JP7001443B2 - 繊維堆積体搬送装置及び繊維堆積体の搬送方法 - Google Patents

繊維堆積体搬送装置及び繊維堆積体の搬送方法 Download PDF

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Description

本発明は、繊維堆積体搬送装置及び繊維堆積体の搬送方法に関する。
繊維を紡糸する技術として、原料樹脂を含む溶液をノズルより紡出させ、溶媒成分を蒸発させて繊維を得る溶液紡糸法や、溶融状態の原料樹脂をノズルより紡出させて繊維を形成する溶融紡糸法などが一般的に知られている。特に、電界紡糸法(エレクトロスピニング法)は、紡出ノズルから所定距離を隔てた位置に対向して設置された捕集用電極との間に高電圧を印加して、樹脂溶液又は樹脂溶融液を電気的斥力によって延伸させて、ナノファイバからなる繊維堆積体を形成する方法として注目されている。電界紡糸法によって製造された繊維堆積体は、高電圧を印加して製造されたことに起因して、製造後及び搬送時においても該繊維に電荷が残存し、帯電していることがある。この残存電荷は、搬送装置と繊維堆積体との間に電気的な引力を生じさせるので、搬送装置への繊維堆積体の意図しない張り付きやたわみ、よれ、破断などが生じ、その結果、繊維堆積体の品質に悪影響を及ぼすことがある。
このような欠点を解決すべく、特許文献1には、除電装置が設けられた繊維構造体の製造装置が提案されている。同文献には、隣り合う紡糸ノズルの間に除電装置が設けられており、静電紡糸法によって製造された繊維堆積体に残存した電荷を除電して、残存電荷に起因した繊維構造体の毛羽立ちの発生を防止できることが記載されている。
また、特許文献2には、電界紡糸法によって紡糸された繊維を含む積層体の製造方法が提案されている。同文献の方法に用いられる製造装置には、電界紡糸繊維を含むシートに直接接触して除電する除電装置が設けられており、該シートに保持されるダストの量を低減できることが記載されている。
特開2007-092213号公報 特開2017-053064号公報
しかし、特許文献1の装置では、紡糸装置側に除電装置が設けられているので、電気的斥力に起因した原料樹脂の延伸を妨げ、より細径の繊維を得ることは困難となってしまう。また、紡糸装置と捕集装置との間が離間しているので、捕集装置で捕集された後の繊維の除電を十分に行うことができず、電荷の残存に起因した、搬送装置への意図しない繊維の付着等が発生してしまう。
また、特許文献2の装置では、電界紡糸繊維を含む積層シートに直接接触して除電しているが、電界紡糸繊維からなる繊維堆積体のみを搬送する際に同文献の装置を用いる場合、除電装置が繊維堆積体に直接接触してしまうことに起因して、該繊維堆積体の破断やよれなどといった品質の低下が発生しやすくなる。
したがって、本発明の課題は、製造された繊維堆積体が搬送装置の意図しない構成部材に堆積することを防止し、且つ繊維堆積体の品質を損なうことなく下流へ搬送するための搬送装置及びその方法を提供することにある。
本発明は、互いに結合していない繊維を含む繊維堆積体を一方向へ搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの下流に、該搬送ベルトと対向して、且つ前記繊維堆積体の搬送方向と直交する方向にわたって該繊維堆積体を押圧可能に配されているニップロールと、
前記ニップロールの軸方向に沿って配されており、電離気体を前記ニップロールの周面へ直接に吹き付ける電離気体発生装置とを備える、繊維堆積体搬送装置を提供するものである。
また本発明は、上述の繊維堆積体搬送装置を用いた繊維堆積体の搬送方法であって、
前記電離気体を前記ニップロールの周面へ直接に吹き付けた状態下に、前記搬送ベルトと前記ニップロールとの間で前記繊維堆積体を押圧しながら搬送する、繊維堆積体の搬送方法を提供するものである。
本発明によれば、製造された繊維堆積体が搬送装置の意図しない構成部材に堆積することを防止することができ、これに起因して、該繊維堆積体を破断やたわみ、よれが生じることなく下流に搬送することができる。
