JP6994903B2 - 電子スピン共鳴測定装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は電子スピン共鳴測定装置及び方法に関し、特に、パルスシーケンス及び積算処理に関する。
電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)は、磁場中の不対電子が特定周波数のマイクロ波を吸収する現象である。その現象を測定する装置が電子スピン共鳴測定装置(ESR測定装置)である(特許文献1参照)。ESR測定装置により、例えば、横磁化が観測され、その観測結果に基づいて横緩和時間(スピン-スピン緩和時間)T2が演算される。また、ESR測定装置により、縦磁化が観測され、その観測結果に基づいて縦緩和時間(スピン-格子緩和時間)T1が演算される。
緩和時間等を解析する手法として逆変換法が知られている。逆変換法の利用例として、電子スピン共鳴の観測により得られた元データセットに対して逆ラプラス変換(以下、単に「逆変換」という。)を適用することにより目的データセットを生成する処理が挙げられる(非特許文献1参照)。例えば、元データセットは、静磁場強度と時間パラメータの組み合わせごとのデータにより構成されるものであり、目的データセットは、静磁場強度及び緩和時間の組み合わせごとのデータにより構成されるものである。上記の時間パラメータは、例えば、磁化の時間的変化を観測するタイミングを規定するパラメータである。
特開2016-75665号公報
Adrian Cernescu, Thorsten Maly, Thomas F. Prisner,"2D-REFINE spectroscopy: Separation of overlapping hyperfine spectra", Journal of Magnetic Resonance, 2008, 192(1), pp.78-84.
一般に、電子スピン共鳴の測定においては、S/N比を向上させるために、同一測定条件下において試料からのESR信号が繰り返し検出され、これにより得られる複数のデータを積算処理して積算データ(典型的には平均データ)が生成される。積算処理期間を増大させれば、S/N比を更に向上させることが可能である。
しかしながら、積算処理期間の増大だけでは対処困難な問題として、比較的に長い時間にわたる測定状況の変化が挙げられる。具体的には、装置動作条件の時間的変化、測定環境の時間的変化、サンプルの時間的変化等が比較的に長い時間にわたって生じている場合、短時間の測定であればそのような時間的変化を無視し得るが、長時間の測定ではそのような時間的変化が測定結果に現れてくる。そのような測定状況の変化を原因として時間軸上で生じる低周波のノイズ、歪、又は、エラーを便宜上“ゆらぎノイズ”と称することにする。積算処理期間を超えた長い周期でゆらぎノイズが生じる場合、当然ながら積算処理では当該ゆらぎノイズを十分に抑圧できない。特に、上記の逆変換法を適用する場合において、元データセットにゆらぎノイズが含まれていると、変換後のデータセットの信頼性が大きく低下してしまう。例えば、低周波の歪を含んだ減衰波形に対して逆変換を適用すると、期待される波形とはまったく異なる波形が生成されてしまう。
本発明の目的は、積算処理後のデータの信頼性を高めることにある。あるいは、本発明の目的は、逆変換を前提としてそれに適合したデータセットを生成できるようにすることにある。
実施形態に係る電子スピン共鳴測定装置は、試料に対してマイクロ波を供給するパルスシーケンスを繰り返し実行する制御手段と、前記パルスシーケンスの繰り返し実行の過程において前記試料からの電子スピン共鳴信号を処理することにより、前記パルスシーケンスごとにデータ列を生成する生成手段と、前記パルスシーケンスの繰り返し実行の結果として得られる複数のデータ列を処理する処理手段と、を含み、前記各パルスシーケンスは、前記試料における磁化の変化を観測するためのパラメータTのm段階変化に対応したm個のサブパルスシーケンスの連なりとして構成され、前記処理手段は、前記複数のデータ列に対して、同一測定条件の下で取得された複数のデータからなるデータ群を単位として、積算処理を適用する、ことを特徴とするものである。
上記構成によれば、パラメータTのm段階変化を生じさせるパルスシーケンスが繰り返し実行され、それにより得られる複数のデータ列に対して所定単位ごとに積算処理が実行される。所定単位は、同一測定条件の下で取得され、且つ、時間軸上において離散的に存在する複数のデータ(データ群)である。すなわち、比較的に長い時間範囲にわたって離散的に存在する複数のデータが積算処理の対象となる。そのような複数のデータを積算処理の対象とし又はその対象に含めることにより、長周期のゆらぎノイズを効果的に抑圧することが可能となる。逆に言えば、上記構成は、そのようなゆらぎノイズが低減又は解消されるように構成されたパルスシーケンス列(パルスシーケンストレイン)を実行するものである。
積算処理の対象となるデータ群に、サブパルスシーケンス内において同一条件下で取得された複数のデータが含まれてもよい。すなわち、広域的に離散的に存在する複数のデータに対する第1の積算処理(広域離散型積算処理)と、局所的に密集的に存在する複数のデータに対する第2の積算処理(局所密集型積算処理)と、が併用されてもよい。時間条件の異なる複数の積算処理を同時に利用すれば、様々な周期で存在する複数のノイズが抑圧された積算データ列を生成し得る。なお、局所密集型積算処理の概念には、平滑化作用又はノイズ抑圧作用をもったアナログ信号処理(例えばロックイン検波処理)が含まれ得る。その場合、例えば、複数の変調周期にわたるESR信号が複数のデータに相当する。
上記の測定条件にはパラメータTが含まれる。実施形態においては、測定条件は、パラメータTによって規定され、あるいは、パラメータT及び静磁場強度Bの2つのパラメータによって規定される。ここで、パラメータは、ESR測定装置上において設定又は可変することが可能な制御値である。個々のサブパルスシーケンス内において、静磁場強度が一定に維持されてもよいし、静磁場強度が段階的又は連続的に変更されてもよい。積算処理は、単純積算処理、平均処理、重み付け平均処理等を含む概念である。電子スピン共鳴信号は、試料において生じた電子スピン共鳴が反映されている信号であればよく、マイクロ波の反射波によって構成される信号には限られない。
実施形態においては、前記パラメータTは、縦緩和時間を測定するための時間パラメータである。パルスシーケンスの実行過程で他のパラメータが段階的に変更されてもよい。実施形態において、前記各サブパルスシーケンスはn回繰り返し実行されるパルスパターンを含む。例えば、上記の局所密集型積算処理を併用する場合にそのような構成が採用され得る。
