JP7002559B2 - 熱硬化性複合材を目標硬化状態まで硬化させるシステム及び方法 - Google Patents

熱硬化性複合材を目標硬化状態まで硬化させるシステム及び方法 Download PDF

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Description

関連出願
本願は、2017年3月16日に出願された米国仮出願第62/472,360号「SYSTEMS AND METHODS OF CURING A THERMOSET COMPOSITE TO A DESIRED STATE OF CURE」の優先権を主張し、その開示内容全てを本願に援用するものである。
本開示は、概して、熱硬化性複合材を目標硬化状態まで硬化させるシステム及び方法に関する。
熱硬化性複合材は、様々な部品、製品、及び/又は、産業に利用されている。これらの熱硬化性複合材の材料には、樹脂含浸繊維、繊維トウ(例えば、プリプレグ)、及び/又は、硬化前に樹脂の充填及び/又は注入が可能なドライファイバ床(dry fiber beds)(例えば、プリフォーム)が含まれうる。いずれの場合も、本明細書において熱硬化性樹脂とも呼ばれる樹脂は、室温や周囲温度では、潜在性、非反応性、又は、少なくとも実質的に非反応性のものである。
このような熱硬化性複合材は、通常、本明細書ではグリーン状態(green state)とも呼ばれる柔らかい未硬化の状態でレイアップされ、その後加熱される。加熱を行うと、樹脂の架橋(crosslinking)などにより熱硬化性複合材が硬化されて、当該熱硬化性複合材の状態が硬化状態に移行する。架橋は、本明細書では樹脂の重合とも呼ばれうる。
航空宇宙産業などの特定の用途においては、非常に大型の熱硬化性複合材部品を熱硬化性複合材から硬化、作製する場合がある。例えば、航空機の胴体バレル部、航空機の翼、及び/又は、航空機の尾部は、熱硬化性複合材から作製することができる。このような大型の熱硬化性複合材部品は、レイアップの際に大型のレイアップマンドレルを必要とし、また、当該熱硬化性複合材部品の硬化の際にオートクレーブ、炉、及び/又は、プレスなどの、大型の加熱アセンブリを必要とする。大型のレイアップマンドレルや大型の加熱アセンブリは、高価であり、工場内でかなりのスペースを必要とする。したがって、熱硬化性複合材を硬化させて経済的に部品を製造するためには、大型のレイアップマンドレル、及び、大型の加熱アセンブリを効率的に利用することが求められる。
熱硬化性複合材を硬化させる従来の方法は、一般に、閾値温度を超えた温度で未硬化の熱硬化性複合材を少なくとも閾値時間に亘って加熱することに依存して、硬化した熱硬化性複合材部品を作製する。このような方法は、ほとんど全ての場合において、熱硬化性複合材を完全に、或いは、ほぼ完全に硬化させるように設計されており、熱硬化性複合材の硬化に多くのリソースを要する手法であり、工場の設備や空間を最適に活用できているとは限らない。したがって、熱硬化性複合材を目標硬化状態まで硬化させるために改良された方法が求められている。
本明細書では、熱硬化性複合材(TSC)を目標硬化状態(SOC)まで硬化させるシステム及び方法が開示される。上記方法は、閾値温度を超えるまで前記熱硬化性複合材を加熱することを含む。前記加熱中、上記方法は、前記熱硬化性複合材の実温度を監視することと、前記熱硬化性複合材が到達した最高温度を特定することと、前記熱硬化性複合材の前記実温度が前記閾値温度を超えているときの経過時間を特定することと、をさらに含む。上記方法は、少なくとも部分的には、前記TSCの前記最高温度及び前記経過時間に基づいて、前記加熱を停止することをさらに含む。
上記システムは、加熱アセンブリと、支持マンドレルと、熱硬化性複合材と、温度検出器と、前記方法を実行するようにプログラミングされたコントローラと、を含む。前記加熱アセンブリは、加熱環境の温度を調節するように構成されている。前記支持マンドレルは、前記加熱環境内に配置されている。前記熱硬化性複合材は、前記加熱環境内に配置されるとともに、前記支持マンドレルに支持されている。前記温度検出器は、前記熱硬化性複合材の温度を監視するように構成されている。前記コントローラは、前記温度検出器から前記熱硬化性複合材の温度を受信して、前記加熱アセンブリの動作を制御することにより前記加熱環境の温度を制御するようにプログラムされている。
本開示によるシステム及び方法を用いて形成される複合材構造体を含む航空機の例を示す図である。 図1に示す航空機の一部を形成する翼の例を示す図である。 本開示による、熱硬化性複合材を目標硬化状態まで硬化させる方法を示すフローチャートである。 本開示による方法において使用可能な熱硬化性複合材モデルの断面の一例を示す図である。 特定の処理条件下における、図4に示す熱硬化性複合材モデルが辿る温度と硬化度合の時間変化を表す曲線の例である。 複数の別個の処理条件下における図4の熱硬化性複合材モデルについて生成された複数の温度-時間曲線であって、各々が、熱硬化性複合材モデルを同じ硬化状態にする温度-時間曲線の例を示す図である。 図4に示す熱硬化性複合材モデルの温度-時間曲線の例を示す図であって、図4に示す熱硬化性複合材モデルについての閾値温度、最高温度、及び、熱硬化性複合材の実温度が閾値温度を超えているときの経過時間が示されている。 図4に示す熱硬化性複合材モデルを目標硬化状態にするための経過時間及び最高温度を示すグラフである。 航空機の製造及び保守方法を示すフロー図である。 航空機を示すブロック図である。
図1~10は、本開示による方法200、当該方法200を用いて作製可能な熱硬化性複合材、及び/又は、当該方法200で生成及び/又は利用されるデータや情報の例示的且つ非排他的な例を示す。図1~10の各々において、同様の目的、又は、少なくとも実質的に同様の目的を果たす要素には、同様の符号を付しているが、これらの要素については、本明細書において、図1~10の各図ごとに詳細が述べられているわけではない。同様に、図1~10の各々において、全ての要素に符号を付しているわけではないが、これらの要素に関連する符号は、明細書中で一貫して用いている。図1~10のうちの1つ以上を参照して説明する要素、コンポーネント、及び/又は、特徴は、本開示の範囲を逸脱することなく、図1~10のいずれにも組込、及び/又は、利用が可能である。
概して、所与の実施形態(すなわち、特定の実施形態)に含まれる可能性が高い要素は、実線で示しており、所与の実施形態において任意である要素は、破線で示している。ただし、実線で示した要素が全ての実施形態において必須というわけではなく、本開示の範囲を逸脱することなく、実線で示した要素を特定の実施形態から省くことも可能である。
図1は、複合材構造体800を含む航空機700の例を示しており、当該複合材構造体は、本開示による方法200により、少なくとも部分的には熱硬化性複合材を硬化させて作製された熱硬化性複合材部品100を含む。図2は、航空機700の一部を形成する翼740の例を示す。航空機700は、機体710、胴体720、胴体バレル730、翼740、及び/又は、スタビライザ750を含む複数のコンポーネントを含みうる。
航空機700の複合材構造体800は、複合材料の複数のプライ102を含みうる。これらのプライは、硬化された熱硬化性複合材部品100を形成したり、航空機700の任意の適切なコンポーネントの一部を形成したりすることができる。一例として、図1に示すように、航空機700は、当該航空機700の任意の適切な部分の外面を形成及び/又は被覆する外板セグメント790を含んでもよいし、複数のフレーム780と共に外板セグメント790の内面を支持する複数のストリンガ770を含んでもよい。他の例として、図2に示すように、翼740は、当該翼の長さに沿って延びる複数の翼ストリンガ742を含みうる。翼740はまた、複数のリブ744も含みうる。翼ストリンガ742及びリブ744は共に、翼740の内側支持構造体746の少なくとも一部を形成及び/又は画定しており、翼740を覆う外板セグメント790の内面748を支持することができる。これらの外板セグメントは、本明細書において、翼外板セグメント790とも呼ばれる。外板セグメント790(すなわち、翼外板セグメント790)、ストリンガ770、フレーム780、翼ストリンガ742、リブ744、及び/又は、内側支持構造体746は、少なくとも部分的に、或いは全体的に、複合材料のプライ102で形成されてもよいし、本開示の方法200を用いて硬化及び作製が可能な熱硬化性複合材部品100であってもよい。
