JP7006627B2 - モータ制御装置及びモータ - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載されるモータの制御に関するものである。
従来、車両のモータ制御装置において、モータの駆動情報(印加電圧や回転速度など)に基づいてモータの推定温度(より詳しくはモータ巻線の推定温度)を演算し、その演算した推定温度に基づいてモータへの通電を制御することで、モータの焼損を防止する制御装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。この制御装置によれば、バイメタルやPTCなどの焼損保護素子を省略してモータの小型化しつつも、モータの焼損防止を図ることができる。
特開2007-53894号公報
ところで、車両には多くの電装品が搭載されているため、これらに電力を供給する車両バッテリに負担が掛かるという問題がある。そこで、電装品の省電力化を図ることが必要となってきている。そのため、例えばイグニッションオフ後などにおいて、車両バッテリから電装品のモータ及びモータ制御装置への通電を停止する、もしくは、モータ制御装置の所定の機能を制限する省電力モードに移行させることが望ましい。
しかしながら、上記のような焼損防止制御を行うモータ制御装置においては、車両バッテリからの通電が停止される(もしくは前記省電力モードとされる)と、その通電停止期間(もしくは省電力モード期間)は、モータの推定温度の演算が実行できない演算不可期間となる。そして、その演算不可期間が終了したとき、当該演算不可期間の前に記憶されたモータの推定温度を基に該推定温度の演算が開始されるため、演算不可期間の後に演算されるモータの推定温度に演算不可期間におけるモータの温度変化が反映されず、実際のモータの温度との間に乖離が生じるおそれがある。その結果、焼損防止機能を適切に機能させることが困難となってしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、省電力化を図りつつもモータの温度推定の精度を向上させることを可能にしたモータ制御装置及びモータを提供することにある。
上記課題を解決するモータ制御装置(11)は、車両に搭載されるモータ(10)を制御する制御ICであり車両バッテリ(BT)の電圧変動に応じて変動する電圧が印加されるアナログ回路(13)を有する制御IC(15)と、前記制御ICの温度を検出する温度センサ(14)とを備え、前記制御ICは、前記車両バッテリから前記制御ICへの通電時において、前記モータの駆動情報に基づく演算によって前記モータの温度を推定するモータ温度推定部(21)と、前記モータ温度推定部の演算が実行できない演算不可期間(ΔT)の前後における前記制御ICの温度差(ΔCT)と、当該演算不可期間前の時点での前記車両バッテリの電圧値(Va)とに基づいて、当該演算不可期間の長さを算出する経過時間算出部(23)とを備え、前記モータ温度推定部は、前記演算不可期間の終了後、前記経過時間算出部で算出された当該演算不可期間の長さに基づいて当該演算不可期間における前記モータの温度の変化量(ΔMT)を算出し、その変化量を前記モータの推定温度に反映するものであって、前記経過時間算出部は、前記車両のイグニッションがオフ状態とされたことに基づいて取得した前記車両バッテリの電圧値を、前記演算不可期間前の時点での前記車両バッテリの電圧値とする
上記態様によれば、モータ温度推定部の演算不可期間におけるモータの温度の変化量が算出できるため、演算不可期間後においてモータの推定温度と実際のモータの温度との間の乖離を小さく抑えることが可能となる。従って、車両バッテリからモータ制御装置への通電を停止する(もしくはモータ温度の推定処理を含む所定の機能を制限する省電力モードとする)ことで省電力化を図りつつも、モータの温度推定の精度を向上させることが可能となる。また、アナログ回路を有する制御ICでは、印加電圧の変動に応じた温度変動が顕著である。従って、経過時間算出部が車両バッテリの電圧値を考慮した演算不可期間の算出を行うことで、より正確な演算不可期間の算出が可能となる。