実施形態に係るESR測定装置においては、前記パルスパターンが変調周期で繰り返し実行され、前記パルスパターンごとに、当該パルスパターンと前記変調周期を規定する変調周期信号との間で同期が確立され、前記生成手段は、前記変調周期に従って前記電子スピン共鳴信号を検波する検波回路を有する。この構成によれば、同期ずれの累積を回避して同期ずれに起因するエラーが積算処理結果に現れることを防止又は軽減できる。パルスパターンを基準としてそれに変調周期信号を同期させてもよいし、変調周期信号を基準としてそれにパルスパターンを同期させてもよい。あるいは、所定の同期信号を基準としてそれにパルスパターン及び変調周期信号を同期させてもよい。検波回路はロックイン検波回路を含む概念である。
実施形態においては、前記サブパルスシーケンスごとに磁場掃引が実行される。また、実施形態においては、前記サブパルスシーケンスごとに、当該サブパルスシーケンスと前記磁場掃引の周期を規定する掃引周期信号との間で同期が確立される。この構成によれば、上記同様に、同期ずれの累積を回避して同期ずれに起因するエラーが積算処理結果に現れることを防止又は軽減できる。サブパルスシーケンスを基準としてそれに掃引周期信号を同期させてもよいし、掃引周期信号を基準としてそれにサブパルスシーケンスを同期させてもよい。あるいは、同期信号を基準としてそれにサブパルスシーケンス及び掃引周期信号を同期させてもよい。
実施形態において、前記処理手段は、前記データ群を単位とした積算処理の結果として積算データ列を生成する手段と、前記積算データ列に対する逆変換により、緩和時間軸上のデータ列を生成する手段と、を含む。この構成によれば、ゆらぎノイズが低減された積算データ列を逆変換の対象にできるから、逆変換結果の信頼性を高められる。
実施形態に係る電子スピン共鳴測定方法は、試料に対してマイクロ波を供給するパルスシーケンスを繰り返し実行する工程と、前記パルスシーケンスの繰り返し実行の過程において前記試料からの電子スピン共鳴信号を処理することにより、前記パルスシーケンスごとにデータ列を生成する工程と、前記パルスシーケンスの繰り返し実行の結果として得られる複数のデータ列を処理する工程と、を含み、前記各パルスシーケンスは、磁化の変化を観測するためのパラメータTのm段階変化に対応したm個のサブパルスシーケンスを含み、前記複数のデータ列を処理する工程では、前記複数のデータ列に対して、同一測定条件の下で取得された複数のデータからなるデータ群を単位として、積算処理が適用され、前記同一測定条件の下で取得された複数のデータは1パルスシーケンスに対応する時間間隔をおいて順次取得された複数のデータである。
上記の電子スピン共鳴測定方法を実行するためのプログラムが可搬型記憶媒体又はネットワークを介して電子スピン共鳴測定装置にインストールされてもよい。なお、実施形態に係る電子スピン共鳴測定方法には、積算処理の面での特徴事項と同期制御の面での特徴事項とが含まれる。一方の特徴事項のみを単独で採用することも考えられる。
本発明によれば、積算処理後のデータの信頼性を高められる。あるいは、本発明によれば、逆変換を前提として、それに適合したデータセットを生成できる。
ESR測定装置の第1構成例を示すブロック図である。 T1測定法及び逆変換法に基づく測定方法を示すフローチャートである。 第1のT1測定法を示すフローチャートである。 第1のT1測定法で用いられるサブパルスシーケンスを示す図である。 第1のT1測定法により得られる回復型データ列を示す図である。 元データセットの一例を示す図である。 逆変換後のデータセットの一例を示す図である。 ESR測定装置の第2構成例を示すブロック図である。 第2のT1測定法を示すフローチャートである。 第2のT1測定法で用いられるサブパルスシーケンスを示す図である。 第2のT1測定法により得られる減衰型データ列の詳細を示す図である。 減衰型データ列の第1例を示す図である。 図12に示した減衰型データ列に対する逆変換により得られたデータ列を示す図である。 減衰型データ列の第2例を示す図である。 図14に示した減衰型データ列に対する逆変換により得られたデータ列を示す図である。 第1実施形態に係る測定プロセスを示す図である。 第1実施形態に係るパルスシーケンスを示す図である。 第1実施形態についての変形例を示す図である。 第1実施形態におけるコントローラの構成例を示す図である。 比較例に係る測定プロセスを示す図である。 比較例に係る積算データ列を示す図である。 第1実施形態に係る積算データ列を示す図である。 第2実施形態に係る測定プロセスを示す図である。 第2実施形態に係るパルスシーケンスを示す図である。 第3実施形態に係るパルスシーケンスを示す図である。
以下、前提技術を説明した上で、実施形態を詳しく説明する。
(1)前提技術の説明
(1-1)ESR測定装置の第1構成例
図1には、パルスESR法を実行するためのESR測定装置の構成例が示されている。そのようなESR測定装置を用いて後述するSaturation Recovery(Pulsed Saturation Recovery)法を実行し得る。図1には、主な構成のみが図示されており、細部の構成について図示省略されている。後述する実施形態に係るESR測定装置は、図1に示された構成、後に図8に示す構成、又は、他の構成を基礎として構築され得る。
共振器を構成するキャビティ10内にサンプル(試料)12が収容されている。サンプル12は、ESR測定対象となる1又は複数の化合物を含むものである。キャビティ10は、静磁場発生器14により生成される静磁場の中に置かれている。静磁場発生器14は、静磁場強度を可変することが可能な電磁石により構成される。静磁場発生器14が生成する静磁場の強度が後述するコントローラ34Aによって制御される。図1において、静磁場方向はZ方向である。それに直交する方向がX方向及びY方向である。マイクロ波発生器16においてマイクロ波が生成される。そのマイクロ波は、スイッチ18及びパワーアンプを介して、更にサーキュレータ22を介して、キャビティ10へ送られる。スイッチ18は、マイクロ波からなるパルスを生成するためのものである。その動作はコントローラ34Aによって制御される。
