以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.車両の構成>
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る制御装置100が搭載される車両1の構成について説明する。なお、車両1は、本実施形態に係る制御装置100が搭載される車両の一例に過ぎず、制御装置100は、他の構成を有する車両にも搭載され得る。
図1は、本実施形態に係る制御装置100が搭載される車両1の概略構成の一例を示す模式図である。図2は、本実施形態に係る制御装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
車両1は、例えば、図1に示されるように、エンジン11と、第1モータジェネレータ21と、第1インバータ22と、第2モータジェネレータ23と、第2インバータ24と、バッテリ25と、動力分割機構51と、ギヤ列52と、車輪53とを備える。
エンジン11は、ガソリン等を燃料として動力を生成する内燃機関である。エンジン11は、本発明に係る駆動源の一例に相当する。エンジン11の出力軸であるクランクシャフトは動力分割機構51と接続され、エンジン11から出力される動力は動力分割機構51へ伝達される。
動力分割機構51は、エンジン11、第1モータジェネレータ21及びギヤ列52の入力側と接続され、これらの間で動力を分割して伝達する。例えば、動力分割機構51は、エンジン11から出力される動力を第1モータジェネレータ21及びギヤ列52へ分割して伝達する。動力分割機構51として、例えば、動力を伝達する回転要素であるサンギヤ、キャリア及びリングギヤを備える遊星歯車機構が用いられる。
ギヤ列52の出力側は車輪53の車軸と接続され、エンジン11から出力される動力はギヤ列52を介して車輪53へ伝達される。具体的には、ギヤ列52は変速機を含んでもよく、エンジン11から出力される動力はギヤ列52を介して変速されて車輪53へ伝達され得る。
第1モータジェネレータ21は、例えば、三相交流式のモータであり、第1インバータ22を介してバッテリ25と接続されている。第1モータジェネレータ21は、エンジン11から出力される動力を用いて発電可能である。第1モータジェネレータ21は、本発明に係る発電機の一例に相当する。第1モータジェネレータ21により発電される電力は、第1インバータ22を介してバッテリ25へ供給される。それにより、バッテリ25が第1モータジェネレータ21により発電される電力によって充電される。
なお、第1モータジェネレータ21は、バッテリ25の電力を用いて駆動(力行駆動)されて動力を出力してもよい。例えば、第1モータジェネレータ21から出力される動力は、エンジン11の始動に用いられ得る。また、例えば、第1モータジェネレータ21から出力される動力は、車輪53へ伝達されて車両1の駆動に用いられてもよい。
第2モータジェネレータ23は、例えば、三相交流式のモータであり、第2インバータ24を介してバッテリ25と接続されている。第2モータジェネレータ23は、バッテリ25の電力を用いて駆動(力行駆動)されて動力を出力する。第2モータジェネレータ23はギヤ列52の入力側と接続されており、第2モータジェネレータ23から出力される動力はギヤ列52を介して車輪53へ伝達される。このように、第2モータジェネレータ23は、エンジン11と同様に、本発明に係る駆動源の一例に相当する。
なお、第2モータジェネレータ23は、車両1の減速時に回生駆動されて車輪53の運動エネルギを用いて発電可能であってもよい。第2モータジェネレータ23により発電される電力は、第2インバータ24を介してバッテリ25へ供給される。それにより、バッテリ25が第2モータジェネレータ23により発電される電力によって充電される。
バッテリ25は、電力を充放電可能な電池である。バッテリ25として、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池又は鉛蓄電池が用いられるが、これら以外の電池が用いられてもよい。バッテリ25は、第1モータジェネレータ21及び第2モータジェネレータ23へ供給される電力を蓄電する。
第1インバータ22及び第2インバータ24は、双方向の電力変換を行う電力変換装置である。第1インバータ22及び第2インバータ24は、例えば、三相ブリッジ回路を含んで構成される。
第1インバータ22は、バッテリ25から供給される直流電力を交流電力に変換して第1モータジェネレータ21へ供給可能である。また、第1インバータ22は、第1モータジェネレータ21により発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ25側へ供給可能である。第1インバータ22にはスイッチング素子が設けられ、スイッチング素子の動作が制御されることにより、第1インバータ22による電力の変換が制御される。
