JP7010704B2 - Aml抗原及びその使用 - Google Patents

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Description

本発明は、生物学、免疫学、及び医学の分野に関する。
急性骨髄性白血病(AML)は、60歳未満の患者における5年生存率が40~50%の高リスク悪性腫瘍である。65歳以上の患者に関して転帰は更に悪く、患者の20%未満しか長期寛解を得られない。同種幹細胞移植は、急性白血病の治療において高い頻度で適用されている。同種幹細胞移植は当初、さもなければ死を招く骨髄破壊的化学療法から患者を救うために設計されたが、その後、アロ反応性免疫応答関連合併症(移植片対宿主病、GvHD)を併発することが見出された。再注入前の移植片のT細胞除去はGvHDを回避したが、T細胞除去移植片レシピエントは、一卵性双生児ドナー移植レシピエントと同様にはるかに高い再発率を経験するという観察は、同種SCTの成功が抗白血病免疫応答(移植片対白血病(GvL))の誘導に依存することをますます明らかにした。これは、細胞傷害性を低減し、高齢患者及び重度前処置患者を含むより大きな患者群における同種SCTを可能にするために、骨髄破壊的前処置なしの同種幹細胞移植(強度軽減幹細胞移植(reduced intensity stem cell transplantation)、RIST)を適用する戦略の開発をもたらした。RISTにおける前処置レジメンは、レシピエントの骨髄を完全に除去することなくレシピエントの適応免疫系を大幅に破壊して移植片拒絶を防止し、これにより早期SCT毒性を低減することを目的としている。移植後、ドナー幹細胞は徐々にレシピエントの幹細胞に取って代わり、完全なドナーキメリズムがSCT後3カ月以内に通常は達成される。同種SCTはかなりの数の患者において治癒的であり、SCTレシピエントの支持療法では相当な進展が見られるが、依然として患者の15~30%が、GvHD及び感染性合併症(SCT後の免疫回復が遅い結果、又はGvHDの免疫抑制療法の合併症として生じる)等の移植関連合併症の結果死亡している。したがって、強い移植片対白血病(GvL)応答が誘導される場合、SCTは治癒的である可能性があるが、その治療的成功は、高い罹患率及び死亡率の原因となるGvHDをもたらす抗宿主免疫応答により限定される。患者の15~30%の死亡をもたらす同種幹細胞移植後の高いGvHD発症率、及び任意の患者にとって適切なドナーが必ずしも利用可能とは限らないという事実を考慮すると、代替治療アプローチが有利となる。国際特許出願第PCT/NL2014/050873号は、インタクトなAML細胞に結合することができる患者由来のAML特異的ヒト抗体を提供する。重要なことには、該抗体は、同種SCTを受け完全寛解期にあるヒトAML患者に由来しており、該抗体がAMLに対して有効であることを示している。したがって、AML療法におけるPCT/NL2014/050873に開示された抗体の使用が好ましい。
抗体による受動免疫の代わりに、免疫療法もまた魅力的なアプローチとなる。免疫療法により、疾患に罹患している患者は、前記患者の疾患に対する免疫応答を誘導及び/又は増強する疾患特異的抗原が与えられる。疾患が発症又は(更に)進行する前に免疫応答を誘発するように、個体が疾患特異的抗原を与えられる予防的又は半予防的適用もまた魅力的となる。例えば、AMLに対する免疫応答を誘発するためのAML特異的標的分子による免疫は、同種造血幹細胞移植を受けた患者にとって特に魅力的となる。そのような標的による免疫が魅力的となる別の群は、中リスクから高リスク骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している患者である。そのような患者は、AMLを発症する中リスクから高リスクを有しているため、事前に抗AML免疫応答を誘発することが有利である。AMLを発症するMDS患者のリスクは、典型的には国際予後判定システム(IPSS、例えばMalcovatiら 2013参照)に従って確立される。中リスクから高リスクMDS患者の非限定的な例は、MDS-RAEB-1及びMDS-RAEB-2患者である。
特にAMLに対する免疫療法及びワクチン接種は、適切なAML特異的抗原の欠如のため現在利用できない。
AML特異的抗原は、患者の試料が、AML細胞に特異的に結合することができる抗体及び/又は免疫細胞を含有するかどうかを決定するのにも特に適切となる。そのような情報は、例えば、AML診断又はAML療法のモニタリングに有益となる。
国際特許出願第PCT/NL2014/050873号 WO2004/077062 国際特許出願WO 2007/146172 国際特許出願WO 2006/121240 WO 2013/081463 欧州特許第1974017号 米国特許US 9,127,251 WO 2015/093949 WO 2008/147196 US2010/0234562A1
Millerら、Blood(2013)、Vol.121、No.5、e1~e4
AML細胞の抗原を含む新規のペプチド及び化合物を提供することが本発明の目的である。好ましくは、骨髄増殖性疾患、より好ましくはAMLに対する免疫応答、好ましくは特異的免疫応答を検出及び/又は誘発することができるペプチド及び化合物が提供される。
図1は抗体の可変重鎖及び軽鎖配列並びにCDR配列を含むAT14-013(2K23-1K13)の配列を示す図である。 (図1の続き) AML細胞株及び新たに診断された患者から単離したばかりの初代AML芽球へのAT14-013の結合を示す図である。FAB: AMLの仏米英(French-American-British)分類(Bennettら 1976)。 AT14-013はAML細胞株及び初代単離AML細胞に結合することを示す図である。AML細胞株Kasumi3、SH-2、Molm13、及びTHP-1、並びに新たに診断されたAML患者(FAB分類M0~M5)から単離した初代白血病芽球への、患者101に由来するAT14-013の結合の代表例。インフルエンザに特異的な自家作製ヒト抗体を陰性対照として使用した(グレーに塗りつぶされたヒストグラム)。 AT14-013は高リスク骨髄異形成症候群(MDS/RAEB I及びII)及び急性転化慢性骨髄性白血病(CML)患者由来の白血病芽球にも結合することを示す図である。描かれているのは代表例である;CML細胞株であるK562以外、示されているのは患者識別コードである。インフルエンザに対する自家作製ヒト抗体を陰性対照として使用した(グレーに塗りつぶされたヒストグラム)。* BL-060:AML治療によく反応する混合型白血病 AT14-013が非骨髄性細胞に結合しないことを示す図である。AT14-013は健常なPBMC、T細胞(CD3+)、B細胞(CD19+)、非活性化単球(CD14+)、又は初代単離胸腺細胞(胎仔胸腺に存在する骨髄性細胞の小集団を除く)に結合しなかった。AT14-013は顆粒球に結合した。インフルエンザに対する自家作製ヒト抗体を陰性対照として使用した(グレーに塗りつぶされたヒストグラム)。 AT14-013が非骨髄性細胞に結合しないことを示す図である。AT14-013は初代単離B-又はT-ALL細胞、リンパ腫細胞、又は多発性骨髄腫も結合しなかった。インフルエンザに対する自家作製ヒト抗体を陰性対照として使用した(グレーに塗りつぶされたヒストグラム)。 AT14-013が非骨髄性細胞に結合しないことを示す図である。AT14-013は結腸癌細胞株、又は結腸癌(結腸CA)患者由来の初代単離細胞、又は健常な結腸若しくは回腸にも結合しなかった。AT14-013はヒトメラノーマ細胞株に結合した。インフルエンザに対する自家作製ヒト抗体を陰性対照として使用した(グレーに塗りつぶされたヒストグラム)。 CDC及びADCCを示す図である。カルセイン標識THP-1細胞を、AT14-013及びウサギ血清補体とインキュベートした。生細胞はカルセイン+、dapi-細胞として同定した。本発明者らのビーズベースのアッセイにより、死細胞の量を次いで補体依存性細胞死(CDC)の尺度として計算することができた。THP1細胞とCD33とのインキュベーションはCDCを誘導しなかった(左のパネル)。AT14-013は、AML細胞株SH-2又は単離されたばかりの白血病芽球を標的細胞として用いたジャーカットレポーター系において、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を誘導することもできる(右のパネル)。 AT14-013の標的同定:免疫沈降(IP)を示す図である。THP1細胞溶解物のビオチン標識(ソルターゼタグを介した)AT14-013を用いたIPにより、Imperial Coomassie染色ゲル上に約140kDaバンドを得た。該バンドはTHP1溶解物のAT10-002 IP又はジャーカット溶解物IPでは見られないことから、特異的である。該バンドをゲルから切り取り、標的を質量分析によりCD43として同定した。 AT14-013の標的確認を示す図である。THP-1溶解物及びMolm13溶解物を、AT14-013又はインフルエンザ特異的抗体AT10-002で免疫沈降した。マウス抗CD43(クローンMem59)によるウエスタンブロット分析は、CD43をAT14-013の結合標的として確認した。 AT14-013が固有のCD43エピトープに結合することを示す図である。THP-1細胞を市販のCD43特異的抗体DF-T1、84-3C1、L10、及びMem59、並びにAT14-013で染色した。全ての抗体がTHP-1細胞の膜に結合した。 AT14-013が固有のCD43エピトープに結合することを示す図である。AT14-013は、市販のCD43特異的抗体と比べて異なる結合プロファイルを有する。Kim ea、(Kimら 2014)には、様々な細胞株への市販のCD43抗体YG5、2C8、8E10、及びDFT-1の結合がまとめられている。本発明者らは、同じ細胞株へのAT14-013の結合を比較し、異なる結合パターンを見出した。 AT14-013が固有のCD43エピトープに結合することを示す図である。AT14-013及び市販のCD43特異的抗体による競合実験を、示されているように行った。手短に述べると、THP-1細胞を、示された抗体と漸増濃度でインキュベートし、その後、競合する可能性がある抗体(「競合抗体」と呼ぶ)を添加した。THP-1標的細胞へのAT14-013結合は、該細胞と市販のCD43抗体とのプレインキュベーションにより影響を受けなかったが、これらの市販のCD43抗体はTHP-1細胞への互いの結合を阻害した。AT14-013又は84-3C1が「競合抗体」であった実験結果が示されている。 AT14-013が固有のCD43エピトープに結合することを示す図である。競合実験の概要。AT14-013はTHP-1への結合をめぐって市販のCD43抗体と競合しない。これは、AT14-013が異なるエピトープに結合することを示すものである。 ノイラミニダーゼ(シアリダーゼ)によるTHP-1細胞の脱グリコシル化が、細胞膜からシアル酸を除去することを示す図である。「なし」はノイラミニダーゼ処理なしを示し、「1:20」及び「1:200」はノイラミニダーゼ希釈を示す。抗体AT14-013、Mem59、DF-T1、及び84-3C1は、これらの細胞のノイラミニダーゼ処理後、THP-1細胞への結合を失った。クローンL10は、THP-1細胞のノイラミニダーゼ処理がこの抗体の標的細胞への結合に影響を与えなかったことから、CD43のシアル化エピトープに結合していない。 CD43切断バリアントは市販抗体DF-T1及びMEM59のエピトープをマッピングすることを示す図である。該タンパク質の細胞内C末端尾部に向かって抗CD43でプローブしたCD43の切断バリアントを発現するHEK293T細胞の免疫ブロット。 CD43切断バリアントは市販抗体DF-T1及びMEM59のエピトープをマッピングすることを示す図である。CD43特異的抗体MEM59(上のパネル)及びDF-T1(下のパネル)による同じブロットの免疫染色は、領域「C」(アミノ酸59~82)におけるそれらのエピトープの存在を明らかにした。 THP1細胞からのCD43切断バリアントの免疫沈降が、AT14-013エピトープを同定することを示す図である。抗Flag抗体でプローブした、選別したCD43切断バリアント過剰発現THP1細胞のインプット溶解物の免疫ブロット。ポンソーS染色は、同等の試料負荷量を示す。全ての変異体タンパク質が発現されている。 THP1細胞からのCD43切断バリアントの免疫沈降が、AT14-013エピトープを同定することを示す図である。AT14-013によるTHP1バリアント細胞株の溶出免疫沈降物の抗Flag免疫ブロットは、変異体A~Fへの結合、及び変異体H~Jへの結合なしを明らかにし、エピトープを規定する。 THP1細胞からのCD43切断バリアントの免疫沈降が、AT14-013エピトープを同定することを示す図である。全ての試料における内在性免疫沈降CD43及び切断バリアントの染色を示す、抗CD43細胞質尾部結合性抗体(Novus)による免疫ブロット。 CD43のアミノ酸配列(genbank CCDS10650.1)を示す図である。シグナルペプチド、AT14-013エピトープ、膜貫通ドメイン、並びに細胞内及び細胞外ドメインが示されている。 図14は他のAML芽球へのAT14-013の結合を示す図である。新たに診断された患者から単離されたばかりの初代AML芽球(CD45dim)へのAT14-013の結合。インフルエンザに特異的な自家作製ヒト抗体を陰性対照として使用した。市販のマウス抗CD43抗体については、マウス抗CMVを対照として使用した。WHO:Swerdlow S.H. 造血及びリンパ組織の腫瘍のWHO分類(2008)。CD43+ T細胞及び扁桃腺細胞をアッセイの追加の対照として使用した。AT14-013はこれらの健常細胞に結合しない。(ゲート%=-;<10%、+;10~25%、++;25~50%、+++;50~75%、++++;75~100%) (図14の続き) ADCC及びCDCを示す図である。a)AT14-013(白抜きの四角)は、50:1のエフェクター標的比のPBMCと、AML細胞株SH-2に抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導することができる。生細胞はカルセイン+、dapi-細胞として同定した。本発明者らのビーズベースのアッセイにより、死細胞の量を次いで計算することができた。SH2細胞とAT10-002とのインキュベーションはADCCを誘導しなかった(黒い点)。AT14-013について計算したEC50は0.16μg/mlである。カルセイン標識SH-2細胞(b)は、AT14-013(白抜きの四角)、又はAT10-002(黒い点)、及びウサギ血清補体とインキュベートした。生細胞はカルセイン+、dapi-細胞として同定した。SH2細胞又はAML芽球とAT10-002とのインキュベーションはCDCを誘導しなかった(黒い点)。AT14-013について計算したEC50は1,86μg/mlであった。 AT14-013によるTHP1バリアント細胞株の溶出免疫沈降物の抗Flag免疫ブロットは、変異体A~F2への結合、Gへのより少ない程度の結合、及び変異体H~Jへの結合なしを明らかにすることを示す図である。 全ての試料における内在性免疫沈降CD43、及び切断バリアントの染色を示す、抗CD43細胞質尾部結合性抗体(Novus)による免疫ブロットを示す図である。この対照は、示された全ての試料について免疫沈降が成功したことを確認する。 SH-2 AML細胞を生着させたマウスの治療は、全身測定により屠殺時に測定した場合、90.3%の腫瘍増殖抑制をもたらす(p<0.001、反復測定ANOVA)ことを示す図である。 毎分光子数(number of photon per minute)(cpm)により測定したAML細胞数は、測定した全ての臓器で強い減少を示すことを示す図である(p=0.0011、反復測定二元配置ANOVA)。 骨髄及び肝臓のFACSによる腫瘍細胞数の評価を示す図である(p=0.0017、二元配置ANOVA)。 AT14-013は胎児CD34+造血幹細胞(HSC)に結合するが、胎児CD34+CD38+前駆細胞又は胎児CD34-CD38-成熟細胞には結合しない代表例を示す図である。グレーに塗りつぶされたヒストグラム:WO 2013/081463に記載されたインフルエンザに対する対照抗体AT10-002。 AT14-013が自己白血病幹細胞と反応することを示す図である。ドナー#101(AT14-013を産生するB細胞を得た同じドナー)のAML芽球を、AT14-013、並びにCD34及びCD38に特異的な抗体、並びにCD45に対する抗体(BD社、カタログ348815)で染色して、一般芽球集団(CD45 dim)を骨髄の健常細胞と区別し、フローサイトメトリーにより分析した。
本発明は、最大で100個のアミノ酸残基の長さの単離された組換え又は精製CD43ペプチドを提供し、前記ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から184位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で51個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を含む。前記ペプチドは、好ましくは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から183位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で51個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、前記アミノ酸配列の長さは、少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基、又は少なくとも11個のアミノ酸残基、又は少なくとも12個のアミノ酸残基、又は少なくとも13個のアミノ酸残基、又は少なくとも14個のアミノ酸残基、又は少なくとも15個のアミノ酸残基、又は少なくとも20個のアミノ酸残基、又は少なくとも25個のアミノ酸残基、又は少なくとも30個のアミノ酸残基、又は35個のアミノ酸残基、又は40個のアミノ酸残基、又は45個のアミノ酸残基、又は50個のアミノ酸残基、又は51個のアミノ酸残基である。
幾つかの実施形態は、最大で100個のアミノ酸残基の長さの単離された組換え又は精製CD43ペプチドを提供し、前記ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から165位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で33個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、前記アミノ酸配列の長さは、少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基、又は少なくとも11個のアミノ酸残基、又は少なくとも12個のアミノ酸残基、又は少なくとも13個のアミノ酸残基、又は少なくとも14個のアミノ酸残基、又は少なくとも15個のアミノ酸残基、又は少なくとも20個のアミノ酸残基、又は少なくとも25個のアミノ酸残基、又は少なくとも30個のアミノ酸残基、又は33個のアミノ酸残基である。
