JP7005129B2 - 反射型露光用マスク - Google Patents
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Description
近年、半導体デバイスの微細化に伴い、波長が13.5nm近傍のEUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外線)領域の光を光源に用いたEUVリソグラフィが提案されている。EUV光は、光源波長が短く、空気にすら吸収されてしまうほど光吸収性が高いため、EUVリソグラフィは真空中で行われる必要がある。またEUV光の波長領域においては、ほとんどの物質の屈折率は「1」よりもわずかに小さい値である。このため、EUVリソグラフィにおいては従来から用いられてきた透過型の屈折光学系を使用することができず、反射光学系となる。従って、原版となるフォトマスクも、従来の透過型のマスクは使用できないため、反射型のマスクとする必要がある。(以下、本願明細書においては、EUVリソグラフィに用いられる反射型露光用マスクを、反射型マスク又はEUVマスクと称することもある。)
このようなEUVマスクの元となる反射型マスクブランクスは、低熱膨張基板の上に、露光光源波長に対して高い反射率を示す多層反射層と、露光光源波長の吸収層とがこの順に積層されており、さらに基板の裏面には露光機内における静電チャックのための裏面導電膜が形成されている。また、多層反射層と吸収層との間に緩衝層を有する構造を持つEUVマスクもある。多層反射層は、例えば、Mo(モリブデン)とSi(珪素)とが約7nmの周期で、40周期すなわち全80層が積層されてなる(例えば、特許文献1参照。)。
反射型マスクブランクスから反射型マスクへ加工する際には、EB(電子線)リソグラフィとエッチング技術とにより吸収層を部分的に除去し、緩衝層を有する構造の場合はこれも同じく除去し、吸収部と反射部とからなる回路パターンを作成する。このように形成された反射型マスクによって反射された光像が反射光学系を経て半導体基板上に転写される。
反射光学系を用いた露光方法では、マスク面に対して垂直方向から所定角度傾いた入射角(通常6°)で露光光の照射が行われる。吸収層の膜厚が厚い場合、回路パターン自身の影が生じてしまい、この影となった部分における反射強度は、影になっていない部分よりも小さいため、コントラストが低下し、転写パターンにはパターンエッジ部のぼやけや設計寸法からのずれが生じてしまう。これはシャドーイングと呼ばれ、反射型マスクの原理的課題の一つである。
一方、反射型マスクを用いて半導体基板上に回路の転写パターンを作成する際、一枚の半導体基板上には複数の回路パターンのチップが形成される。そのため、隣接するチップ間において、チップ外周部が重なる領域が存在する場合がある。これはウェハ1枚あたりに取れるチップを出来るだけ多くしたいという生産性向上の目的でチップを高密度に配置するためである。この場合、チップ間においてチップ外周部が重なる領域については複数回(最大で4回)に渡り露光(多重露光)されることになる。この転写パターンのチップ外周部の部分は、反射型マスクにおいてもその外周部に相当し、通常は吸収層の部分に対応している。上述のように、吸収層上でのEUV光の反射率は、0.5%以上2%以下程度であるために、多重露光によりチップ外周部が感光してしまうという問題がある。
このような問題を解決するために、反射型マスクの吸収層から多層反射層までを掘り込んだ溝を、チップ外周部に相当する部分、すなわち回路の転写パターンを囲むように転写パターンの外周部に形成することで、多層反射層の反射率を低下させ、露光光源波長に対する遮光性の高い遮光枠を設けた反射型マスクが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながらタンタル(Ta)を用いた光吸収層は真空紫外線から遠紫外線(Deep Ultra Violet:遠紫外線)領域の光も反射することから、上述の通り、隣接したチップの境界領域近傍の半導体配線部分において無視できない光量が積算され、配線パターンの寸法に影響を与える問題が発生する。
前記基板の他方の面に形成された導電層と、を備えた反射型露光用マスクであって、前記吸収層に形成された回路パターン部と、
当該回路パターン部を囲むように形成された溝状の遮光枠部と、を備え、
前記遮光枠部の溝部底面に、露光に伴う入射光に対する反射率が前記回路パターン部における反射率よりも小さい反射低減構造が形成され、
前記反射低減構造は、回折格子構造であり、
前記回折格子構造は前記吸収層の一部からなり、
