JP7006121B2 - 電力管理システム - Google Patents

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Description

本開示は、建物における電力の使用を管理する電力管理システムに関する。
近年、環境意識の向上に伴って再生可能エネルギーが注目されるようになっている。これに伴い、例えば太陽光発電装置のように、電力系統からの電力とは別の電力を建物に供給する電力供給装置が普及し始めている。このような電力供給装置としては、太陽光発電装置の他に、電力の充放電を行う蓄電装置等が用いられることもある。
上記のような状況の下、近年の電力自由化に伴って、発電や送配電等に関する様々な態様のビジネスが行われるようになってきている。例えば下記特許文献1には、送配電等を行う事業者が、住宅に蓄電装置を設置する費用の全部または一部を負担した上で、その蓄電装置を自らの事業運営のために制御するというビジネスモデルについての記載がある。当該ビジネスモデルでは、蓄電装置の提供可能容量に応じた金額が電気料金から割り引かれる。このため、蓄電装置が設置された住宅の住民は経済的メリットを得ることができる。
特開2017-27586号公報
本発明者らは、一つ又は複数の電力供給装置を事業者の費用負担によって建物に設置することとした上で、それぞれの電力供給装置から、必要に応じて系統側に電力を逆潮流させるようなビジネスについて検討している。このようなビジネスにおいては、複数の建物に設置されたそれぞれの電力供給装置によって、地域における分散型の発電を行うことが可能となる。
事業者にとっては、例えば、電力供給装置からの電力の出力を外部から制御することにより、地域全体の電力平準化等を行うことができるというメリットがある。一方、建物の住民にとっては、電力供給装置の設置に伴う経済的な負担を負うことなく、環境にやさしい再生可能エネルギーを利用することができるというメリットがある。
更に本発明者らは、停電時には、電力供給装置からの電力を非常時コンセントから出力し、建物において無償で使用させるようなサービスについても検討している。これにより、建物の住民が得ることのできるメリットが更に大きくなるので、より多くの建物に電力供給装置を設置してもらえるようになると考えられる。
しかしながら、上記のような非常時コンセントを設けた場合には、悪意のある使用者によって、非常時コンセントからの無償の電力が不正に使用されてしまうことが懸念される。例えば、一部の電力経路を解列させることによって偽装的な停電状態がつくり出された場合には、実際には停電が生じていないにも拘らず、非常時コンセントから電力が出力されてしまうこととなる。このような態様での電力の無償使用は、事業者が想定するサービスの範囲を超えるものであるから、何らかの方法によって防止する必要が有る。
本開示は、電力の不正使用を防止することのできる電力管理システム、を提供することを目的とする。
本開示に係る電力管理システムは、建物(HM)における電力の使用を管理する電力管理システム(10)である。上記建物には、電力系統(PS)からの電力とは別の電力を建物に供給するための電力供給装置(300、400、500)と、電力系統及び電力供給装置から建物に供給される電力を測定するための建物側電力計(MT2)と、が設けられている。この電力管理システムは、電力供給装置と建物との間において電力の授受を行う分電機(200)と、電力供給装置からの電力を、建物側電力計を介することなく分電機から建物に供給するための非常時コンセント(630)と、分電機の動作を制御する制御装置(100)と、を備えている。分電機は、停電が生じているか否かを判定する停電判定部(213)を有しており、停電判定部によって停電が生じていると判定された場合に、電力供給装置からの電力を非常時コンセントに出力するものである。制御装置は、実際には停電が生じていないにもかかわらず、停電が生じているとの判定が停電判定部によってなされてしまっている偽装停電状態、が生じたか否かを判定する偽装判定部(140)を有している。
このような構成の電力管理システムでは、制御装置が、偽装停電状態が生じたか否かを判定する偽装判定部を有している。「偽装停電状態」とは、停電が生じているとの誤判定が停電判定部によってなされてしまっている状態であって、その結果として、電力供給装置からの電力が非常時コンセントから出力されている状態である。上記電力管理システムでは、このような偽装停電状態が生じたか否かを偽装判定部によって判定することができる。このため、偽装停電状態が生じたときには、例えば警告を発したり、非常時コンセントからの電力の出力を停止したりすることにより、電力の不正使用を防止することが可能となる。
本開示によれば、電力の不正使用を防止することのできる電力管理システム、が提供される。
図1は、第1実施形態に係る電力管理システムの全体構成を示す図である。 図2は、図1の電力管理システムが備える分電機によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。 図3は、図1の電力管理システムが備える制御装置によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。 図4は、第2実施形態に係る制御装置によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。 図5は、第3実施形態に係る制御装置によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。 図6は、第4実施形態に係る制御装置によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1を参照しながら、本実施形態に係る電力管理システム10について説明する。電力管理システム10は、住宅である建物HMに設けられる装置であって、建物HMにおける電力の使用を管理するためのシステムとして構成されている。電力管理システム10の説明に先立ち、先ず建物HMについて説明する。
建物HMには、分電盤610と、複数の負荷620と、非常時コンセント630と、充放電スタンド300と、蓄電装置400と、太陽光発電装置500と、が設けられている。尚、図1においては、電力の授受を行うための電力供給線が実線で示されており、通信を行うための通信線が点線で示されている。