第2インバータ24は、バッテリ25から供給される直流電力を交流電力に変換して第2モータジェネレータ23へ供給可能である。また、第2インバータ24は、第2モータジェネレータ23により発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ25側へ供給可能である。第2インバータ24にはスイッチング素子が設けられ、スイッチング素子の動作が制御されることにより、第2インバータ24による電力の変換が制御される。
上記のように、車両1は、駆動源としてエンジン11及び第2モータジェネレータ23を備える。それにより、車両1の走行モードを、エンジン11を停止させ第2モータジェネレータ23から出力される動力を用いて車両1を走行させるEV走行モードと、エンジン11及び第2モータジェネレータ23の双方から出力される動力を用いて車両1を走行させるHV走行モードとの間で切り替えることができる。
なお、車両1において、駆動源から出力される動力が伝達される車輪53は、前輪であってもよく、後輪であってもよい。また、ギヤ列52の出力側から出力される動力は、図示しないプロペラシャフトを介して前輪及び後輪の双方へ伝達されてもよい。
また、車両1は、例えば、図1に示されるように、ブレーキ装置31と、油圧供給ユニット32と、マスタシリンダ33と、ブレーキペダル34とをさらに備える。
ブレーキペダル34は、ドライバによるブレーキ操作を受け付ける。ブレーキ操作は、具体的には、ブレーキペダル34を踏み込む操作である。ブレーキペダル34は、図示しない倍力装置を介してマスタシリンダ33と接続される。
マスタシリンダ33は、ブレーキペダル34の操作量であるブレーキ操作量に応じて、油圧を発生させる。マスタシリンダ33は、各車輪53にそれぞれ設けられるブレーキ装置31と油圧供給ユニット32を介して接続されている。マスタシリンダ33によって発生した油圧は、各ブレーキ装置31へ油圧供給ユニット32を介して供給される。
ブレーキ装置31は、車両1に制動力を付与する。具体的には、各ブレーキ装置31により各車輪53に対してそれぞれ付与される制動力の合計に相当する制動力が車両1に付与される。
各ブレーキ装置31は、例えば、ブレーキパッド及びホイールシリンダを備えるブレーキキャリパを含んで構成される。ブレーキパッドは、例えば、車輪53と一体として回転するブレーキディスクの両側面にそれぞれ対向して一対設けられる。ホイールシリンダは、ブレーキキャリパ内に形成され、ホイールシリンダ内にはピストンが摺動可能に設けられる。ピストンの先端部はブレーキパッドと対向して設けられ、ピストンの摺動に伴ってブレーキパッドがブレーキディスクの各側面へ向けて移動するように構成される。マスタシリンダ33によって発生した油圧は、各ブレーキ装置31のホイールシリンダへ供給される。それにより、ブレーキキャリパ内のピストン及びブレーキパッドが移動することによって、ブレーキディスクの両側面が一対のブレーキパッドにより挟まれ、各車輪53に制動力が付与される。
油圧供給ユニット32は、各ブレーキ装置31へ供給される油圧を調整可能である。油圧供給ユニット32は、例えば、ポンプや制御弁等を含んで構成される。油圧供給ユニット32は各ブレーキ装置31へ供給される油圧を個別に調整可能であってもよく、ブレーキ系統が2系統であってもよい。油圧供給ユニット32の動作が制御されることにより、各車輪53に付与される制動力が制御される。
また、車両1は、例えば、図1に示されるように、表示装置41と、アクセルペダル61と、ブレーキセンサ91と、アクセル開度センサ92と、車速センサ93と、バッテリセンサ94と、制御装置100とをさらに備える。
表示装置41は、情報を視覚的に表示する装置であり、本発明に係る報知装置の一例に相当する。表示装置41として、例えば、ドライバが所望する目的地までのルートを案内するナビゲーション装置、ヘッドアップディスプレイ(Head Up Display:HUD)と称される技術を利用して種々の画像を表示し得る装置又はフロントガラスに重ねて設けられる透過型ディスプレイが用いられ得る。
アクセルペダル61は、ドライバによるアクセル操作を受け付ける。アクセル操作は、具体的には、アクセルペダル61を踏み込む操作である。
ブレーキセンサ91は、ドライバによるブレーキペダル34の操作量であるブレーキ操作量を検出し、検出結果を出力する。
アクセル開度センサ92は、ドライバによるアクセルペダル61の操作量であるアクセル開度を検出し、検出結果を出力する。
車速センサ93は、車両1の速度である車速を検出し、検出結果を出力する。
バッテリセンサ94は、バッテリ25に関する情報を検出し、検出結果を出力する。具体的には、バッテリセンサ94は、バッテリ25の残存容量(SOC:State Of Charge)をバッテリ25に関する情報として検出する。
制御装置100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)及びCPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
