JP6998229B2 - 液体吐出装置 - Google Patents
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さらに、超音波ビームがインクの液面に適切に集束するように音圧を制御することが難しく、インク滴を安定に吐出することが難しい場合があった。特に、インク槽自体が大きく、インク槽内に多量のインクが溜められているので、集束した超音波ビームのエネルギーがインク内に分散し易い。この点においてもインク滴を安定に吐出し難かった。
特に、音波発生素子を吐出体の第2面側に配置して吐出体とは別体にしているので、例えば従来のように液体吐出路内に音波発生素子を配置する必要がない。そのため、音波発生素子を考慮することなく、液体吐出路を設計できるので、液体吐出路を例えばマイクロ流路等の微小流路とすることが可能である。これにより、吐出体を小型化することができると共に、装置全体の小型化を図ることができる。また、液体吐出路を微小流路にできるので、多量の液体を溜めておく必要がない。そのため、高いエネルギーを効率良く発生させ易く、液滴を安定且つ効率良く吐出させることできる。従って、エネルギー効率の高い液体吐出装置とすることができると共に、駆動電圧を小さくすることができるので低消費電力化を図ることができる。
さらに、液体導入路を通じて外部から液体吐出路内に液体を適宜導入することができるので、液体を途切れさせることなく、連続的に液滴を吐出させることができる。また、液体吐出路内に収容されている液体の量を一定に維持することができるので、例えば液面付近に音波のエネルギーを集中させ易く、液滴を効率良く吐出させ易い。さらに、液体の種類等を適宜変更することも可能であるので、多種多様な液滴を吐出することができ、使い易く利便性に優れている。
さらに、液体排出路を通じて液体吐出路内の液体を排出することができるので、例えば必要に応じて、液体導入路、液体吐出路及び液体排出路を通じて液体を循環させることが可能となり、新しい液体から液滴を吐出することができる。さらに、別の種類の液体への入れ替え等をスムーズに行うことも可能である。
以下、本発明に係る液体吐出装置の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の液体吐出装置1は、厚さ方向に互いに対向し合う第1面2a及び第2面2bを有する吐出体2と、吐出体2に形成され、内部に液体Wが収容されると共に収容された液体Wを吐出する吐出口4が第1面2aに開口した液体吐出路3と、第2面2b側に配設され、駆動電圧の印加によって液体吐出路3に向けて超音波(音波)を放射する音波発生素子5と、音波発生素子5から放射された音波を液体吐出路3内に集束する音響レンズ6と、を備えている。
なお、液体Wとしては例えば水、薬液、洗浄液、溶液、インク液等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
本実施形態では、吐出体2の厚さ方向に沿った第1面2a側を上方といい、その反対の第2面2b側を下方という。従って、吐出体2は、音波発生素子5の上方に配置された状態で音波発生素子5に対して組み合わされている。
ただし、液体吐出路3は、少なくとも第1面2a側に開口していれば良く、収容凹部10内に連通していなくても構わない。
本実施形態の液体吐出路3及び液体導入路11は、例えばその内径が数十μmとされた微小流路、すなわちマイクロ流路とされている。このようなマイクロ流路として液体吐出路3及び液体導入路11を形成する場合には、例えばパルス幅をフェムト秒レベル(1/10-15秒)まで極短パルス化したレーザを利用したフェムト秒レーザ加工を行うことで形成することが可能である。フェムト秒レーザ加工によれば、任意の3次元加工が可能であるので、ブロック状に吐出体2を形成した後、液体吐出路3及び液体導入路11をマイクロ流路として容易且つ確実に形成することができる。
振動部21は、支持基板20に形成された第1電極層(第1電極)22と、第1電極層22に対して所定の隙間をあけて配置されると共に、第1電極層22との間に印加された駆動電圧に応じて、静電気力(クーロン力)によって第1電極層22側に変位する第2電極層(第2電極)23と、支持基板20に変位可能に支持されると共に、第2電極層23に一体に形成され、第2電極層23に伴って変位する振動片24と、を備えている。
音波発生素子5は、シリコン基板等の半導体基板とされたベース基板30と、ベース基板30の上面に第1電極層22を介して重なった絶縁性基板31と、絶縁性基板31の上面に形成された絶縁膜32と、を備えた、いわゆる半導体デバイスとされている。
絶縁性基板31は、例えばベース基板30と同等の厚みとされていると共に、その外形サイズもベース基板30と同等とされている。絶縁性基板31の内部には、例えばその内側が真空状態に維持された空隙室33が形成されている。空隙室33は、例えば平面視円形状に形成され、吐出体2の下方に位置するように形成されている。図示の例では、空隙室33は、その直径が音響レンズ6よりも大きく、且つ吐出体2よりも小さくなるように形成されている。
ただし、空隙室33の形状は、平面視円形状に限定されるものではなく、例えば平面視矩形状或いは多角形状であっても構わない。
振動片24は、その外周縁部24aが全周に亘って枠部31aに一体に接続されることで、上下方向に変位可能に支持されている。従って振動片24は、その中央部分24bが上下方向に大きく変位することが可能とされている。
なお、絶縁性基板31における枠部31a及びベース基板30は、振動片24を変位可能に支持する上記支持基板20として機能する。
絶縁膜32のうち環状凹部35よりも外側に位置する部分は、絶縁性基板31における枠部31aの上方に位置し、且つ枠部31aに一体に形成された外膜部32aとして機能する。これに対して絶縁膜32のうち環状凹部35よりも内側に位置する部分は、振動片24の上方に位置して第2電極層23を覆うと共に、振動片24に一体に形成された内膜部32bとして機能する。従って、内膜部32bは、振動片24と共に上下方向に変位可能とされている。