分電盤610は、電力系統PSから建物HMに供給された電力を、後述の負荷620に分配する装置である。分電盤610と電力系統PSとの間は第1電力線PL1によって接続されている。建物HM内で消費される電力は、全てこの分電盤610を経由してそれぞれの負荷620に供給される。分電盤610には、不図示の漏電遮断器等の安全装置が設けられている。分電盤610は、負荷620に供給されている電力を測定し、その測定値を後述の制御装置100に送信する機能を有している。このような通信は、建物HMに設けられたルーター640を介して行われる
負荷620は、建物HM内に設置された空調装置等の電力消費機器である。建物HM内には複数の負荷620が設定されているのであるが、図1においては、これらのうち3つの負荷620のみが図示されている。負荷620は、基本的には使用者の手動操作によって動作するのであるが、制御装置100が行う制御によって動作することも可能である。
非常時コンセント630は、停電によって電力系統PSからの電力供給が行われなくなった際において、太陽光発電装置500等からの電力を建物HM内で利用可能とするためのコンセントである。本実施形態では、非常時コンセント630は電力管理システム10の一部となっている。停電時には、使用者は一部の負荷620を非常時コンセント630に接続して動作させることができる。非常時コンセント630から建物HMへの電力の供給は、後述の建物側電力計MT2を介することなく行われる。非常時コンセント630から供給される電力は建物側電力計MT2によって計測されないので、建物HMの使用者は、当該電力を無償で使用することができる。尚、停電が生じていない場合においては、非常時コンセント630からの電力の出力は行われない。
充放電スタンド300は、建物HMの屋外に設置された設備であって、建物HMの近傍に駐車された電気自動車350への充放電を行うためのものである。建物HMの近傍に電気自動車350が駐車されているときには、充放電スタンド300と電気自動車350との間がケーブルCBで接続された状態とされる。
充放電スタンド300は、ケーブルCBを通じて電気自動車350の蓄電池351に電力を供給し、電気自動車350への充電を行うことができる。また、充放電スタンド300は、ケーブルCBを通じて蓄電池351から放電された電力を受け入れて、当該電力を分電機200に出力することもできる。
尚、電気自動車350は、蓄電池351に充電された電力のみによって走行する車両(EV)であってもよく、蓄電池351に充電された電力と、内燃機関の駆動力との両方によって走行する車両(PHV)であってもよい。
充放電スタンドは、制御部320と、DC/DCコンバータ340と、を有している。
制御部320は、充放電スタンド300の全体の制御を行う部分である。制御部320は、例えば制御装置100から送信される制御信号に基づいてDC/DCコンバータ340の動作を制御し、充放電スタンド300からの充放電を制御する。
DC/DCコンバータ340は、分電機200から供給される直流電力を電力変換し、変換後の直流電力を電気自動車350に向けて出力する電力変換器である。また、DC/DCコンバータ340は、電気自動車350から放電される直流電力を電力変換し、変換後の直流電力を分電機200に向けて出力することもできる。つまり、DC/DCコンバータ340は双方向の電力変換器として構成されている。DC/DCコンバータ340にはケーブルCBの一端が接続されている。DC/DCコンバータ340の動作は、既に述べたように制御部320によって制御される。DC/DCコンバータ340は、電気自動車350と、分電機200の切り換え部270(後述)との間で電力変換を行い、切り換え部270側で直流電力を入出力するものとなっている。
蓄電装置400は電力を蓄えるための装置である。蓄電装置400は、例えば据え置き型のリチウムイオンバッテリーとして構成されている。本実施形態では、蓄電装置400は建物HMの屋外に設置されているのであるが、屋内に設置されていてもよい。電力管理システム10では、電力系統PSから供給される電力を蓄電装置400に蓄えたり、太陽光発電装置500で発電された電力を蓄電装置400に蓄えたりすることができる。また、蓄電装置400から放電された電力を建物HMに供給したり、充放電スタンド300を介して電気自動車350に供給したりすることもできる。蓄電装置400からの充放電は、分電機200が有するDC/DCコンバータ260によって制御される。
太陽光発電装置500は、所謂太陽光パネルであって、太陽光を受けて発電する装置である。太陽光発電装置500は建物HMの屋根に設置されている。電力管理システム10では、太陽光発電装置500で発電された電力を、充放電スタンド300から電気自動車350へと充電することができる。また、太陽光発電装置500で発電された電力を蓄電装置400に充電することもできる。更に、太陽光発電装置500で発電された電力を負荷620に供給することもできる。太陽光発電装置500から出力される電力の大きさは、分電機200が有するDC/DCコンバータ250によって調整される。
以上のように、充放電スタンド300、蓄電装置400、及び太陽光発電装置500は、いずれも、電力系統PSからの電力とは別の電力を建物HMに供給するための装置ということができる。これらの装置はいずれも、本実施形態における「電力供給装置」に該当する。建物HMには、これらのうち一部の装置のみが電力供給装置として設けられていてもよい。また、これらの装置とは異なる装置が、建物HMに電力供給装置として設けられていてもよい。
引き続き図1を参照しながら、電力管理システム10の構成について説明する。電力管理システム10は、分電機200と、制御装置100とを備えている。先ず分電機200の構成について説明する。分電機200は、充放電スタンド300、蓄電装置400、及び太陽光発電装置500、が接続される装置であって、これらの電力供給装置と建物HMとの間において電力の授受を行う装置として構成されている。
分電機200は、電力系統PSからの電力を建物に供給するための第1電力線PL1に、第2電力線PL2を介して接続されている。図1では、第1電力線PL1のうち第2電力線PL2が接続されている部分に符号CPが付されている。以下では、当該部分のことを「接続部CP」とも称する。第2電力線PL2は、その一端が接続部CPに接続されており、その他端が後述のAC/DCコンバータ240に接続されている。
本実施形態の構成においては、充放電スタンド300、蓄電装置400、及び太陽光発電装置500、のそれぞれから負荷620への電力の供給が、いずれも分電機200を介して行われることとなる。また、太陽光発電装置500から充放電スタンド300や蓄電装置400への電力の供給、及び充放電スタンド300と蓄電装置400との間における電力の授受のいずれについても、やはり分電機200を介して行われることとなる。