図3は、熱硬化性複合材(TSC)を、所望及び/又は目標の硬化状態(SOC)まで硬化させる、本開示による方法200を示すフローチャートである。方法200は、210において処理相関を提供すること、及び/又は、220において上限温度閾値を選択することを含みうる。方法200は、230においてTSCを加熱することと、240においてTSCの加熱を停止することとを含む。210における提供は、212において複数の熱シミュレーションを実行すること、及び/又は、214において処理相関を生成することを含みうる。230における加熱中、方法200は、232においてTSCの実温度を監視することと、234においてTSCの最高温度を特定することと、236においてTSCが閾値温度を超えているときの経過時間を特定することと、を含む。
TSCは、本開示の方法を用いて形成、作製、及び/又は、硬化させることが可能な、例えば、図1~2に示す熱硬化性複合材部品100などの任意の適切な熱硬化性複合材部品に含まれていてもよいし、当該部品の一部を形成していてもよい。一例として、TSCは、複合材料の複数のプライ又はレイヤを含みうる。上記プライは、複数の繊維を含んでいてもよいし、これらで形成されていてもよい。繊維は、熱硬化性樹脂でコーティングされていてもよいし、これに含浸されていてもよい。このような場合、TSCは、予備含浸材料、又は、プリプレグ材料とも呼ばれる。しかしながら、他のTSCもまた、本開示の範囲に含まれる。例えば、TSCは、熱硬化性樹脂が被覆、充填、及び/又は、注入されたドライファイバ床、及び/又は、ファブリックを含みうる。
繊維の例には、任意の適切な炭素繊維、ポリマー繊維、ガラス繊維、有機繊維、無機繊維、アラミド繊維、シリコン繊維、金属繊維、アルミニウム繊維、ホウ素繊維、炭化タングステン繊維、天然繊維、及び/又は、人工繊維が含まれる。これらの繊維は、任意の適切な態様で相対配置することができる。このような例としては、ランダム配向されたチョップドファイバ(chopped fibers)、シングルトウ(single tow)、細長状トウ(narrow tow)、織布(woven fabrics)、マット、編み布(knitted fabrics)、バンドル(bundles)、及び/又は、編組ブレード(braids)が含まれる。繊維は、長くてもよいし(例えば、長さが10ミリメートル超)、短くてもよい(例えば、長さが10ミリメートル未満)。
熱硬化性樹脂の例には、三次元架橋ネットワークを形成及び/又は構成するために、外部から加えられるエネルギー源を用いて硬化剤及び/又は架橋性化合物と共に硬化可能な任意の適切な樹脂が含まれる。熱硬化性樹脂の例には、熱硬化性エポキシ、熱硬化性接着剤、熱硬化性ポリマー、エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、エステル樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、レゾルシノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フタル酸ジアリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリウレタン、及び/又は、これらの混合物が含まれる。
上述したように、未硬化のTSCを硬化させるための従来の方法は、一般に、完全に硬化した、又は、少なくとも実質的に完全に硬化したTSCを製造及び/又は生成するように設計されており、未硬化TSCの硬化が非効率的な場合があるため、工場資源を最適に活用できていない。このことは、完全に硬化させた第1のTSCを未硬化の第2のTSCと組み合わせてTSCアセンブリを作製し、このTSCアセンブリを再び硬化することで、硬化TSCアセンブリを作製し、第1のTSCと第2のTSCを接合する共接合プロセスの一部においてTSCを用いる場合に、特に顕著である。
言い換えれば、本開示の方法は、必須ではないが、一般に、未硬化のTSCを、従来における完全に硬化した、又は、少なくとも実質的に完全に硬化したTSCとは異なる目標SOCまで硬化させるために用いられる。このような方法は、本明細書においては、目標SOCを有する部分硬化TSCの製造及び/又は生成と呼ばれる場合もあり、製造過程における中間ステップであってもよい。一例として、目標SOCを有する部分硬化TSCは、硬化TSCアセンブリを製造及び/又は生成し、且つ、硬化TSCアセンブリを作製するためのプロセスの効率を高めるために、上述した共接合プロセスに関連して用いることができる。したがって、本開示の方法200は、未硬化TSCを硬化させるため、及び/又は、硬化TSCアセンブリを作製するために、効率化、時間最適化、及び/又は、時間節約できる方法であるといえる。
部分硬化TSCの目標SOCは、本明細書において、部分硬化TSCの硬化状態、目標硬化状態、硬化度、及び/又は、目標硬化度と呼ばれる場合もあり、任意の適切な表現にて定義することができる。例えば、目標SOCは、部分硬化TSCを含む樹脂における所望及び/又は目標のパーセント架橋率により定義してもよいし、樹脂の所望及び/又は目標のパーセント反応転化率(target percent reaction conversion)により定義してもよい。例えば、目標SOCは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、最大95%、最大90%、最大85%、最大80%、最大75%、最大70%、最大65%、最大60%、最大50%、及び/又は、最大40%であってもよい。
本明細書において、「未硬化TSC」及び/又は「グリーンTSC」なる表現は、硬化されていない状態、少なくとも実質的に硬化されていない状態、意図的に硬化されていない状態、可撓性を有する状態、レイアップ、成型、及び/又は、成形が可能な状態、加熱されていない状態、及び/又は、熱硬化性複合材を含む樹脂内の架橋が閾値割合よりも低い状態、の熱硬化性複合材を指す。例えば、未硬化TSCの架橋率は、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、及び/又は、1%未満であってもよい。
本明細書において、「硬化TSC」及び/又は「硬化された熱硬化性複合材部品」なる表現は、完全に、或いは、少なくとも実質的に完全に硬化された状態の熱硬化性複合材を指す。例えば、硬化TSCのSOCは、部分硬化TSCのSOCよりも高くてもよいし、これに加えて、或いはこれに代えて、硬化TSCのSOCは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、及び/又は、少なくとも実質的に、又は事実上100%であってもよい。
本明細書において、「部分硬化TSC」なる表現は、本開示の方法を用いて目標SOCまで部分的に硬化された熱硬化性複合材を指す。本明細書でより詳細に説明するように、そのような部分硬化TSCは、硬化TSCの多くの物理的特徴を示す一方で、対応するSOCが不完全な場合や、完全に硬化させた同等のTSCのSOCよりも低い場合がある。
本明細書において、「熱硬化性複合材」なる表現、又は、頭字語「TSC」は、任意の適切なSOCを有する任意の適切な熱硬化性複合材を指す。したがって、「熱硬化性複合材」なる表現、及び/又は、頭字語「TSC」は、一般に、未硬化のTSC、硬化したTSC、及び/又は、部分的に硬化したTSCを指すために使用される。
