JP7002607B2 - テーパー付鋼管杭及びその引き抜き方法 - Google Patents

テーパー付鋼管杭及びその引き抜き方法 Download PDF

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Description

本発明は、テーパー付鋼管杭及びその引き抜き方法に関する。
クリーンエネルギーを供給するため、港湾等への水上風力発電設備の設置が進められている。水上風力発電設備は、風が強く波が高い沖合に設置されることが多く、水上風力発電設備を支持するために用いられる鋼管杭は、水底地盤に強固に打ち込まれる。しかし、自然環境保護の観点から、水上風力発電設備の耐用年数、例えば設置から20年経過後には、水上風力発電設備を撤去して、自然環境を原状に復帰させることが求められている。撤去は、水上の設備(タワー、ナセル及びブレード)の撤去だけでなく、水底地盤に埋設された鋼管杭の撤去が求められる。
鋼管杭の撤去にあたり、まず、埋設された鋼管杭を囲むように、外挿管がバイブロハンマとウォータージェットによって打設され、バイブロハンマ又はクレーンによって埋設された鋼管杭が引き抜かれる。次に、バイブロハンマ又はクレーンによって外挿管を引き抜く工法が従来工法として知られている。又、特許文献1には、複数の小孔を有する鋼管杭の内部に圧縮空気を供給して小孔から外部へ噴出させつつ、鋼管杭を引き抜く工法が開示されている。
特開2016-199874号公報
しかし、水上風力発電設備の大型化に伴い、埋設される鋼管杭は大口径となってきている。大口径の鋼管杭を引き抜くには大型のバイブロハンマ又はクレーンを必要とする。又、複数の小孔を有する鋼管杭の内部に圧縮空気を送る方法は、鋼管杭の頭部を密封する必要があり、更に圧縮空気供給設備が必要となる。
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、水上風力発電設備の撤去時に、容易に引き抜き可能なテーパー付鋼管杭及びその引き抜き方法を提案することを課題とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るテーパー付鋼管杭は、水上構造物を支持するために水底地盤に設置されるテーパー付鋼管杭であって、一端にテーパー付鋼管杭の中心軸に直交する円形の第1開口部を形成する円筒形状を有するストレート部と、ストレート部の他端に連接し且つ第1開口部の反対側に延伸し、中心軸方向に所定のテーパー角度で縮径し、先端に中心軸に直交する円形の第2開口部を形成するテーパー部と、を有することを特徴とする。
更に、ストレート部の長さは前記テーパー付鋼管杭の長さの1/3~1/10である、ことが好ましい。
更に、テーパー角度は1~4(度)である、ことが好ましい。
更に、第1開口部の開口面積より第2開口部の開口面積は小さく、少なくとも0.28(m2)の面積を有する、ことが好ましい。
本発明に係る方法は、水上構造物を支持するために水底地盤に設置されるテーパー付鋼管杭を引き抜くための方法であって、テーパー付鋼管杭は、一端にテーパー付鋼管杭の中心軸に直交する円形の第1開口部を形成する円筒形状を有するストレート部と、ストレート部の他端に連接し且つ第1開口部の反対側に延伸し、中心軸方向に所定のテーパー角度で縮径し、先端に中心軸に直交する円形の第2開口部を形成するテーパー部と、を有するテーパー付鋼管杭、であることを特徴とする。
本発明に係るテーパー付鋼管杭は、埋設された後、容易に引き抜き可能となる。