また、制御装置100は、車両1に搭載される各装置と通信を行う。制御装置100と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。例えば、制御装置100は、エンジン11、第1インバータ22、第2インバータ24、油圧供給ユニット32、表示装置41及び車両1に搭載される各センサと通信を行う。本実施形態に係る制御装置100が有する機能は複数の制御装置により分割されてもよく、その場合、当該複数の制御装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。例えば、制御装置100が有するエンジン11の制御に関する機能と、第1モータジェネレータ21及び第2モータジェネレータ23の制御に関する機能と、ブレーキ装置31の制御に関する機能と、表示装置41の制御に関する機能とは互いに異なる制御装置に分割されてもよい。
制御装置100は、例えば、図2に示されるように、取得部110と、制御部120とを備える。
取得部110は、制御装置100が行う処理において用いられる各種情報を取得する。また、取得部110は、取得した情報を制御部120へ出力する。例えば、取得部110は、車両1に搭載される各センサと通信することによって、各センサから出力される検出結果を取得する。
制御部120は、取得部110により取得された情報を用いて各処理を実行する。制御部120は、具体的には、エンジン11、第1モータジェネレータ21、第2モータジェネレータ23、ブレーキ装置31及び表示装置41の動作をそれぞれ制御する。
制御部120は、例えば、図2に示されるように、エンジン制御部121と、モータ制御部122と、ブレーキ制御部123と、表示制御部124とを備える。
エンジン制御部121は、エンジン11の動作を制御する。具体的には、エンジン制御部121は、エンジン11における各装置の動作を制御することによって、スロットル開度、点火時期及び燃料噴射量等を制御する。それにより、エンジン制御部121は、エンジン11の出力を制御し得る。
モータ制御部122は、第1モータジェネレータ21及び第2モータジェネレータ23の動作を制御する。具体的には、モータ制御部122は、第1インバータ22の動作を制御することによって、第1モータジェネレータ21とバッテリ25との間の電力の供給を制御する。それにより、モータ制御部122は、第1モータジェネレータ21による動力の出力及び発電を制御し得る。また、モータ制御部122は、第2インバータ24の動作を制御することによって、第2モータジェネレータ23とバッテリ25との間の電力の供給を制御する。それにより、モータ制御部122は、第2モータジェネレータ23による動力の出力及び発電を制御し得る。
エンジン制御部121及びモータ制御部122は、具体的には、加速要求や車速等の車両1の走行状態に応じて互いに協調してエンジン11及び第2モータジェネレータ23の出力を制御する。より具体的には、エンジン制御部121及びモータ制御部122は、エンジン11及び第2モータジェネレータ23から出力される動力が要求値と一致するようにエンジン11及び第2モータジェネレータ23の出力を制御する。なお、加速要求は、アクセル開度の検出結果に基づいて算出され得る。
制御部120は、上述したように、車両1の走行モードとして、エンジン11を停止させ第2モータジェネレータ23から出力される動力を用いて車両1を走行させるEV走行モードと、エンジン11及び第2モータジェネレータ23の双方から出力される動力を用いて車両1を走行させるHV走行モードとを切り替える。例えば、制御部120は、バッテリ25の残存容量が残存容量閾値より大きい場合に走行モードをEV走行モードに切り替え、バッテリ25の残存容量が残存容量閾値以下である場合に走行モードをHV走行モードに切り替える。残存容量閾値は、具体的には、バッテリ25の残存容量が低下し電力が枯渇することなくEV走行モードでの走行を継続できるか否かを適切に判定し得る値に設定される。
また、制御部120は、EV走行モードにおいて、アクセルペダル61が比較的大きく踏み込まれている場合、エンジン11による動力の出力を許可する。それにより、アクセル開度が比較的大きい場合において、車両1の駆動源から出力される動力を要求値と一致させ得る。
ブレーキ制御部123は、ブレーキ装置31の動作を制御する。具体的には、ブレーキ制御部123は、油圧供給ユニット32の動作を制御することによって、各車輪53に対してそれぞれ付与される制動力を制御する。それにより、ブレーキ制御部123は、ブレーキ装置31により車両1に付与される制動力を制御し得る。
表示制御部124は、表示装置41の動作を制御する。具体的には、表示制御部124は、表示装置41による各種情報の表示を制御する。
<2.制御装置の動作>
続いて、図3~図6を参照して、本実施形態に係る制御装置100の動作について説明する。
図3は、本実施形態に係る制御装置100が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。図3に示される制御フローは、例えば、常時繰り返し実行される。
図3に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS501において、制御部120は、車両1が停車中であるか否かを判定する。車両1が停車中であると判定された場合(ステップS501/YES)、ステップS503へ進む。一方、車両1が停車中でない(換言すると、車両1が走行中である)と判定された場合(ステップS501/NO)、図3に示される制御フローは終了する。