上記課題を解決するモータ(10)は、上記モータ制御装置を一体に備える。
上記態様によれば、省電力化を図りつつもモータの温度推定の精度を向上させることを可能にした、制御装置一体のモータを提供できる。
実施形態のモータ制御装置を含むシステムの概略構成図。 同形態の制御ICの処理態様を説明するためのタイムチャート。 同形態の制御ICの処理態様を説明するための説明図。 同形態の制御ICの処理態様を説明するための説明図。 同形態の制御ICの処理を説明するためのフロー図。 変更例の制御ICの処理態様を説明するための説明図。 変更例の制御ICの処理態様を説明するための説明図。
以下、モータ制御装置及びモータの一実施形態について説明する。
図1に示すモータ10は、車両ドアDRのウインドガラスWGの自動開閉を行うために車両ドアDR内に取り付けられるパワーウインドモータである。モータ10を制御するモータ制御装置11(パワーウインドECU)は、モータ10に一体に備えられている。
モータ制御装置11は、マイコン12、アナログ回路13及び温度センサ14を有する制御IC15と、モータ10を駆動させるためのリレー16とを備えている。制御IC15は、車両に搭載された車両バッテリBTに対してダイオード17を介して電気的に接続されている。温度センサ14は、制御IC15の温度を検出し、その温度情報をマイコン12に出力する。
制御IC15は、必要な各種の車両情報を図示しないボディECU(上位ECU)から取得する。制御IC15がボディECUから取得する車両情報としては、例えば、車両に備えられる周知のイグニッションスイッチのオン/オフ信号(イグニッション信号IG)等が挙げられる。
アナログ回路13には、車両バッテリBTの電圧変動に応じて変動する電圧が印加される。アナログ回路13は、リレードライバ18及びレギュレータ19を備えている。
マイコン12は、車両ドアDRに設けられた開閉スイッチ(図示略)の操作に基づき、リレードライバ18を通じてリレー16を制御し、それにより、モータ10の回転駆動を制御する。モータ10の回転駆動は、ウインドレギュレータ(図示略)を介してウインドガラスWGに伝達され、それにより、ウインドガラスWGが上下方向に開閉作動される。
マイコン12は、モータ温度推定部21、焼損防止制御部22、及び経過時間算出部23を備える。
モータ温度推定部21は、モータ10に印加する印加電圧やモータ10の回転速度などのモータ駆動情報に基づいて、モータ10の温度(モータ温度MT)を算出する。つまり、モータ10の温度を検出するための特段の素子を用いることなく、マイコン12のモータ温度推定部21による演算によって、モータ10の温度の把握が可能となっている。モータ温度推定部21によるモータ温度MTの演算処理では、モータ10の通電駆動時には該モータ10の駆動情報(印加電圧や回転速度など)に基づいて温度カウンタを加算する。一方、モータ10の非通電時には温度カウンタを減算する。また、モータ温度推定部21は、後述するイグニッションオフ後の演算不可期間ΔTにおいては、モータ温度MTの演算処理を行うことができない仕様となっている。
焼損防止制御部22は、モータ温度推定部21で算出されるモータ温度MTが予め設定された所定値に達したとき、モータ10への通電を停止する。これにより、モータ10の焼損を防止する。
経過時間算出部23は、モータ温度推定部21の演算が実行できない演算不可期間ΔTの前後における制御IC15の温度差(差分値ΔCT)と、当該演算不可期間ΔTの前の時点での車両バッテリBTの電圧値(車両バッテリBT自体の電圧値、もしくは制御IC15に供給されるIC電源電圧の電圧値)とに基づいて、当該演算不可期間ΔTの長さを算出する。
図2に示すように、本実施形態の車両では、イグニッション状態がオンからオフとされた後の暫くの期間(例えばイグニッションオフから10~40秒の間)において、モータ10の駆動が可能な猶予期間Pが設定されている。猶予期間Pにおいては、制御IC15を含めたモータ制御装置11には車両バッテリBTから電力供給がなされる。猶予期間Pが終了すると、車両バッテリBTから制御IC15への通電は遮断され、制御IC15に供給されるIC電源電圧は、車両バッテリBTの電圧値に応じた所定電位Vbからグランド電位まで降下する。これにより、制御IC15の消費電力が抑えられるが、制御IC15への通電停止時には、上記のモータ温度推定部21によるモータ温度MTの算出ができない仕様となっている。