従来の水上風力発電設備の一例の概略を示す図である。 テーパー付鋼管杭の実施形態の一例を示す図である。 照査に使用する骨組モデルを示す図である。 鋼管杭の部材決定までのフローを示す図である。 ストレート鋼管杭とテーパー付鋼管杭の形状を対比させた図である。 ストレート鋼管杭の一例の応力度照査結果を示す図表である。 テーパー付鋼管杭の一例の応力度照査結果を示す図表である。 鋼管杭のバリエーションを示す図である(その1)。 鋼管杭のバリエーションを示す図である(その2)。 鋼管杭のバリエーションを示す図である(その3)。 鋼管杭の周面摩擦力を示すグラフである。 応力度照査結果を示すグラフである。 テーパー付鋼管杭を引き抜く方法を説明する図である。
以下、本開示の一側面に係るテーパー付鋼管杭及びその引き抜き方法について、図を参照しつつ説明する。但し、本開示の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。尚、以下の説明及び図において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(水上風力発電設備の概要)
図1は、従来の水上風力発電設備1の一例の概略を示す図である。直径数mの1本の大口径杭(モノパイル)を水底の支持地盤に打ち込む、いわゆるモノパイル工法により設置された大口径杭2が水上の風力発電機3を支えている。通常、大口径杭2は、鋼管杭2と呼ばれる鋼製の円筒形状を有する中空の杭である。風力発電機3は、基礎である鋼管杭2の上にタワー31が設置され、タワー31上にナセル32とブレード33が設けられている。
風力発電機3を支える鋼管杭2は、風力発電機3の自重等による垂直方向の力Fzと、風力を受けるブレード33や波による水平方向の力Fy、更にはモーメントMxに耐えうるように水底の地盤に打ち込まれて設置される。
水上風力発電設備1が老朽化すると、環境を保護するため、設備の撤去が必要となる。撤去は水上の風力発電機3だけでなく、水底地盤に設置されている鋼管杭2も撤去しなくてはならない。水底地盤に強く打ちこまれている鋼管杭2を引き抜くためには、鋼管杭2を設置したときと同程度かそれ以上の大型の水上クレーン、バイブロハンマ等の設備が必要となる。そこで、水上風力発電機をしっかり支持する鋼管杭であって、水底地盤からの引き抜きが容易な鋼管杭である本発明が発明された。
(本発明に係るテーパー付鋼管杭の概要)
図2は、本発明に係るテーパー付鋼管杭4の実施形態の一例を示す図である。図2(a)はテーパー付鋼管杭4の斜視図であり、図2(b)はテーパー付鋼管杭4の中心軸Oに沿った断面図である。風力発電機3側を支持する側に、すなわち水面側に、テーパー付鋼管杭4は直径D1(m)、鋼管肉厚t1(m)の円筒形状のストレート部41を有し、テーパー付鋼管杭4が水中地盤に打ち込まれる方向には、円筒形状のストレート部41に連接し且つ延伸して次第に縮径するテーパー部42を有する。テーパー部42の先端の直径はD2(m)、鋼管肉厚はt2(m)である。したがってD1>D2である。鋼管杭の全長はL(m)であり、円筒部41の全長はL1(m)、テーパー部42の全長はL2(m)である。したがって、L = L1 + L2の関係にある。水面側にストレート部41は中心軸(O)に直交する円形の開口部43を形成し、テーパー部42はテーパー付鋼管杭4が水底地盤に打ち込まれる方向に中心軸(O)に直交する円形の開口部44を形成する。D1>D2である。又、通常、テーパー付鋼管杭4の鋼管肉厚の厚さはt1 = t2である。しかし、鋼管杭の自重を減らすため、鋼管肉厚を薄くなるよう変化させてt1>t2とすることも可能である。テーパー付鋼管杭4の垂直軸と、テーパー面の側線がなす角度、すなわちテーパー角度はθである。通常、鋼管杭の材質は、SKK400、SKK490等である。
