JP7009275B2 - アミノ基修飾ナノダイヤモンドの製造方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 平成30年3月5日に、下記ウェブサイトにおいて発表した。「https://www.european-mrs.com/carbon-materials-surface-chemistry-and-biomedical-applications-iii-emrs」
本発明はアミノ基修飾ナノダイヤモンド、及びその製造方法に関する。
ナノダイヤモンド(以後、「ND」と称する場合がある)は、高い機械的強度を有し、物理的・化学的安定性に優れ、生体適合性にも優れる。また、その粒子径は数nm~数百nmであり、血管壁の隙間を通過することも可能なサイズである。そのため、DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)への応用や、樹脂と複合体(コンポジット)を形成することにより樹脂に強靱性を付与することが行われている。
NDは表面原子の割合が大きく、またその表面原子においては種々の官能基が存在するため、前記官能基を利用して共有結合、イオン結合またはその他の相互作用によって、機能性を有する元素や分子を結合または吸着させたり、重合性モノマーを結合させることで、NDに高い機能を付与することができる。
通常、NDは表面官能基として、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、カルボン酸誘導体などの酸素を有する官能基を有し、これらの酸素を有する官能基を足場とした種々の化学修飾反応やそれによる機能性の付与が行われている。
一方で、NDは表面官能基としてアミノ基をほとんど有しないが、アミノ基はプラスの電荷を持つこと、高い求核性によりアミド化反応やアルキル化反応が容易に進行し強固な結合を形成すること、金属などの配位能力が高いことなどから、NDの表面に導入することが求められている。
例えばND表面のアミノ基は、生体関連物質(例えば、抗体などのタンパク質、ガングリオシドなどの糖鎖、DNAなどのヌクレオチド類等)をND表面に固定化してDDSやその他のバイオメディカル関連用途に利用できる。
そのため、ND表面にアミノ基を導入することが検討されている。例えば、特許文献1ではNDに高温環境下、気相にてアンモニアガスを反応させることにより、アミノ基を導入する方法が記載されている。しかし、高機能化のために十分な量のアミノ基を導入することは困難であった。また、製造工程が多く煩雑であることも問題であった。
また非特許文献1にはアミノ基を有するシランカップリング剤によりアミノ基を導入する方法、表面をアニーリングによりグラファイト化した後にアミノメチルフェニル基で修飾する方法、及び表面のカルボキシル基を還元して得た水酸基に脱離基導入を経てシアノ基で置換し、これを金属水素化物で還元してアミノ基を得る方法が記載されている。しかし、何れの方法でも、導入されるアミノ基はNDの表面炭素に直接結合するものではなく、リンカーを介して結合するものであり、リンカーの導入によりNDの性質や分散性が変化する可能性があった。また、何れの方法も、アミノ基の導入において複雑かつ多段階の反応工程を必要とすることも問題であった。
国際公開第2015/192142号
A. Krueger, Advanced Functional Materials, 22(5), p890-906.
従って、本発明の目的は、10μmol/g以上のアミノ基が粒子表面に直接結合するナノダイヤモンドを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、液相にて、ナノダイヤモンドの表面に10μmol/g以上のアミノ基を直接結合させる簡便な方法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、液相にて、NDにホウ素化合物を反応させ、更にアミノ化合物を反応させると、ND表面の炭素原子に直接結合するアミノ基を高密度に有するNDが効率よく得られることを見いだした。本発明はこの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、ナノダイヤモンドの表面の炭素原子にアミノ基(-NH2)が直接結合した構成を有し、前記アミノ基結合量が10μmol/g以上であるアミノ基修飾ナノダイヤモンドを提供する。
本発明は、また、溶媒存在下、ナノダイヤモンドにホウ素化合物を反応させ、更に、下記式(1)で表されるアミノ化合物を反応させて、前記のアミノ基修飾ナノダイヤモンドを得るアミノ基修飾ナノダイヤモンドの製造方法を提供する。
NH2R (1)
(式中、Rは脱離性基を示す)
本発明は、また、前記のアミノ基修飾ナノダイヤモンドのアミノ基に、アミノ基との反応性基を備えた化合物が結合されてなる複合体を提供する。