経過時間算出部23は、イグニッション信号IGがオフに切り替わったことに基づいて、猶予期間Pにおける所定の時点t1での制御IC15の温度情報を温度センサ14から取得し、その制御IC15の温度をオフ時IC温度CTaとして不揮発性メモリ(図示略)に記憶させる。また、経過時間算出部23は、イグニッション信号IGがオフに切り替わったことに基づいて、猶予期間Pにおける前記所定の時点t1での車両バッテリBTの電圧値(車両バッテリBT自体の電圧値、もしくはIC電源電圧の電圧値)をオフ時バッテリ電圧値Vaとして不揮発性メモリ(図示略)に記憶させる。
また、モータ温度推定部21は、イグニッション信号IGがオフに切り替わったことに基づいて、猶予期間Pにおける前記所定の時点t1でのモータ温度MT(すなわち、温度カウンタの値)をオフ時モータ温度MTaとして前記不揮発性メモリに記憶させる。なお、前記所定の時点t1は、オフ時IC温度CTa、オフ時バッテリ電圧値Va及びオフ時モータ温度MTaの不揮発性メモリへの書き込みが可能な範囲で、できる限り猶予期間Pの終了間際に設定されることが好ましい。
その後、イグニッションがオンされると、車両バッテリBTから制御IC15への通電が再開される。このとき、経過時間算出部23は、イグニッション信号IGのオン信号の入力に基づいて、その時点t2での制御IC15の温度情報を温度センサ14から取得し、その制御IC15の温度をオン復帰時IC温度CTbとして前記不揮発性メモリに記憶させる。
その後、経過時間算出部23は、前記不揮発性メモリから読み出したオフ時IC温度CTaとオン復帰時IC温度CTbとの差分値ΔCTを算出する。そして、経過時間算出部23は、算出した差分値ΔCTと、前記不揮発性メモリから読み出したオフ時バッテリ電圧値Vaとに基づいて演算不可期間ΔTを算出する。
このとき、経過時間算出部23は、まず、予め実験結果などに基づいて導き出された計算式やマップなどを参照して、差分値ΔCTから演算不可期間ΔTを算出する(図3参照)。その後、経過時間算出部23は、差分値ΔCTから算出した演算不可期間ΔTを、オフ時バッテリ電圧値Vaに基づいて補正する。
ここで、本実施形態の制御IC15は、車両バッテリBTの電圧変動に応じて変動する電圧が印加されるアナログ回路13を有しているため、印加電圧の変動に応じて制御IC15の温度が変動しやすい。すなわち、車両バッテリBTの電圧値が高いほど、制御IC15の作動に伴う消費電流が大きくなり、制御IC15の温度が高くなる。そして、制御IC15の温度が高いほど、時間当たりの温度低下量が大きくなる(図4参照)。このため、経過時間算出部23は、オフ時バッテリ電圧値Vaが基準電圧値に対して高い場合には、差分値ΔCTから算出した演算不可期間ΔTを短くするように補正し、オフ時バッテリ電圧値Vaが基準電圧値に対して低い場合には、差分値ΔCTから算出した演算不可期間ΔTを長くするように補正する。
次いで、モータ温度推定部21は、経過時間算出部23で算出された演算不可期間ΔT(オフ時バッテリ電圧値Vaに基づき補正された演算不可期間ΔT)に基づいて、当該演算不可期間ΔTにおけるモータ10の温度の変化量(モータ温度変化量ΔMT)を算出する。このとき、モータ温度推定部21は、予め実験結果などに基づいて導き出された計算式やマップなどを参照して、演算不可期間ΔTからモータ温度変化量ΔMTを算出する。なお、本実施形態では、モータ温度変化量ΔMTは、演算不可期間ΔTにおけるモータ10の温度の下降量として算出されるものである。
次いで、モータ温度推定部21は、前記不揮発性メモリから読み出したオフ時モータ温度MTa(温度カウンタ)にモータ温度変化量ΔMTを反映(減算)した後、モータ温度MTの算出(温度カウンタの加減算)を行う。
