JP2000015805A - 記録用ヘッド、インクジェットヘッド及びインクジェットプリンタ - Google Patents
記録用ヘッド、インクジェットヘッド及びインクジェットプリンタInfo
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- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
式の記録用ヘッドを提供する。 【解決手段】 インク供給室26から供給されたインク
を収容したインク室20と、このインク室20に隣接し
て配置された振動板30とを備え、この振動板30の変
形によりインク室20内のインクをノズル24から吐出
する記録用ヘッド12において、上記振動板30のイン
ク室20とは反対側の面にそれぞれ電極34を有する複
数の突起部32を設け、これら突起部32間に作用する
静電力により上記振動板30を変形させるようにした。
Description
板を駆動してインク滴を飛翔させ、このインク滴により
記録媒体上に画像を記録する記録用ヘッド、インクジェ
ットヘッド及びインクジェットプリンタに関する。
ジェットヘッドとして、図29に示すものが提案されて
いる。このインクジェットヘッド100は、カバープレ
ート112、チャンネルプレート114及び基板116
を一体接合して構成されている。
プレートからなり、異方性エッチングにより複数の溝部
が形成されている。これら溝部が上記カバープレート1
12によって覆われることによりそれぞれ、インクを収
容するインク室118、インク室118内のインクを液
滴として吐出するノズル120、インク室118に補給
されるインクを収容するインク供給室122、及びイン
ク室118とインク供給室122とを連通させるインレ
ット126になっている。
っており、この振動板128のインク室118とは反対
側の表面に共通電極130が形成されている。一方、基
板116のインク室118に対応する位置には凹部13
2が形成され、この凹部132の底面には駆動電極13
4が上記共通電極130に対向して形成されている。
は、共通電極130と駆動電極134とに異なる極性の
電圧をそれぞれ印加すると、静電吸引力により両電極1
30,134が引き合うために振動板128が駆動電極
134側に撓み変形する。この変形によってインク室1
18内の容積が増加し、それに伴ってインレット126
を介してインク供給室122からインク室118にイン
クが引き込まれる。そして、各電極130,134への
電圧印加が解除されると、振動板128はそれ自体の弾
性により元の状態に復帰する。このとき、インク室11
8内のインクが加圧され、ノズル120からインク滴1
36が吐出されるようになっている。
エータ方式のインクジェットヘッド100は、消費電力
が低く、構成も簡単であることから低価格で多ノズル化
が可能なヘッドとして期待されている。しかしながら、
上記インクジェットヘッド100では各電極130,1
34間のギャップが狭いほど低電圧駆動が可能であり、
汎用ICでの駆動を想定すると、実用的には0.05〜
0.2μm程度の微小ギャップにする必要がある。そし
て、そのギャップ精度は一般的に±0.005μm程度
の誤差範囲内で形成することが要求される。そのため、
微小ギャップを形成する共通電極130や駆動電極13
4の僅かな歪、あるいは組立時の僅かな会合誤差が必要
精度に大きく悪影響を及ぼしてしまうという問題があっ
た。
形成や組立を必要としない製造が容易な静電アクチュエ
ータ方式の記録用ヘッド、インクジェットヘッド、及び
インクジェットプリンタを提供することを目的とする。
め、本発明は、インク供給室から供給されたインクを収
容したインク室と、このインク室に隣接して配置された
振動板とを備え、この振動板の変形によりインク室内の
インクを加圧してノズルから吐出する記録用ヘッドにお
いて、上記振動板の表面にそれぞれ電極を有する複数の
突起部を設け、これら突起部間に作用する静電力により
上記振動板を変形させるようにしたものである(請求項
1)。
インク室とは反対側の面に上記突起部を設けるのが好ま
しい(請求項2)。
と第2の突起部とに分け、第1及び第2の突起部にそれ
ぞれ異なる極性の電圧を印加するようにしてもよいし
(請求項3)、上記各突起部に同極性の電圧をそれぞれ
