JP6998651B2 - 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料、及びそれらの製造方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料、及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料、及びそれらの製造方法に関する。特には、残炭率が高く、耐炎・難燃特性が高い繊維強化複合材料を製造するための熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料及びそれらの製造方法に関する。
繊維強化複合材料は、その比強度、比弾性が優れているため、航空・宇宙用品等に広く利用されている。繊維強化複合材料の用途が広がるにつれ、ガスタービン、ジェットエンジン等の内燃機関の使用に耐える高い耐炎性、耐熱性、及び耐衝撃性を有する繊維強化複合材料の要求が増えている。したがって、高い耐炎性、耐熱性及び耐衝撃性を有する繊維強化複合材料を作製することができるプリプレグが求められている。
従来、耐熱・耐炎部材として、金属(主としてAl又はステンレス)、セラミック、グラファイト、炭素繊維強化樹脂複合材料(CFRP)、炭素繊維強化炭素複合体(C/C複合材)よりなるものが用いられている。しかし、金属製やセラミック製の耐炎部材では、部材重量が重く、取扱性、操作性が悪いという欠点があり、セラミック製やグラファイト製の耐炎部材では、脆く、耐衝撃性が劣るという欠点がある。
繊維強化複合材料(特に、CFRP)及びC/C複合材は、比較的断熱性が高く、金属やセラミック系の材料と比べると密度が低い材料である。したがって、このような繊維強化複合材料及びC/C複合材は、軽量で耐摩耗性等にも優れることから、ロケットノズルや航空機のブレーキ材など、主として宇宙、航空機用材料等として用いられている(特許文献1~3)。
繊維強化複合材料及びC/C複合材は、液体ロケットのノズル形成にも使用されており、特に固体ロケットモータのノズル形成に適している。なぜなら、固体ロケットでは、液体ロケットに比べて、一般に燃焼時間が短く(最長で、120秒の燃焼時間)、その分だけロケットノズル内面が高温となるので、より高い断熱性が要求されるからである。
繊維強化複合材料及びC/C複合材は、繊維と樹脂又は繊維と炭素質から構成されている。そのため、これらが加熱されると、樹脂及び炭素質は、加熱面であるロケットノズルの内表面を起点として熱分解反応が進行する。したがって、樹脂は、ロケットノズル内表面からその厚み方向へ炭化していく。
この時、樹脂から、熱分解ガスが発生する。この熱分解ガスが、効率的に繊維強化複合材料及び炭素質の内部からロケットノズルの外表面に抜けることにより、アブレーションによる効率的な冷却が行われる。
アブレーション冷却を実現するためには、高温時に消失するマトリックス(樹脂及び炭素質)の残炭率が重要な要素となる。残炭率が低い場合、繊維強化複合材料又はC/C複合材の機械物性が低下し、その構造を維持することが困難となる。一方、残炭率を高くするためには、フェノール樹脂を用いなければならない。
一般的に、フェノール樹脂は、メタノール溶媒に溶解させて用いられる。特許文献4には、フェノール樹脂のメタノール溶液を炭素繊維織物に含浸させたプリプレグが開示されている。しかし、特許文献4には、ホットメルト法によってプリプレグを作製することは開示されていない。
フェノール樹脂は取扱性が悪く、特に、成形時に加熱硬化させる際に、メチロール基の脱離により生じる強い臭気や、装置の腐食が問題となる。また、縮合反応により生じる反応水や、溶媒の脱離による揮発性成分が、成形体内にボイドを生じさせる。その結果、得られる成形体が層間剥離を生じさせたり、機械物性の低下を生じさせたりする。さらには、ボイドレスの成形体を作製するには、ハイドロクレーブ、高圧オートクレーブのような特殊な設備を用いる必要があり、工業レベルでの大量生産には不適当である。
炭素繊維強化炭素複合体(C/C複合材)の製造方法としては、炭素繊維基材に予め樹脂を含浸させたプリプレグを用いる方法が挙げられる。プリプレグの炭素繊維基材に含浸させる樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂の1種又は2種以上が挙げられる。これらの樹脂は、アルコール、アセトン、アントラセン油等の溶媒に溶解ないし分散させて適度な粘度に調整された後、炭素繊維基材に含浸されてプリプレグが作製される。このプリプレグを複数枚積層して得られる積層体を、加熱加圧して炭素繊維強化樹脂成形体を得、該炭素繊維強化樹脂成形体を焼成して炭化させた後、コールタール・ピッチ、石油タール・ピッチ、及び樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の含浸材を含浸させ、再度焼成して該含浸材を炭化させることによりC/C複合材が製造される。このように製造されるC/C複合材は、残炭率に関しては最も高くなる。しかし、C/C複合材は、一部の部材を除いての使用は現実的ではない。
特開昭60-191057号公報 特開平3-205359号公報 特開2011-46543号公報 特開2012-096482号公報
本発明の課題は、所定の残炭率を有し、かつホットメルト法によりプリプレグを作製することができ、硬化時における揮発性成分が極めて少ない熱硬化性樹脂組成物を提供することである。また、この熱硬化性樹脂組成物が含浸されて成るプリプレグであって、残炭率の高い繊維強化複合材料を作製することができ、取扱性及び成形加工性が高いプリプレグを提供することである。