例えば、制御部120は、車両1の車速に基づいて車両1が停車中であるか否かを判定し得る。
ステップS503において、制御部120は、車両1の状態がストール状態となっているか否かを判定する。ここで、ストール状態は、ドライバによりアクセル操作及びブレーキ操作が同時に行われることによってブレーキ装置31により車両1が制動されつつ車両1の駆動源により動力が出力されている状態を意味する。車両1の状態がストール状態となっていると判定された場合(ステップS503/YES)、ステップS505へ進む。一方、車両1の状態がストール状態となっていないと判定された場合(ステップS503/NO)、図3に示される制御フローは終了する。
車両1では、ストール状態において、例えば、少なくともエンジン11により動力が出力される。なお、ストール状態において、エンジン11に加えて第2モータジェネレータ23により動力が出力されてもよく、第2モータジェネレータ23による動力の出力は制限されてもよい。
制御部120は、停車時において、例えば、ブレーキ操作量が第1基準操作量以上であり、かつ、アクセル開度が第1基準開度以上である場合に、車両1の状態がストール状態となっていると判定する。第1基準操作量は、具体的には、ブレーキペダル34が比較的大きく踏み込まれているか否かを判定し得る値であり、例えば、ブレーキ操作量の最大値又は最大値の近傍の値に設定される。第1基準開度は、具体的には、アクセルペダル61が比較的大きく踏み込まれているか否かを判定し得る値であり、例えば、EV走行モードにおいてエンジン11による動力の出力が許可され得る程度の値に設定される。
ここで、車両1には、上述したように、動力分割機構51を介してエンジン11と接続される第1モータジェネレータ21が設けられる。ゆえに、ストール状態において、エンジン11から出力される動力は第1モータジェネレータ21へ伝達される。よって、モータ制御部122は、ストール状態において、エンジン11から出力される動力を用いて第1モータジェネレータ21に発電させることによりバッテリ25を充電させ得る。なお、以下では、ストール状態におけるエンジン11から出力される動力を用いたこのようなバッテリ25の充電をストール充電とも称する。車両1の停車時には、ストール発進を行う目的でドライバにより車両1の状態がストール状態にされる場合の他に、ストール充電を行う目的でドライバにより車両1の状態がストール状態にされる場合がある。
ステップS505において、表示制御部124は、アクセル操作を継続しつつブレーキ操作量の変化時間が基準時間以上となるようにブレーキ操作を解除することによってストール発進を行うことができる旨を表示装置41に表示させる。
後述されるように、ストール状態からアクセル操作が継続されつつブレーキ操作が解除されたときに、ブレーキ操作の解除においてブレーキ操作量の変化が完了するまでの時間に対応する変化時間が基準時間より短い場合、車両1を停車した状態に維持する停車制御が実行されるので、ストール発進は行われない。一方、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化時間が基準時間以上である場合、停車制御は実行されないので、ストール発進が行われる。ゆえに、ドライバは、ストール状態からアクセル操作を継続しつつブレーキ操作を解除する際に、ブレーキ操作量の変化時間が基準時間以上となるようにブレーキ操作を解除することによってストール発進を行うことができる。
基準時間は、具体的には、ブレーキ操作の解除がドライバの誤操作によるブレーキペダル34の踏み外しに起因するものであるか否かを判定し得る時間に適宜設定される。ゆえに、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化時間が基準時間より短い場合には、ブレーキ操作の解除がドライバの誤操作によるブレーキペダル34の踏み外しに起因するものでありドライバの意図に反するものであると判定することができる。一方、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化時間が基準時間以上である場合には、ブレーキ操作の解除がドライバの誤操作によるブレーキペダル34の踏み外しに起因しないものでありドライバの意図に沿うものであると判定することができる。
表示制御部124は、例えば、アクセル操作を継続しつつ基準時間以上かけてブレーキ操作量が変化するようにブレーキ操作を解除することによってストール発進を行うことができる旨を示す文字、図形又は記号のうちの少なくとも1つを表示装置41に表示させてもよい。また、表示制御部124は、例えば、文字、図形又は記号のうちの2以上の組合せにより上記の旨を示すものを表示装置41に表示させてもよい。
なお、車両1に表示装置41と異なる他の報知装置が設けられる場合、ステップS505において、制御部120は、上記の旨を当該他の報知装置に報知させてもよい。例えば、そのような他の報知装置として、音声を出力する装置が用いられ得る。
