JP7005129B2 - 反射型露光用マスク - Google Patents

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Description

本発明は、反射型露光用マスク及びその製造方法に関する。
(EUVリソグラフィの説明)
近年、半導体デバイスの微細化に伴い、波長が13.5nm近傍のEUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外線)領域の光を光源に用いたEUVリソグラフィが提案されている。EUV光は、光源波長が短く、空気にすら吸収されてしまうほど光吸収性が高いため、EUVリソグラフィは真空中で行われる必要がある。またEUV光の波長領域においては、ほとんどの物質の屈折率は「1」よりもわずかに小さい値である。このため、EUVリソグラフィにおいては従来から用いられてきた透過型の屈折光学系を使用することができず、反射光学系となる。従って、原版となるフォトマスクも、従来の透過型のマスクは使用できないため、反射型のマスクとする必要がある。(以下、本願明細書においては、EUVリソグラフィに用いられる反射型露光用マスクを、反射型マスク又はEUVマスクと称することもある。)
(EUVマスクとブランクス構造の説明)
このようなEUVマスクの元となる反射型マスクブランクスは、低熱膨張基板の上に、露光光源波長に対して高い反射率を示す多層反射層と、露光光源波長の吸収層とがこの順に積層されており、さらに基板の裏面には露光機内における静電チャックのための裏面導電膜が形成されている。また、多層反射層と吸収層との間に緩衝層を有する構造を持つEUVマスクもある。多層反射層は、例えば、Mo(モリブデン)とSi(珪素)とが約7nmの周期で、40周期すなわち全80層が積層されてなる(例えば、特許文献1参照。)。
反射型マスクブランクスから反射型マスクへ加工する際には、EB(電子線)リソグラフィとエッチング技術とにより吸収層を部分的に除去し、緩衝層を有する構造の場合はこれも同じく除去し、吸収部と反射部とからなる回路パターンを作成する。このように形成された反射型マスクによって反射された光像が反射光学系を経て半導体基板上に転写される。
(EUVマスクの吸収層の膜厚と反射率の説明)
反射光学系を用いた露光方法では、マスク面に対して垂直方向から所定角度傾いた入射角(通常6°)で露光光の照射が行われる。吸収層の膜厚が厚い場合、回路パターン自身の影が生じてしまい、この影となった部分における反射強度は、影になっていない部分よりも小さいため、コントラストが低下し、転写パターンにはパターンエッジ部のぼやけや設計寸法からのずれが生じてしまう。これはシャドーイングと呼ばれ、反射型マスクの原理的課題の一つである。
このようなパターンエッジ部のぼやけや設計寸法からのずれを防ぐためには、吸収層の膜厚を小さくし、回路パターンの高さを低くすることが有効である。しかしながら、吸収層の膜厚が小さくなると吸収層における遮光性が低下し、そのため転写コントラストが低下し、結果的に転写パターンの精度低下となる。つまり吸収層を薄くし過ぎると転写パターンの精度を保つための必要なコントラストが得られなくなってしまう。吸収層の膜厚は厚すぎても薄すぎても問題になるので、吸収層の膜厚は、現在は概ね50nm以上90nm以下の間になっており、EUV光(極端紫外光)の吸収層での反射率は0.5%以上2%以下程度である。
(隣接するチップの多重露光の説明)
一方、反射型マスクを用いて半導体基板上に回路の転写パターンを作成する際、一枚の半導体基板上には複数の回路パターンのチップが形成される。そのため、隣接するチップ間において、チップ外周部が重なる領域が存在する場合がある。これはウェハ1枚あたりに取れるチップを出来るだけ多くしたいという生産性向上の目的でチップを高密度に配置するためである。この場合、チップ間においてチップ外周部が重なる領域については複数回(最大で4回)に渡り露光(多重露光)されることになる。この転写パターンのチップ外周部の部分は、反射型マスクにおいてもその外周部に相当し、通常は吸収層の部分に対応している。上述のように、吸収層上でのEUV光の反射率は、0.5%以上2%以下程度であるために、多重露光によりチップ外周部が感光してしまうという問題がある。
このため、反射型マスクにおいてチップ外周部に相当する部分に通常の吸収層よりもEUV光の遮光性の高い領域(以下、遮光枠と呼ぶ)を設ける必要性がある。
このような問題を解決するために、反射型マスクの吸収層から多層反射層までを掘り込んだ溝を、チップ外周部に相当する部分、すなわち回路の転写パターンを囲むように転写パターンの外周部に形成することで、多層反射層の反射率を低下させ、露光光源波長に対する遮光性の高い遮光枠を設けた反射型マスクが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007-273651号公報 特開2009-212220号公報
ところで、EUV光源は13.5nmにその放射スペクトルのピークを有するが、アウトオブバンド(Out of Band)と呼ばれる13.5nm帯以外の150nm以上の真空紫外線から近赤外線領域の光も放射することが知られている。このアウトオブバンド光は本来不必要なものであり、半導体基板上に塗布されたレジストを感光することから、フィルター等で除去すべき不要な光である。
しかしながらタンタル(Ta)を用いた光吸収層は真空紫外線から遠紫外線(Deep Ultra Violet:遠紫外線)領域の光も反射することから、上述の通り、隣接したチップの境界領域近傍の半導体配線部分において無視できない光量が積算され、配線パターンの寸法に影響を与える問題が発生する。
そこで、本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、半導体基板で多重露光されるチップの境界領域に相応するマスク領域(遮光枠)からの不要な反射光の発生を抑制することの可能な反射型露光用マスク及び反射型露光用マスクの製造方法を提供することを目的としている。
基板と、当該基板の一方の面に多層反射層と保護層と露光光を吸収する吸収層とがこの順に積層された積層構造と、
前記基板の他方の面に形成された導電層と、を備えた反射型露光用マスクであって、前記吸収層に形成された回路パターン部と、
当該回路パターン部を囲むように形成された溝状の遮光枠部と、を備え、
前記遮光枠部の溝部底面に、露光に伴う入射光に対する反射率が前記回路パターン部における反射率よりも小さい反射低減構造が形成され、
前記反射低減構造は、回折格子構造であり、
前記回折格子構造は前記吸収層の一部からなり、
前記回折格子構造の下端が前記吸収層内又は前記保護層表面に位置し、
前記回折格子構造の周期は100nm以下であり、
前記回折格子構造は、方向性を持たない周期性のある回折構造であり、
前記回折格子構造は、フィンガープリントタイプのパターンを有することを特徴とする反射型露光用マスク、が提供される。
本発明の一態様によれば、遮光枠部の遮光性を向上させ、露光対象である回路パターン部を除く領域から露光に伴う入射光が反射することを低減することができ、高精度に露光転写を行うことができる。