幾つかの実施形態は、最大で100個のアミノ酸残基の長さの単離された組換え又は精製CD43ペプチドを提供し、前記ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から147位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で15個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、前記アミノ酸配列の長さは、少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基、又は少なくとも11個のアミノ酸残基、又は少なくとも12個のアミノ酸残基、又は少なくとも13個のアミノ酸残基、又は少なくとも14個のアミノ酸残基、又は少なくとも15個のアミノ酸残基である。
本発明者らは、AMLに対する特異的免疫応答が、本発明によるCD43ペプチドを用いて検出及び/又は誘発されうることを驚くべきことに発見した。CD43は、ほとんどの種類の(非悪性)白血球の表面、並びに例えばヒト結腸癌細胞、ヒト子宮頸癌細胞、ヒト肺癌細胞、及びヒト乳腺腺癌細胞のような多くの非造血腫瘍細胞に存在するため、この知見は意外であった。CD43のこの豊富な存在を考えると、本発明前、CD43はAML特異性を提供するための適切な化合物とは考えられなかった。それにもかかわらず、実施例に示されているように、AML特異的抗体AT14-013は本発明によるCD43ペプチドに結合する。更に、抗体AT14-013は、様々な異なるCD43+AML細胞(図2及び図3)に結合するが、CD43+PBMC、活性化及び非活性化T細胞、B細胞、非活性化単球、胸腺細胞、ALL細胞、結腸癌細胞、非悪性結腸細胞(non-malignant colon cell)、ジャーカット細胞、ラモス細胞、又は正常な骨髄細胞(図5に示されている)には結合しない。したがって、特許請求の範囲に定義された特にCD43ペプチドに対する抗体AT14-013はCD43+AML細胞に結合するのに対し、様々な他の種類のCD43+細胞に結合しない。興味深いことに、抗体AT14-013は、異なる種類の非AMLのCD43+造血幹細胞、又はリンパ系のより成熟した細胞に結合しない。抗体AT14-013は胎児造血幹細胞に結合できることも実施例に示されており、このことから、AT14-013により認識されるCD43エピトープは癌胎児性エピトープであることが結論される。抗体AT14-013は、自己白血病幹細胞も結合することができる。更に、抗体AT14-013は、インビボでのAML増殖を妨げることもできる。本発明は故に、AML細胞のCD43抗原を提供する。
ロイコシアリン、シアロホリン、ガラクト糖タンパク質、白血球シアロ糖タンパク質、又はgp115とも呼ばれるCD43は、赤血球を除くほとんどの造血細胞の表面に存在するグリコシル化ムチン様I型膜貫通タンパク質である。1つのエクソンによりコードされるCD43は、細胞-細胞相互作用において役割を果たす。CD43は、235アミノ酸の高度にグリコシル化された細胞外領域である。2つのCD43グリコフォームが記載されており、一方のグリコフォームは主に四糖を含有し、他方のグリコフォームは主に分岐六糖を有する。両方のグリコフォームは、1つの細胞の表面で発現されうる。CD43は、例えばShelleyら(1989)及びSchmidら(1992)に記載されている。図13に示されたヒトCD43の配列は、アクセッション番号CCDS10650.1の下、Genbank CCDSデータベースに存在する。
本明細書で使用されるとき、用語「本発明によるCD43ペプチド」は、最大で100個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸の鎖を指し、前記アミノ酸鎖は、図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸133位から184位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で51個のアミノ酸残基の長さの配列を含み、又は前記アミノ酸鎖は、図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸133位から183位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で51個のアミノ酸残基の長さの配列を含み、又は前記アミノ酸鎖は、図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸133位から165位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で33個のアミノ酸残基の長さの配列を含み、又は前記アミノ酸鎖は、図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸133位から147位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で15個のアミノ酸残基の長さの配列を含む。
例で詳細に説明されているように、本発明は、ヒトCD43タンパク質の133位から184位の間のアミノ酸配列が、抗体AT14-013が特異的に結合するAMLエピトープを含むという洞察を提供する。前記AMLエピトープは、図13に示されたアミノ酸配列133位から165位の間に存在する1個の又は複数のアミノ酸残基を含む。異なるAML細胞株及びAML芽球に存在し、及び多くの他のCD43+細胞に存在しない又は露出していない前記AMLエピトープは、したがって、AML特異的免疫応答を誘発又は検出するのに特に適切である。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドはアミノ酸配列GTITTNSPETSSRTSを含む。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドはアミノ酸配列GTITTNSPETSSRTSGAPVTTAASSLETSRGTSを含む。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドはアミノ酸配列GTITTNSPETSSRTSGAPVTTAASSLETSRGTSGPPLTMATVSLETSKGTSGを含む。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、最大で90個のアミノ酸残基の長さを有する。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、最大で85個のアミノ酸残基、又は最大で75個のアミノ酸残基、又は最大で70個のアミノ酸残基の長さを有する。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、最大で65個のアミノ酸残基、又は最大で60個のアミノ酸残基、又は最大で55個のアミノ酸残基、又は最大で50個のアミノ酸残基、又は最大で45個のアミノ酸残基、又は最大で40個のアミノ酸残基、又は最大で35個のアミノ酸残基の長さを有する。幾つかの実施形態において、本発明による前記CD43ペプチドは、最大で52個のアミノ酸残基、又は最大で51個のアミノ酸残基、又は最大で33個のアミノ酸残基、又は最大で30個のアミノ酸残基、又は最大で25個のアミノ酸残基、又は最大で20個のアミノ酸残基、又は最大で15個のアミノ酸残基の長さを有する。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基、又は少なくとも11個のアミノ酸残基、又は少なくとも12個のアミノ酸残基、又は少なくとも13個のアミノ酸残基、又は少なくとも14個のアミノ酸残基、又は少なくとも15個のアミノ酸残基の長さを有する。
幾つかの実施形態において、本発明による前記CD43ペプチドは、少なくとも52個のアミノ酸残基又は少なくとも51個のアミノ酸残基の長さを有し、前記ペプチドは、図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸133位から184位の間に位置する配列と同一であるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、本発明による前記CD43ペプチドは、少なくとも51個のアミノ酸残基の長さを有し、前記アミノ酸残基は、図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸133位~183位の間のアミノ酸と同一である。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、少なくとも33個のアミノ酸残基の長さを有し、図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸133位から165位の間に位置する配列と同一であるアミノ酸配列を含む。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、少なくとも15個のアミノ酸残基の長さを有し、図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸133位から147位の間に位置する配列と同一であるアミノ酸配列を含む。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは配列GTITTNSPETSSRTSGAPVTTAASSLETSRGTSGPPLTMATVSLETSK GTSGから成る。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは配列GTITTNSPETSSRTSGAPVTTAASSLETSRGTSから成る。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは配列GTITTNSPETSSRTSから成る。
本明細書で使用されるとき、表現「図13に示されたCD43アミノ酸X位からY位の間に位置する配列」、「図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸X位からY位の間に位置する配列」、「前記アミノ酸残基が、図13に示されたヒトCD43タンパク質アミノ酸X位~Y位の間のアミノ酸と同一である」、及び「アミノ酸配列が、図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸X位からY位の間に位置する配列と同一である」は、列挙された位置の間に位置し、X位及び/又はY位のアミノ酸を含む配列を包含する。更に、該用語は、列挙された位置の間に位置し、X位及び/又はY位のアミノ酸を含有しない配列を包含する。換言すれば、幾つかの実施形態において列挙されたX位及び/又はY位のアミノ酸は、本発明によるCD43ペプチドに存在するのに対し、他の実施形態において列挙されたX位及び/又はY位のアミノ酸は欠如している。
図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸133位から184位の間に位置する配列、又はアミノ酸133位から183位の間に位置する配列、又はアミノ酸133位から165位の間に位置する配列、又はアミノ酸133位から147位の間に位置する配列と同一である列挙されたアミノ酸配列以外に、本発明によるCD43ペプチドは、他のアミノ酸残基を更に含んでもよい。幾つかの実施形態において、前記他のアミノ酸残基はCD43配列に由来しない。本明細書において「非CD43アミノ酸残基」とも呼ばれる前記他のアミノ酸残基は、例えば、安定性を増強し、及び/又は免疫原性を増強し、及び/又はCD43ペプチドを例えば分子足場又は担体等の別の部分に結合させるように機能することができる。そのような足場又は担体の非限定的な例は、キーホールリンペットヘモシニアン及びCLIPS足場(WO2004/077062に記載された、例えばビス(ブロモメチル)ベンゼン、トリス(ブロモメチル)ベンゼン、及びテトラ(ブロモメチル)ベンゼン等)である。したがって、幾つかの実施形態は、最大で100個のアミノ酸残基の長さの単離された組換え又は精製ペプチドを提供し、前記ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から184位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で52個のアミノ酸残基、又は最大で51個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を含み、並びに前記ペプチドは、少なくとも1個、又は少なくとも2個、又は少なくとも3個、又は少なくとも4個、又は少なくとも5個、又は少なくとも10個、又は少なくとも20個、又は少なくとも30個、又は少なくとも40個、又は少なくとも50個、又は少なくとも60個、又は少なくとも70個、又は少なくとも80個の非CD43アミノ酸残基も含み、前記非CD43アミノ酸残基の完全長配列は、図13に示されたヒトCD43中に存在しない。
幾つかの実施形態は、最大で100個のアミノ酸残基の長さの単離された組換え又は精製ペプチドを提供し、前記ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から183位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で51個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を含み、並びに前記ペプチドは、少なくとも1個、又は少なくとも2個、又は少なくとも3個、又は少なくとも4個、又は少なくとも5個、又は少なくとも10個、又は少なくとも20個、又は少なくとも30個、又は少なくとも40個、又は少なくとも50個、又は少なくとも60個、又は少なくとも70個、又は少なくとも80個の非CD43アミノ酸残基も含み、前記非CD43アミノ酸残基の完全長配列は、図13に示されたヒトCD43中に存在しない。幾つかの実施形態において、前記アミノ酸配列の長さは、少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基、又は少なくとも11個のアミノ酸残基、又は少なくとも12個のアミノ酸残基、又は少なくとも13個のアミノ酸残基、又は少なくとも14個のアミノ酸残基、又は少なくとも15個のアミノ酸残基、又は少なくとも20個のアミノ酸残基、又は少なくとも25個のアミノ酸残基、又は少なくとも30個のアミノ酸残基、又は少なくとも35個のアミノ酸残基、又は少なくとも40個のアミノ酸残基、又は少なくとも45個のアミノ酸残基、又は少なくとも50個のアミノ酸残基、又は51個のアミノ酸残基である。
幾つかの実施形態は、最大で100個のアミノ酸残基の長さの単離された組換え又は精製ペプチドを提供し、前記ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から165位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で33個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を含み、並びに前記ペプチドは、少なくとも1個、又は少なくとも2個、又は少なくとも3個、又は少なくとも4個、又は少なくとも5個、又は少なくとも10個、又は少なくとも20個、又は少なくとも30個、又は少なくとも40個、又は少なくとも50個、又は少なくとも60個、又は少なくとも70個、又は少なくとも80個の非CD43アミノ酸残基も含み、前記非CD43アミノ酸残基の完全長配列は、図13に示されたヒトCD43中に存在しない。幾つかの実施形態において、前記アミノ酸配列の長さは、少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基、又は少なくとも11個のアミノ酸残基、又は少なくとも12個のアミノ酸残基、又は少なくとも13個のアミノ酸残基、又は少なくとも14個のアミノ酸残基、又は少なくとも15個のアミノ酸残基、又は少なくとも20個のアミノ酸残基、又は少なくとも25個のアミノ酸残基、又は少なくとも30個のアミノ酸残基、又は少なくとも33個のアミノ酸残基である。
幾つかの実施形態は、最大で100個のアミノ酸残基の長さの単離された組換え又は精製ペプチドを提供し、前記ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から147位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で15個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を含み、並びに前記ペプチドは、少なくとも1個、又は少なくとも2個、又は少なくとも3個、又は少なくとも4個、又は少なくとも5個、又は少なくとも10個、又は少なくとも20個、又は少なくとも30個、又は少なくとも40個、又は少なくとも50個、又は少なくとも60個、又は少なくとも70個、又は少なくとも80個の非CD43アミノ酸残基も含み、前記非CD43アミノ酸残基の完全長配列は、図13に示されたヒトCD43中に存在しない。幾つかの実施形態において、前記アミノ酸配列の長さは、少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基、又は少なくとも11個のアミノ酸残基、又は少なくとも12個のアミノ酸残基、又は少なくとも13個のアミノ酸残基、又は少なくとも14個のアミノ酸残基、又は少なくとも15個のアミノ酸残基である。
上述のペプチドも、用語「本発明によるCD43ペプチド」により包含される。
幾つかの実施形態は、本発明によるCD43ペプチドを含む化合物を提供する。幾つかの実施形態は、本発明によるCD43ペプチドを含む免疫原性化合物を提供する。幾つかの実施形態において、前記CD43ペプチドは、薬学的に許容される担体又は足場に結合される。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、最大で100個のアミノ酸残基の長さの切断CD43分子である。好ましくは、前記切断CD43分子は、野生型ヒトCD43の細胞内領域を欠く。好ましい実施形態において、前記切断CD43分子は、野生型ヒトCD43の細胞内領域及び膜貫通領域の両方を欠く。更に好ましい実施形態において、本発明による前記CD43ペプチドは、最大で90個のアミノ酸残基、又は最大で80個のアミノ酸残基、又は最大で70個のアミノ酸残基、又は最大で60個のアミノ酸残基、又は最大で52個のアミノ酸残基、又は最大で51個のアミノ酸残基、又は最大で50個のアミノ酸残基、又は最大で45個のアミノ酸残基、又は最大で40個のアミノ酸残基、又は最大で35個のアミノ酸残基、又は最大で33個のアミノ酸残基、又は最大で30個のアミノ酸残基、又は最大で25個のアミノ酸残基、又は最大で20個のアミノ酸残基の長さの切断CD43細胞外領域であり、図13に示されたCD43アミノ酸133位から184位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で52個のアミノ酸残基又は最大で51個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、前記アミノ酸配列の長さは、少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基、又は少なくとも11個のアミノ酸残基、又は少なくとも12個のアミノ酸残基、又は少なくとも13個のアミノ酸残基、又は少なくとも14個のアミノ酸残基、又は少なくとも15個のアミノ酸残基、又は少なくとも20個のアミノ酸残基、又は少なくとも25個のアミノ酸残基、又は少なくとも30個のアミノ酸残基、又は少なくとも35個のアミノ酸残基、又は少なくとも40個のアミノ酸残基、又は少なくとも45個のアミノ酸残基、又は少なくとも50個のアミノ酸残基、又は51個のアミノ酸残基である。