分電機200は、通信部211と、制御部212と、停電判定部213と、記憶部214と、AC/DCコンバータ240と、DC/DCコンバータ250と、DC/DCコンバータ260と、切り換え部270と、を有している。尚、本実施形態における分電機200は、通常時においては電力系統PSから供給される電力によって動作する。一方、停電が生じた際においては、分電機200は蓄電装置400から供給される電力によって動作する。
通信部211は、分電機200が制御装置100と通信を行う際における通信インターフェースとして機能する部分である。当該通信はルーター640を介して行われる。
制御部212は、後に説明するAC/DCコンバータ240、DC/DCコンバータ250、及びDC/DCコンバータ260のそれぞれの動作を制御する部分である。制御部212は、例えば制御装置100から送信される制御信号に基づいて、AC/DCコンバータ240等の動作を制御する。
停電判定部213は、停電が生じているか否かを判定する部分である。図1に示されるように、第1電力線PL1のうち建物HM寄りの部分(接続部CPや建物側電力計MT2よりも建物HM側の部分には、当該部分を流れる電流を測定するための電流計220が設けられている。電流計220で測定された電流の値は分電機200に入力される。停電判定部213は、電流計220で測定された電流の値に基づいて、停電が生じているか否かを判定する。具体的には、電流計220で測定された電流の値が0の場合に、停電が生じていると判定する。停電判定部213が、これとは異なる方法によって停電が生じているか否かを判定することとしてもよい。
記憶部214は、分電機200に設けられた不揮発性の記憶装置である。記憶部214に記憶される情報については後に説明する。
尚、分電機200のうち上記の通信部211、制御部212、停電判定部213、及び記憶部214はいずれも、CPU、ROM、RAM等を有する一つのコンピュータシステムとして構成されている。図1に示される通信部211等の各ブロックは、当該コンピュータシステムの機能的な制御ブロックを概念的に示すものである。
AC/DCコンバータ240は、電力系統PSから供給される交流電力を直流電力に変換し、変換後の直流電力を切り換え部270側に向けて出力する電力変換器である。また、AC/DCコンバータ240は、切り換え部270から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換後の交流電力を第2電力線PL2から出力することもできる。つまり、AC/DCコンバータ240は双方向の電力変換器として構成されている。AC/DCコンバータ240の動作は、既に述べたように制御部212によって制御される。このように、AC/DCコンバータ240は、電力系統PSと切り換え部270との間で電力変換を行い、切り換え部270側で直流電力を入出力するものとなっている。
尚、AC/DCコンバータ240は、切り換え部270から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換後の交流電力を非常時コンセント630に出力することも可能となっている。当該電力は、太陽光発電装置500、蓄電装置400、及び電気自動車350のいずれかから、切り換え部270へと供給された電力である。既に述べたように、非常時コンセント630からの電力の出力は、停電が生じている場合においてのみ行われる。
制御部212は、停電判定部213によって停電が生じていると判定されると、非常時コンセント630から電力を出力するように、AC/DCコンバータ240の制御を行う。それ以外の場合には、非常時コンセント630からの電力の出力を停止させるよう、AC/DCコンバータ240の制御を行う。すなわち、本実施形態に係る分電機200は、停電判定部213によって「停電が生じている」と判定された場合にのみ、電力供給装置からの電力を非常時コンセント630に出力するように構成されている。
先に説明した記憶部214には、出力開始時刻と、出力停止時刻と、出力電力量と、がそれぞれ記憶される。出力開始時刻とは、非常時コンセント630から電力が出力され始めた時刻である。出力停止時刻とは、非常時コンセント630からの電力の出力が停止された時刻である。出力電力量とは、出力開始時刻から出力停止時刻までの期間において、非常時コンセント630から出力された電力の電力量である。尚、出力開始時刻から出力停止時刻までの時間帯のことを、以下では「非常時時間帯」とも称する。このように、記憶部214には、非常時コンセント630から電力が出力された時間帯、である非常時時間帯が記憶される。
尚、停電判定部213によって「停電が生じている」と判定された場合であっても、非常時コンセント630からの電力が、制御装置100からの制御に基づいて停止される場合もある。これについては後述する。
DC/DCコンバータ250は、太陽光発電装置500から供給される直流電力を電力変換し、変換後の直流電力を切り換え部270側に向けて出力する電力変換器である。DC/DCコンバータ250によって、太陽光発電装置500から出力される電力の大きさが調整される。DC/DCコンバータ250の動作は、既に述べたように制御部212によって制御される。このように、DC/DCコンバータ250は、太陽光発電装置500と切り換え部270との間で電力変換を行い、切り換え部270側に直流電力を出力するものとなっている。
DC/DCコンバータ260は、蓄電装置400から供給(つまり放電)される直流電力を電力変換し、変換後の直流電力を切り換え部270側に向けて出力する電力変換器である。また、DC/DCコンバータ260は、切り換え部270から供給される直流電力を電力変換し、変換後の直流電力を蓄電装置400に向けて出力(つまり充電)することもできる。つまり、DC/DCコンバータ260は双方向の電力変換器として構成されている。DC/DCコンバータ260の動作は、既に述べたように制御部212によって制御される。このように、DC/DCコンバータ260は、蓄電装置400と切り換え部270との間で電力変換を行い、切り換え部270側で直流電力を入出力するものとなっている。
切り換え部270は、電力系統PS、太陽光発電装置500、蓄電装置400、及び充放電スタンド300の接続状態を切り換えるための装置である。切り換え部270は、複数の電子リレーを組み合わせることによって構成されている。このような態様に換えて、切り換え部270が、複数の機械的なリレーを組み合わせることによって構成されている態様としてもよい。
