[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1~図3を参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の即時出湯装置20は、給湯運転を実行可能な給湯器3が備えられた任意の住戸において、給湯対象の任意の一つの出湯栓1における即時出湯を行い得るように設置された装置である。
出湯栓1は、例えば台所、洗面所、あるいは浴室等に配置される出湯栓である。なお、図1では、出湯栓1を蛇口(カラン)として記載しているが、該出湯栓1は、蛇口に限らず、例えばシャワー、あるいは、シャワーと蛇口との複合体等であってもよい。
給湯器3は、その本体部としての熱源機4を備える。該熱源機4は、例えば、図示を省略するバーナ及び熱交換器を内蔵する燃焼式の熱源機であり、水道水等の給湯用水を熱源機4に導入する給水配管5と、熱源機4内でバーナの燃焼熱により加熱した給湯用水(湯)を、出湯栓1を含む各給湯対象部に供給する給湯配管6とが接続されている。なお、上記バーナの燃料は、気体燃料、あるいは、灯油等の液体燃料のいずれでもよい。
給湯配管6は、熱源機4から導出され、その下流部分(出湯栓1に至る下流部分)が即時出湯装置20を介して出湯栓1に接続されている。なお、給湯配管6には、出湯栓1以外の他の出湯栓も接続され得る。
給湯器3はさらに、熱源機4の作動制御を行うコントローラ8と、給湯器3の運転操作用のリモコン9とを備える。リモコン9は、台所や浴室等に配置され、コントローラ8と有線通信(又は無線通信)を行うことが可能である。このリモコン9を操作することによって、給湯器3の起動又は運転停止をコントローラ8に指令したり、熱源機4から出湯栓1を含む各給湯対象部に供給する湯の温度(給湯温度)の目標値の設定等を行うことが可能である。
なお、図1では単一のリモコン9だけを図示したが、給湯器3は、リモコン9以外の他の一つ以上のリモコンをさらに備え得る。
コントローラ8(以降、給湯コントローラ8という)は、例えば、マイコン、メモリ、インターフェース回路等を含む一つ以上の電子回路ユニットにより構成され、熱源機4に搭載されている。そして、給湯コントローラ8は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)により、給湯運転に係る熱源機4の作動制御を行う。
具体的には、出湯栓1等のいずれかの出湯栓の開栓により、給水配管5での通水が開始されると、給湯コントローラ8は、該通水の開始を、図示しない水流スイッチもしくは流量センサ等のセンサを介して検知し、その検知に応じて、熱源機4のバーナの燃焼運転を開始させる。これにより、給水配管5から熱源機4に導入される給湯用水が、バーナの燃焼熱により熱交換器を介して加熱され、その加熱後の給湯用水(湯)が、開栓された出湯栓に熱源機4から給湯配管6を介して供給される。
そして、給湯コントローラ8は、開栓された出湯栓への実際の給湯温度が、リモコン9で設定された目標値(以降、給湯目標温度という)に一致もしくはほぼ一致するようにバーナの燃焼量を制御する。
補足すると、給湯器3の熱源機4は燃焼式の熱源機に限らず、バーナの代わりに、もしくは、バーナに加えて、電気式の発熱部(ヒートポンプ方式のものを含む)を備える熱源機であってもよい。また、給湯器3は、給湯運転だけでなく、浴槽への湯はり等の風呂運転、あるいは、浴室暖房装置等の温水式暖房装置に温水を供給する運転等を行い得るように構成されていてもよい。
即時出湯装置20は、熱源機4から出湯栓1に至る湯水の流路上で、熱源機4よりも出湯栓1に十分に近い位置(出湯栓1寄りの位置)に設置されている。この即時出湯装置20は、貯湯タンク21と、給湯配管6の下流端に接続された流入側配管30と、出湯栓1に接続された流出側配管31とを備える。
流入側配管30の下流端は、給湯配管6から流入側配管30に流入する湯水(即時出湯装置20に入水する湯水)を貯湯タンク21に供給し得るように、貯湯タンク21の下端部に接続されている。
また、流出側配管31の上流側部分は、貯湯タンク21内の湯水を出湯栓1に供給し得るように、貯湯タンク21内に導入されている。この場合、流出側配管31の上流端は、貯湯タンク21の上部にて該貯湯タンク21内に開口している。なお、流出側配管31の上流端は、貯湯タンク21の上部に接続されていてもよい。
貯湯タンク21の内部には、該貯湯タンク21内の湯水を加熱するための加熱装置としての電気式のヒータ22と、流入側配管30から貯湯タンク21内に流入する湯水を整流する整流板23とが組み込まれている。
また、貯湯タンク21の外周部には、貯湯タンク21内の湯水の温度(以降、貯湯温度Ttkという)を検出する温度センサ24と、貯湯タンク21が過剰に高温の過熱状態になったときに、ヒータ22ヘの電力供給を強制的に遮断する過熱防止用サーモスタット25と、貯湯タンク21の保温性を高めるために該貯湯タンク21の上部を被覆する断熱材26とが装着されている。
流入側配管30には、該流入側配管30の上流側部分に接続された1つの入口ポート33aと、該流入側配管30の下流側部分と、該流入側配管30の上流側部分から貯湯タンク21を経由させずに流出側配管31に湯水を流す流路を形成するバイパス配管32とに各々接続された2つの出口ポート33b,33cとを有する分配弁33が介装されている。
上記分配弁33は、電動式の3方弁等により構成され、流入側配管30に給湯配管6から供給される湯水(即時出湯装置20に入水する湯水)を、2つの出口ポート33b,33cに分配して流出させる(ひいては、貯湯タンク21とバイパス配管32とに分配して流出させる)ことが可能であると共に、出口ポート33bから貯湯タンク21に流す湯水の流量(以降、タンク側流量という)と出口ポート33cからバイパス配管32に流す湯水の流量(以降、バイパス側流量という)との比率を可変的に制御することが可能である。この場合、出口ポート33b,33cのいずれか一方を閉弁状態にする(ひいては、タンク側流量又はバイパス側流量をゼロにする)ことも可能である。
分配弁33から湯水が分配されるバイパス配管32の下流端は、流出側配管31の途中部31aに接続されている。該途中部31aは、バイパス配管32を通過した湯水と、貯湯タンク21から流出側配管31に流出した湯水とが混合される部分であり、以降、混合部31aという。
流入側配管30の分配弁33よりも上流側の部分には、給湯配管6から供給される湯水の温度(以降、入水温度Tinという)を検出する温度センサ34と、給湯配管6から供給される湯水の流量(以降、入水流量Winという)を検出する流量センサ35と、図示を省略する減圧弁及び逆止弁により構成される弁機構36とが組み付けられている。
流入側配管30の分配弁33よりも下流側の部分には、貯湯タンク21内で加熱により膨張した湯水の一部を排出するための膨張水排出用配管37が接続されており、該膨張水排出用配管37には、貯湯タンク21内の湯水の圧力が所定値以上の圧力に上昇すると開弁する過圧逃し弁38が介装されている。なお、膨張水排出用配管37は、貯湯タンク21、あるいは、流出側配管31に接続されていてもよい。
流出側配管31の混合部31a(バイパス配管32の接続部)よりも上流側の部分には、貯湯タンク21から流出側配管31に流出する湯の温度(以降、タンク流出温度Ttoutという)を検出する温度センサ39が組み付けられている。また、流出側配管31の混合部31aよりも下流側の部分には、該混合部31aから出湯栓1に供給されて該出湯栓1から出湯する湯水の温度(以降、出湯温度Toutという)を検出する温度センサ40が組み付けられている。