本発明のアミノ基修飾NDは、生体関連物質が結合可能な-NH2基をND表面に高密度に有する。また、表面の炭素原子にリンカーを介してアミノ基が結合された構成を有するNDは、前記リンカーによりNDの特性が低減されたり、分散性が低下する場合があるが、本発明のアミノ基修飾NDは、NDの表面の炭素原子にアミノ基が直接結合した構成を有するため、NDの特性(すなわち、高い機械的強度を有し、物理的・化学的安定性に優れ、生体適合性に優れる性質)や分散性を損なうことなく高く保持する。
従って、本発明のアミノ基修飾NDは、ナノコンポジット用途や、DDS用途に好適に使用することができる。
例えば、本発明のアミノ基修飾NDのアミノ基に生体関連物質が結合されてなる複合体は、DDS製剤等として好適に使用することができる。
また、本発明のアミノ基修飾NDのアミノ基に繊維が結合してなる複合体(=ナノコンポジット)は、強化繊維等として好適に使用することができる。
[アミノ基修飾ナノダイヤモンド]
本発明のアミノ基修飾NDは、ナノダイヤモンドの表面の炭素原子にアミノ基(=1級アミノ基、-NH2)が直接結合した構成を有する。前記アミノ基結合量は10μmol/g以上であり、好ましくは20μmol/g以上、特に好ましくは22μmol/g以上、最も好ましくは25μmol/g以上、とりわけ好ましくは27μmol/g以上である。また、アミノ基結合量の上限は、例えば200μmol/g、好ましくは100μmol/g、特に好ましくは50μmol/g、最も好ましくは40μmol/gである。
アミノ基修飾ND全量におけるアミノ基結合量(若しくは、アミノ基修飾ND全量におけるアミノ基含有量)は、アミノ基がND表面の炭素原子に直に結合しているため直接定量することが困難な場合がある。このような場合には、例えば、前記アミノ基にアミノ酸(例えば、Boc-アラニン-ヒドロキシコハク酸イミドエステル等)を反応させ、前記アミノ基と反応したアミノ酸を定量(例えば、ニンヒドリンによるカイザーテストのような比色定量法や、加水分解後にアミノ酸分析を行う方法など)することにより間接的に測定することができる。
前記アミノ基修飾NDは、NDの表面にアミノ基以外にも他の官能基(例えば、カルボキシル基、水酸基等)を有していてもよい。
前記アミノ基修飾NDは分散性に優れ、例えば0.1~5質量%水懸濁液中における粒子径D50(メディアン径;50体積%径)は、例えば500nm以下、好ましくは100nm以下、特に好ましくは30nm以下である。アミノ基修飾NDの粒子径D50の下限は、例えば3nmである。尚、「粒子径D50」は動的光散乱法によって測定される。
本発明のアミノ基修飾NDは、NDの表面に有するアミノ基に種々の化合物(例えば、低分子医薬品、バイオ医薬品、抗体、サイトカイン、アミノ酸、タンパク質、DNA、RNA、糖類、繊維等)を結合させることができる。尚、「バイオ医薬品」とは、有効成分がタンパク質由来(成長ホルモン、インスリン、抗体など)である医薬品、或いは細胞、ウイルス、バクテリアなどの生物によって産生される物質に由来する医薬品のことである。そのため、本発明のアミノ基修飾NDはナノコンポジット用途や、DDS製剤の原料として好適に使用することができる。
[アミノ基修飾ナノダイヤモンドの製造方法]
上記アミノ基修飾NDは、溶媒存在下、ナノダイヤモンドにホウ素化合物を反応させる工程(I)、更に、下記式(1)で表されるアミノ化合物を反応させる工程(II)を経て製造することができる。
NH2R (1)
(式中、Rは脱離性基を示す)
(工程I:ヒドロホウ素化工程)
前記工程Iは、NDにホウ素化合物を反応させる工程である。本発明では、ND表面の二重結合性の炭素(すなわち、「炭素-炭素二重結合」を形成する炭素)への前記ホウ素化合物の付加反応が進行して、ホウ素置換基を形成する。従来、ホウ素化合物はND表面のカルボニル基を還元する目的で使用されていたが、本発明者はホウ素化合物との反応に付した後のNDにホウ素が残留していることから、カルボニル基の還元反応のほかにND表面の二重結合性の炭素のヒドロホウ素化反応が進行していることを見いだし、更に、これを利用すればND表面の炭素原子に直接アミノ基を導入できることを見いだしたのである。
前記ホウ素化合物としては、例えば、下記式(2-1)で表される化合物、下記式(2-2)で表される化合物、ボラン錯体等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 0007009275000001
上記式中、R1~R3、R4~R7は同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、又はアシル基を示す。Mはナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、ニッケル等の金属元素を示す。上記式(2-1)中のR1~R3から選択される2つの基は互いに結合して隣接するホウ素原子と共に環を形成していてもよい。また、上記式(2-2)中のR4~R7から選択される2つの基は互いに結合して隣接するホウ素原子と共に環を形成していてもよい。