本開示の方法は、一般に、熱硬化性複合材に適用可能な方法として説明されており、そのような熱硬化性複合材の例が本明細書で開示されている。しかしながら、これらの方法を、必ずしも複合材ではないバルク熱硬化性材料にも適用、及び/又は、使用することも本開示の範囲に包含される。このようなバルク熱硬化性材料の例としては、本開示のTSCに用いられる樹脂が挙げられる。この点を考慮して、「熱硬化性複合材」なる用語、及び/又は、頭文字「TSC」は、本明細書において、本開示の範囲から逸脱することなく、「バルク熱硬化性材料」なる用語に置き換えることができる。
210における処理相関の提供は、TSC、及び/又は、TSCの硬化に関する任意の適切な処理相関、又は、較正を提供することを含みうる。処理相関は、TSCが部分硬化して目標SOCを形成及び/又は生成するために辿る複数の時間-温度曲線を表したものである。一例として、処理相関は、236における特定の工程において特定された経過時間と、234における特定の工程において特定された最高温度との組み合わせであって、所与の閾値温度で部分硬化TSCを目標SOCにすることができる組み合わせを表したものである。
処理相関は、TSCの変化、閾値温度の変化、及び/又は、目標SOCの変化によって異なりうる。すなわち、処理相関は、所与の構成(例えば、所与のTSCの化学的性質、所与のTSCの厚み、異なるレイアップマンドレル構成など)を有する所与のTSC、所与の閾値温度、及び、所与の目標SOCに固有であってもよい。処理相関の例として、目標SOCに到達するための最高温度の値と対応する経過時間の値との間の関数的な関係を表示及び/又は表現する処理相関曲線、目標SOCに到達するための最高温度の値と対応する経過時間の値との対を表示する処理相関ルックアップテーブル(process correlation lookup table)、及び/又は、目標SOCに到達するための最高温度の値と対応する経過時間の値との間の関数的な関係を表示するか、或いは、当該関数的な関係に該当する処理相関関数が挙げられる。
閾値温度は、任意の適切な方法で選択、及び/又は、設定される。一例として、閾値温度は、少なくとも部分的には、TSCの組成、又は、化学組成に基づいて選択される。他の例として、閾値温度は、その温度を超えると、TSCにおける架橋が十分な速度で進行して、TSCの処理や硬化が妥当な時間枠、又は、経済的に現実的な時間枠で完了するような温度を含む。さらに他の例として、閾値温度は、TSCの架橋が発生するための最低温度を含む。他の例として、閾値温度は、その温度により生じるTSCの硬化速度によって、許容可能な機械特性を有する硬化TSC及び/又は部分硬化TSCが得られるような温度を含む。閾値温度の例としては、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃、少なくとも130℃、少なくとも135℃、少なくとも140℃、少なくとも145℃、少なくとも150℃、少なくとも155℃、少なくとも160℃、少なくとも165℃、少なくとも170℃、最大200℃、最大195℃、最大190℃、最大185℃、最大180℃、最大175℃、最大170℃、最大165℃、最大160℃、及び/又は、最大155℃などが挙げられる。
210における提供は、任意の適切な態様で実行可能である。例えば、210における提供は、TSCの半経験的モデル、TSCの硬化反応態様(cure kinetics)、及び/又は、TSCの熱伝達モデルから処理関数を導出することを含みうる。他の例として、210における提供は、特定条件、及び/又は、硬化処理パラメータに従ってTSCを目標SOCまで硬化させるなどして、実験的に処理相関を導出することを含みうる。特定条件、及び/又は、硬化処理パラメータの例として、閾値温度、経過時間、温度勾配(temperature ramp)又は温度変化、速度、及び/又は、最高温度が挙げられる。210における提供が処理相関を実験的に導出することを含む場合、TSCのSOCもまた実験的、及び/又は、任意の適切な態様で決定することができる。
より具体的な例として、210における提供は、212における実行と214における生成とを利用して、処理相関を提供することを含みうる。このような方法によれば、モデルシミュレーションTSCを提供、及び/又は、確立することができる。図4には、上述したようなモデルとして、TSCのモデル70の例が示されている。このTSCは、複数のプライ82を含む未硬化の熱硬化性複合材レイアップ80の形態をしており、支持用、レイアップ用、及び/又は、硬化用のマンドレル90に配置されているか、或いは、図4の破線に示すように、2つのレイアップ用マンドレル90間に配置されている。図4においてさらに破線で示すように、方法200は、炉やオートクレーブなどの加熱アセンブリ60でモデル70を硬化させることを含みうる。加熱アセンブリ60は、加熱環境62を画定するものである。
図4に破線で示すように、コントローラ50は、本開示の方法200を利用して、加熱アセンブリ60の動作を制御するように適合、構成、設計、及び/又は、構築されており、及び/又は、そのために利用することができる。同じく図4に破線で示すように、熱硬化性複合材レイアップ80の温度を監視するために、1つ以上の温度検出器52を利用してもよい。温度検出器52が設けられている場合、当該温度検出器は、熱硬化性複合材レイアップの温度をコントローラ50に伝えるように構成されてもよく、コントローラ50は、少なくとも部分的には、温度検出器52により測定された熱硬化性複合材レイアップの温度に基づいて、加熱アセンブリ60の動作を制御してもよい。加熱アセンブリ60、加熱環境62、コントローラ50、温度検出器52、及び/又は、モデル70は、熱硬化性複合材を硬化させるためのシステム40とも呼ばれる。
210における提供は、所与の、及び/又は、選択されたTSCに特有なものであってもよい。この場合、TSC、又は、シミュレーションモデルTSCが変更されると、異なる処理相関が作成されたり、生成されたり、必要とされたりする。上述したようなTSCの変更の例には、レイアップマンドレル90の構成の変更、レイアップマンドレル90の有無、熱硬化性複合材レイアップ80の化学組成の変更、熱硬化性複合材レイアップ80内の複数のプライ82の変更、及び/又は、熱硬化性複合材レイアップ80の厚みの変更、のうちの1つ又は複数が含まれうる。
212における実行は、シミュレーションモデルTSCに対して、及び/又は、これを用いて、複数の熱シミュレーションを実行することを含みうる。複数の熱シミュレーションは、TSCの反応態様モデルを含み、TSCを硬化させる際の複数の別個の処理条件について実行される。TSCの複数の別個の処理条件の例には、230における加熱中に用いられる複数の加熱環境温度、230における加熱中に用いられるTSCの複数の異なる加熱速度、TSCの複数の異なる厚み、TSCの複数の異なる熱伝達係数、230における加熱中にTSCを支持する支持マンドレルの複数の異なる厚み、及び/又は、支持マンドレルの複数の異なる熱伝達係数、のうちの1つ又は複数が含まれる。複数の熱シミュレーションは、少なくとも部分的には、TSCの硬化反応態様、及び/又は、TSCの熱伝達モデルに基づいていてもよい。
複数の熱シミュレーションのうちの1つの熱シミュレーションの例を図5に示す。同図において、TSCのTSC温度110、TSCの加熱に利用される加熱環境の環境温度112、及び、TSCのSOC114が、硬化時間の関数としてグラフで示されている。熱シミュレーションにおいては、この熱シミュレーションでは、環境温度を定常温度113まで上昇させた後、一定の期間、定常温度に維持し、その後、低下させている。加熱環境からの熱伝達を受けて、TSC温度110が上昇して最高温度111に到達し、その後、環境温度112の低下を受けて低下している。最高温度111は、本明細書においては、実際のTSCの加熱中に、実際のTSCが到達した最高温度111とも呼ばれる。TSC温度110で示されるように、TSCの全体的な熱サイクルに応答して、TSCのSOC114が最終SOC115まで上昇する。