幾つかの実施形態において、本発明による前記CD43ペプチドは、最大で90個のアミノ酸残基、又は最大で80個のアミノ酸残基、又は最大で70個のアミノ酸残基、又は最大で60個のアミノ酸残基、又は最大で51個のアミノ酸残基、又は最大で50個のアミノ酸残基、又は最大で45個のアミノ酸残基、又は最大で40個のアミノ酸残基、又は最大で35個のアミノ酸残基、又は最大で33個のアミノ酸残基、又は最大で30個のアミノ酸残基、又は最大で25個のアミノ酸残基、又は最大で20個のアミノ酸残基の長さの切断CD43細胞外領域であり、図13に示されたCD43アミノ酸133位から183位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で51個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、前記アミノ酸配列の長さは、少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基、又は少なくとも11個のアミノ酸残基、又は少なくとも12個のアミノ酸残基、又は少なくとも13個のアミノ酸残基、又は少なくとも14個のアミノ酸残基、又は少なくとも15個のアミノ酸残基、又は少なくとも20個のアミノ酸残基、又は少なくとも25個のアミノ酸残基、又は少なくとも30個のアミノ酸残基、又は少なくとも35個のアミノ酸残基、又は少なくとも40個のアミノ酸残基、又は少なくとも45個のアミノ酸残基、又は少なくとも50個のアミノ酸残基、又は51個のアミノ酸残基である。
幾つかの実施形態において、本発明による前記CD43ペプチドは、最大で90個のアミノ酸残基、又は最大で80個のアミノ酸残基、又は最大で70個のアミノ酸残基、又は最大で60個のアミノ酸残基、又は最大で51個のアミノ酸残基、又は最大で50個のアミノ酸残基、又は最大で45個のアミノ酸残基、又は最大で40個のアミノ酸残基、又は最大で35個のアミノ酸残基、又は最大で33個のアミノ酸残基、又は最大で30個のアミノ酸残基、又は最大で25個のアミノ酸残基、又は最大で20個のアミノ酸残基の長さの切断CD43細胞外領域であり、図13に示されたCD43アミノ酸133位から165位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で33個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、前記アミノ酸配列の長さは、少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基、又は少なくとも11個のアミノ酸残基、又は少なくとも12個のアミノ酸残基、又は少なくとも13個のアミノ酸残基、又は少なくとも14個のアミノ酸残基、又は少なくとも15個のアミノ酸残基、又は少なくとも20個のアミノ酸残基、又は少なくとも25個のアミノ酸残基、又は少なくとも30個のアミノ酸残基、又は少なくとも33個のアミノ酸残基である。
幾つかの実施形態において、本発明による前記CD43ペプチドは、最大で90個のアミノ酸残基、又は最大で80個のアミノ酸残基、又は最大で70個のアミノ酸残基、又は最大で60個のアミノ酸残基、又は最大で51個のアミノ酸残基、又は最大で50個のアミノ酸残基、又は最大で45個のアミノ酸残基、又は最大で40個のアミノ酸残基、又は最大で35個のアミノ酸残基、又は最大で33個のアミノ酸残基、又は最大で30個のアミノ酸残基、又は最大で25個のアミノ酸残基、又は最大で20個のアミノ酸残基の長さの切断CD43細胞外領域であり、図13に示されたCD43アミノ酸133位から147位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で15個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、前記アミノ酸配列の長さは、少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基、又は少なくとも11個のアミノ酸残基、又は少なくとも12個のアミノ酸残基、又は少なくとも13個のアミノ酸残基、又は少なくとも14個のアミノ酸残基、又は少なくとも15個のアミノ酸残基である。
幾つかの実施形態は、最大で90個のアミノ酸残基、又は最大で80個のアミノ酸残基、又は最大で70個のアミノ酸残基、又は最大で60個のアミノ酸残基、又は最大で52個のアミノ酸残基、又は最大で51個のアミノ酸残基、又は最大で50個のアミノ酸残基、又は最大で45個のアミノ酸残基、又は最大で40個のアミノ酸残基、又は最大で35個のアミノ酸残基、又は最大で33個のアミノ酸残基、又は最大で30個のアミノ酸残基、又は最大で25個のアミノ酸残基、又は最大で20個のアミノ酸残基、又は最大で15個のアミノ酸残基の長さの切断CD43細胞外領域である、本発明によるCD43ペプチドを提供する。
当業者に周知のように、免疫原性配列が提供されると、該配列をある程度変更し、これにより、得られた免疫原の免疫原性及び/又は安定性を好ましくは最適化することができるようになっている。これは、例えば変異誘発手順により行われ、その後、得られた化合物の安定性及び/又は免疫原性が好ましくはテストされ、改善されたAML特異的抗原化合物が選択される。当業者は、特定のアミノ酸配列から出発する抗原バリアントを生成することが十分可能である。例えば、保存的アミノ酸置換が適用される。保存的アミノ酸置換の例には、別の疎水性残基に代わるイソロイシン、バリン、ロイシン、又はメチオニン等の1個の疎水性残基の置換、及びリジンに代わるアルギニン、アスパラギン酸に代わるグルタミン酸、又はアスパラギンに代わるグルタミンの置換等の、別の極性残基に代わる1個の極性残基の置換が含まれる。幾つかの実施形態において、任意の他のアミノ酸残基による1つ又は複数のアミノ酸残基の置換、及び得られた化合物のテストを含む置換ネット分析(replacement net ana溶解)が実施される。
したがって、幾つかの実施形態は、図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸133位から184位の間に位置する配列と少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で52個のアミノ酸残基又は最大で51個のアミノ酸残基の長さを有するアミノ酸配列を含む、又は本質的に該アミノ酸配列から成る、最大で100個のアミノ酸残基の長さの単離された組換え又は精製CD43ペプチドを提供する。幾つかの実施形態は、図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸133位から183位の間に位置する配列と少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する、51アミノ酸残基の長さを有するアミノ酸配列を含む、単離された組換え又は精製CD43ペプチドを提供する。
幾つかの実施形態は、図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸133位から165位の間に位置する配列と少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する、33個のアミノ酸残基の長さを有するアミノ酸配列を含む、又は本質的に該アミノ酸配列から成る、最大で100個のアミノ酸残基の長さの単離された組換え又は精製CD43ペプチドを提供する。
幾つかの実施形態は、図13に示されたヒトCD43タンパク質のアミノ酸133位から147位の間に位置する配列と少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する、15個のアミノ酸残基の長さを有するアミノ酸配列を含む、又は本質的に該アミノ酸配列から成る、最大で100個のアミノ酸残基の長さの単離された組換え又は精製CD43ペプチドを提供する。
用語「%の配列同一性」は、2つの配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して最大パーセント同一性を達成した後の参照配列の残基と同一である、候補アミノ酸配列の残基のパーセンテージとして本明細書において定義される。アライメントのための方法及びコンピュータプログラムは、当技術分野で公知である。候補配列がこの定義の範囲内に入るかどうかを決定する目的で使用又は適用されうる1つのコンピュータプログラムは、1991年12月10日に米国著作権局、ワシントン、D.C. 20559にユーザ文書と共に提出された、Genentech, Inc.社により著された「Align 2」である。
本明細書において定義された単離された組換え又は精製CD43ペプチドは、「本発明によるCD43ペプチド」又は「本発明によるCD43抗原」とも呼ばれる。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドのアミノ酸残基は、「標準的(standard)」又は「標準的(canonical)」アミノ酸とも呼ばれる、真核生物に天然に存在する20個のアミノ酸残基から選択される。或いは、例えばD-アミノ酸(すなわちアミノ酸のD立体異性体)又はN-メチルアミノ酸等の非天然アミノ酸残基が、本発明によるCD43ペプチドに含まれる。
本発明によるCD43ペプチドは、好ましくはグリコシル化されている。そのようなペプチドは、細胞表面の天然のCD43タンパク質は重度にグリコシル化されているという事実に照らして、インビボでの天然のAML抗原をより正確に反映している。幾つかの好ましい実施形態において、本発明による前記CD43ペプチドは、シアル酸残基(α-N-アセチルノイラミン酸とも呼ばれる)を含む。インビボで、ヒトCD43は高度にシアリル化されている。ノイラミニダーゼによる処理は、CD43糖タンパク質からシアル酸残基を切断する。したがって、幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドはノイラミニダーゼ感受性である。幾つかの実施形態は、腫瘍シアリル化された(onco-sialylated)本発明によるCD43ペプチドを提供する。これは、前記CD43ペプチドが腫瘍特異的シアリル化パターンを有することを意味する。本明細書で使用されるとき、「腫瘍特異的シアリル化パターン」を有する本発明によるCD43ペプチドは、腫瘍細胞により産生されたシアリル化パターンを有する本発明によるCD43ペプチド、或いは腫瘍細胞により産生されたシアリル化パターンと同一である、又は少なくとも90%若しくは少なくとも95%若しくは少なくとも97%類似したシアリル化パターンを有する本発明によるCD43ペプチドを包含する。
幾つかの実施形態は、AML細胞により産生された本発明によるCD43ペプチドを提供する。幾つかの実施形態は、AML細胞に由来する細胞株の細胞により産生された本発明によるCD43ペプチドを提供する。そのようなCD43ペプチドは、インビボでのAML患者のAML細胞のグリコシル化パターンに非常によく似たグリコシル化パターンを有することになる。幾つかの実施形態において、本発明による前記CD43ペプチドはTHP-1細胞により産生されている。幾つかの実施形態において、本発明による前記CD43ペプチドは、Kasumi3細胞、又はHL60細胞、又はKG1a細胞、又はSH2細胞、又はMonoMac6細胞、又はMolm13細胞、又はCML K562細胞により産生されている。
本明細書で使用されるとき、AML細胞、例えばAML芽球又はAML細胞株における前記CD43ペプチドの発現によって生じるグリコシル化パターンと類似した又は同一であるグリコシル化パターンを有する本発明によるCD43ペプチドは、AML特異的グリコシル化パターンを有する本発明によるCD43ペプチドと呼ばれる。幾つかの実施形態は故に、AML特異的グリコシル化パターンを有する本発明によるCD43ペプチドを提供する。
幾つかの実施形態は、MDS細胞により産生された本発明によるCD43ペプチドを提供する。幾つかの実施形態は、MDS細胞に由来する細胞株の細胞により産生された本発明によるCD43ペプチドを提供する。そのようなCD43ペプチドは、インビボでのMDS患者のMDS細胞のグリコシル化パターンに非常によく似たグリコシル化パターンを有することになる。
幾つかの実施形態は、MDS特異的グリコシル化パターンを有する本発明によるCD43ペプチドを提供する。これらのペプチドは、MDS細胞、例えばMDS芽球又はMDS細胞株における本発明によるCD43ペプチドの発現によって生じるグリコシル化パターンと類似した又は同一であるグリコシル化パターンを有する。
他の実施形態において、インビトロ糖鎖工学(例えばRoche社 Diagnostics GmbH社による)を用いて宿主細胞により産生された本発明によるCD43ペプチドが提供される。これらの実施形態によれば、宿主細胞は、本発明によるCD43ペプチドの産生時にペプチドがシアリル化されるように、酵素アルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ及び/又はアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼを与えられる。したがって、アルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ及び/又はアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼを含有する細胞により産生された本発明によるCD43ペプチドが更に提供される。幾つかの実施形態において、前記アルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ及び/又はアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼは、外因性アルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ及び/又は外因性アルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼを含む。これは、該酵素が、宿主細胞(又は現在の宿主細胞が由来する親宿主細胞)に組換え導入されていることを意味する。幾つかの実施形態は、アルファ-2,6-シアリルトランスフェラーゼ及び/又はアルファ-2,3-シアリルトランスフェラーゼをコードする外因性核酸配列を含有する宿主細胞により産生された本発明によるCD43ペプチドを提供する。
抗CD43抗体は当技術分野で周知である。しかし、これらの抗体が異なるエピトープを認識することは明らかである。例えば、Kimら、2014の表1に示されているように、抗CD43モノクローナル抗体(mAb)YG5、2C8、8E10、及びDFT-1はAML細胞に結合するが、CEM7、ジャーカット、IM9、ラモス、Raji、Daudi、Reh、正常骨髄、及びPBL細胞を含む多くの他の非AML細胞にも、これらの既知の抗体の幾つか又は全てが結合する(Kimら、2014)。したがって、抗体YG5、2C8、8E10、及びDFT-1は、AMLに対して全く特異的でない。反対に、本発明によるCD43ペプチドに特異的に結合する抗体AT14-013は、ジャーカット細胞、ラモス細胞、正常骨髄細胞、又はPBL細胞/PBMCに結合しない(図5及び図9B)。抗体YG5、2C8、8E10、及びDFT-1は故に、別のCD43エピトープに結合する。
抗体UN1(Tuccilloら、2014a及びTuccilloら、2014b)は、O-グリカンのTn抗原に対応するGalNac-O結合型単糖を含むCD43エピトープを認識する。このエピトープのタンパク質コアは、CD43アミノ酸64から83を含むと結論された。この抗原は、ヒト胸腺細胞、白血病細胞株HPB-ALL、H9、及びMolt-4により、並びに末梢血CD4+Tリンパ球の亜集団において発現される。しかし、抗体AT14-013はヒト胸腺細胞に結合しない。これは、異なるAML抗原が本発明により提供されることを示すものである。
国際特許出願WO 2007/146172は、ヒト結腸直腸腺癌細胞株Colo205及びヒト胃癌細胞株NCI-N87の表面に存在するCD43を認識する抗体5F1、51-41、及び138-10を記載する。AMLは、WO 2007/146172には言及されていない。本発明によるAML特異的CD43ペプチドに特異的に結合する抗体AT14-013は、実施例に示されているようにColo205に結合しない。抗体5F1、51-41、及び138-10は故に、異なるCD43エピトープに結合する。
国際特許出願WO 2006/121240は、CD43アミノ酸73~81から成るCD43の非グリコシル化領域を認識することができる抗体EB-1、EB-2、及びEB-3を記載する。この抗原は、胸腺細胞、骨髄の幾つかの造血前駆細胞、AML細胞、急性リンパ性白血病(ALL)細胞、及び慢性骨髄性白血病(CML)細胞に存在する。EB-1は、その抗原をシアリダーゼ処理及び未処理CD43分子の両方において認識する。反対に、シアリダーゼ(ノイラミダーゼ)による処理後、本発明によるグリコシル化CD43ペプチドは、抗体AT14-013によりもはや認識されない。これは、本発明が、EB-1、EB-2、及びEB-3の抗原とは反対にノイラミダーゼ感受性であるAML抗原を提供することを意味している。更に、抗体AT14-013は、抗体EB-1、EB-2、及びEB-3とは反対にALL細胞又は胸腺細胞に結合しない。更に、本発明によるCD43ペプチドは、ドメインが抗体EB-1、EB-2、及びEB-3により認識されるCD43アミノ酸73位~81位とは異なる、CD43のアミノ酸残基133及び184内に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で51個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を含む。抗体EB-1、EB-2、及びEB-3は故に、別のCD43エピトープも結合する。
結論として、新規のAML特異的抗原が本発明により提供される。
本発明によるCD43ペプチドは、最大で100個のアミノ酸残基及び少なくとも3個のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも6個のアミノ酸残基、又は少なくとも7個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも9個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基、又は少なくとも11個のアミノ酸残基、又は少なくとも12個のアミノ酸残基、又は少なくとも13個のアミノ酸残基、又は少なくとも14個のアミノ酸残基、又は少なくとも15個のアミノ酸残基の長さを好ましくは有する。幾つかの実施形態において、前記長さは、少なくとも20個のアミノ酸残基である。幾つかの実施形態において、前記長さは、少なくとも25個のアミノ酸残基である。幾つかの実施形態において、前記長さは、少なくとも30個のアミノ酸残基である。幾つかの実施形態において、前記長さは、少なくとも33個のアミノ酸残基である。幾つかの実施形態において、前記長さは、少なくとも35個のアミノ酸残基である。幾つかの実施形態において、前記長さは、少なくとも40個のアミノ酸残基である。幾つかの実施形態において、前記長さは、少なくとも45個のアミノ酸残基である。幾つかの実施形態において、前記長さは、少なくとも50個のアミノ酸である。幾つかの実施形態において、前記長さは、少なくとも51個のアミノ酸である。幾つかの実施形態において、前記長さは、少なくとも52個のアミノ酸である。
