一部が塑性変形する。これにより、フード2が上方に移動する。
ヒンジ部材3は、台座部31と、支持部32と、変形部33と、を有する。
載置部34は、フード2の下面に接している。載置部34は、板状に形成されている。図4に示すように、載置部34には、2個の締結孔55と、肉抜き孔56と、が貫通形成されている。締結孔55は、ヒンジ部材3の延在方向(車体Vの前後方向)に並んでいる。締結孔55には不図示のボルトが挿入され、このボルトによりフード2が台座部31に固定されている。肉抜き孔56は、2個の締結孔の間に設けられている。肉抜き孔56は、長軸がヒンジ部材3の延在方向に沿うように形成されている。
張出部35は、載置部34の車幅方向内側の端部から下方に張り出している。台座部31は、載置部34と、張出部35と、により断面L字状に形成されている。
側壁部36は、台座部31の張出部35と連続する平板状に形成されている。側壁部36の前端は、張出部35の後端に接続されている。側壁部36は、前方から後方へ向かうに従い車幅方向の外側に傾斜している。第一状態S1において、側壁部36は、車幅方向から見て下方に凸となるように緩く湾曲している。側壁部36には、ビード39が形成されている。ビード39は、側壁部36の延在方向の略中央部から後側に沿って形成されている。側壁部36の後端部には、回転軸50が設けられている。支持部32は、回転軸50を中心として、車体Vに対して回動可能に取り付けられている。
上壁部37は、側壁部36の上端部から車幅方向外側に向かって延びている。側壁部36の前端は、台座部31における載置部34の後端に接続されている。上壁部37は、上方から見て、前端から後端に向かうにしたがい幅寸法が縮小された三角形状に形成されている。
下壁部38は、側壁部36の下端部から車幅方向外側に向かって延びている。下壁部38は、側壁部36の下端部のうち回転軸50側(前後方向の後方側)に設けられている。支持部32は、側壁部36と、上壁部37と、下壁部38と、により断面U字状に形成されている。
アクチュエータ4は、図1に示すように、開口部10の後方において左右一対に設けられている。一対のアクチュエータ4は同様の構成であるため、以下の説明においては左側に配置されるアクチュエータ4について説明する。
シリンダ41は、筒状に形成されている。シリンダ41は、フード2の下方に配置されている。シリンダ41の軸方向は、車体Vの後方に向かって傾斜している。具体的に、シリンダ41の軸方向は、ヒンジ部材3の第一状態S1における変形部33と、第二状態S2における変形部33と、を結ぶ直線に沿うように設定されている。シリンダ41には不図示の点火装置が接続されている。点火装置は、Gセンサに衝撃荷重F1が入力した時にシリンダ41内部の発火体に点火する。
車体Vに衝撃荷重F1が入力されていない通常走行時において、ヒンジ部材3は第一状態S1(図3参照)に設定されている。第一状態S1において、台座部31と支持部32とは前後方向に沿って延びている。このとき、台座部31の後端と支持部32の前端とが接続されている。また、第一状態S1において、フード2は開口部10を閉塞している。
次に、フード支持構造1の作用、効果について説明する。
本実施形態のフード支持構造1によれば、アクチュエータ4がヒンジ部材3に当接することによりフード2が上方に移動する。これにより、フード2と車体V前部に設けられた開口部10内のエンジン部品との間に空隙ができるので、車体V前部から衝突体が衝突した場合に、車体Vに入力された衝突体の衝突荷重F2をフード2の変形により吸収できる。さらに、アクチュエータ4は車体Vの後方に向かって傾斜しているので、フード2は車体Vの上方及び後方に向かって移動する。これにより、特に開口部10の後方側に入力された衝突荷重F2を広範囲に亘って吸収できる。また、衝突荷重F2の入力方向とアクチュエータ4におけるシャフト42の飛び出し方向とが交差するので、シャフト42の突っ張りによる衝突荷重F2の増大を抑制できる。よって、衝突荷重F2を効果的に吸収できる。
ヒンジ部材3は、アクチュエータ4により上方へ回動されるとともに変形部33が変形することにより、フード2を上方に移動させる。シャフト42の先端部45はヒンジ部材3の変形部33に当接するので、アクチュエータ4からの入力が変形中心に集中し、変形部33を確実に変形させることができる。よって、フード2の移動量を目標値に対して高精度に制御できる。また、アクチュエータ4の出力を変形部33の変形に効率よく変換できるので、アクチュエータ4の出力を抑えることができる。よって、アクチュエータ4の小型化や低出力化による省エネルギー化及び低コスト化を図ることができる。
したがって、衝突荷重F2を効果的に吸収し、安定した作動が可能なフード支持構造1を提供できる。
したがって、衝突荷重F2を効果的に吸収し、安定した作動が可能なフード支持構造1を提供できる。
また、台座部31にはフード2が取り付けられる。これにより台座部31の強度が維持されるので、支持部32に比べて台座部31の剛性を低く設定することができる。一方、支持部32の剛性を高めることにより、アクチュエータ4作動時における支持部32の変形を抑制し、ヒンジ部材3を即座に作動できる。よって、迅速な作動が可能なフード支持構造1とすることができる。
例えば、上述の実施形態では、支持部32は補強部材30を有するとともに台座部31及び変形部33よりも剛性の高い材料により形成される構成について説明したが、これに限られない。支持部32の材料を変更することなく、補強部材30を設けることのみにより支持部32の剛性を高めてもよい。また、補強部材30を設けることなく、材料の変更のみにより支持部32の剛性を高めてもよい。
また、フード支持構造1は、車体V後方のトランクフードやその他のフードに適用してもよい。本発明のフード支持構造1は、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車等、エネルギーストレージを備える他の車両Vに広く適用できる。
2 フード
3 ヒンジ部材
4 アクチュエータ
10 開口部
30 補強部材
31 台座部
32 支持部
33 変形部
42 シャフト
45 先端部
V 車体
S1 第一状態
S2 第二状態
Claims (3)
- 車体の開口部を閉塞するフードと、
前記フードに固定される台座部と、前記車体に対して回動可能に取り付けられた支持部と、前記台座部と前記支持部との間に設けられ前記台座部及び前記支持部よりも脆弱な変形部と、を有するヒンジ部材と、
前記車体の後方に向かって傾斜する所定方向に沿って飛び出すシャフトを有し、前記シャフトの先端部が前記変形部に当接することにより前記フードを前記開口部から上方に移動させるアクチュエータと、
を備え、
前記支持部の剛性は前記台座部の剛性よりも高く、
前記台座部の剛性は前記変形部の剛性よりも高く、
前記支持部は、前記台座部及び前記変形部よりも剛性の高い材料により形成されていることを特徴とするフード支持構造。 - 前記所定方向は、前記支持部の回動開始前の第一状態における前記変形部と、前記支持部の回動終了後の第二状態における前記変形部と、を結ぶ直線に沿うように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のフード支持構造。
- 前記支持部には、補強部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフード支持構造。
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