図6は、図5に示す熱シミュレーションを含む複数の熱シミュレーションについての時間関数として、TSC温度110を示す。図6に示す様々なTSC温度110の曲線を得るために、レイアップマンドレル90の様々な材料、レイアップマンドレル90の様々な厚み、熱硬化性複合材レイアップ80の様々な厚み、及び、図4に示すモデルTSC70と加熱環境62との間の様々な熱伝達係数について、複数の熱シミュレーションが実行される。図示された熱シミュレーションの各々においては、図4に示すTSCが、いずれも同じ、所望の、及び/又は、目標のSOC(例えば、図5に示すように、約75%)に硬化される。さらに、図示された熱シミュレーションの各々は、(例えば、図5に示す環境温度112によって示されるように)同じ加熱プロファイルを用いて実行されているが、これは必須ではなく、本開示の範囲には、複数の熱シミュレーションについて複数の異なる加熱プロファイルを用いる場合も含まれる。
214における処理相関の生成は、複数の熱シミュレーションの各々からの情報を利用することを含みうる。一例として、図7に示すように、214における生成は、複数の熱シミュレーションの各々について、最高温度111と、閾値温度120を超えているときの経過時間125とを特定することを含みうる。他の例として、図8に示すように、214における生成は、複数の熱シミュレーションの各々について、経過時間を、最高温度の関数としてグラフで表すことを含みうる。図8の130に示すように、図8のグラフは処理相関として利用することができる。このような処理相関は、図8に示す例では75%など、特定のSOCに対して作成することができる。
これに加え、或いはこれに代えて、図8に示すグラフは、本明細書で説明する処理相関関数134を得るために当てはめる曲線を示すとともに、図8に示すグラフを作成するために利用されるデータは、本明細書で説明する処理関数ルックアップテーブル(process correlation lookup table)を生成するために利用することもできる。処理相関関数134を用いると、経過時間と最高温度との間の適切な関数的関係を定義することができる。処理相関関数134の例としては、線形関数、多項式関数、及び/又は、円弧関数(arcuate function)が挙げられる。
220における上限温度閾値の選択は、230における加熱中に、TSCのための適切な上限温度閾値を選択することを含みうる。220における選択は、230における加熱の前に行われてもよい。方法200が220における選択を含む場合、230における加熱は、TSCの最高温度を上限温度閾値よりも低く維持することを含みうる。
熱硬化性複合材は、加熱時、及び/又は、硬化時に発熱反応を起こしうる。この発熱反応は、本明細書においては発熱とも呼ばれる場合があり、この発熱により、TSCの温度が上昇したり、急上昇したり、TSCを加熱するために利用される加熱環境の温度よりも高くなったりする場合がある。このように、発熱反応により、TSCの温度の制御や調節が困難になる場合があるが、上限温度閾値を選択することにより、発熱のリスクを低減、及び/又は、回避することができ、これによって、230の加熱中、TSCの温度、及び/又は、TSCの最高温度をより正確に制御することができる。
これに加え、或いはこれに代えて、TSCに対して方法200を実行した後、部分硬化TSCを利用して以降の製造ステップを実行する場合、これらのステップは、230の加熱中における部分硬化TSCの最高温度、及び/又は、TSCが閾値温度を超えているときの経過時間の影響を受ける場合がある。例えば、共接合処理でTSCを用いる場合、TSCと未硬化TSCとの間の接合強度は、230における加熱中にTSCが高温になることによって、悪影響を受ける可能性がある。したがって、220における選択によって、共接合処理における接合強度を向上させることができる。
230におけるTSCの加熱は、任意の適切な方法によって、及び/又は、任意の適切な1つ又は複数の構造体を利用して、TSCを加熱することを含みうる。例えば、230における加熱は、TSCへの対流伝熱による加熱、TSCへの伝導伝熱による加熱、及び/又は、TSCへの放射熱伝達による加熱、のうちの1つ以上を含みうる。より具体的な例として、230における加熱は、図4に示す加熱アセンブリ60などの加熱アセンブリ内で加熱を行うこと、及び/又は、230における加熱中にTSCを支持する、図4に示すレイアップマンドレル90などの支持マンドレルを加熱すること、を含みうる。
他の例として、230における加熱は、図4に示す加熱環境62などの、TSCを取り囲む加熱環境において、当該加熱環境の温度を上昇させることにより加熱を行うことを含みうる。さらに別の例として、230における加熱は、TSCを熱源に曝すこと、及び/又は、熱源を利用して、TSCに熱エネルギーを加えること、を含みうる。これらの条件下においては、240における停止は、熱源を用いてTSCに熱エネルギーを加えるのを停止することを含みうる。
230における加熱が熱源を用いた加熱を含む場合、230における加熱は、熱源の温度を、浸し温度(soak temperature)、すなわち、図5に示す定常温度113などの定常温度になるまで上昇させることと、閾値浸し時間に亘って熱源の温度を定常温度に維持することと、をさらに含みうる。定常温度は、閾値温度よりも高く、方法200が220における選択を含む場合、定常温度は、上限温度閾値よりも低くてもよい。定常温度の例としては、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも93.3℃、少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃、少なくとも130℃、少なくとも140℃、少なくとも150℃、少なくとも160℃、少なくとも170℃、少なくとも179.4℃、少なくとも180℃、少なくとも190℃、少なくとも200℃、最大250℃、最大225℃、最大200℃、最大190℃、最大180℃、最大170℃、最大160℃、最大150℃、最大140℃、最大130℃、最大120℃、最大110℃、最大100℃、及び/又は、最大95℃の定常温度が挙げられる。
上述したように、230における加熱中、方法200は、232においてTSCの実温度を監視することと、234においてTSCの最高温度を特定することと、236においてTSCが閾値温度を超えているとき、すなわち当該温度よりも高くなっているときの経過時間を特定することと、を含む。232におけるTSCの実温度の監視は、図4に示す温度検出器52などの温度検出器を利用して、監視を行うことを含みうる。温度検出器の例としては、限定するものではないが、熱電対、抵抗熱検出器(RTD)、及び/又は、赤外線(IR)温度センサなどが挙げられる。
232における監視は、TSCにおいて選択、指定、及び/又は、予設定された位置の選択温度を監視すること、TSCの平均温度を監視すること、及び/又は、TSCの最低温度を監視することを含みうるが、このような監視も本開示の範囲に包含される。これに加え、或いはこれに代えて、232における監視はまた、TSCの複数の離間した位置における、TSCの複数の実温度を監視することを含みうる。TSCの実温度は、本明細書においては、部品温度、TSCの部品温度、TSCの温度、TSCの測定温度、及び/又は、TSCの監視温度と呼ばれる。本開示の範囲には、TSCの実温度をTSC上で測定すること、或いは、温度検出器とTSCの間の直接的な熱接触などにより直接測定することが包含される。これに加え、或いはこれに代えて、TSCの実温度を、当該TSCを取り囲む加熱環境の温度を知ることにより、間接的に測定、計算、及び/又は、推定することも、本開示の範囲に包含される。