流出側配管31の途中部、例えば、上記混合部31aには、即時出湯装置20のメンテナンス時、あるいは不使用時等に、貯湯タンク21内の湯水等の水抜きを行うための水抜き用配管41が接続されている。該水抜き用配管41の下流端部には、手動で開閉可能な水抜き栓42が装着されている。
即時出湯装置20は、さらに、貯湯タンク21のヒータ22及び分配弁33の作動制御を行うコントローラ45(以降、即時出湯コントローラ45という)と、即時出湯装置20の電源のオン・オフ操作、該即時出湯装置20の動作条件の設定操作等を行うための操作部60とを備える。
操作部60には、図示しない操作スイッチ、表示部等が備えられている。即時出湯コントローラ45は、マイコン、メモリ、インターフェース回路等を含む一つ以上の電子回路ユニットにより構成され、操作部60の操作信号が入力されると共に、前記温度センサ24,34,39,40及び流量センサ35の検出信号が入力される。
また、本実施形態では、即時出湯コントローラ45は、前記給湯コントローラ8と有線通信(又は無線通信)を行うことが可能であり、この通信により、リモコン9により設定された給湯目標温度を示す情報等を取得することが可能である。
そして、即時出湯コントローラ45は、実装されたハードウェア構成及びプログラムにより実現される機能として、図2に示すように、出湯栓1での出湯時に、分配弁33の作動制御を行うことで、前記出湯温度Tout(出湯栓1から出湯する湯水の温度)を制御する出湯温度制御部46としての機能と、ヒータ22の作動制御を行うことで、前記貯湯温度Ttk(貯湯タンク21内の湯水の温度)を制御する加熱運転制御部47としての機能ととを有する。
さらに即時出湯コントローラ45は、一日のうちで即時出湯装置20が使用される可能性が相対的に高い一つ以上の第1時間帯と、即時出湯装置20が使用される可能性が第1時間帯よりも相対的に低い一つ以上の第2時間帯とを設定する時間帯設定部48としての機能と、上記第1時間帯での即時出湯装置20の最大使用回数の標準値を設定する最大使用回数設定部49としての機能と、即時出湯装置20の所定日数分の使用履歴情報を記憶保持する使用履歴記憶部50としての機能とを含む。
次に、即時出湯コントローラ45の制御処理を中心に、本実施形態の即時出湯装置20の作動を説明する。本実施形態では、即時出湯コントローラ45は、即時出湯装置20が使用される毎に(詳しくは、即時出湯装置20の起動状態(電源が投入された状態で)で即時出湯装置20から開栓状態の出湯栓1への湯水の供給が行われる毎に)、即時出湯装置20の使用履歴情報を作成し、所定の日数分(例えば7日分)の使用履歴情報を使用履歴記憶部50に記憶保持する。
上記使用履歴情報は、即時出湯装置20の各回の使用時刻及び使用時間を示す情報を含む。この場合、即時出湯装置20の各回の使用時刻及び使用時間を示す情報としては、例えば、即時出湯装置20の各回の使用の開始時刻及び終了時刻の組、あるいは、各回の使用の開始時刻及び終了時刻の一方の時刻と、使用の時間幅との組等を使用し得る。
また、即時出湯装置20の使用開始及び使用終了のタイミングは、本実施形態では、流量センサ35の検出信号により示される入水流量Win(給湯配管6から即時出湯装置20の流入側配管30に流入する湯水の流量)の検出値に基づいて検知される。例えば、入水流量Winの検出値が所定値以上に増加した時に即時出湯装置20の使用の開始(出湯栓1での出湯の開始)が検知され、入水流量Winの検出値が所定値よりも小さくなった時に、即時出湯装置20の使用の終了(出湯栓1での出湯の終了)が検知される。
なお、例えば、流量センサ35の代わりに、水流スイッチを用いて即時出湯装置20の使用開始及び使用終了のタイミングを検知することも可能である。
そして、即時出湯コントローラ45は、使用履歴記憶部50に記憶保持した使用履歴情報に基づいて、一日の期間内の上記第1時間帯及び第2時間帯を設定(更新)する処理を前記時間帯設定部48により実行し、さらに、設定した各第1時間帯での即時出湯装置20の最大使用回数の標準値Nmax_sを設定する処理を最大使用回数設定部49により実行する。
上記時間帯設定部48は、例えば一日の期間の経過毎に、あるいは、即時出湯装置20の使用が所定時間以上、行われていない状態等の所定のタイミングで、所定日数前までの使用履歴情報を使用履歴記憶部50から取得し、該使用履歴情報に基づいて一つ以上の第1時間帯と一つ以上の第2時間帯を新たに設定する(更新する)。
この場合、各第1時間帯は、例えば、所定日数前までの各日の該第1時間帯での即時出湯装置20の使用時間帯を合成したときに、即時出湯装置20が連続的に使用されていない時間幅が所定値以下に収まるという条件、該第1時間帯の開始時刻が、所定日数前までのいずれかの日の即時出湯装置20の使用開始時刻に一致するという条件、該第1時間帯の終了時刻が、所定日数前までのいずれかの日の即時出湯装置20の使用終了時刻に一致するという条件等を満たすように設定される。そして、一日の期間内の第1時間帯以外の時間帯が第2時間帯として新たに設定される。
これにより、第1時間帯は、即時出湯装置20が使用される可能性が相対的に高い時間帯となるように設定され、第2時間帯は、第1時間帯よりも即時出湯装置20が使用される可能性が相対的に低い時間帯となるように設定される。
なお、第1時間帯及び第2時間帯の初期設定値は、例えば、前記操作部60の操作によりあらかじめ設定される。
補足すると、第1時間帯及び第2時間帯の設定手法は、上記の手法に限られない。例えば、所定日数前までの各日の即時出湯装置20の未使用の時間帯を合成したときに、即時出湯装置20が連続的に使用されていない時間幅が所定値以上となる時間帯を第2時間帯として設定し、該第2時間帯以外の時間帯を第1時間帯として設定してもよい。
また、最大使用回数設定部49は、上記の如く設定された各第1時間帯における最大使用回数の標準値Nmax_s(以降、標準最大使用回数Nmax_sという)を次のよう設定する。すなわち、最大使用回数設定部49は、所定日数前までの各日の該第1時間帯(標準最大使用回数Nmax_sを設定しようとする時間帯)における即時出湯装置20の使用回数を前記使用履歴情報に基づいて算出する。
そして、最大使用回数設定部49は、例えば、各第1時間帯毎に算出した使用回数(所定日数までの各日の使用回数)のうちの最大値を、標準最大使用回数Nmax_sとして設定する。なお、初期設定の各第1時間帯に対応する標準最大使用回数Nmax_sは、例えば、操作部60の操作によりあらかじめ設定される。
本実施形態では、以上の如く、第1時間帯及び第2時間帯が適宜更新され、また、各第1時間帯での標準最大使用回数Nmax_sが設定される。
次に、出湯栓1での出湯時における即時出湯装置20の作動を説明する。即時出湯コントローラ45は、第1時間帯及び第2時間帯、並びに、各第1時間帯での標準最大使用回数Nmax_sを前記した如く設定した状態で、図3のフローチャートに示す処理を実行する。
STEP1において、即時出湯コントローラ45は、現在時刻がいずれかの第1時間帯の所定時間前(例えば30分前)の時刻(いずれかの第1時間帯がまもなく開始する時刻)であるか否かを判断し、この判断結果が肯定的になるまでSTEP1の判断処理を繰り返す。
STEP1の判断結果が肯定的になると、次にSTEP2において、即時出湯コントローラ45は、加熱運転制御部47により、貯湯タンク21内の湯水の沸き上げ制御を開始する。この沸き上げ制御は、例えば以下に説明する第A態様での沸き上げ制御である。
