JP7001137B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷装置に関するものである。
ユーザが手で持って印刷方向(主走査方向)に動かしながら印刷を行う印刷装置が知られている(特許文献1、2参照)。
これらは、主走査方向がほぼ直線である場合を対象としている。
特開平5-330150号公報 特開2008-55680号公報
ところで、例えば、CD、DVD、BD等にラベルを付ける場合等、直線状に印刷を行うのではなく、円弧状に印刷を行ったほうが見栄えの点で好まれる場合がある。
しかしながら、ユーザが印刷装置を手で動かす場合、きれいな円弧を描くように印刷を行うことが難しいという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、ユーザが簡単に円弧を描くように走査させることができる印刷装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る印刷装置は、記録媒体にインクを吐出する複数のノズル一の方向に沿って配列されるヘッド部と、前記一の方向に沿って配列された前記複数のノズルの延長線上において前記一の方向に沿って延伸するように設けられたガイド溝と、前記ガイド溝に沿ったスライド移動により前記ヘッド部からの前記一の方向の距離が変更可能に構成され、且つ、前記ヘッド部を前記記録媒体上で回転させるときの回転中心となる回転部と、前記回転に伴う前記ヘッド部の回転量を検出する回転量検出部と、前記回転量検出部により検出された前記ヘッド部の前記回転量と、前記ヘッド部と前記回転部との間の前記一の方向の距離とに基づいて、図形文字を印刷するように前記ヘッド部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、ユーザが簡単に円弧を描くように走査させることができる印刷装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る印刷装置を下面側から見た斜視図である。 印刷装置の概略構成を示すブロック図である。 印刷装置の記録媒体に対する印刷手順を示す説明図である。 印刷装置の回転印刷モードによる印刷例を示す記録媒体の平面図である。 第1基準軸(X)と第2基準軸(Y)とで表される平面上での回転角に基づく第1座標(X座標)の説明図である。 第1基準軸(X)と第2基準軸(Y)とで表される平面上での回転角に基づく第2座標(Y座標)の説明図である。 制御部の回転印刷モードの処理手順を示すフローチャートである。 回転印刷モードのサブルーチン(割当処理)の処理手順を示すフローチャートである。 回転印刷モードのサブルーチン(印刷処理)の処理手順を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
図1は本発明の一実施形態に係る印刷装置1を下面側から見た斜視図であり、図2は印刷装置1の概略構成を示すブロック図である。
本発明の実施形態に係る印刷装置1は、ユーザが手で持って印刷方向(主走査方向)に動かしながら印刷対象物に図形文字を印刷するハンディプリンタである。
なお、図形文字には、文字、数字、約物、記号、空白等だけでなく、1文字単位で扱うことができる図形等が含まれる。
図2に示すように、印刷装置1は、ヘッド部2(図1参照)、ノズル制御IC3、移動量検出部4、無線通信部5、外部メモリ接続部6、操作キー7、表示部8、記憶部9、制御部10等を備える。
ヘッド部2は、例えば、インク切れに応じて交換可能なノズル付きサーマルインクジェットカートリッジを用いて構成され、印刷方向と直交する方向に配列された複数のノズル2a(図1参照)を備える。
図1に示すように、複数のノズル2aは、印刷装置1の下面に配置され、印刷装置1の移動に応じたノズル制御IC3(図2参照)によるインク吐出制御に基づいて、印刷対象物に図形文字の印刷を行う。
移動量検出部4は、ヘッド部2の主走査方向の移動量を検出する。
移動量検出部4を構成する移動量検出デバイスとしては、例えば、マウス(コンピュータ用入力装置)に適用されている移動量検出デバイス(LED式、レーザ式、ボール式等)と同様のものを用いることができる。