風力発電機3を支えるテーパー付鋼管杭4を、一部テーパー形状としたのは、鋼管表面と地盤との間の摩擦力を減らすためである。鋼管杭を垂直に引き上げて水中地盤から引き抜くとき、引き抜き力の抵抗となるのは、鋼管杭に働く重力と鋼管表面と地盤との間の摩擦力である。したがって鋼管の表面積を少なくし摩擦力を減らすように、テーパー付鋼管杭4の地中先端部から長さL2までをテーパー状としている。又、テーバ形状にすることにより鋼管杭2の重量が少なくなることも、引き抜き易くすることに資する。一方、水上構造物を支えるために、風力発電機3や波から受ける応力等に対抗できるだけのしっかりした基礎とすべく、直径D1(m)と長さL1(m)を備えた水面から地中にストレートに伸びるストレート部41を適切に設定する必要がある。すなわち、本発明に係るテーパー付鋼管杭4は、水上構造部を支えるに十分な強度を有し。撤去のとき引き抜き易い鋼管杭である。
(鋼管杭の設計照査検討)
本発明に係るテーパー付鋼管杭4が備える特性を明確にすべく、支持地盤、風力発電機3、及び鋼管杭2とテーパー付鋼管杭4をモデル化して照査を行った。従来のテーパー部を有さない鋼管杭2(以下、「ストレート」鋼管杭」という。)とテーパー部を有するテーパー付鋼管杭4を比較照査にするにあたり、「洋上風力発電の技術マニュアル」2001年度版(著者(財)沿岸開発技術センター)の「3.2モノパイル基礎の式基礎の設計例」(以下、「設計例」という。)を参考にした。なお、「洋上風力発電の技術マニュアル」では洋上風車を想定しているが、本照査では、風車は陸上に設置されることとした。波力等の影響をなくし、ストレート杭2とテーパー杭4との比較を簡略にするためである。
図3は、照査に使用する骨組モデルを示す図である。
(地盤条件)
地盤条件は以下のような特質を有する4層の地盤からなることとした。単純化のためである。実際には、鋼管杭が埋設設置される地盤は、設置場所により様々な地質、地質層厚を有するため、現地でのボーリング調査等が必要である。
Figure 0007002607000001
なお、D.L.はDatum Line(基準線、基準高さ)の略記であり、NはN値と呼ばれ地盤の硬さを示す指標である。
(風車荷重)
上述の設計例ではD.L.+0.5m以深をモデル化しているため風車の転倒モーメントを作用させているが、本照査ではナセルのあるD.L.+60.00mまでをモデル化するため転倒モーメントは作用させないこととした。風車荷重は、暴風時の荷重組み合わせとする。なお、陸上設置を想定し設計例で載荷していた波力及び浮力は載荷させないものとした。暴風時の加重を以下に示す。
Figure 0007002607000002
(荷重の組合せ)
設計例で部材決定ケースとなった暴風時の荷重組み合わせとする。なお、陸上設置を想定し設計例で載荷していた波力及び浮力は載荷させないものとする。したがって、垂直加重=自重+風車荷重(暴風時)となる。
(許容応力度の割増)
設計評価の基準となる許容応力度は、設計例と同じく1.0とした。
(設計照査手法)
鋼管杭の部材照査に関しては、国土交通省監修の「杭基礎設計便覧」平成19年版、地盤支持力に関しては「港湾の施設の技術上の基準・同解説」平成19年版(以下、港湾基準)に従い照査を行なった。なお、簡易的な検討を行うため部分係数法による検討ではなく従来の許容応力度法による検討とした。
図4は、鋼管杭の部材決定までのフローを示す図である。まず、鋼管杭が打ち込まれる地盤での杭の諸元が初期設定される(ST101)。次に杭の特性値βを算出し、3/βが杭の根入れ長とされる(ST102)。風車のタワーを長いハリとみなし、鋼管杭はいくつか部分に輪切りにした部分に構成される骨組構造モデルとして骨組解析が行なわれる(ST103)。応力度照査と板厚が検討され(ST104)、支持力照査が行われる(ST105)。照査結果がよければ設計終了となる。悪ければ、杭の根入れ長の再検討が行われ(ST106)、再検討内容が、骨組解析(ST103)にフィードバックされて、応力度照査と板厚が再度検討され(ST104)、再び支持力照査が行われる(ST105)。フィードバック・ループは支持力照査結果が良いと判定されるまで繰り返される。