前記式(2-1)で表される化合物としては、例えば、クロルボラン、ジクロルボラン、ブロモモラン、ジブロモモラン、9-BBN(9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン)、カテコールボラン、ピナコールボラン、ジシクロヘキシルボラン、テキシルボラン、ジシアミルボラン、ジイソピノカンフェイルボラン等が挙げられる。
前記式(2-2)で表される化合物としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化シアノホウ素ナトリウム(NaBH3CN)、水素化ホウ素リチウム(LiBH4)、水素化トリエチルホウ素リチウム(LiBHEt3)、水素化ホウ素ニッケル(Ni(BH42)、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(NaBH(OAc)3)、水素化ホウ素亜鉛(Zn(BH42)、水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素リチウム(LiBH(s-Bu)3)、水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素カリウム(KBH(s-Bu)3)等が挙げられる。
前記ボラン錯体は、例えば、下記式(2-3)で表される。下記式中、Lは配位子を示し、例えば、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフィド、及びピリジン等のアミン等が挙げられる。本発明においては、特に、下記式中のLがテトラヒドロフランであるボラン・テトラヒドロフラン錯体、下記式中のLがジメチルスルフィドであるボラン・ジメチルスルフィド錯体、及び下記式中のLがピリジンであるボラン・ピリジン錯体から選択される少なくとも1種が好ましい。
BH3・L (2-3)
前記ホウ素化合物としは、なかでも、入手容易性、安定性、及び反応性に優れる(詳細には、ヒドロホウ素化反応における立体障害が少ないため、反応が進行し易い)点でボラン錯体が好ましい。
前記ホウ素化合物の使用量(純分換算)は、ND1質量部に対して例えば0.1~20質量部である。例えば、ホウ素化合物がボラン錯体の場合、その純分とはボラン錯体全量のことである。
前記ヒドロホウ素化反応は溶媒の存在下で行う。前記溶媒としては、例えば、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の極性溶媒(特に、非プロトン性極性溶媒)が好ましい。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記溶媒の使用量は、NDと前記ホウ素化合物の総量に対して、例えば5~100質量倍である。溶媒の使用量が上記範囲を上回ると反応成分の濃度が低くなり、反応速度が低下する傾向がある。
前記ヒドロホウ素化反応の反応雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。
前記ヒドロホウ素化反応の反応温度は、例えば0~120℃である。反応時間は、例えば1~48時間である。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
NDにホウ素化合物を作用させると、表面の炭素原子にホウ素置換基が直接結合するNDが得られる。例えば、ホウ素化合物として上記式(2-1)で表される化合物を作用させた場合は、ホウ素置換基としての[-BR12基](R1、R2は上記に同じ)がND表面の炭素原子に直接結合する。前記[-BR12基]のR1、R2の少なくとも1つは、ND(当該ホウ素置換基が結合するNDであっても、他のNDであってもよい)の表面の炭素原子に直接、或いは連結基(例えば、エーテル結合(-O-)等)を介して結合していても良い。
Figure 0007009275000002
(工程II:アミノ化工程)
工程IIは、工程Iを経て得られた表面の炭素原子にホウ素置換基が直接結合するNDに、下記式(1)で表されるアミノ化合物を反応させて、表面の炭素原子にアミノ基(-NH2)が直接結合するアミノ基修飾ナノダイヤモンドを得る工程である。
NH2R (1)
(式中、Rは脱離性基を示す)
例えば工程Iを経て得られた、ホウ素置換基としての[-BR12基]が表面の炭素原子に直接結合するNDをアミノ化工程に付した場合、以下の反応が進行して、表面の炭素原子にアミノ基が直接結合するアミノ基修飾NDが得られる。下記式中の、R1、R2、Rは上記に同じ。
Figure 0007009275000003
式(1)中のRは脱離性基を示し、例えば、ハロゲン原子、-OS(=O)2-R’基、-OC(=O)-R”基(前記R’、R”は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基を示す)等が挙げられる。
前記R’、R”におけるアルキル基やアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルカルボニル基、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルキルスルホニルアミノ基、C7-10アラルキル基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
