JP7009428B2 - 手術器具 - Google Patents

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Description

この発明は、ロボット手術支援システムのロボットアームに取り付けられる手術器具(以下、ロボット手術器具ともいう)に関し、特に、支持体と、シャフトとを備える手術器具に関する。
従来、支持体と、シャフトとを備えるロボット手術器具が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、支持体と、シャフトとを備える医療用処置具(ロボット手術器具)が開示されている。医療用処置具は、手首部材と、エンドエフェクタとを備えている。支持体は、シャフトに取り付けられている。手首部材は、支持体に回動可能に取り付けられている。エンドエフェクタは、手首部材に回動可能に取り付けられている。
上記特許文献1の医療用処置具は、術者の操作により支持体に接続された手首部材と、手首部材に接続されたエンドエフェクタとを回動させることによって、人間または動物などの処置対象に内視鏡外科手術を施術可能に構成されている。
特開2018-187029号公報
ここで、内視鏡外科手術を施術する際、例えば、処置対象の体腔内に充填した気体が施術部からシャフトを介して体外に漏れることを抑制するため、支持体内にシール部材をシャフトにより押圧圧縮した状態で配置する必要がある。
しかしながら、支持体のサイズが小さい場合、支持体のサイズに合わせて、シール部材のサイズも小さくなるので、シャフトにより押圧可能なシール部材の面も小さくなり、シャフトによりシール部材を押圧することが困難になる。このため、支持体のサイズが小型であったとしても、シャフトによりシール部材を十分に圧縮して支持体をより確実に密閉することが望まれる。
この発明は、支持体のサイズが小型であったとしても、シャフトによりシール部材を十分に圧縮して支持体をより確実に密閉することが可能なロボット手術器具を提供するものである。
この発明の第1の局面による手術器具は、ロボットアームに取り付けられる手術器具であって、エンドエフェクタと、エンドエフェクタを第1軸回りに回動可能に支持するエンドエフェクタ支持体と、エンドエフェクタ支持体を第2軸回りに回動可能に支持する支持体と、支持体に接続されるシャフトと、支持体の内部に配置されるシール部材と、シール部材のシャフト側の面に当接し、シール部材のシャフト側の面を押圧する押圧面、シャフトにより押圧される被押圧部とを含む押圧部材とを備え、支持体は、シャフトの軸方向において、シャフト側の端部からエンドエフェクタ側に窪む切り欠きを含み、押圧部材は、切り欠き内に被押圧部が配置された状態で、シール部材を押圧する。
この発明の第1の局面による手術器具では、上記のように、支持体の内部に配置されるシール部材を設ける。そして、手術器具に、シール部材のシャフト側の面に当接しシール部材のシャフト側の面を押圧する押圧面を含み、シャフトにより押圧される押圧部材を設ける。これにより、支持体のサイズが小さいことに伴って、シール部材のサイズが小さくなった場合でも、押圧部材の押圧面を介してシャフトによりシール部材のシャフト側の面を十分に押圧することができるので、シャフトによりシール部材を十分に圧縮することができる。その結果、支持体のサイズが小型であったとしても、支持体をより確実に密閉することができる。
また、この発明の第2の局面による手術器具は、ロボットアームに取り付けられる手術器具であって、エンドエフェクタと、エンドエフェクタを第1軸回りに回動可能に支持するエンドエフェクタ支持体と、エンドエフェクタ支持体を第2軸回りに回動可能に支持する支持体と、支持体に接続されるシャフトと、支持体の内部に配置されるシール部材と、シール部材のシャフト側の面に当接し、シール部材のシャフト側の面を押圧する押圧面を含み、シャフトにより押圧される押圧部材とを備え、押圧部材は、押圧面のシャフトの径方向における外側の端部からシャフトの径方向の外側に設けられ、シャフトにより押圧される被押圧部を含み、被押圧部は、押圧面のシャフトの径方向における外側の端部からシャフトの径方向の外側に突出するように設けられており、シャフトは、シャフトの軸方向に突出する突出部を含み、被押圧部は、シャフトの突出部とシャフトの軸方向に対向する位置に配置されており、シャフトの突出部および押圧部材の被押圧部は、シャフトの周方向に複数配置され、複数の突出部および複数の被押圧部は、シャフトの径方向における中心点に対して点対称に配置されている。
本発明によれば、支持体のサイズが小型であったとしても、シャフトによりシール部材を十分に圧縮して支持体をより確実に密閉することができる。
一実施形態によるロボット手術システムの概略を示した図である。 一実施形態によるロボット手術システムの制御的な構成を示したブロック図である。 一実施形態によるロボットアームにアダプタを介して手術器具が取り付けられた状態を示した斜視図である。 一実施形態によるロボットアームにアダプタを介して手術器具が取り付けられる状態を示した分解斜視図である。 一実施形態による手術器具を示した斜視図である。 一実施形態によるアダプタを示した斜視図である。 一実施形態によるシャフトおよびエンドエフェクタを示した斜視図である。 一実施形態による手術器具をY2方向側から視た分解斜視図である。 一実施形態によるベースの斜視図である。 一実施形態によるベースの底面図である。 一実施形態による手術器具をY1方向側から視た分解斜視図である。 一実施形態によるシャフトの斜視図である。 一実施形態によるシール部材の斜視図である。 一実施形態によるリテーナの斜視図である。 一実施形態によるシール部材がベース内に収容されるとともにシャフトにより圧縮された状態を示した斜視図である。 一実施形態によるシール部材がベース内に収容されるとともにシャフトにより圧縮された状態を示した断面図である。 図16の101-101線断面図である。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(ロボット手術システムの構成)
図1および図2を参照して、ロボット手術システム100の構成について説明する。
図1に示すように、ロボット手術システム100は、遠隔操作装置1と、患者側装置2とを備えている。遠隔操作装置1は、患者側装置2に設けられた医療器具(medical equipment)を遠隔操作するために設けられている。患者側装置2によって実行されるべき動作態様指令が術者(surgeon)である操作者Oにより遠隔操作装置1に入力されると、遠隔操作装置1は、動作態様指令を患者側装置2に送信する。そして、患者側装置2は、遠隔操作装置1から送信された動作態様指令に応答して、ロボットアーム21に取り付けられた手術器具(surgical instrument)4、および、ロボットアーム22に取り付けられた内視鏡50等の医療器具を操作する。これにより、低侵襲手術が行われる。
患者側装置2は、患者Pが横たわる手術台3の傍らに配置される。患者側装置2は、遠隔操作装置1からの入力に応じて、患者Pに対して手術を行うインターフェースを構成する。患者側装置2は、複数のロボットアーム21と、ロボットアーム22と、プラットホーム23と、ポジショナ24と、コントローラ(図示せず)とを含んでいる。