サンプル12において電子スピン共鳴が生じると、キャビティ10からの反射波が生じ、これによりサーキュレータ22からESR信号が出力される。そのESR信号は、プリアンプ24を介して、ミキサ28へ送られる。ミキサ28においてESR信号と参照信号とを混合することにより、ESR信号が検波される。参照信号は、例えば、マイクロ波発生器16において生成されたマイクロ波に基づいて生成される。検波後のアナログ信号がADC30においてデジタル信号に変換される。そのデジタル信号が情報処理装置としてのPC32において処理される。なお、基本的に、ミキサ28及びADC30がデータ生成手段に該当し、PC32がデータ処理手段に該当する。但し、ミキサ28等のアナログ回路が積算処理又はノイズ抑圧処理に相当する処理を実行する場合、当該回路はデータ生成手段及びデータ処理手段の両方に該当すると言い得る。
コントローラ34Aは、プログラム動作するプロセッサ、シーケンサ、マイコン、PC等によって構成され、制御手段として機能する。コントローラ34Aは、パルスシーケンスを実行し又はそれに従った制御を実行する。すなわち、コントローラ34Aにより、図1に示される各構成の動作が制御される。
(1-2)T1測定法及び逆変換法に基づく測定方法
図2には、T1測定法及び逆変換法に基づく測定方法が例示されている。S10では、測定対象となる試料がキャビティ内に導入される。S12では、縦緩和時間(T1)測定法が実行される。第1のT1測定法として、Saturation Recovery法が挙げられる。これについては後に図3~5を用いて詳述する。第2のT1測定法として、LOD(Longitudinal Detection)法(LOD-T1法とも言う。)が挙げられる。それについては後に図9~11を用いて詳述する。いずれにしても、S12では、静磁場強度BとパラメータT(縦磁化の変化の観測タイミングを規定する時間パラメータ)の組み合わせごとにESR信号(データ)が取得される。例えば、S12では、静磁場強度Bが段階的に変更され、各静磁場強度においてパラメータTが段階的に変更され、その過程において一連のESR信号が観測される。これにより、三次元データとしての元データセットが得られる。
元データセットは、静磁場強度BとパラメータTの組み合わせごとに取得されたデータからなるものであり、換言すれば、元データセットは、複数の静磁場強度に対応した複数のデータ列からなるものである。その場合、各データ列は、パラメータTを表す時間軸上に並ぶ複数のデータからなる。
Saturation Recovery法によると、元データセットとして、複数の回復型データ列が得られる。S14では、逆変換に先立って、各回復型データ列がそれぞれ減衰型データ列に変換される。なお、LOD-T1法によると、元データセットとして、最初から、複数の減衰型データ列が得られる。その場合には、S14の実行は不要となる。
S16では、元データセットに対して逆変換が適用され、逆変換後のデータセットつまり目的データセットが生成される。S18では、目的データセットが表示され、それが解析される。基本的に、S12がデータ生成手段に相当し、S14~S18がデータ処理手段に相当する。但し、S12内において積算処理が実行される場合、その積算処理はデータ処理手段の一部に相当する。
ここで、逆変換について説明しておく。例えば、ある物理現象がF(t)=exp(-at)という既知の法則に従うものであり、また、ある時刻tにおける観測結果S(t)が以下の(1)式によって表されるものとする。(1)式中の関数D(a)はパラメータをaとする強度分布関数である。
S(t)=∫D(a)・F(t)da …(1)
逆変換はS(t)からD(a)を求める処理である。図2のS16では、例えば、磁場強度ごとに、減衰時間軸上のデータ列(信号波形)に対して逆変換が適用され、緩和時間軸上の信号波形が生成される。その具体例を後に図6及び図7を用いて説明する。
(1-3)第1のT1測定法
上記のS12において実行される第1のT1測定法(Saturation Recovery法)について図3~5を用いて説明する。その測定法はスピンエコー法を利用したものである。
図3において、S20では、係数i及び係数jが初期化される。S22では、静磁場F(i)が形成される。S26Aにおいては、まず、縦磁化の飽和状態が形成され、その後、待ち時間T(j)をおいた上でスピンエコーシーケンス(Hahn Echo Sequenceとも称される)が実行される。これによりスピンエコーが観測される。
これについて図4を用いて具体的に説明する。図4における(A)はサブパルスシーケンスを示しており、図4における(B)はスピンエコー信号としてのESR信号を示している。(A)に示すサブパルスシーケンス中、[ ]pは、括弧41内の動作をp回繰り返すことを示している。図4に示されるように、最初に、キャビティへの180度パルス(πパルス)40の供給(照射)をp回繰り返すことにより、飽和状態が形成される。すなわち、縦磁化の拡散によって縦磁化を消失させた状態が形成される。その後、待ち時間Tをおいて90度パルス(π/2パルス)42が供給され、その後に時間τをおいて180度パルス44が供給される。これにより、180度パルス44から時間τを経過した時点でスピンエコー46が観測される。
図3における、S26A、S28及びS30を繰り返し実行すると、待ち時間Tの段階的変化に対応したデータ列として、スピンエコー信号Iechoの大きさの変化を示す信号波形が得られる(S39A参照)。そのデータ列の一例が図5の(A)に示されている。横軸は待ち時間(つまり時間パラメータ)Tを示しており、縦軸はIechoを示している。データ列48は回復型のデータ列であり、それは図5における(B)に示す関数によって表現される。T1は縦緩和時間である。もっとも、複数の化合物が存在している場合、複数の縦緩和時間T1が存在することになる。
図3において、S28Aでは、jがjmaxに達したか否かが判断され、Noであれば、S30においてjが1つインクリメントされた上で、S26A以降の各工程が繰り返し実行される。S32では、iがimaxに達したか否かが判断され、Noであれば、S34においてiが1つインクリメントされた上で、S22以降の各工程が繰り返し実行される。
上記動作の結果、静磁場F(i)ごとにデータ列が得られる。複数の静磁場F(i)~F(imax)に対応する複数のデータ列により、元データセットが構成される。もっとも、図2のS14において説明したように、逆変換に先立って、回復型データ列を減衰型データ列に変換する処理が実行される。その場合、例えば、I0からIechoを減算する処理が実行される。
なお、S/N比の向上のためには、一般に、S36Aで示されるように、S26Aを繰り返し実行すればよい。つまり、同一測定条件下で複数のデータを取得し、それらを積算処理すればよい。但し、この場合における積算処理は、時間軸上において局所的に密集的に存在している複数のデータを対象とするものであり、その積算処理だけで長周期のゆらぎノイズを抑圧するのは困難である。