この第A態様での沸き上げ制御では、加熱運転制御部47は、貯湯温度Ttkの目標値である目標貯湯温度Ttk_cmdとして、既定の所定温度(例えば80℃)を設定し、実際の貯湯温度Ttkを目標貯湯温度Ttk_cmdに一致もしくはほぼ一致させるようにヒータ22を制御する。
この場合、加熱運転制御部47は、温度センサ24による貯湯温度Ttkの検出値が目標貯湯温度Ttk_cmdよりも所定値以上低い場合に、ヒータ22の発熱運転を行わせることで、貯湯温度Ttkを目標貯湯温度Ttk_cmdまで昇温させる。そして、加熱運転制御部47は、貯湯温度Ttkの検出値が目標貯湯温度Ttk_cmdに一致もしくはほぼ一致する状態(貯湯温度Ttkの検出値と目標貯湯温度Ttk_cmdとの差が所定範囲内に収まる状態)になると、その状態を保つように、ヒータ22の発熱運転及び作動停止を交互に繰り返す。
かかる沸き上げ制御は、後述のSTEP9まで継続される。ただし、出湯栓1での出湯時には、沸き上げ制御を一時的に中断してもよい。
上記の如く第1時間帯が開始する所定時間前に、第A態様での沸き上げ制御を開始することで、基本的には、該第1時間帯が開始するまでに、貯湯タンク21内の湯水が、目標貯湯温度Ttk_cmdに一致もしくはほぼ一致する温度に沸き上げられる。
かかる沸き上げ制御を実行しながら、即時出湯コントローラ45は、STEP3において、第1時間帯が開始する時刻になったか否かを判断し、この判断結果が肯定的になるまでSTEP3の判断処理を繰り返す。
そして、第1時間帯が開始する時刻になって、STEP3の判断結果が肯定的になると、STEP4において、即時出湯コントローラ45は、該第1時間帯での即時出湯装置20の実際の使用回数を示す使用回数カウント値Nuseをゼロに初期化する。
次いで、STEP5において、即時出湯コントローラ45は、出湯栓1が開栓されたか否か(即時出湯装置20の使用が開始されたか否か)を検知する。この検知は、本実施形態では、前記流量センサ35の検出信号により示される入水流量Winの検出値が、所定値以上になったか否かにより行われる。
STEP5で出湯栓1の開栓が検知されない場合(STEP5の判断結果が否定的になる場合)には、即時出湯コントローラ45は、STEP8で現在進行中の第1時間帯が終了したか否か(現在時刻が第1時間帯の終了時刻に達したか否か)を判断し、この判断結果が否定的である場合には、STEP5からの処理を繰り返す。
STEP5で、出湯栓1の開栓が検知された場合(STEP5の判断結果が肯定的になった場合)には、即時出湯コントローラ45は、STEP6において、使用回数カウント値Nuseの値を1だけ増加させ、さらに、出湯温度制御部46により出湯制御を実行する。
上記出湯制御は、出湯栓1の閉栓が検知されるまで(具体的には、流量センサ35による入水流量Winの検出値が所定値よりも小さくなるまで)、例えば次のように実行される。
すなわち、出湯温度制御部46は、温度センサ24の検出信号により示される貯湯温度Ttkの検出値が前記目標貯湯温度Ttk_cmdに一致もしくはほぼ一致する温度である場合(Ttk≒Ttk_ cmdである場合)には、温度センサ34,39,40のそれぞれによる入水温度Tin、タンク流出温度Ttout及び出湯温度Toutのそれぞれの検出値と、流量センサ35による入水流量Winの検出値と、出湯栓1の開栓直後の出湯温度Toutの目標値としての即時出湯目標温度Tout_cmdとを用いて、実際の出湯温度Toutを即時出湯目標温度Tout_cmdに一致もしくはほぼ一致させ得るように、分配弁33の目標分配比(前記タンク側流量とバイパス側流量との比率)を所定の演算式により逐次決定する。そして、出湯温度制御部46は、決定した目標分配比に分配弁33の実際の分配比を逐次制御する。
この場合、即時出湯目標温度Tout_cmdとしては、例えば即時出湯コントローラ45が給湯コントローラ8との通信により取得した給湯目標温度(給湯器3のリモコン9で設定された給湯目標温度)が用いられる。
これにより、出湯栓1の開栓直後に即時出湯目標温度Tout_cmdに一致もしくはほぼ一致する温度の湯が出湯栓1から出湯される。その後、給湯器3の熱源機4で加熱された湯(給湯目標温度に一致もしくはほぼ一致する温度に加熱された湯。以降、単に加熱状態の湯という)が、即時出湯装置20に入水するようになると(温度センサ34による入水温度Tinの検出値に基づいて、当該加熱状態の湯の入水が検知されると)、出湯温度制御部46は、前記タンク側流量をゼロにするように分配弁33を制御する。これにより、即時出湯装置20に入水した加熱状態の湯がそのまま、出湯栓1から出湯される。
また、貯湯温度Ttkの検出値が目標貯湯温度Ttk_cmdよりも低いか、又は所定値以上低い場合(ヒータ22による貯湯温度Ttkの昇温が未完了である場合)において、該貯湯温度Ttkの検出値が入水温度Tinの検出値よりも高い場合には、出湯温度制御部46は、即時出湯目標温度Tout_cmdを、例えば、貯湯温度Ttkの検出値よりも低く、且つ、入水温度Tinの検出値よりも高い温度に設定する。そして、出湯温度制御部46は、出湯栓1の開栓後、前記加熱状態の湯が即時出湯装置20に入水するまでの期間において、当該修正後の即時出湯目標温度Tout_cmdを実現するように分配弁33の分配比を制御する。
これにより、出湯栓1の開栓後、加熱状態の湯が即時出湯装置20に入水する前に、修正後の即時出湯目標温度Tout_cmdに一致もしくはほぼ一致する温度の湯を出湯栓1から出湯させることができる。その後、加熱状態の湯が即時出湯装置20に入水するようになると、上記と同様に、タンク側流量をゼロにするように分配弁33が制御され、即時出湯装置20に入水した加熱状態の湯がそのまま出湯栓1から出湯される。
また、貯湯温度Ttkの検出値が目標貯湯温度Ttk_cmdよりも低いか、又は所定値以上低い場合(ヒータ22による貯湯温度Ttkの昇温が未完了である場合)において、該貯湯温度Ttkの検出値が入水温度Tinの検出値以下の温度である場合には、出湯温度制御部46は、タンク側流量をゼロにするように分配弁33を制御する。
これにより、出湯栓1の開栓後、即時出湯装置20に入水する湯水がそのまま出湯栓1から出湯される。
STEP6での出湯制御は、以上の如く出湯温度制御部46により実行される。
次いで、STEP7において、即時出湯コントローラ45は、使用回数カウント値Nuse(STEP6での更新値)が、現在の第1時間帯に対応して設定されている前記標準最大使用回数Nmax_sに達したか否かを判断する。
そして、このSTEP7の判断結果が否定的である場合(Nuse<Nmax_sである場合)には、即時出湯コントローラ45は、前記STEP8の判断処理を実行する。このとき、STEP8の判断結果が否定的である場合(現在の第1時間帯が未だ終了していない場合)には、STEP5からの処理が繰り返される。
また、STEP7の判断結果が肯定的になった場合(Nuse=Nuse_sになった場合)、あるいは、STEP8の判断結果が肯定的になった場合(現在の第1時間帯が終了した場合)には、即時出湯コントローラ45は、STEP9において、加熱運転制御部47により前記沸き上げ制御を終了させる。その後は、第2時間帯において、前記STEP1からの処理が再び実行される。
以上説明した本実施形態によれば、各第1時間帯で、使用回数カウント値Nuseが該第1時間帯に対応して設定された標準最大使用回数Nmax_sに達した場合には、該第1時間帯の終了前であっても前記沸き上げ制御が終了される。
ここで、標準最大使用回数Nmax_sは、前記した如く設定されるので、多くの場合、第1時間帯での使用回数カウント値Nuseは、標準最大使用回数Nmax_s以下に留まる。従って、貯湯タンク21内の全体の湯水が、目標貯湯温度Ttk_cmdに一致もしくはほぼ一致する温度まで沸き上げられた状態のままで、第1時間帯から次の第2時間帯に移行してしまうという状況が生じるのを極力少なくすることができる。ひいては、即時出湯装置20の省エネ性を高めることができる。