本発明者らは、ベンゾオキサジン化合物と、レゾール/ノボラック共重合フェノールと、を含んで成る樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸させて製造したプリプレグは、取扱性、成形加工性が優れていることを見出した。そして、このプリプレグを用いて作製した繊維強化複合材料は、高い残炭率を有する樹脂で構成されているため、炭化を伴うような高温に晒されても繊維強化複合材料に層間剥離を生じさせ難く、その構造を維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は、以下に記載のものである。
〔1〕 以下の成分[A]及び成分[B]
成分[A]:ベンゾオキサジン化合物、
成分[B]:レゾール/ノボラック共重合フェノール、
を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
〔2〕 成分[A]と成分[B]との質量比が3:7~8:2である、〔1〕に記載の熱硬化性樹脂組成物。
〔3〕 成分[A]に成分[B]の一部又は全部が溶解して成る〔1〕に記載の熱硬化性樹脂組成物。
〔4〕 成分[A]のベンゾオキサジン化合物の50℃における粘度が、1,000Pa・s以下である、〔1〕に記載の熱硬化性樹脂組成物。
〔5〕 成分[B]のレゾール/ノボラック共重合フェノールの重量平均分子量が、5,000~100,000である、〔1〕に記載の熱硬化性樹脂組成物。
〔6〕 成分[B]のレゾール/ノボラック共重合フェノールのレーザー回折法による平均粒子径が、5~100μmである、〔1〕に記載の熱硬化性樹脂組成物。
〔7〕 以下の成分[C]
成分[C]:ビスマレイミド樹脂、
をさらに含有する〔1〕に記載の熱硬化性樹脂組成物。
〔8〕 以下の成分[D]
成分[D]:ブタジエンニトリルゴム、
をさらに含有する〔1〕に記載の熱硬化性樹脂組成物。
〔9〕 以下の[A]乃至[B]成分
成分[A]:ベンゾオキサジン化合物、
成分[B]:レゾール/ノボラック共重合フェノール、
を、温度60~160℃で混合することを特徴とする〔1〕に記載の熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
〔10〕 強化繊維基材と、
前記強化繊維基材内に含浸した〔1〕に記載の熱硬化性樹脂組成物と、
から成ることを特徴とするプリプレグ。
〔11〕 前記強化繊維基材が炭素繊維である〔10〕に記載のプリプレグ。
〔12〕 〔1〕に記載の熱硬化性樹脂組成物を温度70~160℃で強化繊維基材内に含浸させることを特徴とする〔10〕に記載のプリプレグの製造方法。
〔13〕 〔10〕に記載のプリプレグを積層して、圧力0.1~2MPa、温度150~210℃で1~8時間加熱することを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は残炭率が高い。そのため、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて作製される繊維強化複合材料は、炭化が生じるような高温に晒されても、層間剥離等に起因する強度の低下を生じ難い。そのため、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、耐炎・耐熱性の高い炭素繊維強化複合材料を作製することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、レゾール/ノボラック共重合フェノールとベンゾオキサジン化合物とが混合されることにより、粘度が低下されている。そのため、有機溶媒を用いることなく、強化繊維基材内に熱硬化性樹脂組成物を含浸することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、予備硬化された状態にあるレゾール/ノボラック共重合フェノールと、硬化反応時に縮合反応を伴わないベンゾオキサジン化合物と、を含んで成る。そのため、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化反応時に水やアンモニア等の揮発性成分がほとんど生じない。したがって、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて作製する繊維強化複合材料は、これらの揮発性成分に起因する強度の低下が生じ難い。
ビスマレイミド樹脂を含む本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化体は、ガラス転移温度が高い。そのため、ビスマレイミド樹脂を含む本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて作製される繊維強化複合材料は、耐熱性が高い。
ベンゾオキサジン化合物を構成する各種モノマーの構造式の一例である。
以下、本発明の熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物を用いて構成される本発明のプリプレグ、及び該プリプレグを用いて製造される本発明の繊維強化複合材料について説明する。
(1)熱硬化性樹脂組成物
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、以下の成分[A]及び成分[B]
成分[A]:ベンゾオキサジン化合物、
成分[B]:レゾール/ノボラック共重合フェノール、