幾つかの実施形態において、前記長さは、最大で90個のアミノ酸残基、又は最大で85個のアミノ酸残基、又は最大で75個のアミノ酸残基、又は最大で70個のアミノ酸残基、又は最大で65個のアミノ酸残基、又は最大で60個のアミノ酸残基、又は最大で55個のアミノ酸残基、又は最大で52個のアミノ酸残基、又は最大で51個のアミノ酸残基、又は最大で50個のアミノ酸残基、又は最大で45個のアミノ酸残基、又は最大で40個のアミノ酸残基、又は最大で35個のアミノ酸残基、又は最大で30個のアミノ酸残基、又は最大で25個のアミノ酸残基、又は最大で20個のアミノ酸である。幾つかの実施形態において、前記ペプチドは、最大で52個のアミノ酸残基及び少なくとも3個のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも6個のアミノ酸残基、又は少なくとも7個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも9個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基の長さを有する。幾つかの実施形態において、前記ペプチドは、最大で51個のアミノ酸残基及び少なくとも3個のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも6個のアミノ酸残基、又は少なくとも7個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも9個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基の長さを有する。幾つかの実施形態において、前記ペプチドは、最大で33個のアミノ酸残基及び少なくとも3個のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも6個のアミノ酸残基、又は少なくとも7個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも9個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基の長さを有する。幾つかの実施形態において、前記ペプチドは、最大で15個のアミノ酸残基及び少なくとも3個のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも5個のアミノ酸残基、又は少なくとも6個のアミノ酸残基、又は少なくとも7個のアミノ酸残基、又は少なくとも8個のアミノ酸残基、又は少なくとも9個のアミノ酸残基、又は少なくとも10個のアミノ酸残基の長さを有する。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から183位の間に位置する配列と同一である、少なくとも3個のアミノ酸残基及び最大で51個のアミノ酸残基又は最大で51個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列から成る。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から183位の間に位置する配列と同一である、少なくとも5個のアミノ酸残基及び最大で40個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列から成る。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から183位の間に位置する配列と同一である、少なくとも5個のアミノ酸残基及び最大で33個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列から成る。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から183位の間に位置する配列と同一である、少なくとも5個のアミノ酸残基及び最大で20個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列から成る。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から165位の間に位置する配列と同一である、少なくとも5個のアミノ酸残基及び最大で33個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列から成る。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から165位の間に位置する配列と同一である、少なくとも5個のアミノ酸残基及び最大で30個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列から成る。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から165位の間に位置する配列と同一である、少なくとも5個のアミノ酸残基及び最大で20個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列から成る。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から147位の間に位置する配列と同一である、少なくとも5個のアミノ酸残基及び最大で15個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列から成る。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から147位の間に位置する配列と同一である、少なくとも8個のアミノ酸残基及び最大で15個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列から成る。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、図13に示されたCD43アミノ酸133位から147位の間に位置する配列と同一である、少なくとも10個のアミノ酸残基及び最大で15個のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列から成る。
幾つかの実施形態において、上述のペプチドは、天然のAML特異的抗原をよりうまく模倣するように、好ましくはシアル酸残基を含む形でグリコシル化されている。幾つかの実施形態において、上述のペプチドは腫瘍シアリル化されている。幾つかの実施形態において、上述のペプチドは、AML細胞又はAML細胞株、好ましくはTHP-1細胞により産生されている。幾つかの実施形態において、上述のペプチドは、MDS細胞又はMDS細胞株により産生されている。
本発明によるCD43ペプチドをコードする核酸分子、又はその機能的同等物も、本発明により包含される。したがって、本発明によるCD43ペプチドをコードする単離された合成若しくは組換え核酸分子、又はその機能的同等物が更に提供される。本明細書で使用されるとき、本発明の核酸分子又は核酸配列は、好ましくはヌクレオチドの鎖、より好ましくはDNA、cDNA、又はRNAを含む。他の実施形態において本発明の核酸分子又は核酸配列は、例えばDNA/RNA螺旋、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、及び/又はリボザイム等の他の種類の核酸構造を含む。そのような他の核酸構造は、核酸配列の機能的同等物と呼ばれる。用語「核酸分子の機能的同等物」は故に、天然のヌクレオチドと同じ機能を発揮する、非天然ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、及び/又は非ヌクレオチド構成単位を含む鎖を包含する。
幾つかの実施形態は、ヒト核酸配列が、ヒト以外の細胞、例えば、大腸菌(E.coli)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO細胞(マウス骨髄腫)、又は293(T)細胞のようなヒト以外のプロデューサー細胞に対してコドン最適化された、本発明による核酸分子又はその機能的同等物を提供する。これは、前記ヒト核酸配列由来の1つ又は複数のコドンが、前記ヒト以外の細胞に好まれる1つ又は複数のコドンにより置換されていることを意味する。
本明細書で使用されるとき、本発明によるCD43ペプチドをコードする単離された合成若しくは組換え核酸分子、又はその機能的同等物は、「本発明による核酸分子又は機能的同等物」とも呼ばれる。
本発明は、新規のAML特異的抗原を含むCD43ペプチドを提供しているため、多くの適用が可能になった。例えば、幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、リンパ増殖性及び/又は骨髄増殖性細胞に特異的に結合することができる免疫細胞及び/又は抗体、又はその機能的部分若しくは機能的誘導体を誘導し、単離し、及び/又は得るために使用される。本発明によるCD43ペプチドを用いて誘導され、単離され、及び/又は得られる免疫細胞及び/又は抗体、又はその機能的部分若しくは機能的誘導体は、骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患の治療又は予防に特に適している。本発明によるCD43ペプチドに特異的な抗体である抗体AT14-013が、より治療抵抗性であり治療後の疾患の再発にしばしば関与することが知られている白血病幹細胞も標的とするという事実を考えると、なおさらそうである。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチドは、AML特異的免疫細胞及び/又はAML特異的抗体を誘導し、及び/又は得るために使用される。例えば、ヒト以外の動物は、本発明による1つ若しくは複数のCD43ペプチド、又は本発明によるCD43ペプチドを含む免疫原性化合物、又は本発明によるCD43ペプチドをコードする核酸分子若しくはその機能的同等物、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターで免疫され、好ましくはその後に1つ又は複数のブースター投与が行われる。その後、リンパ増殖性及び/又は骨髄増殖性細胞に特異的な、好ましくはAMLに特異的な免疫細胞及び/又は抗体が前記ヒト以外の動物から回収される。幾つかの実施形態において、前記免疫細胞は、例えばNK細胞又はヘルパーT細胞等のT細胞を含む。
幾つかの実施形態において、前記免疫されたヒト以外の動物から回収された前記免疫細胞は、B細胞を含む。例えば、AML特異的B細胞は、AML特異的抗体の産生に特に適切である。前記免疫された動物から回収されたAML特異的B細胞は、例えば、AML特異的抗体が得られるハイブリドーマの産生に使用される。他の実施形態において、前記免疫された動物から回収されたB細胞がBcl-6及びBcl-xL核酸で形質導入され、例えば欧州特許第1974017号及び米国特許US 9,127,251に記載された長期エクスビボB細胞培養で培養される。このように、B細胞が抗体の複製及び産生の両方を行う長期複製B細胞培養物が生成される。幾つかの実施形態において、前記ハイブリドーマ又はそのようなB細胞培養により産生されたAML特異的抗体は回収され、例えば、好ましくは副作用を低減するために抗体をヒト化した後で抗AML療法に使用される。幾つかの実施形態において、前記ヒト以外の動物から得られた抗体及び/又はB細胞は、CD43への結合をめぐる抗体AT14-013との競合についてテストされる。これは例えば、前記ヒト以外の動物から得られた前記抗体又はB細胞とAML細胞をインキュベートし、その後抗体AT14-013を添加して行われる。対照として、AML細胞は、任意の他の抗体又はB細胞の非存在下で抗体AT14-013と好ましくはインキュベートされる。AML細胞と前記ヒト以外の動物から得られた抗体又はB細胞とのプレインキュベーションが、前記AML細胞へのAT14-013の結合に影響を与えるようであれば、前記ヒト以外の動物から得られた前記抗体又はB細胞は、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合していると結論される。
幾つかの実施形態において、前記ヒト以外の動物由来のB細胞の可変ドメインコード核酸配列が、AML特異的可変ドメインの核酸配列を得るために配列決定され、その後、これらの配列を含む1つ又は複数の核酸分子が、AML特異的抗体の産生のために例えば大腸菌、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO細胞、又は293(T)細胞等のプロデューサー細胞に導入される。前記1つ又は複数の核酸配列は、好ましくは、前記プロデューサー細胞に対して最適化されたコドンである。本明細書で使用されるとき、用語「コドン」は、特定のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド(又はその機能的同等物)のトリプレットを意味する。用語「コドン最適化された」は、元の動物核酸配列由来の1つ又は複数のコドンが、例えば特定のプロデューサー細胞等の別の種由来の細胞に好まれる1つ又は複数のコドンにより置換されることを意味する。これらの置換コドンは、好ましくは、置換された元の動物コドンと同じアミノ酸残基をコードする。
幾つかの実施形態において、前記ヒト以外の動物又は前記ヒト以外の動物の免疫細胞から得られたCD43特異的抗体は、ヒト化される。これは、動物アミノ酸配列、好ましくはフレームワーク配列の少なくとも一部又は全部が、ヒトにおける有害な副作用を低減するためにヒト配列により置換されることを意味する。
適切な投与手順及びアジュバント、そのような免疫動物由来の抗体及び/又は免疫細胞を得、精製する手順、ヒト以外の抗体の競合実験及びヒト化手順を含む動物免疫プロトコルは、当技術分野で公知である。例えばHanlyら、1995を参照のこと。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチド、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物は、AML特異的免疫グロブリン(典型的にはFab断片)を同定及び/又は単離するために、ファージディスプレイライブラリーをスクリーニングするのに使用される。幾つかの実施形態において、ナイーブファージディスプレイライブラリーが使用される。好ましい実施形態において、ライブラリーがAMLに既に偏っているように、1人又は複数のAML患者に由来するファージディスプレイライブラリーが使用される。幾つかの実施形態において、前記ファージディスプレイライブラリーから得られたAML特異的免疫グロブリンは、CD43への結合をめぐる抗体AT14-013との競合についてテストされる。これは、例えば本明細書に記載された競合テストを用いて行われる。
したがって、免疫細胞又は抗体、又は例えばFab断片等のその機能的部分若しくは機能的同等物を誘導し、単離し、及び/又は得るための、本発明によるCD43ペプチドの使用、又は本発明による免疫原性化合物の使用、又は本発明によるCD43ペプチドをコードする核酸分子若しくはその機能的同等物の使用、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターの使用が更に提供される。前記免疫細胞又は抗体又はその機能的部分若しくは機能的同等物は、好ましくは、リンパ増殖性細胞及び/又は骨髄増殖性細胞に特異的に結合することができる。好ましくは、前記骨髄増殖性細胞は、AML細胞、MDS細胞、及び/又はCML細胞であり、最も好ましくはAML細胞である。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチド、又は本発明による免疫原性化合物、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターは、抗体依存性細胞性細胞傷害性(ADCC)又は補体依存性細胞傷害性(CDC)を誘導することができる抗体を誘導し、及び/又は得るために使用される。そのような抗体の非限定的な例は、実施例に示されたAT14-013である。本発明によるCD43ペプチド、又は本発明による免疫原性化合物が、ADCC及び/又はCDC誘導活性を有する抗体を誘導し、及び/又は得ることができるという事実は、インビボで機能的である抗体が誘導され又は得られうることを意味する。
免疫原として使用するための本発明による核酸分子若しくは機能的同等物、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターだけでなく、免疫原として使用するための本発明によるCD43ペプチド又は化合物も本明細書に提供される。
幾つかの実施形態は、例えばAML特異的免疫細胞又はAML特異的抗体等の、リンパ増殖性細胞及び/又は骨髄増殖性細胞に特異的に結合することができる免疫細胞及び/又は抗体を作製する方法であって、ヒト以外の動物を、本発明によるCD43ペプチド、又は本発明による化合物、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターで免疫するステップを含む方法を提供する。方法は、好ましくは、前記ヒト以外の動物から、リンパ増殖性細胞及び/又は骨髄増殖性細胞に特異的に結合することができる免疫細胞及び/又は抗体を回収するステップを更に含む。幾つかの実施形態において、AML特異的免疫細胞及び/又はAML特異的抗体は、前記ヒト以外の動物から回収される。幾つかの実施形態において、前記ヒト以外の動物から得られたB細胞及び/又は抗体は、CD43への結合をめぐる抗体AT14-013との競合についてテストされる。本発明による方法により得ることができる、リンパ増殖性細胞及び/又は骨髄増殖性細胞に特異的に結合することができる免疫細胞及び/又は抗体も本明細書に提供される。幾つかの実施形態は、AML特異的免疫細胞又はAML特異的抗体を産生するための本発明による方法により得ることができるAML特異的抗体又はAML特異的免疫細胞を提供する。そのようなAML特異的抗体は、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と好ましくは競合する。
前記ヒト以外の動物は、齧歯類又はウシ等の哺乳動物を好ましくは含む。幾つかの実施形態において、前記ヒト以外の動物は、マウス、ラット、ウサギ、ラマ、ラクダ、ブタ、家禽、ウシ、ヤギ、ウマ、類人猿、及び/又はゴリラを含む。