無線通信部5は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の無線通信が可能な端末との間で無線通信(例えば、Wi-Fi)を行うインターフェイスである。
そして、この無線通信部5を利用して、ユーザは、ユーザの印刷設定データ(印刷する図形文字データ、印刷モード等)を印刷装置1に取り込ませることができる。
なお、印刷装置1に直接入力する形態で印刷する図形文字データをユーザが入力してもよく、また、印刷装置1の操作キー7等を操作することでユーザが印刷モードを選択するようにしてもよいことは言うまでもない。
外部メモリ接続部6は、外部メモリ(例えば、USBメモリ)を接続する外部接続ポートである。
そして、USBメモリ等の外部メモリにユーザの印刷設定データを記憶させておけば、この外部メモリ接続部6に、その外部メモリを接続して、ユーザの印刷設定データを印刷装置1に取り込ませることができる。
操作キー7は、例えば、印刷装置1の上面に配置される押しボタン式の操作スイッチである。
操作キー7には、例えば、電源をON/OFFする電源キー、各種の設定操作を行う複数の設定キー、印刷を開始する印刷開始キー等が含まれる。
表示部8は、例えば、印刷装置1の上面に配置される液晶画面等からなる表示画面である。
なお、表示部8は、タッチパネル機能を備えた液晶画面等からなる表示画面であってもよく、このため、表示部8が操作キー7の一端を担う構成である場合がある。
表示部8には、例えば、印刷装置1の状態表示(例えば、電源のON/OFF、印刷モード、インク残量等)や操作ガイド表示(例えば、「印刷設定データを読み込んでください」、「印刷を開始してください」等)が表示される。
記憶部9は、RAMやROMといったメモリからなり、制御部10を動作させるプログラム、印刷する図形文字のフォントデータ、印刷を実行するための印刷実行データ等を格納している。
また、記憶部9は、制御部10の制御に伴い生成されるデータ等が、一時的に格納されたりもする。
制御部10は、ユーザの印刷設定データに基づいて、印刷を実行するための印刷実行データを生成し、該印刷実行データ及び移動量検出部4の検出値に基づいてノズル2aを制御し、ヘッド部2に図形文字の印刷を行わせる。
例えば、印刷したい図形文字を印刷設定データとして印刷装置1に読み込んだ後、ユーザが印刷装置1を手で持って印刷方向(主走査方向)に移動させると、移動方向に沿って図形文字が印刷される。
従来、この種の印刷装置1は、主走査方向がほぼ直線である場合を対象としている。
ところで、例えば、CD、DVD、BD等の円盤状の記録媒体30にラベルを付ける場合等、直線状に印刷を行うのではなく、円弧状に印刷を行ったほうが見栄えの点で好まれる場合があるが、ユーザが印刷装置1を手で動かす場合、きれいな円弧を描くように印刷を行うことが難しいという問題がある。
そこで、本発明の実施形態に係る印刷装置1は、ユーザが簡単に円弧を描くようにヘッド部2を走査可能とするために、図1に示すように、ヘッド部2から離れた位置に設けられ、ヘッド部2を回転させるときの回転中心Oとなる回転部20を備えている。
なお、回転部20は、ベース25とベース25に対してベアリング等で回転可能に支持された回転中心軸21を備えている。
具体的には、図1に示すように、回転部20は、印刷装置1の下面から突出する回転中心軸21と、回転中心軸21とヘッド部2との間の距離を調整する回転中心距離調整部22と、回転中心軸21とヘッド部2との間の距離を計測する距離計測部23と、回転中心軸21を収納する回転中心軸収納部24と、を備える。
図3に示すように、回転中心軸21は、記録媒体30の中心部に形成される丸孔31内に配置可能な外径寸法を有している。
なお、回転中心軸21は、丸孔31に嵌入できる外径寸法にしておいて、丸孔31に対して位置決めできるようにしておくことが好ましい。
ただし、回転中心軸21は、円柱状の軸に限定されず、角柱状の軸としてもよいし、針のような細い軸としてもよい。