ロボットアーム21は、複数の関節を有している。ロボットアーム21の複数の関節は、サーボモータを含む駆動部(図示せず)と、エンコーダ等の位置検出器とを有している。ロボットアーム21は、コントローラを介して与えられた駆動信号によりロボットアーム21に取り付けられた医療器具が所望の動作を行うように制御されるように構成されている。なお、ロボットアーム22は、ロボットアーム21と同様の構成を有している。
ロボットアーム21には、先端部に医療器具としての手術器具4が取り外し可能に取り付けられる。患者側装置2を用いた手術において、ロボットアーム21は、患者Pの体表に留置したカニューラ(トロッカ)を介して患者Pの体内に手術器具4を導入する。
手術器具4は、モノポーラシザーズであり、ロボットアーム21に取り付けられるハウジング41(図3参照)と、細長形状のシャフト42(図3参照)と、シャフト42の先端部に設けられたエンドエフェクタ43(図3参照)とを備えている。ここで、手術器具4は、モノポーラシザーズ以外の手術器具であってもよい。例えば、グラスパ―、シザーズ、フック、高周波ナイフ、スネアワイヤ、クランプ、ステイプラーなどのエンドエフェクタ43を備えた手術器具であってもよい。そして、手術器具4のエンドエフェクタ43は、手術部位(施術部)の近傍に配置される。
ロボットアーム22には、先端部に医療器具としての内視鏡50が取り外し可能に取り付けられる。内視鏡50は、患者Pの体腔内を撮影するものであり、撮影した画像は、遠隔操作装置1に対して出力される。内視鏡50として、3次元画像を撮影することができる3D内視鏡若しくは2D内視鏡が用いられる。患者側装置2を用いた手術において、ロボットアーム22は、患者Pに体表に留置したトロッカを介して患者Pの体内に内視鏡50を導入する。そして、内視鏡50が手術部位の近傍に配置される。
プラットホーム23は、ロボットアーム21およびロボットアーム22を共通に支持している。ポジショナ24は、手術室の床の上に載置され、プラットホーム23を支持している。ポジショナ24は、鉛直方向に調整可能な昇降軸を有する柱部24aと、柱部24aに連結され、車輪を備え床面を移動可能なベース24bとを有している。
遠隔操作装置1は、操作者Oとのインターフェースを構成する。遠隔操作装置1は、ロボットアーム21の手術器具4およびロボットアーム22の内視鏡50を操作者Oが操作するための装置である。すなわち、遠隔操作装置1は、操作者Oによって入力された手術器具4および内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令をコントローラを介して患者側装置2へ送信可能に構成されている。遠隔操作装置1は、たとえば、マスタの操作をしながらも患者Pの様子がよく見えるように手術台3の傍らに設置される。なお、遠隔操作装置1は、例えば動作態様指令を無線で送信するようにし、手術台3が設置された手術室とは別室に設置することも可能である。
手術器具4によって実行されるべき動作態様とは、手術器具4の動作(一連の位置および姿勢)および手術器具4個別の機能によって実現される動作の態様である。たとえば、手術器具4が把持鉗子である場合には、手術器具4によって実行されるべき動作態様とは、エンドエフェクタ43の手首のロール回転位置およびピッチ回転位置と、ジョーの開閉を行う動作である。また、手術器具4が高周波ナイフである場合には、手術器具4によって実行されるべき動作態様とは、高周波ナイフの振動動作、具体的には高周波ナイフに対する電流の供給であり得る。また、手術器具4がスネアワイヤである場合には、手術器具4によって実行されるべき動作態様とは、束縛動作および束縛状態の解放動作であり得る。また、バイポーラやモノポーラに電流を供給することによって手術対象部位を焼き切る動作であり得る。
内視鏡50によって実行されるべき動作態様とは、たとえば、内視鏡50先端の位置および姿勢を移動させる動作態様、またはズーム倍率を設定する動作態様である。
遠隔操作装置1は、図1および図2に示すように、操作ハンドル11と、操作ペダル部12と、表示部13と、制御装置14とを備えている。
操作ハンドル11は、ロボットアーム21および22に取り付けられた医療器具(手術器具4、内視鏡50)を遠隔で操作するために設けられている。具体的には、操作ハンドル11は、医療器具を操作するための操作者Oによる操作を受け付ける。操作ハンドル11は、水平方向に沿って2つ設けられている。つまり、2つの操作ハンドル11のうち一方の操作ハンドル11は、操作者Oの右手により操作され、2つの操作ハンドル11のうち他方の操作ハンドル11は、操作者Oの左手により操作される。
また、操作ハンドル11は、遠隔操作装置1の後方側から、前方側に向かって延びるように配置されている。操作ハンドル11は、所定の3次元の操作領域内で動かすことができるように構成されている。すなわち、操作ハンドル11は、上下方向、左右方向、および前後方向に動かすことができるように構成されている。
遠隔操作装置1と患者側装置2とは、ロボットアーム21およびロボットアーム22の動作の制御においては、マスタスレーブ型のシステムを構成する。すなわち、操作ハンドル11は、マスタスレーブ型のシステムにおけるマスタ側の操作部を構成している。操作ハンドル11は、医療器具が取り付けられたロボットアーム21およびロボットアーム22はスレーブ側の動作部を構成している。そして、操作ハンドル11を操作者Oが操作すると、操作ハンドル11の動きをロボットアーム21の先端部(手術器具4のエンドエフェクタ43)またはロボットアーム22の先端部(内視鏡50)がトレースして移動する。このように、ロボットアーム21またはロボットアーム22の動作が制御される。
また、患者側装置2は、設定された動作倍率に応じてロボットアーム21の動作を制御するよう構成されている。たとえば、動作倍率が1/2倍に設定されている場合、手術器具4のエンドエフェクタ43は、操作ハンドル11の移動距離の1/2の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を精確に行うことができる。
操作ペダル部12は、医療器具に関する機能を実行するための複数のペダルを含んでいる。複数のペダルは、凝固ペダルと、切断ペダルと、カメラペダルと、クラッチペダルと、を含んでいる。また、複数のペダルは、操作者Oの足により操作される。
凝固ペダルは、手術器具4を用いて手術部位を凝固させる操作を行うことができる。具体的には、凝固ペダルは、操作されることにより、手術器具4に凝固用の電圧が印加されて、手術部位の凝固が行われる。切断ペダルは、手術器具4を用いて手術部位を切断させる操作を行うことができる。具体的には、切断ペダルは、操作されることにより、手術器具4に切断用の電圧が印加されて、手術部位の切断が行われる。