図1(a)は、本発明の搬送装置を側面から見た模式図であり、図1(b)は、図1(a)における搬送装置の斜視図である。 図2(a)は、本発明の搬送装置の他の実施形態を示す模式図であり、図2(b)は、図2(a)における搬送装置の斜視図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1(a)及び(b)には、本発明の繊維堆積体搬送装置10(以下、単に「搬送装置10」ともいう。)の一実施形態が模式的に示されている。図1に示す搬送装置10は、搬送ベルト20、ニップロール30及び電離気体発生装置40を備えている。なお以下の説明では、「回転方向」は繊維堆積体の搬送方向Xと同一の方向(長手方向)を指し、「幅方向」又は「軸方向」は繊維堆積体の搬送方向Xに直交する方向(Y方向)を指す。
図1(a)及び(b)に示す搬送装置10は、搬送ベルト20を備えている。搬送ベルト20は、原料樹脂の溶液又は溶融液(以下、これらを総称して「原料液」ともいう。)を吐出して繊維の紡糸を行うための紡糸装置(図示せず)と対向するように構成されている。紡糸装置における原料液の吐出は、紡糸方向Rに沿って行われる。
繊維堆積体を製造するための紡糸装置としては、少なくとも互いに結合していない繊維を紡糸可能な装置を用いることが好ましい。つまり、繊維堆積体は、互いに結合していない繊維を含んで構成されていればよい。詳細には、繊維堆積体は、互いに結合していない繊維のみから構成されていてもよく、互いに結合していない繊維に加えて、融着点を有し、一部結合した繊維を含んで構成されていてもよい。このような繊維を紡糸できる装置としては、例えば電界紡糸法、メルトブローン法又はスパンボンド法等を採用した紡糸装置が挙げられる。
紡糸装置から空気中に吐出された原料液は、空気によって冷却されるとともに細径の繊維を形成しながら、搬送ベルト20に向けて搬送される。細径の繊維は、紡糸装置に対向する面である、搬送ベルト20の堆積面20Sに堆積し、繊維の堆積体Fを形成する(以下、繊維の堆積体Fを「繊維堆積体F」ともいう。)。
図1(a)及び(b)に示すように、搬送装置10は、無端ベルトからなる搬送ベルト20が備えられている。搬送ベルト20は、2つの搬送ロール21,21が設けられており、同図では、上流側搬送ロール21A及び下流側搬送ロール21Bの間に掛けわたされて、単一方向Xに周回軌道を描くようになっている。搬送ベルト20の形態は、紡糸装置の種類や繊維の搬送方法等によって適宜選択することができ、無端ベルトに代えて、例えば長尺帯状のベルトがロール状の巻回体から繰り出されるようになっていてもよい。搬送ベルト20としては、例えば不織布、合成樹脂又は紙等からなるフィルム状又はメッシュ状の部材を用いることができ、これらの部材の表面には導電処理が施されているものでもよい。搬送ベルト20の搬送方向Xの下流側には、繊維堆積体Fを下流の工程へ案内するためのガイドロール22が備えられている。本明細書でいう上流又は下流とは、上下方向のことではなく、工程の前後を意味するものである。
図1(a)及び(b)に示すように、搬送ベルト20の堆積面20Sの下部には、ニップロール30が設けられている。ニップロール30は、搬送ベルト20の堆積面20Sに堆積した繊維を押圧してシート状とし、該繊維を飛散させることなく下流へ搬送しやすくするためのものである。ニップロール30は回転可能な構成となっており、搬送ベルト20の堆積面20S及び下流側搬送ロール21Bと対向して、且つ搬送方向Xと直交する方向Yにわたって配されている。このような構成を有していることによって、搬送ベルト20の堆積面20Sに堆積した繊維堆積体Fは、下流側搬送ロール21Bとニップロール30との間で押圧されながら、搬送方向Xに搬送されるようになっている。ニップロール30の配置位置は、搬送ベルト20の堆積面20Sに対向し、且つ繊維堆積体Fを押圧可能に配されていれば上述の形態に限られず、例えばニップロール30が下流側搬送ロール21Bの上方に配されていてもよい。この場合、搬送ベルト20の堆積面20Sに堆積した繊維堆積体Fは、搬送ベルト20とニップロール30との間で押圧されながら、搬送方向Xに搬送されるようになっていてもよい。
繊維堆積体Fの柔軟性と形状保持性とを両立して押圧する観点から、ニップロール30の表面は柔軟性を有する部材からなることが好ましい。また、意図しない電流が搬送装置10や紡糸装置に流れることを防止する観点から、ニップロール30の表面は絶縁体からなることが好ましい。これら双方の利点を得る観点から、ニップロール30の表面は、ウレタンやシリコーン、ポリイソプレン、ポリブタジエン等の柔軟性を有するエラストマー系材料を含む絶縁体からなることが一層好ましい。
繊維堆積体Fの柔軟性と形状保持性とを両立して押圧する観点から、ニップロール30によるプレス圧(線圧)は、70N/m以上600N/m以下であることが好ましく、75N/m以上550N/m以下であることがより好ましい。