式(1)で表されるアミノ化合物としては、具体的には、クロラミン、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸等が挙げられる。
式(1)で表されるアミノ化合物の使用量は、ND1質量部に対して例えば0.1~500質量部である。
アミノ化工程は溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、ヒドロホウ素化工程における反応溶媒をそのまま用いてもよく、異なる溶媒を用いてもよい。前記溶媒としては、例えば、ジグライム、モノグライム、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の極性溶媒(特に、非プロトン性極性溶媒);メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、エチレングリコール等のアルコール類;水等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記溶媒としては、なかでもNDとの親和性に優れる点で極性溶媒が好ましく、特に好ましくは非プロトン性極性溶媒である。
前記溶媒の使用量は、NDと式(1)で表されるアミノ化合物の総量に対して、例えば5~100質量倍である。溶媒の使用量が上記範囲を上回ると反応成分の濃度が低くなり、反応速度が低下する傾向がある。
アミノ化工程の反応雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。
アミノ化工程の反応温度は、例えば20~150℃、好ましくは60~120℃、特に好ましくは90~120℃である。反応時間は、例えば1~96時間である。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
上記ヒドロホウ素化工程、アミノ化工程は、超音波処理、ビーズミリング等の手段によるNDの解砕及び/又は粉砕処理後に、若しくは前記手段によりNDを解砕及び/又は粉砕しつつ実施することができる。
反応終了後、得られた反応生成物は、例えば、濾過、遠心分離、抽出、水洗、中和等や、これらを組み合わせた手段により精製することが好ましい。
(ナノダイヤモンド)
上記ヒドロホウ素化工程において、ホウ素化合物との反応に付すNDの粒子径D50(メディアン径)は、例えば5000nm以下、好ましくは100nm以下、特に好ましくは10nm以下である。NDの粒子径D50の下限は、例えば1nmである。
前記NDとしては、pH8~10の水分散液中におけるゼータ電位(25℃)がネガティブ(例えば、-40mV~-35mV)であるNDが、より高密度のアミノ基が粒子表面に直接結合するNDが得られる点で好ましい。
前記NDは、例えば爆轟法によって製造することができる。前記爆轟法には、空冷式爆轟法と水冷式爆轟法が含まれ、いずれの方法によるNDでも同様に使用することができる。
また、空冷式爆轟は大気雰囲気下で行っても良く、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、二酸化炭素雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で行っても良い。
NDの製造方法の一例を以下に説明するが、本発明で使用するNDは以下の製造方法によって得られるものに限定されない。
(生成工程)
成形された爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器の内部に設置し、容器内において大気組成の常圧の気体と使用爆薬とが共存する状態で、容器を密閉する。容器は例えば鉄製で、容器の容積は例えば0.5~40m3である。爆薬としては、トリニトロトルエン(TNT)とシクロトリメチレントリニトロアミンすなわちヘキソーゲン(RDX)との混合物を使用することができる。TNTとRDXの質量比(TNT/RDX)は、例えば40/60~60/40の範囲である。
生成工程では、次に、電気雷管を起爆させ、容器内で爆薬を爆轟させる。爆轟の際、使用爆薬が部分的に不完全燃焼を起こして遊離した炭素を原料として、爆発で生じた衝撃波の圧力とエネルギーの作用によってNDが生成する。生成したNDは、隣接する一次粒子ないし結晶子の間がファンデルワールス力の作用に加えて結晶面間クーロン相互作用が寄与して非常に強固に集成し、凝着体を成す。
生成工程では、次に、室温において24時間程度放置することにより放冷し、容器およびその内部を降温させる。この放冷の後、容器の内壁に付着しているND粗生成物(NDの凝着体および煤を含む)をヘラで掻き取る作業を行い、ND粗生成物を回収する。以上のような方法によって、NDの粗生成物を得ることができる。
(精製工程:酸処理工程)