本発明の一実施形態に係る反射型マスクブランクスの一例を示す断面図である。 本発明の第一実施形態に係る反射型露光用マスクの一例を示す平面図及び断面図である。 本発明の第一実施形態に係る反射型露光用マスクの回折格子構造の一例を示す平面図及び断面図である。 本発明の第一実施形態に係る反射型露光用マスクの製造工程の一例を示すフローチャートである。 本発明の第一実施形態に係る反射型露光用マスクの製造工程の一例を説明するための断面図である。 図5の続きである。 図6の続きである。 本発明の第二実施形態に係る反射型露光用マスクの一例を示す平面図及び断面図である。 本発明の第二実施形態に係る反射型露光用マスクの三次元構造の一例を示す平面図及び断面図である。 三次元構造を形成するための描画データの一例である。 本発明の第二実施形態に係る反射型露光用マスクの製造工程の一例を示すフローチャートである。 本発明の第二実施形態に係る反射型露光用マスクの製造工程の一例を説明するための断面図である。 図12の続きである。 本発明の第二実施形態に係る反射型露光用マスクの製造工程のその他の例を示すフローチャートである。 本発明の第二実施形態に係る反射型露光用マスクの製造工程のその他の例を説明するための断面図である。 図15の続きである。 図16の続きである。 本発明の第三実施形態に係る反射型露光用マスクの回折格子構造の一例を示す平面図及び断面図である。 本発明の第三実施形態に係る反射型露光用マスクの回折格子構造のその他の例を示す平面図及び断面図である。 本発明の第三実施形態に係る反射型露光用マスクの回折格子構造のその他の例を示す平面図及び断面図である。 本発明の第三実施形態に係る反射型露光用マスクの遮光枠部の一例を示す平面図及び断面図である。 本発明の第三実施形態に係る反射型露光用マスクの製造工程の一例を示すフローチャートである。 本発明の第三実施形態に係る反射型露光用マスクの製造工程の一例を説明するための断面図である。 図23の続きである。 図24の続きである。
以下に、本発明の一実施形態に係る反射型露光用マスクについて図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する各図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。また、各図面は説明を容易にするために適宜誇張して表現している。
さらに、本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、各部の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
なお、本明細書では、説明に際し、膜として説明しているが、膜を層としてもよいことは言うまでもない。
<第一実施形態>
まず、第一実施形態を説明する。
第一実施形態における反射型露光用マスクは、反射型マスクブランクスにおいて、基板内に溝の底面が位置する遮光枠を形成したものである。
図1は、第一実施形態における反射型露光用マスクに用いた反射型マスクブランクス10の一例を示す断面図である。より具体的には、EUV光を用いた露光に使用するマスク用のブランクスである。EUV光の波長は、例えば13.5nmである。なお、ここでは、露光光としてEUV光を用いているが、露光光としては、例えば波長5nm以上15nm以下の光を適用することができる。
図1に示すように、反射型マスクブランクス10は、基板11の一方の面に多層反射膜12と、保護膜13と、単層の吸収膜14とが、この順に積層されている。また、基板11の他方の面には裏面導電膜15が形成されている。
反射型マスクブランクス10は例えば次の手順で作成する。
基板11は石英基板であり、6インチ角であり厚さは6.35mmである。
まず、基板11の一方の面に、モリブデン(Mo)と珪素(Si)とをイオンビームスパッタリング装置で交互に40対、合計80層の膜を最上層が珪素(Si)となるように積層することで多層反射膜12を形成する。
次に、多層反射膜12の最上層の上に、保護膜13としてルテニウム(Ru)をマグネトロンスパッタにて積層する。保護膜13の上に、タンタル(Ta)を母材として珪素(Si)を含む化合物に窒素ガスを雰囲気中に混合した合金をマグネトロンスパッタにより堆積し、さらにその上層にタンタル(Ta)を母材として珪素(Si)を含む化合物に窒素ガス、酸素ガスを混合したガスを雰囲気中に混合した合金をマグネトロンスパッタにより堆積し、吸収膜14を積層する。そして、基板11の、多層反射膜12とは反対側の面にマグネトロンスパッタにより裏面導電膜15を形成する。
図2は、本発明の一実施形態における反射型露光用マスク100の一例であって、(a)は平面図、(b)は(a)のX-X′断面図である。
図2(a)、(b)に示すように、平面視が略正方形状の反射型マスク100の中央部の吸収膜14に、平面視で略矩形状の回路パターン部16が形成されている。さらに、回路パターン部16の外側に、吸収膜14、保護膜13及び多層反射膜12の一部に亙って、回路パターン部16の周囲を囲む溝状の遮光枠部17が形成されている。回路パターン部16には、チップとして形成される回路の回路パターンが形成される。遮光枠部17は、隣り合うチップの外周部どうしが重なる領域に対応して設けられる。
遮光枠部17の溝部内側の底面には方向性を持たない回折格子構造18を有する。この回折格子構造18は、基板11上に設けられており、立体的に加工を施された形状を有する。この回折格子構造18は、反射型マスク100の上方、すなわち吸収膜14側から入射されるEUV光及びDUV(Deep Ultraviolet:遠紫外線)光が、反射型マスク100の表面、及び裏面で反射された際に遮光枠部17から再び光軸上に反射しにくい形状を有する。なお、ここでいう方向性を持たない回折格子構造18とは、ランダムな方向に回折格子が形成されていることをいう。
回折格子構造18の具体的な構造については後述する。
次に、回折格子構造18の作成手順を説明する。ここでは、方向性のない周期的な回折格子構造を持つ回折格子構造18を作成する場合について説明する。なお、回折格子構造18は、方向性のない回折格子構造であれば、周期的な回折格子構造及び周期的でない回折格子構造であってもよい。なお、ここでいう、周期的な回折格子構造とは、回折格子が周期的に現れるパターンで配置されている回折格子構造をいい、周期的でない回折格子構造とは、回折格子がランダムなパターンで配置されている回折格子構造をいう。
回折格子構造18は、DSA(directed self-assembly:自己組織化)法を用いて作成する。DSA法では、ジブロックコポリマーと呼ばれる、親水性と疎水性との性質の異なる二種類のポリマー分子を結合したポリマーを用いており、一般的に、PS-PMMA(ポリスチレン-ポリメチルメタクリレート)等の高分子が用いられる。
通常DSA法では、ポリマーが同一種類のポリマー同士で集合する特性を用い、ガイドパターンに沿って自己整合させる手法が用いられるが、本実施形態においては、ガイドパターンがない場合にはポリマーがランダムに自己整合する特性を用いて、方向性のない、例えば図3に示すパターンの回折格子構造18を作成してもよい。図3において(a)は反射型マスク100の平面図、(b)は図3(a)の遮光枠部17の一部の拡大図、(c)は図3(b)のY-Y′断面図である。図3(b)は、回折格子構造18として、方向性を持たないフィンガープリントタイプの回折格子構造18が形成されている場合を示す。
DSA法により形成されるパターンの寸法は、使用するポリマーの長さにより、長さ数nmから0.1μmの範囲で形成することができる。ここでいうパターンの寸法とは、例えば図3(b)に示す回折格子構造18のパターンにおいて、パターン周期が最小となるパターン部分において、パターン周期が最小となる方向のパターンの幅をいう。
また、回折格子構造18は10nm以上1μm以下の周期の範囲内で形成されることが好ましく、10nm以上0.1μm以下であることがより好ましい。
通常回折格子は、格子形状が方向性を持っており、それによって一定方向に光が回折する。しかし、光を回折させるためには、必ずしも方向性を持つ必要はない。回折格子の方向性をランダムにすることによって、光の回折方向もランダムとなるため、光のエネルギーを拡散させる事ができる。そのため、露光光路中に強いエネルギーを持つ光が混入する危険性を大幅に低減する事ができる。