ところで、本発明の搬送装置10を用いて、樹脂を主成分とする繊維の堆積体を搬送する場合、原料となる樹脂はポリプロピレンやポリエチレン等の導電性が低いものが用いられるので、該繊維堆積体が帯電しやすい状態となっている。特に、電界紡糸法で紡糸された繊維は、その紡糸時に高電圧が印加されていることに起因して、繊維堆積体がより強く帯電した状態となっている。このように帯電している繊維堆積体に対して、ロールの表面が絶縁体からなるニップロールを用いて押圧した場合、ニップロールの周面と繊維堆積体との間で電気的な引力が生じ、繊維の一部がニップロールの周面へ意図せず堆積してしまったり、押圧した繊維堆積体が巻きついたりしてしまう。その結果、製造される繊維堆積体の坪量不良やたわみ、よれ、破断等が生じ、繊維堆積体の生産効率の低下につながることがある。
このような問題点を解決すべく本発明者が鋭意検討した結果、ニップロール30の周面に電離した気体を直接吹き付けることによって、意外にも、ニップロールの周面への繊維の堆積や、繊維堆積体の巻きつきが抑制され、その結果、製造される繊維堆積体の生産効率が向上することを見出した。
図1(a)及び(b)に示すように、本発明の搬送装置10は、電離気体発生装置40を備えている。電離気体発生装置40は、ニップロール30の上方に位置し、且つ該ロール30の軸方向に沿って配されている。電離気体発生装置40は、その内部で電離気体Aを発生させ、且つ電離気体Aをファンやポンプ等を用いて外部へ噴射することができるように構成されている。電離気体発生装置40から噴射される電離気体Aは、陽イオンと陰イオンとが混在した状態で噴射されるので、ニップロール30と繊維堆積体Fとの間で生じる電荷の偏りを該イオンによって中和することができる。その結果、ニップロール30と繊維堆積体Fとの間で電気的な引力を発生しにくくすることができる。
ニップロール30と繊維堆積体Fとの間で生じる電気的な引力を低減させて、ニップロール30への繊維の堆積や、繊維堆積体の巻きつきを抑制する観点から、電離気体発生装置40は、該装置40からニップロール30に対して電離気体Aを直接吹き付けられるように構成されていることが好ましい。なお、「直接吹き付けられる」とは、電離気体発生装置40から噴射される電離気体Aの噴射方向の延長線上にニップロール30の周面が位置していることをいう。
電離気体発生装置40における電離気体Aの吹き付け方向は、少なくともニップロール30の周面に電離気体Aを直接吹き付けるようになっていればよい。具体的には、電離気体Aが、ニップロール30の周面の接線方向に対して直接吹き付けられるように構成されていてもよい。特に、繊維堆積体Fへの電離気体Aの直接的な吹き付けに起因した繊維の飛散を防止して、繊維堆積体Fの坪量分布の均一性を維持する観点から、ニップロール30をその軸線の面で断面視したときに、電離気体Aの噴射方向の延長線とニップロール30の円周とが二つの交点を有するように、電離気体Aが吹き付けられることがより好ましく、前記延長線がニップロール30の軸心を通るように吹き付けられることが一層好ましい。
電離気体発生装置40における電離気体Aの吹き付けは、ニップロール30の幅方向Y全域に電離気体Aが直接吹き付けられるように構成されていることが好ましい。ニップロール30へ電離気体Aを吹き付ける態様としては、例えばニップロール30の軸方向に沿って線状に吹き付けてもよく、点状に複数吹き付けてもよい。このような電離気体Aの吹き付けを行うためには、電離気体発生装置40における電離気体Aの吐出口を、ニップロール30の軸方向に沿うように、連続的又は断続的なスリット状に形成したり、スプレー状に複数形成して行うことができる。また、複数の電離気体発生装置40をニップロール30の軸方向に沿って配置して、電離気体Aの吹き付けを行ってもよい。このような構成を有していることによって、ニップロール30への繊維堆積体の付着に起因した繊維堆積体の坪量不良やたわみ、よれ、破断等を効果的に防止することができる。
同様の観点から、ニップロール30の周面と電離気体発生装置40の吐出口との間隔は、電離気体発生装置40の性能やニップロール30の寸法などに応じて適宜調整することができるが、10mm以上150mm未満であることが好ましく、10mm以上100mm以下であることが更に好ましい。前記間隔を150mm以上とすると、ニップロール30への電離気体Aの吹き付けが十分に行えず、ニップロール30への繊維の堆積を防止できないことがある。