また、第1時間帯での使用回数カウント値Nuseが、標準最大使用回数Nmax_sが達した時点では、多くの場合、第1時間帯の終了時点に近い時点になる。このため、使用回数カウント値Nuseが、標準最大使用回数Nmax_sに達した後に、即時出湯装置20が再び使用されたとしても、その使用は、多くの場合、1回前の即時出湯装置20の使用の直後となる。従って、給湯配管6や、即時出湯装置20の流入側配管30、バイパス配管32及び流出側配管31に温かい湯水が既に残存している。このため、出湯栓1の開栓直後に冷たい湯水が出湯されるのを極力防止することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図4~図8を参照して説明する。なお、本実施形態は、即時出湯コントローラ45の一部の制御処理だけが第1実施形態と相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
図4を参照して、本実施形態では、即時出湯コントローラ45は、第1実施形態で説明した出湯温度制御部46、加熱運転制御部47、時間帯設定部48、最大使用回数設定部49、及び使用履歴記憶部50の他、即時出湯装置20の1回当たりの使用時に要する貯湯タンク21内の湯水の必要熱量の推定値を表す熱量パラメータを求める熱量パラメータ生成部51としての機能をさらに含む。
この場合、出湯温度制御部46、時間帯設定部48、最大使用回数設定部49、及び使用履歴記憶部50の処理は、第1実施形態と同じである。一方、本実施形態では、加熱運転制御部47は、標準最大使用回数Nmax_sが1回に設定されている第1時間帯及びその直前の期間での貯湯タンク21内の湯水の沸き上げ制御と、標準最大使用回数Nmax_sが2回以上の回数に設定されている第1時間帯における(Nmax_s-1)回目の即時出湯装置20の使用直後(出湯栓1での(Nmax_s-1)回目の出湯の終了直後)の貯湯タンク21内の湯水の沸き上げ制御とを、前記第1実施形態で説明した第A態様と異なる後述の第B態様で実行する。
以下、図5~図8を参照して、本実施形態における即時出湯コントローラ45の処理を詳細に説明する。まず、熱量パラメータ生成部51の処理を図5及び図6を参照して説明しておく。即時出湯コントローラ45は、即時出湯装置20の各回の使用毎(出湯栓1の各回の出湯毎に)、図5のフローチャートに示す処理を熱量パラメータ生成部51により実行する。
すなわち、出湯栓1の開栓が、流量センサ35による入水流量Winの検出値に基づいて検知されると、熱量パラメータ生成部51は、STEP21~24の処理をSTEP25の判断結果が肯定的になるまで所定の演算処理周期で逐次実行する。
STEP21では、熱量パラメータ生成部51は、流量センサ35の検出信号により示される現在の入水流量Winの検出値と、温度センサ34の検出信号により示される現在の入水温度Tinの検出値とを取得する。
STEP22では、熱量パラメータ生成部51は、即時出湯装置20への入水の開始時(出湯栓1の開栓の検知時)から現在までに即時出湯装置20に入水した湯水(流入側配管30に流入した湯水)の総量(体積)である入水総量Vinを、入水流量Winの検出値の積算演算により算出する。より具体的には、該入水総量Vinは、前回の演算処理周期での入水総量Vinの算出値(初期値はゼロ)に、現在の入水流量Winの検出値と演算処理周期の時間幅Δtとの積(=Win×Δt)として算出される入水量(体積)を加算することで算出される。
STEP23では、熱量パラメータ生成部51は、現在の入水流量Winの検出値と、現在の入水温度Tinの検出値とを用いて、即時出湯装置20に新たに入水した湯水(詳しくは、現在の制御処理周期で入水流量Win及び入水温度Tinを検出した湯水)が保有する熱量ΔQinを算出する。該熱量ΔQinは、例えば次式(1)の如く、現在の入水流量Winの検出値と演算処理周期の時間幅Δtとの積(=Win×Δt)として算出される入水量(体積)と、現在の入水温度Tinの検出値と掛け合わせることで算出される。
ΔQin[kcal]=Tin[℃]×(Win[リットル/秒]×Δt[秒]) ……(1)
なお、1[kcal]≒4.2[kJ]、1[リットル]=1000[cm3]である。また、上記熱量ΔQinは、湯水の温度が0℃であるときの熱量に対する相対熱量である。
STEP24では、熱量パラメータ生成部51は、即時出湯装置20への入水の開始時(出湯栓1の開栓時)から現在までに即時出湯装置20に入水した湯水の全体が保有する全体熱量Qinを、STEP23で算出した熱量ΔQinの累積加算値として算出する。より具体的には、該全体熱量Qinは、前回の演算処理周期での全体熱量Qinの算出値(初期値はゼロ)に、現在の演算処理周期でSTEP23において算出した熱量ΔQinを加算することで算出される。
上記STEP21~24に続くSTEP25の判断処理では、熱量パラメータ生成部51は、前記した加熱状態の湯(給湯目標温度に一致もしくはほぼ一致する温度に加熱された湯)の即時出湯装置20への入水の有無を、温度センサ34による入水温度Tinの検出値に基づいて判断する。
具体的には、熱量パラメータ生成部51は、例えば、入水温度Tinの検出値を、給湯コントローラ8との通信を通じて取得した給湯目標温度よりも所定値だけ低い温度に設定した所定の判定温度と比較し、入水温度Tinの検出値が、該判定温度以上の温度に昇温したか否かによって、加熱状態の湯の入水の有無を判断する。この場合、該加熱状態の湯は、給湯器3の熱源機4で新たに加熱された湯に限らず、出湯栓1以外の他の出湯栓への給湯により給湯配管6に残存していた湯も含まれ得る。以降の説明では、加熱状態の湯の入水前に即時出湯装置20に入水する(流入側配管30に流入する)湯水を非加熱状態流入湯水という。
なお、上記判定温度は、例えば、給湯器3のリモコン9で設定可能な給湯目標温度の最小値、あるいは、該最小値よりも所定値だけ低い温度、あらじめ定めれられた一定値の温度であってもよい。また、上記判定温度は、給湯目標温度と同一の値であってもよい。
STEP25の判断結果が否定的である場合には、熱量パラメータ生成部51は、STEP21~24の処理を前記演算処理周期で繰り返す。また、STEP25の判断結果が肯定的になった場合には、熱量パラメータ生成部51は、STEP21~24の処理を終了して、STEP26,27の処理を実行する。
ここで、STEP25の判断結果が肯定的になるまでに、前記STEP22で最終的に算出される入水総量Vinと、STEP24で最終的に算出される全体熱量Qinとに関して補足すると、STEP22で最終的に算出される入水総量Vinは、加熱状態の湯の入水前に(STEP25の判断結果が肯定的になるまでに)、即時出湯装置20に入水した非加熱状態流入湯水の総量(体積)である。
また、STEP24で最終的に算出される全体熱量Qinは、加熱状態の湯の入水前に(STEP25の判断結果が肯定的になるまでに)、即時出湯装置20に入水した非加熱状態流入湯水の全体の熱量である。
前記STEP25の判断結果が肯定的になった場合の次のSTEP26では、熱量パラメータ生成部51は、加熱状態の湯が即時出湯装置20に入水するまでに(STEP25の判断結果が肯定的になるまでに)、即時出湯装置20に入水した非加熱状態流入湯水の全体の平均入水温度Tin_aveを、STEP24で最終的に算出した非加熱状態流入湯水の全体熱量Qinと、STEP22で最終的に算出した非加熱状態流入湯水の入水総量Vinとから、次式(2)により、算出する。