を含有することを特徴とする。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、以下の成分[C]及び成分[D]
成分[C]:ビスマレイミド樹脂、
成分[D]:アミン末端基を有する液状ブタジエンニトリルゴム、
を含有することも好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、成分[A]及び成分[B]を所定の割合で含有している。成分[A]と成分[B]との割合は、質量比で3:7~8:2であることが好ましい。該下限値は、3.5:6.5であることが好ましく、4:6であることがより好ましい。該上限値は7.5:2.5であることが好ましく、7:3であることがより好ましい。上記割合で混合することにより、ホットメルト法による強化繊維基材への含浸性及び取扱性が高く維持される。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、窒素雰囲気下における残炭率(850℃)が50質量%以上であり、52質量%以上であることが好ましく、54質量%以上であることがより好ましい。残炭率の上限値は、65質量%以下であり、63質量%以下であることが好ましく、61質量%以下であることが特に好ましい。残炭率が50質量%未満である場合、この熱硬化性樹脂組成物が含浸されて成るプリプレグを用いて作製される繊維強化複合材料は、炭化を伴う高温に晒された際に層間剥離を生じ易くなる。また、炭化を伴う高温に晒された際に繊維強化複合材料の構造を維持できなくなり易い。残炭率が65質量%を超える場合、ホットメルト法による強化繊維基材内への含浸性及び取扱性が低くなる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、80℃における粘度が1~1,000Pa・sであることが好ましく、10~800Pa・sであることがより好ましい。粘度が高すぎる場合、ホットメルト法によってプリプレグを作製することが困難となる場合がある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、JIS K 7071によって測定される揮発性成分の含有量が5質量%以下であり、0.01~4.5質量%であることが好ましく、0.1~4質量%であることがより好ましい。5質量%を超える場合、揮発性成分に起因するボイドの形成を抑制することが困難となる。
(1-1) 成分[A]:ベンゾオキサジン化合物
本発明の熱硬化性樹脂組成物に配合されるベンゾオキサジン化合物としては、従来公知のベンゾオキサジン化合物を用いることができる。ベンゾオキサジン化合物は、加熱によりオキサジン環が開環してフェノール性水酸基及び3級アミンを生じる化合物であり、該加熱によって開環重合による硬化反応が進行する。ベンゾオキサジン化合物の硬化反応は、縮合反応ではなく開環重合であるため、硬化反応時に水やアンモニア等の揮発性成分が生じ難い。そのため、得られる繊維強化複合材料にボイドが形成され難い。
樹脂組成物に配合されるベンゾオキサジン化合物は、従来公知のベンゾオキサジン化合物を1種又は2種以上を用いた混合物である。その中でも、分子内に芳香族環を有するベンゾオキサジン化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の式(1)で表されるモノマー、該モノマーが数分子重合したオリゴマー、これらモノマーとは異なる構造を有するベンゾオキサジン環を有する化合物とこれらモノマーの少なくとも1種との反応物が好ましく挙げられる。
Figure 0006998651000001
式(1)中、R1は、炭素数1~12の鎖状アルキル基、炭素数3~8の環状アルキル基、フェニル基、又は炭素数1~12の鎖状アルキル基若しくはハロゲンで置換されたフェニル基を示す。また、式(1)中の芳香環の酸素原子が結合している炭素原子のオルト位とパラ位の少なくとも一方の炭素原子には水素原子が結合している。
このようなベンゾオキサジン化合物としては、例えば、図1に示される各種モノマー(a)~(k)、該モノマーが数分子重合したオリゴマー、これらモノマーとは異なる構造を有するベンゾオキサジン環を有する化合物とこれらモノマーの少なくとも1種との反応物が好ましく挙げられる。
その中でも、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールE型、ジアミノジフェニルメタン型のベンゾオキサジン化合物を用いることがより好ましい。
また、以下の式(2)で表される、フェノールとアニリンとホルムアルデヒドから合成される単官能の液状ベンゾオキサジン化合物を粘度調整用として用いることができる。
Figure 0006998651000002
ベンゾオキサジン化合物は、ベンゾオキサジン環が開環重合することにより、フェノール樹脂と同様の骨格をつくるために、難燃性に優れ、高い残炭率を有する。また、その緻密な構造から、低吸水率や、高弾性率といった優れた機械特性が得られる。
成分[A]の全ベンゾオキサジン化合物に対して、ビスフェノールF型ベンゾオキサジンを50質量%以上含有していることが好ましく、70~100質量%含有していることがより好ましい。
成分[A]に使用されるベンゾオキサジン化合物は単独であっても良いし、2種以上を併用しても良い。ビスフェノールA型ベンゾオキサジン、ビスフェノールF型ベンゾオキサジンン、又は単官能ベンゾオキサジンを1種又は2種以上併用しても良い。