抗体AT14-013が本発明によるCD43ペプチドに特異的に結合するという事実を考えると、本発明によるCD43ペプチドを用いて得られ、産生され、又は選択される他の抗体は、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と典型的には競合するであろう。反対に、当技術分野で周知である現在のCD43抗体は、抗体AT14-013と競合しないのに対し、これらの既知の抗体は、図9に示されているように互いに競合する。当技術分野で周知のこれらの他の抗体は故に、AT14-013のエピトープとは異なるエピトープに明らかに結合する。したがって、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物が更に提供される。前記単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物は、図13に示されたCD43配列のアミノ酸133から184の間に位置するエピトープの少なくとも一部への結合をめぐって、抗体AT14-013と好ましくは競合する。前記単離された組換え若しくは精製抗体、又は機能的部分若しくは機能的同等物は、本発明によるCD43ペプチドへの結合をめぐって抗体AT14-013と典型的には競合する。
用語「抗体」は本明細書で使用されるとき、互いに結合した2本の重鎖を含み、各重鎖もまた軽鎖と対合している免疫グロブリンタンパク質を指す。
「抗体の機能的部分」は、必ずしも量においてではないが、種類において前記抗体と少なくとも1つの共通する特性を有する部分として、本明細書において定義される。前記機能的部分は、必ずしも同じ程度ではないが前記抗体と同じ抗原に結合することができる。抗体の機能的部分は、少なくとも重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を好ましくは含む。幾つかの実施形態において、抗体の機能的部分は、少なくとも重鎖可変ドメイン(VH)を含む。抗体の機能的部分の非限定的な例は、単一ドメイン抗体、一本鎖抗体、ナノボディ、ユニボディ、一本鎖可変断片(scFv)、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、Fab断片、及びF(ab')2断片である。
「抗体の機能的同等物」は、抗体の少なくとも1つのCDR配列、好ましくは重鎖CDR3配列を含む人工結合性化合物として本明細書において定義される。前記機能的同等物は、抗体の重鎖CDR3配列、及び前記抗体の軽鎖CDR3配列を好ましくは含む。より好ましくは、前記機能的同等物は、抗体の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3配列、並びに前記抗体の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。抗体の機能的同等物は、例えば、得られた化合物の少なくとも抗原結合特性が、必ずしも量においてではないが、種類において本質的に同じであるように抗体を変化させて産生される。これは、抗体の全般的機能が本質的に影響を受けないように、多くの方法で、例えば、アミノ酸残基が概ね類似した特性(サイズ、疎水性等)を有する別の残基により置換される、保存的アミノ酸置換により行われる。抗体の機能的同等物の非限定的な例は、Fcテールがアミノ酸置換及び又はグリコシル化変化により例えば修飾されている、修飾Fcテールを有する抗体である。
当業者に公知であるように、抗体の重鎖は、免疫グロブリン分子を構成する2つのタイプの鎖のうち大きいほうである。重鎖は定常ドメイン及び可変ドメインを含み、可変ドメインは抗原結合に関与する。抗体の軽鎖は、免疫グロブリン分子構成する2つのタイプの鎖のうち小さいほうである。軽鎖は定常ドメイン及び可変ドメインを含む。可変ドメインは、常にではないが、しばしば重鎖の可変ドメインと一緒に抗原結合に関与する。
相補性決定領域(CDR)は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインに存在する超可変領域である。抗体全体の場合、重鎖のCDR1~3及び連結された軽鎖のCDR1~3が抗原結合部位を共に形成する。
本明細書で使用されるとき、免疫細胞、抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物が、無関係の対照抗体又は対照免疫細胞のAML細胞に対する結合親和性より少なくとも2倍高い結合親和性で前記AML細胞に結合できるならば、これはAMLに「特異的」である(対照抗体又は対照免疫細胞は、前記AML細胞に特異的でない)。例えば、AML特異的抗体、B細胞又はT細胞によるAML結合は、それぞれ抗体、B細胞受容体(BCR)、又はT細胞受容体(TCR)の相補性領域を通じて典型的には媒介される。AML抗原及び抗体又はBCR又はTCRの可変ドメインの両方の特異的三次元構造は、抗体又はBCR又はTCRのランダムな非特異的固着とは対照的に、これらの2つの構造を互いに結合させる(錠及び鍵に類似した相互作用)。しかし、他のタイプの細胞に対する幾つかの反応性は、用語「AML特異的」内に包含される。抗体又はBCR又はTCRは典型的には抗原のエピトープを認識することから、及びそのようなエピトープは他の細胞に同様に存在しうることから、AML特異的抗体、B細胞又はT細胞は、次いで、そのような他の細胞を認識しうる。そのような他の細胞の非限定的な例は、MDS及びCML細胞である。また、メラノーマ細胞及びメラニン細胞にも、程度は少ないがAML特異的抗体AT14-013が結合するようである。したがって、用語「AML特異的」は、同じエピトープの少なくとも一部を含有する別の細胞への、抗体又はB細胞若しくはT細胞の結合を排除しない。しかし、例えばPBMC、(前駆細胞)T細胞及びB細胞等のCD43+造血細胞を含む多くのCD43+細胞は、本発明により提供されたAML抗原を含有しないことが実施例に示されている。
本発明によるCD43ペプチドは、生体試料中の、例えば、AML特異的抗体又はB細胞若しくはT細胞等のAML特異的免疫細胞等のAML特異的結合性化合物の存在に関するテストに特に適切である。例えば、個体由来の試料、又は抗体、B細胞及び/若しくはT細胞を含むそのような試料の分画が、AML特異的抗体及び/又はAML特異的免疫細胞の存在をスクリーニングするために、本発明によるCD43ペプチド、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物とインキュベートされる。そのような抗体又は免疫細胞が、前記試料又は前記試料分画に存在し、本発明による前記CD43ペプチドに結合するようであれば、前記試料は、AML特異的結合性化合物(すなわち抗体及び/又は免疫細胞)に対して陽性であると分類される。前記試料は、例えば血液試料、又は骨髄試料、又は例えば骨髄肉腫(緑色腫とも呼ばれる)等の生検材料を含む。
AML特異的抗体又はAML特異的免疫細胞は、例えばウエスタンブロット、(捕捉)ELISA、又はRIA等の免疫アッセイを用いて例えば検出され及び/又は定量化される。これらのアッセイは、当技術分野で公知である。標識された本発明によるCD43ペプチドは、血液試料若しくは骨髄試料、又は例えば骨髄肉腫等の生検材料、又は抗体、B細胞及び/若しくはT細胞を含むそのような試料の分画と例えばインキュベートされ、その後、結合していない結合性化合物が洗い流される。その後、本発明によるCD43ペプチドにAML特異的抗体又は免疫細胞が結合しているかどうかが決定される。幾つかの実施形態において、標識されていない本発明によるCD43ペプチド、又は標識されていない本発明によるCD43ペプチドを含む化合物は、例えば血液試料若しくは骨髄試料又は例えば骨髄肉腫等の生検材料等の、抗体及び/又は免疫細胞を含む試料、或いは抗体、B細胞及び/又はT細胞を含むそのような試料の分画と接触させられる。インキュベーション後、非結合抗体及び結合していない免疫細胞を除去するために、1つ又は複数の洗浄ステップが好ましくは行われる。その後、例えば特にヒト抗体又はヒト免疫細胞に対する抗体、及び例えば蛍光化合物又は例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ若しくはアルカリホスファターゼ等のマーカーに結合させた抗体を用いて、抗体又は免疫細胞が本発明による前記CD43ペプチドに結合したかどうかがテストされる。更なる洗浄ステップ後、例えば光発光を測定し、又は西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼの基質を添加して、二次抗体が結合したかどうかが決定される。これらの検出手法は、当技術分野で公知である。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチド、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物は、抗体及び/又は免疫細胞が富化された試料の分画と接触させられる。幾つかの実施形態において、前記分画は、インビトロB細胞培養物又はインビトロT細胞培養物である。幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチド又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物は、例えば、CD19陽性細胞に対して選択して得られた精製B細胞分画、及び/或いは抗Ig抗体又はプロテインA若しくはG精製方法を用いて精製された抗体/B細胞分画等の、生体試料から本質的に精製された抗体及び/又は免疫細胞と接触させられる。プロテインA又はG精製方法は当技術分野で公知であり、プロトコル及び試薬は市販されている。本明細書で使用されるとき、用語「試料から本質的に精製された免疫細胞」は、得られた分画の細胞の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、又は少なくとも95%が免疫細胞から成ることを意味する。用語「試料から本質的に精製された抗体」は、得られた分画の質量の少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、又は少なくとも95%が抗体から成ることを意味する。
したがって、免疫細胞及び/又は抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物に結合及び/又は検出するための、本発明によるCD43ペプチドの使用、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物の使用が更に提供される。前記免疫細胞及び/又は抗体又はその機能的部分若しくは機能的同等物は、好ましくは、リンパ増殖性細胞及び/又は骨髄増殖性細胞に特異的に結合することができる。好ましくは、前記骨髄増殖性細胞は、AML細胞又はMDS細胞又はCML細胞、好ましくはAML細胞である。試料がAML特異的抗体及び/又はAML特異的免疫細胞を含むかどうかを決定する方法であって、本発明によるCD43ペプチド、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物を、前記試料、又は抗体及び/若しくは免疫細胞を含む前記試料の分画とインキュベートするステップと、その後、本発明による前記CD43ペプチドにAML特異的抗体及び/若しくはAML特異的免疫細胞が結合しているかどうか、又は本発明による前記CD43ペプチドを含む前記化合物に、AML特異的抗体及び/若しくはAML特異的免疫細胞が結合しているかどうかを決定するステップとを含む方法だけでなく、抗体及び/又は免疫細胞等のAML特異的結合性化合物の検出部分として使用するための、本発明によるCD43ペプチド、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物もまた、本明細書に提供される。そのような結合が検出されるならば、前記試料は、AML特異的抗体及び/又はAML特異的免疫細胞を含むと結論される。
試料がAML特異的抗体及び/又はAML特異的免疫細胞を含むかどうかを決定する方法であって、本発明によるCD43ペプチド、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物を、前記試料から本質的に精製された抗体及び/又は免疫細胞とインキュベートするステップと、その後、本発明による前記CD43ペプチドにAML特異的抗体及び/若しくはAML特異的免疫細胞が結合しているかどうか、又は本発明による前記CD43ペプチドを含む前記化合物に、AML特異的抗体及び/若しくはAML特異的免疫細胞が結合しているかどうかを決定するステップとを含む方法も提供される。
幾つかの実施形態において、上記に記載された検出テストの結果は、個体がAMLを有しているかどうかを決定するために使用される。個体由来の試料が、AML特異的免疫細胞及び/又はAML特異的抗体を含有するようであれば、前記個体はAML患者であると結論されうる。したがって、診断剤として使用するための本発明によるCD43ペプチドを含む化合物だけでなく、診断剤として使用するための本発明によるCD43ペプチドも本明細書に提供される。AMLを診断するための本発明によるCD43ペプチドの使用、及びAMLを診断するための本発明によるCD43ペプチドを含む化合物の使用が更に提供される。
- 本発明によるCD43ペプチド、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物、及び
- 抗体結合CD43ペプチド又は免疫細胞結合CD43ペプチドの検出手段
を含む診断キットが更に提供される。
そのような手段は、例えば、特にヒト抗体又はヒト免疫細胞に対する標識抗体を包含する。幾つかの実施形態において、前記標識抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼとコンジュゲートされる。
幾つかの実施形態は、
- 本発明によるCD43ペプチド、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物、及び
- 抗体又は免疫細胞の検出手段
を含む診断キットを提供する。
そのような手段は、例えば、特にヒト抗体又はヒト免疫細胞に対する標識抗体を包含する。幾つかの実施形態において、前記標識抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼとコンジュゲートされる。
幾つかの実施形態は、抗体含有試料又は免疫細胞含有試料を分類する方法であって、本発明によるCD43ペプチド(場合によってT細胞を検出するためのMHC複合体において)、又は本発明による前記CD43ペプチドを含む化合物を、前記試料の抗体及び/又は免疫細胞と接触させるステップと、本発明による前記CD43ペプチド、又は本発明による前記化合物に、前記試料の前記抗体及び/又は免疫細胞のうちの少なくとも1つが結合しているかどうかを決定するステップとを含む方法を提供する。本発明による前記CD43ペプチド又は前記化合物に、前記試料の抗体及び/又は免疫細胞が結合していれば、前記試料は、CD43特異的抗体及び/又は免疫細胞を含むと分類される。
幾つかの実施形態は、個体が骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患、好ましくはAMLを有しているかどうかを決定する方法であって、本発明によるCD43ペプチド(場合によってT細胞を検出するためのMHC複合体において)、又は本発明による前記CD43ペプチドを含む化合物を、前記個体の抗体及び/又は免疫細胞と接触させるステップと、本発明による前記CD43ペプチド、又は本発明による前記化合物に、前記個体の前記抗体及び/又は免疫細胞のうちの少なくとも1つが結合しているかどうかを決定するステップとを含む方法を提供する。本発明による前記CD43ペプチド又は前記化合物に、前記個体の抗体及び/又は免疫細胞が結合していれば、前記個体は、AML等のリンパ増殖性又は骨髄増殖性疾患を有していると結論される。幾つかの実施形態において、本発明による前記CD43ペプチド、又は本発明による前記CD43ペプチドを含む前記化合物は、例えば血液試料又は骨髄試料又は例えば骨髄肉腫等の生検材料等の、前記個体の抗体及び/又は免疫細胞を含む試料と接触させられる。他の実施形態において、本発明による前記CD43ペプチド又は化合物は、前記個体由来の試料の分画と接触させられ、前記分画は免疫細胞及び/又は抗体を含む。幾つかの実施形態において、本発明による前記CD43ペプチド又は化合物は、例えば、CD19陽性細胞に対して選択して得られた精製B細胞分画、及び/或いは抗Ig抗体又はプロテインA若しくはG精製方法を用いて精製された抗体/B細胞分画等の、前記試料から本質的に精製された抗体及び/又は免疫細胞と接触させられる。
幾つかの実施形態において、本発明による検出テストの結果は、個体がAML等の骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患に対する検出可能な免疫応答を示すかどうかを決定するために使用される。これは例えば、AMLに対して治療されている例えばAML患者、例えば幹細胞移植又はドナーリンパ球注入等の免疫療法を受けているAML患者等の、医学的治療を受けている骨髄増殖性疾患に罹患している患者が、GvL反応を有するかどうかを決定するのに好ましい。今日まで、治療患者における強いGvL反応の存在についてテストする診断ツールはない。そのような診断ツールは、例えば、1)再発が生じる前の時点で再発のリスクが高い同種SCTレシピエントの早期同定を可能にし、これにより免疫抑制剤又はドナーリンパ球注入の漸減等のより早期の介入を可能にする、2)抗白血病抗体が出現するまでのそのようなドナーリンパ球注入の漸増を可能にする、及び3)強いGvL反応の存在が実証されうる場合、同種SCTレシピエントが多くのSCT関連合併症の1つにしばしば苦しむとき、彼らに希望を提供することから切望されている。今日、患者は再発が生じるか否か様子を見なければならず、疾患の再発を予測する方法はない。したがって、患者が抗AML免疫応答を有するかどうかを決定するテストの利用可能性は、SCT患者の臨床ケアを大幅に改善し、予後及び生活の質に影響を与えるであろう。
したがって、幾つかの実施形態は、個体が骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患、好ましくはAMLに対する免疫応答を示すかどうかを決定する方法であって、場合によってMHC複合体において本発明によるCD43ペプチド、又は本発明による前記CD43ペプチドを含む化合物を、前記個体の抗体及び/又は免疫細胞と接触させるステップと、本発明による前記CD43ペプチド、又は本発明による前記CD43ペプチドを含む前記化合物に、前記個体の抗体及び/又は免疫細胞のうちの少なくとも1つが結合しているかどうかを決定するステップとを含む方法を提供する。前記CD43ペプチド又は前記化合物が結合を受けているようであれば、前記個体は、前記骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患、好ましくはAMLに対する免疫応答を示すことが示される。幾つかの実施形態において、前記個体の抗体又はB細胞が、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合するかどうかが決定される。抗体の競合は、骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患、好ましくはAMLに対して特に有効となろう。