234におけるTSCの最高温度の特定は、230における加熱中にTSCが到達する最高温度を測定、及び/又は、特定することを含みうる。232における監視が、TSCの単一の位置での温度、及び/又は、平均温度の監視を含む場合、最高温度とは、当該TSCの単一の位置における最高温度、及び/又は、TSCの平均温度の最大値をいうものとする。これに代えて、232における監視が、TSCにおける複数の離間した位置での温度監視を含む場合、TSCの最高温度とは、TSCにおける複数の離間した位置のうち最も温度が低い位置で測定されたTSCの最低監視温度を含みうる。本明細書において、このような最低監視温度は、TSCの遅れ温度、及び/又は、遅れ温度検出器の温度と呼ばれる。最低監視温度は、部分硬化TSCにおける複数の離間した位置のうち、最も硬化の進んでいない位置の温度を示している。これによって、最低監視温度の位置におけるSOCは、部分硬化TSCにおける複数の離間した位置のうち、最も低度のSOCであろう。
236において、TSCが閾値温度を超えているときの経過時間を特定することは、TSCの実温度が閾値温度を超えた時点で開始し、且つ、上記停止が開始した時点で終了する期間を特定することを含みうる。この経過時間の例を図7に示し、同図を参照しながらより詳細に説明を行う。概して、図7には、TSCの温度が閾値温度を超えている時間全体が示されている。240における停止の後、TSCが閾値温度よりも低い温度になるまでにある程度の冷却時間が必要な場合があり、このため、TSCの温度が閾値温度を超える時間は、全体として、236において特定される経過時間よりも長い場合がある。これに加え、或いはこれに代えて、236における特定は、冷却時間の推定を含みうるため、推定冷却時間と、TSCの実温度が閾値温度を超えてから停止が行われるまでの時間との合計として、合計経過時間を推定してもよい。
240におけるTSCの加熱の停止は、少なくとも部分的には、234における特定の工程において特定されるようなTSCの最高温度、及び、236における特定の工程において特定されるような経過時間に基づいて停止することを含みうる。一例として、240における停止は、少なくとも部分的には、TSCの最高温度と経過時間との間の関係に基づいて停止すること、又は、停止を開始することを含みうる。このような関係の例を図8に示し、同図を参照しながらより詳細に説明を行う。
より具体的な例として、方法200が、210における提供を含む場合、240における停止は、TSCが目標SOCに到達したか、或いは到達すること(例えば、TSCが部分的に硬化されたこと)を示す処理相関を受けて停止することを含みうる。他のより具体的な例として、方法200が210における提供を含む場合、240における停止は、目標SOCに到達するためのものとしてTSCの最高温度について設定された閾値経過時間を実測の経過時間が超えたことを受けて、停止することを含みうる。さらに他の具体的な例として、方法200が210における提供を含む場合、240における停止は、現在の経過時間に対して目標SOCに到達するものとして設定された閾値最高温度を実測の最高温度が超えたことを受けて、停止することを含みうる。
240における停止は、任意の適切な方法で停止を実行することを含みうる。例えば、240における停止は、TSCの加熱を停止することを含みうる。他の例においては、240における停止は、230における加熱中、TSCを取り囲む加熱環境の温度を下げることを含みうる。
本開示の方法200は、TSCを硬化するための従来の方法と比較していくつかの顕著な利点を提供することができる。一例として、上述したように、従来の方法は一般に、熱硬化性複合材が、少なくとも閾値時間に亘って閾値温度を上回るようにすることによって、熱硬化性複合材を完全に、或いは、少なくとも実質的に完全に硬化させるように構成されている。このように、従来技術の方法は、熱硬化性複合材が到達する最高温度を考慮しておらず、硬化処理において熱硬化性複合材が辿る温度変化を考慮しておらず、及び/又は、熱硬化性複合材のピーク発熱温度が上限閾値温度を超えるタイミングを考慮していない。上述したように、この結果として一般に、熱硬化性複合材の硬化が非効率的になったり、硬化処理が非効率的になったりする。
さらに、目標SOCによって部分硬化TSCを得る場合、当該部分硬化TSCは、完全に硬化させた同等のTSCよりも優れた効果や特性を有する。例えば、部分硬化TSCは、完全に硬化させた同等のTSCと比較して、吸湿性が低い。より具体的な例を挙げると、部分硬化TSCの吸湿性は、完全に硬化させた同等のTSCの吸湿性よりも、0.05重量パーセント(wt%)、0.1wt%、0.15wt%、及び/又は、0.2wt%低く、部分硬化TSCのSOCと完全に硬化させた同等のTSCのSOCとの差が大きいほど、この吸湿性の差も大きくなる。
これに対して、本開示の方法200は、TSCを、完全に硬化された状態より前のSOCなどの任意の適切なSOC(例えば、80%未満、85%未満、90%未満、95%未満、及び/又は、99%未満のSIC)まで硬化させるように設計されている。方法200は、閾値温度を超えた状態での経過時間と、TSCの最高温度との両方に基づいて硬化処理を制御するので、硬化処理中にTSCが辿る温度変化が考慮されている。このように温度変化を考慮することで、TSCを、再現可能に、及び/又は、効率的に目標SOCまで硬化させるために必要な追加情報を得ることができる。方法200は、硬化処理における硬化時間の調整が可能なため、停電による加熱の中断などの不測の事態にも対応可能である。
次に、図9~10を参照すると、本開示の実施形態は、図9に示すように航空機の製造及び保守方法900、及び/又は、図10に示すように航空機700に関連させて説明することができる。生産開始前の工程として、例示的な方法900は、航空機700の仕様決定及び設計905と、材料調達910とを含みうる。生産中の工程としては、航空機700の部品及び小組立品の製造915、並びに、システムインテグレーション920が行われる。その後、航空機700は、認証及び納品925の工程を経て、使用930に入る。顧客による使用中、航空機700は、定例の整備及び保守935(これは、改良、再構成、改修などを含みうる)に組み込まれる。
上記方法900の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータ(例えば、顧客)によって実行又は実施することができる。なお、システムインテグレータは、航空機メーカ、及び、主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。第三者は、売主、下請業者、及び、供給業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織などであってもよい。
図10に示すように、例示的な方法900によって製造される航空機700は、複数のシステム712と内装714とを備えた機体710を含みうる。高水準システム712の例としては、推進系715、電気系716、油圧系717、及び、環境系718のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでいてもよい。また、航空宇宙産業に用いた場合を例として説明したが、本発明の原理は、例えば自動車産業などの他の産業に適用してもよい。
既に述べたように、本明細書で具現化される方法は、製造及び保守方法900における任意の1つ以上の段階で採用することができる。例えば、部品及び小組立品の製造工程915に対応する部品又は小組立品は、航空機700の使用中に作製される部品又は小組立品と同様に作製又は製造することができる。また、1つ以上のシステムの実施形態、方法の実施形態、又は、それらの組み合わせを、例えば、製造工程である915及び920で用いることにより、実質的に航空機700の組立速度を速めたりコストを削減したりすることもできる。同様に、1つ以上のシステムの実施形態、方法の実施形態、又は、それらの組み合わせを、航空機700の使用中、例えば、限定するものではないが、整備及び保守935において用いてもよい。