上述のベンゾオキサジン化合物が配合されると、室温(25℃)の状態で液状であるために、プリプレグを作製した際に、適度なタック性・ドレープ性を付与することができ、テープラップ方式、角度巻き方式、チョッププレス方式、ハンドレイアップ方式等の工程取扱性が優れる。また、硬化後のベンゾオキサジンが高架橋密度となり、複合材料の物性が優れる。
また、ベンゾオキサジン化合物としては、例えば、予め予備反応させたBステージのベンゾオキサジン化合物を用いることもできる。
本発明においては、後述のレゾール/ノボラック共重合フェノールと、ベンゾオキサジン化合物と、を併用することにより、強化繊維基材内への熱硬化性樹脂組成物の含浸性を高めると共に得られるプリプレグの取扱性を向上させることができる。
ベンゾオキサジン化合物の50℃における粘度は、10,000Pa・s以下であり、1,000Pa・s以下であることが好ましい。10,000Pa・sを超える場合、ホットメルト法によってプリプレグを作製することが困難となる。
本発明に用いるベンゾオキサジン化合物は、窒素雰囲気下における残炭率(850℃)が39~49質量%であり、40~48質量%であることが好ましく、42~46質量%であることがより好ましい。残炭率が39質量%未満である場合、熱硬化性樹脂組成物全体における残炭率が低くなり、得られる繊維強化複合材料が高温に晒された際に層間剥離を生じ易くなる。また、炭化を伴う高温に晒された際に繊維強化複合材料の構造を維持できなくなり易い。残炭率が49質量%を超える場合、ホットメルト法によって熱硬化性樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸することが困難となる。
(1-2) 成分[B]:レゾール/ノボラック共重合フェノール
本発明の熱硬化性樹脂組成物に配合されるレゾール/ノボラック共重合フェノールは、下記式(3)で表されるノボラック型及び下記式(4)で表されるレゾール型の共重合体である。このレゾール/ノボラック共重合フェノールは、予備硬化状態であるため、縮合反応による揮発性成分の発生がほとんどない。
Figure 0006998651000003
Figure 0006998651000004
このようなレゾール/ノボラック共重合フェノールは、市販品を用いることができる。市販品としては、ベルパール(S890)(エア・ウォーター社製)等が例示される。
本発明に用いるレゾール/ノボラック共重合フェノールは、窒素雰囲気下における残炭率(850℃)が60~70質量%であり、61~69質量%であることが好ましく、63~67質量%であることがより好ましい。残炭率が60質量%未満である場合、熱硬化性樹脂組成物全体における残炭率が低くなり、得られる繊維強化複合材料が高温に晒された際に層間剥離を生じ易くなる。また、炭化を伴う高温に晒された際に繊維強化複合材料の構造を維持できなくなり易い。残炭率が70質量%を超える場合、前述のベンゾオキサジン化合物と混合しても、ホットメルト法によって熱硬化性樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸することが困難となる。
このレゾール/ノボラック共重合フェノールは、常温(25℃)で固体であり、前述のベンゾオキサジン化合物にその一部又は全部を溶解して用いることが好ましい。
このレゾール/ノボラック共重合フェノールは、重量平均分子量が5,000~100,000であることが好ましく、10,000~80,000であることがより好ましい。5,000未満である場合、硬化時に揮発性成分を生じ易い。100,000を超える場合、熱硬化性樹脂組成物の強化繊維基材内に対する含浸性が低下する。
本発明に用いるレゾール/ノボラック共重合フェノールは、微粒子状であることが好ましく、その平均粒子径は、5~100μmであることが好ましく。10~80μmであることがより好ましい。なお、平均粒子径は、レーザー回折・散乱式の粒度分析計を用いて測定される50%粒子径(D50)の値をいう。
(1-3) 成分[C]:ビスマレイミド化合物
本発明の熱硬化性樹脂組成物に配合されるビスマレイミド化合物(以下、BMIともいう)としては、従来公知のビスマレイミド化合物を用いることができる。例えば、下記式(5)で表されるビスマレイミド化合物が挙げられる。
Figure 0006998651000005
式(5)中、R~Rは、それぞれ独立に、-H、-CH、-C、-C、-F、-Cl、-Br及び-Iからなる群から選ばれる基を表す。Xは任意の芳香環構造を含む置換基又は脂肪族構造の置換基である。
Xが芳香環構造を含む置換基である場合(芳香族ビスマレイミド化合物)、具体的な化合物としては、N,N’-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-p-フェニレンビスマレイミド、N,N’-m-トルイレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ビフェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-(3,3’-ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ベンゾフェノンビスマレイミド等を挙げることができる。
Xが脂肪族構造の置換基である場合(脂肪族ビスマレイミド化合物)、具体的な化合物としては、1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、ヘキサメチレンジアミンビスマレイミド、N,N’-1,2-エチレンビスマレイミド、N,N’-1,3-プロピレンビスマレイミド、N,N’-1,4-テトラメチレンビスマレイミドを挙げることができる。