切り換え部270は、DC/DCコンバータ250とDC/DCコンバータ260との間を接続することにより、太陽光発電装置500で発電された電力の一部又は全部が、蓄電装置400に供給される状態とすることができる。また、切り換え部270は、DC/DCコンバータ250とDC/DCコンバータ340との間を接続することにより、太陽光発電装置500で発電された電力の一部又は全部が、電気自動車350に供給される状態とすることができる。
切り換え部270は、DC/DCコンバータ250とAC/DCコンバータ240との間を接続することにより、太陽光発電装置500で発電された電力の一部又は全部が、第2電力線PL2側へと出力される状態とすることができる。当該電力は、分電盤610を介して負荷620に供給される。また、当該電力が電力系統PS側へと逆潮流される場合もある。尚、当該状態におけるAC/DCコンバータ240では、太陽光発電装置500で発電された電力の一部又は全部を非常時コンセント630に出力することもできる。
切り換え部270は、DC/DCコンバータ260とDC/DCコンバータ340との間を接続することにより、蓄電装置400と電気自動車350との間で電力の授受を行い得る状態とすることができる。当該状態においては、蓄電装置400に蓄えられた電力を電気自動車350に供給したり、電気自動車350から出力された電力を蓄電装置400に供給したりすることができる。
切り換え部270は、DC/DCコンバータ260とAC/DCコンバータ240との間を接続することにより、蓄電装置400と第1電力線PL1との間で電力の授受が行われる状態とすることができる。当該状態においては、電力系統PSからの電力を蓄電装置400に蓄えたり、蓄電装置400から出力された電力を第1電力線PL1側に出力したりすることができる。尚、当該状態におけるAC/DCコンバータ240では、蓄電装置400から出力された電力の一部又は全部を非常時コンセント630に出力することもできる。
切り換え部270は、DC/DCコンバータ340とAC/DCコンバータ240との間を接続することにより、電気自動車350と第1電力線PL1との間で電力の授受が行われる状態とすることができる。当該状態においては、電力系統PSからの電力を電気自動車350の蓄電池351に蓄えたり、蓄電池351から出力された電力を第1電力線PL1側に出力したりすることができる。尚、当該状態におけるAC/DCコンバータ240では、蓄電池351から出力された電力の一部又は全部を非常時コンセント630に出力することもできる。
尚、以上に挙げた切り換え部270の各状態は、択一的に選択されるのではなく、複数の状態が同時に選択されることも可能となっている。例えば、切り換え部270は、DC/DCコンバータ250とDC/DCコンバータ260との間を接続し、且つ、DC/DCコンバータ250とDC/DCコンバータ340との間を接続することもできる。この場合、太陽光発電装置500で発電された電力を、蓄電装置400と電気自動車350とのそれぞれに同時に供給することが可能となる。
制御装置100の構成について説明する。制御装置100は、所謂HEMS(Home Energy Management System)として構成されたコンピュータシステムである。制御装置100は、分電機200の動作を制御することにより、太陽光発電装置500の発電量を制御したり、蓄電装置400や電気自動車350の充放電を制御したりすることができる。また、制御装置100は、それぞれの負荷620の動作を個別に制御することもできる。尚、本実施形態における制御装置100は、通常時においては電力系統PSから供給される電力によって動作する。一方、停電が生じた際においては、制御装置100は、非常時コンセント630から供給される電力によって動作する。
制御装置100は、機能的な制御ブロックとして、通信部110と、制御部120と、操作部130と、偽装判定部140と、を有している。
通信部110は、制御装置100が、分電機200や充放電スタンド300等と通信を行う際における通信インターフェースとして機能する部分である。また、通信部110は、制御装置100が、後述の電力会社サーバー710や情報サーバー720と通信を行う際における通信インターフェースとしても機能する。それぞれの通信は、いずれもルーター640を介して行われる。
制御部120は、分電機200や充放電スタンド300等の制御に必要な処理を実行する部分である。制御部120は、蓄電装置400や電気自動車350からの充放電が、予め作成された充放電計画に沿ったものとなるように、分電機200や充放電スタンド300、及び負荷620等の制御を行う。
操作部130は、建物HMの住民が行う操作を受け付けたり、住民に向けて各種の情報を表示したりするための装置である。本実施形態では、操作部130としてタッチパネル画面が用いられている。
偽装判定部140は、実際には停電が生じていないにもかかわらず、停電が生じているとの判定が停電判定部213によってなされてしまっている状態(以下では、当該状態のことを「偽装停電状態」とも称する)が生じたか否かを判定する部分である。このような偽装停電状態が生じる理由については後述する。
その他の構成について説明する。電力管理システム10には、系統側電力計MT1と、建物側電力計MT2とが設けられている。系統側電力計MT1は、第1電力線PL1のうち、第2電力線PL2が接続されている部分(接続部CP)よりも電力系統PS側となる位置に設けられている。系統側電力計MT1は、電力系統PSから建物HMに供給される電力や、建物HMから電力系統PSに逆潮流される電力の大きさを測定するためのものとして設けられている。送配電などを行う事業者は、系統側電力計MT1で測定された電力の値に基づいて、建物HMにおける電力の需給に関する状況を把握することができる。
建物側電力計MT2は、第1電力線PL1のうち、第2電力線PL2が接続されている部分(接続部CP)よりも建物HM側となる位置に設けられている。建物側電力計MT2は、第1電力線PL1を介して建物HMに供給される電力を測定するためのものとして設けられている。尚、ここでいう「建物HMに供給される電力」とは、電力系統PS及び電力供給装置(太陽光発電装置500等)から建物HMに供給される電力であって、分電盤610を介して負荷620に供給される電力のことである。
系統側電力計MT1、及び建物側電力計MT2は、いずれも、測定した電力の値を外部に送信する機能を有している。系統側電力計MT1、及び建物側電力計MT2のそれぞれによって測定された電力の値は、電力会社サーバー710へと送信され、建物HMの住民が支払うべき電気料金の算出等に供される。
電力会社サーバー710は、例えば送電等を行う電力会社が管理するサーバーであって、建物HMとは異なる位置に設定されている。電力会社サーバー710は、建物側電力計MT2から送信される電力の値に基づいて、上記の電気料金を算出する。