本発明の第一実施形態では、反射を抑制したい波長はEUV光とDUV光を含むOoB(アウトオブバンド)光であるが、EUV光に関しては、多層反射膜12をエッチングにより除去する事で反射を抑制することができる。一方、OoB光に関しては遮光枠部17の表面及び裏面からの反射を、遮光枠部17の溝部の底面をなす露出した基板11上に形成した回折格子構造18を含む遮光枠部17の表面により拡散させる事により反射を抑制する。
次に、第一実施形態における反射型マスク100の製造方法の一例を、図4~図7を伴って説明する。図4は、製造工程を示すフローチャート、図5~図7は各工程における反射型マスク100の状態の一例を示す断面図である。
反射型マスク100は、図1に示す反射型マスクブランクス10に対し(図5(a))、回路パターン部16と遮光枠部17とを形成することによって作成される。
まず、反射型マスクブランクス10の吸収膜14の上に、電子線に反応を示す化学増幅系や非化学増幅系のレジスト21を、例えば200nmの膜厚で塗布し(図4のステップS1、図5(b))、所定の回路パターンAと溝状の遮光枠部17の開口部に相当する遮光枠領域Bのパターンとを例えば電子線描画装置により描画する(図4のステップS2、図5(c))。その後、アルカリ溶液等で現像を行い(図4のステップS3、図5(d))、これにより回路パターンA及び遮光枠領域Bのパターンが形成されたレジスト21を得る。そしてこのパターンが形成されたレジスト21をマスクにして、フッ素系ガスや塩素系ガスを用いたガスプラズマによるエッチングを行う(図4のステップS4、図5(e))。
その後、不要となったレジスト21のパターンを、酸素プラズマによる灰化や硫酸やオゾン水等の酸化薬液による分解、又は有機溶剤等で溶解することにより、除去する(図4のステップS5、図5(f))。その後、必要に応じて、酸・アルカリ系薬品やオゾンガスや水素ガス等を溶解した超純水や有機アルカリ系薬品、界面活性剤等による洗浄処理(図4のステップS6)と、遠心力を利用したスピン乾燥とを行う(図4のステップS7)。
以上の工程により、回路パターン部16が形成されると共に、吸収膜14の遮光枠部17が形成される領域に遮光枠領域Bのパターンが形成される。
次に、保護膜13と多層反射膜12のうち平面視で遮光枠領域Bと重なる部分を除去する。具体的には、まず、回路パターンAと遮光枠領域Bのパターンが形成された吸収膜14の上に、紫外線又は電子線に反応を示すレジスト22を塗布する(図4のステップS8、図6(a))。その後、レジスト22に、遮光枠領域Bのパターンを露光又は電子線により描画する(図4のステップS9、図6(b))。次いで、図4のステップS3の処理と同様にしてアルカリ溶液等で現像を行い(図4のステップS10、図6(c))、遮光枠領域Bのパターンを形成する。この遮光枠領域Bのパターンが形成されたがレジスト22をマスクにして、ガスプラズマによるエッチングを行い(図4のステップS11、図6(d))、保護膜13と多層反射膜12のうち平面視で遮光枠領域Bと重なる部分を除去する。これにより、遮光枠部17の溝部が形成される。エッチング工程(図4のステップS11)では、まず、保護膜13の除去をフッ素系ガスプラズマを用いて行い、多層反射膜12の除去は保護膜13と同じくフッ素系ガスプラズマ又は塩素系ガスプラズマを交互に用いる方法で行なう。
次に基板11の遮光枠部17の溝部底面に回折格子構造18を形成する。レジスト22は回路パターンA等、遮光枠領域Bを除く領域をこの後の工程における各種処理から保護する為に残留させる。
回折格子構造18の形成は次の手順で行う。まず、遮光枠部17の溝部の露出した基板11に、ジブロックコポリマー19を塗布する(図4のステップS12、図6(e))。次に、ジブロックコポリマー19を塗布した後の反射型マスクブランクス10を加熱することにより、ジブロックコポリマー19に相分離を発生させ、回折格子の元となるポリマーのパターンを形成する(図4のステップS13、図6(f))。なお、ジブロックコポリマー19を塗布した後の反射型マスクブランクス10の加熱は、例えば、ホットプレートや、赤外線等の光エネルギーを用いて行う。
次に、現像工程、具体的にはDSA現像により、選択的にジブロックコポリマー19の一方、例えば19aのみを溶解させて除去する(図4のステップS14、図7(a))。これにより、ジブロックコポリマー19の他方19bのみが基板11上に残る。
その後、基板11上に残ったジブロックコポリマー19の他方19bをマスクとして、フッ素系プラズマを用いて、基板11をエッチングし、回折格子構造18を形成する(図4のステップS15、図7(b))。これによって、遮光枠部17の溝部底面となる基板11部分に、DSA法を用いた回折格子構造18が形成される。
次に、ステップS15でのエッチングの際の、遮光枠領域Bを除く部分のマスクとなっていたレジスト22とジブロックコポリマー19の他方19bをレジスト除去工程により除去し(図4のステップS16、図7(c))、酸・アルカリ系薬品やオゾンガスや水素ガス等を溶解した超純水や有機アルカリ系薬品、界面活性剤等による洗浄処理(図4のステップS17)と、遠心力を利用したスピン乾燥(図4のステップS18)とを行う。
以上の工程により、反射型マスク100が完成した。
このように、第一実施形態における反射型マスク100は、遮光枠部17の溝部の基板11が露出している部分には回折格子構造18が形成されている。その結果、EUV光及びアウトオブバンド光を、回折格子構造18による回折効果によって拡散することができる。そのため、結果として露光光に対して遮光枠部17から反射する、DUV光やアウトオブバンド光等といった余計な反射光を除去する事ができ、ウェハ上にあるチップの境界領域(つまり、遮光枠領域Bに対応)における多重露光を防止する事ができる。その結果、EUV光、DUV光を含むアウトオブバンド光の波長領域において、高い遮光性を有する反射型マスク100を実現することができる。つまり、露光対象となっている回路パターン部16の形成領域を除く領域から光が反射することを低減することができるため、精度よく露光転写を行うことができる。
また、回折格子構造18を、DSA法を用いて形成している。そのため、方向性を持たず、また周期性を持たない回折格子構造を容易に形成することができ、また微細で精密な回折格子構造を容易に形成することができる。
<実施例>
次に、第一実施形態における反射型マスク100の実施例を説明する。
まず、図1に示す反射型マスクブランクス10を用意した。この反射型マスクブランクス10は、基板11の一方の面に、波長13.5nmのEUV光に対して反射率が64%程度となるように設計されたMoとSiとの40対の多層反射膜12と、膜厚2.5nmのRuの保護膜13と、膜厚70nmのTaSiからなる吸収膜14とがこの順に積層されている。また、基板11の他方の面に、裏面導電膜15が形成されている。
この反射型マスクブランクス10に対し、ポジ型化学増幅レジスト21(FEP171:富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)を300nmの膜厚で塗布し(図4のステップS1)、電子線描画装置(JBX3040:日本電子株式会社製)を使用して、所定の回路パターンAと遮光枠領域Bのパターンとを描画した(ステップS2)。その後、110℃、10分のPEB(Post Exposure Bake:照射後ベーク)及びスプレー現像を、PEB及び現像装置(SFG3000/シグマメルテック社製)を用いて行い、レジスト21部分に回路パターンA及び遮光枠領域Bのパターンを形成した(ステップS3)。
次いで、ドライエッチング装置を用いて、CFプラズマ及びClプラズマにより、吸収膜14をエッチングし(ステップS4)、レジストを除去し(ステップS5)、洗浄(ステップS6)し、乾燥(ステップS7)することで、図2に示す回路パターン部16を形成した。回路パターン部16は、例えば、寸法200nmの1:1のラインアンドスペースパターンを反射型マスクブランクス10のマスク中心に配置した。回路パターン部16の領域の大きさは10cm×10cmとした。