これらの芳香族ビスマレイミド化合物及び脂肪族ビスマレイミド化合物は、単独で使用しても良く、2種類以上を併用してもよい。
本熱硬化性樹脂組成物におけるビスマレイミド化合物の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全質量に対して1~30質量%であることが好ましく、3~20質量%であることが好ましく、5~15質量%であることが特に好ましい。ビスマレイミド化合物の配合量が1~30質量%で配合することにより、硬化体のガラス転移温度(Tg)を向上させることができ、耐熱性をより向上させることができる。1質量%未満である場合、ガラス転移温度を向上させる効果が小さい。30質量%を超える場合、ホットメルト法によってプリプレグを作製することが困難となる。また、熱硬化性樹脂組成物全体における残炭率が低くなり、得られる繊維強化複合材料が高温に晒された際に層間剥離を生じ易くなる。
(1-4)成分[D]:ブタジエンニトリルゴム
本熱硬化性樹脂組成物は、ブタジエンニトリルゴムを含有してもよい。ブタジエンニトリルゴムは、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性を向上させる。ブタジエンニトリルゴムとしては、例えばアミン末端基を有するアクリロニトリル-ブタジエンコポリマー(ATBN)を用いることができる。特に、ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)の分子の両末端にアミノ基が導入されたATBNが好ましい。下記式(6)で表されるATBNは特に好ましい。
Figure 0006998651000006
式(6)中、mは70~95、nは5~30である。
このようなATBNとしては、「HYPRO ATBN 1300X16(登録商標)」、「HYPRO ATBN 1300X45(登録商標)」(いずれもEmerald Performance Materials社製)のような市販品を好ましく用いることができる。
ブタジエンニトリルゴムの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全質量に対して0.1~15質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましい。ブタジエンニトリルゴムの含有量が15質量%を超える場合、熱硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり取扱性が著しく悪化する場合がある。また、熱硬化性樹脂組成物の残炭率が低下しすぎて、得られる繊維強化複合材料が層間剥離を生じ易くなる。
(1-5)その他の成分
本熱硬化性樹脂組成物には、耐熱性、成形加工性及び靱性を損なわない限り、他の成分を含有させることができる。他の成分として、重合防止剤、導電性粒子、導電性フィラー、無機フィラー、ゴム状成分、靭性付与剤、安定剤や離型剤、着色剤等が例示される。
(2)熱硬化性樹脂組成物の製造方法
本発明の熱硬化性樹脂組成物を製造するには、必須成分として成分[A]及び成分[B]、任意成分として成分[C]、成分[D]及びその他の成分を混合して均一に溶解及び/又は分散した組成物とすればよく、その方法に特に制限はない。これらの成分は加熱して混合するが、加熱温度は通常60~160℃であり、70~150℃が好ましく、80~140℃がより好ましい。160℃を超える温度では重合反応が速くなり、本発明の熱硬化性樹脂組成物が混合中に硬化する可能性がある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を製造する場合、成分[B]の一部又は全部を成分[A]に溶解して配合することが好ましい。
混合は、一段で行ってもよいし、多段で行ってもよい。また、熱硬化性樹脂組成物の各成分の混合順序は限定されないが、固相成分として配合する成分は、熱硬化性樹脂組成物中の他の成分が溶解した後に添加することが好ましい。これにより、固相成分を熱硬化性樹脂組成物中に均一に分散させやすくなる。混合時間は温度により相違するが、10~180分間が好ましい。
混練機械装置としては、ロールミル、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、バンバリーミキサー等、従来公知の装置を用いることができる。
(3)プリプレグ
本発明のプリプレグ(以下、「本プリプレグ」ともいう)は、前述の熱硬化性樹脂組成物が強化繊維基材に含浸しているプリプレグである。
本プリプレグの製造において、強化繊維基材を構成する強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維などを挙げることができる。これらの強化繊維の中でも、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましく、比強度、比弾性率が良好で軽量かつ高強度の繊維強化複合材料が得られる炭素繊維がより好ましく、炭素繊維の中でも、引張強度に優れるポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が特に好ましい。
強化繊維にPAN系炭素繊維を用いる場合、引張弾性率は、170~600GPaであることが好ましく、220~450GPaであることが特に好ましい。また、引張強度は3,920MPa(400kgf/mm)以上であることが好ましい。このような炭素繊維を用いることにより、繊維強化複合材料の機械的性質を向上できる。