酸処理工程は、生成工程を経て得られたND粗生成物に混入する金属性不純物を除去する工程であり、生成工程を経て得られたND粗生成物を水中に分散して得られる粗ND水分散液に、酸を添加して前記金属性不純物を酸に溶出させ、その後、金属性不純物が溶出した酸を分離・除去することで、金属性不純物を除去することができる。この酸処理に用いられる酸(特に、強酸)としては鉱酸が好ましく、例えば、塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、王水等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸処理に使用される酸の濃度は例えば1~50質量%である。酸処理温度は例えば70~150℃、酸処理時間は例えば0.1~24時間である。
また、酸処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。金属性不純物が溶出した酸を分離・除去する方法としては、例えばデカンテーションにより行うことが好ましい。また、デカンテーションの際には、固形分(NDを含む)の水洗を行うことが好ましく、特に、沈殿液のpHが例えば2~3に至るまで、水洗を反復して行うことが好ましい。
(精製工程:酸化処理工程)
酸化処理工程は、酸化剤を用いてND粗生成物からグラファイトを除去する工程である。爆轟法で得られるND粗生成物にはグラファイト(黒鉛)が含まれるが、このグラファイトは、使用爆薬が部分的に不完全燃焼を起こして遊離した炭素のうちND結晶を形成しなかった炭素に由来する。ND粗生成物に、水溶媒中で所定の酸化剤を作用させることにより、ND粗生成物からグラファイトを除去することができる。
この酸化処理に用いられる酸化剤としては、例えば、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸、過マンガン酸、過塩素酸、硝酸、及びこれらの混合物や、これらから選択される少なくとも1種の酸と他の酸(例えば硫酸等)との混酸、及びこれらの塩が挙げられる。本発明においては、なかでも、混酸(特に、硫酸と硝酸との混酸)を使用することが、環境に優しく、且つグラファイトを酸化・除去する作用に優れる点で好ましい。
前記混酸における硫酸と硝酸との混合割合(前者/後者;質量比)は、例えば60/40~95/5であることが、常圧付近の圧力(例えば、0.5~2atm)の下でも、例えば130℃以上(特に好ましくは150℃以上。尚、上限は、例えば200℃)の温度で、効率よくグラファイトを酸化して除去することができる点で好ましい。下限は、好ましくは65/35、特に好ましくは70/30である。また、上限は、好ましくは90/10、特に好ましくは85/15、最も好ましくは80/20である。
前記混酸における硝酸の割合が上記範囲を上回ると、高沸点を有する硫酸の含有量が少なくなるため、常圧付近の圧力下では、反応温度が例えば120℃以下となり、グラファイトの除去効率が低下する傾向がある。一方、混酸における硝酸の割合が上記範囲を下回ると、グラファイトの酸化に大きく貢献するのは硝酸であるため、グラファイトの除去効率が低下する傾向がある。
酸化剤(特に、前記混酸)の使用量は、ND粗生成物1質量部に対して、例えば10~50質量部、好ましくは15~40質量部、特に好ましくは20~40質量部である。また、前記混酸中の硫酸の使用量は、ND粗生成物1質量部に対して、例えば5~48質量部、好ましくは10~35質量部、特に好ましくは15~30質量部であり、前記混酸中の硝酸の使用量は、ND粗生成物1質量部に対して、例えば2~20質量部、好ましくは4~10質量部、特に好ましくは5~8質量部である。
また、酸化剤として前記混酸を使用する場合、混酸と共に触媒を使用しても良い。触媒を使用することにより、グラファイトの除去効率を一層向上することができる。前記触媒としては、例えば、炭酸銅(II)等を挙げることができる。触媒の使用量は、ND粗生成物100質量部に対して例えば0.01~10質量部である。
酸化処理温度は例えば100~200℃である。酸化処理時間は例えば1~24時間である。酸化処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。
このような酸化処理の後、NDをアルカリ溶液で処理してもよい。当該アルカリ処理により、ND表面の酸性官能基(例えば、カルボキシル基)を塩(例えば、カルボン酸塩)に変換することが可能である。使用されるアルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液が挙げられる。当該アルカリ処理において、アルカリ溶液濃度は、例えば1~50質量%であり、処理温度は例えば70~150℃であり、処理時間は例えば0.1~24時間である。また、このようなアルカリ処理の後、NDを酸溶液で処理に付してもよい。当該酸処理に付すことにより、ND表面の酸性官能基の塩を再び遊離の酸性官能基に戻すことが可能である。使用される酸溶液としては、塩酸等が挙げられる。当該酸処理は、室温で行ってもよく、加熱下で行ってもよい。酸化処理後のアルカリ処理や、その後の酸処理を経たNDについては、例えばデカンテーションまたは遠心沈降法により、固形分(ND凝着体を含む)の水洗を行うことが好ましい。