次いで、回路パターン部16が形成された反射型マスクブランクス10において、遮光枠部17を形成する工程を行った。すなわち、回路パターン部16が形成された反射型マスクブランクス10の吸収膜14の上にi線(波長365nm)露光用のレジスト22を500nmの膜厚で塗布し(ステップS8)、そこへ電子線描画装置(ALTA アプライドマテリアルズ社製)により遮光枠領域Bのパターンを描画し(ステップS9)、現像(ステップS10)を行うことにより、後に遮光枠領域Bとなる部分を除去したレジストパターンを形成した。このときレジストパターンの開口幅、つまり、遮光枠領域Bの幅は5mmとし、遮光枠領域Bは、マスク中心部となる位置に配置された10cm×10cmの回路パターン部16から3mm離れた位置に配置した。
次いで、ドライエッチング装置を用いてCHFプラズマ(ドライエッチング装置内の圧力50mTorr(1mTorr≒133.322×10-3Pa)、ICP(誘導結合プラズマ)パワー500W、RIE(反応性イオンエッチング)パワー2000W、CHF:流量20sccm(1sccm=6×10-5/h)、処理時間6分により、平面視でレジストパターンの開口部と重なる吸収膜14と多層反射膜12とを垂直性ドライエッチングで貫通・除去した(ステップS11)。
次いで、遮光枠部17の溝部の底面に回折格子構造18を形成する工程を行った。
まず、反射型マスクブランクス10の遮光枠部17の溝部底面にPS-PMMAからなるジブロックコポリマー19を塗布し(ステップS12)、続いて10分間ベークする事によりジブロックコポリマー19の相分離を促し(ステップS13)、回折格子の元となるポリマーのパターンを形成した。
次に酸素プラズマによりPMMAからなるジブロックコポリマー19aを選択的に除去し、(ステップS14)残ったPSからなるジブロックコポリマー19bで構成されるパターンをマスクとしてエッチングを行うと、遮光枠部17の溝部内の露出する基板11部分に回折格子構造18が形成された(ステップS15)。次いで、レジスト22、及びPSからなるジブロックコポリマー19bの除去(ステップS16)、洗浄(ステップS17)、乾燥(ステップS18)を行い、反射型マスク100が完成した。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態を説明する。
第二実施形態における反射型露光用マスクは、第一実施形態において、回折格子構造18に代えて三次元構造31を設けたこと以外は同様である。同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
第二実施形態における反射型露光用マスク200では、第一実施形態と同様に、図1に示す反射型マスクブランクス10を用いる。
図8は、第二実施形態における反射型露光用マスク200の一例であって、(a)は平面図、(b)は(a)のX-X′断面図である。
図8(a)、(b)に示すように、平面視が略正方形状の反射型マスク200の中央部の吸収膜14に、平面視で略矩形状の回路パターン部16が形成されている。さらに、回路パターン部16の外側に、吸収膜14、保護膜13、多層反射膜12及び基板11の一部に亙る深さを有する、回路パターン部16の周囲を囲む溝状の遮光枠部17が形成されている。
遮光枠部17の溝部内側の底面には図9に示すような無秩序な三次元構造31が形成されている。この三次元構造31は基板11に設けられており、立体的に加工が施された形状を有する。この三次元構造31は、反射型マスク200の上方、すなわち吸収膜14側から入射されるEUV光及びDUV光が、反射型マスク200の表面、及び裏面で反射された際に遮光枠部17から再び光軸上に反射しにくい形状を有する。なお、図9において(a)は平面図、(b)は(a)における遮光枠部17の一部の拡大図、(c)は(b)のY-Y′断面図である。
三次元構造31の具体的な構造については後述する。なお無秩序な三次元構造31とは、例えば平面視で大きさ、形状、向き、配置間隔等のうちの少なくともいずれかが異なる構造体を含んでいること、または、平面視が無秩序に配置された一連の線分となる構造体を含んでいること、をいう。
次に、遮光枠部17の溝部底面に形成された無秩序な三次元構造31が、EUV光及びDUV光の反射率を低減させる原理について説明する。
遮光枠部17に入射したEUV光及びDUV光は、無秩序な三次元構造31において、透過又は、吸収又は、散乱が生じる。三次元構造31は特定の周期性や方向成分を有していないため、光の散乱方向もランダムとなり、光のエネルギーを拡散させる事が可能となる。さらに、三次元の構造体を三次元構造31として底面に設けることで、三次元構造31のある部分で生じた散乱光を、他の部分に吸収させることができる。結果的に、遮光枠部17に照射されるEUV及びDUV領域の波長に対して高い遮光性を有する。
次に、無秩序な三次元構造31を形成する方法について説明する。
無秩序な三次元構造31は無秩序な三次元構造を有するレジストパターンをエッチングすることにより得ることができる。無秩序な三次元構造を有するレジストパターンは電子線又はレーザ描画で用いるパターンデータ図形を無秩序なパターンにすることで得られる。
図10(a)~(c)に無秩序パターンを有する描画データ例を示す。無秩序パターンとして、長さ及び向きの異なる複数の直線を一筆書き状に連なってなるパターン、大きさ及び配置がランダムな四角形又は円形等が一例として挙げられる。また、図10(a)~(c)のように、大きさの異なる同一形状の図形等からなるパターンに限るものではなく、異なる形状の図形が混在するパターンであってもよい。
また、図10(d)~(f)に示すような秩序構造を有する直線形、四角形又は円形等のレジストパターンが一例として挙げられる。この図10(d)~(f)に示すような秩序構造を有するレジストパターンであっても、描画データのパターンサイズを数10nm程度としたり、あるいは現像工程における条件を調整したりすることで、現像液により与えられる衝撃、あるいはリンス液のインパクトや表面張力等により、ランダム方向及びランダムな角度にレジストパターンを倒すことができ、無秩序構造のレジストパターンを得ることができる。これをエッチング時のマスクとして用いることで、遮光枠部17の溝部に無秩序な三次元構造31を形成することが可能となる。
三次元構造31は、この三次元構造31を構成する複数の構造体の少なくとも一辺の長さが5nm以上100nm以下の範囲で形成される。このように、三次元構造31を、少なくとも一辺の長さを、EUV光の波長(5nm以上15nm以下程度)及びDUV光の波長(300nm程度以下)に合わせて5nm以上100nm以下の範囲となるように形成することによって、反射面のラフネスを増大させ、効率的に乱反射を起こすことができる。つまり、エネルギー保存則より光の反射光の総和は一定となるため、一つの角度の反射光を弱めるためには、可能な限り多くの反射角度を有する反射面を多数形成することが好ましい。
なお、三次元構造31の一辺の長さとは、例えば、三次元構造31が図10(a)に示すように、一連の線分がランダムに折り曲げられて形成されている場合には、折り曲げられた後の個別の線分の長さのことをいう。また、図10(b)、(c)に示すように、三次元構造31を構成する複数の構造体が異なる大きさを有する角柱や円柱の場合、構造体が角柱である場合には多角形の一辺の長さ又は角柱の高さのことをいい、構造体が円柱の場合には円の直径又は円柱の高さのことをいう。
次に、第二実施形態における反射型マスク200の製造方法の一例を説明する。
(第一の製造方法)
まず、反射型マスク200の第一の製造方法の一例を、図11~図13を伴って説明する。図11は、製造工程を示すフローチャート、図12、図13は各工程における反射型マスク200の状態の一例を示す断面図である。