強化繊維基材の形状は限定されないが、シート状物であることが加工性の点から好ましい。強化繊維シートとしては、例えば、多数本の強化繊維を一方向に引き揃えたシート状物や、平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙などを挙げることができる。強化繊維シートの厚さは、0.01~3mmが好ましく、0.1~1.5mmがより好ましい。また、強化繊維シートの目付は、70~400g/mが好ましく、100~300g/mがより好ましい。
本プリプレグ中における本発明の熱硬化性樹脂組成物の含有量は、強化繊維基材と熱硬化性樹脂組成物との合計質量に対して15~60質量%が好ましく、30~50質量%がより好ましい。熱硬化性樹脂組成物の含有量が20質量%未満である場合、このプリプレグを用いて作製される繊維強化複合材料の内部にボイド等が発生する場合がある。熱硬化性樹脂組成物の含有量が60質量%を超える場合、強化繊維の含有量が不足し、得られる繊維強化複合材料の強度が低下し易い。
アブレーション冷却を目的とする場合、熱硬化性樹脂組成物の含有量は15~45質量%であることが好ましく、25~35質量%であることがより好ましい。プリプレグの樹脂含有率が多過ぎる場合、相対的に炭素繊維の含有割合が少なくなることにより、炭素繊維による補強効果を十分に得ることができない。プリプレグの樹脂含有率が少な過ぎる場合、高温時に消失するマトリックスが少なくなることにより、得られる繊維強化複合材料が脆くなる場合がある。
(4)プリプレグの製造方法
本プリプレグは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸させることにより製造することができる。熱硬化性樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸させる方法としては、湿式法や乾式法を挙げることができる。湿式法は有機溶媒を用いるため、樹脂組成物を含浸した後、有機溶媒を除去する必要がある。プリプレグに残存する有機溶媒に起因するボイド形成を抑制するために、高温・高圧の特殊なオートクレーブを用いて成形を行う必要があり、汎用性が低下する。したがって、本発明においては、有機溶媒が残存する虞がない乾式法が用いられる。乾式法としては、主としてホットメルト法が用いられる。
ホットメルト法は、本発明の熱硬化性樹脂組成物と強化繊維基材とを加圧下で加熱することにより、本発明の熱硬化性樹脂組成物の粘度を低下させ、強化繊維基材内に含浸させる。強化繊維基材がシート状物の場合、フィルム状に成形した本発明の熱硬化性樹脂組成物を強化繊維基材に積重することが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、公知の方法でフィルム状に成形できる。例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物をダイコーター、アプリケーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ナイフコーターなどを用いて、離型紙、離型フィルムなどの支持体上に流延させることによりフィルム状に成形することができる。フィルムを製造する温度は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の粘度に応じて適宜設定される。通常、温度は70~160℃が好ましく、80~150℃がより好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物のフィルムの厚さは、概ね8~350μmとすることが好ましく、10~200μmとすることがより好ましい。
強化繊維基材に本発明の熱硬化性樹脂組成物を含浸させる際の加圧条件は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の組成や粘度に応じて適宜調整される。通常、線圧0.98~245N/cmであり、より好ましくは19.6~147N/cmである。線圧が0.98N/cm未満である場合、本発明の熱硬化性樹脂組成物を強化繊維シート内に十分に含浸させるのが困難である。加圧は、1回で行ってもよく、複数回に分けて行ってもよい。
強化繊維基材に本発明の熱硬化性樹脂組成物を含浸させる際の加熱温度は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の粘度に応じて適宜調整される。通常、70~160℃であり、80~120℃が好ましい。加熱温度が70℃未満である場合、本発明の熱硬化性樹脂組成物の粘度が低くならず、本発明の熱硬化性樹脂組成物を強化繊維基材内に十分に含浸させることができない。加熱温度が160℃を超える場合、本発明の熱硬化性樹脂組成物中の成分[A]と成分[B]との共反応による硬化反応が進行し、プリプレグが硬化を始める。そのため、タック性やドレープ性が悪化し易い。
プリプレグの工業的生産速度は特に限定されないが、生産性や経済性などを考慮すると、連続生産の場合、0.1m/min以上であることが好ましく、1~50m/minであることがより好ましく、5~20m/minであることが特に好ましい。
(5)本プリプレグの使用方法
本プリプレグは公知の手法により硬化させることにより繊維強化複合材料を作製することができる。本プリプレグを用いて繊維強化複合材料を作製する方法としては、従来公知の方法、例えば、マニュアルレイアップ、自動テープレイアップ(ATL)、自動繊維配置、真空バギング、オートクレーブ硬化、オートクレーブ以外の硬化、流体援用加工、圧力支援プロセス、マッチモールドプロセス、単純プレス硬化、プレスクレーブ硬化、又は連続バンドプレスを使用する方法が挙げられる。