電力会社サーバー710は、通信ネットワークNWを介して制御装置100と接続されている。電力会社サーバー710は、必要に応じて逆潮流要求を制御装置100に送信することにより、建物HM側から電力系統PSへと電力を逆潮流させることも可能となっている。電力会社サーバー710が、地域における一部の建物HMに向けて逆潮流要求を送信することにより、電力の需給バランスを保ち電力の品質を確保することが可能となる。尚、電力会社サーバー710と制御装置100との間の通信は、両者の間で直接行われてもよく、次に述べる情報サーバー720を介して行われてもよい。
情報サーバー720は、制御装置100に情報を送信したり、制御装置100から情報を収集したりすることのできるサーバーである。情報サーバー720は、電力会社サーバー710と同様に、建物HMとは異なる位置に設定されており、通信ネットワークNWを介して制御装置100と接続されている。情報サーバー720は、例えば、充放電計画の作成に必要な気象予報情報を、定期的に制御装置100に送信する。
また、情報サーバー720は、建物HMが設置されている周辺の地域において停電が生じているか否かを示す情報(以下では、当該情報のことを「地域停電情報」とも称する)を、要求に応じて制御装置100に送信するに送信することもある。地域停電情報には、現時点において停電が生じているか否かを示す情報と、過去において生じた停電の履歴(時間帯)を示す情報と、の両方が含まれる。
情報サーバー720は、例えば電力会社サーバー710から提供される情報に基づいて地域停電情報を生成する。また、情報サーバー720が、地域内の複数の建物HMに設けられたそれぞれの制御装置100との通信状況に基づいて、地域停電情報を生成することとしてもよい。
以上のような構成の電力管理システム10において、本発明者らは、太陽光発電装置500、蓄電装置400、及び充放電スタンド300のそれぞれを、例えば電力会社のような事業者の費用負担によって建物HMに設置することとした上で、充放電スタンド300から電気自動車350に充電された電力については無償若しくは(安価な)定額とするようなビジネスについて検討している。尚、上記における「事業者の費用負担によって」とは、設置に必要な費用の全部を事業者が負担することのほか、必要な費用の一部を事業者が負担することも含まれる。また、事業者が所有する機器を有償または無償でレンタルすることも含まれる。
事業者にとっては、例えば、蓄電装置400からの充放電(例えば逆潮流)を外部から制御することにより、地域全体の電力平準化等を行うことができるというメリットがある。一方、建物HMの住民にとっては、電気自動車350への充電を無料で行うことができるというメリットがある。更に、太陽光発電装置500等の設備の設置に伴う経済的な負担を負うことなく、環境にやさしい再生可能エネルギーを利用することができるというメリットもある。
ところで、上記のような態様のビジネスモデルでは、電気自動車350に充電される電力については上記のように無料若しくは定額なのであるが、建物HM内の負荷620で消費される電力については、住民は電気料金を支払う必要がある。このため、電力管理システム10が、電気自動車350に充電される電力とは別に、負荷620で消費される電力を正確に把握する必要がある。
また、電力系統PSから供給された電力のうち、蓄電装置400に蓄えられた電力は、その後において負荷620で消費される場合もあれば、逆潮流によって電力系統側に戻される場合もある。更に、蓄電装置400から出力され電気自動車350に充電される場合もある。逆潮流によって電力系統PS側に戻された電力、及び、蓄電装置400から出力され電気自動車350に充電された電力は、いずれも請求の対象外としなければならない。
以上のような消費電力の把握を実現するために、本実施形態に係る電力管理システム10では、系統側電力計MT1とは別に建物側電力計MT2を備えることとしている。既に述べたように、建物側電力計MT2は、第1電力線PL1のうち接続部CPよりも建物HM側となる位置に設けられている。このため、上記ビジネスモデルにおいては課金の対象とならない電力、すなわち、蓄電装置400と充放電スタンド300との間で授受される電力や、電力系統PSと分電機200との間で授受される電力(例えば逆潮流される電力や、電気自動車350に充電される電力等)は、建物側電力計MT2によって計測されない。一方、上記ビジネスモデルにおいて課金の対象となる電力、すなわち、電力系統PS、太陽光発電装置500、蓄電装置400、及び充放電スタンド300のそれぞれから建物HM内の負荷620へと供給される電力は、いずれも建物側電力計MT2によって計測される。
このように、電力管理システム10では、建物HM内の負荷620で消費された電力の値を、それ以外の電力の値と区別して把握することができる。電力会社サーバー710は、課金の対象となる電力の値を、建物側電力計MT2によって容易に測定し取得することができる。このため、事業者が上記態様のビジネスを行うことが可能となる。
既に述べたように、上記電力管理システム10では、停電が生じた際に、非常時コンセント630から電力を出力し、当該電力を建物HMの住民に無償で使用させることが可能となっている。このようなサービスも併せて提供することにより、建物HMの住民が得ることのできるメリットが更に大きくなるので、より多くの建物に電力供給装置や電力管理システム10を設置してもらえるようになると考えられる。
しかしながら、上記のような非常時コンセント630を設けた場合には、悪意のある使用者によって、非常時コンセント630からの無償の電力が不正に使用されてしまうことが懸念される。
図1においては、第2電力線PL2の途中となる位置に「PT1」の符号が付されている。また、第1電力線PL1のうち電流計220よりも分電盤610側となる位置に「PT2」の符号が付されている。
例えば、電力経路のうち上記のPT1及びPT2の位置が、悪意のある使用者によって解列されてしまった(外されてしまった)場合には、分電機200には電力系統PSからの電力は供給されなくなり、電流計220で測定される電力の値は0となる。このため、実際には停電が生じていないにもかかわらず、停電判定部213では「停電が生じている」との誤判定がなされてしまうこととなる。つまり、先に説明した偽装停電状態が生じることとなる。その結果、AC/DCコンバータ240から非常時コンセント630に電力が出力されてしまい、当該電力が無償で使用されてしまう。