前記回折格子構造の下端が前記吸収層内又は前記保護層表面に位置し、
前記回折格子構造の周期は100nm以下であり、
前記回折格子構造は、方向性を持たない周期性のある回折構造であり、
前記回折格子構造は、フィンガープリントタイプのパターンを有することを特徴とする反射型露光用マスク、が提供される。
さらに、本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、各部の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
なお、本明細書では、説明に際し、膜として説明しているが、膜を層としてもよいことは言うまでもない。
<第一実施形態>
まず、第一実施形態を説明する。
第一実施形態における反射型露光用マスクは、反射型マスクブランクスにおいて、基板内に溝の底面が位置する遮光枠を形成したものである。
図1に示すように、反射型マスクブランクス10は、基板11の一方の面に多層反射膜12と、保護膜13と、単層の吸収膜14とが、この順に積層されている。また、基板11の他方の面には裏面導電膜15が形成されている。
基板11は石英基板であり、6インチ角であり厚さは6.35mmである。
まず、基板11の一方の面に、モリブデン(Mo)と珪素(Si)とをイオンビームスパッタリング装置で交互に40対、合計80層の膜を最上層が珪素(Si)となるように積層することで多層反射膜12を形成する。
次に、多層反射膜12の最上層の上に、保護膜13としてルテニウム(Ru)をマグネトロンスパッタにて積層する。保護膜13の上に、タンタル(Ta)を母材として珪素(Si)を含む化合物に窒素ガスを雰囲気中に混合した合金をマグネトロンスパッタにより堆積し、さらにその上層にタンタル(Ta)を母材として珪素(Si)を含む化合物に窒素ガス、酸素ガスを混合したガスを雰囲気中に混合した合金をマグネトロンスパッタにより堆積し、吸収膜14を積層する。そして、基板11の、多層反射膜12とは反対側の面にマグネトロンスパッタにより裏面導電膜15を形成する。
図2(a)、(b)に示すように、平面視が略正方形状の反射型マスク100の中央部の吸収膜14に、平面視で略矩形状の回路パターン部16が形成されている。さらに、回路パターン部16の外側に、吸収膜14、保護膜13及び多層反射膜12の一部に亙って、回路パターン部16の周囲を囲む溝状の遮光枠部17が形成されている。回路パターン部16には、チップとして形成される回路の回路パターンが形成される。遮光枠部17は、隣り合うチップの外周部どうしが重なる領域に対応して設けられる。
回折格子構造18の具体的な構造については後述する。
回折格子構造18は、DSA(directed self-assembly:自己組織化)法を用いて作成する。DSA法では、ジブロックコポリマーと呼ばれる、親水性と疎水性との性質の異なる二種類のポリマー分子を結合したポリマーを用いており、一般的に、PS-PMMA(ポリスチレン-ポリメチルメタクリレート)等の高分子が用いられる。
また、回折格子構造18は10nm以上1μm以下の周期の範囲内で形成されることが好ましく、10nm以上0.1μm以下であることがより好ましい。
通常回折格子は、格子形状が方向性を持っており、それによって一定方向に光が回折する。しかし、光を回折させるためには、必ずしも方向性を持つ必要はない。回折格子の方向性をランダムにすることによって、光の回折方向もランダムとなるため、光のエネルギーを拡散させる事ができる。そのため、露光光路中に強いエネルギーを持つ光が混入する危険性を大幅に低減する事ができる。
反射型マスク100は、図1に示す反射型マスクブランクス10に対し(図5(a))、回路パターン部16と遮光枠部17とを形成することによって作成される。
まず、反射型マスクブランクス10の吸収膜14の上に、電子線に反応を示す化学増幅系や非化学増幅系のレジスト21を、例えば200nmの膜厚で塗布し(図4のステップS1、図5(b))、所定の回路パターンAと溝状の遮光枠部17の開口部に相当する遮光枠領域Bのパターンとを例えば電子線描画装置により描画する(図4のステップS2、図5(c))。その後、アルカリ溶液等で現像を行い(図4のステップS3、図5(d))、これにより回路パターンA及び遮光枠領域Bのパターンが形成されたレジスト21を得る。そしてこのパターンが形成されたレジスト21をマスクにして、フッ素系ガスや塩素系ガスを用いたガスプラズマによるエッチングを行う(図4のステップS4、図5(e))。