図6には、以上のように生成された元データセットが例示されている。x軸は静磁場強度Bを表している。y軸は待ち時間であるパラメータTを表している。z軸はIechoを表している。図示された三次元データのxz断面がESRスペクトルに相当する。元データセットには、2つの山(ピーク)が存在する。2つの山におけるy軸方向の傾斜(稜線)は異なっており、つまり、2つの減衰速度が認められる。
図7には、図6に示した元データセットの逆変換結果つまり逆変換後のデータセットが示されている。x軸は静磁場強度Bを表している。y’軸は緩和時間を表している。z軸はIechoを表している。この逆変換により、例えば、上記の2つの減衰速度を弁別することができ、換言すれば、2つの化合物についての2つの縦緩和時間T1を特定することが容易となる。
(1-4)ESR測定装置の第2構成例
図8には、パルスESR法及び連続波ESR法の両方を基礎とするESR測定装置の構成例が示されている。そのようなESR測定装置を用いて後述するLOD-T1法を実行し得る。図1には、主な構成のみが図示されており、細部の構成について図示省略されている。なお、図1に示した構成と同様の構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
キャビティ10の近傍にはLODコイル50が配置されている。LODコイル50は縦磁化(磁化のZ方向成分)を検出するためのコイルである。パルス発生器52はマイクロ波を強度変調するための変調パルス信号を生成するものである。その動作はコントローラ34Bによって制御される。変調周波数をfmodとし、単位期間(サブパルスシーケンス期間)をTrepとした場合、fmod=1/Trepの関係が成立する。LODコイル50による検出信号(ESR信号)は、プリアンプ24を介してミキサ54に入力され、ミキサ54において、検出信号が変調パルス信号に基づいて検波(ロックイン検波)される。これにより検波後の信号SLODが得られる。図8に示した構成を用いて以下のLOD-T1法が実行される。
(1-5)第2のT1測定法
図2に示したS12において実行される第2のT1測定法(LOD-T1法)を図9~11を用いて説明する。その測定法は縦磁化の応答を利用して縦緩和時間T1を求めるものである。なお、図9において、図3に示した工程と同様の工程には同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
図9におけるS26Bでは、先頭パルスが供給され、そこから待ち時間Tをおいて後続パルスが供給される。待ち時間Tを段階的に変更しながら、ロックイン検波後のDC出力SLODが順次観測される。その動作を図10に基づいて具体的に説明する。
図10における(A)はパルスシーケンスを示しており、図10における(B)はESR信号としての検波後の信号SLODを示している。(A)に示されるサブパルスシーケンス58には、先頭パルス55と後続パルス56とが含まれる。それらの間隔が待ち時間Tである。先頭パルス55で縦磁化が乱され、その直後から縦磁化が回復しようとするが、回復途中で後続パルス56によって縦磁化が再び乱される。先頭パルス55から後続パルス56までの待ち時間Tによって、縦磁化の応答が変化する。これにより、(B)に示すように、信号SLODは、Tの増大に伴って波形60のように変化する。
図11の(A)には波形60が拡大図として示されている。その波形は図11の(B)に示す関数によって表現される。ここで周期関数である第2項は、波形60中の基本成分60Bに相当する。第1項は、波形60中の重畳成分60Aに相当する。波形SLOD60から基本成分60Bを減算することにより、縦緩和時間に依存する重畳成分60Aが得られる。この重畳成分60Aが元データセットの構成単位であるデータ列に相当する。なお、Mは静磁場により生成される縦磁化の大きさを示しており、Kは係数である。上記減算はPC上において実行される。
図9において、S28で、jがjmaxに達した時点で、データ列が生成されることになる(S39B参照)。図9に示したプロセスを実行すると、静磁場F(i)ごとにデータ列が得られる。S39では、データ列から周期関数成分を除去する処理が実行される。静磁場F(1)~F(imax)に対応する複数のデータ列により元データセットが構成される。元データセットは図6に示したような三次元データに相当する。それが逆変換されて、図7に示したようなデータセットが生成される。
なお、一般に、ロックイン検波信号を安定的に得るために、あるいは、S/N比の向上のために、図9において、S36Bで示されるように、S26Bが繰り返し実行される(図10においては繰り返し回数がnで表現されている)。すなわち、測定条件ごとに複数の周期にわたるESR信号(つまり複数のデータ)が観測される。その上で、複数のデータが積算処理される。但し、この場合における積算処理は、時間軸上において局所的に密集的に存在している複数のデータを対象とするものであり、その積算処理だけで長周期のゆらぎノイズを抑圧するのは困難である。
(1-6)逆変換法特有の性質
逆変換法には非適切性という性質が認められる。非適切性の代表例として、元のデータ列の乱れ又はノイズ成分が逆変換後のデータ列に大きな影響を与えるという事項が挙げられる。これに関して図12及び図13を用いて説明する。
図12には、逆変換前のデータ列の第1例が示されている。図示されたデータ列62は低周波歪を含まない理想的な減衰型データ列である。図12における横軸は減衰時間軸であり、それは図6におけるy軸に相当する。図12における縦軸は信号強度軸であり、それは図6におけるz軸に相当する。このデータ列62に対して逆変換を適用した結果が図13に示されている。図13における横軸は緩和時間軸であり、それは図7に示したy’軸に相当する。図13における縦軸は信号強度軸であり、それは図7に示したz軸に相当する。図13に示された逆変換後のデータ列64においては鋭いピークが認められる。
一方、図14には、逆変換前のデータ列の第2例が示されている。第1例のデータ列についての時定数及び第2例のデータ列についての時定数はいずれも100nsである。但し、データ列66には低周波歪が重畳している。図14に示された横軸及び縦軸は図12に示した横軸及び縦軸と同じである。このデータ列66に対して逆変換を適用した結果が図15に示されている。図15における横軸及び縦軸は図13に示した横軸及び縦軸と同じである。図15に示されたデータ列68はほぼ平坦の形状を有し、それには明確なピークが認められない。
以上のように、元データ列に含まれるノイズ成分が逆変換の結果を大きく左右する。よって、逆変換を行う場合には、元データ列に含まれるノイズ成分をできるだけ除外しておくことが望まれる。