例えば、本プリプレグを積層して、オートクレーブ中で0.1~2MPaに加圧し、150~210℃で1~8時間加熱することによって、成形された繊維強化複合材料を作製することができる。ポストキュアとして180~350℃の温度範囲で、好ましくは温度を段階的に上昇させながら2~20時間処理することにより、耐熱性をさらに向上させることができる。
また、本プリプレグは加圧成形後に不活性雰囲気において500~2,000℃で炭素化処理した後、2,000~3,000℃で黒鉛化処理することにより、炭素繊維強化炭素材料を製造することもできる。本発明において用いている熱硬化性樹脂組成物は残炭率が高いため、得られる炭素繊維強化炭素材料は層間剥離が生じ難い。
本プリプレグは保存安定性に優れ、本プリプレグの製造後、少なくとも10日間を経過しても、製造直後の成形加工性を維持する。したがって、所定の時間が経過した後も、耐熱性及び耐衝撃性が高い繊維強化複合材料を作製することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は以下に記載する実施例に限定されるものではない。
成分[A]乃至[D]等としては、以下のものを用いた。
成分[A]
・Araldite MT35710(商品名)(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)(50℃における粘度 100 Poise)
・F-a型(ビスフェノールF-アニリン型):四国化成(株)製、(50℃における粘度 500 Poise)
・P-a型(フェノール-アニリン型):四国化成(株)製、(50℃における粘度 5 Poise)
・P-d型(ジアミノジフェニルメタン-フェノール型):四国化成(株)製、50℃で固体。
成分[B]
・ベルパールS890(商品名)(エア・ウォーター社製)
成分[C]
・BMI-1000(商品名)(4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、 大和化成工業(株)社製)
成分[D]
・ATBN:「HYPRO ATBN X16(登録商標)」、(アミノ基を有するブタジエン-アクリロニトリルオリゴマー)
[フェノール樹脂]
・IF-3300(商品名)(DIC社製)、フェノール樹脂(レゾールタイプ)、(メタノール溶解品)
[強化繊維基材]
・炭素繊維織物:「テナックス」(登録商標) W-3161(東邦テナックス株式会社製、綾織基材)、(炭素繊維目付:196g/m
・炭素繊維:「テナックス」(登録商標) HTS40 E 23 3K 200tex (東邦テナックス製、ストランド引張強度:3,920MPa、引張弾性率:240GPa)
熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び繊維強化複合材料の物性を以下の方法により測定した。
[平均粒子径]
平均粒子径は、日機装(株)製のレーザー回折・散乱式の粒度分析計(マイクロトラック法)MT3300を用いて、粒度分布の測定を実施し、その50%粒子径(D50)を平均粒子径とした。なお、特に記載する場合を除き、本発明における平均粒子径は、この方法により測定される値をいう。
[揮発分]
10cm×10cmに切り出したプリプレグの硬化前後の質量変化から揮発分を算出した。その際に使用する揮発分測定温度は、硬化温度とした。
[残炭率]
熱天秤(ブルカー エー・エックス・エス社製 TG-DTA2000S)を用いて、窒素流量100ml/min.、昇温速度20℃/min.、室温から900℃まで昇温し、850℃の質量変化から以下の式により残炭率(質量%)を算出した。
残炭率(%)=(焼成後質量B/焼成前質量A)×100
なお、特に記載する場合を除き、本発明における残炭率は、この方法により測定される値をいう。
[タック性]
プリプレグのタック性は、タッキング試験装置 TAC-II(RHESCA CO., LTD.)を用いて以下の方法により測定した。試験方法として、27℃に保持された試験ステージにプリプレグをセットし、27℃に保持されたφ5のタックプローブで初期荷重100gfの荷重をかけて、10mm/secの試験速度で引き抜いた際の最大の荷重を求めた。
製造直後のプリプレグに、それぞれタックプローブ試験を実施した。評価結果は以下の基準(○~×)で表した。
○:引抜荷重が200gf以上
△:引抜荷重が100gf以上200gf未満
×:引抜荷重が100gf未満
[ボイド]
得られたプリプレグを一辺が100mmの正方形にカットした後、10層積層した積層体を作製した。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物(複合材料)の断面を顕微鏡にて観察し、ボイドの有無を確認した。
○: ボイド 無
△: 断面の一部にボイド 有
×: 断面の全体にボイド 有
[層間剥離]
炭素繊維強化複合材料を用いて、それを炭化、焼成することにより、炭素繊維強化炭素材料を作製した。作製方法は、炭素繊維強化複合材料からなる板材を用い、それを切断して、10mm×100mmの大きさの試験片を得た。次いで、かかる試験片を焼成炉内に投入する一方、炉内に窒素ガスを充満させ、不活性雰囲気とした後、毎分1℃の昇温速度にて900℃まで加熱し、そのまま1時間保持した後、毎分10℃の冷却速度にて40℃まで冷却することにより、炭素繊維強化炭素材料となった試験片を得た。それを、断面観察をすることで、成形時の層間剥離状態を顕微鏡にて観察し、層間剥離の有無を確認した。