カメラペダルは、体腔内を撮像する内視鏡50の位置および姿勢を操作するために用いられる。具体的には、カメラペダルは、内視鏡50の操作ハンドル11による操作を有効にする。つまり、カメラペダルが押されている間は、操作ハンドル11により内視鏡50の位置および姿勢を操作することが可能である。たとえば、内視鏡50は、左右の操作ハンドル11の両方を用いることにより操作される。具体的には、左右の操作ハンドル11の中間点を中心に左右の操作ハンドル11を回動させることにより、内視鏡50が回動される。また、左右の操作ハンドル11を共に押し込むことにより、内視鏡50が奥に進む。また、左右の操作ハンドル11を共に引っ張ることにより、内視鏡50が手前に戻る。また、左右の操作ハンドル11を共に上下左右に移動させることにより、内視鏡50が上下左右に移動する。
クラッチペダルは、ロボットアーム21および22と、操作ハンドル11との操作接続を一時切断し手術器具4の動作を停止させる場合に用いられる。具体的には、クラッチペダルが操作されている間は、操作ハンドル11を操作しても、患者側装置2のロボットアーム21および22が動作しない。たとえば、操作により操作ハンドル11が移動可能な範囲の端部近傍に来た場合に、クラッチペダルが操作されることにより、操作接続を一時切断して、操作ハンドル11を中央位置付近に戻すことができる。そして、クラッチペダルの操作を中止するとロボットアーム21および22と操作ハンドル11とが再び接続され、中央付近で操作ハンドル11の操作を再開することができる。
表示部13は、内視鏡50が撮像した画像を表示することができるものである。表示部13は、スコープ型表示部または非スコープ型表示部からなる。スコープ型表示部とは、たとえば、覗き込むタイプの表示部である。また、非スコープ型表示部とは、通常のパーソナルコンピュータのディスプレイのような覗き込むタイプではない平坦な画面を有する開放型の表示部を含む概念である。
スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置2のロボットアーム22に取り付けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。非スコープ型表示部が取り付けられた場合にも、患者側装置2に設けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。なお、非スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置2に設けられた内視鏡50により撮像された2D画像が表示されてもよい。
図2に示すように、制御装置14は、例えば、CPU等の演算器を有する制御部141と、ROMおよびRAM等のメモリを有する記憶部142と、画像制御部143とを含んでいる。制御装置14は、集中制御する単独の制御装置により構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御装置により構成されてもよい。
制御部141は、操作ハンドル11により入力された動作態様指令を、操作ペダル部12の切替状態に応じて、手術器具4によって実行されるべき動作態様指令であるか、または、内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であるかを判断する。そして、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が手術器具4によって実行されるべき動作態様指令であると判断すると、動作態様指令をロボットアーム21に対して送信する。これによって、ロボットアーム21が駆動され、この駆動によってロボットアーム21に取り付けられた手術器具4の動作が制御される。
また、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であると判定すると、当該動作態様指令をロボットアーム22に対して送信する。これによって、ロボットアーム22が駆動され、この駆動によってロボットアーム22に取り付けられた内視鏡50の動作が制御される。
記憶部142には、例えば手術器具4の種類に応じた制御プログラムが記憶されている。制御部141は、取り付けられた手術器具4の種類に応じてこれらの制御プログラムを読み出すことにより、遠隔操作装置1の操作ハンドル11および操作ペダル部12の少なくともいずれかの動作指令が個別の手術器具4に適合した動作をさせることができる。
画像制御部143は、内視鏡50が取得した画像を表示部13に伝送する。画像制御部143は、必要に応じて画像の加工修正処理を行う。
(手術器具、アダプタ、ドレープおよびロボットアームの構成)
図3~図6を参照して、手術器具4、アダプタ5、ドレープ6およびロボットアーム21の構成について説明する。
ここで、手術器具4の延びる方向(シャフト42の延びる方向)をY方向とし、Y方向のうち手術器具4の先端側(エンドエフェクタ43側)をY1方向とし、Y1方向の反対側をY2方向とする。手術器具4とアダプタ5とが隣接する方向をZ方向とし、Z方向のうち手術器具4側をZ1方向とし、Z1方向の反対側をZ2方向とする。また、Y方向およびZ方向に直交する方向をX方向とし、X方向のうち一方側をX1方向とし、X方向のうち他方側をX2方向とする。また、シャフト42の径方向をD方向とし、シャフト42の周方向をR方向とする。
図3および図4に示すように、手術器具4は、ロボットアーム21にアダプタ5を介して取り外し可能に接続される。アダプタ5は、ロボットアーム21を覆うための滅菌処理されたドレープ6をロボットアーム21との間に挟み込むためのドレープアダプタである。つまり、アダプタ5は、ドレープ6を取り付け可能に構成されている。
手術器具4は、アダプタ5のZ1方向側に取り付けられる。アダプタ5は、ロボットアーム21のZ1方向側に取り付けられる。
ロボットアーム21は、清潔区域において使用されるため、ドレープ6により覆われる。ここで、手術室では、手術により切開した部分および医療機器が病原菌や異物などにより汚染されることを防ぐため、清潔操作が行われる。この清潔操作においては、清潔区域および清潔区域以外の区域である汚染区域が設定される。手術部位は、清潔区域に配置される。操作者Oを含む手術チームのメンバーは、手術中、清潔区域に殺菌されている物体のみが位置するよう配慮し、かつ、汚染区域に位置している物体を清潔区域に移動させるときは、この物体に滅菌処理を施す。同様に、操作者Oを含む手術チームの補助者がその手を汚染区域に位置させたときは、清潔区域に位置している物体に直接接触する前に、手の滅菌処理を行う。清潔区域において用いられる器具は、滅菌処理が行われる、または、滅菌処理されたドレープ6により覆われる。
図4に示すように、ドレープ6は、ロボットアーム21を覆う本体部61と、ロボットアーム21とアダプタ5との間に挟み込まれる取付部62とを備えている。本体部61は、フィルム状に形成された可撓性フィルム部材により構成されている。可撓性フィルム部材は、熱可塑性ポリウレタンやポリエチレンなどの樹脂材料からなる。本体部61には、ロボットアーム21とアダプタ5とが互いに係合可能なように、開口部が設けられている。本体部61の開口部には、開口部を塞ぐように取付部62が設けられている。取付部62は、樹脂成形部材により構成されている。樹脂成形部材は、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料からなる。取付部62は、本体部61に比べて硬く(撓みにくく)形成されている。取付部62は、ロボットアーム21とアダプタ5とが互いに係合可能なように、開口部が設けられている。取付部62の開口部は、ロボットアーム21とアダプタ5との係合する部分に対応するように設けられていてもよい。また、取付部62の開口部は、ロボットアーム21とアダプタ5との複数の係合する部分に対応するように複数設けられていてもよい。