(2)実施形態の説明
(2-1)第1実施形態
第1実施形態に係る測定方法は、N個のデータセットを取得する取得工程と、N個のデータセットを積算処理する積算処理工程と、積算処理後の積算データセットに対して逆変換を適用する逆変換工程と、により構成される。ここでNは2以上の整数である。取得工程と積算処理工程とが同時進行で実行されてもよい。逆変換工程に代えて他の処理又は解析を行う工程が実行されてもよい。
第1実施形態における測定方法では、上記Saturation Recovery法及び上記LOD-T1法のいずれも実施し得る。前者の方法を実施する場合には例えば図1に示した構成が用いられ、後者の方法を実施する場合には例えば図8に示した構成が用いられる。
図16には、上記取得工程の内容が例示されている。図16における横軸は時間軸である。(A)はパラメータTの変化を示している。(B)は静磁場強度Bの変化を示している。(C)はゆらぎノイズεを抽象的又は概念的に示している。実際には通常、様々なノイズ成分が存在する。すなわち、図示された波形は説明用の例示に過ぎないものである。(D)には積算処理が示されている。
取得工程(全工程)102は、図示の例において、N個のデータセット取得工程により構成されている。符号103-1は最初のデータセット取得工程を示しており、符号103―Nは最後のデータセット取得工程を示している。個々のデータセット取得工程の内容は同一である。
個々のデータセット取得工程は、r個の部分工程からなり、部分工程ごとに異なる静磁場強度Bが設定される。すなわち、データセット取得工程内において、静磁場強度Bがr段階にわたって段階的に変更される。例えば、データセット取得工程103-1に着目すると、それは、部分工程106-1から部分工程106-rまでのr個の部分工程により構成されている。例えば、先頭の部分工程106-1では静磁場強度Bとしてレベル105-1が設定され、最後の部分工程106-rでは静磁場強度Bとしてレベル105-rが設定される。符号104は、データセット取得工程の全体にわたる静磁場強度Bの階段状の変化を示している。
各部分工程においては、パラメータTがm段階に変更される。パラメータTは、試料における磁化の変化を観測するタイミングを規定するものであり、ある意味において、磁化の変化(回復又は減衰)を促すパラメータである。例えば、拡大して示された部分工程106-1に着目すると、符号72-1で示されるパラメータTの最低値から、符号72-mで示されるパラメータTの最高値まで、パラメータTがm段階にわたって変更される。換言すれば、そのようなm段階のパラメータTの変更を生じさせるパルスシーケンス70が実行される。個々のデータセット取得工程では、同じパルスシーケンスが連続的にr回繰り返し実行される。時間軸上において、それらはパルスシーケンス列あるいはパルスシーケンストレインとして観念される。パルスシーケンスの詳細については後に図17を用いて説明する。なお、パルスシーケンスの1回の実行当たり取得される複数のデータがデータ列として定義される。部分工程ごとにr回のパルスシーケンスが実行されてr個のデータ列が取得される。それらはデータセットを構成する。
パルスシーケンス70について具体的に説明する。パルスシーケンス70は、時間軸上に並んだm個のサブパルスシーケンスからなる。例えば、部分工程106-1における先頭のサブパルスシーケンス期間が符号108で示されている。個々のサブパルスシーケンス期間内において、静磁場強度B及びパラメータTはいずれも一定値をとり、その期間内において例えばn個のデータ(n個のESR信号)が取得される。つまり、測定条件(静磁場強度BとパラメータTの組み合わせ)ごとに時間軸上で連なる複数のデータ(データパケット)が取得される。そのデータパケットは積算処理(局所密集型積算処理)の対象となるものであり、その積算処理の結果として、積算データ(平均データ)が得られる。なお、r及びmはいずれも2以上の整数である。nは基本的に2以上の整数であるが、要求されるS/N比を満足できる限りにおいてnは1であってもよい。
nが2以上の場合、つまり、1つのパルスシーケンス70内において測定条件ごとに1つのデータパケットが得られる場合においては、取得工程102の全体にわたって、測定条件ごとに、N個のデータパケットが得られる。それらは積算処理の対象になるものである。例えば、(D)には、N個のデータパケットに対する積算処理により生成されたN個の積算データが示されている。それらの内で先頭の積算データが符号a-1で示されており、最後の積算データが符号a-Nで示されている。積算データ列において、隣接する2つの積算データの間隔はパルスシーケンス期間に相当している。N個の積算データは積算処理(広域離散型積算処理)の対象となるものであり、その積算処理の結果として、積算データAが得られる。つまり、nが2以上の場合、広域離散型積算処理及び局所密集型積算処理が併用されることになる。これにより、低周波のノイズと高周波のノイズ、あるいは、性質の異なる複数のノイズを抑圧して、良好なS/N比を実現することが可能となる。局所密集型積算処理を実行した上で、広域離散型積算処理を実行してもよいし、両者を同時に実行してもよい。ESR信号の取得を行いながらそれと同時進行で積算処理を実行してもよい。
なお、上記N個のデータパケットはn個のデータ群でもある。その場合、個々のデータ群は、取得工程の全体にわたって離散的に存在する、同一条件下で取得されたN個データからなるものである。
一方、nが1の場合、つまり、1つのパルスシーケンス70内において測定条件ごとに1つのデータが得られる場合においては、取得工程102の全体にわたって、測定条件ごとにN個のデータが得られる。N個のデータにおいて、隣接する2つのデータの間隔はパルスシーケンス期間に相当している。N個のデータは広域離散型積算処理の対象としてのデータ群である。(D)に示す低周波のゆらぎノイズが存在していても、広域離散型積算処理によれば、そのようなゆらぎノイズを抑圧することが可能となる。ゆらぎノイズの性質に応じて、取得工程102の時間長、パルスシーケンスの時間長、N等の数値、その他を適宜調整するようにしてもよい。
図17において、(A)には第1実施形態に係るパルスシーケンス70が示されている。このパルスシーケンス70は、上記Saturation Recovery法又は上記LOD-T1法に従うものである。もちろん他の方法に従うものであってもよい。(B)には連続波ESR法(具体的には上記LOD-T1法)を実施する場合に利用される変調周期信号又は変調パルス信号としての変調クロックが示されている。変調クロックは時間軸上に並んだ複数の同期パルス78からなるものである。個々の同期パルス78が開始トリガとして利用される。(C)にはSaturation Recovery法において順次得られるESR信号(Iecho)82が示されている。(D)にはLOD-T1法において順次得られるESR信号(SLOD)84が示されている。図示された波形はいずれも例示である。(A)に示すパルスシーケンス中、[ ]nは括弧内のパルスパターンがn回繰り返されることを意味している(後述する図14及び図25においても同様である)。Tmodはサブパルスシーケンスの1周期に相当する変調周期である。