以上の工程により、回路パターン部16が形成されると共に、吸収膜14の遮光枠部17が形成される領域に遮光枠領域Bのパターンが形成される。
回折格子構造18の形成は次の手順で行う。まず、遮光枠部17の溝部の露出した基板11に、ジブロックコポリマー19を塗布する(図4のステップS12、図6(e))。次に、ジブロックコポリマー19を塗布した後の反射型マスクブランクス10を加熱することにより、ジブロックコポリマー19に相分離を発生させ、回折格子の元となるポリマーのパターンを形成する(図4のステップS13、図6(f))。なお、ジブロックコポリマー19を塗布した後の反射型マスクブランクス10の加熱は、例えば、ホットプレートや、赤外線等の光エネルギーを用いて行う。
その後、基板11上に残ったジブロックコポリマー19の他方19bをマスクとして、フッ素系プラズマを用いて、基板11をエッチングし、回折格子構造18を形成する(図4のステップS15、図7(b))。これによって、遮光枠部17の溝部底面となる基板11部分に、DSA法を用いた回折格子構造18が形成される。
以上の工程により、反射型マスク100が完成した。
また、回折格子構造18を、DSA法を用いて形成している。そのため、方向性を持たず、また周期性を持たない回折格子構造を容易に形成することができ、また微細で精密な回折格子構造を容易に形成することができる。
次に、第一実施形態における反射型マスク100の実施例を説明する。
まず、図1に示す反射型マスクブランクス10を用意した。この反射型マスクブランクス10は、基板11の一方の面に、波長13.5nmのEUV光に対して反射率が64%程度となるように設計されたMoとSiとの40対の多層反射膜12と、膜厚2.5nmのRuの保護膜13と、膜厚70nmのTaSiからなる吸収膜14とがこの順に積層されている。また、基板11の他方の面に、裏面導電膜15が形成されている。
次いで、回路パターン部16が形成された反射型マスクブランクス10において、遮光枠部17を形成する工程を行った。すなわち、回路パターン部16が形成された反射型マスクブランクス10の吸収膜14の上にi線(波長365nm)露光用のレジスト22を500nmの膜厚で塗布し(ステップS8)、そこへ電子線描画装置(ALTA アプライドマテリアルズ社製)により遮光枠領域Bのパターンを描画し(ステップS9)、現像(ステップS10)を行うことにより、後に遮光枠領域Bとなる部分を除去したレジストパターンを形成した。このときレジストパターンの開口幅、つまり、遮光枠領域Bの幅は5mmとし、遮光枠領域Bは、マスク中心部となる位置に配置された10cm×10cmの回路パターン部16から3mm離れた位置に配置した。
次いで、遮光枠部17の溝部の底面に回折格子構造18を形成する工程を行った。
まず、反射型マスクブランクス10の遮光枠部17の溝部底面にPS-PMMAからなるジブロックコポリマー19を塗布し(ステップS12)、続いて10分間ベークする事によりジブロックコポリマー19の相分離を促し(ステップS13)、回折格子の元となるポリマーのパターンを形成した。
次に、本発明の第二実施形態を説明する。
第二実施形態における反射型露光用マスクは、第一実施形態において、回折格子構造18に代えて三次元構造31を設けたこと以外は同様である。同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
第二実施形態における反射型露光用マスク200では、第一実施形態と同様に、図1に示す反射型マスクブランクス10を用いる。
図8(a)、(b)に示すように、平面視が略正方形状の反射型マスク200の中央部の吸収膜14に、平面視で略矩形状の回路パターン部16が形成されている。さらに、回路パターン部16の外側に、吸収膜14、保護膜13、多層反射膜12及び基板11の一部に亙る深さを有する、回路パターン部16の周囲を囲む溝状の遮光枠部17が形成されている。
三次元構造31の具体的な構造については後述する。なお無秩序な三次元構造31とは、例えば平面視で大きさ、形状、向き、配置間隔等のうちの少なくともいずれかが異なる構造体を含んでいること、または、平面視が無秩序に配置された一連の線分となる構造体を含んでいること、をいう。
遮光枠部17に入射したEUV光及びDUV光は、無秩序な三次元構造31において、透過又は、吸収又は、散乱が生じる。三次元構造31は特定の周期性や方向成分を有していないため、光の散乱方向もランダムとなり、光のエネルギーを拡散させる事が可能となる。さらに、三次元の構造体を三次元構造31として底面に設けることで、三次元構造31のある部分で生じた散乱光を、他の部分に吸収させることができる。結果的に、遮光枠部17に照射されるEUV及びDUV領域の波長に対して高い遮光性を有する。