次に、ステップS507において、制御部120は、アクセル操作が継続されているか否かを判定する。アクセル操作が継続されていると判定された場合(ステップS507/YES)、ステップS509へ進む。一方、アクセル操作が継続されていないと判定された場合(ステップS507/NO)、図3に示される制御フローは終了する。
例えば、制御部120は、アクセル開度が第1基準開度以上である状態が維持されている場合に、アクセル操作が継続されていると判定する。
ステップS509において、制御部120は、ブレーキ操作が解除されたか否かを判定する。ブレーキ操作が解除されたと判定された場合(ステップS509/YES)、ステップS511へ進む。一方、ブレーキ操作が解除されていないと判定された場合(ステップS509/NO)、ステップS507の判定処理へ戻る。
例えば、制御部120は、ブレーキ操作量が第2基準操作量以下の値まで低下した場合に、ブレーキ操作が解除されたと判定する。第2基準操作量は、具体的には、ブレーキペダル34がドライバにより踏み込まれていない状態となったか否かを判定し得る値であり、例えば、0又は0の近傍の値に設定される。
ステップS511において、制御部120は、ブレーキ操作の解除においてブレーキ操作量の変化が完了するまでの時間に対応する変化時間が基準時間より短いか否かを判定する。ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化時間が基準時間より短いと判定された場合(ステップS511/YES)、ステップS513へ進む。一方、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化時間が基準時間以上であると判定された場合(ステップS511/NO)、図3に示される制御フローは終了する。
ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化時間は、具体的には、ブレーキ操作量の低下が開始した時点からブレーキペダル34がドライバにより踏み込まれていない状態となる時点までの間の時間に対応する時間である。例えば、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化時間として、ブレーキ操作量が第1基準操作量を下回った時点から第2基準操作量に到達する時点までの間の時間が用いられる。
例えば、制御部120は、ブレーキ操作量が第1基準操作量を下回った時点から第2基準操作量に到達する時点までの間の時間を変化時間として計測し、計測された変化時間と基準時間とを比較することにより、変化時間が基準時間より短いか否かを判定し得る。
また、例えば、制御部120は、ブレーキ操作量が第1基準操作量を下回った時点から基準時間が経過した時点におけるブレーキ操作量と第2基準操作量とを比較し、当該ブレーキ操作量が第2基準操作量より小さい場合に変化時間が基準時間より短いと判定してもよい。
ステップS513において、制御部120は、停車制御を開始する。停車制御は、車両1を停車した状態に維持する制御である。
例えば、制御部120は、停車制御において、車両1の駆動源による動力の出力を制限する。この場合、具体的には、エンジン制御部121は、アクセル開度によらずにエンジン11による動力の出力を禁止する。また、ストール状態においてエンジン11に加えて第2モータジェネレータ23により動力が出力される場合には、エンジン11による動力の出力が禁止されることに加えて、モータ制御部122は、アクセル開度によらずに第2モータジェネレータ23による動力の出力を禁止する。
また、例えば、制御部120は、停車制御において、車両1に対する制動力をブレーキ装置31により生じさせる。この場合、具体的には、ブレーキ制御部123は、ブレーキ操作量によらずに車輪53に対する制動力をブレーキ装置31により生じさせる。
なお、制御部120は、停車制御において、車両1の駆動源による動力の出力を制限しつつ、車両1に対する制動力をブレーキ装置31により生じさせてもよい。
次に、ステップS515において、表示制御部124は、アクセル操作の解除を車両1のドライバへ促す旨を表示装置41に表示させる。
表示制御部124は、例えば、上記の旨を示す文字、図形又は記号のうちの少なくとも1つを表示装置41に表示させてもよい。また、表示制御部124は、例えば、文字、図形又は記号のうちの2以上の組合せにより上記の旨を示すものを表示装置41に表示させてもよい。
なお、車両1に表示装置41と異なる他の報知装置が設けられる場合、ステップS515において、制御部120は、ステップS505と同様に、上記の旨を当該他の報知装置に報知させてもよい。
次に、ステップS517において、制御部120は、アクセル操作が解除されたか否かを判定する。アクセル操作が解除されたと判定された場合(ステップS517/YES)、ステップS519へ進む。一方、アクセル操作が解除されていないと判定された場合(ステップS517/NO)、ステップS517の判定処理が繰り返される。