電離気体発生装置40における電離気体Aの噴射速度は、ニップロール30と電離気体発生装置40との間隔や、ニップロール30の寸法などに応じて適宜調整することができるが、電離気体発生装置40の吐出口から25mmの位置の見掛け値として5m/s以上100m/s以下であることが好ましい。
電離気体発生装置40において電離気体Aを発生させる方法としては、軟X線、紫外線、α線等の電離放射線を用いて発生させる方法や、コロナ放電を用いて発生させる方法、高周波を用いて発生させる方法等が挙げられる。製造コスト低減の観点及び作業者の被ばく防止の観点から、電離気体発生装置40は、コロナ放電によって電離気体Aを発生させるように構成されていることが好ましい。コロナ放電による電離気体発生装置は、市販品を用いることもできる。そのような市販品としては、例えば春日電機株式会社製のイオナイザー(MODEL ASIBS-CB)等が挙げられる。
搬送装置10の他の実施形態として、図2(a)及び(b)に示すように、電離気体発生装置40が、ニップロール30の下方に備えられていてもよい。この場合、電離気体Aは、ニップロール30の下方の周面に直接吹き付けられるようになっている。繊維堆積体Fの坪量分布の均一性を維持する観点からは、上述したとおり、電離気体Aが、ニップロール30と電離気体発生装置40とを断面視したときに、電離気体Aの噴射方向の延長線とニップロール30の円周とが二つの交点を有するように吹き付けられることがより好ましく、ニップロール30の軸中心方向に吹き付けられることが一層好ましい。
以上の搬送装置10を用いた繊維堆積体Fの搬送方法においては、電離気体発生装置40から電離気体Aをニップロール30の周面へ直接に吹き付けた状態下に、搬送ベルト20とニップロール30との間で繊維堆積体Fを押圧しながら搬送する。図1(a)及び(b)並びに図2(a)及び(b)に示す搬送装置10では、下側搬送ロール21Bとニップロール30との間で搬送ベルト20の堆積面20Sに堆積した繊維堆積体Fを押圧しながら搬送する。本発明の搬送方法は、帯電した繊維堆積体Fに直接接触することなく、電気的引力を低減させることができるので、繊維堆積体Fに破断やたわみ、よれ、坪量不良が生じにくい。また、繊維堆積体Fが、搬送装置10におけるニップロール30等の構成部材に堆積及び転写されることなく、下流に搬送することができる。その結果、繊維堆積体Fの生産効率をより向上させることができる。
本発明の搬送装置10によって搬送された繊維堆積体Fは、各種の目的に使用することができる。堆積体の形状としては、シート、綿状体、糸状体などが挙げられる。繊維堆積体は他のシートと積層したり、各種の液体、微粒子、ファイバなどを含有させたりして使用してもよい。繊維シートは、例えば医療目的や、美容目的、装飾目的等の非医療目的でヒトの肌、歯、歯茎、毛髪、非ヒト哺乳類の皮膚、歯、歯茎、枝や葉等の植物表面等に付着されるシートとして好適に用いられる。また、高集塵性でかつ低圧損の高性能フィルタ、高電流密度での使用が可能な電池用セパレータ、高空孔構造を有する細胞培養用基材等としても好適に用いられる。繊維の綿状体は防音材や断熱材等として好適に用いられる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えばニップロール30は、繊維堆積体Fの搬送方向Xに沿って複数配されていてもよい。
また、電離気体発生装置40も同様に、複数配されていてもよい。電離気体発生装置40の配置位置としては、ニップロール30の上方又は下方のみに複数配されていてもよく、上方及び下方の双方に配されていてもよい。
また、本発明の実施形態における電離気体発生装置40は、ファン又はポンプによって電離気体Aを噴射する構成となっていたが、これに代えて、ファン又はポンプを使用しない方法であってもよい。つまり、無風状態でニップロール30に電離気体Aを吹き付けてもよい。このような構成とするためには、所望の距離や範囲まで電離気体Aを発生させることができるような、電離気体Aの発生方法を選択すればよい。
また、電界紡糸法によって紡糸された繊維の堆積体を、本発明の搬送装置10を用いて搬送する場合、電界紡糸法における紡糸効率の向上の観点から、搬送装置10は、導電性材料からなる捕集電極を備えていることが好ましい。この場合、捕集電極は、紡糸装置と対向するように、且つ搬送ベルト20の背面に隣接するように配置されていることが好ましい。捕集電極は、電圧が印加されていてもよく、接地されていてもよい。