次に、実施例に関連させて方法200について説明する。実施例においては、図8に示す処理相関130などの処理相関を用いて、TSCを目標SOCに硬化するための最高温度及び対応する経過時間が得られる処理条件132を選択した。この実施例においては、処理条件132は、最高温度が326.7°F(163.7℃)で、経過時間が104分という条件に相当する。図8の処理相関130は、モデルシミュレーションに基づくものであって、TSCを約75%のSOCにする条件を提供すると予測されるものである。
続いて、TSCをオートクレーブに入れた。オートクレーブ内の環境温度112を、周囲温度から約340°F(171℃)の定常温度113まで上昇させた後、周囲温度まで下げる熱サイクルを実行した。これと同時に、TSC温度110を監視したところ、環境温度112の上昇を受けて、TSC温度110が326.7°F(163.7℃)の最高温度110に上昇した。さらに、図7に示すように、TSCを、104分の経過時間125の間、280°F(138℃)の閾値温度120を超えた状態に維持した。この熱サイクルによって、TSCが約74.7%のSOCに硬化された。
本開示による発明の要旨の例示的且つ非排他的な例は、以下に列挙する付記に記載されている。
A1.熱硬化性複合材(TSC)を目標硬化状態(SOC)まで硬化させる方法であって、
閾値温度を超えるまで前記TSCを加熱すること、
前記加熱中において、
(i)前記TSCの実温度を監視すること、
(ii)前記TSCが到達した最高温度を特定すること、
(iii)前記TSCの前記実温度が前記閾値温度を超えているときの経過時間を特定すること、
少なくとも部分的には、前記TSCの前記最高温度と前記経過時間とに基づいて前記加熱を停止すること、を含む、方法。
A2.前記停止は、少なくとも部分的には、前記TSCの前記最高温度と前記経過時間との間の関係に基づいている、付記A1に記載の方法。
A3.前記方法は、前記TSCの前記目標SOCについて、処理相関又は較正を提供することをさらに含む、付記A1又はA2に記載の方法。
A4.前記処理相関は、前記目標SOCに到達するための前記経過時間と前記TSCの前記最高温度との組み合わせを特定するものである、付記A3に記載の方法。
A5.所与の目標SOCについての処理相関は、別の目標SOCについての処理相関とは異なる、付記A3に記載の方法。
A6.所与の閾値温度についての処理相関は、別の閾値温度についての処理相関とは異なる、付記A3~A5のいずれかに記載の方法。
A7.前記処理相関は、
(i)前記目標SOCに到達するための前記最高温度の値と対応する前記経過時間の値との間の関数的な関係を示す処理相関曲線、
(ii)前記目標SOCに到達するための前記最高温度の値と対応する前記経過時間の値との対を表示する処理相関ルックアップテーブル、
(iii)前記目標SOCに到達するための前記最高温度の値と対応する前記経過時間の値との関数的な関係を示す処理相関関数、のうちの少なくともいずれか1つを含む、付記A3~A6のいずれかに記載の方法。
A8.(i)前記処理相関が、前記TSCの半経験的モデル、前記TSCの硬化反応態様、及び、前記TSCの熱伝達モデルから導出されたものであるか、
(ii)前記方法が、前記TSCの半経験的モデル、前記TSCの硬化反応態様、及び、前記TSCの熱伝達モデルから前記処理相関を導出することをさらに含むか、
(iii)前記処理相関が実験的に導出されたものであるか、
(iv)前記方法が、前記処理相関を実験的に導出することをさらに含むか、のうちの少なくとも1つを満たす、付記A3~A7のいずれかに記載の方法。
A9.前記停止は、前記TSCが前記目標SOCに到達した旨を示す前記処理相関を受けて、停止を実行することを含む、付記A3~A8のいずれかに記載の方法。
A10.前記停止は、前記目標SOCに到達するための前記最高温度についての閾値経過時間を経過時間が超えたことを受けて、停止を実行することを含む、付記A1~A9のいずれかに記載の方法。
A11.前記停止は、前記目標SOCに到達するための前記経過時間についての閾値最高温度を前記最高温度が超えたことを受けて、停止を実行することを含む、付記A1~A10のいずれかに記載の方法。
A12.前記処理相関の提供は、複数の別個の処理条件について、前記TSCの硬化反応速度モデルを含む複数の熱シミュレーションを実行することと、前記複数の熱シミュレーションから前記処理相関を生成することと、を含み、前記複数の熱シミュレーションの各々は、前記目標SOCになるまで前記TSCを硬化させることをモデル化するものである、付記A3~A11のいずれかに記載の方法。
A13.前記複数の別個の処理条件は、
(i)前記TSCの加熱中に用いられる複数の異なる加熱環境温度、
(ii)前記TSCの複数の異なる加熱速度、
(iii)前記TSCの複数の異なる厚み、
(iv)前記TSCの複数の異なる熱伝達係数、
(v)前記加熱中に前記TSCを支持する支持マンドレルの複数の異なる厚み、
(vi)前記支持マンドレルの複数の異なる熱伝達係数、のうちの少なくとも1つを含む、付記A12に記載の方法。
A14.前記複数の熱シミュレーションは、少なくとも部分的には、前記TSCの硬化反応態様及び熱伝達モデルに基づく、付記A12又はA13に記載の方法。
A15.前記方法は、前記加熱の前に、前記加熱中の前記TSCの上限温度閾値を選択することをさらに含み、前記加熱は、前記TSCの前記最高温度を前記上限温度閾値よりも低く維持することを含む、付記A1~A14のいずれかに記載の方法。
A16.前記加熱は、
(i)前記TSCへの対流伝熱による加熱、
(ii)前記TSCへの伝導伝熱による加熱、
(iii)前記TSCへの放射伝熱による加熱、のうちの少なくとも1つを含む、付記A1~A15のいずれかに記載の方法。
A17.前記加熱は、
(i)炉に入れて加熱すること、
(ii)オートクレーブに入れて加熱すること、
(iii)前記加熱中に、前記TSCを支持する支持マンドレルを加熱すること、のうちの少なくとも1つを含む、付記A1~A16のいずれかに記載の方法。
A18.前記加熱は、前記TSCを取り囲む加熱環境の温度を上昇させることで、前記加熱環境において加熱を行うことを含む、付記A1~A17のいずれかに記載の方法。
A19.前記加熱は、前記TSCを熱源に曝すことを含む、付記A1~A18のいずれかに記載の方法。
A20.前記加熱は、前記熱源から前記TSCに熱エネルギーを加えることを含む、付記A19に記載の方法。
A21.前記停止は、前記熱源から前記TSCに熱エネルギーを加えるのを停止することを含む、付記A20に記載の方法。
A22.前記加熱は、前記熱源の温度をソーク温度まで上昇させることと、前記熱源の温度を前記ソーク温度に維持することと、を含む、付記A19~A21のいずれかに記載の方法。
A23.前記ソーク温度は、
(i)前記最高温度より高いか、或いは、
(ii)上限温度閾値より低いか、のうちの少なくともいずれか一方である、付記A22に記載の方法。
A24.前記ソーク温度は、
(i)少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも93.3℃、少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃、少なくとも130℃、少なくとも140℃、少なくとも150℃、少なくとも160℃、少なくとも170℃、少なくとも179.4℃、少なくとも180℃、少なくとも190℃、又は、少なくとも200℃であるか、或いは、
(ii)最大250℃、最大225℃、最大200℃、最大190℃、最大180℃、最大170℃、最大160℃、最大150℃、最大140℃、最大130℃、最大120℃、最大110℃、最大100℃、又は、最大95℃であるか、のうちの少なくとも一方である、付記A22又はA23に記載の方法。
A25.前記停止は、前記TSCに熱を加えるのを停止することを含む、付記A1~A24のいずれかに記載の方法。