例えば、制御部120は、アクセル開度が第2基準開度以下の値まで低下した場合に、アクセル操作が解除されたと判定する。第2基準開度は、具体的には、アクセルペダル61がドライバにより踏み込まれていない状態となったか否かを判定し得る値であり、例えば、0又は0の近傍の値に設定される。
ステップS519において、制御部120は、停車制御を終了する。
次に、図3に示される制御フローは終了する。
上記の制御フローの例では、制御部120は、ストール状態からアクセル操作が継続されつつブレーキ操作が解除されたときに、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化時間が基準時間より短い場合に停車制御を実行する。このように、制御部120は、ストール状態からアクセル操作が継続されつつブレーキ操作が解除されたときに、停車制御をブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の推移に応じて実行する。
なお、停車制御はブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の推移に応じて実行されればよく、制御部120は、図3を参照して説明した例と異なる条件をトリガとして停車制御を実行してもよい。例えば、制御部120は、ストール状態からアクセル操作が継続されつつブレーキ操作が解除されたときに、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化速度(つまり、ブレーキ操作量の時間変化率)が基準速度より大きい場合に停車制御を実行してもよい。
基準速度は、具体的には、ブレーキ操作の解除がドライバの誤操作によるブレーキペダル34の踏み外しに起因するものであるか否かを判定し得る速度に適宜設定される。ゆえに、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化速度が基準速度より大きい場合には、ブレーキ操作の解除がドライバの誤操作によるブレーキペダル34の踏み外しに起因するものでありドライバの意図に反するものであると判定することができる。一方、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化速度が基準速度以下である場合には、ブレーキ操作の解除がドライバの誤操作によるブレーキペダル34の踏み外しに起因しないものでありドライバの意図に沿うものであると判定することができる。
ここで、図4を参照して、参考例に係る制御装置による制御がストール状態において行われる場合についての各状態量の推移について説明する。
参考例に係る車両は、上述した車両1と異なり、本実施形態に係る制御装置100に替えて参考例に係る制御装置を備える。参考例に係る制御装置は、本実施形態に係る制御装置100と異なり、ストール状態からアクセル操作が継続されつつブレーキ操作が解除されたときに、停車制御を実行しない。
図4は、参考例に係る制御装置による制御がストール状態において行われる場合についての各状態量の推移の一例を示す説明図である。
例えば、図4に示されるように、参考例に係る制御装置を搭載する車両が、時刻T10において、ブレーキ操作が行われた状態で停車している。具体的には、ブレーキペダルが比較的大きく踏み込まれており、ブレーキ操作量は第1基準操作量より大きくなっている。その後、アクセルペダルが比較的大きく踏み込まれることに伴い、時刻T11において、アクセル開度が第1基準開度を越えて上昇する。よって、ドライバによりアクセル操作及びブレーキ操作が同時に行われることにより、時刻T11以後において、車両の状態はストール状態となる。その後、ドライバの誤操作によるブレーキペダルの踏み外しに起因して、時刻T12において、ブレーキ操作量が第1基準操作量を下回り下降する。そして、時刻T13において、ブレーキ操作量が第2基準操作量を下回り、ブレーキペダルがドライバにより踏み込まれていない状態となる。また、時刻T12以後においてもアクセル操作は継続されている。
上述したように、参考例に係る制御装置は、ストール状態からアクセル操作が継続されつつブレーキ操作が解除されたときに、停車制御を実行しない。ゆえに、参考例では、ストール状態からアクセル操作が継続されつつブレーキ操作が解除されたときに、停車制御の非実行時である通常時における制御がブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の推移によらずに継続される。よって、参考例では、ドライバの誤操作によるブレーキペダルの踏み外しがストール状態において生じた場合に、ドライバの意図に反してストール発進が行われる。それにより、例えば、図4に示されるように、時刻T13以後において、ドライバの意図に反して車両が急加速し、車速が上昇する。
続いて、図5及び図6を参照して、本実施形態に係る制御装置100による制御がストール状態において行われる場合についての各状態量の推移について説明する。
図5は、本実施形態に係る制御装置100による制御がストール状態において行われる場合についての各状態量の推移の第1の例を示す説明図である。