無秩序な三次元構造31は無秩序な三次元構造を有するレジストパターンをエッチングすることにより得ることができる。無秩序な三次元構造を有するレジストパターンは電子線又はレーザ描画で用いるパターンデータ図形を無秩序なパターンにすることで得られる。
図10(a)~(c)に無秩序パターンを有する描画データ例を示す。無秩序パターンとして、長さ及び向きの異なる複数の直線を一筆書き状に連なってなるパターン、大きさ及び配置がランダムな四角形又は円形等が一例として挙げられる。また、図10(a)~(c)のように、大きさの異なる同一形状の図形等からなるパターンに限るものではなく、異なる形状の図形が混在するパターンであってもよい。
(第一の製造方法)
まず、反射型マスク200の第一の製造方法の一例を、図11~図13を伴って説明する。図11は、製造工程を示すフローチャート、図12、図13は各工程における反射型マスク200の状態の一例を示す断面図である。
反射型マスク200は、図1に示す反射型マスクブランクス10に対し(図12(a))、回路パターン部16と遮光枠部17とを形成することにより作成される。
次に、このようにしてパターンが形成されたレジスト21をマスクにして、フッ素系ガスや塩素系ガスを用いたガスプラズマによるエッチングを行う(図11のステップS4、図12(e))。
以上の工程により、吸収膜14に、回路パターン部16と、遮光枠領域B及び三次元構造31を形成するためのパターンとが形成される。
遮光枠部17の溝部を形成するためのエッチングは図11のステップS4のエッチング工程にて、吸収膜14にパターンが形成されているため、遮光枠部17の遮光枠領域Bに相当する部分にはそのエッチングレート差により基板11に三次元構造31が形成される。その後、不要なレジスト22を酸素プラズマによる灰化や硫酸やオゾン水等の酸化薬液による分解又は有機溶剤等で溶解し除去する(図11のステップS12)。その後、必要に応じて、酸・アルカリ系薬品やオゾンガスや水素ガス等を溶解した超純水や有機アルカリ系薬品、界面活性剤等による洗浄処理(図11のステップS13)と、遠心力を利用したスピン乾燥(図11のステップS14)を行う。
以上の工程を経ることで、反射型マスク200を得ることができる。
次に、反射型マスク200の第二の製造方法の一例を、図14~図17を伴って説明する。図14は、製造工程を示すフローチャート、図15~図17は各工程における反射型マスク200の状態の一例を示す断面図である。
反射型マスク200は、図1に示す反射型マスクブランクス10に対し(図15(a))、回路パターン部16と遮光枠部17とを形成することにより作成する。
まず、反射型マスクブランクス10の吸収膜14の上に、電子線に反応を示す化学増幅系や非化学増幅系のレジスト21を、例えば200nmの膜厚で塗布し(図14のステップS1、図15(b))、所定の回路パターンAを例えば電子線描画装置により描画する(図14のステップS2、図15(c))。その後、アルカリ溶液等で現像を行い(図14のステップS3、図15(d))、これにより回路パターンAが形成されたレジスト21が得られる。
その後、不要となったレジスト21を、酸素プラズマによる灰化や硫酸やオゾン水等の酸化薬液による分解、又は有機溶剤等で溶解することにより、除去する(図14のステップS5、図15(f))。その後、必要に応じて、酸・アルカリ系薬品やオゾンガスや水素ガス等を溶解した超純水や有機アルカリ系薬品、界面活性剤等による洗浄処理(図14のステップS6)と、遠心力を利用したスピン乾燥とを行う(図14のステップS7)。
以上の工程により、吸収膜14に回路パターン部16が形成される。
その後、不要なレジスト22を酸素プラズマによる灰化や硫酸やオゾン水等の酸化薬液による分解ないし有機溶剤等で溶解し除去する(図14のステップS12、図16((e))。
以上の工程を経ることで、吸収膜14、保護膜13、多層反射膜12、及び基板11の一部とに亙って溝部が形成された、溝部底面が平坦な遮光枠部17を形成することができる。
最後に洗浄(図14のステップS21、図17(f))及びスピン乾燥(図14のステップS22)を行なうことで、反射型マスク200を得ることができる。
以上の工程により、反射型マスク200が完成した。
その結果、EUV光、DUV光を含むアウトオブバンド光の波長領域において、高い遮光性を有する反射型マスク200を実現することができる。つまり、露光対象となっている回路パターン部16の形成領域を除く領域から光が反射することを低減することができるため、精度よく露光転写を行うことができる。