Tin_ave=Qin/Vin ……(2)
次いで、STEP27において、熱量パラメータ生成部51は、非加熱状態流入湯水の平均入水温度Tin_ave、入水総量Vin、及び全体熱量Qinを、熱量パラメータを求めるための学習データとして、第1実施形態で説明した前記出湯履歴情報と共に、前記使用履歴記憶部50に記憶保持する。
補足すると、非加熱状態流入湯水の平均入水温度Tin_ave、入水総量Vin、及び全体熱量Qinのうちの任意の一つのパラメータの値は、他の2つのパラメータの値によって一義的に規定される。従って、平均入水温度Tin_ave、入水総量Vin、及び全体熱量Qinのうちの2つのパラメータの値だけを学習データとして記憶保持してもよい。
また、本実施形態では、STEP25の判断結果が肯定的になるまで、入水総量Vinと全体熱量Qinとを逐次算出した。ただし、例えば、STEP25の判断結果が肯定的になるまで、入水温度Tinの検出値と入水流量Winの検出値とを時系列的に記憶保持しておき、STEP25の判断結果が肯定的になった後に、随時(必要時に)、記憶保持された時系列データを用いて、平均入水温度Tin_ave、入水総量Vin、及び全体熱量Qinを算出するようにしてもよい。
次に、熱量パラメータ生成部51は、時間帯設定部48により新たに第1時間帯及び第2時間帯が設定されると、新たに設定された各第1時間帯毎に、熱量パラメータを生成する。この熱量パラメータの生成処理では、熱量パラメータ生成部51は、所定日数前までの過去の学習データを基に、非加熱状態流入湯水の平均入水温度Tin_ave及び入水総量Vinのそれぞれの代表値Tin_ave_s,Vin_sを設定する。
そして、熱量パラメータ生成部51は、即時出湯装置20の新たな使用時(出湯栓1での新たな出湯時)における出湯栓1の開栓直後の非加熱状態流入湯水の実際の平均入水温度Tin_ave及び入水総量Vinが、それぞれの代表値Tin_ave_s,Vin_sに一致するという仮定の基で、出湯栓1の開栓直後の所定期間において、出湯温度Toutを所要の即時出湯目標温度Tout_cmdに一致もしくはほぼ一致させ得るように、貯湯タンク21内の湯水の必要熱量の推定値を表す熱量パラメータを求める。
この場合、本実施形態では、出湯栓1の開栓直後の所定期間は、出湯栓1の開栓後の入水総量Vinが代表値Vin_sに一致する値に達するまでの期間(Vin_sに一致する総量の非加熱状態流入湯水が即時出湯装置20に入水する期間)である。
また、貯湯タンク21内の湯水の熱量は、貯湯温度Ttkと、貯湯タンク21の容積Vtとの積として表すことができる(該熱量は、貯湯温度Ttkに比例する)ので、貯湯タンク21内の湯水の必要熱量を表す熱量パラメータとして、本実施形態では、該必要熱量に対応する貯湯温度Ttkの要求値(以降、必要貯湯温度Ttk_dmdという)を用いる。
このように熱量パラメータとしての必要貯湯温度Ttk_dmdの算出する処理は、図6のフローチャートに示す如く実行される。なお、この処理の説明では、以降、必要貯湯温度Ttk_dmdを求めようとする第1時間帯を対象第1時間帯と称する。
熱量パラメータ生成部51は、まず、STEP31において、所定日数前(N日前)までの各日の学習データから、対象第1時間帯に一致する時間帯である該当時間帯での学習データを取得する。この場合、対象第1時間帯に対応して設定されている標準最大使用回数Nmax_sが1回である場合(Nmax_s=1である場合)には、取得する学習データは、該当時間帯での最初の(1回目の)即時出湯装置20の使用時に得られた学習データである。
また、対象第1時間帯に対応して設定されている標準最大使用回数Nmax_sが2回以上である場合(Nmax_s≧2である場合)には、取得する学習データは、該当時間帯での2回目以降の(1回目を除く)各回の即時出湯装置20の使用時に得られた学習データである。
次いで、STEP32において、熱量パラメータ生成部51は、取得した学習データに基づいて、対象第1時間帯での非加熱状態流入湯水の平均入水温度Tin_ave及び入水総量Vinのそれぞれの代表値Tin_ave_s,Vin_sを設定する。
この場合、平均入水温度Tin_aveの代表値Tin_ave_sと入水総量Vinの代表値Vin_sとは、基本的には、取得したいずれかの学習データの平均入水温度Tin_aveの値と入水総量Vinの値とにそれぞれ一致もしくは近い値となるように、あらかじめ定められた規則に従って設定される。
例えば、取得した全ての学習データの平均入水温度Tin_aveのうちの最小値と入水総量Vinのうちの最大値とのそれぞれが、平均入水温度Tin_ave及び入水総量Vinのそれぞれの代表値Tin_ave_s,Vin_sとして設定される。なお、この場合、例えば、平均入水温度Tin_aveのうちの最小値よりも所定のマージン値だけ小さい値を、平均入水温度Tin_aveの代表値Tin_ave_sとして設定したり、入水総量Vinのうちの最大値よりも所定のマージン値だけ大きい値を、入水総量Vinの代表値Vin_sとして設定してもよい。
あるいは、例えば、対象時間帯の取得した全ての学習データの平均入水温度Tin_aveの平均値(又は中央値)と、入水総量Vinの平均値(又は中央値)とのそれぞれが、平均入水温度Tin_ave及び入水総量Vinのそれぞれの代表値Tin_ave_s,Vin_sとして設定される。
このほか、例えば、取得した全ての学習データの平均入水温度Tin_aveのうちの最小値と、該平均入水温度Tin_aveの最小値に対応する入水総量Vinの値(該平均入水温度Tin_aveの最小値と日時情報が同一である入水総量Vinの値)とのそれぞれを、平均入水温度Tin_ave及び入水総量Vinのそれぞれの代表値Tin_ave_s,Vin_sとして設定してもよい。
あるいは、例えば、取得した全ての学習データの入水総量Vinのうちの最大値と、該最大値の入水総量Vinに対応する平均入水温度Tin_aveの値(該最大値の入水総量Vinと日時情報が同一である平均入水温度Tin_aveの値)とのそれぞれを、入水総量Vin及び平均入水温度Tin_aveのそれぞれの代表値Tin_ave_s,Vin_sとして設定してもよい。
補足すると、平均入水温度Tin_ave及び入水総量Vinのそれぞれの代表値Tin_ave_s,Vin_sの設定の仕方(規則)を規定する複数のモードを、前記操作部60の操作によりユーザが選択的に指定し得るようにして、該操作部60で指定されたモードにより規定される仕方で、平均入水温度Tin_ave及び入水総量Vinのそれぞれの代表値Tin_ave_s,Vin_sを設定するようにしてもよい。
また、例えば、即時出湯装置20の各回の使用時(出湯栓1での各回の出湯時)における入水温度Tin及び入水流量Winのそれぞれの検出値の時系列データを記憶保持した場合には、該当時間帯でのそれらの時系列データから、最適化手法、統計処理手法等により平均入水温度Tin_ave及び入水総量Vinのそれぞれの代表値Tin_ave_s,Vin_sを設定するようにしてもよい。
次いで、STEP33において、熱量パラメータ生成部51は、上記の如く設定した入水総量Vinの代表値Vin_sが、即時出湯コントローラ45のメモリにあらかじめ記憶保持されている貯湯タンク21の容積Vt以下であるか否かを判断する。
このSTEP33の判断結果が肯定的になる場合(Vin_s≦Vtである場合)は、非加熱状態流入湯水の入水総量Vinの代表値Vin_sと同じ体積の湯を、貯湯タンク21から出湯栓1に供給し得る場合である。この場合には、熱量パラメータ生成部51は、STEP34において、必要貯湯温度Ttk_dmdを決定する。