例えば、図5に示されるように、本実施形態に係る制御装置100を搭載する車両1が、時刻T10において、ブレーキ操作が行われた状態で停車している。その後、図4に示される例と同様にブレーキ操作量及びアクセル開度が推移し、時刻T11以後において、車両1の状態はストール状態となる。その後、ドライバの誤操作によるブレーキペダル34の踏み外しに起因して、時刻T12において、ブレーキ操作量が第1基準操作量を下回り下降する。そして、時刻T13において、ブレーキ操作量が第2基準操作量を下回り、ブレーキペダル34がドライバにより踏み込まれていない状態となる。また、時刻T12以後においてもアクセル操作は継続されている。
上述したように、本実施形態に係る制御装置100は、ストール状態からアクセル操作が継続されつつブレーキ操作が解除されたときに、停車制御をブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の推移に応じて実行する。具体的には、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化時間が基準時間より短い場合に、停車制御が実行される。ここで、図5に示される例では、ブレーキ操作の解除はドライバの誤操作によるブレーキペダル34の踏み外しに起因するものであるので、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化時間(具体的には、時刻T12から時刻T13までの間の時間)は基準時間より短い。ゆえに、時刻T13において、停車制御が開始されて、時刻T13以後において、車両1は停車した状態に維持される。よって、図5に示されるように、時刻T13以後において、ストール発進が行われず、車速は0に維持される。
その後、アクセル操作が解除されることに伴い、時刻T14において、アクセル開度が第2基準開度を下回り、アクセルペダル61がドライバにより踏み込まれていない状態となる。ゆえに、時刻T14において、停車制御が終了する。
図6は、本実施形態に係る制御装置100による制御がストール状態において行われる場合についての各状態量の推移の第2の例を示す説明図である。第2の例では、図5に示される第1の例と比較して、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の推移が異なる。
具体的には、第2の例では、ストール発進を行うことを意図するブレーキペダル34の操作に伴い、時刻T12において、ブレーキ操作量が第1基準操作量を下回り下降する。時刻T12以後において、ブレーキ操作量の変化時間が基準時間以上となるようにドライバによりブレーキ操作が解除され、時刻T23において、ブレーキ操作量が第2基準操作量を下回り、ブレーキペダル34がドライバにより踏み込まれていない状態となる。
このように、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化時間(具体的には、時刻T12から時刻T23までの間の時間)が基準時間以上である場合、上述したように、停車制御は実行されない。ゆえに、時刻T23において、停車制御は開始されず、時刻T23以後において、ドライバの意図に沿ってストール発進が行われる。よって、図6に示されるように、時刻T23以後において、ドライバの意図に沿って車両が急加速し、車速が上昇する。
<3.制御装置の効果>
続いて、本実施形態に係る制御装置100の効果について説明する。
本実施形態に係る制御装置100では、車両1の停車時において、ドライバによりアクセル操作及びブレーキ操作が同時に行われることによってブレーキ装置31により車両1が制動されつつ車両1の駆動源により動力が出力されているストール状態からアクセル操作が継続されつつブレーキ操作が解除されたときに、車両1を停車した状態に維持する停車制御がブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の推移に応じて実行される。ここで、ドライバの誤操作によるブレーキペダル34の踏み外しが生じた場合と、ストール発進を行うことを意図するブレーキペダル34の操作に伴いブレーキ操作が解除される場合とで、ブレーキ操作量の推移が異なる。ゆえに、ストール状態からアクセル操作が継続されつつブレーキ操作が解除されたときにブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の推移に応じて停車制御を実行することによって、ドライバの誤操作によるブレーキペダル34の踏み外しがストール状態において生じた場合に、ドライバの意図に反してストール発進が行われることを抑制することができる。さらに、ドライバがストール発進を行うことを意図する場合に、ドライバの意図に沿ってストール発進が行われることを実現することができる。よって、本実施形態によれば、ドライバの意図に反してストール発進が行われることを適切に抑制することができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、ストール状態からアクセル操作が継続されつつブレーキ操作が解除されたときに、ブレーキ操作の解除においてブレーキ操作量の変化が完了するまでの時間に対応する変化時間が基準時間より短いと判定される場合に停車制御が実行され得る。