パルスシーケンス70は、パラメータTのm段階変化に対応するm個のサブパルスシーケンスの連なりとして構成されている。符号72-1は先頭のサブパルスシーケンスを示しており、符号72-mは最後のサブパルスシーケンスを示している。パルスシーケンス70の全体にわたって、パラメータTがT(1)からT(m)まで段階的に変化している。パラメータTは、上記Saturation Recovery法における待ち時間Tであり(図4参照)、あるいは、上記LOD-T1法における待ち時間Tである(図10参照)。
各サブパルスシーケンスでは、パラメータTが固定されつつ、パルスパターンがn回繰り返し実行される。図示の例では、パルスパターンはLOD-T1法に従う先頭パルス74及び後続パルス75からなる。
符号76で示されるように、パルスパターンごとに(パルスパターンの実行単位で)、パルスパターン(つまりパルスシーケンス)と磁場変調用クロックとの間で同期が確立される。例えば、パルスパターンごとに、先頭パルス74と同期パルス78との間で同期が確立される。パルスパターンに対して磁場変調用クロックを同期させてもよいし、磁場変調用クロックに対してパルスパターンを同期させてもよい。別の同期信号に対して、パルスパターン及び磁場変調用クロックを同期させてもよい。細かい単位で同期を確立することにより、同期ずれに起因するエラー(これもゆらぎノイズの原因になり得る)の蓄積を回避し得る。その結果、積算処理後において、ゆらぎノイズを高精度に抑圧することが可能となる。
実施形態においては、パルスプログラム上、パルスシーケンスが1ショットとして構成されている。つまり、サブパルスシーケンス単位でのシーケンスプログラムの起動は不要である。これにより測定時間の短縮化が図られている。なお、隣接する2つのサブパルスシーケンス期間の間には通常、装置動作条件を変更するためのブランク期間が存在する。ブランク期間ができるだけ短くなるように、つまりタイムラグができるだけ少なくなるように、パルスシーケンスを構成し、また装置動作を制御するのが望ましい。
図17の最下段に示されるように、各データセット取得工程においてはr個(rショット)のパルスシーケンスが実行され(符号87参照)、取得工程全体としてはr×N個(r×Nショット)のパルスシーケンスが実行される。
図18には、第1実施形態の変形例が示されている。取得工程200はr個の部分工程からなる。符号202-1は先頭の部分工程を示しており、符号202-rは最後の部分工程を示している。各部分工程の内容は静磁場強度Bを除いて同一である。取得工程200の全体にわたって、(B)に示すように、静磁場強度Bがr段階に変更されている(符号204参照)。符号206-1は静磁場強度Bの最低レベルを示しており、符号206-rは静磁場強度Bの最高レベルを示している。
個々の部分工程においては、パラメータTのm段階変化をもたらすパルスシーケンスがN回繰り返して実行される。例えば、部分工程202-1において、符号70-1は先頭のパルスシーケンスを示しており、符号70-Nは最後のパルスシーケンスを示している。(A)に示すように、各パルスシーケンスは、パラメータTのm段階変化に対応したm個のサブパルスシーケンスからなる。符号72-1はパラメータTの最低値を示しており、符号72-mはパラメータTの最高値を示している。各サブパルスシーケンスは、n回繰り返し実行されるパルスパターンを含む。
この変形例においても、サブパルスシーケンス単位で、つまり、同一の測定条件下で、n個のデータ(データパケット)が得られ、それらが積算処理の対象となる。また、各部分工程において、測定条件ごとにN個のデータパケットが得られ、それらが積算処理の対象となる。(C)には、N個の積算データ(平均データ)a-1~a-Nが示され、また、それらの積算処理結果としての積算データAが示されている。この変形例においても、広域離散型積算処理と局所密集型積算処理とを併用することが可能である。もっとも、図18に示した変形例において広域離散型積算処理が適用される期間は部分工程の期間であり、その期間は、図16に示した動作例において広域離散型積算処理が適用される期間よりも小さい。
第1実施形態に係るESR測定装置は、上記のように図1又は図8に示した構成を基礎として構築され得る。その場合、ESR測定装置内のコントローラが、図16及び図17に示した内容が実現さるようにパルスシーケンスを繰り返し実行し、あるいは、その実行を制御する。また、コントローラが、図17に示した同期が確立されるように、装置内の各回路の動作を制御する。図19にはコントローラの構成が例示されている。コントローラ34におけるシーケンス制御機能及び同期制御機能がシーケンス制御部36及び同期制御部38として示されている。処理手段としてのPC上において、取得工程と並行して測定条件ごとに積算処理を実行すればメモリ容量を節約できる。もちろん、すべてのデータセットを取得した上で積算処理を実行してもよい。
図20には比較例が示されている。(A)はパラメータTの変化を示している。(B)は静磁場強度Bの変化を示している。(C)はゆらぎノイズを抽象的又は概念的に示している。取得工程(全工程)90はr個の部分工程により構成されている。符号91-1は先頭の部分工程を示し、符号91-rは最後の部分工程を示している。符号92で示されているように、部分工程単位で静磁場強度Bが変更されている(符号93-1~93-r参照)。各部分工程内では静磁場強度Bが一定とされ且つパラメータTが段階的に変更されている(符号94参照)。測定条件(静磁場強度BとパラメータTの組み合わせ)ごとに、n個のデータが取得される。例えば、部分工程91-1ではパラメータTがm段階に変化しており(符号95-1~95-m参照)、各パラメータT設定期間(符号96参照)内においてn個のデータが取得される。そのn個のデータが積算処理される。この積算処理は局所密集型積算処理であり、そのような積算処理だけで、(C)に示されている長周期のゆらぎノイズを抑圧することは困難である。