(酸素酸化工程)
本方法では、次に、酸素酸化工程を設けてもよい。酸素酸化工程を設けることによりNDの分散性を向上することができる。酸素酸化工程は、精製工程を経て得られたNDの表面を酸化して酸素含有基を形成する工程である。酸素酸化は、酸素雰囲気下、又は窒素で希釈された酸素雰囲気下で加熱処理(例えば、300~400℃の温度で1~5時間加熱する処理)を行うことが好ましい。
酸素酸化工程を経て、表面官能基としてカルボキシル基、酸無水物などのカルボン酸誘導体を多く有するNDであって、pH8~10の水分散液中におけるゼータ電位(25℃)がネガティブ(例えば、-40mV~-35mV)であり、分散性が向上したNDが得られる。
(水素化工程)
本方法では、酸素酸化工程に代えて水素化工程を設けてもよい。水素化工程は、精製工程を経て得られたNDの表面を水素化して酸素含有基を還元する工程である。水素化は、水素雰囲気下、又は窒素で希釈された水素雰囲気下で加熱処理(例えば、500~600℃の温度で1~5時間加熱する処理)を行うことが好ましい。
水素化工程を経て、表面に水素原子を多く有するNDであって、pH4~5の水分散液中におけるゼータ電位(25℃)がポジティブ(例えば、+35mV~+40mV)で分散性が向上したNDが得られる。
(解砕工程)
本方法では、次に、解砕工程を設けてもよい。解砕工程は、ND凝着体を含有する溶液を解砕若しくは分散化処理に付すことによってND凝着体(二次粒子)をND一次粒子に解砕若しくは分散化するための工程である。
当該解砕若しくは分散化処理は、例えば、高剪断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル等を使用して行うことができる。
(乾燥工程)
本方法では、次に、乾燥工程を設けることが好ましく、例えば、上記工程を経て得られたND含有溶液から噴霧乾燥装置やエバポレーター等を使用して液分を蒸発させた後、残留固形分をオーブン内で加熱することによって乾燥させることができ、粉末状のNDが得られる。加熱温度は、例えば40~150℃である。
[複合体]
本発明の複合体は、上述のアミノ基修飾NDのアミノ基に、アミノ基との反応性基を備えた化合物の1種又は2種以上が、(前記反応性基部分において)結合されてなる。
前記アミノ基との反応性基としては、例えば、カルボキシル基、カルボキサミド基(=アミノカルボニル基)、リン酸基、アルキル基、ビニル基等が挙げられる。
本発明の複合体は、例えば、NDとの複合体の成形を所望する化合物であって、前記アミノ基との反応性基を備えた、若しくは反応性基が付与された化合物(例えば、低分子医薬、抗体、サイトカイン、アミノ酸、タンパク質、DNA、RNA、糖類、繊維等)と、上述のアミノ基修飾NDとを、溶媒中において撹拌・混合することによって製造することができる。
例えば、上述のアミノ基修飾NDのアミノ基に繊維等が結合してなる複合体(=ナノコンポジット)は、強化繊維等として好適に使用することができる。また、上述のアミノ基修飾NDのアミノ基に、例えば、低分子医薬、抗体、サイトカイン、アミノ酸、タンパク質、DNA、RNA等が結合してなる複合体は、DDS製剤として好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
尚、ND水分散液に含まれるNDのゼータ電位は、スペクトリス社製の装置(商品名「ゼータサイザー ナノZS」)を使用して、レーザードップラー式電気泳動法によって測定した値である。測定に供されたND水分散液は、超純水を使用してND濃度を0.2質量%に希釈した後、超音波洗浄機を用いて超音波照射を行ったものである。
また、pHは、pH計(商品名「ラコムテスター PH110」、ニッコー・ハンセン(株)製)を使用して測定した。
調製例1
以下のような生成工程、酸処理工程、酸化処理工程、酸素酸化工程を経てND粉末(1)を得た。
(生成工程)
まず、成形された爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器の内部に設置して容器を密閉した。容器は鉄製で、容器の容積は15m3であった。爆薬としては、トリニトロトルエン(TNT)とヘキソーゲン(RDX)との混合物0.50kgを使用した。当該爆薬におけるTNTとRDXの質量比(TNT/RDX)は、50/50であった。次に、電気雷管を起爆させ、容器内で爆薬を爆轟させた。次に、室温での24時間の放置により、容器およびその内部を降温させた。この放冷の後、容器の内壁に付着しているND粗生成物(ND粒子の凝着体と煤を含む)をヘラで掻き取る作業を行い、ND粗生成物を回収した。
(酸処理工程)
得られたND粗生成物200gに6Lの10質量%塩酸を加えてスラリーを得、得られたスラリーに対し、常圧条件での還流下で1時間の加熱処理を行った。加熱処理温度は85~100℃であった。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ND凝着体と煤を含む)の水洗を行った。沈殿液のpHが低pH側から2に至るまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行った。