幾つかの実施形態において、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する抗体又はその機能的部分若しくは機能的同等物は、試料中の骨髄増殖性細胞を検出するために使用される。したがって、試料が骨髄増殖性細胞、好ましくはAML又はMDS又はCML細胞を含むかどうかを決定するための、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物の使用が更に提供される。AMLを診断するための、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物の使用だけでなく、リンパ増殖性又は骨髄増殖性疾患、好ましくはAML又はMDS又はCMLの診断に使用するための、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物も本明細書に提供される。リンパ増殖性又は骨髄増殖性細胞、好ましくはAML又はMDS又はCML細胞の診断剤を調製するための、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物の使用も提供される。幾つかの実施形態は、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物、及び抗体-細胞複合体の検出手段を含む診断キットを提供する。前記手段は例えば、例えばAT14-013等のAML細胞に対する別の抗体を含む。幾つかの実施形態において、前記手段は、骨髄性細胞の別の細胞表面成分に対する標識抗体を含む。幾つかの実施形態において、前記手段は、抗体AT14-013と競合する前記抗体又は機能的部分若しくは機能的同等物に対する標識抗体を含む。
診断剤として使用するための、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物も提供される。幾つかの実施形態は、
- 前記試料を、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物と接触させるステップと、
- 骨髄増殖性細胞が存在する場合、前記抗体又は機能的部分若しくは機能的同等物が骨髄増殖性細胞に結合できるようにするステップと、
- 骨髄増殖性細胞が、前記抗体又は機能的部分若しくは機能的同等物に結合しているか否かを決定し、これにより骨髄増殖性細胞が前記試料中に存在するか否かを決定するステップと
を含む、骨髄増殖性細胞が試料中に存在するかどうかを決定する方法を提供する。幾つかの実施形態において、前記骨髄増殖性細胞はAML又はMDS又はCML細胞である。
試料がAML又はMDS又はCML細胞を含むかどうかを決定するための、抗体AT14-013、又はその機能的部分若しくは機能的同等物の使用が更に提供される。AML又はMDS又はCMLを診断するための、抗体AT14-013、又はその機能的部分若しくは機能的同等物の使用だけでなく、AML又はMDS又はCMLの診断に使用するための、抗体AT14-013、又はその機能的部分若しくは機能的同等物も本明細書に提供される。AML又はMDS又はCMLの診断剤を調製するための、抗体AT14-013、又はその機能的部分若しくは機能的同等物の使用も提供される。
したがって、本発明による新規のCD43ペプチド及びそれをコードする核酸分子又は機能的同等物の他の興味深い適用は、予防的又は半予防的適用及び免疫療法である。本明細書で使用されるとき、半予防的適用は、個体が既に疾患を有しているが、前記疾患の更なる進行は少なくとも一時的に遅延又は防止されることを意味する。例えば、本発明によるCD43ペプチド、又はそれをコードするその核酸分子若しくは機能的同等物、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクター、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物は、中リスクから高リスク骨髄異形成症候群(MDS)に罹患している個体に半予防的に投与されうる。本明細書に以前に記載されているように、そのような患者はAMLを発症する中リスクから高リスクを有しているため、MDSがAMLに進行する前に、本発明によるCD43ペプチド又は化合物又は核酸分子又は機能的同等物又はベクターを用いて、前記患者において事前に抗AML免疫応答を誘発することが有利である。本発明によるCD43ペプチド、又は本発明による化合物若しくは核酸分子若しくは機能的同等物若しくはベクターの半予防的適用の別の例は、同種造血幹細胞移植(HSCT)を受けたAML、MDS、又はCML患者に対するその使用である。そのような同種HSCTの目標は、同種移植片対白血病/MDS応答を惹起することであるが、現在、そのような応答の発生を確実にするのに利用可能なアプローチはない。本発明は、CD43発現悪性細胞に対するアロ反応性免疫応答(例えばMDS、AML、又はCMLに対する移植片vs腫瘍応答)を誘導する予防又は半予防剤としての、本発明によるCD43ペプチド、又はそれをコードする核酸分子若しくは機能的同等物の使用、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターの使用、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物の使用を提供する。本発明によるCD43ペプチド、又は本発明による化合物若しくは核酸分子若しくは機能的同等物若しくはベクターの予防的又は半予防的適用の別の例は、CML患者に対するその使用である。今日、CMLは、例えばイマチニブ等のチロシンキナーゼ阻害剤を用いて、多くの患者において十分に制御されている。しかし、患者は、1つ又は複数のチロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性を生じる場合がある。更に
、チロシンキナーゼ阻害剤の使用は、浮腫、皮疹、疲労、悪心、及び骨髄抑制のような有害な副作用を時として伴う。チロシンキナーゼ阻害剤はまた高額でもある。本発明は、CMLからAMLへの進行を遅延又は防止する予防剤又は半予防剤としての、本発明によるCD43ペプチド、又はそれをコードする核酸分子若しくは機能的同等物の使用、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターの使用、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物の使用を提供する。幾つかの実施形態において、本発明による前記CD43ペプチド又は化合物又は核酸分子又は機能的同等物又はベクターは、例えば有害な副作用及び/又は費用を低減するためにチロシンキナーゼ阻害剤の代わりに使用される。他の実施形態において、本発明による前記CD43ペプチド又は化合物又は核酸分子又は機能的同等物又はベクターは、1つ又は複数のチロシンキナーゼ阻害剤と一緒に使用される。したがって、予防剤又は半予防剤として使用するための本発明によるCD43ペプチド、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物、又は本発明によるCD43ペプチドをコードするその核酸分子若しくは機能的同等物、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターも、本明細書に提供される。AML、例えば同種HSCTを受けているAML患者に対する予防剤又は半予防剤を調製するための、本発明によるCD43ペプチドの使用、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物の使用、又は本発明によるCD43ペプチドをコードするその核酸分子若しくは機能的同等物、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターの使用も提供される。幾つかの実施形態において、前記半予防剤は上記に説明されたMDS又はCML患者用である。前記予防剤又は半予防剤は、ワクチンを好ましくは含む。本明細書で使用されるとき、用語「予防剤」は半予防剤も包含する。
幾つかの実施形態において、本発明によるCD43ペプチド又は化合物又は核酸分子又は機能的同等物又はベクターは、骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患、好ましくはAMLの治療のために使用される。本明細書で使用されるとき、「治療」は、少なくとも1つの症状の軽減、及び/又は疾患の進行の少なくとも一時的な遅延若しくは更には停止を包含する。1つの好ましい実施形態において、本発明によるCD43ペプチド(場合によってMHC複合体において)、又はそれをコードする核酸分子若しくは機能的同等物、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクター、又は本発明による前記CD43ペプチドを含む化合物は、患者の免疫系を高め、免疫応答の増強をもたらすためにAML患者に投与される。幾つかの実施形態において、AML患者由来のナイーブT細胞又はB細胞は、該患者にその後投与される(場合によってエクスビボ増殖後に)AML特異的T細胞又はB細胞を得るために、本発明によるCD43ペプチド又は化合物とエクスビボで培養され、インキュベートされる(T細胞培養物の場合、場合によってMHC複合体において)。幾つかの実施形態において、前記AML患者由来のAML特異的B細胞は、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合するかどうかが決定される。その理由は、AT14-013が、より治療抵抗性であり治療後の疾患の再発にしばしば関与することが知られている白血病幹細胞も標的とするという事実を特に考えると、競合B細胞はAMLに対して特に有効となるためである。
幾つかの実施形態において、養子細胞療法が使用される。幾つかの実施形態において、AML患者由来のT細胞は、MHC複合体において本発明によるCD43ペプチドを用いて、又はMHC複合体において本発明によるCD43ペプチドを含む化合物を用いて結合又は活性化についてテストされ、前記CD43ペプチドを認識するT細胞が好ましくはエクスビボで増殖させられ、その後患者に投与され、抗AML T細胞応答をもたらすことになる。
幾つかの実施形態において、ドナーリンパ球の養子細胞療法が使用される。同種HSCTを受けたAML患者から単離された、又はHSCTドナーから単離されたドナーT細胞は、MHC複合体において本発明によるCD43ペプチドを用いて、又はMHC複合体において本発明によるCD43ペプチドを含む化合物を用いて、結合又は活性化について好ましくはテストされ、前記CD43ペプチドを認識するドナーT細胞が好ましくはエクスビボで増殖させられ、その後患者に投与され、抗AML T細胞応答をもたらすことになる。
幾つかの実施形態において、T細胞は、T細胞にAML特異的結合性部分を提供するために修飾される。前記T細胞は、好ましくは、AML患者又はMDS患者又はCML患者又はHSCTドナーに由来する。幾つかの実施形態において、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞が産生される。これらは、好ましくは抗体に由来する目的とする結合特異性を提供された、修飾されたT細胞受容体を有するT細胞である。典型的にはCAR T細胞は、scFvによる標的認識時にゼータシグナルが誘発されるように、モノクローナル抗体に由来する一本鎖可変ドメイン(scFv)をCD3ゼータ膜貫通ドメインに融合して産生される。
幾つかの実施形態によれば、本発明によるCD43ペプチド、又はそれをコードする核酸分子若しくは機能的同等物、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクター、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物は、CD43特異的B細胞及び/又は抗体を産生及び/又は単離するために使用され、このCD43特異的B細胞及び/又は抗体は、修飾T細胞を産生するために使用される。例えば、前記CD43ペプチド又は化合物又は核酸分子又は機能的同等物又はベクターは、AML特異的抗体又はAML特異的B細胞を誘発し、検出し、及び/又は単離するために使用される。その後、幾つかの実施形態において、前記抗体又はB細胞の重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインがT細胞に提供され、これによりAML特異性を有する修飾T細胞を産生する。幾つかの実施形態において、これらの修飾T細胞がその後AML患者に投与され、AML特異的T細胞応答をもたらすことになる。幾つかの実施形態において、前記修飾T細胞はCAR T細胞である。幾つかの実施形態において前記AML特異的抗体又はAML特異的B細胞は、前記抗体又はB細胞の重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインがT細胞に提供される前に、CD43への結合をめぐる抗体AT14-013との競合についてテストされる。そのような競合抗体は、AML特異性を有する修飾T細胞の産生に対して好ましくは選択される。
したがって、医薬品として使用するための本発明によるCD43ペプチド(場合によってMHC複合体において)、又は本発明による前記CD43ペプチドを含む化合物、又は本発明によるCD43ペプチドをコードするその核酸分子若しくは機能的同等物、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターが更に提供される。AML特異的T細胞を産生するための、本発明によるCD43ペプチド(場合によってMHC複合体において)の使用、又は本発明による前記CD43ペプチドを含む化合物の使用、又は本発明によるCD43ペプチドをコードするその核酸分子若しくは機能的同等物の使用、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターの使用も提供される。幾つかの実施形態は、修飾T細胞を作製する方法であって、AML患者由来の抗体含有試料又はAML患者由来のB細胞含有試料を、本発明によるCD43ペプチド又は化合物と接触させ、AMLに対する結合抗体又はB細胞をもたらすステップと、その後、前記AML患者由来のAML特異的抗体又はAML特異的B細胞から1つ又は複数のAML特異的ドメインを得るステップと、前記1つ又は複数のドメインをT細胞に提供するステップとを含む方法を提供する。幾つかの実施形態は、修飾T細胞を作製する方法であって、ヒト以外の動物を、本発明によるCD43ペプチド又は化合物又は核酸分子又は機能的同等物又はベクターで免疫し、これによりAMLに対する免疫応答を誘発するステップと、その後、場合によって前記AML特異的抗体又はAML特異的B細胞が、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合するかどうかが決定された後に、前記ヒト以外の動物由来のAML特異的抗体若しくはAML特異的B細胞から1つ若しくは複数のAML特異的ドメインを得るステップ、又は前記1つ若しくは複数のAML特異的ドメインをコードする1つ若しくは複数の核酸配列を得るステップと、前記1つ若しくは複数のドメイン、又は前記1つ若しくは複数の核酸配列をT細胞に提供するステップとを含む方法を提供する。免疫療法において使用するための本発明によるCD43ペプチド(MHC複合体において)、及び免疫療法において使用するための本発明によるCD43ペプチドをコードする核酸分子又はその機能的同等物だけでなく、免疫療法において使用するための本発明によるCD43ペプチド又は化合物も本明細書に提供される。幾つかの実施形態は、免疫療法において使用するための、本発明による核酸分子又は機能的同等物を含むベクターを提供する。骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患、好ましくはAMLに対する医薬品を調製するための、本発明によるCD43ペプチドの使用、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物の使用、又は本発明によるCD43ペプチドをコードする核酸分子若しくはその機能的同等物の使用、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターの使用が更に提供される。
本発明によるCD43ペプチドを含む、及び/又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物を含む、及び/又は本発明によるCD43ペプチドをコードするその核酸分子若しくは機能的同等物を含む、及び/又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターを含む免疫原性組成物も提供される。前記免疫原性組成物は、例えば担体、希釈剤、賦形剤、又は増量剤等の生体適合性添加剤を好ましくは更に含む。幾つかの実施形態は、場合によってMHC複合体において、本発明によるCD43ペプチドを含むワクチンを提供する。幾つかの実施形態は、本発明による前記CD43ペプチドを含む化合物を含むワクチン、及び本発明によるCD43ペプチドをコードするその核酸分子若しくは機能的同等物を含むワクチン、及び本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターを含むワクチンを提供する。他の実施形態は、本発明によるCD43ペプチドを含む組成物、又は本発明によるCD43ペプチドを含む化合物を含む組成物、又は本発明によるCD43ペプチドをコードするその核酸分子若しくは機能的同等物を含む組成物、又は本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含むベクターを含む組成物を提供し、前記組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を更に含む医薬組成物である。
幾つかの実施形態において、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物が、骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患、好ましくはAMLの治療のために使用される。WO 2015/093949に記載されているように、抗体AT14-013は完全寛解期にあるAML患者から得られた。これは、AT14-013がAMLに対して有効であることを示すものである。更に、AT14-013は、より治療抵抗性であり治療後の疾患の再発にしばしば関与することが知られている白血病幹細胞も標的とする。したがって、CD43への結合をめぐってAT14-013と競合する抗体もまた、AMLのような骨髄増殖性疾患に対して非常に有効となる。したがって、AML患者へのそのような抗体の投与は、AML細胞を効果的に弱め及び/又は死滅させるであろう。したがって、幾つかの実施形態は、医薬品として使用するための、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物を提供する。幾つかの実施形態は、医薬品を調製するための、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物の使用を提供する。
骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患に対する医薬品を調製するための、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物の使用だけでなく、骨髄異形成又は骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患を少なくとも一部は治療又は予防する方法において使用するための、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物も提供される。前記骨髄増殖性疾患は、AMLを好ましくは含む。更なる実施形態は、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又はその機能的部分若しくは機能的同等物を含む組成物を提供する。前記組成物は、好ましくは、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物である。