反射型マスク200は、図1に示す反射型マスクブランクス10に対し(図12(a))、回路パターン部16と遮光枠部17とを形成することにより作成される。
まず、反射型マスクブランクス10の吸収膜14の上に、電子線に反応を示す化学増幅系や非化学増幅系のレジスト21を、例えば200nmの膜厚で塗布し(図11のステップS1、図12(b))、所定の回路パターンAと、遮光枠部17に形成される無秩序な三次元構造31の元となる秩序構造又は無秩序構造のパターンデータを例えば電子線描画装置により描画する(図11のステップS2、図12(c))。その後、アルカリ溶液等で現像を行い(図11のステップS3、図12(d))、これにより回路パターンA及び三次元構造31を形成するためのパターンが形成されたレジスト21が得られる。このとき、三次元構造31を形成するためのパターンのパターン寸法を、回路パターンAのパターン寸法よりも小さくすることで、得られる遮光枠領域Bのレジストパターンを傾かせて無秩序構造化を図ることができる。つまり、パターン寸法が小さい場合、レジストパターンへのインパクトが強いスプレー現像やリンス液の表面張力等によってレジストパターンが傾く場合がある。したがって、回路パターンAのパターン寸法よりも三次元構造31を形成するためのパターンの寸法を小さくし、三次元構造31を形成するためのレジストパターンをより傾き易く形成することによって、現像工程において、回路パターンAを形成するためのレジストパターンは直立させたまま、三次元構造31を形成するためのレジストパターンのみを傾かせることができ、且つ、ランダムな方向に傾かせることができる。
なお、ここでいう、三次元構造31を形成するためのパターン寸法とは、レジスト21の残存部(吸収膜14がエッチングされない部分)とレジスト21の除去部(吸収膜14がエッチングされる部分)とにより規定される画線部/非画線部からなるパターンにおける線幅や要素サイズを意図する。
次に、このようにしてパターンが形成されたレジスト21をマスクにして、フッ素系ガスや塩素系ガスを用いたガスプラズマによるエッチングを行う(図11のステップS4、図12(e))。
その後、不要となったレジスト21を、酸素プラズマによる灰化や硫酸やオゾン水等の酸化薬液による分解、又は有機溶剤等で溶解することにより、除去する(図11のステップS5、図12(f))。その後、必要に応じて、酸・アルカリ系薬品やオゾンガスや水素ガス等を溶解した超純水や有機アルカリ系薬品、界面活性剤等による洗浄処理(図11のステップS6)と、遠心力を利用したスピン乾燥とを行う(図11のステップS7)。
以上の工程により、吸収膜14に、回路パターン部16と、遮光枠領域B及び三次元構造31を形成するためのパターンとが形成される。
次に、保護膜13と多層反射膜12のうち平面視で遮光枠領域Bと重なる部分を除去する。具体的には、まず、回路パターン部16と、遮光枠領域B及び三次元構造31を形成するためのパターンとが形成された吸収膜14の上に、紫外線又は電子線に反応を示すレジスト22を塗布する(図11のステップS8、図13(a))。その後、レジスト22に、遮光枠領域Bのパターンを露光又は電子線により描画する(図11のステップS9、図13(b))。次いで、図11のステップS3の処理と同様にしてアルカリ溶液等で現像を行って(図11のステップS10、図13(c))、遮光枠領域Bに相当する部分が除去されたレジスト22を得る。続いて、このようにしてパターンが形成されたレジスト22をマスクにして、フッ素系ガスや塩素系ガスを用いたガスプラズマによるエッチングを行い(図11のステップS11、図13(d))、遮光枠部17の溝部を形成する。
このエッチング工程では、具体的には、吸収層14の除去をフッ素系ガスプラズマ、又は塩素系ガスプラズマを用いて行う。また、保護膜13の除去をフッ素系ガスプラズマを用いて行う。多層反射膜12の除去は、保護膜13と同じくフッ素系ガスプラズマ又は塩素系ガスプラズマを交互に用いる方法で行なう。基板11のエッチングはフッ素系ガスプラズマを用いて行う。
遮光枠部17の溝部を形成するためのエッチングは図11のステップS4のエッチング工程にて、吸収膜14にパターンが形成されているため、遮光枠部17の遮光枠領域Bに相当する部分にはそのエッチングレート差により基板11に三次元構造31が形成される。その後、不要なレジスト22を酸素プラズマによる灰化や硫酸やオゾン水等の酸化薬液による分解又は有機溶剤等で溶解し除去する(図11のステップS12)。その後、必要に応じて、酸・アルカリ系薬品やオゾンガスや水素ガス等を溶解した超純水や有機アルカリ系薬品、界面活性剤等による洗浄処理(図11のステップS13)と、遠心力を利用したスピン乾燥(図11のステップS14)を行う。
以上の工程を経ることで、反射型マスク200を得ることができる。
(第二の製造方法)
次に、反射型マスク200の第二の製造方法の一例を、図14~図17を伴って説明する。図14は、製造工程を示すフローチャート、図15~図17は各工程における反射型マスク200の状態の一例を示す断面図である。
反射型マスク200は、図1に示す反射型マスクブランクス10に対し(図15(a))、回路パターン部16と遮光枠部17とを形成することにより作成する。
まず、反射型マスクブランクス10の吸収膜14の上に、電子線に反応を示す化学増幅系や非化学増幅系のレジスト21を、例えば200nmの膜厚で塗布し(図14のステップS1、図15(b))、所定の回路パターンAを例えば電子線描画装置により描画する(図14のステップS2、図15(c))。その後、アルカリ溶液等で現像を行い(図14のステップS3、図15(d))、これにより回路パターンAが形成されたレジスト21が得られる。
このようにして回路パターンAが形成されたレジスト21をマスクにして、フッ素系ガスや塩素系ガスを用いたガスプラズマによるエッチングを行い、吸収層14を除去する(図14のステップS4、図15(e))。
その後、不要となったレジスト21を、酸素プラズマによる灰化や硫酸やオゾン水等の酸化薬液による分解、又は有機溶剤等で溶解することにより、除去する(図14のステップS5、図15(f))。その後、必要に応じて、酸・アルカリ系薬品やオゾンガスや水素ガス等を溶解した超純水や有機アルカリ系薬品、界面活性剤等による洗浄処理(図14のステップS6)と、遠心力を利用したスピン乾燥とを行う(図14のステップS7)。
以上の工程により、吸収膜14に回路パターン部16が形成される。
次に、保護膜13と多層反射膜12のうち平面視で遮光枠領域Bと重なる部分を除去する。具体的にはまず、回路パターン部16が形成された吸収層14の上に、紫外線又は電子線に反応を示すレジスト22を塗布する(図14のステップS8、図16(a))。その後、レジスト22に、遮光枠領域Bのパターンを露光又は電子線により描画する(図14のステップS9、図16(b))。次いで、図14のステップS3の処理と同様にしてアルカリ溶液等で現像を行って(図14のステップS10、図16(c))、遮光枠領域Bに相当する部分が除去されたレジスト22を得る。続いて、このようにしてパターンが形成されたレジスト22をマスクにして、フッ素系ガスや塩素系ガスを用いたガスプラズマによるエッチングを行い(図14のステップS11、図16(d))、遮光枠部17の溝部を形成する。
このエッチング工程では、具体的には、まず、吸収膜14の除去をフッ素系ガスプラズマ又は塩素系ガスプラズマを用いて行う。次に保護膜13の除去をフッ素系ガスプラズマを用いて行う。次に多層反射膜12の除去を、保護膜13と同じくフッ素系ガスプラズマ又は塩素系ガスプラズマを交互に用いる方法で行なう。さらに基板11のエッチングをフッ素系ガスプラズマを用いて行う。
その後、不要なレジスト22を酸素プラズマによる灰化や硫酸やオゾン水等の酸化薬液による分解ないし有機溶剤等で溶解し除去する(図14のステップS12、図16((e))。