図21には、比較例に係る積算処理後のデータ列110が示されている。すなわち、データ列110には局所密集型積算処理だけが適用されている。図22には、上記第1実施形態に係る積算処理後のデータ列112が示されている。すなわち、データ列112には、広域離散型積算処理と局所密集型積算処理の両方が適用されている。それらの取得に際して、静磁場強度Bは同一である。図21及び図22において、横軸はパラメータTを示しており、縦軸はLOD-T1法に従うSLODを示している。データ列110には低周波のゆらぎノイズが含まれている。一方、データ列112ではそのような歪が抑圧されている。2つのデータ列110,112の対比から明らかなように、第1実施形態によれば低周波のゆらぎノイズを効果的に抑圧することが可能である。ゆらぎノイズが抑圧された波形を逆変換対象にできるので、逆変換特有の性質の影響を受け難くなる。よって、逆変換後のデータセットの信頼性を高められる。なお、図22に示したように、第1実施形態は二次元データを生成する場合にも有効なものである。
(2-2)第2実施形態
第2実施形態に係る測定方法は、第1実施形態に係る測定方法と同じく、N個のデータセットを取得する取得工程と、N個のデータセットを積算処理する積算処理工程と、積算処理後の積算データセットに対して逆変換を適用する逆変換工程と、により構成される。取得工程と積算処理工程とが同時進行で実行されてもよく、逆変換工程に代えて他の処理又は解析を行う工程が実行されてもよい。第2実施形態に係る測定方法でも、上記Saturation Recovery法及び上記LOD-T1法を選択的に実施し得る。
図23には、取得工程の内容が例示されている。(A)はパラメータTの変化を示している。(B)は静磁場強度Bの変化を示している。(C)はゆらぎノイズεを抽象的又は概念的に示している。 (D)には積算処理が示されている。
取得工程(全工程)142は、図示の例において、N個のデータセット取得工程により構成されている。符号143-1は最初のデータセット取得工程を示しており、符号143―Nは最後のデータセット取得工程を示している。個々のデータセット取得工程の内容は同一である。
個々のデータセット取得工程において、パラメータTがm段階にわたって変更される。それが符号145で示されている。符号146-1がパラメータTの最小値を示し、符号146-mがパラメータTの最高値を示している。データセット取得工程ごとに1ショットのパルスシーケンス148が実行される。パルスシーケンス148はm個のサブパルスシーケンスからなる。サブパルスシーケンス単位でパラメータTが変更される。個々のサブパルスシーケンス期間144-1~144-m内において、静磁場強度Bが掃引される。すなわち、静磁場強度Bが連続的に又は段階的に変更される(符号134参照)。
例えば、サブパルスシーケンス期間144-1に着目すると、その期間内において静磁場強度Bが掃引されており、その期間内においてESRスペクトルに相当するデータ列が得られる。その場合、測定条件(パラメータT及び静磁場強度Bの組み合わせ)ごとにn個のデータが得られる。望ましくは、nは2以上である。局所密集型積算処理がアナログ信号処理として実行される場合、例えば、複数の変調周期にわたるESR信号が、積算処理対象としての複数のデータに相当することになる。なお、広域離散型積算処理は、通常、情報処理装置であるPC上において実行される。
nが2以上の場合、各部分工程において、測定条件ごとに複数のデータ(データパケット)が得られる。そのデータパケットは積算処理される。取得期間142の全体においては、測定条件ごとに、(D)に示されているN個の積算データa-1~a-Nが得られる。N個の積算データa-1~a-Nの積算処理により積算データAが得られる。このように、第2実施形態においても、nが2以上の場合、広域離散型積算処理と局所密集型積算処理とを併用することが可能である。
一方、nが1の場合、取得期間142の全体にわたって、測定条件ごとにN個のデータ(データ群)が得られ、それらの積算処理により積算データが得られる。その場合でも、N個のデータ単位で広域離散型積算処理を適用できるから、長周期のゆらぎノイズを抑圧できる。
図24において、(A)には第2実施形態に係るパルスシーケンス120が示されている。このパルスシーケンス120は、上記Saturation Recovery法又は上記LOD-T1法に従うものである。もちろん他の方法に従うものであってもよい。(B)には上記LOD-T1法を実施する場合に利用される変調クロックが示されている。変調クロックは時間軸上に並んだ複数の同期パルス128により構成される。(C)には磁場掃引パルス列が示されている。磁場掃引パルス列は時間軸上に並ぶ複数の同期パルス132により構成される。個々の同期パルス132をトリガとして静磁場強度Bが掃引される(符号134参照)。(D)にはLOD-T1法において得られるESR信号(SLOD)により構成されるESRスペクトル138が示されている。図示された波形はいずれも例示である。
パルスシーケンス120は、パラメータTのm段階変化に対応するm個のサブパルスシーケンスの連なりとして構成されている。パルスシーケンス70の全体にわたって、パラメータTがT(1)からT(m)まで段階的に変化している。パラメータTは、例えば、上記LOD-T1法における待ち時間Tである(図10参照)。
各サブパルスシーケンスでは、パラメータTが固定されつつ、パルスパターン122がn’回繰り返し実行される。図示の例では、パルスパターン122はLOD-T1法に従う先頭パルス124及び後続パルス126からなる。各サブパルスシーケンス期間内において静磁場強度が連続的に又は段階的に変更される。Tswは磁場掃引期間を示しており、そのTswはいつもTmodより大きい。Tsw>Tmod,Tsw=n’×Tmodといえる。
符号130で示されるように、パルスパターン122ごとに(パルスパターン122の実行単位で)、パルスパターン122(つまりパルスシーケンス)と変調クロックとの間で同期が確立される。例えば、パルスパターン122ごとに、先頭パルス124と同期パルス128との間で同期が確立される。パルスパターンに対して変調クロックを同期させてもよいし、変調クロックに対してパルスパターンを同期させてもよい。別の同期信号に対して、パルスパターン及び変調クロックを同期させてもよい。
第2実施形態においては、符号136で示されているように、個々のサブパルスシーケンスごとに、サブパルスシーケンスと磁場掃引パルスとの間でも同期が確立される。この場合、サブパルスシーケンスに対して磁場掃引パルスを同期させてもよいし、磁場掃引パルスに対してサブパルスシーケンスを同期させてもよい。別の同期信号に対して、サブパルスシーケンス及び磁場掃引パルスを同期させてもよい。