印加するようにしてもよい(請求項4)。また、上記振
動板の変形量を規制する規制板を上記振動板に対向して
配置してもよい(請求項5)。
それぞれ電極を有する複数の突起部を設けてもよい(請
求項6)。この場合、上記振動板のインク室側の突起部
を防水部材で覆ってもよい(請求項7)。
し(請求項8)、針状であってもよい(請求項9)。こ
れらの場合、上記突起部について根元が他の部分より太
く形成されているのが好ましい(請求項10)。
記録用ヘッドを複数並べてマルチノズル化したインクジ
ェットヘッドを構成してもよい(請求項11)。この場
合、各インク室に対応する振動板の突起部形成部分を周
辺部材によりそれぞれシールドするのが好ましい(請求
項12)。また、請求項11又は12のインクジェット
ヘッドを含むインクジェットプリンタを構成してもよい
(請求項13)。
ば、振動板に設けた複数の突起部間における静電力によ
って振動板を変形させるようにしたため、従来の静電ア
クチュエータ式のインクジェットヘッドように平行に対
向する2つの電極間の微小ギャップを厳密に設定しなけ
ればならないということがなくなり、ヘッドの製造及び
組立が非常に容易になる。
のインク室とは反対側の面に突起部が設けてあるため、
電極を有する突起部がインクに直接接触することがな
く、導電性インクの使用も可能である。
隣接する第1及び第2の突起部にそれぞれ異なる極性の
電圧を印加することによって第1と第2の突起部間には
互いに引き合う方向の静電力が作用する。この静電力に
より各突起部が互いに接近するようとするのに伴って振
動板がインク室側に凸状に変形する。この変形によって
インク室内のインクを加圧され、ノズルからインク滴を
吐出することができる。以下、振動板のこのようなイン
ク吐出動作を「押し打ち」という。
の各突起部に同極性の電圧を印加することによって各突
起部間に互いに反発する方向の静電力が作用する。この
静電力により各突起部が互いに離れようとするのに伴っ
て振動板がインク室に対して凹状に変形する。これによ
り、インク室内の容積が増加し、インク供給室からイン
ク室にインクが引き込まれる。その後、各突起部への電
圧印加が解除されると振動板はそれ自体の弾性によって
復元し、このときインク室内のインクが加圧されてノズ
ルからインク滴を吐出することができる。以下、振動板
のこのようなインク吐出動作を「引き打ち」という。
の変形量を規制する規制板を振動板に対向して配置する
ことによって、引き打ちする際の振動板の変形量を常に
一定にすることができ、インク吐出量が安定する。
ちの際の振動板の変形時にインク室側の各突起部間に互
いに反発し合う方向の静電力を発生させることによっ
て、又は、引き打ちの際の振動板の変形時にインク室側
の各突起部間に互いに引き合う方向の静電力を発生させ
ることによって、振動板の変形量をさらに大きくするこ
とができ、インク吐出量を増加させることができる。ま
た、振動板が変形した後に復元するときにインク室側の
各突起部に電圧を印加することによって振動板を強制的
に復元させることができ、これにより応答周波数を上げ
られる。
室側の突起部を防水部材で覆うことで、インク室内にお
けるインクの流れが円滑になると共に、導電性インクの
使用が可能となる。
が平板状であるため製造が容易である。また、請求項9
の記録用ヘッドによれば、突起部が針状に形成されてい
るため振動板を略球面状に変形させることができる。
部について根元が他の部分より太く形成されているた
め、耐久性が向上する。
ば、記録用ヘッドの構造が簡単であるため、複数の記録
用ヘッドを並べてマルチノズル化したヘッドを製造する
のが容易になる。
ば、各インク室に対応する振動板の突起部形成部分を周
辺部材によりそれぞれシールドしてあるため、各インク
室間における電磁障害を防止できると共に、コントロー
ラや駆動回路等への電磁障害も防止できる。
れば、低電力駆動が可能となる。
添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の
形態であるインクジェットプリンタ1の主要部を示す斜
視図である。このインクジェットプリンタ1は、ベース
プレート2を備えている。ベースプレート2上には、支
持プレート3が立設されている。支持プレート3の長手
方向の両端側には、2つのサイドプレート3a,3aが
所定間隔をおいてそれぞれ設けてある。これらサイドプ