その後、必要に応じて、酸・アルカリ系薬品やオゾンガスや水素ガス等を溶解した超純水や有機アルカリ系薬品、界面活性剤等による洗浄処理(図14のステップS13)と、遠心力を利用したスピン乾燥(図14のステップS14)を行う。
以上の工程を経ることで、吸収膜14、保護膜13、多層反射膜12、及び基板11の一部とに亙って溝部が形成された、溝部底面が平坦な遮光枠部17を形成することができる。
次に、遮光枠部17の溝部底面に無秩序な三次元構造31を形成する。具体的には、遮光枠領域Bのパターンが形成された吸収膜14の上にレジスト23を塗布する(図14のステップS15、図17(a))。その後、レジスト23の上に導電膜32を塗布し(図14のステップS16、図17(b))、電子線及び紫外線により、無秩序な三次元構造の元となるパターンとして、秩序構造又は無秩序構造のパターンデータの描画を行う(図14のステップS17、図17(c))。導電膜32は例えば有機系高分子膜や金属膜を指しており、基板11が導電性を有していない場合の描画で生じる帯電現象を抑制する効果がある。
その後、現像工程(図14のステップS18、図17(d))にて倒れたレジストパターンを形成し、エッチングにより無秩序な三次元構造31を形成する(図14(ステップS19、図17(e))。現像工程では、例えば、現像液により衝撃を与えること、或いはリンス液によりインパクトを与えること等によって、倒れたレジストパターンを形成する。
最後に洗浄(図14のステップS21、図17(f))及びスピン乾燥(図14のステップS22)を行なうことで、反射型マスク200を得ることができる。
以上の工程により、反射型マスク200が完成した。
このように、第二の実施形態における反射型マスク200によれば、遮光枠の基板11が露出している部分に無秩序な三次元構造31を有し、この三次元構造31によりEUV光及びアウトオブバンド光を散乱効果により拡散することができるため、結果として露光光に遮光枠部17から反射するEUV光及びアウトオブバンド光等といった余計な反射光を除去する事ができ、ウェハ上にあるチップの境界領域における多重露光を防止する事ができる。
その結果、EUV光、DUV光を含むアウトオブバンド光の波長領域において、高い遮光性を有する反射型マスク200を実現することができる。つまり、露光対象となっている回路パターン部16の形成領域を除く領域から光が反射することを低減することができるため、精度よく露光転写を行うことができる。
また、三次元構造31をDSA法を用いて形成しているため、無秩序な三次元構造を容易に形成することができる。
<実施例>
次に、第二実施形態における反射型マスク200の実施例を説明する。
この実施例は、第二の製造方法を用いて反射型マスク200を形成したものである。
まず、図15(a)に示す反射型マスクブランクス10を用意した。この反射型マスクブランクス10は、基板11の一方の面に、波長13.5nmのEUV光に対して反射率が64%程度となるように設計されたMoとSiとの40対の多層反射膜12と、膜厚2.5nmのRuの保護膜13と、膜厚70nmのTaSiからなる吸収膜14とがこの順に積層されている。また、他方の面に裏面導電膜15が形成されている。
この反射型マスクブランクス10に対し、ポジ型化学増幅レジスト21(FEP171:富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を300nmの膜厚で塗布し(図14のステップS1)、電子線描画装置(JBX3040:日本電子社製)によって回路パターンAを描画した後(ステップS2)、110℃、10分のPEB及びパドル現像(ACT-M:東京エレクトロン社製)により、回路パターン部16となる領域にレジストパターンを形成した(ステップS3)。
次いで、ドライエッチング装置を用いて、CFプラズマとClプラズマとにより、吸収膜14をエッチングし(ステップS4)、レジスト除去(ステップS5)、洗浄(ステップS6)、乾燥(ステップS7)の各処理を行うことで、図8に示す回路パターン部16を形成した。回路パターンAとして、寸法200nmの1:1のラインアンドスペースパターンを反射型マスク200の中心となるに配置した。回路パターン部16のパターン領域の大きさは、10cm×10cmとした。
次いで、回路パターンAを有する反射型マスクブランクス10の遮光枠部17を形成する工程を行った。反射型マスクブランクス10にi線露光用のレジスト22を500nmの膜厚で塗布し(ステップS8)、i線露光用のレジスト22に、電子線描画装置(ALTA アプライドマテリアルズ社製)により遮光枠領域Bを描画し(ステップS9)、現像(ステップS10)を行うことにより、遮光枠領域Bに対応する部分を除去したレジストパターンを形成した。このときレジストパターンの開口幅は5mmとし、マスク中心部となる位置に配置された10cm×10cmの回路パターン部16から、外側に3mm離れた位置に、遮光枠領域Bのパターンを形成した。
次いで、ドライエッチング装置を用いてCHFプラズマ(ドライエッチング装置内の圧力50mTorr、ICP(誘導結合プラズマ)パワー500W、RIE(反応性イオンエッチング)パワー2000W、CHF:流量20sccm、処理時間6分)により、レジスト22の開口部の吸収膜14と保護膜13と多層反射膜12と基板11とを垂直性ドライエッチングで貫通・除去し(ステップS11)し、レジスト除去(ステップS12)、洗浄(ステップS13)、乾燥(ステップS14)の各工程を行なうことで回路パターン部16及び底面が平坦な遮光枠部17の溝部を形成した。
次いで、溝部の底面に無秩序な三次元構造31を形成する工程を行った。具体的にはまず、反射型マスクブランクス10の溝部の底面を含む吸収膜14の上にポジ型化学増幅レジスト23(FEP171)を300nmの膜厚で塗布した後(ステップS15)、有機系高分子の導電膜32を塗布した(ステップS16)。電子線描画装置(JBX3040:日本電子社製)によって、無秩序な三次元構造31の元となるパターンを描画した後(ステップS17)、レジストパターンへのインパクト、つまり現像液の当たり具合が強いスプレー現像(SFG3000:シグマメルテック社製)を用いて現像を行い、基板11の遮光枠領域Bに相当する部分にスプレー現像のインパクト及びリンス液の表面張力にて倒れたレジストパターンを形成した(ステップS18)。その後、レジストパターンをマスクとしてエッチングを行うと基板11の遮光枠領域Bに相当する部分に無秩序な三次元構造31が形成された(ステップS19)。次いで、レジスト23の除去(ステップS20)、洗浄(ステップS21)、乾燥(ステップS22)の各工程を行い、反射型マスク200が完成した。
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態を説明する。
第三実施形態における反射型露光用マスクは、第一実施形態において、回折格子構造を、吸収膜内又は保護膜の表面に形成したものである。第一実施形態と同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
第三実施形態における反射型露光用マスク300では、第一実施形態と同様に、図1に示す反射型マスクブランクス10を用いる。
図18は、第三実施形態における反射型露光用マスク300の一例であって、(a)は平面図、(b)は(a)の遮光枠部の一部の拡大図、(c)は(b)のY-Y′断面図である。
図18に示すように、平面視が略正方形状の反射型マスク300の中央部の吸収膜14に、平面視で略矩形状の回路パターン部16が形成されている。さらに、回路パターン部16の外側の吸収膜14部分に、回路パターン部16の周囲を囲む溝状の遮光枠部17が形成されている。
遮光枠部17の溝部内側の底面には方向性を持たない回折格子構造35を有する。この回折格子構造35は、吸収膜14部分又は保護膜13の表面上に設けられており、立体的に加工を施された形状を有する。この回折格子構造35は、反射型マスク300の上方、すなわち吸収膜14側から入射されるEUV光及びOoB光が、反射型マスク300の表面、及び裏面で反射された際に遮光枠部17から再び光軸上に反射しにくい形状を有する。