針のような細い軸とすることで、CD、DVD、BDのような中心部に丸孔が形成された円盤状の記録媒体のみならず、丸孔が設けられていないフラットな記録媒体においても軸を固定して回転させやすくすることが可能となる。
針のような細い軸で、CD、DVD、BD等の円盤状の記録媒体に印刷する場合、円盤を固定させるための冶具を用いることとしてもよい。
図1に示すように、回転中心距離調整部22は、回転中心軸21を回転自在に支持するベース25と、印刷装置1の下面部にノズル2aの配列方向に沿って形成され、ベース25をスライド自在に支持する左右のガイド溝26と、回転中心軸21を印刷装置1の下面から突出させる開口部27と、を備え、ガイド溝26に沿ったベース25のスライド操作に基づいて、回転中心軸21とヘッド部2との間の距離を変更できるように構成されている。
なお、本実施形態では、ベース25とガイド溝26との間に適度な摩擦抵抗を付与し、該摩擦抵抗でベース25を任意のスライド位置に保持可能としているが、ベース25のスライドを規制する機構を別途設けてもよい。
図1に示すように、距離計測部23は、印刷装置1の下面部にガイド溝26と並列するように配置され、ベース25のスライド位置を検出する。
距離計測部23を構成する距離計測デバイスとしては、例えば、ベース25に連動する可動部の位置変化に応じて抵抗値が変化する可変抵抗器を備え、該抵抗値変化に応じて距離を計測するリニアポテンショメータや、ベース25に連動する可動部の位置変化を磁気的に計測するリニアエンコーダを用いることができる。
なお、距離計測部23は、回転中心軸21とヘッド部2の間の距離を自動的に計測するのではなく、目視で回転中心軸21とヘッド部2の間の距離を読み取れるようにした目盛りであってもよく、この場合、印刷装置1は、ユーザが目視で読み取った目盛りの値を手動で入力できるように構成される。
図1に示すように、回転中心軸収納部24は、左右のガイド溝26の間に回転中心軸21を収納可能な収納凹部28を備える。
つまり、ベース25をガイド溝26から抜き取った後、上下反転させてガイド溝26に差し込むと、回転中心軸21が収納凹部28に収納される。
これにより、ヘッド部2を直線的に走査して印刷を行う際に回転中心軸21が邪魔になることを回避できる。
上記のように、印刷装置1は、ヘッド部2を回転させるときの回転中心Oとなる回転部20(回転中心軸21)を備えているので、ユーザが簡単に円弧を描くようにヘッド部2を走査させることが可能である。
なお、回転部20は、上述したように回転可能に構成されているので、記録媒体30のほうを回転させるようにすることも可能である。
したがって、記録媒体30に対するヘッド部2の回転は、ヘッド部2のほうが回転させられる場合で説明しているが、記録媒体30を回転させるようにしてもよく、この回転は、記録媒体30とヘッド部2との間での相対的な回転であってよい。
具体的には、図3に示す流れのように、記録媒体30の中心部に形成された丸孔31に回転部20の回転中心軸21が位置するように、印刷装置1を配置し、回転中心軸21を中心として印刷装置1を記録媒体30に対して中段の図の矢印のように回転させながら印刷を行えば、簡単に下段に示す円環状の領域Aに対して印刷を行うことができる。
なお、印刷装置1の回転中心軸21は、上述したように回転可能に構成されているので、回転中心軸21が印刷対象とする記録媒体上に接触するように配置されていたとしても、ヘッド部2を回転させることに支障はない。
したがって、図3等では、記録媒体30が中心部に丸孔31を有する場合を示しているが、印刷対象とする記録媒体30としては、丸孔31のような孔部を有していなくてもよく、本実施形態の例示は、あくまでも円弧状に図形文字を印刷する機会が多いと考えられる印刷対象(記録媒体)として、丸孔31を有するCD等が示されているに過ぎない点に留意されたい。
ところで、ヘッド部2を円弧状に動かしながら印刷を行うと、印刷を行う円弧状の領域の内側と外側とでノズル2aの移動距離が変わるので、直線状に動かしながら印刷を行う場合と同様に印刷処理を行うと、図3の下図に示すように、印刷した図形文字に扇状の歪みが発生する。