ストレート鋼管杭2とテーパー付鋼管杭4について、以下の点が留意された。
(1) 杭の根入れ長
テーパー付鋼管杭の根入れ長はテーパー付鋼管杭の3/βではなく地盤面での杭諸元に基づくストレート鋼管杭の3/βにより決定された。
(2) 応力度照査
試設計のため応力度比に余裕を持たないこととした。
(3) 杭の板厚
杭の板厚は9mm以上とし、かつ杭径に応じて t/D≧1.0% 程度となる様にした。
(4) 杭の板厚変化
杭の板厚変化の応力集中の影響を考慮し7mm以下とした。
(5) 杭の最大板厚
板厚40mmを超えると許容応力度が低減されるためt≦40mmとした。
(6) 杭頭変位
杭頭部(地盤面)での変位は杭径の1%以下(杭径1500mm以下の場合は15mm)とした。
(7) 杭の板厚変化点
本試設計では任意の位置に杭の板厚変化点を設定した。
地中の杭の性能照査に関しては杭基礎設計便覧に従い照査を行なった。杭に作用する軸力および曲げモーメントにより杭に生じる応力度は次式により計算した。
Figure 0007002607000003
ここに、
σ:杭体に生じる曲げ応力度(N/mm2
N:杭の軸力(N)
A:杭の有効断面積(mm2
M:杭の曲げモーメント(N・mm)
Z:杭の有効断面係数(mm3
である。
発生する応力度が表2に示す構造用鋼材の許容応力度以下であることを照査した。
Figure 0007002607000004
以上の設計照査基準に基づき、図3に示したように地盤横方向バネをモデル化し杭先端をピン支持とし、弾性床上の梁とした2次元骨組みモデルにて検討を行なった。
上述の港湾基準に従い、横方向地盤反力係数kh(kN/m2)は線形バネとして、次式
kh = 1500N
により算出した。ここにNは、地盤の硬さを示す指標であるN値である。
ストレート鋼管杭とテーパー付鋼管杭の比較検討とするため地上部に突出した風車タワー部は設計例と同じ、直径4,000mm、厚さ40mm、材質SM400とした。
(杭根入れ長の算定)
鋼管杭をどの程度地中に埋めるか、すなわち杭根入れ長は、港湾基準に従い、3/β以上とした。βは杭の特性値と呼ばれ、次式で求められる。
Figure 0007002607000005
ここに、
kh;横方向地盤反力係数(kN/m3
D:杭の直径(m)
E:杭のヤング率(kN/m2
I:杭の断面二次モーメント(m4)
である。
(引き抜き力)
地盤に打撃工法により打ち込まれた杭の引き抜き力は、砂地盤の場合は、次式で求められる。
Figure 0007002607000006
粘性土地盤の場合は、
Figure 0007002607000007
ここに、
Rut:杭の最大引き抜き力(kN)
Figure 0007002607000008
As;杭周の全表面積(m2
Figure 0007002607000009
である。
図5は、照査する2つの鋼管杭、ストレート鋼管杭2(モデル名T41T)とテーパー付鋼管杭4(モデル名TB1-55T)の形状を対比させた図である。ストレート鋼管杭2(モデル名T41T)は、杭の直径 D = 3400(mm)一定とし、鋼管肉厚は、地上側から400(mm)までを t = 39(mm)、400(mm)より下の部分を t = 34(mm)とし、杭の全長を24(m)とした。テーパー付鋼管杭4(モデル名TB1-55T)は、ストレート鋼管杭2と同じく全長24(m)、地上側の杭の直径 D = 3400(mm)、鋼管肉厚 t = 39(mm)としている。地上から地中3(m)まではテーパーのついていない円筒形状であり、地中3(m)からは、テーパー角度θ= 3.0(度)で縮径している。更に、鋼管肉厚を地表から地下5(m)までをt = 39(mm)、地下5(m)から地下11(m)までをt= 36(mm)、地下11(m)から地下16(m)までをt=29(mm)、地下16(m)から地下24(m)までをt=22(mm)としている。ストレート鋼管杭2(モデル名T41T)とテーパー付鋼管杭4(モデル名TB1-55T)の形状の差異から、鋼管杭の表面積に比例する周面摩擦抵抗力は、ストレート鋼管杭2(モデル名T41T)に比べてテーパー付鋼管杭4(モデル名TB1-55T)は -39 %の減少となる。又、体積に比例する土中の杭自重は -33%減少する。したがって、ストレート鋼管杭2(モデル名T41T)に比べてテーパー付鋼管杭4(モデル名TB1-55T)は引き抜き易いことがわかる。