レート3a,3a間には、2本のガイドロッド4a,4
bが平行に架け渡してある。ガイドロッド4a,4bに
は、キャリッジ5がスライド移動可能に係合している。
キャリッジ5の下部には、複数のインクジェットヘッド
10がノズル面を下方に向けた状態で固定されている。
のプーリ6a,6bが取り付けられている。これらプー
リ6a,6b間に無端状のベルト7が張り渡されてい
る。このベルト7に対してキャリッジ5が固定されてい
る。これにより、ベルト7を駆動することによりキャリ
ッジ5がガイドロッド4a,4bに沿って矢印a方向に
往復移動するようにしてある。
ラ8aにより矢印b方向に送られる。その途中で記録紙
P上には、キャリッジ5と共に移動するインクジェット
ヘッド10から吐出されるインク滴によって画像が記録
される。画像が記録された記録紙Pは送りローラ8aに
よってさらに送られ、排出ローラ8bにより排紙トレイ
9上に排出される。
記録用ヘッドを並列に配置することにより構成されてい
る。図2は、その記録用ヘッド12の断面図である。記
録用ヘッド12は、カバープレート14、チャンネルプ
レート16及び基板18を一体接合して構成されてい
る。
レートからなり、異方性エッチングにより複数の溝部が
形成されている。これら溝部が上記カバープレート14
によって覆われることによりそれぞれ、インクを収容す
るインク室20、インク室20内のインクをインク滴2
2として吐出するノズル24、インク室20に供給され
るインクを収容するインク供給室26、及びインク室2
0とインク供給室26とを連通させるインレット28に
なっている。
て上記インク室20に隣接する底部が振動板30となっ
ている。振動板30のインク室20とは反対側の面に
は、表面にそれぞれ電極34を有する複数の突起部32
が設けられている。これら突起部32は基板18に形成
された凹部18a内に位置しているが、凹部18aの壁
面とは非接触状態にある。上記突起部32はそれぞれ交
互に隣接する第1の突起部32aと第2の突起部32b
とに分けられている。そして、第1の突起部32aの電
極34aと第2の突起部32bの電極34bとには、そ
れぞれ異なる極性の電圧が印加できるようにしてある。
板30と一体成形されており、図3の三面図に示すよう
に、それぞれ平行に等間隔dでインク室20の長手方向
(図2の左右方向、以下に同じ。)に配列されている。
このように突起部32を平板状に形成すれば、製造が容
易になる。突起部32の幅cは、0.5μm〜500μ
m程度の範囲とするのが好ましいが、突起部32の強度
を十分なものとするためには3μm以上とするのがさら
に好適であり、また、後述するように振動板30につい
て十分な変位量を得るべく、突起部32を多数配置する
ためには100μm以下とするのがさらに好適である。
突起部32の間隔dについては、0.05μm〜5μm
程度の範囲が好ましい。突起部32の間隔dは基本的に
は近接していればいるほど高い駆動力を得られるので好
ましいが、後述するように各突起部32が互いに接近す
る方向に変形した場合に各突起部32が接触しないよう
にするには0.2μm以上とするのがさらに好適である
一方、十分な駆動力を得るためには2μm以下とするの
がさらに好適である。突起部32の振動板30からの突
出高さtについては、突起物32の間隔dの1倍〜20
倍程度の範囲とするのが好ましい。突起部32の高さは
基本的には高ければ高いほど、高い駆動力が得られるた
め好ましいが、突起部の強度を確保するために10倍以
下とするのがさらに好適である一方、十分な駆動力を得
るために5倍以上とするのがさらに好適である。
ては、以下のような手法を適宜用いればよい。エッチン
グ系加工法としては、X線リソグラフィ、イオンビーム
リソグラフィ、フォトファブリケーション加工等でパタ
ーニングを行った後に行うウェットエッチングやドライ
エッチング(例えば、イオンエッチング、プラズマエッ
チング、反応性イオンエッチング、ECRイオン流エッ
チングなど)があり、または、レーザ加工(例えば、Y
AGレーザ加工、SHGレーザ加工、FHGレーザ加
工、エキシマレーザ加工、CO2レーザ加工など)や放
電加工(例えば、マイクロEDM加工など)がある。ま
た、機械系加工法としては、ダイシング加工やサンドブ
ラスト加工などがある。
は、各突起部32をインク室20の長手方向に配列形成