回折格子構造35の具体的な構造については後述する。図18では、方向性のない周期的な回折格子を持つ回折格子構造35が形成されている場合を表し、回折格子構造35としてフィンガープリントタイプのパターンを有する回折格子構造35aが形成されている場合を表す。
回折格子構造35は、DSA法を用いて形成する。
第一実施形態と同様に、第三実施形態においても、回折格子構造35は、必ずしも方向性を持つ必要はなく、方向性がランダムである事により、光の回折方向もランダムとなるため、光のエネルギーを拡散させる事ができる。また、100nm以下等、OoB光の波長より小さい周期(ピッチ)の回折格子構造においては、光の反射の低減や拡散が生じることによって、OoB光による反射を低減することができる。EUV光についても、光の閉じ込め効果や拡散が生じるため、反射を低減することができる。以上から、この第三実施形態においても、EUV光とOoB光の反射を同時に低減することができる。なお、ここでいう周期とは、回折格子構造35のパターンを形成する隣り合う構造部どうしの間隔をいう。
DSA法では、ジブロックコポリマーと呼ばれる、親水性と疎水性との性質の異なる二種類のポリマー分子の組成比を、例えば1:1に調整することによって、例えば図19に示すラメラ構造の自己整合を起こさせることができ、ラメラタイプのパターンを有する回折格子構造35bを形成することができる。DSA法で形成されるラメラ構造(回折格子)は、格子形状が方向性をもっており、それによって一定方向に光が回折する。
また、ポリマー分子の組成比を例えば、1:4に調整することにより、図20に示すように、ドット状の構造の自己整合を起こさせることができ、ドットタイプのパターンを有する回折格子構造35cを形成することができる。
また、例えば図21に示すように、遮光枠部17の溝の側面に溝側に突出したガイドパターン37を設けることによって、任意の方向にパターンを自己整合させたり、方向性を乱すことができる。
なお、図19~図21のそれぞれにおいて、(a)は平面図、(b)は(a)の遮光枠部17の一部の拡大図、(c)は(b)のY-Y′断面図である。
次に、第三実施形態における反射型マスク300の製造方法の一例を、図22~図25を伴って説明する。図22は、製造工程を示すフローチャート、図23~図25は各工程における反射型マスク300の状態の一例を示す断面図である。
反射型マスク300は、図1に示す反射型マスクブランクス10に対し(図23(a))、回路パターン部16と遮光枠部17とを形成することにより作成する。
まず、反射型マスクブランクス10の吸収膜14の上に、電子線に反応を示す化学増幅系や非化学増幅系のレジスト21を、例えば200nmの膜厚で塗布し(図22のステップS1、図23(b))、所定の回路パターンAを例えば電子線描画装置により描画する(図22のステップS2、図23(c))。その後、アルカリ溶液等で現像を行い(図22のステップS3、図23(d))、これにより回路パターン部16が形成されたレジスト21を得る。このレジスト21をマスクにして、吸収膜14を、フッ素系ガスや塩素系ガスを用いたガスプラズマによるエッチングを行う(図22のステップS4、図23(e))。
その後、不要となったレジスト21を、酸素プラズマによる灰化や硫酸やオゾン水等の酸化薬液による分解、又は有機溶剤等で溶解することにより、除去する(図22のステップS5、図23(f))。その後、必要に応じて、酸・アルカリ系薬品やオゾンガスや水素ガス等を溶解した超純水や有機アルカリ系薬品、界面活性剤等による洗浄処理(図22のステップS6)と、遠心力を利用したスピン乾燥とを行う(図22のステップS7)。
以上の工程により、吸収膜14に、回路パターンAが形成される。
次に、吸収層14に遮光枠部17を形成する。具体的には、まず、回路パターンAが形成された吸収膜14の上に、紫外線又は電子線に反応を示すレジスト22を塗布する(図22のステップS8、図24(a))。その後、レジスト22に、遮光枠領域Bのパターンを露光又は電子線により描画する(図22のステップS9、図24(b))。次いで、図22のステップS3の処理と同様にしてアルカリ溶液等で現像を行い(図22のステップS10、図24(c))、遮光枠領域Bのパターンが形成されたレジスト22を得る。
なおレジスト22は、回路パターンA等、遮光枠領域Bを除く領域をこの後の工程において保護するために、残留させる。
次に、遮光枠領域Bのパターンが転写されたレジスト22をマスクとして、吸収膜14の遮光枠領域Bと重なる部分に、ジブロックコポリマー19を塗布する(図22のステップS11、図24(d))。次に、このジブロックコポリマー19が塗布された反射型マスクブランクス10を加熱することにより、ジブロックコポリマー19の相分離を発生させ、回折格子のもととなるポリマーのパターンを形成する(図22のステップS12、図24(e))。なお、ジブロックコポリマー19を塗布した後の反射型マスクブランクス10の加熱は、例えば、ホットプレートや、赤外線等の光エネルギーを用いて行う。
次に、DSA法による現像工程により、選択的にジブロックコポリマー19の一方19aのみを溶解させて除去する(図22のステップS13、図24(f))。
その後、吸収膜14のエッチングを行い、DSA法により回折格子構造35を吸収膜14に形成する(図22のステップS14、図24(f))。このエッチングの際、吸収膜14の底までエッチングしても良いが、吸収膜14の途中でエッチングを終えても良い。吸収膜14の底までエッチングしなくても、100nm以下の小さな周期のパターンを有する回折格子構造35を形成することでEUV光及びOoB光の反射低減効果を得ることが出来る。
次にエッチングにてマスクとなっていたレジスト22とジブロックコポリマー19の残っていた19bをレジスト除去工程により除去し(図22のステップS15、図25(a))、酸・アルカリ系薬品やオゾンガスや水素ガス等を溶解した超純水や有機アルカリ系薬品、界面活性剤等による洗浄処理(図22のステップS16)、遠心力を利用したスピン乾燥を行う(図22のステップS17)。
以上の工程により、第三実施形態における反射型マスク300が完成した。
第三実施形態に係る反射型マスク300によれば、遮光枠部17の溝部内側の吸収膜14部分に回折格子構造35を有するため、EUV光やアウトオブバンド光(150nm以上の紫外光)等を、回折格子構造35による回折効果により拡散することができる。その結果、EUV光やアウトオブバンド光等といった余計な反射光を除去することができ、ウェハ上にあるチップの境界領域(遮光枠領域Bに対応)における多重露光を防止する事ができる。その結果、EUV光、DUV光を含むアウトオブバンド光の波長領域において、高い遮光性を有する反射型マスク300を実現することができる。つまり、露光対象となっている回路パターン部16の形成領域を除く領域から光が反射することを低減することができるため、精度よく露光転写を行うことができる。
また、回路パターン部16を囲むように溝状の遮光枠部を設けた場合、例えば、吸収層14と保護膜13と多層反射膜12とに亙って遮光枠部の溝部を設けた場合には、遮光枠部の内側に設けられた回路パターン部16と、遮光枠部の外側領域とが電気的に浮遊してしまい導通がとれない可能性がある。このような反射型マスク300をEUV露光機で使用すると、EUV光(極端紫外光)の光電効果によって、反射型マスク300に使用される金属材料、主としてTa、Mo、Si等から光電子が放出され、電気的に正に帯電(チャージアップ)する。これによって、露光機内の異物の付着を招き、転写欠陥を誘発するという問題が生じる。また、マスク製造工程中の電子線を使った測長SEMや電子ビーム検査機においても、電子線が照射された際の負の帯電が生じ、電子ビーム検査ができないという問題が生じる。