このような態様での電力の無償使用は、事業者が想定するサービスの範囲を超えるものであるから、何らかの方法によって防止する必要が有る。そこで、本実施形態に係る制御装置100は、偽装停電状態が生じているか否かを偽装判定部140によって判定し、偽装停電状態が生じた場合には必要な措置をとるように構成されている。
そのために実行される処理の具体的な内容について説明する。先ず、図2を参照しながら、分電機200によって実行される処理の流れを説明する。図2に示される一連の処理は、所定の制御周期が経過する毎に、分電機200によって繰り返し実行されるものである。
当該処理の最初のステップS01では、停電が生じているか否かが停電判定部213によって判定される。停電が生じている場合には、ステップS02に移行する。ステップS02では、非常時コンセント630からの電力の出力を開始させる処理が、制御部212によって実行される。その後、後述のステップS04に移行する。
ステップS01において、停電が生じていなかった場合には、ステップS03に移行する。ステップS03では、非常時コンセント630からの電力の出力を停止させる処理が、制御部212によって実行される。その後、ステップS04に移行する。
ステップS04では、記憶部214に記憶されている情報(出力開始時刻、出力停止時刻、及び出力電力量)を、必要に応じて更新する処理が行われる。
例えば、停電が生じてからステップS02の処理が最初に実行された直後においては、ステップS04では、その時の時刻を出力開始時刻として記憶部214に記憶する処理が行われる。
停電から復帰してからステップS03の処理が最初に実行された直後においては、ステップS04では、その時の時刻を出力停止時刻として記憶部214に記憶する処理が行われる。更に、前回の出力開始時刻から出力停止時刻までの間に非常時コンセント630から出力された電力の電力量を、出力電力量として記憶部214に記憶する処理が行われる。当該電力量の測定は、例えば、AC/DCコンバータ240が有する測定機能を用いて行われる。
次に、図3を参照しながら、制御装置100によって実行される処理の流れを説明する。図3に示される一連の処理は、所定の制御周期が経過する毎に、制御装置100によって繰り返し実行されるものである。
当該処理の最初のステップS11では、分電機200から各種の情報を取得する処理が行われる。取得される情報には、記憶部214に記憶されている出力開始時刻、出力停止時刻、及び出力電力量が含まれる。
ステップS11に続くステップS12では、情報サーバー720から情報を取得する処理が行われる。当該情報には、先に述べた地域停電情報が含まれる。
ステップS12に続くステップS13では、ステップS11で取得された出力開始時刻から出力停止時刻までの非常時時間帯において、建物HMが設置されている周辺の地域において停電が生じていたか否かが判定される。当該判定は、ステップS12で取得された地域停電情報に基づいて行われる。尚、上記の非常時時間帯が複数存在する場合には、それぞれの非常時時間帯において停電が生じていたか否かが判定される。
いずれかの非常時時間帯において、地域における停電が生じていなかった場合には、ステップS14に移行する。この場合は、実際には停電が生じていないにもかかわらず、停電判定部213では「停電が生じている」との判定がなされているということである。このため、ステップS14では、「偽装停電状態が生じている」との判定が偽装判定部140によってなされる。
尚、「偽装停電状態が生じている」との判定を行うに当たっては、現時点において「停電が生じている」との判定が停電判定部213によりなされていること、を追加の条件としてもよい。
ステップS14に続くステップS15では、情報サーバー720に偽装停電情報を送信する処理が行われる。この偽装停電情報には、建物HMにおいて偽装停電状態が検知されたことを示す情報が含まれる。また、偽装停電情報には、ステップS11で取得された出力開始時刻、出力停止時刻、及び出力電力量も含まれる。偽装停電情報は、情報サーバー720から電力会社サーバー710へと送信される。電力会社は、当該情報に基づいて、出力電力量についての電気料金を請求する等の対応を行うことができる。
ステップS15に続くステップS16では、非常時コンセント630からの電力の出力を停止させる処理が行われる。これにより、建物HMの住民は、非常時コンセント630からの電力の不正使用を行うことができなくなる。尚、ステップS16の処理が行われた時点で、制御装置100には非常時コンセント630からの電力が供給されなくなる。このため、制御装置100はその動作を停止させる。
ステップS13において、建物HMが設置されている周辺の地域において非常時時間帯の停電が生じていた場合には、ステップS17に移行する。この場合は、偽装停電状態が生じているのではなく、実際の停電が生じているということである。このため、ステップS17では、「偽装停電状態が生じていない」との判定(つまり、系統停電が生じているとの判定)が偽装判定部140によってなされる。
ステップS17に続くステップS18では、停電時用の制御が実行される。「停電時用の制御」とは、太陽光発電装置500等からの電力を、非常時コンセント630から継続して出力させるために必要な制御のことである。
以上に説明したように、本実施形態に係る偽装判定部140は、建物HMの周辺地域において、非常時時間帯における停電が生じていなかった場合に、偽装停電状態が生じていたと判定する。建物HMの内部状況に基づくのではなく、地域停電情報に示される外部の状況に基づいて判定を行うので、偽装停電状態が生じているか否かを正確に判定することができる。
また、偽装停電状態が生じたとの判定が偽装判定部140によってなされた場合には、制御装置100は非常時コンセント630からの電力の出力を停止させる処理を行う(ステップS16)。これにより、非常時コンセント630からの電力の不正使用を強制的に中止させることができる。
偽装停電状態が生じたとの判定が偽装判定部140によってなされた場合には、制御装置100は、偽装停電状態が生じたことを示す偽装停電情報を外部に送信する(ステップS15)。また、上記偽装停電情報には、偽装停電状態が生じている期間において前記非常時コンセント630から出力された電力量(出力電力量)が含まれる。これにより、偽装停電に対する適切な対応を、電力会社がとることが可能となる。その結果、偽装停電による電力の不正使用を防止することができる。
第2実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。本実施形態では、制御装置100によって実行される処理の態様においてのみ第1実施形態と異なっている。