図4および図5に示すように、手術器具4は、複数(4個)の被駆動部材4aを有している。被駆動部材4aは、ハウジング41内に設けられ、Z方向に延びる回転軸線Gを中心に回転可能に設けられている。複数の被駆動部材4aは、エンドエフェクタ43を操作(駆動)するために設けられている。たとえば、被駆動部材4aは、シャフト42内に挿通されたワイヤ(後述する第1細長要素W1および第2細長要素W2)により、エンドエフェクタ43と接続されている。これにより、被駆動部材4aの回転に応じてワイヤが駆動されるとともに、ワイヤの駆動に応じてエンドエフェクタ43が操作(駆動)される。また、たとえば、被駆動部材4aは、ギア(図示せず)を介してシャフト42に接続されている。これにより、被駆動部材4aの回転に応じてシャフト42が回転されるとともに、シャフト42の回転に応じてエンドエフェクタ43が操作される。
複数の被駆動部材4aは、各々、ロボットアーム21からの駆動力をエンドエフェクタ43に伝達されるために、アダプタ5の後述する駆動伝達部材51と係合する係合凸部441を含んでいる。係合凸部441は、被駆動部材4aのZ2方向側の表面からアダプタ5側(Z2方向側)に向かって突出している。また、係合凸部441は、直線状に並んだ複数の凸部を含み、アダプタ5の係合凹部511(図4参照)に対応する形状を有している。また、各係合凸部441は、線対称な形状を有している。
図4および図6に示すように、アダプタ5は、複数(4個)の駆動伝達部材51を有している。駆動伝達部材51は、ロボットアーム21からの駆動力を手術器具4の被駆動部材4aに伝達するように構成されている。つまり、駆動伝達部材51は、手術器具4の被駆動部材4aに対応するように設けられている。駆動伝達部材51は、Z方向に延びる回転軸線Bを中心に回転可能に設けられている。
図4に示すように、複数の駆動伝達部材51は、各々、手術器具4の被駆動部材4aの係合凸部441と係合する係合凹部511を含んでいる。係合凹部511は、駆動伝達部材51の手術器具4側(Z1方向側)に設けられているとともに、駆動伝達部材51のZ1方向側の表面から手術器具4側とは反対側(Z2方向側)に向かって窪んでいる。また、各係合凹部511は、線対称な形状を有している。
図6に示すように、複数の駆動伝達部材51は、各々、ロボットアーム21の係合凸部211と係合する係合凹部512を含んでいる。係合凹部512は、駆動伝達部材51のロボットアーム21側(Z2方向側)に設けられている。係合凹部512は、駆動伝達部材51のZ2方向側の表面からロボットアーム21側とは反対側(Z1方向側)に向かって窪んでいる。なお、複数の駆動伝達部材51の各々は、互いに実質的に同様の構成を有している。また、各係合凹部512は、線対称な形状を有している。
図4に示すように、ロボットアーム21は、フレーム21aと、複数(4個)の駆動部21bとを有している。複数の駆動部21bの各々は、フレーム21aに取り付けられている。複数の駆動部21bは、アダプタ5の複数(4個)の駆動伝達部材51に対応するように設けられている。複数の駆動部21bの各々は同様の構成を有しているので、以下では、複数の駆動部21bのうちの1つを参照して説明する。
駆動部21bは、係合凸部211と、アクチュエータ212とを含んでいる。
係合凸部211は、駆動伝達部材51の係合凹部512(図6参照)と係合する。係合凸部211は、駆動部21bのZ1方向側の表面からZ1方向側(アダプタ5側)に向かって突出している。また、各係合凸部211は、線対称な形状を有している。
アクチュエータ212は、モータを有している。アクチュエータ212は、係合凸部211をZ方向に延びる回転軸線A回りに回転させるように構成されている。これにより、係合凸部211と係合したアダプタ5の駆動伝達部材51をZ方向に延びる回転軸線B回りに回転させることができるとともに、駆動伝達部材51と係合した手術器具4の被駆動部材4aを回転軸線G回りに回転させることができる。なお、回転軸線A、回転軸線Bおよび回転軸線Gは、同軸に配置されている。
(手術器具の詳細な説明)
図7~図22を参照して、手術器具4に関してより詳細に説明する。本実施形態の手術器具4は、腹腔などの手術を行う際、手術器具が挿入される施術部から体腔内に充填された気体(二酸化炭素など)が漏れにくいように構成されている。すなわち、手術器具4は、体腔内に充填された気体が手術器具4内に漏れにくくすることにより、手術器具4内を通過して体外に出にくくするように構成されている。
図7および図8に示すように、手術器具4は、エンドエフェクタ43と、エンドエフェクタ43を第1軸A1回りに回動可能に支持するエンドエフェクタ支持体44と、エンドエフェクタ支持体44を第2軸A2回りに回動可能に支持するベース45(支持体)と、ベース45に接続されるシャフト42とを備えている。また、手術器具4は、ベース45の内部に配置され、患者Pの体腔内に充填した気体が施術部からシャフト42を介して体外に漏れることを抑制するためのシール部材47を備えている。また、手術器具4は、シール部材47のシャフト42側(Y2方向側)の面147に当接し、D方向において、シール部材47のシャフト42側の面147における中心側の部分から外側の部分にわたって押圧する押圧面48aを含むリテーナ48(押圧部材)(図14参照)を備えている。ベース45は、特許請求の範囲の「支持体」の一例である。また、リテーナ48は、特許請求の範囲の「押圧部材」の一例である。
これにより、ベース45のサイズが小さいことに伴って、シール部材47のサイズが小さくなった場合でも、リテーナ48の押圧面48aを介してシャフト42によりシール部材47のシャフト42側の面147をエンドエフェクタ43側に十分に押圧することができるので、シャフト42によりシール部材47を十分に圧縮することができる。この結果、ベース45のサイズが小型であったとしても、シャフト42によりシール部材47をエンドエフェクタ43側に十分に圧縮してベース45をより確実に密閉することができる。
具体的には、エンドエフェクタ43は、複数(2個)のエンドエフェクタ部材43aを有している。すなわち、複数のエンドエフェクタ部材43aは、エンドエフェクタ支持体44に第1軸A1回りに回動可能に取り付けられている。複数のエンドエフェクタ部材43aは、プーリ部43bを有している。複数のエンドエフェクタ部材43aは、プーリ部43bに架け渡される後述する第2細長要素W2の移動に伴って姿勢を変化させるように構成されている。ここで、エンドエフェクタ43は、シザーズである。これにより、他のエンドエフェクタ43と比較してサイズが小さいベース45が用いられるシザーズをエンドエフェクタ43として使用する場合でも、リテーナ48を介してシャフト42によりシール部材47を十分に押圧することができる。なお、エンドエフェクタ43は、シザーズ以外のエンドエフェクタであってもよい。