○: 層間剥離 無
△: 層間の一部に層間剥離 有
×: 層間の全体に層間剥離 有
[実施例1]
60質量部のMT35710に20質量部のS890を120℃で30分間攪拌機を用いて撹拌し、溶解させた。その後、100℃まで冷却し、20質量部のS890(平均粒子径20μm)を投入し、100℃で30分間撹拌して分散させ、熱硬化性樹脂組成物を調製した。
この熱硬化性樹脂組成物を、フィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、樹脂シートを得た。樹脂シート2枚の間に、PAN系炭素繊維織布(繊維径:7μm、引張弾性率:240GPa、製品名:東邦テナックス(株)製「テナックス織物(クロス)W-3161、綾織り、FAW196g/m)をローラーを用いて110℃で加圧及び加熱して、プリプレグを得た。
プリプレグ全体に対する樹脂の含有率は43質量%であった。得られた樹脂組成物、プリプレグ及びこのプリプレグを用いて作製した炭素繊維強化複合材料(CFRP)の各種性能を表1に示した。
実施例1で得られた樹脂組成物の残炭率は55%と比較的高かった。炭素繊維織布プリプレグは、タック性が優れ、金型への炭素繊維織布プリプレグの位置が安定し、積層による繊維織布のしわを抑えることができる。積層し硬化させて作製される複合材料はボイドが無く、良好な成形物であった。
得られたプリプレグの各種性能と、このプリプレグを用いて作製した炭素繊維強化複合材料の各種性能を表1に示した。
〔比較例1〕
レゾール型フェノール樹脂(DIC株式会社製、IF-3300)を質量濃度40%に調製した樹脂ワニスを炭素繊維織物(東邦テナックス(株)製:W-3161)に含浸し、オーブンにて溶媒を除いた後、予備硬化し、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂の含有率は43質量%であった。得られたプリプレグ及びこのプリプレグを用いて作製した炭素繊維強化複合材料(CFRP)の各種性能を表1に示した。
炭素繊維織布プリプレグは、タック性は優れたが、積層し硬化させて作製される複合材料にはボイドが多数散見された。
[実施例2~5、比較例2~5]
成分[A]乃至[D]を表1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で熱硬化性樹脂組成物及びプリプレグを得た。得られたプリプレグの各種性能と、このプリプレグを用いて作製した炭素繊維強化複合材料の各種性能を表1に示した。
Figure 0006998651000007


Claims (10)

  1. 以下の成分[A]及び成分[B]
    成分[A]:50℃における粘度が1000Pa・s以下であるベンゾオキサジン化合物、
    成分[B]:重量平均分子量が5,000~100,000である、レゾール型及びノボラック型の共重合体であるフェノール樹脂、
    を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、
    成分[A]と成分[B]との質量比が3:7~7.5:2.5であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 成分[A]に成分[B]の一部又は全部が溶解して成る請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 成分[B]のレゾール型及びノボラック型の共重合体であるフェノール樹脂のレーザー回折法による平均粒子径が、5~100μmである、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 以下の成分[C]
    成分[C]:ビスマレイミド樹脂、
    をさらに含有する請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 以下の成分[D]
    成分[D]:ブタジエンニトリルゴム、
    をさらに含有する請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 以下の[A]乃至[B]成分
    成分[A]:ベンゾオキサジン化合物、
    成分[B]:レゾール型及びノボラック型の共重合体であるフェノール樹脂、
    を、温度60~160℃で混合することを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
  7. 強化繊維基材と、
    前記強化繊維基材内に含浸した請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物と、
    から成ることを特徴とするプリプレグ。
  8. 前記強化繊維基材が炭素繊維である請求項7に記載のプリプレグ。
  9. 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物を温度70~160℃で強化繊維基材内に含浸させることを特徴とする請求項7に記載のプリプレグの製造方法。
  10. 請求項7に記載のプリプレグを積層して、圧力0.1~2MPa、温度150~210℃で1~8時間加熱することを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
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