A26.前記停止は、前記TSCを取り囲む加熱環境の温度を下げることを含む、付記A1~A25のいずれかに記載の方法。
A27.前記TSCの実温度の監視は、温度検出器を用いて監視を行うことを含み、任意ではあるが、前記温度検出器は、
(i)熱電対、
(ii)抵抗熱検出器、
(iii)赤外線温度センサ、のうちの少なくとも1つを含む、付記A1~A26のいずれかに記載の方法。
A28.前記TSCの実温度の監視は、
(i)前記TSCにおける選択位置の選択温度を監視すること、
(ii)前記TSCの平均温度を監視すること、
(iii)前記TSCにおいて測定された最低温度を監視すること、のうちの少なくとも1つを含む、付記A1~A27のいずれかに記載の方法。
A29.前記TSCの実温度の監視は、前記TSCにおける複数の離間した位置の複数の実温度を監視することを含む、付記A1~A28のいずれかに記載の方法。
A30.前記TSCの最高温度は、前記TSCにおける前記複数の離間した位置のうち最も温度が低い位置で測定された、前記TSCにおける最低監視温度である、付記A29に記載の方法。
A31.前記経過時間の特定は、前記TSCの前記実温度が前記閾値温度を超えた時点から、前記停止を開始した時点までの時間を特定することを含む、付記A1~A30のいずれかに記載の方法。
A32.前記目標SOCは、
(i)前記TSCに含まれる樹脂の目標架橋率、
(ii)前記TSCの前記樹脂の目標反応転化率、のうちの少なくとも一方を含む、付記A1~A31のいずれかに記載の方法。
A33.前記目標SOCは、
(i)少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は、少なくとも90%であるか、或いは、
(ii)最大95%、最大90%、最大85%、最大80%、最大75%、最大70%、最大65%、最大60%、最大50%、又は、最大40%であるか、のうちの少なくとも一方である、付記A1~A32のいずれかに記載の方法。
A34.前記熱硬化性複合材は、複合材料からなる複数のプライを含む、付記A1~A33のいずれかに記載の方法。
A35.前記熱硬化性複合材は、複数のファイバと熱硬化性樹脂とを含むか、或いは、これらにより形成されている、付記A1~A34のいずれかに記載の方法。
A36.前記熱硬化性樹脂は、熱硬化性エポキシを含む、付記A35に記載の方法。
B1.熱硬化性複合材を硬化させるためのシステムであって、
加熱環境の温度を調節する加熱アセンブリと、
前記加熱環境内に配置された支持マンドレルと、
前記加熱環境内に配置されるとともに、前記支持マンドレルに支持された熱硬化性複合材と、
前記熱硬化性複合材の実温度を監視するように構成された温度検出器と、
付記A1~A36のいずれかの方法を用いて、前記温度検出器から前記熱硬化性複合材の温度を受信して、前記加熱アセンブリの動作を制御することにより前記加熱環境の温度を制御するようにプログラムされたコントローラと、を含むシステム。
C1.熱硬化性複合材(TSC)を目標硬化状態(SOC)まで硬化させるための、付記A1~A36のいずれかに記載の方法、又は、付記B1に記載のシステムの使用。
D1.付記A1~A36のいずれかに記載の方法を用いて、目標硬化状態(SOC)まで硬化された熱硬化性複合材(TSC)。
本明細書において、「選択的」及び「選択的に」なる用語は、ある装置における1つ以上のコンポーネント若しくは要素の動作、挙動、構成、又は、その他の機能を変更する場合、その特定の動作、挙動、構成、又は、その他の機能が、当該装置の態様、又は、1つ以上のコンポーネントに対するユーザ操作の直接的、或いは、間接的な結果であることを意味する。
本明細書において、「適合化されている」及び「構成されている」という用語は、要素、コンポーネント、又は、他の要部が、所定の機能を実行するように設計、及び/又は、意図されていることを意味する。したがって、「適合化されている」及び「構成されている」という用語の使用は、ある要素、コンポーネント、又は、他の要部が、単に所定の機能を実行することが「できる」ということを意味すると解釈されるべきではなく、当該要素、コンポーネント、及び/又は、他の要部が、その機能を実行するために、具体的に、選択、作製、実施、利用、プログラム、及び/又は、設計されていることを意味すると解釈されるべきである。また、特定の機能を実行するように適合化されたものとして記載された要素、コンポーネント、及び/又は、他の要部が、これに加えて、或いはこれに代えて、当該機能を実行するように構成されたものとして記載されること、及び、その逆も、本開示の範囲に包含される。同様に、特定の機能を実行するように構成されたものとして記載された要部が、これに加え、或いはこれに代えて、当該機能を実行するように動作するものとして記載される場合もある。
本明細書において、1つ又は複数の対象物に言及した「少なくとも1つ」という表現は、対象物のリストにおける1つ又は複数の対象物から選択された少なくとも1つの対象物を意味すると理解されるべきであり、必ずしも対象物のリストに具体的に列記された全ての対象物の各々を少なくとも1つ含むものではなく、また、リストにある対象物のいかなる組み合わせも排除するものでもない。この定義によれば、「少なくとも1つの」という表現が関連付けられている対象物のリストに具体的に明記されていない対象物が、これらの具体的に明記されたものに対する関連の有無にかかわらず、任意で存在することも可能になる。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも一方」(又は、同様の意味合いで、「A又はBのうちの少なくとも一方」、又は、同様の意味合いで「A及び/又はBのうちの少なくとも一方」)という表現は、一実施形態においては、少なくとも1つの、任意で2つ以上のAを含み、Bが存在しない(任意でB以外の実体を含む)ことを指す場合があり、別の実施形態においては、少なくとも1つの、任意で2つ以上のBを含み、Aが存在しない(任意でA以外のものを含む)ことを指す場合があり、さらに別の実施形態では、少なくとも1つの、任意で2つ以上のAと、少なくとも1つの、任意で2つ以上のBと、(任意でその他のもの)を含むことを指す場合がある。すなわち、「少なくとも1つの」、「1つ以上の」、並びに、「及び/又は」という表現は、オープンエンド型の表現であり、連言的機能と選言的機能の両方を有する。例えば、「A、B、及び、Cのうちの少なくとも1つ」、「A、B、又は、Cのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及び、Cのうちの1つ以上」、「A、B、又は、Cのうちの1つ以上」、「A、B、及び/又は、C」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、AとBとCの全て、そして、任意で、上記のいずれかと少なくとも1つの他のものとの組み合わせ、を意味しうる。
本明細書に開示した様々な装置の要素及び方法のステップは、本開示による装置及び方法の全てに必須というわけではなく、本開示は、本明細書で開示した様々な要素及びステップの新規且つ非自明な組み合わせ及び部分的組み合わせを、全て包含するものである。また、本明細書に開示した種々の要素及びステップの1つ又は複数は、開示された装置又は方法の全体とは別個の独立した発明の要旨を規定する場合がある。したがって、そのような発明の要旨は、本明細書に明示的に開示した特定の装置及び方法と関連付けられている必要はなく、本明細書に明示的に開示されていない装置及び/又は方法に有用性がある可能性がある。