(酸化処理工程)
酸処理後のデカンテーションを経て得た沈殿液(ND凝着体を含む)に、6Lの98質量%硫酸水溶液と1Lの69質量%硝酸水溶液とを加えてスラリーとした後、このスラリーに対し、常圧条件での還流下で48時間の加熱処理を行った。この酸化処理における加熱温度は140~160℃であった。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ND凝着体を含む)の水洗を行った。水洗当初の上澄み液は着色しているところ、上澄み液が目視で透明になるまで反復して水洗を行った。
次に、酸化処理後のデカンテーションを経て得た沈殿液(ND凝着体を含む)に対して1Lの10質量%水酸化ナトリウム水溶液と1Lの30質量%過酸化水素水溶液とを加えてスラリーとした後、このスラリーに対し、常圧条件での還流下で1時間の加熱処理を行った。この処理における加熱温度は50~105℃であった。次に、冷却後、デカンテーションによって上澄みを除いた。そして、残留画分についてエバポレーターを使用した乾燥処理に付してND粉体を得た。
(酸素酸化工程)
得られたND粉末4.5gをガス雰囲気炉(商品名「ガス雰囲気チューブ炉 KTF045N1」、光洋サーモシステム(株)製)の炉心管内に静置し、炉心管に窒素ガスを流速1L/分で30分間通流させ続けた後、通流ガスを窒素から酸素と窒素との混合ガス(酸素濃度:4体積%)へと切り替えて当該混合ガスを流速1L/分で炉心管に通流させ続けた。混合ガスへの切り替えの後、炉内を加熱設定温度350℃まで昇温させた。昇温速度については、加熱設定温度より20℃低い330℃までは10℃/分とし、その後、330℃から加熱設定温度350℃までは1℃/分とした。そして、炉内の温度条件を350℃に維持しつつ、3時間、ND粉末に酸素酸化処理を行ってND粉末(1)を得た。得られたND粉末(1)の、pH10の水分散液中におけるゼータ電位(25℃)はネガティブであった。また、ND粉末(1)のアミノ基結合量を、後述のアミノ基修飾NDのアミノ基結合量の測定と同様の方法で測定したところ、3.9μmol/gであった。
調製例2
酸素酸化工程に代えて、下記水素化工程を設けた以外は調製例1と同様にして、ND粉末(2)を得た。
(水素化工程)
得られたND粉末4.5gをガス雰囲気炉(商品名「ガス雰囲気チューブ炉 KTF045N1」、光洋サーモシステム(株)製)の炉心管内に静置し、炉心管に窒素ガスを流速1L/分で30分間通流させ続けた後、通流ガスを窒素から水素と窒素との混合ガスへと切り替えて当該混合ガス(水素濃度:2体積%)を流速1L/分で炉心管に通流させ続けた。混合ガスへの切り替えの後、炉内を加熱設定温度600℃まで昇温させた。昇温速度は10℃/分とした。そして、炉内の温度条件を600℃に維持しつつ、ND粉末に5時間水素化処理を行ってND粉末(2)を得た。得られたND粉末(2)の、pH5の水分散液中におけるゼータ電位(25℃)はポジティブであった。
実施例1
(ヒドロホウ素化反応)
調製例1で得られたND粉末(1)(ゼータ・ネガティブ)(0.5g)をTHF(20mL)に懸濁し、室温でボラン-THF錯体のTHF溶液(1M、9mL)を滴下し、次いで17時間加熱還流を行った。室温まで放冷後、2M塩酸約5mLを加えて過剰な試薬を分解した。反応液を遠心沈降し、溶媒を除去した。沈降層に水(30mL)を加えて、均一に混合した後に遠心沈降を行い上澄みを除去した(洗浄を行った)。同様の操作を上澄み液のpHが中性になるまで3回繰り返した。得られた沈降層を減圧乾燥し、灰色のND固体(1)を得た(収量:0.4g)。
得られたND固体(1)の一部(約50mg)を磁性るつぼに入れ、電気炉にて450℃で1時間、550℃で1時間、及び650℃で1時間の乾式分解を行った。るつぼを取り出した後、濃硫酸0.5mLを加えて溶解し、少量の超純水を加えて加熱還流させた後、20mLにメスアップした。この液を試料としてICP-AES分析に供した。
また、空のるつぼで同様の操作に行ったものを空試験値とし、この値を測定結果より差し引き試料中の金属濃度を算出した。検量線用標準液は関東化学原子吸光用標準液B1000を試料と同濃度の硫酸水溶液にて適宜希釈して用いた。使用した分析器機はアジレント・テクノロジーク製、Agilent5110である。
上記操作によりND固体(1)のホウ素含量を分析したところ、1100ppmであった。
また、赤外吸収スペクトル(真空加熱チャンバー内で減圧下150℃に加熱して測定)において、2500cm-1にB-H結合由来と考えられる新たなピークが確認された。
以上より、ND固体(1)は、その表面にホウ素置換基を有することが確認できた。
また、ND固体(1)のアミノ基結合量を、後述のアミノ基修飾NDのアミノ基結合量の測定と同様の方法で測定したところ、12.3μmol/gであった。
(アミノ化反応)