この歪みは、図形文字を回転中心Oから大きく離れた位置に印刷する場合には、実際にインクを吐出するノズル2aのうち、最も回転中心O側のノズル2aと最も回転中心Oから離れた外側のノズル2aとの間の移動距離の差が小さいため、目立たないが、図形文字を回転中心Oの近くの位置に印刷する場合には目立つため、歪みを解消することが望まれる。
そこで、印刷装置1では、ヘッド部2を直線状に動かしながら印刷を行う際に選択される直線印刷モードと、ヘッド部2を円弧状に動かしながら印刷を行う際に選択される回転印刷モードと、を備えるものとしており、回転印刷モードを選択してヘッド部2を円弧状に動かしながら印刷した場合には、以下で説明するように、印刷した図形文字の扇状の歪みが解消されるようになっている。
具体的には、回転印刷モードが選択されている場合、制御部10は、ヘッド部2の回転中心O(回転中心軸21の中心)を原点とする極座標の始線を基準とした各種の処理を行うため、具体的な処理の説明を行う前に、各ノズル2aが極座標の始線を基準として、どのように表されるのかについて図4~図6を参照しながら説明する。
図4に示すように、ヘッド部2の回転中心Oを原点とする極座標の始線を、ヘッド部2を回転させる前の状態で回転中心Oからヘッド部2のノズル2a列に向かう軸として、この軸を第1基準軸(X)とし、その第1基準軸(X)に直交する軸を第2基準軸(Y)としている。
そして、第1基準軸(X)と第2基準軸(Y)とで表される平面において、ある点Pが回転中心O(原点)から一定の距離を保ちながら回転する場合に、その点Pがどのような座標として表されるのかについて確認する。
なお、以下で説明する点Pの動きは、回転中心O(原点)からの距離が変わることなく、回転中心O(原点)の周りを回転するノズル2aと同じ動きになっている。
図5に示すように、点Pが半径Wの円周上を移動するとき、始線である第1基準軸(X)からの回転角φが、どのような角度であっても、回転中心Oと点Pの間の距離はWとなる。
そして、点Pが移動を開始する移動開始点と回転中心Oを結ぶ軸線、つまり、始線を第1基準軸(X)と定めると、この点Pが存在する2次元平面を規定する2つの直交軸のうちのもう一方の軸は、第1基準軸(X)に直交する軸に定めることになり、その第1基準軸に直交する軸を第2基準軸(Y)とする。
ここで、点Pが回転中心Oを中心として半径Wの円周上を回転角φだけ進んだ位置に移動したとすると、その移動した点Pの第1座標(X座標)は、図5に示すように、回転中心Oから第1基準軸(X)上の点Bまでの距離X1である。
この点Bは、移動した点Pから第1基準軸(X)に垂線を引いたときに、その垂線と第1基準軸(X)の交点であるから、回転中心O、移動した点P及び点Bを頂点とする三角形は、直角三角形になっている。
したがって、回転中心Oと移動した点Pの間の距離(半径W)、回転中心Oと点Bの間の距離X1、及び、回転角φの間には、式(1)の関係が成り立つ。
cos(φ)=X1/W・・・・・・・・(1)
そして、式(1)の両辺にWを掛けると、式(1)は式(2)のように変形され、右辺がX1のみの状態となる。
W×cos(φ)=X1・・・・・・・・(2)
ここで、右辺の距離X1は、上述のとおり、移動した点Pの第1座標(X座標)であるから、第1座標(X座標)は、W×cos(φ)で表される。
次に、図6を参照しながら、移動した点Pの第2座標(Y座標)について見てみる。
先ほどと同様に、点Pが回転中心Oを中心として半径Wの円周上を回転角φだけ進んだ位置に移動したとすると、その移動した点Pの第2座標(Y座標)は、図6に示すように、回転中心Oから第2基準軸(Y)上の点Cまでの距離Y1である。
そして、距離Y1とは、図6を見るとわかるとおり、移動した点Pと点Bの間の距離に等しく、回転中心O、移動した点P及び点Bを頂点とする三角形が直角三角形であることは、既に述べたとおりである。
したがって、回転中心Oと移動した点Pの間の距離(半径W)、移動した点Pと点Bの間の距離(距離Y1)、及び、回転角φの間には、式(3)の関係が成り立つ。
sin(φ)=Y1/W・・・・・・・・(3)
そして、式(3)の両辺にWを掛けると、式(3)は式(4)のように変形され、右辺がY1のみの状態となる。