本明細書に以前に記載されているように、幾つかの実施形態は、本発明によるCD43ペプチドをコードする単離された合成若しくは組換え核酸分子、又はその機能的同等物を提供する。そのような核酸分子又は機能的同等物は、例えば、例えば宿主細胞等の核酸発現系を用いた本発明によるCD43ペプチドの産生に有用である。幾つかの実施形態において、AML細胞が宿主細胞として使用される。幾つかの実施形態において、THP-1細胞が宿主細胞として使用される。幾つかの実施形態において、Kasumi3細胞、HL60細胞、KG1a細胞、SH2細胞、MonoMac6細胞、Molm13細胞、及びCML K562細胞から成る群から選択される細胞が宿主細胞として使用される。
本発明による前記核酸分子又は機能的同等物はまた、免疫応答の誘発にも有用である。例えば、本発明による核酸分子又は機能的同等物は、AML特異的免疫応答を誘導又は増強するためにAML患者に投与される(免疫療法)。幾つかの実施形態において、本発明による核酸分子又は機能的同等物は、MDS又はCMLのAMLへの進行を遅延又は防止するために、MDS又はCML患者に投与される(予防的又は半予防的適用)。幾つかの実施形態において、本発明による核酸分子又は機能的同等物は、抗AML免疫応答を誘発するためにヒト以外の動物に投与され、その後、AML特異的抗体及び/又はAML特異的免疫細胞が前記動物から回収されうる。或いは、前記ヒト以外の動物由来のAML特異的B細胞の可変ドメインコード核酸配列が、可変ドメインの1つ又は複数の核酸配列を得るために配列決定され、その後、AML特異的可変ドメイン配列を含む1つ又は複数の核酸分子が、AML特異的抗体の産生のためにプロデューサー細胞に導入される。
幾つかの実施形態において、本発明による核酸分子又は機能的同等物は、目的とする細胞への前記核酸分子又は機能的同等物の導入を促進する遺伝子送達ビヒクル中に存在する。したがって、本発明による核酸分子又は機能的同等物を含む遺伝子送達ビヒクル、好ましくはベクターが更に提供される。本発明による核酸分子若しくは機能的同等物を含む、及び/又は本発明による遺伝子送達ビヒクル若しくはベクターを含む宿主細胞も本明細書に提供される。
現在の適用は、同じ実施形態の一部又は別個の実施形態の一部としての特徴を記載している可能性があるが、本発明の範囲は、本明細書に記載された特徴の全て又は幾つかのうちの任意の組合せを含む実施形態も含む。
本発明は、以下の実施例において更に説明される。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するのではなく、単に本発明を明確にするのに役立つ。
(実施例1)
材料及び方法
患者及び健常ヒト材料
試験プロトコルは、アカデミックメディカルセンター医療倫理委員会(Medical Ethical Committee of the Academic Medical Centre)により承認された。参加者は全員、インフォームドコンセントに署名した。参加者には、末梢血及び/又は骨髄を提供した本発明者らのクリニックから募集した健常者及び血液悪性腫瘍患者が含まれた。
AML特異的クローンAT14-013の生成
WO 2015/093949の実施例2に記載されているように、以前に記載されているように(Kwakkenbosら、Nat Med 2010及びWO 2015/093949の実施例1)Bcl6及びBcl-xLの導入により不死化したAML患者101の形質導入ナイーブ及び記憶IgG B細胞を、1ウェルあたり20又は40細胞の濃度で播種し(以下、マイクロ培養物と称する)、IL-21及びCD40Lと増殖させた。増殖したB細胞マイクロ培養物の上清を、次いで、AML細胞株(特にTHP-1、MonoMac6)並びに肝臓及び結腸細胞株への抗体結合について、ヒトIgG H+L AF647(Life Technologies社)又はヒトIgG-PE(Southern Biotech社)を二次抗体として用いるFACSによりスクリーニングした。抗CD30(活性化B及びTリンパ球で発現)、抗CD33(単球、骨髄性前駆細胞、及び骨髄性白血病で発現)、D25(RSVに対する、WO 2008/147196に記載されている)、及びAT10-002(インフルエンザに対する、WO 2013/081463記載されている)等の幾つかの自家生成抗体を陰性対照抗体として使用した。AML細胞株に結合するが肝臓及び結腸細胞株には結合しないマイクロ培養物を選択し、1細胞/ウェルの濃度で播種し、その上清をAML細胞株に対する特異性について再びテストした。AML細胞株に特異的に結合し、肝臓若しくは結腸細胞株又は健常なPBMC及び骨髄には結合しない上清を有するクローンを配列決定のために選択した。FBS IgG低血清(Hyclone社)の存在下、正常な培養条件下でクローンを増殖させ、組換え抗体について以下に記載されているように、抗体をこれらの培養物の上清から精製した。組換え抗体を、次いで特異的結合について再びテストした。得られたAML特異的抗体の1つはAT14-013であった。発見されたAT14-013抗体を、新たに診断されたAML患者(FAB M0~M5)の多くの単離されたばかりの芽球において、ヒトIgG H+L AF647(Life Technologies社)を二次抗体として用いて、結合について更にテストした。
AML特異的抗体AT14-013のクローニング
WO 2015/093949の実施例1に記載されているように、組換え抗体を作製するために本発明者らは、全RNAをRNeasy(登録商標)ミニキット(Qiagen社)で単離し、cDNAを生成し、PCRを行い、重鎖及び軽鎖可変領域をpCR2.1 TAクローニングベクター(Invitrogen社)にクローニングした。逆転写酵素又はDNAポリメラーゼ誘導変異を除外するために、本発明者らは幾つかの独立したクローニング実験を行った。組換えmAbを作製するために本発明者らは、各抗体の重鎖及び軽鎖可変領域をヒトIgG1及びカッパ定常領域とインフレームでpcDNA3.1(Invitrogen社)ベースのベクターにクローニングし、293T細胞を一過性にトランスフェクトした。本発明者らは、クローンのIgサブタイプに応じて組換え抗体を培養上清からプロテインA又はGで精製した。
CDC及びADCC
AML特異的抗体AT14-013により誘導された標的細胞の補体依存性細胞死(CDC)を定量化するために、本発明者らはFACSベースの白血病細胞溶解アッセイを使用した。THP-1細胞を、2μMカルセインAM(Becton Dickinson社)と37℃で30分間インキュベートした。カルセイン標識THP-1細胞を、抗体及びウサギ血清補体と一緒に37℃で4時間インキュベートした。FACSキャリブレーションビーズ(Accudrop Fuluorescent Beads、BD Biosciences社)を細胞に50/50比で添加し、その後ビーズの標準量をFACSで得た。等しいアッセイ容量がキャリブレーションビーズによって確認されたため、死細胞の量を、100-((各処理におけるDapi陰性、カルセインAM陽性細胞/対照におけるDapi陰性、カルセインAM陽性細胞)×100)として計算した。抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)に関して、本発明者らは、NFAT(6×)-IL2(最小プロモーター)-GFP及びCD16a(FcR-IIIa)を安定に形質導入されたジャーカット細胞を用いる読み出しシステムを作り出した。このシステムでは結合抗体によるCD16a受容体の活性化がNFATを活性化し、NFATがGFP発現を誘導し、GFP発現が次いで読み出しとして使用されてエフェクター細胞活性化を定量化する。AML細胞(標的細胞)を抗体とインキュベートし、上記に記載したカルセインAMで染色したジャーカット細胞(エフェクター細胞)と混合した。エフェクター:標的比は1:1であった。
AT14-013標的同定及び検証
THP-1細胞を溶解し(プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(Roche社)を補充した0.5%Triton X114(Sigma社)、150mM NaCl、10mM Tris-HCL pH7.4、1.5mM MgCl2)、無関係の抗体(自家生成RSV抗体D25)、プロテインG、及びストレプトアビジンビーズ(Pierce社)でプレクリアして非特異的結合タンパク質を除去した。プレクリア溶解物を、次いで、ビーズ結合AML特異的抗体、又は陰性対照としてのインフルエンザ特異的抗体AT10-002とインキュベートした(4℃で3時間)。抗体インキュベートビーズを、0.5%デオキシコール酸及び0.1%SDSを補充した溶解緩衝液中で5回洗浄し、結合タンパク質をビーズから溶出し(0.1M グリシン pH10.5、150mM NaCl、1%Triton X100、1mM EDTA)、次いでSDS-PAGEゲルに流した。IP試料の85%をSDS-PAGEに流し、Imperialタンパク質染色(Pierce社)で染色して全タンパク質を染色し、質量分析のために特異的バンドを切除した。IP試料の残りをSDS-PAGEに流し、免疫ブロッティングのためにPVDF膜(Bio-RAD社)に移した。全タンパク質を明らかにするためにブロットをポンソーSで染色し、BSAでブロックし、次いでウエスタンブロット分析のためにマウス抗CD43(クローンMEM-59、Abcam社)とインキュベートした。
エピトープマッピング:競合
THP-1細胞を、AT14-013、及び市販のCD43抗体:マウス抗ヒトCD43 PE(Ebioscience社、クローン84-3C1)、マウス抗ヒトCD43 FITC(Invitrogen社、クローンL10)、マウス抗ヒトCD43 FITC(Abcam社、クローンMEM-59)、非標識マウス抗ヒトCD43(Abcam社、クローンMEM-59)、非標識マウス抗ヒトCD43(Thermo Scientific社、クローンDF-T1)と氷上で60分間プレインキュベートした。最大ブロッキング抗体濃度は10μg/mlであった。次に、競合抗体を1μg/mlの最終濃度で添加した。このステップによるブロッキング抗体の最終濃度は2μg/mlである。細胞を氷上で30分間インキュベートし、その後dapi(Sigma社)を添加して分析から死細胞を排除した。試料をフローサイトメトリーにより分析した。
エピトープマッピング:脱グリコシル化
THP-1細胞をノイラミニダーゼ(Roche社、希釈1:20又は1:200)と37℃で60分間インキュベートして、CD43からシアル酸を除去した(de Laurentiisら 2011)。細胞を次いで洗浄し、60%正常ヤギ血清でブロックし、AT14-013並びに上記に記載した市販のCD43抗体DF-T1、84-3C1、L10、及びMEM-59とインキュベートした。異なる蛍光色素による細胞染色の比較を可能にするために、非処理細胞(ノイラミニダーゼなし)への結合を1に設定した。図10に示されているのは、ノイラミニダーゼ処理細胞への結合の倍の増加/減少である。
エピトープマッピング:CD43切断バリアント
CD43 cDNAをGeneart(Life Technologies社)から得、C末端又はN末端のどちらか(CD43の最初の19アミノ酸を含む、シグナルペプチドのC末端)に3×FLAGタグをインフレームで含有するように適合させた。cDNAを、CD43 cDNAのIRES-GFP 3'を含有するpHEF-TIG第三世代レンチウイルスベクターにクローニングした。VSV-Gレンチウイルス粒子はHEK293T細胞で作製した。THP1、MOLM、及び他の細胞にこれらのウイルスをレトロネクチンの存在下で形質導入し、GFPについて選別してCD43過剰発現細胞の純粋な集団を得た。シグナルペプチド(AA1~19)と、これに続く野生型完全長細胞外配列(バリアントA:S20~P400とこれに続く3×FLAG:DYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDK)又は切断細胞外配列(バリアントB~J)を含有するCD43 C末端FLAGタグ化cDNAのPCRクローニングにより、切断CD43バリアントを構築した。B:31~400、C:59~400、D:82~400、E:112~400、F:133~400、G:166~400、H:184~400、I:202~400、J:220~400(膜貫通ドメインはAA255で始まる)。これらのバリアントをTHP1細胞でレンチウイルス形質導入により発現させ、GFP選別した。選別細胞を溶解し、AT14-013及び上記に記載した対照で免疫沈降した。溶出IP試料をSDS-PAGEに流し、抗FLAG-HRP(Sigma社)で免疫ブロットして結合を明らかにした。
結果
AT14-013はAML細胞に特異的に結合する
この実施例において本発明者らは、本発明者らの研究室で最近開発されたAML特異的抗体AT14-013(WO 2015/093949及び図1)の標的を同定する。この抗体は、患者101と呼ばれる患者に由来する。彼は49歳で中リスクのAML(細胞遺伝学的異常又は分子異常なし、FAB分類AML-M5)と診断された。彼は、利用可能なHLA一致同胞幹細胞ドナーがいなかったため、化学療法(シタラビン、イダルビシン、アムサクリン)2コース及び強化化学療法(ブスルファン、シクロホスファミド)1コースと、これに続く自己造血幹細胞移植(HSCT)を受けた。初回診断の14カ月後、疾患が再発した。高用量シタラビン1サイクル後に彼は完全寛解を得、その後、一致する非血縁ドナーの強度軽減同種HSCT(RIST-MUD)を受けた。6週間後、彼は副腎皮質ステロイド療法によく応答する皮膚、肝臓、及び腸の急性GvHDを発症した(ステージ1、グレードII)。彼の疾患の高リスクな性質にもかかわらず、この患者がここ5年以上にわたって無病のままであったという事実を考えると、この患者は強い移植片対AML応答を起こしていたと考えうる。これが、強いAML特異的抗体応答を探究するために彼が選ばれた理由であった。B細胞をHSCT 38カ月後にこの患者から得た静脈切開産物から単離し、以前に記載されているように(Kwakkenbosら、Nat Med 2010) Bcl6及びBcl-xLの導入により不死化し、20又は40細胞/ウェル濃度で培養した。これらのマイクロ培養物の上清をAML細胞株への結合についてスクリーニングし、AMLに特異的なマイクロ培養物を1細胞/ウェル濃度でサブクローニングした。この手順を通じて同定した抗体の1つが、IgG1カッパ高度体細胞超変異抗体、AT14-013である。
AT14-013は、図2に示されているように、全てのAML FAB分類を網羅する多様なAML細胞株及び初代AML細胞に特異的に結合する。図3に、Kasumi3、SH-2、Molm13、及びTHP-1、並びに新たに診断されたAML患者から単離した初代白血病芽球に結合するAT14-013の幾つかの代表例が示されている。更に、AT14-013は、高リスク骨髄異形成症候群(MDS/RAEB I/II)からのAML、又は急性転化慢性骨髄性白血病(CML)、及びCML細胞株K562等の他の骨髄性悪性腫瘍に結合する(図4)。AT14-013は顆粒球への幾つかの結合を示したが、健常な末梢血単核球(PBMC)、骨髄、胸腺細胞、リンパ系統の血液悪性腫瘍、又は肝臓及び結腸の健常若しくは悪性細胞には結合しなかった。AT14-013は、培養メラニン細胞及びメラノーマ細胞株に結合した(図5)。
AT14-013は標的細胞のCDC及びADCCを誘導する
AT14-013は、AML細胞株及び初代単離AML芽球の補体依存性細胞傷害及び抗体依存性細胞性細胞傷害を誘導することができる(図6)。
AT14-013の標的はCD43の固有のエピトープである
本発明者らは、次いでAT14-013の標的を同定した。ビオチン標識ソルターゼタグ化AT14-013とインキュベートしたTHP-1溶解物の免疫沈降(IP)により、約140kDaバンドを得た。該バンドはTHP1溶解物のAT10-002 IPでもジャーカット溶解物IPでも見られなかったことから、特異的である(図7)。免疫沈降バンドの質量分析は、CD43が標的タンパク質であることを明らかにした。該タンパク質の7%をカバーする、3つの予測した細胞内ペプチドのうちの3つを同定し、細胞外ペプチドは、これらが重度にグリコシル化されているため同定しなかった。AT14-013によるCD43結合を、ウエスタンブロット分析により確認した。手短に述べると、THP-1及びMolm13溶解物をAT14-013又はインフルエンザ特異的抗体AT10-002で免疫沈降した。マウス抗CD43(クローンMem59)によるウエスタンブロット分析は、CD43をAT14-013の結合標的として確認した(図8)。
CD43は、健常及び悪性細胞で広く発現される。DF-T1、84-3C1、L10、及びMEM-59等のCD43特異的抗体が生成されており、市販されている。これらの抗体を用いて本発明者らは、THP-1細胞によるCD43発現を確認した(図9A)。AT14-013が非骨髄性細胞に結合しないという観察、及び他のCD43抗体と比べて、種々の細胞及び細胞株に対するAT14-013の異なる結合プロファイル(図9B)は、AT14-013が、他のCD43抗体とは異なるCD43エピトープを認識することを示唆している。実際、本発明者らがTHP-1細胞を市販のCD43抗体及びAT14-013とインキュベートし、競合実験を行ったとき、これらのCD43抗体はTHP-1への結合をめぐって互いに競合するが、AT14-013とは競合しないことを本発明者らは見出した(図9C及び図9D)。注目すべきことに、CD43クローンL10及び84-3C1は互いに競合すると記載されており(L. Borcheら 2005)、これは本発明者らの実験で確認される。
CD43タンパク質は、高度にグリコシル化されたタンパク質である(de Laurentiisら 2011)。CD43抗体Mem59、DF-T1、及び84-3C1(ただし、L10ではない)は、シアリル化エピトープに結合する。その理由は、全てのα-N-アセチルノイラミン酸(シアル酸)を除去するノイラミニダーゼによる標的細胞の前処理後、これらの抗体のCD43への結合が失われるためである(US2010/0234562A1)。図10で本発明者らは、THP-1細胞をノイラミニダーゼとプレインキュベーションすると、THP-1細胞へのAT14-013の結合も失われることを示している。これは、AT14-013がCD43のシアリル化エピトープに特異的に結合することを示すものである。
AT14-013の結合エピトープをより詳細に同定するために、本発明者らはCD43の10種類のFlagタグ化細胞外切断バリアントを生成し、HEK及びTHP1細胞で発現させた。Mem59又はDF-T1とインキュベートしたこれらの細胞の溶解物のウエスタンブロット分析は、アミノ酸59~82の類似したエピトープへのこれらの抗体の結合を確認した(図11A、図11B)、本発明者らは、これらの切断バリアントを形質導入したTHP1細胞の免疫沈降によりAT14-013結合をテストした。AT14-013は、IPの抗Flag免疫ブロットで示されたように、バリアントA~Fとは強く、バリアントGとはより少ない程度で相互作用し、バリアントH~Jとは相互作用しない(図12A、図12B)。図12Cで本発明者らは、抗C末端CD43抗体によるAT14-013 IPを確認した。全ての試料に内在性CD43が存在したのに対し、切断CD43はバリアントGまでしか存在しなかった。したがって、本発明者らは、AT14-013のエピトープはアミノ酸133から184の間にあると結論する。