本明細書において、「例えば」という表現、「例として」という表現、及び/又は、単に「例」という表現が、本開示による1つ以上のコンポーネント、特異部、詳細項目、構造体、実施形態、及び/又は、方法と共に用いられている場合、記載されているコンポーネント、特異部、詳細項目、構造体、実施形態、及び/又は、方法が、本開示によるコンポーネント、特異部、詳細項目、構造体、実施形態、及び/又は、方法の、例示的且つ非排他的な例であるということを意図している。したがって、本開示に記載されているコンポーネント、特異部、詳細項目、構造体、実施形態、及び/又は、方法は、限定的、必須、又は、排他的/包括的であることを意図したものではなく、構造的、及び/又は、機能的に類似、及び/又は、均等であるコンポーネント、特異部、詳細項目、構造体、実施形態、及び/又は方法を含む他のコンポーネント、特異部、詳細項目、構造体、実施形態、及び/又は、方法もまた、本開示の範囲に含まれる。

Claims (20)

  1. 熱硬化性複合材(TSC)を目標硬化状態(SOC)まで硬化させる方法であって、
    閾値温度を超えるまで前記TSCを加熱すること、
    前記加熱中において、
    (i)前記TSCの実温度を監視すること、
    (ii)前記TSCが到達した最高温度を特定すること、
    (iii)前記TSCの前記実温度が前記閾値温度を超えているときの経過時間を特定すること、
    少なくとも部分的には、前記TSCの前記最高温度と前記経過時間とに基づいて前記加熱を停止すること、を含む、方法。
  2. 前記停止は、少なくとも部分的には、前記TSCの前記最高温度と前記経過時間との間の関係に基づいている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記方法は、前記TSCの前記目標SOCについて、処理相関を提供することをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記処理相関は、前記目標SOCに到達するための前記経過時間と前記TSCの前記最高温度との組み合わせを特定するものである、請求項3に記載の方法。
  5. (i)所与の目標SOCについての処理相関は、別の目標SOCについての処理相関とは異なることと、
    (ii)所与の閾値温度についての処理相関は、別の閾値温度についての処理相関とは異なることと、のうちの少なくとも一方を満たす、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 前記処理相関は、
    (i)前記目標SOCに到達するための前記最高温度の値と対応する前記経過時間の値との間の関数的な関係を示す処理相関曲線、
    (ii)前記目標SOCに到達するための前記最高温度の値と対応する前記経過時間の値との対を表示する処理相関ルックアップテーブル、
    (iii)前記目標SOCに到達するための前記最高温度の値と対応する前記経過時間の値との関数的な関係を示す処理相関関数、
    のうちの少なくともいずれか1つを含む、請求項3~5のいずれかに記載の方法。
  7. (i)前記処理相関が、前記TSCの半経験的モデル、前記TSCの硬化反応態様、及び、前記TSCの熱伝達モデルから導出されたものであるか、
    (ii)前記方法が、前記TSCの半経験的モデル、前記TSCの硬化反応態様、及び、前記TSCの熱伝達モデルから前記処理相関を導出することをさらに含むか、
    (iii)前記処理相関が実験的に導出されたものであるか、
    (iv)前記方法が、前記処理相関を実験的に導出することをさらに含むか、のうちの少なくとも1つを満たす、請求項3~6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記停止は、前記TSCが前記目標SOCに到達したことを示す前記処理相関を受けて、停止を実行することを含む、請求項3~7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記停止は、前記目標SOCに到達するための前記最高温度についての閾値経過時間を、経過時間が超えたことを受けて、停止を実行することを含む、請求項3~8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記停止は、前記目標SOCに到達するための前記経過時間についての閾値最高温度を前記最高温度が超えたことを受けて、停止を実行することを含む、請求項3~9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記処理相関の提供は、複数の別個の処理条件について、前記TSCの硬化反応態様モデルを含む複数の熱シミュレーションを実行することと、前記複数の熱シミュレーションから前記処理相関を生成することと、を含み、前記複数の熱シミュレーションの各々は、前記目標SOCになるまで前記TSCを硬化させることをモデル化するものである、請求項3~10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記複数の別個の処理条件は、
    (i)前記TSCの加熱中に用いられる複数の異なる加熱環境温度、
    (ii)前記TSCの複数の異なる加熱速度、
    (iii)前記TSCの複数の異なる厚み、
    (iv)前記TSCの複数の異なる熱伝達係数、
    (v)前記加熱中に前記TSCを支持する支持マンドレルの複数の異なる厚み、
    (vi)前記支持マンドレルの複数の異なる熱伝達係数、のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記複数の熱シミュレーションは、少なくとも部分的には、前記TSCの硬化態様及び熱伝達モデルに基づく、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記停止は、
    (i)前記TSCに熱を加えるのを停止すること、
    (ii)前記TSCを取り囲む加熱環境の温度を下げること、のうちの少なくとも一方を含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記TSCの実温度の監視は、温度検出器を用いて監視を行うことを含む、請求項1~14のいずれか1つに記載の方法。
  16. 前記TSCの実温度の監視は、
    (i)前記TSCにおける選択位置の選択温度を監視すること、
    (ii)前記TSCの平均温度を監視すること、
    (iii)前記TSCにおいて測定された最低温度を監視すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
  17. 前記TSCの実温度の監視は、前記TSCにおける複数の離間した位置の複数の実温度を監視することを含む、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記TSCの最高温度は、前記TSCにおける前記複数の離間した位置のうち最も温度が低い位置で測定された、前記TSCにおける最低監視温度である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記経過時間の特定は、前記TSCの前記実温度が前記閾値温度を超えた時点から、前記停止を開始した時点までの時間を特定することを含む、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
  20. 熱硬化性複合材を硬化させるためのシステムであって、
    加熱環境の温度を調節する加熱アセンブリと、
    前記加熱環境内に配置された支持マンドレルと、
    前記加熱環境内に配置されるとともに、前記支持マンドレルに支持された熱硬化性複合材と、
    前記熱硬化性複合材の実温度を監視するように構成された温度検出器と、
    請求項1~19のいずれかの方法を用いて、前記温度検出器から前記熱硬化性複合材の温度を受信して、前記加熱アセンブリの動作を制御することにより前記加熱環境の温度を制御するようにプログラムされたコントローラと、を含むシステム。
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