エンドエフェクタ支持体44は、プーリ部44aと、第1プーリ群44bと、第2プーリ群44cとを有している。プーリ部44aは、第2軸A2回りに回動可能にベース45に支持されている。プーリ部44aは、第2軸A2の周方向に沿って形成されたプーリ溝144aを有している。エンドエフェクタ支持体44は、プーリ部44aに架け渡される後述する第1細長要素W1の移動に伴って姿勢を変化させるように構成されている。
第1プーリ群44bおよび第2プーリ群44cは、エンドエフェクタ部材43aのプーリ部43bに係合した第2細長要素W2をガイドしている。第1プーリ群44bは、第2軸A2と第1軸A1との間に配置されている。第2プーリ群44cは、第2軸A2上に配置されている。
ここで、第1細長要素W1および第2細長要素W2は、ワイヤにより構成されている。ワイヤは、ステンレスまたはタングステンなどの金属により構成されている。第1細長要素W1は、プーリ部44aの数量に対応して1本配置されている。第2細長要素W2は、エンドエフェクタ部材43aの数量に対応して複数(2本)配置されている。
図9および図10に示すように、ベース45は、切り欠き451を有する接続基部45aを含んでいる。
接続基部45aは、略円筒形状に形成されている。接続基部45aは、シャフト42に接続されている。詳細には、シャフト42のY1方向側の端部が、接続基部45aのY2方向側の端部に接続されている。接続基部45aは、R方向に沿って設けられた周壁部45bと、シャフト42とは反対側の端部(Y1方向側の端部)に設けられた隔壁部452とを含む。切り欠き451は、周壁部45bに形成されている。切り欠き451は、Y方向(シャフト42の軸方向)において、シャフト42側の端部からエンドエフェクタ43側に窪んでいる。
接続基部45aは、エンドエフェクタ支持体44を回転可能に支持する第1支持部145aおよび第2支持部145bを有している。第1支持部145aは、接続基部45aのZ1方向側の端部からY1方向に突出している。第2支持部145bは、接続基部45aのZ2方向側の端部からY1方向に突出している。
接続基部45aは、周壁部45bと隔壁部452とに囲まれた内部空間45dを含む。ここで、接続基部45aの内部空間45dは、Y2方向に開放されている。
隔壁部452は、シャフト42とは反対側(Y1方向側)の端面部45cと、連通孔453および貫通孔454を有している。ここで、隔壁部452は、接続基部45aの内部空間45dと外部空間とを仕切るように構成されている。連通孔453は、Y方向に隔壁部452を貫通している。連通孔453は、接続基部45aの内部空間45dと接続基部45aの外部空間とを連通する。ここで、隔壁部452には、X1方向側に配置された連通孔453(以下、第1連通孔453a)と、X2方向側に配置された連通孔453(以下、第2連通孔453b)とが形成されている。第1連通孔453aおよび第2連通孔453bは、それぞれ、Y方向から視て略T字状に形成されている。また、貫通孔454は、隔壁部452をY方向に貫通している。貫通孔454は、Y方向から視て略円形状に形成されている。
隔壁部452の貫通孔454には、電線Eを覆うカバーCvが挿入されている。電線Eは、エンドエフェクタ43に電気エネルギーを供給するために設けられている。電線Eは、電力源とエンドエフェクタ43とを電気的に接続している。なお、電線Eは、エンドエフェクタ43に直接接続されていなくてもよく、例えばベース45を介してエンドエフェクタ43に電気的に接続されていてもよい。カバーCvは、電線EをD方向の外側から覆っている。
周壁部45bの内面455には、凹部45eが形成されている。凹部45eは、接続基部45aの内面455に複数(6個)設けられている。複数の凹部45eは、R方向に並んで配置されている。凹部45eは、接続基部45aの内面455をD方向のうちの外側方向に窪ませることにより形成されている。
図11および図12に示すように、シャフト42は、Y方向に沿って延びる円筒形状に形成されている。シャフト42内の空間には、第1細長要素W1および第2細長要素W2が収容されている。シャフト42は、突出部42aを含んでいる。突出部42aは、Y方向に延びている。突出部42aは、シャフト42のY1方向側の端部からY方向のエンドエフェクタ43側に突出している。突出部42aは、R方向に沿って複数(2個)設けられている。
シャフト42内の空間には、ベース45のY2方向側の部分が収容されている。この際、シャフト42の先端部は、ベース45の周壁部45bの段差に当接している。また、シャフト42の突出部42aはベース45の切り欠き451に挿入されている。
(シール部材)
図13および図14に示すように、シール部材47は、シリコンゴムなどのエラストマにより構成されている。シール部材47は、弾性変形可能に構成されている。シール部材47は、Y方向において厚みを有している。シール部材47は、ベース45の内部空間45dのY1方向側の端部において圧縮されている。シール部材47は、ベース45の隔壁部452に密着する。
シール部材47は、ベース45の第1連通孔453aおよび第2連通孔453bを塞いでいる。加えて、シール部材47は、第1細長要素W1をエンドエフェクタ支持体44に取り付けるとともに第2細長要素W2をエンドエフェクタ43に取り付けた後、第1細長要素W1および第2細長要素W2を取付可能に構成されている。
具体的には、シール部材47は、第1挿入孔47aと、第2挿入孔47bと、切り込み47cとを含んでいる。第1挿入孔47aには、第1細長要素W1が挿入される。第1挿入孔47aは、シール部材47をY方向に貫通する貫通孔である。第1挿入孔47aは、シール部材47に複数(2個)形成されている。第2挿入孔47bには、第2細長要素W2が挿入される。第2挿入孔47bは、シール部材47をY方向に貫通する貫通孔である。第2挿入孔47bは、シール部材47に複数(4個)形成されている。
切り込み47cは、シール部材47の外周面47fから第1挿入孔47aおよび第2挿入孔47bに向けて形成されている。すなわち、切り込み47cは、第1挿入孔47aと第2挿入孔47bとを合わせた数量に対応して複数(6個)シール部材47に形成されている。切り込み47cは、シール部材47の外周面47fと第1挿入孔47aおよび第2挿入孔47bとを繋いでいる。これにより、第1細長要素W1は、第1挿入孔47aに繋がる切り込み47cにより、シール部材47の外周面47fから第1挿入孔47aにガイドされる。また、第2細長要素W2は、第2挿入孔47bに繋がる切り込み47cにより、シール部材47の外周面47fから第2挿入孔47bにガイドされる。
また、シール部材47は、ベース45の貫通孔454の一部を塞ぐとともに、電線Eを覆うカバーCvに密着している。すなわち、シール部材47は、シール部材側貫通孔47dを含んでいる。シール部材47のシール部材側貫通孔47dには、電線Eを覆うカバーCvが挿入される。シール部材47のシール部材側貫通孔47dは、シール部材47をY方向に貫通する貫通孔である。シール部材47のシール部材側貫通孔47dは、シール部材47に1個形成されている。