(実施例2)
AML芽球への結合
材料及び方法
異なる細胞への抗体AT14-013の結合を、見出し「AML特異的クローンAT14-013の生成」の下、実施例1に記載された方法論を用いてテストした。患者試料はアッセイ前に抗ヒトCD45(BD社)で染色した。AML細胞をCD45dimとして定義した。健常なPBMCは抗ヒトCD3(biolegend社)で染色した。扁桃腺に由来する多形核細胞をフィコール密度勾配により単離した。
結果
AT14-013は、実施例1及び図4に示されているように、全てのAML FAB分類を網羅する多種多様なAML細胞株及び初代AML細胞に特異的に結合する。更に、本発明者らは、AML芽球のより幅広いパネルで該抗体をテストした。該抗体は、テストした全てのAML芽球にある程度まで結合し、及びしばしば市販の抗CD43抗体より良好に結合することを示した。興味深いことに、シアル酸非依存性L10抗体は、ほとんど全ての試料において最小限に結合していた。更に、抗体を、健常なCD43発現T細胞及び扁桃腺に由来する細胞でテストした。ここでは、市販抗体のみが染色を示した。結果は図14にまとめられている。
(実施例3)
ADCC及びCDC
実施例1及び図6に加えて、別のADCC及びCDC実験を行った。
材料及び方法
AML特異的抗体AT14-013により誘導された標的細胞の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞性細胞傷害(CDC)を定量化するために、本発明者らはFACSベースの白血病細胞溶解アッセイを使用した。SH2細胞を、10nMカルセインAM(Becton Dickinson社)と37℃で30分間インキュベートした。カルセイン標識細胞を、次いで、抗体及び健常末梢血単核球(PBMC;エフェクター:標的 50:1)と一緒に4時間、又はウサギ血清補体と一緒に1時間、37℃でインキュベートした。FACSキャリブレーションビーズ(Accudrop Fluorescent Beads、BD Biosciences社)を細胞に50/50比で添加し、その後ビーズの標準量をFACSで得た。等しいアッセイ容量がキャリブレーションビーズによって確認にされたため、死細胞の量を、100-((各処理におけるDapi陰性、カルセインAM陽性細胞/対照におけるDapi陰性、カルセインAM陽性細胞)×100)として計算した。
結果
AT14-013は標的細胞のCDC及びADCCを誘導する
AT14-013は、AML細胞株及び初代単離AML芽球の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を誘導することができ(図15A)、及び補体依存性細胞傷害を誘導することができる(図15B)。
(実施例4)
エピトープマッピング: CD43切断バリアント
実施例1及び図12に加えて、AT14-013の結合エピトープを更に調査した。
材料及び方法
実施例1と同じ方法を使用した。CD43 cDNAをGeneart(Life Technologies社)から得、C末端又はN末端のどちらか(CD43の最初の19アミノ酸を含む、シグナルペプチドのC末端)に3×FLAGタグをインフレームで含有するように適合させた。cDNAを、CD43 cDNAのIRES-GFP 3'を含有するpHEF-TIG第三世代レンチウイルスベクターにクローニングした。VSV-Gレンチウイルス粒子はHEK293T細胞で作製した。THP1、MOLM、及び他の細胞にこれらのウイルスをレトロネクチンの存在下で形質導入し、GFPについて選別してCD43形質導入細胞の純粋な集団を得た。シグナルペプチド(AA1~19)と、これに続く野生型完全長細胞外配列(バリアントA:S20~P400とこれに続く3×FLAG:DYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDK)又は切断細胞外配列(バリアントB~J)を含有するCD43 C末端FLAGタグ化cDNAのPCRクローニングにより、切断CD43バリアントを構築した。B:31~400、C:59~400、D:82~400、E:112~400、F:133~400、F2:148~400、G:166~400、H:184~400、I:202~400、J:220~400(膜貫通ドメインはAA255で始まる)。これらのバリアントをTHP1細胞でレンチウイルス形質導入により発現させ、GFP選別した。選別細胞を溶解し、AT14-013及び上記に記載した対照で免疫沈降した。溶出IP試料をSDS-PAGEに流し、抗FLAG-HRP(Sigma社)で免疫ブロットして結合を明らかにした。
結果
AT14-013の標的はCD43の固有のエピトープである
AT14-013の結合エピトープをより詳細に同定するために、本発明者らはCD43の11種類のFlagタグ化細胞外切断バリアントを生成し、THP1細胞で発現させた。本発明者らは、これらの切断バリアントを形質導入したTHP1細胞の免疫沈降によりAT14-013結合をテストした。AT14-013は、IPの抗Flag免疫ブロットで示されたように、バリアントA~Fとは強く、バリアントF2とはより少ない程度で、バリアントGとはより少ない程度で相互作用し、バリアントH~Jとは相互作用しない(図16A+図16B)。図16Bで本発明者らは、抗C末端CD43抗体によるAT14-013 IPを確認した。全ての試料に内在性CD43が存在したのに対し、切断CD43はバリアントF2までしか存在しなかった。したがって、本発明者らは、AT14-013のエピトープはアミノ酸133から165の間に存在する1つ又は複数のアミノ酸残基を含むと結論する。AT14-013がバリアントF2(図13に示されたアミノ酸148位で始まる)とはより少ない程度で相互作用するという事実を考えると、本発明者らはまた、AT14-013のエピトープはアミノ酸133から147の間に存在する1つ又は複数のアミノ酸残基を少なくとも含むと結論する。
(実施例5)
AT14-013はインビボでのAML増殖を阻害する
現在知られている実験プロトコルは、例えばMillerら、Blood(2013)、Vol.121、No.5、e1~e4に記載されている。
AMLに対するAT14-013のインビボでの有効性を評価するために、ヒト造血細胞を再構成し、SH-2細胞を異種移植した免疫不全マウスを治療した。6匹のメスNOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ(NSG、The Jackson Laboratory社)を、亜致死的に照射した新生仔(1~5日)の肝臓に50000のCD34+CD38-造血幹細胞を注射してヒト化した。8週目に、マウスを出血させて血液中のヒト造血細胞の生着を評価した。末梢血のヒトキメリズムが20%より高いマウスのみをこの実験で使用した。6匹のうち5匹がこの基準を満たし、ルシフェラーゼ及びGFPを発現する10×106のSH-2細胞をd0に静脈内に接種した。d14に、マウスにルシフェリン(150mg/kg)をIP注射し、腫瘍生着をインビボ生物発光により評価した。この測定に基づき、マウスを2群にランダム化し、その後AT14-013又は抗体AT10-002(インフルエンザに対する、WO 2013/081463に記載、対照として)(375μg)を、週2回、iv接種により投与した。生物発光は上記に記載したように毎週測定した。d39に、マウスを深麻酔下で頸椎脱臼により屠殺し、臓器を露出させ、生物発光について定量化した。肝臓及び骨髄の単細胞懸濁液を得、SH-2 GFP+細胞の存在をFACSにより定量化した。SH-2 AML細胞を生着させたマウスの治療は、全身測定により屠殺時に測定した場合、90.3%の腫瘍増殖抑制をもたらす(p<0.001、反復測定ANOVA、図17A)。毎分光子数(cpm)により測定したAML細胞数は、測定した全ての臓器で強い減少を示す(p=0.0011、反復測定二元配置ANOVA、図17B)。この観察は、骨髄及び肝臓のFACSによる腫瘍細胞数の評価により確認される(p=0.0017、二元配置ANOVA、図17C)。
したがって、本発明によるCD43ペプチドに特異的な抗体は、AML等の骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患のインビボでの治療又は予防に特に適している。
(実施例6)
材料及び方法
妊娠16週から21週の胎児の肝臓、骨髄、及び胸腺組織を、AMCのHuman Immune System (HIS) Mouse Facilityから得た(オランダ法:Wet Foetaal Weefselの下)。組織由来のCD34富化単核細胞懸濁液を、ストマッカーを用いた全臓器の破壊と、これに続く密度勾配遠心分離及び磁気ビーズ分離により得た。胎児骨髄のCD34富化細胞懸濁液を、密度勾配遠心分離及び磁気ビーズ分離により調製した。
胎児肝臓、胎児胸腺、及び胎児骨髄由来の細胞への抗体AT14-013の結合を、市販のCD34(BD社、カタログ343516)抗体及びCD38(BD社、カタログ303522)抗体を用いたフローサイトメトリーによりテストして、これらの試料中の異なるサブセットを区別した。
結果
AT14-013はCD43の癌胎児性エピトープに特異的に結合する
本明細書に以前に記載されているように、AT14-013は、主にAML及びMDS芽球により発現される固有の腫瘍シアリル化腫瘍抗原を認識するCD43特異的抗体である。腫瘍抗原は、腫瘍特異的発現を有する異常タンパク質、又は腫瘍胎児抗原等の異常に発現された正常タンパク質のどちらかである。腫瘍胎児抗原は、胎児組織により個体発生中にのみ正常に発現される抗原である。細胞の腫瘍性転化は、癌胎児性抗原の発現と高い頻度で関連する。本発明者らは、CD43のAT14-013エピトープは、胎児肝臓及び胎児骨髄から得られたCD34+CD38-造血幹細胞により発現されるが、胎児肝臓及び胎児骨髄から得られたCD34+CD38+前駆細胞又はCD34-CD38-成熟細胞により発現されないことを見出した(図18)。これらの結果は、AT14-013が、成人においてAML及びMDSにより広く発現されるCD43の癌胎児性シアリル化エピトープに結合できることを示している。
(実施例7)
ドナー#101(AT14-013を産生するB細胞を得た同じドナー)のAML芽球を、AT14-013、並びにCD34及びCD38に特異的な抗体(実施例6と同じ手順)、並びにCD45に対する抗体(BD社、カタログ348815)で染色して、一般芽球集団(CD45 dim)を骨髄の健常細胞と区別し、フローサイトメトリーにより分析した(図19)。これは、AT14-013が見出された該患者の白血病芽球にAT14-013が結合することを示している。AT14-013は、白血病幹細胞を含むCD34+CD38-芽球に結合する。
したがって、抗体AT14-013は自己白血病幹細胞と反応すると結論され、したがって、AT14-013は骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患の治療又は予防に特に適している。その理由は、AT14-013が、より治療抵抗性であり治療後の疾患の再発にしばしば関与することが知られている白血病幹細胞も標的とするためである。
このことから、CD43への結合をめぐって抗体AT14-013と競合する抗体等の、本発明によるCD43ペプチドに特異的な別の抗体も、骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患の治療又は予防に特に適していることが分かる。
[参考文献]
Figure 0007010704000001
Figure 0007010704000002

Claims (27)

  1. アミノ酸配列GTITTNSPETSSRTSGAPVTTAASSLETSRGTSを含み、AML特異的グリコシル化パターン又はMDS特異的グリコシル化パターンを有する、少なくとも33個、かつ、最大で51個のアミノ酸残基の長さの単離された組換え又は精製CD43ペプチド。
  2. 請求項1に記載のCD43ペプチドを含む化合物。
  3. 請求項1に記載のCD43ペプチドをコードする単離された合成若しくは組換え核酸分子、又はその機能的同等物であって、前記機能的同等物が、DNA/RNA螺旋、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、又は、リボザイムである、単離された合成若しくは組換え核酸分子、又はその機能的同等物
  4. 請求項3に記載の核酸分子又は機能的同等物を含むベクター。
  5. 免疫細胞及び/又は抗体、又は、単一ドメイン抗体、一本鎖抗体、ユニボディ(登録商標)、一本鎖可変断片(scFv)、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、Fab断片、若しくはF(ab') 2 断片を作製し、それに結合し、それを検出し、及び/又はそれを得るための、請求項1に記載のCD43ペプチド、又は請求項2に記載の化合物、又は請求項3に記載の核酸分子若しくは機能的同等物、又は請求項4に記載のベクターの使用。
  6. 骨髄増殖性又はリンパ増殖性細胞に特異的に結合することができる免疫細胞及び/又は抗体、又は、単一ドメイン抗体、一本鎖抗体、ユニボディ(登録商標)、一本鎖可変断片(scFv)、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、Fab断片、若しくはF(ab') 2 断片を誘導し、それに結合し、それを検出し、及び/又はそれを得るための、請求項5に記載の使用。
  7. 前記骨髄増殖性細胞が、急性骨髄性白血病(AML)細胞、又は骨髄異形成症候群(MDS)細胞、又は慢性骨髄性白血病(CML)細胞である、請求項6に記載の使用。
  8. 前記抗体が抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)誘導活性及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を有する、請求項5から7のいずれか一項に記載の使用。
  9. CD43への結合をめぐって、図1のアミノ酸配列を有する抗体と競合する、単離された組換え若しくは精製抗体、又は、単一ドメイン抗体、一本鎖抗体、ユニボディ(登録商標)、一本鎖可変断片(scFv)、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、Fab断片、若しくはF(ab') 2 断片であって、
    但し、前記単離された組換え若しくは精製抗体が、下記の重鎖のアミノ酸配列、
    Figure 0007010704000003
    及び、下記の軽鎖のアミノ酸配列
    Figure 0007010704000004
    を有する抗体でない、単離された組換え若しくは精製抗体、又は、単一ドメイン抗体、一本鎖抗体、ユニボディ(登録商標)、一本鎖可変断片(scFv)、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、Fab断片、若しくはF(ab') 2 断片
  10. 請求項1に記載のCD43ペプチド、又は請求項2に記載の化合物、又は請求項3に記載の核酸分子若しくは機能的同等物、又は請求項4に記載のベクターを含む免疫原性組成物。
  11. 薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤も含む医薬組成物である、請求項10に記載の免疫原性組成物。
  12. 請求項1に記載のCD43ペプチド又は請求項2に記載の化合物及び抗体若しくは免疫細胞の検出手段を含む、骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患を検出するための診断キットであって、
    前記抗体又は免疫細胞の検出手段は、ヒト抗体又はヒト免疫細胞に対して特異的な標識抗体である、診断キット
  13. 前記骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患が、AML、MDS又はCMLである、請求項12に記載の診断キット。
  14. 医薬品又は予防剤として使用するための、請求項1に記載のCD43ペプチド、又は請求項2に記載の化合物、又は請求項3に記載の核酸分子若しくは機能的同等物、又は請求項4に記載のベクター。
  15. 前記予防剤がMDS、AML、又はCML患者用である、請求項14に記載の使用のためのCD43ペプチド又は化合物又は核酸分子若しくは機能的同等物又はベクター。
  16. 免疫療法において使用するための、請求項1に記載のCD43ペプチド、又は請求項2に記載の化合物、又は請求項3に記載の核酸分子若しくは機能的同等物、又は請求項4に記載のベクター。
  17. 骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患を検出するための診断剤として使用するための、請求項1に記載のCD43ペプチド又は請求項2に記載の化合物。
  18. 前記骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患が、AML、MDS又はCMLである、請求項17に記載のCD43ペプチド又は化合物。
  19. 診断剤の製造における、請求項1に記載のCD43ペプチド、又は請求項2に記載の化合物、又は請求項3に記載の核酸分子若しくは機能的同等物、又は請求項4に記載のベクターの使用。
  20. 医薬品又は予防剤の製造における、請求項1に記載のCD43ペプチド、又は請求項2に記載の化合物、又は請求項3に記載の核酸分子若しくは機能的同等物、又は請求項4に記載のベクターの使用。
  21. 前記医薬品又は予防剤が、骨髄増殖性又はリンパ増殖性疾患用である、請求項20に記載の使用。
  22. 前記医薬品又は予防剤が、MDSはAMLはCML患者用である、請求項20又は21に記載の使用。
  23. リンパ増殖性細胞及び/又は骨髄増殖性細胞に特異的に結合することができる免疫細胞及び/又は抗体を作製する方法であって、ヒト以外の動物を、請求項1に記載のCD43ペプチド、又は請求項2に記載の化合物、又は請求項3に記載の核酸分子若しくは機能的同等物、又は請求項4に記載のベクターで免疫するステップ、ならびに
    前記ヒト以外の動物から、リンパ増殖性細胞及び/又は骨髄増殖性細胞に特異的に結合することができる免疫細胞及び/又は抗体を回収するステップを含む、方法。
  24. 前記免疫細胞が、AML特異的免疫細胞であり、及び/又は、前記抗体が、AML特異的抗体である、請求項23に記載の方法。
  25. 請求項23又は24に記載の方法により得ることができる抗体又は免疫細胞であって、
    但し、前記抗体が、下記の重鎖のアミノ酸配列、
    Figure 0007010704000005
    及び、下記の軽鎖のアミノ酸配列
    Figure 0007010704000006
    を有する抗体でない、抗体又は免疫細胞
  26. 請求項3に記載の核酸分子又は機能的同等物を含む遺伝子送達ビヒクル。
  27. 請求項3に記載の核酸分子若しくは機能的同等物、又は請求項4に記載のベクター、又は請求項26に記載の遺伝子送達ビヒクルを含む宿主細胞。
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