図6と7は、ストレート鋼管杭2(モデル名T41T)とテーパー付鋼管杭4(モデル名TB1-55T)の各例についての応力度照査結果を示す図表である。ストレート鋼管杭2(モデル名T41T)の骨組解析による応力度照査結果を図6に示す。ここで、骨組の部材番号100は、地上60mにあるナセルの位置である。部材番号1、2、・・・、24,24は、地表面を部材番号1とし、1mごとに下がるストレート杭2の位置を示し、最初の部材番号24は地上から23(m)地下の位置であり、最後の部材番号24は、ストレート杭2の地中側の先端の位置を示している。テーパー付鋼管杭4(モデル名TB1-55T)の応力度照査結果を図7に示す。
地中に設置された鋼管杭が地上構造物を支持するのに耐え得るかは応力度比により判断される。応力度比は、応力度比=発生応力度/許容応力度、で算出され1.0以下でなければならない。ストレート鋼管杭2(モデル名T41T)とテーパー付鋼管杭4(モデル名TB1-55T)の各部材での応力度比は、すべて1.0以下であり要求を満たしている。したがって、全長が24(m)のテーパー付鋼管杭が、地上側のストレート部の長さ3(m)で地中側のテーパー部の長さ21(m)の構成を有する場合でも支持可能であることが設計照査結果から得られた。
図8~10は、鋼管杭の全長は24(m)、地上側開口部の直径は3400(mm)であることを共通として、鋼管杭のストレート部の長さやテーパー角度を変えたバリエーションを示す図である。図8は、鋼管肉厚40(mm)を共通としてストレート部がないテーパー付鋼管杭で、テーパー角度θ=1.0, 2.0, 2.5, 3.5(度)のバリエーションである。特に、テーパー角度θ=3.5(度)のテーパー付鋼管杭の地中側先端は閉塞してしまっている。鋼管杭の先端が閉塞していると、打ち込みのとき土砂が鋼管内を抜けることができず、鋼管杭は座屈する。したがって、鋼管杭の先端は0.28(m2)以上の開口面積を有していることが必要とされる。
図9は、鋼管肉厚39(mm)、ストレート部10(m)を共通とするテーパー付鋼管杭で、テーパー角度θ=1.0, 2.0, 2.5, 3.5(度)のバリエーションである。ここにストレート部を10(m)としたのは、杭の特性値β(m-1)の逆数1/βに近いからである。テーパー付鋼管杭の算出される根入れ長さは3/β = 24(m)であり、24(m)の1/3に近ければ、十分な支持特性を得られると考えられる。
図10は、鋼管肉厚39(mm)、ストレート部2~3(m)であるテーパー付鋼管杭で、テーパー角度θ=1.0, 2.0, 2.5, 3.0, 3.5(度)のバリエーションである。ただし、モデル名TB1-55Tのテーパー杭はテーパー角度θ=3.0(度)で、鋼管肉厚を39, 36, 29, 22(mm)と4段階に変化させている。
図11は、図8~10に示した鋼管杭の周面摩擦力を示すグラフである。ここに、ストレートと示されるのは、テーパー部を有さない従来のストレート鋼管杭であり、スト10と示されるのはストレート部の長さが10(m)であるテーパー付鋼管杭、スト2,3と示されているのはストレート部の長さが2~3(m)であるテーパー鋼管杭である。スト無はストレート部がないテーパー付鋼管杭である。鋼管杭の全長に対してテーパー部が長ければ長いほど周面摩擦力は減少することがわかる。又、テーバ―角度が大きくなるにつれ周面摩擦力は減少していることがわかる。なお、図8において説明したようにテーパー角度が大きくなりすぎると鋼管杭の先端が閉塞してしまうことに留意されたい。ストレート部が2~3(m)のテーパー鋼管杭の周面摩擦力は y = 2039.5x + 16067の直線近似ができる。