シール部材47は、ベース45の内面455(図10参照)に密着するように構成されている。具体的には、シール部材47は、凸部47eを含んでいる。凸部47eは、第2挿入孔47bに対応する位置に配置されているとともに、ベース45の凹部45eに対応する位置に配置されている。すなわち、凸部47eは、シール部材47の外周面47fに複数(6個)形成されている。凸部47eは、シール部材47の外周面47fからD方向の外側方向に向かって突出している。
(リテーナ)
図14および図15に示すように、本実施形態のリテーナ48は、シール部材47のシャフト42側の面147を押圧する力の偏りを抑えるように構成されている。すなわち、リテーナ48は、シャフト42から伝達される押圧力をシール部材47のシャフト42側の面147に分散させるように構成されている。リテーナ48は、金属(ステンレスなど)により形成されている。なお、リテーナ48は、ステンレスに限られず、他の材料(ステンレス以外の金属および樹脂など)により形成されてもよい。
具体的には、リテーナ48は、押圧面48aと、被押圧部48bと、リテーナ側貫通孔48cと、逃がし部48dとを有している。リテーナ48は、シール部材47のシャフト42側の面147に線接触ではなく、押圧面48aにより面接触している。押圧面48aは、リテーナ48のエンドエフェクタ43側(Y1方向側)の端面により構成されている。
押圧面48aは、D方向に沿って延び、シール部材47のシャフト42側の面147にD方向の中心側の部分から外側の部分にわたって接触するとともに、シール部材47のシャフト42側の面147を押圧している。
これにより、D方向に沿って延びる押圧面48aによりシール部材47を押圧することによって、シャフト42によりシール部材47のシャフト42側の面147をより均一に押圧することができる。この結果、シャフト42によりシール部材47をより均一に圧縮することができる。
押圧面48aは、シャフト42の移動によるリテーナ48の移動に伴ってY方向に沿ってエンドエフェクタ43側に移動することにより、シール部材47に面接触するとともに、シール部材47を圧縮するように構成されている。具体的には、ベース45は、Y方向において、シャフト42側の端部からエンドエフェクタ43側に窪む切り欠き451を含んでいる。リテーナ48は、ベース45の切り欠き451に沿って被押圧部48bを移動させることにより押圧面48aによって、シール部材47を押圧するように構成されている。
これにより、シャフト42の移動に伴って被押圧部48bが移動してシール部材47を押圧する際、リテーナ48のベース45側への移動をベース45の切り欠き451によりガイドすることができる。また、被押圧部48bがベース45の切り欠き451内に配置されることにより、リテーナ48のR方向への移動を抑制(回り止め)することができる。これらの結果、リテーナ48によりシール部材47をより安定して均一に押圧することができる。
リテーナ48は、Y方向において、押圧面48aにより、シール部材47を所定長さの分だけ圧縮可能に構成されている。詳細には、リテーナ48は、シール部材47がベース45の切り欠き451のエンドエフェクタ43側の端部よりもエンドエフェクタ43側に位置するように、押圧面48aによりシール部材47を所定長さの分だけ圧縮するように構成されている。
具体的には、Y方向において、押圧面48aは、被押圧部48bのシャフト42とは逆側の面481よりもエンドエフェクタ43側(Y1方向側)に配置されている。
これにより、押圧面48aが被押圧部48bのシャフト42とは逆側の面481と面一の場合と比較して、シャフト42によりリテーナ48をY1方向に押圧する際、押圧面48aをよりY1方向側に配置することができる。この結果、リテーナ48によりシール部材47を十分に圧縮することができる。
図15および図16に示すように、リテーナ48は、シャフト42からの押圧力を、シャフト42のD方向の外側の部分から受けるように構成されている。詳細には、リテーナ48は、リテーナ48のY方向のエンドエフェクタ43とは逆側の面のうちの一部によりシャフト42からの押圧力を受けるように構成されている。すなわち、リテーナ48は、押圧面48aのD方向における外側の端部からD方向の外側に設けられ、シャフト42により押圧される被押圧部48bを含んでいる。
これにより、ベース45内のサイズの小さいシール部材47をシャフト42により直接押圧する場合と異なり、押圧面48aの外側の端部に設けられた被押圧部48bを介してシール部材47を押圧する方が、シャフト42により押圧される箇所を容易に確保することができる。
詳細には、被押圧部48bは、押圧面48aのD方向における外側の端部からD方向の外側に突出するように設けられている。
これにより、細長要素および電線などが配置されるシャフト42の内部ではなく、被押圧部48bをシャフト42外に突出させて設けるので、シャフト42により押圧される箇所をより容易に確保することができる。
また、被押圧部48bは、シャフト42の突出部42aにより押圧されるように構成されている。ここで、被押圧部48bは、シャフト42の突出部42aに対応する位置に配置されている。すなわち、被押圧部48bは、D方向において、ベース45の内部空間45dよりも外側の位置に配置されている。
シャフト42は、Y方向に突出する突出部42aを含んでいる。被押圧部48bは、押圧面48aのD方向における外側の端部からD方向の外側に突出し、シャフト42の突出部42aとY方向に対向する位置に配置されている。
これにより、被押圧部48bとシャフト42の突出部42aとをY方向に対向させて配置することにより、シャフト42により被押圧部48bをより確実に押圧することができる。この結果、シャフト42により押圧される箇所が限られる場合であっても、シャフト42によりシール部材47をベース45側に十分に圧縮することができる。
リテーナ48は、被押圧部48bに押圧力が加えられている状態において、押圧面48aがD方向に沿う方向に対して平行になるように構成されている。すなわち、被押圧部48bは、押圧面48aに加えられる押圧力が押圧面48aに均一に分散されやすいように、リテーナ48に複数(2個)設けられている。
詳細には、シャフト42の突出部42aおよびリテーナ48の被押圧部48bは、R方向に複数配置されている。複数の突出部42aおよび複数の被押圧部48bは、D方向における中心点に対して点対称に配置されている。
点対称に配置された複数の突出部42aが複数の被押圧部48bを押圧することにより、押圧面48aによるシール部材47のシャフト42側の面147に対する押圧力をより均一にすることができるので、シール部材47によりベース45を安定して密閉することができる。
被押圧部48bは、Y方向においてエンドエフェクタ43側とは反対側から視て、シャフト42の突出部42aとオーバーラップしている。すなわち、Y方向において、シャフト42の突出部42aのエンドエフェクタ43側の平面は、被押圧部48bのエンドエフェクタ43側とは反対側の平面よりも大きい。
ここで、D方向において、シャフト42の突出部42aの先端位置P1およびリテーナ48の被押圧部48bの先端位置P2は、シール部材47の外周面47fよりも外側であり、かつ、シャフト42の外周面42bの内側若しくは外周面42bと同じ位置に配置されている。