このSTEP34では、熱量パラメータ生成部51は、所要の即時出湯目標温度Tout_cmdを、必要貯湯温度Ttk_dmdとして決定する。この場合、即時出湯目標温度Tout_cmdとしては、例えば第1実施形態と同様に給湯目標温度が設定される。
これにより、必要貯湯温度Ttk_dmdは、出湯栓1の開栓後に即時出湯装置20に入水する非加熱状態流入湯水の入水総量VinがSTEP32で設定した代表値Vin_sに一致するという仮定の基で、即時出湯装置20に非加熱状態流入湯水が入水する期間において、貯湯タンク21だけから、即時出湯目標温度Tout_cmd(=給湯目標温度)に一致する温度の湯を出湯栓1に供給するために必要な熱量に相当する貯湯温度Ttkとして算出される。
一方、STEP33の判断結果が否定的である場合(Vin_s>Vtである場合)には、熱量パラメータ生成部51は、STEP35において、必要貯湯温度Ttk_dmdを決定する。このSTEP35では、熱量パラメータ生成部51は、即時出湯装置20に非加熱状態流入湯水が入水する期間において、貯湯タンク21内の湯の熱量と、即時出湯装置20に入水する非加熱状態流入湯水の全体熱量との総和の熱量によって、即時出湯目標温度Tout_cmdに一致もしくはほぼ一致する温度の湯を出湯栓1に供給し得るように、必要貯湯温度Ttk_dmdを算出する。
具体的には、本実施形態では、熱量パラメータ生成部51は、STEP12で設定した平均入水温度Tin_ave及び入水総量Vinのそれぞれの代表値Tin_ave_s,Vin_sと、上記即時出湯目標温度Tout_cmdとを用いて、次式(3)の関係式を満たすように、必要貯湯温度Ttk_dmdを決定する。
Tout_cmd×Vin_s=Ttk_dmd×Vt+Tin_ave_s×(Vin_s-Vt) ……(3)
従って、STEP35では、熱量パラメータ生成部51は、次式(3a)により、必要貯湯温度Ttk_dmdを算出する。
Ttk_dmd=(Tout_cmd×Vin_s-Tin_ave_s×(Vin_s-Vt))/Vt ……(3a)
ここで、式(3),(3a)におけるTout_cmd×Vin_sは、加熱状態の湯の入水前に、非加熱状態流入湯水が即時出湯装置20に入水する期間において、即時出湯目標温度Tout_cmdの湯を出湯栓1から出湯させるために必要な熱量、Ttk_dmd×Vtは、貯湯タンク21内に蓄熱されるべき必要熱量、Tin_ave_s×(Vin_s-Vt)は、即時出湯装置20に入水する非加熱状態流入湯水の全体(入水総量Vinの代表値Vin_sの体積を有する湯水)のうち、貯湯タンク21への充填分(貯湯タンク21の容積Vtに一致する体積の湯水)を除いた湯水の熱量である。
Vin_s>Vtである場合に上記の如く必要貯湯温度Ttk_dmdを算出することで、該必要貯湯温度Ttk_dmdは、出湯栓1の開栓後に即時出湯装置20に入水する非加熱状態流入湯水の平均入水温度Tin_aveと、入水総量VinとがそれぞれSTEP32で設定した代表値Tin_ave_s,Vin_sに一致するという仮定の基で、即時出湯装置20に非加熱状態流入湯水が入水する期間において、貯湯タンク21内の湯と非加熱状態流入湯水とを混合することで、即時出湯目標温度Tout_cmdに一致もしくはほぼ一致する温度の湯を出湯栓1に供給することが可能となるように、貯湯タンク21内の必要熱量に相当する必要貯湯温度Ttk_dmdが算出される。
加えて、該必要貯湯温度Ttk_dmdは、即時出湯装置20に非加熱状態流入湯水が入水する期間が終了するまでに(加熱状態の湯が即時出湯装置20に供給されるようになるまでに)、貯湯タンク21に貯湯された湯(目標貯湯温度Ttk_cmdに一致もしくはほぼ一致する温度の湯)のほぼ全量が出湯栓1に供給されるように算出される。
本実施形態では、熱量パラメータ生成部51は、以上説明した処理により、即時出湯装置20の1回当たりの使用時に、非加熱状態流入湯水が即時出湯装置20に入水する期間で即時出湯目標温度Tout_cmdの湯を出湯栓1から出湯させ得るように、貯湯タンク21内の湯水の必要熱量に相当する必要貯湯温度Ttk_dmdを算出する。この場合、該必要貯湯温度Ttk_dmdに、貯湯タンク21の容積Vtを乗じてなる値が、出湯栓1の開栓後に即時出湯装置20に入水する非加熱状態流入湯水の平均入水温度Tin_aveと、入水総量VinとがそれぞれSTEP32で設定した代表値Tin_ave_s,Vin_sに一致するという仮定の基での貯湯タンク21内の湯水の必要熱量の推定値に相当するものとなる。
次に、出湯栓1での出湯時における本実施形態の即時出湯装置20の作動を説明する。本実施形態では、即時出湯コントローラ45は、第1時間帯及び第2時間帯、並びに、各第1時間帯での標準最大使用回数Nmax_sが前記した如く設定されていると共に、各第1時間帯での熱量パラメータとしての必要貯湯温度Ttk_dmdが求められている状態で、図7のフローチャートに示す処理を実行する。
STEP41において、即時出湯コントローラ45は、現在時刻がいずれかの第1時間帯の所定時間前(例えば30分前)の時刻(いずれかの第1時間帯がまもなく開始する時刻)であるか否かを判断し、この判断結果が肯定的になるまでSTEP41の判断処理を繰り返す。
STEP41の判断結果が肯定的になると、次にSTEP42において、即時出湯コントローラ45は、開始する第1時間帯に対応して設定されている標準最大使用回数Nmax_sが1回であるか否かを判断し、この判断結果が肯定的である場合(Nmax_s=1である場合)には、STEP43からの処理を実行し、否定的である場合(Nmax_s≧2である場合)には、後述するSTEP49からの処理を実行する。
Nmax_s=1である場合のSTEP43では、即時出湯コントローラ45は、加熱運転制御部47により、貯湯タンク21内の湯水の、第B態様での沸き上げ制御を開始する。この第B態様での沸き上げ制御は、それに用いる目標貯湯温度Ttk_cmdが、第1実施形態で説明した第A態様の沸き上げ制御と相違するものである。
すなわち、第B態様の沸き上げ制御では、熱量パラメータ生成部51により前記した如く算出された必要貯湯温度Ttk_dmdが目標貯湯温度Ttk_cmdとして設定される。ただし、この場合、必要貯湯温度Ttk_dmdが所定の上限温度を超える場合には、目標貯湯温度Ttk_cmdは、該上限温度に制限される。
補足すると、目標貯湯温度Ttk_cmdが上限温度以下に収まる範囲内では、必要貯湯温度Ttk_dmdに、例えば、所定のマージン値を加算した値を目標貯湯温度Ttk_cmdとして決定してもよい。
そして、加熱運転制御部47は、上記の如く設定した目標貯湯温度Ttk_cmdを用いてヒータ22の作動制御を行う。この場合、ヒータ22の作動制御の手法は、第A態様の沸き上げ制御と同様である。
かかる沸き上げ制御を実行しながら、即時出湯コントローラ45は、STEP44において、第1時間帯が開始する時刻になったか否かを判断し、この判断結果が肯定的になるまでSTEP44の判断処理を繰り返す。
そして、第1時間帯が開始する時刻になって、STEP44の判断結果が肯定的になると、即時出湯コントローラ45は、次に、STEP45において、出湯栓1が開栓されたか否か(即時出湯装置20の使用が開始されたか否か)を検知する。この検知は、第1実施形態におけるSTEP5と同様に、流量センサ35による入水流量Winの検出値に基づいて行われる。