したが、図4に示すように、各突起部32を上記長手方
向に沿って延びる平板状に形成すると共に上記長手方向
と直交する方向に配列して形成してもよい。このように
形成しても製造が容易である。また、突起部23を結晶
シリコンの異方性エッチングなどで作製した場合、特定
のエッチング角度が発現するが、そのような場合には図
5に示すように、各突起部32がインク室20の長手方
向に対して特定の傾斜角を有した形状としてもよい。さ
らに、図6に示すように、突起部32について根元を他
の部分より太く形成してもよく、この場合には突起部3
2の耐久性が向上する。さらにまた、本実施形態では図
7(a)に示すように振動板30と各突起部32を一体
に形成したが、図7(b)に示すように振動板30及び
突起部32を少なくとも2つの部材を接合することによ
って構成してもよい。
0の一例を示す。この駆動回路40によって、第1の突
起部32aの電極34aには駆動時にパルス電圧が印加
され、第2の突起部32bの電極34bには接地電圧が
常時印加されるようになっている。この駆動回路40で
は、クロック回路42からクロック信号がスイッチ回路
44に送られる。また、何クロック目でスイッチSを切
り替えるかのタイミングを指示する信号がタイマー回路
46からスイッチ回路44に入力される。この信号に基
づきスイッチ回路44は、電源回路48に接続された充
電回路50側の端子52と、グラウンドに接続された放
電回路54側の端子56との間でスイッチSを切り替え
る信号を出力するようになっている。
動板30を押し上げてインクを吐出させる「押し打ち」
によるインク吐出動作について説明する。記録用ヘッド
12では、インク供給室26からインレット28を介し
て供給されたインクがインク室20に収容されている。
この状態で、上記駆動回路40から第1の突起部32a
の電極34aにパルス電圧が印加されると、それぞれ交
互に隣接して配置された第1の突起部32aと第2の突
起部32bとの間に互いに引き合う方向の静電力が作用
する。この静電力により図9(a)に示すように各突起
部32が互いに接近しようとするのに伴って、振動板3
0がインク室20側に凸状に変形する。この変形によっ
てインク室20内のインクが加圧され、ノズル24から
インク滴22が吐出される。吐出されたインク滴22は
記録紙P上に付着して画像が記録される。そして、第1
の突起部32aへの電圧印加が解除されると、図9
(b)に示すように振動板30はそれ自体の弾性によっ
て元の形状に復元する。このとき、インク室20内に負
圧が発生し、これによりインク供給室26から引き込ま
れたインクがインク室20に補給される。
積及び発生圧力は図10に示す振動板30及び突起部3
2に関する各種値を用いて表した下記の式及び式に
よって概算値を求めることができる。したがって、これ
らの変位体積及び発生圧力が所望の値となるように、図
10に示す振動板30と突起部32に関する各種値及び
電極間電位を決定すればよい。
2によれば、振動板30の側だけに設けた複数の突起部
32間に作用する静電力により振動板30を変形させて
インクを吐出させている。したがって、従来の静電アク
チュエータ式のインクジェットヘッドのように、平行に
対向する2つの電極間の微小ギャップを厳密に設定しな
ければならないということがなくなり、ヘッドの製造及
び組立が非常に容易になる。
ッド12において各突起部32の周囲すなわち基板18
の凹部18a内に誘電材料58を充填すれば、各突起部
32間の電界強度が強くなって振動板30の駆動力を高
めることができ、これにより一層の低電圧駆動が可能に
なる。このような誘電材料58としては、絶縁性油や絶
縁性ゴムなどが使用できる。具体的には、絶縁性油とし
て、例えば、石油系鉱油、アルキルベンゼン系オイル、
ポリブテン系オイル、アルキルナフタレン系オイル、ア
ルキルフェニルエタン系オイル、シリコンオイルなどが
ある。また、絶縁性ゴムとして、例えば、天然ゴム、※
フッ素ゴム、※スチレンブタジエンゴム、アクリルゴ
ム、アルフィンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン
ゴム、※ブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イ
ソプロピレンゴム、プロピレンオキシドゴム、※エチレ
ン−プロピレンゴム、ポリオレフィンスルフィド、ニト
リルブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、アク
リロニトリルブタジエンゴム、アクリロニトリル−イソ
プレンゴム、クロロプレンゴム、交互重合ポリマ、※ブ
チルゴム、ポリペテナマ、ウレタンゴム、ポリエステル
ゴム、※シリコーンゴム、ネオプレンゴム、多硫化ゴ
ム、ヒドリンゴムなどがある。これらのゴム材料のう
ち、特に※印を付けた材料は極性が小さい化合物である
ため、高湿時における第1及び第2の突起部32a,3
2b間の電気的短絡を防止するという耐湿性の効果にも
優れている。
ンクを吐出させる「引き打ち」によるインク吐出動作が
可能な記録用ヘッドについて図12を参照して説明す
る。この記録用ヘッド60では、振動板30に設けた各
突起部32の電極34がそれぞれ導通するように形成さ
れている。これにより、各突起部32には同極性の電圧
がそれぞれ印加されるようになっている。これ以外の構
成は、上記記録用ヘッド12と同様である。また、図1
3に記録用ヘッド60の駆動回路62を示す。この駆動
回路62は、上記駆動回路40とほぼ同様の構成を有し
ているが、各突起部32の表面の電極34に同極性の電
圧が印加されるようしてある点だけが異なる。
て引き打ちによるインク吐出動作が行われる。インク供
給室26から供給されたインクがインク室20に収容さ
れている状態で、上記駆動回路62により各突起部32
の電極34にパルス電圧が印加されると、各突起部32
間に互いに反発する方向の静電力が作用する。この静電
力により、図14(a)に示すように、各突起部32が
互いに離れようとするのに伴って、振動板30がインク
室20に対して凹状に変形する。これにより、インク室
20内の容積が増加し、インク供給室26からインク室
20にインクが引き込まれる。その後、各突起部32へ
の電圧印加が解除されると、図14(b)に示すように
振動板30はそれ自体の弾性によって復元し、このとき
インク室20内のインクが加圧されてノズル24からイ
ンク滴22が吐出される。このように吐出されたインク
滴22は記録紙P上に付着して画像が記録される。
0でもまた、振動板30の側だけに設けた複数の突起部
32間に作用する静電力により振動板30を変形させて
インクを吐出させている。したがって、上記記録用ヘッ
ド12の場合と同様に、従来の静電アクチュエータ式の
インクジェットヘッドのように、平行に対向する2つの
電極間の微小ギャップを厳密に設定しなければならない
ということがなくなり、ヘッドの製造及び組立が非常に
容易になる。
は、図15に示すように、振動板30の変形量を規制す
る規制板64を上記振動板30に対向して配置してもよ
い。これにより、引き打ちする際の振動板30の変形量
を常に一定にすることができ、インク吐出量が安定す
る。また、上記各記録用ヘッド12,60では、振動板
30のほぼ全面にわたって突起部32を形成している
が、図16に示すように、振動板30に対して部分的
(この場合は両側部分)に突起部32を形成してその部
分を湾曲変形させることによって振動板30全体を変位
させるようにしてもよい。
2,60では、いずれも突起部32が平板状に形成され
ているが、図17,18に示すように、突起部32を針
状に形成してもよい。図17,18は理解を容易にする
ために、振動板30を上下逆に描いてある。図17は、
押し打ち式の記録用ヘッドに用いる振動板30を示す。
この振動板30は第1の振動板30aと第2の振動板3
0bを接合して構成される。第2の振動板30b上には
複数の第2の突起部32bが一体形成されており、第2
の振動板30b及び各第2の突起部32bの表面には電
極(図示せず)が形成されている。一方、第1の振動板
30a上には複数の第1の突起部32aが一体形成され
ている。これら第1の突起部32aは第2の振動板30
bに形成された複数の貫通孔66を介して第2の振動板
30b上に突出し、第2の突起部32bと交互に隣接し
ている。また、第1の振動板30a及び各第1の突起部
32aの表面には電極(図示せず)が形成されている。
これにより、第1の振動板30a上の電極と第2の振動
板30b上の電極とにそれぞれ異なる電圧を印加するこ
とによって第1の突起部32aと第2の突起部32bと
にそれぞれ異極性の電圧を印加することができる。その
結果、図17の右図に示すように各突起部32a,32