図4に示される一連の処理は、図3に示される一連の処理に換えて、制御装置100によって実行されるものである。当該処理の最初のステップS21では、分電機200から各種の情報を取得する処理が行われる。当該処理は、図3のステップS11で実行される処理と同じである。
ステップS21に続くステップS22では、情報サーバー720から情報を取得する処理が行われる。当該処理は、図3のステップS12で実行される処理と同じである。
ステップS22に続くステップS23では、停電が生じているとの判定が、分電機200の停電判定部213によってなされているか否かが判定される。停電が生じていないと判定されている場合には、現時点において偽装停電状態が生じている可能性は無い。このため、この場合には図4に示される一連の処理を終了する。一方、停電が生じていると判定されている場合にはステップS24に移行する。
ステップS24では、建物HMが設置されている周辺の地域において、現時点において停電が生じているか否かが判定される。当該判定は、ステップS22で取得された地域停電情報に基づいて行われる。
地域における停電が生じていない場合には、ステップS25に移行する。この場合は、実際には停電が生じていないにもかかわらず、停電判定部213では「停電が生じている」との判定がなされているということである。このため、ステップS25では、「偽装停電状態が生じている」との判定が偽装判定部140によってなされる。ステップS25に続いて行われるステップS26、S27の処理は、図3のステップS15、S16の処理とそれぞれ同じである。
ステップS24において、建物HMが設置されている周辺の地域において停電が生じていた場合には、ステップS28に移行する。この場合は、偽装停電状態が生じているのではなく、実際の停電が生じているということである。このため、ステップS28では、「偽装停電状態が生じていない」との判定(つまり、系統停電が生じているとの判定)が偽装判定部140によってなされる。ステップS28に続いて行われるステップS29の処理は、図3のステップS18の処理と同じである。
以上のように、本実施形態では、情報サーバー720からの地域停電情報と、停電判定部213による判定結果とを対比することにより、偽装停電状態が生じているか否かの判定が行われる。このような態様でも、第1実施形態で説明したものと同様の効果を奏する。
第3実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。本実施形態でも、制御装置100によって実行される処理の態様においてのみ第1実施形態と異なっている。
図5に示される一連の処理は、図3に示される一連の処理に換えて、制御装置100によって実行されるものである。当該処理の最初のステップS31では、分電機200から各種の情報を取得する処理が行われる。当該処理は、図3のステップS11で実行される処理と同じである。
ステップS31に続くステップS32では、系統側電力計MT1から情報を取得する処理が行われる。当該情報には、系統側電力計MT1の作動状態を示す情報、すなわち、電力系統PSからの電力が系統側電力計MT1に供給されているかを示す情報が含まれる。
ステップS32に続くステップS33では、ステップS32で取得された情報に基づいて、系統側電力計MT1が作動中であるか否かが判定される。系統側電力計MT1が作動中である場合にはステップS34に移行する。
ステップS34では、停電が生じているとの判定が、分電機200の停電判定部213によってなされているか否かが判定される。停電が生じていないと判定されている場合には、現時点において偽装停電状態が生じている可能性は無い。このため、図5に示される一連の処理を終了する。一方、停電が生じていると判定されている場合にはステップS35に移行する。この場合は、実際には停電が生じていないにもかかわらず、停電判定部213では「停電が生じている」との判定がなされているということである。このため、ステップS35では、「偽装停電状態が生じている」との判定が偽装判定部140によってなされる。ステップS35に続いて行われるステップS36、S37の処理は、図3のステップS15、S16の処理とそれぞれ同じである。
ステップS33において、系統側電力計MT1が停止中であった場合には、ステップS38に移行する。この場合は、偽装停電状態が生じているのではなく、実際の停電が生じているということである。このため、ステップS38では、「偽装停電状態が生じていない」との判定(つまり、系統停電が生じているとの判定)が偽装判定部140によってなされる。ステップS38に続いて行われるステップS39の処理は、図3のステップS18の処理と同じである。
以上のように、本実施形態の偽装判定部140は、制御装置100と系統側電力計MT1との間で行われた通信に基づいて、偽装停電状態が生じているか否かを判定する。具体的には、系統側電力計MT1との通信で得られた系統側電力計MT1の作動状態と、停電判定部213による判定結果とを対比することにより、偽装停電状態が生じているか否かの判定が偽装判定部140によって行われる。このような態様でも、第1実施形態で説明したものと同様の効果を奏する。
第4実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
本実施形態では、停電が生じているときにおいて、非常時コンセント630からの電力は制御装置100に供給されない。このため、停電が生じている期間では、制御装置100はその動作を停止した状態となっている。本実施形態の偽装判定部140は、現時点において偽装判定状態が生じているか否かを判定することはできないので、当該判定を、停電からの復帰時において事後的に行うこととなる。
そのために実行される処理について、図6を参照しながら説明する。図6に示される一連の処理は、停電からの復帰時、すなわち制御装置100に電源が供給され始めたタイミングにおいて、制御装置100によって実行されるものである。
当該処理の最初のステップS41では、分電機200から各種の情報を取得する処理が行われる。当該処理は、図3のステップS11で実行される処理と同じである。
ステップS41に続くステップS42では、情報サーバー720から情報を取得する処理が行われる。当該処理は、図3のステップS12で実行される処理と同じである。
ステップS42に続くステップS43では、ステップS41で取得された出力開始時刻から出力停止時刻までの非常時時間帯において、建物HMが設置されている周辺の地域において停電が生じていたか否かが判定される。当該判定は、ステップS42で取得された地域停電情報に基づいて行われる。尚、上記の非常時時間帯が複数存在する場合には、それぞれの非常時時間帯において停電が生じていたか否かが判定される。