第2実施形態によれば、パルスシーケンス120の実行過程において、パルスパターン単位及びサブパルスシーケンス単位で必要な同期を確立できるので、位相検波や磁場掃引を実行する過程において、同期ずれに起因するエラーの発生を回避又は軽減できる。
第2実施形態においては、パルスプログラム上、パルスシーケンス120が1ショットとして構成されている。1ショットのパルスシーケンス120の実行によりパラメータTのm段階変化に対応したm個のESRスペクトル138が得られる。取得工程の全体では、符号140で示すように、パルスシーケンス120の実行がN回繰り返される。
(2-3)第3実施形態
第3実施形態に係る測定方法は、パルスシーケンスの内容を除いて、第2実施形態に係る測定方法(図23参照)と同様である。図25における(A)には第3実施形態に係るパルスシーケンス120Aが抽象的又は概括的に示されている。図24に示した要素と同様の要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
第3実施形態に係るパルスシーケンス120Aは、パラメータTのm段階変化に対応したm個のサブパルスシーケンスの連なりとして構成されている。各サブパルスシーケンスにおいてはパルスパターン122Aの実行がn”回繰り返される。パルスパターン122Aはパルス124Aを有している。それは例示である。各サブパルスシーケンスは、パルスパターン122Aのn”回の繰り返しに続く、パルス152を有している。例えば、パルス152のパルス幅がパラメータTによって規定される。パルスパターン122の繰り返し部分は、Saturation Recovery法、あるいは、LOD-T1法に従うパルス(又はパルス列)によって構成されてもよい。マイクロ波強度変調用のパルス(又はパルス列)、あるいは、磁場変調用のパルス(又はパルス列)として構成されてもよい。付加されたパルス152は、ESRスペクトル138Aの取得後に生成されるものである。そのパルス152は、例えば、ESRスペクトル138Aの時間的変化に伴って生じる減衰を測定する場合において利用され得る。この第3実施形態においても、符号140Aで示すように、パルスシーケンス120Aの実行がN回繰り返される。
この第3実施形態においても、パルスパターン122Aごとにパルスパターン122Aと同期パルス128との間で同期が確立される。また、サブパルスシーケンスごとにサブパルスシーケンスと同期パルス132との間で同期が確立される。このような構成によれば、同期ずれに起因するエラーの蓄積を回避することが可能となり、積算処理と相まって、信頼性の高い積算データセットを得ることが可能となる。その積算データセットに対して逆変換を適用すれば、逆変換特有の性質に起因する問題が生じ難くなる。もちろん、積算データセットに対して他の処理が施されてもよい。
10 キャビティ、12 試料、14 静磁場発生器、16 マイクロ波発生器、18 スイッチ、22 サーキュレータ、28 ミキサ(位相検波器)、32 PC、34A,34B,34 コントローラ、50 LODコイル、70 パルスシーケンス、102 取得工程、103-1,103-N データセット取得工程。

Claims (8)

  1. 試料に対してマイクロ波を供給するパルスシーケンスを繰り返し実行する制御手段と、
    前記パルスシーケンスの繰り返し実行の過程において前記試料からの電子スピン共鳴信号を処理することにより、前記パルスシーケンスごとにデータ列を生成する生成手段と、
    前記パルスシーケンスの繰り返し実行の結果として得られる複数のデータ列を処理する処理手段と、
    を含み、
    前記各パルスシーケンスは、前記試料における磁化の変化を観測するためのパラメータTのm段階変化に対応したm個のサブパルスシーケンスの連なりとして構成され、
    前記処理手段は、前記複数のデータ列に対して、同一のパラメータTを含む同一測定条件の下で取得された複数のデータからなるデータ群を単位として、積算処理を適用する、
    ことを特徴とする電子スピン共鳴測定装置。
  2. 請求項1記載の装置において、
    前記パラメータTは、縦緩和時間を測定するための時間パラメータである、
    ことを特徴とする電子スピン共鳴測定装置。
  3. 請求項1記載の装置において、
    前記各サブパルスシーケンスはn回繰り返し実行されるパルスパターンを含む、
    ことを特徴とする電子スピン共鳴測定装置。
  4. 請求項3記載の装置において、
    前記パルスパターンが変調周期で繰り返し実行され、
    前記パルスパターンごとに、当該パルスパターンと前記変調周期を規定する変調周期信号との間で同期が確立され、
    前記生成手段は、前記変調周期に従って前記電子スピン共鳴信号を検波する検波回路を有する、
    ことを特徴とする電子スピン共鳴測定装置。
  5. 請求項1記載の装置において、
    前記サブパルスシーケンスごとに磁場掃引が実行される、
    ことを特徴とする電子スピン共鳴測定装置。
  6. 請求項5記載の装置において、
    前記サブパルスシーケンスごとに、当該サブパルスシーケンスと前記磁場掃引の周期を規定する掃引周期信号との間で同期が確立される、
    ことを特徴とする電子スピン共鳴測定装置。
  7. 請求項1記載の装置において、
    前記処理手段は、
    前記データ群を単位とした積算処理の結果として積算データ列を生成する手段と、
    前記積算データ列に対する逆変換により、緩和時間軸上のデータ列を生成する手段と、
    を含むことを特徴とする電子スピン共鳴測定装置。
  8. 試料に対してマイクロ波を供給するパルスシーケンスを繰り返し実行する工程と、
    前記パルスシーケンスの繰り返し実行の過程において前記試料からの電子スピン共鳴信号を処理することにより、前記パルスシーケンスごとにデータ列を生成する工程と、
    前記パルスシーケンスの繰り返し実行の結果として得られる複数のデータ列を処理する工程と、
    を含み、
    前記各パルスシーケンスは、磁化の変化を観測するためのパラメータTのm段階変化に対応したm個のサブパルスシーケンスを含み、
    前記複数のデータ列を処理する工程では、前記複数のデータ列に対して、同一のパラメータTを含む同一測定条件の下で取得された複数のデータからなるデータ群を単位として、積算処理が適用され、
    前記同一測定条件の下で取得された複数のデータは1パルスシーケンスに対応する時間間隔をおいて順次取得された複数のデータである、
    ことを特徴とする電子スピン共鳴測定方法。
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