また、三次元構造31をDSA法を用いて形成しているため、無秩序な三次元構造を容易に形成することができる。
次に、第二実施形態における反射型マスク200の実施例を説明する。
この実施例は、第二の製造方法を用いて反射型マスク200を形成したものである。
まず、図15(a)に示す反射型マスクブランクス10を用意した。この反射型マスクブランクス10は、基板11の一方の面に、波長13.5nmのEUV光に対して反射率が64%程度となるように設計されたMoとSiとの40対の多層反射膜12と、膜厚2.5nmのRuの保護膜13と、膜厚70nmのTaSiからなる吸収膜14とがこの順に積層されている。また、他方の面に裏面導電膜15が形成されている。
次いで、ドライエッチング装置を用いて、CF4プラズマとCl2プラズマとにより、吸収膜14をエッチングし(ステップS4)、レジスト除去(ステップS5)、洗浄(ステップS6)、乾燥(ステップS7)の各処理を行うことで、図8に示す回路パターン部16を形成した。回路パターンAとして、寸法200nmの1:1のラインアンドスペースパターンを反射型マスク200の中心となるに配置した。回路パターン部16のパターン領域の大きさは、10cm×10cmとした。
次に、本発明の第三実施形態を説明する。
第三実施形態における反射型露光用マスクは、第一実施形態において、回折格子構造を、吸収膜内又は保護膜の表面に形成したものである。第一実施形態と同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
第三実施形態における反射型露光用マスク300では、第一実施形態と同様に、図1に示す反射型マスクブランクス10を用いる。
図18に示すように、平面視が略正方形状の反射型マスク300の中央部の吸収膜14に、平面視で略矩形状の回路パターン部16が形成されている。さらに、回路パターン部16の外側の吸収膜14部分に、回路パターン部16の周囲を囲む溝状の遮光枠部17が形成されている。
回折格子構造35の具体的な構造については後述する。図18では、方向性のない周期的な回折格子を持つ回折格子構造35が形成されている場合を表し、回折格子構造35としてフィンガープリントタイプのパターンを有する回折格子構造35aが形成されている場合を表す。
回折格子構造35は、DSA法を用いて形成する。
また、ポリマー分子の組成比を例えば、1:4に調整することにより、図20に示すように、ドット状の構造の自己整合を起こさせることができ、ドットタイプのパターンを有する回折格子構造35cを形成することができる。
また、例えば図21に示すように、遮光枠部17の溝の側面に溝側に突出したガイドパターン37を設けることによって、任意の方向にパターンを自己整合させたり、方向性を乱すことができる。
なお、図19~図21のそれぞれにおいて、(a)は平面図、(b)は(a)の遮光枠部17の一部の拡大図、(c)は(b)のY-Y′断面図である。
反射型マスク300は、図1に示す反射型マスクブランクス10に対し(図23(a))、回路パターン部16と遮光枠部17とを形成することにより作成する。
まず、反射型マスクブランクス10の吸収膜14の上に、電子線に反応を示す化学増幅系や非化学増幅系のレジスト21を、例えば200nmの膜厚で塗布し(図22のステップS1、図23(b))、所定の回路パターンAを例えば電子線描画装置により描画する(図22のステップS2、図23(c))。その後、アルカリ溶液等で現像を行い(図22のステップS3、図23(d))、これにより回路パターン部16が形成されたレジスト21を得る。このレジスト21をマスクにして、吸収膜14を、フッ素系ガスや塩素系ガスを用いたガスプラズマによるエッチングを行う(図22のステップS4、図23(e))。
以上の工程により、吸収膜14に、回路パターンAが形成される。
なおレジスト22は、回路パターンA等、遮光枠領域Bを除く領域をこの後の工程において保護するために、残留させる。
その後、吸収膜14のエッチングを行い、DSA法により回折格子構造35を吸収膜14に形成する(図22のステップS14、図24(f))。このエッチングの際、吸収膜14の底までエッチングしても良いが、吸収膜14の途中でエッチングを終えても良い。吸収膜14の底までエッチングしなくても、100nm以下の小さな周期のパターンを有する回折格子構造35を形成することでEUV光及びOoB光の反射低減効果を得ることが出来る。
以上の工程により、第三実施形態における反射型マスク300が完成した。