図12は、図8~10に示した鋼管杭の応力度照査結果を示すグラフである。ストレート部がないテーパー鋼管杭(スト無)は、応力度比が1.0以上となり不適挌であることがわかる。テーパー角度が1.0~3.4(度)、ストレート部が2~3(m)(スト2,3)、10(m)(スト10)のテーパー杭は応力度比が1.0未満であり支持杭として適していることがわかる。
よって、本発明に係るテーパー付鋼管杭4は、次の特徴を有する。
(1) ストレート部とテーパー部を有し、ストレート部の長さは、鋼管杭の全長の1/10~1/3である。
(2) テーパー角度は1~4(度)である。
(3) ストレート部の開口面積よりもテーパー部の先端の開口面積は小さく、少なくとも0.28(m2)である。
図13は、水上設備である風車が撤去された後、テーパー付鋼管杭4を引き抜く方法を説明する図である。従来は、地盤とストレート鋼管杭との周面摩擦力を弱めるため外挿管をバイブロハンマで打ち込み、大型起重機船等で鋼管杭を引き抜く2ステップが必要であった。本発明に係るテーパー付鋼管杭4はテーパー部を有することにより、周面摩擦力と自重が減少して、従来の鋼管杭より引き抜き易いため、外挿管の打ち込みが不要となり旋回型起重機船等を使用して1ステップで引きぬくことが可能である。又、水上風車の大型化に伴い鋼管杭の口径が4mを超えるような大口径のテーパー付鋼管杭を使用した場合でも既存設備を利用した引き抜き撤去作業が可能となる。
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換、及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
1 水上風力発電設備
2 鋼管杭
3 風力発電機
31 タワー
32 ナセル
33 ブレード
4 テーパー付鋼管杭
41 ストレート部
42 テーパー部
43 第1開口部
44 第2開口部

Claims (4)

  1. 水上構造物を支持するために水底地盤に設置されるテーパー付鋼管杭であって、
    一端に前記テーパー付鋼管杭の中心軸に直交する円形の第1開口部を形成する円筒形状を有するストレート部と、
    前記ストレート部の他端に連接し且つ前記第1開口部の反対側に延伸し、前記中心軸方向に所定のテーパー角度で縮径し、先端に前記中心軸に直交する円形の第2開口部を形成するテーパー部と、
    を有し、
    前記テーパー部の鋼管肉厚は前記ストレート部の鋼管肉厚よりも小さいことを特徴とするテーパー付鋼管杭。
  2. 前記ストレート部の長さは前記テーパー付鋼管杭の長さの1/3~1/10である請求項1に記載の鋼管杭。
  3. 前記テーパー角度は1~4(度)である、請求項1又は2に記載のテーパー付鋼管杭。
  4. 水上構造物を支持するために水底地盤に設置されるテーパー付鋼管杭を引き抜くための方法であって、
    前記テーパー付鋼管杭は、
    一端に前記テーパー付鋼管杭の中心軸に直交する円形の第1開口部を形成する円筒形状を有するストレート部と、
    前記ストレート部の他端に連接し且つ前記第1開口部の反対側に延伸し、前記中心軸方向に所定のテーパー角度で縮径し、先端に前記中心軸に直交する円形の第2開口部を形成するテーパー部と、
    を有し、前記テーパー部の鋼管肉厚は前記ストレート部の鋼管肉厚よりも小さいテーパー付鋼管杭、であることを特徴とする方法。
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