JP6994597B1 - 眼鏡及び眼鏡の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特に、大人のみならず、子供が眼鏡を装着した場合の、クッション性やフィッティング性等に優れるとともに、型崩れが少ない眼鏡及びそのような眼鏡の簡易的かつ安定的な製造方法に関する。
そして、このような眼鏡は、通常、フロントに設けられた鼻パッドの角度、フロントとモダンとの距離、ツルの開き具合、ヒンジの締め付け具合等をそれぞれ調整することによって、使用者の顔に対してフィットさせた状態で使用される。
このような眼鏡として、フロントとツルとの間に、所定の調整部材を設けることによって、フロントの鉛直方向に対する前後の傾斜具合、ツルの水平方向の開き具合等を容易に調整することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、図8(a)~(c)に示すように、眼鏡150は、レンズ151及び鼻パッド153が実装されたフロント155と、ツル157(テンプル)との間に、所定の調整部材159を備えている。
更に、かかる調整部159aは、U字状に形成されており、所定間隔を空けて上下に配置された一対の保持部材159c、159dと、一端に、フロント155に連結するフロント側連結部159eと、もう一方の他端に、固定部159fと、を含んで構成されている。
従って、変形した際の応力が、U字の調整部159aの折返し部分や支持部159bの付け根部分に集中しやすく、応力が集中した箇所で、破断したり、あるいは塑性変形したりして型崩れしやすいという問題があった。
そのため、所定の調整部159aを有しているものの、ツル157やフロント155を含む眼鏡150の全体としてのクッション性が不十分であるという問題が見られた。
それとともに、長孔の周囲壁に沿って、効果的に、緩衝部材の過度の変形や伸縮、捩じり等を規制することから、眼鏡全体として、所定形状を安定的に保持できることを見出し、本発明を完成させたものである。
又、本発明の別発明によれば、部品点数や工程数を少なくして、そのようなクッション性等に優れた眼鏡の簡易的かつ安定的な製造方法を提供することを目的とする。
このように構成することによって、所定構造の緩衝部材の働きによって、眼鏡を装着した場合のクッション性やフィッティング性等に優れるとともに、外部から過度の応力が付加されたよう場合であっても、型崩れが少ない眼鏡を提供することができる。
又、くびれ部の幅(W3)が比較的細いことから、そこを起点として、所望の大きさ(例えば、平均直径:3~8mm)の環状に、正確かつ容易に成形しやすくなる。
従って、所望の環状を形成しやすいことから、それを利用して、クッション性やフィッティング性等により優れるとともに、型崩れが更に少ない眼鏡を提供することができる。
又、このような所定の長さ関係を満足することにより、くびれ部を起点として、所定の大きさを有する環状に、更に正確かつ容易に成形しやすくなる。
このように構成することによって、長孔を形成する内壁と、挿入した緩衝部材の固定部との距離が、挿入程度に応じて小さくなる。
従って、水平方向のみならず、鉛直方向における移動や、ツルの過度の開脚動作に伴う、緩衝部材の捩じりを規制して、良好なクッション性等や型崩れ防止性を、安定的に維持することができる。
なお、より密着性が得られることから、先細りする長孔の形状に対応して、挿入させる緩衝部材の固定部の形状も、同様に、挿入方向に沿って、先細りさせることがより好ましい。
このように長孔の端部に、開口部が平行な切り欠きや、緩衝部材の挿入方向に沿って拡大するテーパ状導入部を設けることによって、緩衝部材の固定部の幅や、挿入位置が多少ずれたような場合であっても、所望位置に対して、緩衝部材を挿入することが容易かつ正確になる。
このようにヒンジと、緩衝部材の環状部の傾きの関係を考慮することによって、ヒンジと協働して、環状部を有する緩衝部材が、外部応力を有効に吸収し、良好なクッション性や型崩れ防止性等を発揮することができる。