これにより、シャフト42の突出部42aの先端位置P1およびリテーナ48の被押圧部48bの先端位置P2がシャフト42の外周面42bの内側若しくはシャフト42の外周面42bと同じ位置に配置されていることにより、シャフト42の突出部42aの先端位置P1およびリテーナ48の被押圧部48bの先端位置P2に起因して、シャフト42の外表面に突起が生じることを抑制することができる。また、D方向において、シャフト42の突出部42aの先端位置P1およびリテーナ48の被押圧部48bの先端位置P2が、シール部材47の外周面47fよりも外側であることにより、ベース45のサイズが小さい場合でも、シャフト42によりリテーナ48の被押圧部48bを確実に押圧することができる。これらの結果、シャフト42の外表面を滑らかな面にすることができるとともに、ベース45をより確実に密閉することができる。
図16および図17に示すように、リテーナ側貫通孔48cは、Y方向においてリテーナ48を貫通している。リテーナ側貫通孔48cは、D方向において、電線Eを覆うカバーCvが挿入可能な大きさを有している。リテーナ側貫通孔48cは、Y方向において、シール部材47のシール部材側貫通孔47dに連通している。すなわち、リテーナ側貫通孔48cは、D方向において、リテーナ48の中心部分に配置されている。
このように、手術器具4は、エンドエフェクタ43に電気エネルギーを供給するための電線Eを備えている。シール部材47は、電線Eがシール部材47を挿入する位置に対応して形成されたシール部材側貫通孔47dを有している。リテーナ48は、電線Eがシール部材47に挿入される位置に対応して形成されたリテーナ側貫通孔48cを有している。
これにより、エンドエフェクタ43に電線Eが接続される場合であっても、シール部材47によるベース45の密閉性を確保しつつ、リテーナ48によりシール部材47を十分に圧縮することができる。
リテーナ48は、第1細長要素W1および第2細長要素W2とリテーナ48との干渉を回避するように構成されている。すなわち、逃がし部48dは、第1細長要素W1が挿入される第1挿入孔47aおよび第2細長要素W2が挿入される第2挿入孔47bの周りに対応して配置されている。
具体的には、手術器具4は、ベース45に対してエンドエフェクタ支持体44を回転駆動させるための第1細長要素W1と、エンドエフェクタ支持体44に対してエンドエフェクタ43を回転駆動させるための第2細長要素W2とを備えている。シール部材47は、第1細長要素W1をシール部材47に挿入するための第1挿入孔47aと、第2細長要素W2をシール部材47に挿入するための第2挿入孔47bとを含んでいる。リテーナ48は、第1挿入孔47aおよび第2挿入孔47bに対応する位置に逃がし部48dを有している。
これにより、リテーナ48に逃がし部48dを設けることにより、エンドエフェクタ支持体44を回転駆動させる第1細長要素W1およびエンドエフェクタ43を回転駆動させる第2細長要素W2を設けた場合であっても、第1細長要素W1および第2細長要素W2とリテーナ48との干渉を抑制することができる。この結果、第1細長要素W1によるエンドエフェクタ支持体44の回転駆動および第2細長要素W2によるエンドエフェクタ43の回転駆動をより安定して行うことができるとともに、リテーナ48によりシール部材47を十分に圧縮することができる。
また、逃がし部48dは、D方向におけるリテーナ48の外側の端部からD方向の内側に向けて窪んだ切り欠き状に形成されている。逃がし部48dは、R方向に複数(2箇所)形成されている。複数の逃がし部48dは、D方向における中心点に対して点対称に配置されている。
詳細には、ベース45は、D方向において、第1挿入孔47aおよび第2挿入孔47bの位置に合わせて内面455を外側に窪ませた凹部45eを含んでいる。シール部材47は、ベース45の凹部45eに対応する位置に設けられた凸部47eを含んでいる。逃がし部48dは、凸部47eに対応する位置に設けられている。
これにより、凹部45eが必要となるような小型のベース45を手術器具4に用いた場合であっても、第1細長要素W1および第2細長要素W2とリテーナ48との干渉を確実に抑制することができる。この結果、第1細長要素W1によるエンドエフェクタ支持体44の回転駆動および第2細長要素W2によるエンドエフェクタ43の回転駆動をより一層安定して行うことができるとともに、リテーナ48によりシール部材47をより十分に圧縮することができる。
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、リテーナ48(押圧部材)が、押圧面48aのシャフト42のD方向(径方向)における外側の端部からシャフト42のD方向の外側に突出するように設けられた被押圧部48bを含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、押圧部材の被押圧部は、押圧面のシャフトの径方向における外側の端部からシャフトの径方向の外側に突出するように設けられていなくてもよい。たとえば、被押圧部は、押圧面のシャフトの径方向における外側の端部よりもシャフトの径方向の内側など他の箇所に設けられてもよい。この場合、シャフトの延びる方向におけるエンドエフェクタとは逆側の面の一部を被押圧部として、シャフトにより押圧してもよい。
また、上記実施形態では、押圧面48aは、D方向(径方向)に沿って延びている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、押圧面は、シャフトの径方向に沿って断続的に複数配置されてもよい。
また、上記実施形態では、シャフト42の軸方向において、押圧面48aは、被押圧部48bのシャフト42とは逆側の面481よりもエンドエフェクタ43側に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、押圧面と、被押圧部のシャフトとは逆側の面とは、シャフトの径方向において面一になるように配置されてもよい。
また、上記実施形態では、ベース45(支持体)は、D方向において、第1挿入孔47aおよび第2挿入孔47bの位置に合わせて内面455を外側に窪ませた凹部45eを含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ベース45は、凹部を含んでいなくてもよい。
また、上記実施形態では、シール部材47は、ベース45(支持体)の凹部45eに対応する位置に設けられた凸部47eを含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、シール部材は、凸部を含んでいなくてもよい。
また、上記実施形態では、ベース45(支持体)は、Y方向において、シャフト42側の端部からエンドエフェクタ43側に窪む切り欠き451を含んでいる例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、支持体は、切り欠きを含んでいなくてもよい。
また、上記実施形態では、複数の突出部42aおよび複数の被押圧部48bは、D方向における中心点に対して点対称に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の突出部および複数の被押圧部は、シャフトの径方向に延びる線に対して線対称などに配置されてもよい。