それにより、ドライバの誤操作によるブレーキペダル34の踏み外しがストール状態において生じた場合に、ドライバの意図に反してストール発進が行われることを効果的に抑制することができる。また、この場合、ブレーキ操作が解除され終わるまで(例えば、足がブレーキペダル34から離れるまで)の間におけるブレーキ操作量の推移に応じて停車制御が実行されるので、ブレーキ操作の解除がブレーキペダル34の踏み外しに起因するものであるか否かを適切に判定しつつ停車制御を実行することができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、ストール状態において、アクセル操作を継続しつつブレーキ操作量の変化時間が基準時間以上となるようにブレーキ操作を解除することによってストール発進を行うことができる旨が報知装置としての表示装置41により報知され得る。それにより、ドライバがストール発進を行うことを意図する場合において、ドライバの意図に沿ってストール発進が行われることを効果的に実現することができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、ストール状態からアクセル操作が継続されつつブレーキ操作が解除されたときに、ブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の変化速度が基準速度より大きいと判定される場合に停車制御が実行され得る。それにより、ドライバの誤操作によるブレーキペダル34の踏み外しがストール状態において生じた場合に、ドライバの意図に反してストール発進が行われることを効果的に抑制することができる。また、この場合、ブレーキ操作が解除され終わるよりも前に停車制御を実行することができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、停車制御において、車両1の駆動源による動力の出力が制限され得る。それにより、停車制御を実行することにより車両1を停車した状態に維持することを効果的に実現することができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、停車制御において、車両1に対する制動力がブレーキ装置31により生じ得る。それにより、停車制御を実行することにより車両1を停車した状態に維持することを効果的に実現することができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、停車制御の開始後に、アクセル操作が解除された場合に停車制御が終了し得る。それにより、停車制御の終了に際してドライバの意図に反した車両1の挙動が生じることを抑制することができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、停車制御の開始後に、アクセル操作の解除を車両1のドライバへ促す旨が報知装置としての表示装置41により報知され得る。それにより、車両1を発進させるために事前に停車制御を終了させることを効果的に実現することができる。
また、本実施形態に係る制御装置100では、ストール状態において、エンジン11から出力される動力を用いて発電機としての第1モータジェネレータ21により発電が行われることによりバッテリ25が充電され得る。それにより、ストール充電を行う目的でドライバにより車両1の状態がストール状態となっている場合において、ドライバの意図に反してストール発進が行われることを適切に抑制することができる。
<4.むすび>
以上説明したように、本実施形態に係る制御装置100は、車両1の停車時において、ドライバによりアクセル操作及びブレーキ操作が同時に行われることによってブレーキ装置31により車両1が制動されつつ車両1の駆動源により動力が出力されているストール状態からアクセル操作が継続されつつブレーキ操作が解除されたときに、車両1を停車した状態に維持する停車制御をブレーキ操作の解除におけるブレーキ操作量の推移に応じて実行する制御部120を備える。それにより、ドライバの誤操作によるブレーキペダル34の踏み外しがストール状態において生じた場合に、ドライバの意図に反してストール発進が行われることを抑制することができる。さらに、ドライバがストール発進を行うことを意図する場合に、ドライバの意図に沿ってストール発進が行われることを実現することができる。よって、本実施形態によれば、ドライバの意図に反してストール発進が行われることを適切に抑制することができる。
上記では、車両1において、駆動源としてエンジン11及び第2モータジェネレータ23が設けられる例を説明したが、制御装置100が搭載される車両に設けられる駆動源はこのような例に限定されない。例えば、制御装置100が搭載される車両において、駆動源としてエンジンのみが設けられてもよく、駆動源としてモータジェネレータのみが設けられてもよい。このような車両に制御装置100が搭載される場合においても、ストール発進を行う目的でドライバにより車両の状態がストール状態にされ得るので、上述した本実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。