次に、制御IC15のマイコン12の制御フローとその作用を図5に従って説明する。
車両のイグニッションがオンされて車両バッテリBTから制御IC15への通電が開始されると、イグニッション信号IGのオン信号が制御IC15に入力される。このイグニッション信号IGのオン信号に基づいて、経過時間算出部23は、前記オン復帰時IC温度CTbを不揮発性メモリに記憶させる(ステップS1)。なお、このとき、オン復帰時IC温度CTbは、そのときの車両の雰囲気温度(上位ECUから得られる情報)を下限として設定されることが好ましい。つまり、経過時間算出部23は、温度センサ14から取得したオン復帰時IC温度CTbが雰囲気温度よりも低い場合、そのオン復帰時IC温度CTbの値が異常値であると判断し、その値を用いずに雰囲気温度の値をオン復帰時IC温度CTbとして設定することが好ましい。
その後、ステップS2において、経過時間算出部23は、不揮発性メモリから読み出したオフ時IC温度CTaとオン復帰時IC温度CTbとの差分値ΔCTが閾値X[℃]以上か否かを判定する。ここで、差分値ΔCTが閾値X以上の場合、ステップS3~S5を順次実行する。
ステップS3では、差分値ΔCTと不揮発性メモリから読み出したオフ時バッテリ電圧値Vaとに基づいて演算不可期間ΔTを算出する。
ステップS4では、ステップS3で算出した演算不可期間ΔTを基にモータ温度変化量ΔMTを算出する。
ステップS5では、不揮発性メモリから読み出したオフ時モータ温度MTa(温度カウンタ)から、ステップS4で算出したモータ温度変化量ΔMTを減算する。
その後、ステップS6において、モータ温度推定部21はモータ温度MTの算出処理を行う。同算出処理では、モータ10の通電駆動時には該モータ10の駆動情報(印加電圧や回転速度など)に基づいて温度カウンタを加算し、モータ10の非通電時には温度カウンタを減算する。
また、ステップS2において、オフ時IC温度CTaとオン復帰時IC温度CTbとの差分値ΔCTが閾値X未満の場合、ステップS3~S5を飛ばしてステップS6のモータ温度MTの算出処理に移行する。すなわち、イグニッションオフ期間の前後で制御IC15の温度変化が少ないときには、モータ温度MTの温度変化も少ないと推測されるため、ステップS3~S5の処理を省いて制御IC15の処理速度の向上を図っている。
その後、ステップS7において、イグニッションがオフされたか否か(イグニッション信号IGのオフ信号が入力されたか否か)を判定する。ここで、イグニッションがオフされていないと判定された場合(つまりイグニッション信号IGのオン信号が入力されている場合)、モータ温度推定部21は、ステップS6のモータ温度MTの算出処理を継続して行う。
一方、イグニッションがオフされたと判定された場合(つまりイグニッション信号IGのオフ信号が入力された場合)、経過時間算出部23は、イグニッションオフ後の猶予期間Pにおける所定の時点t1でのオフ時IC温度CTaと、オフ時バッテリ電圧値Vaと、オフ時モータ温度MTaとを不揮発性メモリに記憶させる(ステップS8)。
その後、猶予期間Pが終了すると、制御IC15を含めたモータ制御装置11に対する車両バッテリBTからの通電が停止される。これにより、イグニッションオフ時におけるモータ制御装置11を含むシステムの省電力化に寄与できる。
本実施形態の効果について説明する。
(1)制御IC15は、車両バッテリBTから制御IC15への通電時において、モータ10の駆動情報に基づく演算によってモータ10の温度を推定するモータ温度推定部21を備える。また、制御IC15は、モータ温度推定部21の演算が実行できない演算不可期間ΔTの前後における制御IC15の温度差(差分値ΔCT)と、当該演算不可期間ΔT前の時点での車両バッテリBTの電圧値(オフ時バッテリ電圧値Va)とに基づいて、当該演算不可期間ΔTの長さを算出する経過時間算出部23を備える。そして、モータ温度推定部21は、演算不可期間ΔTの終了後、経過時間算出部23で算出された演算不可期間ΔTの長さに基づいて演算不可期間ΔTにおけるモータ温度変化量ΔMTを算出し、そのモータ温度変化量ΔMTをモータ10の推定温度(モータ温度MT)に反映する。