このように長さ調整用の調整部を設け、その長さを変えることによって、大人から、子供まで、幅広い使用者を対象として、良好なクッション性や型崩れ防止性等を発揮することができる。
(1)少なくとも端部に、長孔が設けてあり、端部側面に、ヒンジを介して、フロントと連結するための連結部が設けてあり、更に、もう一方の端部に、所定のくびれ部に連なる、ツルに対して固定するための固定部が設けてある、変形前の長尺状の緩衝部材を準備する工程
(2)少なくとも固定部を長孔に貫通させた状態で、環状としてある緩衝部材を成形する工程
(3)緩衝部材の一部である連結部によって、ヒンジを介してフロントと連結するする工程
(4)緩衝部材の一部である固定部によって、ツルに対して、緩衝部材を固定する工程
すなわち、このような工程(1)~(4)に沿って、変形前の長尺状の緩衝部材を準備し、少なくとも固定部を長孔に貫通させた状態で、環状に変形させることによって、クッション性やフィッティング性に優れるとともに、型崩れが少ない眼鏡を、簡易方法でもって、安定的に製造できるようになった。
又、説明に用いる各図において、同一の構成成分については、同一の符号を付して示し、その説明を省略する場合もある。
そして、説明に用いる各図は、これらの発明を理解できる程度に概略的に示したものであり、説明中で述べる使用装置、形状、寸法、材質等は、この発明の範囲内の好適例にすぎない。従って、本発明は、以下の実施形態のみに、特に理由なく限定されるものではない。
第1の実施形態の眼鏡は、図1(a)~(b)の平面図及び正面図、更には、図2(a)~(b)の側面図や取り付け図に例示するように、少なくともフロント13と、ヒンジ15と、長孔17aを有する長尺物に由来する緩衝部材17と、ツル19と、モダン21と、を順次に備えた眼鏡10である。
そして、図3(a)~(b)に例示するように、緩衝部材17の端部に、長孔17aが設けてあるとともに、同端部側面に、回転駆動するヒンジ15を介して、フロント13と連結するための連結部17bが設けてある。
更に、緩衝部材17のもう一方の端部に、所定のくびれ部17cに連なる、ツル19に対して固定するための固定部17dが設けてある眼鏡10である。
すなわち、図4(a)~(b)に例示するように、少なくとも緩衝部材17の固定部17dの一部や、さらには、くびれ部17cを、長孔17aに挿入した状態で、環状に変形してある環状部17fを備えた眼鏡10である。
以下、第1の実施形態の眼鏡10につき、各構成成分に分け、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
(1)基本的構成
図1(a)等に示すように、所定の緩衝部材17の基本構成は、ヒンジ15と、ツル19との間に設けられており、当該緩衝部材17の固定部17dを、長孔17aに挿入した状態で環状部17fに変形してなる、一部が渦巻き状の弾性部材である。
従って、図3(a)に示すように、所定の緩衝部材17は、当該緩衝部材17の固定部17dを介して、ツル19に対して、強固に固定することができる。
従って、眼鏡10に対して、水平方向のみならず、鉛直方向や、捻じれ方向に、外部から過剰な応力がかかったとしても、所定の緩衝部材17が、適度に伸縮したり、変形したりすることによって、そのような応力を吸収することができる。
よって、眼鏡10を装着した場合に、このような環状部を有する緩衝部材17によって、良好なクッション性やフィッティング性が得られるとともに、長期間使用しても、型崩れが少ない眼鏡10を提供することができる。
又、緩衝部材17は、変形前は、図4(a)に示すように、全体として、長尺物17´であって、少なくとも長孔17aを有する連結部17bと、くびれ部17cと、固定部17dとを、直列状に備えていることが好ましい。
そして、変形前は、連結部17bの長孔17aを構成する、長孔壁面17a´は、長楕円状であって、所定間隔(W1)を空けて、実質的に平行配置してあることが好ましい。
更に、変形前は、長孔17aにおける長手方向の一端は、閉塞されて、長孔17aの一端を構成しており、長孔17aにおける、もう一方の端部側面には、ヒンジ15に対して、ろう付け等によって接続される連結部17bが設けてあることが好ましい。