全ての非常時時間帯において、地域における停電が生じていた場合には、偽装停電状態が生じていたのではなく、実際の停電が生じていたということである。このため、この場合には図6に示される一連の処理を終了する。
いずれかの非常時時間帯において、地域における停電が生じていなかった場合には、ステップS44に移行する。この場合は、実際には停電が生じていなかったにもかかわらず、停電判定部213では「停電が生じている」との判定がなされていたということである。このため、ステップS44では、「偽装停電状態が生じていた」との判定が偽装判定部140によってなされる。
ステップS44に続くステップS45では、情報サーバー720に偽装停電情報を送信する処理が行われる。当該処理は、図3のステップS15で実行される処理と同じである。
ステップS45に続くステップS46では、例えば操作部130のタッチパネル画面にメッセージを表示することにより、使用者(住民)に対する警告が行われる。これにより、偽装停電を作りだすことによる電力の不正使用をやめるよう、使用者に促すことが可能となる。
以上のように、本実施形態においては、停電状態又は偽装停電状態から復帰した後に、偽装停電状態が生じていたか否かの判定が偽装判定部140によってなされる。このような態様でも、第1実施形態において説明したものと同様の効果を奏する。
また、本実施形態において、偽装停電状態が生じたとの判定が偽装判定部140によってなされた場合には、制御装置100は、建物HMの使用者に対して警告を行う(ステップS46)。このような警告は、これまでに述べた他の実施形態においても行われることとしてもよい。例えば、図3のステップS15の直後、図4のステップS26の直後、図5のステップS36の直後において、それぞれステップS46と同様の処理が行われることとしてもよい。
以上のように、電力管理システム10では、EVやPHVのような電気自動車350や、蓄電装置400の充放電を、系統電力又は太陽光発電電力から任意の組合せで行なう。当該システムでは、電気自動車350、蓄電装置400、及び太陽光発電装置500から供給される電力のうち、需要家が宅内で消費した電力のみに課金することができる。この電力管理システム10では、使用者が「偽装停電環境」を作り出すことで課金されなくすること、すなわち非常用コンセントから電力を不正に受給することを防ぐことができる。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
PS:電力系統
HM:建物
MT2:建物側電力計
10:電力管理システム
100:制御装置
140:偽装判定部
200:分電機
213 :停電判定部
300:充放電スタンド
400:蓄電装置
500:太陽光発電装置
630:非常時コンセント

Claims (9)

  1. 建物(HM)における電力の使用を管理する電力管理システム(10)であって、
    前記建物には、電力系統(PS)からの電力とは別の電力を前記建物に供給するための電力供給装置(300、400、500)と、前記電力系統及び前記電力供給装置から前記建物に供給される電力を測定するための建物側電力計(MT2)と、が設けられており、
    前記電力供給装置と前記建物との間において電力の授受を行う分電機(200)と、
    前記電力供給装置からの電力を、前記建物側電力計を介することなく前記分電機から前記建物に供給するための非常時コンセント(630)と、
    前記分電機の動作を制御する制御装置(100)と、を備え、
    前記分電機は、停電が生じているか否かを判定する停電判定部(213)を有しており、前記停電判定部によって停電が生じていると判定された場合に、前記電力供給装置からの電力を前記非常時コンセントに出力するものであり、
    前記制御装置は、
    実際には停電が生じていないにもかかわらず、停電が生じているとの判定が前記停電判定部によってなされてしまっている偽装停電状態、が生じたか否かを判定する偽装判定部(140)を有している電力管理システム。
  2. 前記分電機は、前記非常時コンセントから電力が出力された時間帯、である非常時時間帯を記憶する記憶部(214)を更に有している、請求項1に記載の電力管理システム。
  3. 前記偽装判定部は、前記建物の周辺地域において、前記非常時時間帯における停電が生じていなかった場合に、前記偽装停電状態が生じていたと判定する、請求項2に記載の電力管理システム。
  4. 前記建物には、前記電力系統から建物に供給される電力を測定するための系統側電力計(MT1)が更に設けられており、
    前記偽装判定部は、前記制御装置と前記系統側電力計との間で行われた通信に基づいて、前記偽装停電状態が生じているか否かを判定する、請求項1に記載の電力管理システム。
  5. 前記偽装停電状態が生じたとの判定が前記偽装判定部によってなされた場合には、前記制御装置は前記非常時コンセントからの電力の出力を停止させる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力管理システム。
  6. 前記偽装停電状態が生じたとの判定が前記偽装判定部によってなされた場合には、前記制御装置は前記建物の使用者に対して警告を行う、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力管理システム。
  7. 前記偽装停電状態が生じたとの判定が前記偽装判定部によってなされた場合には、前記制御装置は、前記偽装停電状態が生じたことを示す偽装停電情報を外部に送信する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電力管理システム。
  8. 前記分電機は、前記非常時コンセントから出力される電力の電力量を測定する測定機能を有しており、
    外部に送信される前記偽装停電情報には、前記偽装停電状態が生じている期間において前記非常時コンセントから出力された電力量であって、前記測定機能を用いて測定された電力量が含まれる、請求項7に記載の電力管理システム。
  9. 前記電力供給装置には、
    太陽光を受けて発電する太陽光発電装置(500)、電力を蓄える蓄電装置(400)、及び電気自動車(350)への充放電を行う充放電スタンド(300)、のうちの少なくとも一つが含まれる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電力管理システム。
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