また、電界紡糸法の更なる紡糸効率の向上の観点から、搬送装置10は、搬送ベルト20の背面に隣接し、且つ紡糸装置と対向するように吸引装置を備えていることが好ましい。搬送装置の省スペース化の観点から、吸引装置は、無端ベルトである搬送ベルト20,20の間に画成された領域内に配置することが好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の繊維堆積体搬送装置及び繊維堆積体の搬送方法を開示する。
<1>
互いに結合していない繊維を含む繊維堆積体を一方向へ搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの下流に、該搬送ベルトと対向して、且つ前記繊維堆積体の搬送方向と直交する方向にわたって該繊維堆積体を押圧可能に配されているニップロールと、
前記ニップロールの軸方向に沿って配されており、電離気体を前記ニップロールの周面へ直接に吹き付ける電離気体発生装置とを備える、繊維堆積体搬送装置。
<2>
前記繊維が、電界紡糸繊維又はメルトブローン繊維である、前記<1>に記載の繊維堆積体搬送装置。
<3>
前記電離気体発生装置が、コロナ放電によって前記電離気体を発生させるように構成されている、前記<1>又は<2>に記載の繊維堆積体搬送装置。
<4>
前記電離気体発生装置は、前記電離気体を、前記ニップロールの軸方向に沿って線状に吹き付けるか、又は前記ニップロールの軸方向に沿って点状に吹き付けるように構成されている、前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の繊維堆積体搬送装置。
<5>
前記ニップロールの表面がエラストマー系材料を含む絶縁体からなる、前記<1>ないし<4>のいずれか1に記載の繊維堆積体搬送装置。
<6>
前記搬送ベルトとしては、例えば不織布、合成樹脂又は紙等からなるフィルム状又はメッシュ状の部材を用いることができ、これらの部材は表面に導電処理を施されているものでもよい、前記<1>ないし<5>のいずれか1に記載の繊維堆積体搬送装置。
<7>
前記搬送ベルトの堆積面に堆積した繊維堆積体は、前記搬送ロールと前記ニップロールとの間で押圧されながら、搬送方向に搬送されるように構成されている、前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載の繊維堆積体搬送装置。
<8>
前記ニップロールによるプレス圧(線圧)は、70N/m以上600N/m以下であることが好ましく、75N/m以上550N/m以下であることがより好ましい、前記<1>ないし<7>のいずれか1に記載の繊維堆積体搬送装置。
<9>
前記電離気体が、前記ニップロールの周面の接線方向に対して直接吹き付けられるように構成されていることが好ましく、前記ニップロールをその軸線の面で断面視したときに、前記電離気体の噴射方向の延長線と前記ニップロールの円周とが二つの交点を有するように、前記電離気体が吹き付けられることがより好ましく、前記延長線が前記ニップロールの軸心を通るように吹き付けられることが一層好ましく構成されている、前記<1>ないし<8>のいずれか1に記載の繊維堆積体搬送装置。
<10>
前記ニップロールの周面と前記電離気体発生装置の吐出口との間隔は、10mm以上150mm未満であることが好ましく、10mm以上100mm以下であることが更に好ましい、前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載の繊維堆積体搬送装置。
<11>
搬送装置は、導電性材料からなる捕集電極を備えていることが好ましく、前記捕集電極は、紡糸装置と対向するように、且つ前記搬送ベルトの背面に隣接するように配置されていることが更に好ましい、前記<1>ないし<10>のいずれか1に記載の繊維堆積体搬送装置。
<12>
前記電離気体発生装置における前記電離気体の噴射速度は、該装置の吐出口から25mmの位置の見掛け値として5m/s以上100m/s以下であることが好ましい、前記<1>ないし<11>のいずれか1に記載の繊維堆積体搬送装置。
<13>
前記<1>ないし<12>のいずれか1に記載の繊維堆積体搬送装置を用いた繊維堆積体の搬送方法であって、
前記電離気体を前記ニップロールの周面へ直接に吹き付けた状態下に、前記搬送ベルトと前記ニップロールとの間で前記繊維堆積体を押圧しながら搬送する、繊維堆積体の搬送方法。
<14>