得られたND固体(1)200mgをモノグライム20mLに懸濁し、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸(572mg)を加え、85℃に加熱して7時間還流した。室温まで放冷、静置後にデカンテーションにより溶媒を除去した。沈降層に20%塩酸10mLとモノグライム10mLを加え、均一に混合した後に遠心沈降により上澄みを除去した。沈降層に水20mLを加え、均一に混合した後に遠心沈降により上澄みを除去した(水洗浄)。その後、沈降層に10%水酸化ナトリウム水溶液3mL(合計で20mLとする)と水を加え、均一に混合した後に遠心沈降を行った。その後、沈降層に水洗浄を行い、希塩酸(20%塩酸1mL+水)洗浄を行った後、減圧乾燥して灰色のアミノ基修飾NDを得た(収量:166mg)。得られたアミノ基修飾NDのアミノ基結合量を以下の方法で測定したところ、26.8μmol/gであった。
<アミノ基修飾NDのアミノ基結合量測定方法>
アミノ基修飾ND50mgをアセトニトリル10mLに懸濁し、N-t-ブトキシカルボニル-L-アラニンヒドロキシコハク酸イミドエステル(Boc-L-Ala-OSu、60mg)、トリエチルアミン(50μL)を加えて、室温で約20時間反応を行った。反応混合物の遠心沈降を行い、上澄みを除去した後に、沈降層にアセトニトリル(20mL)を加え、均一に混合した後に遠心沈降を行い上澄みを除去した(洗浄を行った)。沈降層は更に炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、次いで水で洗浄した。得られた沈降層を減圧乾燥して、灰色のND固体を得た(収量:42mg)。
得られたND固体(3~5mg)を試験管に秤量し、トリフルオロ酢酸(100μL)を加え、超音波照射を行い均一な懸濁液とした。60℃で1分間加熱した後に、窒素ガスを吹き付けることでトリフルオロ酢酸を除去した。残渣を水(200μL)で懸濁し、ここにフェノールのエタノール溶液(フェノール20gをエタノール5mLで溶解、200μL)とシアン化カリウムのピリジン溶液(シアン化カリウム21.6mgを水30mLで溶解し、この溶液1mLをピリジン50mLで希釈したもの、200μL)を加え、120℃のオイルバス中で10分間加熱した。試験管を一旦オイルバスから外し、ニンヒドリンのエタノール溶液(ニンヒドリン2.5gをエタノール50mLに溶解させたもの、200μL)を添加し、再び120℃のオイルバスで10分間加熱した。試験管をオイルバスから外し、30分間放冷した後に60%エタノール/水を加えて、容量を3mLに調整した。希釈液は遠心沈降を行うことにより、沈降層を除去した。得られた上澄み液について、570nmの吸光度を測定した。アミノ基の定量はDL-アラニンを標準サンプルとして、比色定量により行った(カイザーテスト)。
実施例2
アミノ化反応において、溶媒をモノグライムからジグライムに変更し、反応温度を85℃から120℃に変更した以外は実施例1と同様にして、アミノ基修飾NDを得た。
実施例3
調製例1で得られたND粉末(1)(ゼータ・ネガティブ)に代えて、調製例2で得られたND粉末(2)(ゼータ・ポジティブ)を使用した以外は実施例1と同様にして、アミノ基修飾NDを得た。
比較例1
カルボデオン社製のND粉末(商品名「uDiamond(商標)Molto」、10.4g)を、石英製ボート上に載せ、管状炉内に設置した。
管状炉を真空ポンプで注意深く減圧し、次にアルゴンガスでパージした。アルゴンガスの流量を200mL/分に設定して、加熱を開始した。室温から800℃まで160分で昇温し、この温度で6時間保持した。その後、管状炉を室温まで自然放冷した。これにより、ND粉末の表面に存在する酸素を有する官能基を除去した。ND粉末を一旦取り出し秤量したところ、収量9.6gであった。
酸素を有する官能基が除去されたND粉末(7.2g)を、石英製ボート上に載せ、管状炉内に設置した。
管状炉を真空ポンプで注意深く減圧し、次にアルゴンガスでパージした。通気するガスをアンモニアガスに切り替え、流量を200mL/分に設定して加熱を開始した。室温から625℃まで125分で昇温し、この温度で6時間保持した。室温まで徐々に冷却した後、通気するガスをアルゴンガスに切り替え30分通気後に試料を取り出した。これにより、ND粉末の表面にアミノ基を導入してアミノ基修飾NDを得た(収量:7.1g)。
比較例2
調製例1で得られたND粉末(1)を、ヒドロホウ素化反応に付すことなく、アミノ化反応に付した以外は実施例1と同様にして、アミノ基修飾NDを得た。
上記結果を下記表にまとめて示す。
Figure 0007009275000004

Claims (1)

  1. 溶媒存在下、ナノダイヤモンドにホウ素化合物を反応させ、更に、下記式(1
    2R (1)
    (式中、Rは脱離性基を示す
    表されるアミノ化合物を反応させて、ナノダイヤモンドの表面の炭素原子にアミノ基(-NH 2 )が直接結合した構成を有し、前記アミノ基結合量が10μmol/g以上であるアミノ基修飾ナノダイヤモンドを得るアミノ基修飾ナノダイヤモンドの製造方法。
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