W×sin(φ)=Y1・・・・・・・・(4)
ここで、右辺の距離Y1は、上述のとおり、移動した点Pの第2座標(Y座標)であるから、第2座標(Y座標)は、W×sin(φ)で表される。
上記のように、回転中心Oを中心として半径W上を移動する点は、回転中心Oと回転開始点を結ぶ始線を第1基準軸(X)とし、第1基準軸(X)と第1基準軸(X)に直交する第2基準軸(Y)とで表される平面において、移動する点の第1基準軸(X)からの回転角φを用いて、座標(X,Y)を(W×cos(φ),W×sin(φ))として表すことができる。
そして、先にも少し触れたように、図4に示す回転中心Oから一番内側のノズル2aまでの距離を第1距離r1とすると、回転中心Oの周りを回転するこのノズル2aの動きは、回転中心Oからの距離が第1距離r1である半径の円周上を移動する点Pの動きと同じである。
したがって、このノズル2aが回転するときの第1基準軸(X)からの回転角を回転角φとすれば、第1基準軸(X)と第2基準軸(Y)とで表される平面上でのこのノズル2aの座標(X,Y)は、(r1×cos(φ),r1×sin(φ))となる。
同様に、図4に示す内側から8番目のノズル2aの場合、回転中心Oからの距離を第2距離r2とすると、この8番目のノズル2aが回転中心Oの周りを回転するときの第1基準軸(X)と第2基準軸(Y)とで表される平面上での8番目のノズル2aの座標(X,Y)は、(r2×cos(φ),r2×sin(φ))となる。
なお、回転中心Oから一番内側のノズル2aまでの第1距離r1は、あらかじめ取得できる距離であり、ノズル2aが間隔dで配置されていれば、第2距離r2は、r2=r1+7dで求められる。
上記のように、各ノズル2aの座標(X,Y)が表されることを前提として、次に、制御部10の回転印刷モードにおける処理手順(印刷フロー)について、図4、図7~図9を参照して説明する。
ユーザが印刷したい図形文字を印刷装置1に設定し、回転印刷モードが選択されると、図7の印刷フローが開始される。
なお、印刷する図形文字の設定は、例えば、印刷装置1の無線通信機能(無線通信部5)を利用し、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の無線通信可能な端末から行われている。
しかしながら、印刷する図形文字の設定は、印刷したい図形文字を記憶させた外部メモリを外部メモリ接続部6に接続して、外部メモリから読み取らせるようにしてもよく、ユーザが印刷装置1で直接入力(キー入力)するようにしてもよい。
図7に示すように、制御部10は、回転印刷モード処理が開始されると、まず、図4に示す回転中心Oと最も回転中心Oに近いノズル2a(1)との間の第1距離r1と、図4に示す回転中心Oと最も回転中心Oから遠いノズル2a(n)との間の第n距離rnと、を算出する(ステップS1)。
次に、制御部10は、図4に示すヘッド部2を回転させたときに最も回転中心Oに近いノズル2a(1)の描く内側円軌道K1と、図4に示す最も回転中心Oから遠いノズル2a(n)の描く外側円軌道Knとの間の領域に、印刷する図形文字を割り当てる割当処理を行う(ステップS2)。
このステップS2の処理は、具体的には、図8に示すサブルーチンの処理となっており、後述する。
なお、内側円軌道K1とは、回転中心Oからの半径が第1距離r1となる円軌道であり、外側円軌道Knとは、回転中心Oからの半径が第n距離rnとなる円軌道であり、この2つの円軌道(内側円軌道K1及び外側円軌道Kn)で挟まれる円環状の領域Aが図形文字を割り当てる領域となる。
次に、制御部10は、回転中心Oを原点とした極座標の始線を第1基準軸(X)とし、第1基準軸(X)と第1基準軸(X)に直交する第2基準軸(Y)とで表される平面上での図形文字のドット位置を算出する位置算出処理を行う(ステップS3)。
なお、図形文字のドット位置とは、図形文字を印刷するためにノズル2aが実際にインクを吐出するドット点の位置座標である。
次に、制御部10は、ヘッド部2の回転角、ノズル2aの位置及び印刷装置1の図形文字のドット位置に基づいて、記録媒体30に対する図形文字の印刷をヘッド部2に行わせる(ステップS4)。