b間に作用する吸引静電力により各突起部32a,32
bが互いに接近しようとするのに伴って、振動板30を
インク室20に対して凸状の略球面状に変形させること
ができる。
に用いる振動板30を示す。その構成は上述した第2の
振動板30bとほぼ同様であり、振動板30上には複数
の突起部32が形成されており、振動板30及び各突起
部32の表面には電極(図示せず)が形成されている。
この電極に電圧を印加することによって各突起部32に
同極性の電圧を印加することができる。その結果、図1
8の右図に示すように、各突起部32間に作用する反発
静電力により互いに離れようとするのに伴って、振動板
30をインク室20に対して凹状の略球面状に変形させ
ることができる。
合、その一本の形状は円柱状に限らず、例えば図19
(a)〜(d)に示すように円錐、円錐台、角柱、根元
を太くして補強した柱状体であってもよい。
動板のインク室とは反対側の面に突起部を設けたが、振
動板のインク室側の面だけに突起部を設けて同様の原理
により振動板を変形させるようにしてもよい。
2をそれぞれ設けたタイプの記録用ヘッドについて説明
するが、振動板30及び突起部32以外の構成は上記記
録用ヘッド12と同様であるため説明を省略する。
なわち振動板30のインク室20側の面にもそれぞれ電
極を有する複数の突起部32を形成すれば、押し打ちの
際の振動板30の変形時にインク室20側の各突起部3
2c間に互いに反発し合う方向の静電力を発生させるこ
とによって、又は、引き打ちの際の振動板30の変形時
にインク室20側の各突起部32c間に互いに引き合う
方向の静電力を発生させることによって、振動板30の
変形量をさらに大きくすることができ、インク吐出量を
増加させることができる。また、振動板30が変形した
後に復元するときにインク室20側の各突起部32cに
電圧を印加することによって振動板30を強制的に復元
させることができ、これにより応答周波数を上げられ
る。
場合、図20に示すように両面の突起部32を必ずしも
対称に形成する必要はなく、図21(a)〜(c)に示
すように、上下の突起部32を千鳥状に配置したり、上
下の突起部32の配列ピッチを異ならせたり、あるい
は、上下の突起部32の形状を変えてもよい。また、図
21(d)に示すように、同一形状の2つの部材を貼り
合わせることによって両面に突起部32を有する振動板
30を構成してもよい。
も突起部32を形成した場合には、突起部32表面の電
極がインクと直接接触することになる。絶縁性インクの
場合には問題ないが、導電性インクを使用する場合には
図22に示すようにインク室20側の突起部32cの周
囲を弾性絶縁体(防水部材)68で覆えばよい。これに
より、各突起部32c間が絶縁されると共に、弾性絶縁
体68が誘電体として働くため各突起部32c間の静電
力を強めて振動板30の駆動力を高めることができ、し
かも、インク室20内のインクの流れが円滑になる。ま
たは、図23に示すように、弾性絶縁体68に変えて防
水可撓性フィルム(防水部材)70でインク室20側の
突起部32cを覆ってもよいし、図24に示すように弾
性絶縁体68と防水可撓性フィルム70を併用してもよ
い。上記弾性絶縁体68の具体的な材料としては、上述
した絶縁性ゴム、特に※印を付したゴム材料を好適に使
用できる。また、上記防水可撓性フィルム70の材料と
しては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィル
ム、イオノマーフィルム、ポリビニルアルコールフィル
ム、ポリ酢酸ビニルフィルム、エチレン酢酸ビニル共重
合体フィルム、ポリメタクリル酸メチルフィルム、ポリ
カーボネイトフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイ
ミドフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルス
ルホンフィルム、ポリアミド系フィルム(ナイロン6フ
ィルム、ナイロン66フィルム、ナイロン11フィル
ム、ナイロン12フィルムなど)、アクリロニトリル−
アクリル酸メチル共重合体フィルム、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合体フィルム、ポリテレフ
タル酸エチレンフィルム、ポリウレタンエラストマーフ