STEP45で出湯栓1の開栓が検知されない場合(STEP45の判断結果が否定的になる場合)には、即時出湯コントローラ45は、STEP47で現在進行中の第1時間帯が終了したか否か(現在時刻が第1時間帯の終了時刻に達したか否か)を判断し、この判断結果が否定的である場合には、STEP45からの処理を繰り返す。
STEP45で、出湯栓1の開栓が検知された場合(STEP5の判断結果が肯定的になった場合)には、即時出湯コントローラ45は、STEP46において、出湯温度制御部46により出湯制御を実行する。
このSTEP46の出湯制御は、第1実施形態におけるSTEP6での出湯制御と同様に実行される。なお、目標貯湯温度Ttk_cmdが前記上限温度に制限された場合には、貯湯温度Ttkの検出値が前記目標貯湯温度Ttk_cmdに一致もしくはほぼ一致する温度である場合(Ttk≒Ttk_ cmdである場合)に第1実施形態と同様に分配弁33の分配比を制御すると、加熱状態の湯が即時出湯装置20に入水する前に、貯湯タンク21が湯切れ状態になる可能性がある。
そこで、目標貯湯温度Ttk_cmdが前記上限温度に制限されていると共に、貯湯温度Ttkの検出値が前記目標貯湯温度Ttk_cmdに一致もしくはほぼ一致する温度である場合(Ttk≒Ttk_ cmdである場合)には、即時出湯目標温度Tout_cmdを、通常の即時出湯目標温度Tout_cmd(本実施形態では、給湯目標温度)よりも低い温度に修正し、その修正後の即時出湯目標温度Tout_cmdを用いて、分配弁33の分配比を制御してもよい。
上記の如く出湯制御を実行した後、あるいは、STEP47の判断結果が肯定的になった場合(現在の第1時間帯が終了した場合)には、即時出湯コントローラ45は、STEP48において、加熱運転制御部47により沸き上げ制御(第B態様の沸き上げ制御)を終了させる。その後は、第2時間帯において、前記STEP41からの処理が再び実行される。
補足すると、STEP42の判断結果が肯定的となる場合の第1時間帯では、標準最大使用回数Nmax_sが1回であるので、STEP45で出湯栓1の開栓が検知された場合、使用回数カウント値Nuseが標準最大使用回数Nmaxに達することと等価である。このため、本実施形態では、STEP42の判断結果が肯定的となる場合の第1時間帯では、使用回数カウント値Nuseのカウントアップ(使用回数の計数)を省略している。
前記STEP42でNmax_s≧2である場合のSTEP49(図8参照)では、即時出湯コントローラ45は、加熱運転制御部47により、貯湯タンク21内の湯水の、第A態様での沸き上げ制御を開始する。この第A態様での沸き上げ制御は、第1実施形態で説明した第A態様の沸き上げ制御と同じであり、目標貯湯温度Ttk_cmdを所定温度(例えば80℃)として、ヒータ22の作動が制御される。
かかる沸き上げ制御を実行しながら、即時出湯コントローラ45は、STEP50において、第1時間帯が開始する時刻になったか否かを判断し、この判断結果が肯定的になるまでSTEP50の判断処理を繰り返す。
そして、第1時間帯が開始する時刻になって、STEP50の判断結果が肯定的になると、即時出湯コントローラ45は、次に、STEP51において、即時出湯コントローラ45は、使用回数カウント値Nuseをゼロに初期化する。
次いで、STEP52において、即時出湯コントローラ45は、出湯栓1が開栓されたか否かを検知する。この検知は、第1実施形態におけるSTEP5と同様に、流量センサ35による入水流量Winの検出値に基づいて行われる。
STEP52で出湯栓1の開栓が検知された場合(STEP52の判断結果が肯定的にになる場合)には、即時出湯コントローラ45は、STEP53において、使用回数カウント値Nuseの値を1だけ増加させ、さらに、出湯温度制御部46により出湯制御を実行する。この出湯制御は、前記STEP46と同様に行われる。
次いで、即時出湯コントローラ45は、STEP54において、使用回数カウント値Nuse(STEP53での更新値)が現在の第1時間帯に対応して設定されている標準最大使用回数Nmax_s(ここでは、Nmax_s≧2)に達したか否かを判断する。
そして、このSTEP54の判断結果が否定的である場合(Nuse<Nmax_sである場合)、あるいは、前記STEP52で出湯栓1の開栓が検知されない場合(STEP52の判断結果が否定的になる場合)には、即時出湯コントローラ45は、STEP55において、現在進行中の第1時間帯が終了したか否か(現在時刻が第1時間帯の終了時刻に達したか否か)を判断する。
そして、このSTEP55の判断結果が否定的である場合には、即時出湯コントローラ45は、さらに、STEP56において、現在の使用回数カウント値Nuseが現在の第1時間帯に対応して設定されている標準最大使用回数Nmax_s(ここでは、Nmax_s≧2)よりも1だけ小さい回数(=Nmax_s-1)に達したか否かを判断する。
このSTEP56の判断結果が否定的である場合(Nuse<Nmax_s-1である場合)には、即時出湯コントローラ45は、STEP58において、前記第A態様の沸き上げ制御を加熱運転制御部47により継続して実行し、その後、前記STEP52からの処理を再び実行する。この場合、STEP58での沸き上げ制御は、STEP49と同様に実行される。
また、STEP56の判断結果が肯定的になった場合(Nuse=Nmax_s-1になった場合)には、即時出湯コントローラ45は、STEP57において、第B態様の沸き上げ制御を加熱運転制御部47により継続して実行し、その後、前記STEP52からの処理を再び実行する。
この場合、STEP57での沸き上げ制御では、加熱運転制御部47は、前記STEP46と同様に、現在進行中に第1時間帯に対応して熱量パラメータ生成部51により算出された必要貯湯温度Ttk_dmdが所定の上限温度以下である場合には、該必要貯湯温度Ttk_dmdが目標貯湯温度Ttk_cmdとして設定される。また、必要貯湯温度Ttk_dmdが所定の上限温度を超えている場合には、目標貯湯温度Ttk_cmdは該上限温度に制限される。そして、このように設定された目標貯湯温度Ttk_cmdを用いて、STEP46と同様にヒータ22の作動制御が行われる。
また、STEP54で、使用回数カウント値Nuseが標準最大使用回数Nmax_sに達した場合(STEP54の判断結果が肯定的になった場合)、あるいは、STEP55で第1時間帯が終了した場合(STEP55の判断結果が肯定的になった場合)には、即時出湯コントローラ45は、STEP56において、加熱運転制御部47により沸き上げ制御を終了させる。
この場合、STEP56で終了する沸き上げ制御は、STEP54の判断結果が肯定的となった場合には、第B態様の沸き上げ制御であり、STEP55の判断結果が肯定的となった場合には、第A態様の沸き上げ制御である。STEP56の処理の後は、第2時間帯において、前記STEP1からの処理が再び実行される。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、各第1時間帯で、使用回数カウント値Nuseが該第1時間帯に対応して設定された標準最大使用回数Nmax_sに達した場合には、該第1時間帯の終了前であっても前記沸き上げ制御が終了される。このため、第1実施形態と同様に、即時出湯装置20の省エネ性を高めることができる。
また、第1時間帯での使用回数カウント値Nuseが、標準最大使用回数Nmax_sが達した時点では、多くの場合、第1時間帯の終了時点に近い時点になるため、第1実施形態と同様に、出湯栓1の開栓直後に冷たい湯水が出湯されるのを極力防止することができる。