第三実施形態における反射型マスク300では、遮光枠部17の溝部の底面、つまり回折格子構造35の下端が吸収膜14内又は保護膜13の表面にくるように遮光枠部17を形成し、さらに溝部の底面に回折格子構造35を形成しているため、反射型マスク300に使用される各種金属材料から光電子が放出されることを抑制することができる。
このような露出時の帯電の対策として、例えば、特許文献1に示すように、多層反射膜の最下層の数層(導電性を有するMoを少なくとも含む)を残したり、多層反射層の下地にTa又はCrを含む導電層を予め1層設ける方法等も提案されている。
しかしながら、多層反射層の最下層の数層を残す方法は、ドライエッチングやウェットエッチングにより多層反射層を彫り込む際のエッチングレートがマスク面内で完全には均一でないため、残したい層数を均一に加工することは難しい。また、加工できたとしても、本来はEUV光の反射率を極力ゼロに下げることを目的とする遮光枠の領域では、多層反射層を数層でも残すことは遮光枠形成の意義に反することになる。例えば、Mo/Siが2周期分残った場合の反射率は、計算上約1.8%程度のEUV光反射率となり、EUVマスクの遮光枠の基準と言われている0.3%以下を遥かに上回ってしまう。また、多層反射層の下地にTa又はCrを含む導電層を予め1層設ける構造による対策では、従来のEUV用のマスクブランクスに新たな材料を2層多く成膜することになるため、製造工程の増加を要すると共に、新たな欠陥発生の機械を招く虞がある。
また、多層膜反射層に到達する溝部を設けた場合、側壁から異物が発生する可能性がある。つまり、溝部が形成された多層膜反射層は、MoとSiとが剥き出しの状態である。MoとSiとは洗浄に対する耐性が異なるため、洗浄を繰り返すうちにどちらかの層だけが早く浸食されてしまい、その結果、残った層が脆弱な構造となり、ここから崩れ落ちた膜の破片が異物となって、反射型マスクを汚してしまう可能性がある。
しかしながら、第三実施形態における反射型マスク300は吸収層14にのみ溝部を設け、多層反射膜12に到達する溝部を設けていないため、多層反射膜12の側壁から異物が発生することを回避することができる。
<実施例>
次に、第三実施形態における反射型マスク300の実施例を説明する。
まず、図23(a)に示す反射型マスクブランクス10を用意した。この反射型マスクブランクス10は、基板11の一方の面に、波長13.5nmのEUV光に対して反射率が64%程度となるように設計されたMoとSiとの40対の多層反射膜12と、膜厚2.5nmのRuの保護膜13と、膜厚70nmのTaSiからなる吸収膜14とがこの順に積層されている。また、基板11の他方の面に、裏面導電膜15が形成されている。
この反射型マスクブランクス10に対し、ポジ型化学増幅レジスト21(FEP171:富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)を300nmの膜厚で塗布し(図22のステップS1)、電子線描画装置(JBX3040:日本電子株式会社製)を使用して、所定の回路パターンAを描画した(ステップS2)。その後、110℃、10分のPEB(Post Exposure Bake:照射後ベーク)及びスプレー現像を、PEB及び現像装置(SFG3000/シグマメルテック社製)を用いて行い、レジスト21部分に回路パターンAをレジストパターンとして形成した(ステップS3)。
次いで、ドライエッチング装置を用いて、CFプラズマとClプラズマにより、吸収層14をエッチングし(ステップS4)、レジスト21を除去し(ステップS5)、洗浄(ステップS6)し、乾燥(ステップS7)することで、図18に示す回路パターン部16を形成した。回路パターン部16は、寸法200nmの1:1のラインアンドスペースパターンを反射型マスクブランクス10のマスク中心に配置した。回路パターン部16の領域の大きさは、10cm×10cmとした。
次いで、回路パターン部16が形成された反射型マスクブランクス10に対して遮光枠部17を形成する工程を行った。すなわち、回路パターン部16が形成された吸収層14の上に、i線露光用のレジスト22を500nmの膜厚で塗布し(ステップS8)、そこへ電子線描画装置(ALTA アプライドマテリアルズ社製)により遮光枠領域Bのパターンを描画し(ステップS9)、現像(ステップS10)を行うことにより、遮光枠領域Bに対応する部分を除去したレジストパターンを形成した。このときレジストパターンの開口幅、つまり、遮光枠領域Bの幅は5mmとし、マスク中心部となる位置に形成された10cm×10cmの回路パターン部16から3mm離れた位置に、配置した。
次いで、吸収層14に反射低減構造として回折格子構造35を形成する工程を行った。
まず、遮光枠領域Bが除去されたレジストパターンが形成されたi線露光用のレジスト22をマスクとして、吸収層14の、平面視で遮光枠領域Bと重なる部分にPS-PMMAからなるジブロックコポリマー19を塗布し(ステップS11)、続いて60分間ベークする事により相分離を促した(ステップS12)。
次に酸素プラズマによりPMMAからなるジブロックコポリマー19aを選択的に除去し、(ステップS13)残ったPSからなるジブロックコポリマー19bで構成されるパターンをマスクとしてエッチングを行うと、平面視で、遮光枠領域Bと重なる吸収層14に回折格子構造35が形成された(ステップS13)。次いで、レジスト22、及びPSからなるジブロックコポリマー19bの除去(ステップS15)、洗浄(ステップS16)、乾燥(ステップS17)を行い、反射型マスク300が完成した。
以上、本発明の一実施形態を例示したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の技術的思想を逸脱しない限り、包材としての用途を考慮し、要求されるその他の物性である剛性、強度、衝撃性等を向上する目的で、他の層や構造を任意に形成できることはいうまでもない。
また、以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例又は実施形態も網羅すると解すべきである。
10 反射型マスクブランクス
11 基板
12 多層反射膜
13 保護膜
14 吸収膜
15 裏面導電膜
16 回路パターン部
17 遮光枠部
18、35 回折格子構造
19 ジブロックコポリマー
21、22、23 レジスト
31 三次元構造
32 導電膜
37 ガイドパターン
100、200、300 反射型露光用マスク

Claims (2)

  1. 基板と、当該基板の一方の面に多層反射層と保護層と露光光を吸収する吸収層とがこの順に積層された積層構造と、
    前記基板の他方の面に形成された導電層と、を備えた反射型露光用マスクであって、前記吸収層に形成された回路パターン部と、
    当該回路パターン部を囲むように形成された溝状の遮光枠部と、を備え、
    前記遮光枠部の溝部底面に、露光に伴う入射光に対する反射率が前記回路パターン部における反射率よりも小さい反射低減構造が形成され、
    前記反射低減構造は、回折格子構造であり、
    前記回折格子構造は前記吸収層の一部からなり、
    前記回折格子構造の下端が前記吸収層内又は前記保護層表面に位置し、
    前記回折格子構造の周期は100nm以下であり、
    前記回折格子構造は、方向性を持たない周期性のある回折構造であり、
    前記回折格子構造は、フィンガープリントタイプのパターンを有することを特徴とする反射型露光用マスク。
  2. 前記露光光の波長が5nm以上15nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射型露光用マスク。
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