ィルム、セルロース系フィルム(硝酸セルロースフィル
ム、酢酸セルロースフィルム、三酢酸セルロースフィル
ム、プロピオン酸セルロースフィルム、酢酸酪酸セルロ
ースフィルム、エチルセルロース、再生セルロースな
ど)、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩
化ビニリデン−塩化ビニル共重合体フィルム、ビニルニ
トリルゴム合金フィルムなどが好適に使用できる。
行ったインク吐出実験について説明する。この実験で
は、図25(a)に示す記録用ヘッド80を使用した。
この記録用ヘッド80では、カバープレート14を厚さ
2.5mmの石英ガラス板とした。また、インク室20
は幅120μm、高さ80μm、長さ5mmとした。チ
ャンネルプレート16は、流路部材16aと振動板30
の2つの部材で構成した。流路部材16aは、結晶シリ
コンを異方性エッチングすることによって作製した。ま
た、振動板30は、硼素をドーピングした厚さ5μmの
結晶シリコン板とした。突起部32は結晶シリコンを異
方性エッチングすることにより上記振動板30と一体形
成してあり、その長さを4.9mmとした。基板18
は、ダシシング加工にて作製した厚さ1mmの結晶シリ
コン板とした。
に臨む振動板30の幅は100μmとした。突起部32
は、その厚さを5μm、振動板30からの突出高さを1
0μmとした。これらの厚さと高さには、突起部32の
表面に形成されているCr製電極の厚さ0.1μmが含
まれる。また、各突起部32の間隔は、0.5μmとし
た。図25(c)に示すように、ノズル24及びインレ
ット28はいずれも、幅40μm、高さ28の三角形状
の開口部とした。
14、流路部材16a、振動板30及び基板18を陽極
接合法により一体に接合して構成されている。このよう
に構成された記録用ヘッド80について、突起部32の
電極が交互に別電極となっている押し打ちタイプ(図2
参照)と、各突起部32の電極が導通している引き打ち
タイプ(図12参照)の2種類のヘッドを作製した。そ
して、インクには、20℃で表面張力が35dyn、粘
度が2.7cpの物性のものを使用した。
26に示す波形のパルス電圧を駆動電圧として使用し
た。このパルス電圧の電圧値は、隣接する突起部32間
の電位差を示している。このパルス電圧を一つ置きの突
起部32に印加したところ、ノズル24からインク滴が
飛翔するのを確認できた。一方、引き打ちタイプの記録
用ヘッド80では、図27に示すパルス電圧を各突起部
32に印加したところ、この場合にもノズル24からイ
ンク滴が飛翔するのを確認できた。
用ヘッド12,60は構造が簡単であるため、複数の記
録用ヘッドを並べてマルチノズル化したインクジェット
ヘッドを製造するのが容易である。このようにマルチノ
ズル化したインクジェットヘッドを構成する場合、図2
8に示すように、各インク室20に対応する振動板30
の突起部形成部分が収容される基板18の各凹部18a
の内面に金属製導電層をそれぞれ形成し、それら導電層
を引き出し配線82によりそれぞれ接地することで、各
記録用ヘッドの突起部形成部分をそれぞれシールドする
ことが好ましい。これにより、各インク室20間におけ
る電磁障害を防止できると共に、コントローラや駆動回
路等への電磁障害も防止できる。
駆動が可能であるため、この記録用ヘッドを配列したイ
ンクジェットヘッド10を含むインクジェットプリンタ
1もまた低電圧駆動が可能である。
図。
形例を示す側面図。
(b)は2つの部材を接合して形成した振動板と突起部
をそれぞれ示す側面図。
回路図。
動板の復元時の状態をそれぞれ示す側面図。
ヘッドの部分断面図。
す回路図。
の状態、(b)は振動板の復元時の状態を示す側面図。
状態を示す側面図。
示す側面図。
板及び突起部の斜視図。
板及び突起部の斜視図。
状を示す斜視図。
面図。
振動板の各種変形例を示す側面図。
た状態を示す側面図。
で覆った状態を示す側面図。
水可撓性フィルムで覆った状態を示す側面図。
ヘッドの部分断面図、(b)は(a)におけるA−A線
断面図、(c)はノズル及びインレットの形状を示す
図。
ス電圧の波形図。
ス電圧の波形図。
にシールド用の導電層を設けた状態を示す斜視図。
ェットヘッドの一例を示す部分断面図。
ッド、12…記録用ヘッド、20…インク室、24…ノ
ズル、26…インク供給室、30…振動板、32(32