前記電離気体発生装置から前記電離気体を前記ニップロールの周面へ直接に吹き付けた状態下に、前記搬送ロールと前記ニップロールとの間で前記搬送ベルトの堆積面に堆積した前記繊維堆積体を押圧しながら搬送する、前記<13>に記載の繊維堆積体の搬送方法。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
電界紡糸法によって紡糸した繊維を、図1(a)及び(b)に示す搬送装置10における堆積面20Sに捕集して、坪量が10g/mである繊維堆積体Fを形成した。この繊維堆積体Fを、線圧が156N/mとなる条件下でニップロール30で押圧しながら、搬送方向Xに向けて搬送した。電離気体発生装置40は、ニップロール30の上方に配置した。電離気体Aは、ニップロール30の上方からニップロール30の周面に対して直接吹き付けた。
〔比較例1〕
電離気体Aをニップロール30の周面へ吹き付けなかったほかは、実施例1と同様に、繊維堆積体を搬送した。
〔比較例2〕
電離気体Aを繊維堆積体Fに対して直接に吹き付けたほかは、実施例1と同様に繊維堆積体を搬送した。
〔ニップロールへの繊維堆積評価〕
実施例1及び各比較例において、繊維の搬送時における、ニップロールへの意図しない繊維の堆積を以下の基準によって目視で評価した。評価結果を以下の表1に示す。
A:搬送される繊維がニップロールに堆積しない。
B:搬送される繊維がニップロールに堆積する。
〔繊維の飛散評価〕
実施例1及び各比較例において、繊維の搬送時における、搬送装置からの繊維の飛散を以下の基準によって目視で評価した。評価結果を以下の表1に示す。
A:繊維が搬送装置から飛散しない。
B:繊維が搬送装置から飛散する。
Figure 0007001443000001
電界紡糸繊維の搬送時におけるニップロールへの繊維堆積を評価したところ、実施例1では、紡糸された繊維がニップロールに堆積しなかった。これに対し、各比較例では、ニップロールへの繊維の堆積が生じていた。
電界紡糸繊維の搬送装置からの繊維の飛散を評価したところ、実施例1では、紡糸された繊維を搬送装置から飛散することなく搬送できた。これに対し、特に比較例2では、電離気体を繊維堆積体に直接吹き付けていることに起因して、繊維の飛散が生じていた。
したがって、実施例1で搬送した繊維堆積体は、ニップロールへの繊維の堆積や、搬送装置からの繊維の飛散が生じないので、製造された繊維堆積体の品質を損なうことなく下流へ搬送することができる。
10 繊維堆積体搬送装置
20 搬送ベルト
30 ニップロール
40 電離気体発生装置
A 電離気体
F 繊維堆積体
R 紡糸方向
X 搬送方向
Y 幅方向(軸方向)

Claims (6)

  1. 互いに結合していない繊維を含む繊維堆積体を一方向へ搬送する搬送ベルトと、
    前記搬送ベルトにおける前記繊維が堆積される位置よりも下流に、該搬送ベルトと対向して、且つ前記繊維堆積体の搬送方向と直交する方向にわたって該繊維堆積体を押圧可能に配されているニップロールと、
    前記ニップロールの軸方向に沿って配されており、電離気体を前記ニップロールの周面へ直接に吹き付ける電離気体発生装置とを備える、繊維堆積体搬送装置。
  2. 前記繊維が、電界紡糸繊維又はメルトブローン繊維である、請求項1に記載の繊維堆積体搬送装置。
  3. 前記電離気体発生装置が、コロナ放電によって前記電離気体を発生させるように構成されている、請求項1又は2に記載の繊維堆積体搬送装置。
  4. 前記電離気体発生装置は、前記電離気体を、前記ニップロールの軸方向に沿って線状に吹き付けるか、又は前記ニップロールの軸方向に沿って点状に吹き付けるように構成されている、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の繊維堆積体搬送装置。
  5. 前記ニップロールの表面がエラストマー系材料を含む絶縁体からなる、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の繊維堆積体搬送装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の繊維堆積体搬送装置を用いた繊維堆積体の搬送方法であって、
    前記電離気体を前記ニップロールの周面へ直接に吹き付けた状態下に、前記搬送ベルトと前記ニップロールとの間で前記繊維堆積体を押圧しながら搬送する、繊維堆積体の搬送方法。
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