このステップ4の処理は、具体的には、図9に示すサブルーチンの処理となっており、後述する。
以上で制御部10による回転印刷モード処理が終了するが、ステップS1~ステップS3(サブルーチンを含む)の処理は、仮想的に第1基準軸(X)と第2基準軸(Y)を設定して行うことができ、実際に印刷を行うときに、記録媒体30上に印刷装置1が置かれて回転させる直前の回転中心Oからノズル2a列を結ぶ線を始線として、その始線を第1基準軸(X)として採用し、第1基準軸(X)に直交する軸を第2基準軸(Y)とすればよいので、実際に記録媒体30上に印刷装置1が置かれる前に処理を完了させることができる。
次に、図7のステップS2の処理について、図8を参照しながら、より詳細に説明する。
図8に示すように、制御部10は、図7のステップS2の割当処理において、まず、印刷する図形文字(空白を含む)の数mに基づいて、円環状の領域Aを回転方向に分割された分割領域Amとする領域分割処理を行う(ステップS21)。
例えば、図4に示す例では、印刷文字が8、空白が2に設定されているので、円環状の領域Aが回転中心Oを通る10本の分割線Lによって10個の分割領域Amに分割されている。
次に、制御部10は、図4に示すように、図形文字のサイズを分割領域Am内に収まるサイズとするとともに、分割領域Amの内側円軌道K1の中央の位置に接する接線Sに直交する方向CLを図形文字の高さ方向として、分割領域Amに図形文字を割り当てる処理を行う(ステップS22)。
なお、分割領域Amの内側円軌道K1の中央の位置は、図4に示すように、隣接する分割線L間の周後方の角度をθ1=θ2となるように二分した位置である。
上述のステップS22における分割領域Am内に収まる図形文字のサイズとは、具体的には、図4に示すように、一辺が接線S上に位置するとともに分割領域Am内に収まる最大の矩形領域Akを規定したときに、該矩形領域Ak内に収まるサイズである。
なお、分割領域Am内に収まる最大の矩形領域Akは、分割領域Amの内側円軌道K1の中央の位置に接する接線Sを引いたときに、分割領域Amの境界である2つの分割線Lと接線Sとの交点を両端とする内側の1辺(接線S上の1辺)と、その1辺の両端からその1辺に直交する方向に延びる一対の辺(2つの側辺)と、2つの側辺と外側円軌道Knとの交点を両端とする内側の1辺に平行な外側の1辺と、で規定される。
次に、図7のステップS4の処理について図9を参照しながら、より詳細に説明する。
図9に示すように、制御部10は、図7のステップS4の印刷処理において、まず、ヘッド部2の回転開始時を開始点として、ヘッド部2の移動量(移動量検出部4の検出値)に基づき、第1基準軸(X)からのヘッド部2の回転角φを算出する回転角算出処理を行う(ステップS41)。
具体的に説明すると、回転印刷モードによる印刷では、移動量検出部4も回転中心Oを中心として円を描くように動くので、回転中心Oから移動量検出部4までの距離Dを半径とする円軌道上を移動量検出部4が移動し、その円軌道の長さ(円周)は2πD(πは円周率)となる。
つまり、360度回転すると、移動量検出部4の移動量は、2πDとなり、90度の回転であれば、円周移動量の1/4(=πD/2)移動することになる。
逆に現在の移動量MがπD/2の場合、[πD/2]/2πDとすると1/4となり、360度のうちの1/4回転の位置にいることが分かる。
したがって、現在の移動量Mを2πDで割った値T(=M/2πD)に360度を掛けることにより現在の回転角φが算出される。
次に、制御部10は、回転中心Oから複数のノズル2aまでの第1距離r1~第n距離rnと回転角φに基づいて、第1基準軸(X)と第2基準軸(Y)とで表される平面上での複数のノズル2aの位置を算出するノズル位置算出処理を行う(ステップS42)。
なお、回転角φが求まれば、各ノズル2aの位置の第1基準軸(X)と第2基準軸(Y)とで表される平面上での座標(X,Y)が求められること、つまり、ノズル2aの位置が算出できることは、既に説明しているので説明を省略する。