a,32b)…突起部、34(34a,34b)…電
極。
Claims (13)
- 【請求項1】 インク供給室から供給されたインクを収
容したインク室と、このインク室に隣接して配置された
振動板とを備え、この振動板の変形によりインク室内の
インクを加圧してノズルから吐出する記録用ヘッドにお
いて、 上記振動板の表面にそれぞれ電極を有する複数の突起部
を設け、これら突起部間に作用する静電力により上記振
動板を変形させるようにしたことを特徴とする記録用ヘ
ッド。 - 【請求項2】 上記振動板のインク室とは反対側の面に
上記突起部を設けたことを特徴とする請求項1の記録用
ヘッド。 - 【請求項3】 上記突起部を交互に隣接する第1の突起
部と第2の突起部とに分け、第1及び第2の突起部にそ
れぞれ異なる極性の電圧を印加するようにしたことを特
徴とする請求項1又は2の記録用ヘッド。 - 【請求項4】 上記各突起部に同極性の電圧をそれぞれ
印加するようにしたことを特徴とする請求項1又は2の
記録用ヘッド。 - 【請求項5】 上記振動板の変形量を規制する規制板を
上記振動板に対向して配置した請求項1から4のいずれ
かの記録用ヘッド。 - 【請求項6】 上記振動板のインク室側の面にもそれぞ
れ電極を有する複数の突起部を設けたことを特徴とする
請求項2の記録用ヘッド。 - 【請求項7】 上記振動板のインク室側の突起部を防水
部材で覆ったことを特徴とする請求項6の記録用ヘッ
ド。 - 【請求項8】 上記突起部が平板状であることを特徴と
する請求項1から7のいずれかの記録用ヘッド。 - 【請求項9】 上記突起部が針状であることを特徴とす
る請求項1から7のいずれかの記録用ヘッド。 - 【請求項10】 上記突起部について根元が他の部分よ
り太く形成されていることを特徴とする請求項8又は9
の記録用ヘッド。 - 【請求項11】 上記請求項1から10のいずれかの記
録用ヘッドを複数並べてマルチノズル化したインクジェ
ットヘッド。 - 【請求項12】 各インク室に対応する振動板の突起部
形成部分を周辺部材によりそれぞれシールドしたことを
特徴とする請求項11のインクジェットヘッド。 - 【請求項13】 上記請求項11又は12のインクジェ
ットヘッドを含むインクジェットプリンタ。
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---|---|---|---|
JP18735898A JP3788047B2 (ja) | 1998-07-02 | 1998-07-02 | 記録用ヘッド、インクジェットヘッド及びインクジェットプリンタ |
Applications Claiming Priority (1)
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ID=16204607
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1226945A1 (en) * | 2001-01-24 | 2002-07-31 | Xerox Corporation | Electrostatically-actuated device |
WO2003105175A1 (ja) * | 2002-06-11 | 2003-12-18 | 松下電器産業株式会社 | スイッチ |
JP2004345009A (ja) * | 2003-05-21 | 2004-12-09 | Japan Science & Technology Agency | 微小立体構造マニピュレータ |
-
1998
- 1998-07-02 JP JP18735898A patent/JP3788047B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2003105175A1 (ja) * | 2002-06-11 | 2003-12-18 | 松下電器産業株式会社 | スイッチ |
US7105758B2 (en) | 2002-06-11 | 2006-09-12 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Switch |
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