加えて、本実施形態では、標準最大使用回数Nmax_sが1回である場合と2回以上である場合とのいずれの場合でも、第1時間帯での即時出湯装置20の使用回数が標準最大使用回数Nmax_sも達する直前における沸き上げ制御は、前記第B態様で実行される。このため、標準最大使用回数Nmax_s に一致する回数目の即時出湯装置20の使用時には、通常、貯湯タンク21内に貯湯されていた湯(必要貯湯温度Ttk_dmdを目標貯湯温度Ttk__cmdとて加熱された湯)の大部分を、出湯栓1に供給することができる。
ひいては、標準最大使用回数Nmax_s に一致する回数目の即時出湯装置20の使用後に、貯湯タンク21内に残留する余剰分の湯を極力少なくすることができる。従って、即時出湯装置20の省エネ性をより一層高めることができる。
また、熱量パラメータ(必要貯湯温度Ttk_dmd)を求めるために用いる平均入水温度Tin_ave及び入水総量Vinは、標準最大使用回数Nmax_sが1回である場合と2回以上である場合とで、それぞれ前記した如く設定されるので、各第1時間帯での標準最大使用回数Nmax_sに一致する回数目の即時出湯装置20の使用時における貯湯タンク21内の必要熱量を表すものとしての信頼性を高めることができる。
ひいては、各第1時間帯での標準最大使用回数Nmax_sに一致する回数目の即時出湯装置20の使用時に、貯湯タンク21内の熱量の過不足を極力防止することができる。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の態様を採用することもできる。以下に他の実施形態をいくつか説明する。
前記各実施形態では、貯湯タンク21内の湯と、熱源機4側から給湯配管6を介して即時出湯装置20に入水する湯水との混合を行うために、バイパス配管32の上流端部に分配弁33を備えた。ただし、該分配弁33の代わりに、例えば、前記流出側配管31の混合部31a(バイパス配管32の合流部)に、バイパス配管32から流入する湯水の流量と、貯湯タンク21側から流入する湯水の流量との比率を制御可能な混合弁を備えるようにしてもよい。
あるいは、分配弁33の代わりに、例えば、流入側配管30の下流部(バイパス配管32の分岐部よりも下流側の部分)と、バイパス配管32とのそれぞれに流量制御弁を備えるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、即時出湯目標温度Tout_cmdを、基本的には、給湯器3のリモコン9で設定された給湯目標温度に一致させた。ただし、即時出湯目標温度Tout_cmdを、あらかじめ定めた所定値(例えば、リモコン9で設定可能な給湯目標温度の最小値等)としてもよく、あるいは、該即時出湯目標温度Tout_cmdを即時出湯装置20の操作部60の操作によって、所定の範囲内で可変的に設定し得るようにしてもよい。
また、前記第2実施形態では、熱量パラメータ(必要貯湯温度Ttk_dmd)を算出する処理では、入水総量Vinの代表値Vin_sに一致する体積の非加熱状態流入湯水が即時出湯装置20に入水する期間を所定期間として、該所定期間での出湯温度Toutを即時出湯目標温度Tout_cmdに一致もしくはほぼ一致させるように、必要貯湯温度Ttk_dmdを算出した。ただし、上記所定期間は、例えば、所定時間の期間、あるいは、入水流量Winを積算してなる入水総量Vinが所定値に達するまでの期間等であってもよい。
また、前記第2実施形態では、STEP49,58の沸き上げ制御では、所定値の目標貯湯温度Ttk_cmdを用いて、ヒータ22の作動制御を行った。ただし、STEP49,58の沸き上げ制御を、例えばSTEP43での沸き上げ制御、あるいは、STEP57での沸き上げ制御と同様の第B態様で実行するようにしてもよい。
また、熱量パラメータ(必要貯湯温度Ttk_dmd)を算出する処理では、標準最大使用回数Nmax_sが1回又は2回に設定されている第1時間帯については、前記第2実施形態で説明した如く熱量パラメータを算出する一方、標準最大使用回数Nmax_sが3回以上に設定されている第1時間帯については、例えば、次のように熱量パラメータを算出してもよい。
すなわち、標準最大使用回数Nmax_sが3回以上に設定されている第1時間帯については、該第1時間帯の進行中に、使用回数カウント値Nuseが2回目から(Nmax_s-1)回目までのいずれかの回数値(例えば、Nmax_s-1)であるときの入水温度Tin及び入水流量Winの検出値に基づいて前記熱量パラメータ生成部51により求められる平均入水温度Tin_ave及び入水総量Vinの値をそれぞれ代表値Tin_ave_s、Vin_sとして設定し、これらの代表値Tin_ave_s、Vin_s を用いて第2実施形態と同様の仕方で熱量パラメータ(必要貯湯温度Ttk_dmd)を算出する。
この場合、即時出湯装置20の直前の使用時(もしくは比較的近い時期での使用時)のおける平均入水温度Tin_ave及び入水総量Vinの値を用いて熱量パラメータ(必要貯湯温度Ttk_dmd)を算出するので、該熱量パラメータ(必要貯湯温度Ttk_dmd)の信頼性をより一層高めることができる。
なお、例えば、標準最大使用回数Nmax_sが4回以上に設定されている第1時間帯については、例えば、2回目から(Nmax_s-1)回目までの各回の即時出湯装置20の使用時に、入水温度Tin及び入水流量Winの検出値に基づいて求められる平均入水温度Tin_aveの最小値もしくは平均値を代表値Tin_ave_sとして設定すると共に、2回目から(Nmax_s-1)回目までの各回の即時出湯装置20の使用時に、入水流量Winの検出値に基づいて求められる入水総量Vinの最大値もしくは平均値を代表値Vin_sとして設定してもよい。そして、これらの代表値Tin_ave_s、Vin_s を用いて第2実施形態と同様の仕方で熱量パラメータ(必要貯湯温度Ttk_dmd)を算出するようにしてもよい。
また、前記各実施形態では、即時出湯コントローラ45は、給湯コントローラ8との通信により取得した給湯目標温度の設定値を使用した。ただし、例えば、出湯栓1の出湯時(即時出湯装置20の使用時)に、入水温度Tinの検出値が給湯目標温度の設定値に相当する定常的な温度に昇温した状態での該入水温度Tinの検出値を取得し、該検出値を、その後の即時出湯装置20の使用時における給湯目標温度の設定値として用いてもよい。
また、前記各実施形態では、最大使用回数設定部49は、各第1時間帯での標準最大使用回数Nmax_sとして、所定日数までの各日の該第1時間帯での使用回数のうちの最大値を設定した。ただし、例えば、所定日数までの各日の該第1時間帯での使用回数の平均値もしくは中央値に一致し、もしくは最も近い整数値を標準最大使用回数Nmax_sとして設定したり、あるいは、一日前の該第1時間帯での使用回数を標準最大使用回数Nmax_s、として設定してもよい。
また、各第1時間帯での標準最大使用回数Nmax_sとして、例えば、過去の使用履歴によらずに、操作部60等であらかじめ設定した値を使用することも可能である。ただし、各第1時間帯での標準最大使用回数Nmax_sが実際の最大使用回数から乖離したものとなるのを極力防止する上では(ひいては、各第1時間帯での実際の使用回数Nuseが標準最大使用回数Nmax_sに達した後に、該第1時間帯で即時出湯装置20が再び使用されるという状況が極力発生しないようにする上では)、前記各実施形態の如く、過去の使用履歴に基づいて標準最大使用回数Nmax_sを設定することが望ましい。
また、前記各実施形態では、第1時間帯及び第2時間帯を使用履歴情報に基づいて可変的に設定した。ただし、第1時間帯及び第2時間帯を、操作部60によりあらかじめ設定した時間帯で一定に保持するようにしてもよい。