上記態様によれば、モータ温度推定部21の演算不可期間ΔTにおけるモータ温度変化量ΔMTが算出できるため、演算不可期間ΔT後においてモータ10の推定温度(モータ温度MT)と実際のモータ10の温度との間の乖離を小さく抑えることが可能となる。従って、車両バッテリBTから制御IC15への通電を停止することで省電力化を図りつつも、モータ温度推定部21によるモータ10の温度推定の精度を向上させることが可能となる。その結果、モータ温度MTに基づく焼損防止制御部22の処理を適切に実行させることができる。
また、経過時間算出部23は、差分値ΔCTから算出した演算不可期間ΔTを、オフ時バッテリ電圧値Vaに基づいて補正する。アナログ回路13を有する制御IC15では、印加電圧の変動に応じた温度変動が顕著であるため、オフ時バッテリ電圧値Vaに基づいて演算不可期間ΔTを補正することで、より正確な演算不可期間ΔTを算出することが可能となる。
(2)経過時間算出部23は、車両のイグニッションがオフ状態とされたことに基づいて取得した制御IC15の温度(オフ時IC温度CTa)と、当該イグニッションのオフ状態からオン状態に切り替わったことに基づいて取得した制御IC15の温度(オン復帰時IC温度CTb)との差分値ΔCTに基づいて、演算不可期間ΔTを算出する。また、経過時間算出部23は、車両のイグニッションがオフ状態とされたことに基づいて取得した車両バッテリBTの電圧値(オフ時バッテリ電圧値Va)に基づいて、演算不可期間ΔTを補正する。上記態様によれば、車両のイグニッションオフ後にモータ温度推定部21の演算不可期間ΔTが設定される場合において、イグニッションオン後のモータ10の温度推定の精度を向上させることが可能となる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態の経過時間算出部23は、車両のイグニッションがオフ状態とされたことに基づいて取得した車両バッテリBTの電圧値(オフ時バッテリ電圧値Va)に基づいて演算不可期間ΔTを補正したが、これに特に限定されるものではない。例えば、イグニッションがオン状態にあるときの任意のタイミングで取得した車両バッテリBTの電圧値に基づいて演算不可期間ΔTを補正してもよい。
この場合、例えば図6に示すように、マイコン12が、制御IC15に供給されるIC電源電圧(もしくは車両バッテリBT自体の電圧)の変動の検知に基づくタイミングで当該IC電源電圧の電圧値(もしくは車両バッテリBTの電圧値)を取得し、その電圧値をオフ時バッテリ電圧値Vaとして不揮発性メモリに記憶させることが好ましい。図6に示す例では、マイコン12は、IC電源電圧の変動を検知した時点から、予め設定された規定時間T1が経過したときの当該IC電源電圧の電圧値をオフ時バッテリ電圧値Vaとして不揮発性メモリに記憶させる。
IC電源電圧の変動が生じた際には、制御IC15の温度はIC電源電圧の変動に遅れて変動するため、IC電源電圧の変動直後などにおいてはIC電源電圧の電圧値に応じた制御IC15の温度を把握することが難しい。そこで、上記のように、IC電源電圧の変動を検知した時点から規定時間T1が経過したときにオフ時バッテリ電圧値Vaを取得する態様とすれば、制御IC15の温度変動が安定した時点でのオフ時バッテリ電圧値Vaを取得できるため、より正確な制御IC15の温度をIC電源電圧から把握することが可能となる。
また、例えば、図7に示す例では、IC電源電圧の変動検知後、その変動が収まったことを検知した時点から、予め設定された規定時間T2が経過ときの当該IC電源電圧の電圧値をオフ時バッテリ電圧値Vaとして不揮発性メモリに記憶させる。このような態様によっても、制御IC15の温度変動が安定した時点でのオフ時バッテリ電圧値Vaを取得できるため、より正確な制御IC15の温度をIC電源電圧から把握することが可能となる。