このような露出時の帯電の対策として、例えば、特許文献1に示すように、多層反射膜の最下層の数層(導電性を有するMoを少なくとも含む)を残したり、多層反射層の下地にTa又はCrを含む導電層を予め1層設ける方法等も提案されている。
しかしながら、第三実施形態における反射型マスク300は吸収層14にのみ溝部を設け、多層反射膜12に到達する溝部を設けていないため、多層反射膜12の側壁から異物が発生することを回避することができる。
次に、第三実施形態における反射型マスク300の実施例を説明する。
まず、図23(a)に示す反射型マスクブランクス10を用意した。この反射型マスクブランクス10は、基板11の一方の面に、波長13.5nmのEUV光に対して反射率が64%程度となるように設計されたMoとSiとの40対の多層反射膜12と、膜厚2.5nmのRuの保護膜13と、膜厚70nmのTaSiからなる吸収膜14とがこの順に積層されている。また、基板11の他方の面に、裏面導電膜15が形成されている。
次いで、回路パターン部16が形成された反射型マスクブランクス10に対して遮光枠部17を形成する工程を行った。すなわち、回路パターン部16が形成された吸収層14の上に、i線露光用のレジスト22を500nmの膜厚で塗布し(ステップS8)、そこへ電子線描画装置(ALTA アプライドマテリアルズ社製)により遮光枠領域Bのパターンを描画し(ステップS9)、現像(ステップS10)を行うことにより、遮光枠領域Bに対応する部分を除去したレジストパターンを形成した。このときレジストパターンの開口幅、つまり、遮光枠領域Bの幅は5mmとし、マスク中心部となる位置に形成された10cm×10cmの回路パターン部16から3mm離れた位置に、配置した。
まず、遮光枠領域Bが除去されたレジストパターンが形成されたi線露光用のレジスト22をマスクとして、吸収層14の、平面視で遮光枠領域Bと重なる部分にPS-PMMAからなるジブロックコポリマー19を塗布し(ステップS11)、続いて60分間ベークする事により相分離を促した(ステップS12)。
次に酸素プラズマによりPMMAからなるジブロックコポリマー19aを選択的に除去し、(ステップS13)残ったPSからなるジブロックコポリマー19bで構成されるパターンをマスクとしてエッチングを行うと、平面視で、遮光枠領域Bと重なる吸収層14に回折格子構造35が形成された(ステップS13)。次いで、レジスト22、及びPSからなるジブロックコポリマー19bの除去(ステップS15)、洗浄(ステップS16)、乾燥(ステップS17)を行い、反射型マスク300が完成した。
また、以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例又は実施形態も網羅すると解すべきである。
11 基板
12 多層反射膜
13 保護膜
14 吸収膜
15 裏面導電膜
16 回路パターン部
17 遮光枠部
18、35 回折格子構造
19 ジブロックコポリマー
21、22、23 レジスト
31 三次元構造
32 導電膜
37 ガイドパターン
100、200、300 反射型露光用マスク
Claims (2)
- 基板と、当該基板の一方の面に多層反射層と保護層と露光光を吸収する吸収層とがこの順に積層された積層構造と、
前記基板の他方の面に形成された導電層と、を備えた反射型露光用マスクであって、前記吸収層に形成された回路パターン部と、
当該回路パターン部を囲むように形成された溝状の遮光枠部と、を備え、
前記遮光枠部の溝部底面に、露光に伴う入射光に対する反射率が前記回路パターン部における反射率よりも小さい反射低減構造が形成され、
前記反射低減構造は、回折格子構造であり、
前記回折格子構造は前記吸収層の一部からなり、
前記回折格子構造の下端が前記吸収層内又は前記保護層表面に位置し、
前記回折格子構造の周期は100nm以下であり、
前記回折格子構造は、方向性を持たない周期性のある回折構造であり、
前記回折格子構造は、フィンガープリントタイプのパターンを有することを特徴とする反射型露光用マスク。 - 前記露光光の波長が5nm以上15nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射型露光用マスク。
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JP2016158778A JP7005129B2 (ja) | 2016-08-12 | 2016-08-12 | 反射型露光用マスク |
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