音波発生素子5は、第1電極層22と第2電極層23との間に駆動電圧を印加すると共に、駆動電圧を時間的に変動させる電圧印加部36をさらに備えている。
さらに、上記引力は駆動電圧に応じて変化する。従って、電圧印加部36によって駆動電圧を時間的に変動させることで、第2電極層23に伴って変位する振動片24の変位を時間的に変動させることが可能とされている。これにより、振動片24を上下方向に振動させて、超音波を発生させることが可能とされている。
上述のように構成された液体吐出装置1によって、液体吐出路3内に収容されている液体Wから、液滴を吐出する場合について説明する。
さらに、音響レンズ6を具備しているので、減衰を抑制しながら超音波を集束することができ、焦点領域Pに高いエネルギーを安定に発生させ易い。従って、この点においても液滴を安定に吐出させることができるうえ、音波制御を行い易い。しかも、減衰を抑制しながら超音波を集束させて焦点領域Pに高いエネルギーを効率良く発生させることができるので、駆動電圧を小さくすることができる。そのため、低消費電力化を図ることができる。
さらに、音波発生素子5は、シリコン基板等の半導体基板とされたベース基板30と、ベース基板30の上面に第1電極層22を介して重なった絶縁性基板31と、絶縁性基板31の上面に形成された絶縁膜32と、を備えた、いわゆる半導体デバイスとされているので、小型化及び薄型化し易い。従って、液体吐出装置1全体のさらなる小型化、薄型化に貢献することができる。
さらに、例えば液体Wの種類等を適宜変更することも可能であるので、多種多様な液滴を吐出することができ、使い易く利便性に優れている。
次に、本発明に係る液体吐出装置の第2実施形態について図面を参照して説明する。
なお、第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
さらに、本実施形態の導入部13は、液体導入路11を通じて各吐出体2の液体吐出路3内に液体Wとして、インク液を導入する。
従って、超音波インクヘッドとして好適に利用することができる。特に、インク滴を安定且つ効率良く吐出することができると共に、小型化及び低消費電力化を図りやすい超音波インクヘッドとすることができる。
特に、液体吐出路3内に少量の液体Wを収容する場合には、音響レンズ6を利用して超音波を集束させなくても、液滴の吐出を好適に行うことが可能である。
さらには、音響レンズ6を吐出体2と別体に構成するのではなく、例えば図12に示すように、吐出体2の第2面2b側に音響レンズ6を一体に形成しても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏功することができる。
さらに、音波の一例として超音波を例に挙げて説明したが、例えば可聴周波の音波を発生させることで、液滴を吐出させても構わない。
1、40…液体吐出装置
2…吐出体
2a…第1面
2b…第2面
3…液体吐出路
4…吐出口
5…音波発生素子
6…音響レンズ
11…液体導入路
20…支持基板
21…振動部
22…第1電極層(第1電極)
23…第2電極層(第2電極)
24…振動片
36…電圧印加部
41…液体排出路
Claims (6)
- 互いに対向し合う第1面及び第2面を有する吐出体と、
前記吐出体に形成され、内部に液体が収容されると共に収容された液体を吐出する吐出口が前記第1面に開口した液体吐出路と、
前記第2面側に配設され、駆動電圧の印加によって前記液体吐出路に向けて音波を放射する音波発生素子と、を備え、
前記吐出体には、前記液体吐出路内と前記吐出体の外部とを連通すると共に、外部から前記液体吐出路内に液体を導入する液体導入路が形成され、
さらに前記吐出体には、前記液体吐出路内と前記吐出体の外部とを連通すると共に、前記液体吐出路内から外部に液体を排出する液体排出路が形成されている、液体吐出装置。 - 請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記音波発生素子から放射された音波を前記液体吐出路内に集束させる音響レンズを備える、液体吐出装置。 - 請求項2に記載の液体吐出装置において、
前記液体吐出路は、前記吐出口から前記音響レンズに向かうにしたがって、該液体吐出路の内径が漸次拡径するように形成されている、液体吐出装置。 - 互いに対向し合う第1面及び第2面を有する吐出体と、
前記吐出体に形成され、内部に液体が収容されると共に収容された液体を吐出する吐出口が前記第1面に開口した液体吐出路と、
前記第2面側に配設され、駆動電圧の印加によって前記液体吐出路に向けて音波を放射する音波発生素子と、を備え、
前記音波発生素子は、
支持基板と、
前記支持基板に組み合わされると共に、駆動電圧の印加によって振動することで音波を発生させて、前記液体吐出路に向けて音波を放射する振動部と、を備えている、液体吐出装置。 - 請求項4に記載の液体吐出装置において、
前記振動部は、
前記支持基板に形成された第1電極と、
前記第1電極に対して所定の隙間をあけて配置されると共に、前記第1電極との間に印加された駆動電圧に応じて、静電気力によって前記第1電極側に変位する第2電極と、
前記支持基板に変位可能に支持されると共に、前記第2電極と一体に形成され、前記第2電極に伴って変位する振動片と、を備え、
前記音波発生素子は、前記第1電極と前記第2電極との間に駆動電圧を印加すると共に、該駆動電圧を時間的に変動させる電圧印加部を備えている、液体吐出装置。 - 請求項4又は5に記載の液体吐出装置において、
前記吐出体は、前記支持基板の平面視で、少なくとも一方向に一定のピッチで配列されるように複数設けられ、
前記振動部は、前記吐出体に対応して複数設けられると共に、音波を各別に発生させる、液体吐出装置。
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