次に、制御部10は、第1基準軸(X)と第2基準軸(Y)とで表される平面上での図形文字のドット位置と、第1基準軸(X)と第2基準軸(Y)とで表される平面上での複数のノズル2aの位置とに基づいて、記録媒体30に対する図形文字の印刷をヘッド部2に行わせる処理を実行する(ステップS43)。
具体的には、図形文字のドット位置とノズル2aの位置とが一致したタイミングでノズル2aからインクを吐出させることにより、記録媒体30に図形文字を印刷させる。
なお、図9に示すサブルーチン(図7のステップS4)は、実際には、ヘッド部2の回転に応じて回転角φが変化するたびに繰り返し実施されるループ処理であり、印刷する図形文字のデータがなくなるまで行われる。
以上、具体的な実施形態に基づいて本発明の印刷装置について説明してきたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、文字列だけを印刷する場合について示してきたが、例えば、印刷される図形文字の全体を囲むような枠線を設けるようにしたり、下線等の装飾を設けるようにしてもよい。
具体的には、下線の場合、図形文字のような歪みの問題は発生しないため、下線に対応するノズル2aに対して、そのノズル2aの移動中、連続的にインクを吐出させ続けるような処理を行えばよい。
また、枠線においても歪みの問題は発生しないため、枠線の開始の縦線(図形文字の高さ方向に沿った線)を印刷するのに対応する複数のノズル2aから一斉にインクを吐出させた後、枠線の内周側及び外周側に対応するノズル2aに対して、そのノズル2aの移動中、連続的にインクを吐出させ続けるようにして、最後に枠線の終了の縦線を印刷すべく、最後の図形文字の印刷が終了した後に、その枠線の終了の縦線に対応する複数のノズル2aから一斉にインクを吐出させるようにすれば、扇形に印刷される図形文字列の外周を扇形に囲む枠線を形成することができる。
さらに、上記実施形態では、回転中心軸21の中心がノズル2a列の延長線上に位置するように、回転中心軸21は設けられていたが、ノズル2a列の延長線上からオフセットした位置に回転中心軸21の中心が位置するように回転中心軸21が設けられていてもよい。
加えて、上記実施形態では、図1に示すように、複数のノズル2aが配列されたノズル列が1列である場合について示したが、ノズル列の数は複数設けられていてもよい。
例えば、平行に並ぶ3列のノズル列を設けるようにして、各ノズル列が、シアン、マゼンダ、イエローに対応するようにして、カラー印刷が行えるようにしてもよい。
この場合、例えば、いずれか1つのノズル列を上記実施形態で説明したノズル列(基準ノズル列ともいう)として残る2つのノズル列を基準ノズル列からのズレを考慮したデータ補正を行うようにして、回転印刷モードにおける印刷を行わせるようにしてもよく、各ノズル列で個別に回転半径に基づく印刷データを作成し、移動量検出部4による移動量に基づき、各ノズル列の印刷開始位置が決まった位置で開始されるように制御してもよい。
なお、カラー印刷のために複数のノズル列を設けることに限らず、複数のノズル列が同色であってもよいことは言うまでもない。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形や改良を加えたものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲のとおりである。
<請求項1>
記録媒体に印刷を行う複数のノズルを有するヘッド部と、
前記ヘッド部からの距離が変更可能に設けられ、前記ヘッド部を前記記録媒体に対して相対的に回転させるときの回転中心となる回転部と、
前記回転に伴う前記ヘッド部の相対的な移動量を検出する移動量検出部と、
前記移動量検出部により検出された前記ヘッド部の前記移動量と、前記ヘッド部と前記回転部との距離と、に基づいて前記印刷を制御する制御部と、
を備えていることを特徴とする印刷装置。
<請求項2>
前記制御部は、
前記ヘッド部を回転させたときに最も前記回転中心に近い前記ノズルの描く内側円軌道と最も前記回転中心から遠い前記ノズルの描く外側円軌道の間の領域に前記印刷する図形文字を割り当てる割当処理と、