・上記実施形態では、イグニッションオフ後(猶予期間Pの終了後)において、車両バッテリBTから制御IC15への通電が遮断されるシステムとした。しかしながら、イグニッションの状態に関わらず、制御IC15への省電力要求に基づいて、制御IC15におけるモータ温度推定部21の演算処理を含む所定の機能を制限する省電力モードとするシステムに適用してもよい。この場合、例えば、上位ECUなどから制御IC15に省電力要求がなされ、その省電力要求がなされた時点から猶予期間Pが開始される。そして、その猶予期間Pが終了した後、省電力モードに移行される。その後、省電力要求が解除されると、制御IC15が通常モード(モータ温度推定部21の演算処理が可能なモード)に復帰される。この態様では、省電力モードとされる期間が演算不可期間ΔTである。
また、イグニッションオフ後の制御IC15への通電遮断による演算不可期間と、イグニッションがオン状態のときの省電力モードへの移行による演算不可期間の両方が存在するシステムに適用することも可能である。この場合、モータ温度の推定処理を含む所定の機能が制限されるのみである省電力モードに移行された状態と、制御IC15への通電遮断された状態とでは、モータ温度の低下度合いが異なるため、省電力モードへの移行による場合と通電遮断による場合とで演算不可期間ΔTを導き出すための計算式やマップを個別に設定することが望ましい。
・上記実施形態では、モータ10にモータ制御装置11を一体に設ける構成としたが、モータ制御装置11を例えば開閉スイッチ側や、車両ドアDRに関する電装品を統合制御するドア統合ECU側に設けてもよい。
・上記実施形態では特に言及しなかったが、モータ10はブラシ付きモータ及びブラシレスモータのいずれであってもよい。
・上記実施形態では、車両のパワーウインドモータを制御するモータ制御装置11に適用したが、車両に搭載される他のモータ(例えばスライドルーフ、スライドドア、ワイパ装置、電動シート、空調装置のファン、パワーステアリング装置などの駆動用モータ)を制御するモータ制御装置に適用してもよい。
BT…車両バッテリ、10…モータ、11…モータ制御装置、13…アナログ回路、14…温度センサ、15…制御IC、21…モータ温度推定部、23…経過時間算出部、CTa…オフ時IC温度、CTb…オン復帰時IC温度、ΔT…演算不可期間、ΔMT…モータ温度変化量、MTa…オフ時モータ温度。

Claims (3)

  1. 車両に搭載されるモータ(10)を制御する制御ICであり車両バッテリ(BT)の電圧変動に応じて変動する電圧が印加されるアナログ回路(13)を有する制御IC(15)と、前記制御ICの温度を検出する温度センサ(14)とを備え、
    前記制御ICは、
    前記車両バッテリから前記制御ICへの通電時において、前記モータの駆動情報に基づく演算によって前記モータの温度を推定するモータ温度推定部(21)と、
    前記モータ温度推定部の演算が実行できない演算不可期間(ΔT)の前後における前記制御ICの温度差(ΔCT)と、当該演算不可期間前の時点での前記車両バッテリの電圧値(Va)とに基づいて、当該演算不可期間の長さを算出する経過時間算出部(23)とを備え、
    前記モータ温度推定部は、前記演算不可期間の終了後、前記経過時間算出部で算出された当該演算不可期間の長さに基づいて当該演算不可期間における前記モータの温度の変化量(ΔMT)を算出し、その変化量を前記モータの推定温度に反映するものであって、
    前記経過時間算出部は、前記車両のイグニッションがオフ状態とされたことに基づいて取得した前記車両バッテリの電圧値を、前記演算不可期間前の時点での前記車両バッテリの電圧値とする、モータ制御装置。
  2. 前記経過時間算出部は、前記制御ICの前記温度差として、前記車両のイグニッションがオフ状態とされたことに基づいて取得した前記制御ICの温度と、当該イグニッションのオフ状態からオン状態に切り替わったことに基づいて取得した前記制御ICの温度との差を算出する、請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載のモータ制御装置を一体に備えたことを特徴とするモータ。
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