また、上記実施形態では、D方向において、シャフト42の突出部42aの先端位置P1および押圧部材の被押圧部48bの先端位置P2は、シール部材47の外周面47fよりも外側であり、かつ、シャフト42の外周面46bよりも内側若しくは同じ位置に配置されている例を示したが、本発明は、これに限られない。本発明では、シャフトの径方向において、シャフトの突出部の先端位置および押圧部材の被押圧部の先端位置は、シャフトの外周面よりも外側に配置されていてもよい。
4:手術器具、21、22:ロボットアーム、42:シャフト、42a:突出部、42b:(シャフトの)外周面、43:エンドエフェクタ、44:エンドエフェクタ支持体、45:ベース(支持体)、45e:凹部、47:シール部材、47a:第1挿入孔、47b:第2挿入孔、47d:シール部材側貫通孔、47e:凸部、47f:(シール部材の)外周面、48:リテーナ(押圧部材)、48a:押圧面、48b:被押圧部、48c:リテーナ側貫通孔(押圧部材側貫通孔)、48d:逃がし部、147:(シール部材のシャフト側の)面、451:切り欠き、455:内面、481:(被押圧部の逆側の)面、A1:第1軸、A2:第2軸、E:電線、P:患者、P1:(シャフトの突出部の)先端位置、P2:(押圧部材の被押圧部の)先端位置、W1:第1細長要素、W2:第2細長要素

Claims (13)

  1. ロボットアームに取り付けられる手術器具であって、
    エンドエフェクタと、
    前記エンドエフェクタを第1軸回りに回動可能に支持するエンドエフェクタ支持体と、
    前記エンドエフェクタ支持体を第2軸回りに回動可能に支持する支持体と、
    前記支持体に接続されるシャフトと、
    前記支持体の内部に配置されるシール部材と、
    前記シール部材の前記シャフト側の面に当接し、前記シール部材の前記シャフト側の面を押圧する押圧面、前記シャフトにより押圧される被押圧部とを含む押圧部材とを備え
    前記支持体は、前記シャフトの軸方向において、前記シャフト側の端部から前記エンドエフェクタ側に窪む切り欠きを含み、
    前記押圧部材は、前記切り欠き内に前記被押圧部が配置された状態で、前記シール部材を押圧する、手術器具。
  2. 前記押圧面は、前記シャフトの径方向に沿って延び、前記シール部材の前記シャフト側の面に前記シャフトの径方向の中心側の部分から外側の部分にわたって接触するとともに、前記シール部材の前記シャフト側の面を押圧している、請求項1に記載の手術器具。
  3. 前記押圧部材は、前記押圧面の前記シャフトの径方向における外側の端部から前記シャフトの径方向の外側に設けられた前記被押圧部を含む、請求項1または2に記載の手術器具。
  4. 前記被押圧部は、前記押圧面の前記シャフトの径方向における外側の端部から前記シャフトの径方向の外側に突出するように設けられている、請求項3に記載の手術器具。
  5. 前記シャフトは、前記シャフトの軸方向に突出する突出部を含み、
    前記被押圧部は、前記シャフトの前記突出部と前記シャフトの軸方向に対向する位置に配置されている、請求項4に記載の手術器具。
  6. 前記シャフトの前記突出部および前記押圧部材の前記被押圧部は、前記シャフトの周方向に複数配置され、
    複数の前記突出部および複数の前記被押圧部は、前記シャフトの径方向における中心点に対して点対称に配置されている、請求項5に記載の手術器具。
  7. 前記シャフトの径方向において、前記押圧部材の前記被押圧部は、前記シール部材の外周面よりも外側であり、かつ、前記シャフトの外周面の内側若しくは前記シャフトの外周面と同じ位置に配置されている、請求項5または6に記載の手術器具。
  8. 前記シャフトの軸方向において、前記押圧面は、前記被押圧部の前記シャフトとは逆側の面よりも前記エンドエフェクタ側に配置されている、請求項~7のいずれか1項に記載の手術器具。
  9. 前記エンドエフェクタに電気エネルギーを供給するための電線をさらに備え、
    前記シール部材は、前記電線が前記シール部材に挿入される位置に対応して形成されたシール側貫通孔を有し、
    前記押圧部材は、前記電線が前記シール部材に挿入される位置に対応して形成された押圧部材側貫通孔を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の手術器具。
  10. 前記エンドエフェクタは、シザーズである、請求項に記載の手術器具。
  11. 前記支持体に対して前記エンドエフェクタ支持体を回転駆動させるための第1細長要素と、
    前記エンドエフェクタ支持体に対して前記エンドエフェクタを回転駆動させるための第2細長要素とをさらに備え、
    前記シール部材は、
    前記第1細長要素を前記シール部材に挿入するための第1挿入孔と、
    前記第2細長要素を前記シール部材に挿入するための第2挿入孔とを含み、
    前記押圧部材は、前記第1挿入孔および前記第2挿入孔に対応する位置に配置され、前記第1細長要素および前記第2細長要素および前記押圧部材との干渉を回避して、前記第1細長要素および前記第2細長要素から前記押圧部材を逃がす逃がし部を有する、請求項1~1のいずれか1項に記載の手術器具。
  12. 前記支持体は、前記シャフトの径方向において、前記第1挿入孔および前記第2挿入孔の位置に合わせて内面を外側に窪ませた凹部を含み、
    前記シール部材は、前記支持体の前記凹部に対応する位置に設けられた凸部を含み、
    前記逃がし部は、前記凸部に対応する位置に設けられている、請求項1に記載の手術器具。
  13. ロボットアームに取り付けられる手術器具であって、
    エンドエフェクタと、
    前記エンドエフェクタを第1軸回りに回動可能に支持するエンドエフェクタ支持体と、
    前記エンドエフェクタ支持体を第2軸回りに回動可能に支持する支持体と、
    前記支持体に接続されるシャフトと、
    前記支持体の内部に配置されるシール部材と、
    前記シール部材の前記シャフト側の面に当接し、前記シール部材の前記シャフト側の面を押圧する押圧面を含み、前記シャフトにより押圧される押圧部材とを備え、
    前記押圧部材は、前記押圧面の前記シャフトの径方向における外側の端部から前記シャフトの径方向の外側に設けられ、前記シャフトにより押圧される被押圧部を含み、
    前記被押圧部は、前記押圧面の前記シャフトの径方向における外側の端部から前記シャフトの径方向の外側に突出するように設けられており、
    前記シャフトは、前記シャフトの軸方向に突出する突出部を含み、
    前記被押圧部は、前記シャフトの前記突出部と前記シャフトの軸方向に対向する位置に配置されており、
    前記シャフトの前記突出部および前記押圧部材の前記被押圧部は、前記シャフトの周方向に複数配置され、
    複数の前記突出部および複数の前記被押圧部は、前記シャフトの径方向における中心点に対して点対称に配置されている、手術器具。
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