前記回転中心を原点とした極座標の始線を第1基準軸とし、前記第1基準軸と前記第1基準軸に直交する第2基準軸とで表される平面上での前記図形文字のドット位置を算出する位置算出処理と、
前記ドット位置に基づいて、前記記録媒体に対する前記図形文字の印刷を前記ヘッド部に行わせる印刷処理と、を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項3>
前記第1基準軸が、前記ヘッド部を回転させる前の状態における、前記回転中心から前記ヘッド部に向かう軸であることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
<請求項4>
前記制御部は、
前記ヘッド部の回転開始時を開始点として、前記ヘッド部の前記移動量に基づき、前記第1基準軸からの前記ヘッド部の回転角を算出する回転角算出処理と、
前記回転中心から複数の前記ノズルまでの距離と前記回転角に基づいて、前記第1基準軸と前記第2基準軸で表される平面上での複数の前記ノズルの位置を算出するノズル位置算出処理と、
前記第1基準軸と前記第2基準軸で表される平面上での前記ドット位置と前記第1基準軸と前記第2基準軸で表される平面上での複数の前記ノズルの位置に基づいて前記記録媒体に対する前記図形文字の印刷を前記ヘッド部に行わせる処理と、を行うことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の印刷装置。
<請求項5>
前記割当処理として前記制御部は、
前記図形文字の数に基づいて、前記領域を回転方向に分割領域とする領域分割処理と、
前記図形文字のサイズを前記分割領域内に収まるサイズとするとともに、前記分割領域の前記内側円軌道の中央の位置に接する接線に直交する方向を前記図形文字の高さ方向として、前記分割領域に前記図形文字を割り当てる処理と、を行うことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の印刷装置。
<請求項6>
前記サイズは、一辺が前記接線上に位置するとともに前記分割領域内に収まる最大の矩形領域を規定したときに、前記矩形領域内に収まるサイズであることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
<請求項7>
前記回転中心と最も回転中心に近い前記ノズルの間の距離を計測する距離計測部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の印刷装置。
1 印刷装置
2 ヘッド部
2a ノズル
3 ノズル制御IC
4 移動量検出部
5 無線通信部
6 外部メモリ接続部
7 操作キー
8 表示部
9 記憶部
10 制御部
20 回転部
21 回転中心軸
22 回転中心距離調整部
23 距離計測部
24 回転中心軸収納部
25 ベース
26 ガイド溝
27 開口部
28 収納凹部
30 記録媒体
31 丸孔

Claims (2)

  1. 記録媒体にインクを吐出する複数のノズル一の方向に沿って配列されるヘッド部と、
    前記一の方向に沿って配列された前記複数のノズルの延長線上において前記一の方向に沿って延伸するように設けられたガイド溝と、
    前記ガイド溝に沿ったスライド移動により前記ヘッド部からの前記一の方向の距離が変更可能に構成され、且つ、前記ヘッド部を前記記録媒体上で回転させるときの回転中心となる回転部と、
    前記回転に伴う前記ヘッド部の回転量を検出する回転量検出部と、
    前記回転量検出部により検出された前記ヘッド部の前記回転量と、前記ヘッド部と前記回転部との間の前記一の方向の距離とに基づいて、図形文字を印刷するように前記ヘッド部を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする印刷装置。
  2. 前記回転部は、当該回転部を前記ガイド溝に沿ってスライド移動させる際の操作摘みとして設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
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