すなわち、連結部側の所定間隙である幅W1a(mm)から、固定部側の幅W1b(mm)になるように、段階的又は徐々に細くし、平面視した場合に、先細りするテーパ状とすることが好ましい。
この理由は、長孔17aを形成する周囲壁としての長孔壁面17a´´と、挿入した緩衝部材17の固定部17dの側辺との距離が、挿入程度に応じて小さくなるためである。従って、水平方向のみならず、鉛直方向における移動等についても、更に効率的に規制され、より良好なクッション性や型崩れ防止性等を発揮できるためである。
そして、図5(a)に示すように、より密着性が得られることから、先細りする、テーパ状の長孔17aに対応して、挿入させる長尺物17´´の固定部17d等の形状についても、同様に先細りさせて、テーパ状とすることがより好ましい。
すなわち、長孔17aの形状を、平面視した場合に、段階的に先細りする階段テーパ状とすることが好ましい。
この理由は、長孔17aを形成する長孔壁面17a´´´と、挿入した緩衝部材17の固定部17dとの側辺との距離が、側方の段部の大きさに応じて、非連続であるが、段階的に小さくなるためである。
しかも、このように長孔17aにおける短径方向の幅を、段階的、かつ階段状に、先端に向かって細くすることにより、正確に形成し、切り抜くことができるためである。
そして、図5(b)に示すように、より密着性が得られることから、段階的、かつ階段状の長孔17aに対応して、挿入させる長尺状の緩衝部材である長尺物17´´´の固定部17dの形状も、同様に段階的に先細りさせて、階段状とすることがより好ましい。
又、図4(a)に示されるように、所定のくびれ部17cは、固定部17dと、連結部17bとの間に設けられており、所定形状(環状)の環状部を形成する際に、徐々に湾曲させつつ、かつ、比較的軽度の力で変形させるのに役立っている。
しかも、長孔17aを形成する長孔壁面17a´は、変形前は、全体として、長尺物での一部であるが、変形する際には、図4(b)に示されるように、所定形状(環状部17f)を形成するためのきっかけとなっている。
よって、所定形状(環状)の環状部を形成する際に、所定のくびれ部17cを、変形応力を付加する際の目安箇所とすることができる。
又、第1の実施形態の眼鏡10の場合、長孔17aを形成する長孔壁面17a´の他端は一体に接続されていて、それらによって形成される所定間隙が、長孔17aの形に構成してあることが好ましい。
そして、長孔17aを形成する長孔壁面17a´の他端にて一体に接続されている部分に、くびれ部17cを介して、固定部17dが設けてあり、固定ピンやネジ等によって、ツル19に対して、1か所又は二か所以上で、固定してある。
この理由は、このように所定長さの関係を満足する長尺物の緩衝部材が得られることから、緩衝部材の固定部を長尺物自身が有する長孔に貫通させやすくなるためである。
又、このように長さ関係を調整することによって、くびれ部を起点として、所定の大きさを有する環状部を形成しやすくなるためでもある。
この理由は、このように長円の端部に、切り欠き、又はテーパ状導入部を設けることによって、緩衝部材の固定部の幅が多少ずれたような場合であっても、挿入自体が容易になるためである。
従って、環状部からなる緩衝部材が、水平方向のみならず、鉛直方向においても、良好なクッション性や型崩れ防止性等を発揮することができる。
又、緩衝部材17の各部材の大きさについて、より詳細に説明する。
すなわち、変形前、長尺状の緩衝部材は、長尺方向に沿って、少なくとも長径及び短径を有する長孔を備えた連結部と、くびれ部と、固定部と、を含んで構成されており、長孔における短径方向の幅をW1(mm)とし、固定部における短径方向の幅をW2(mm)とし、くびれ部の幅をW3(mm)とした場合にW1、W2及びW3が、W1>W2>W3の関係式(1)を満たすことが好ましい。
この理由は、このように構成することによって、所定幅の関係を満足する長尺物の緩衝部材が得られることから、当該緩衝部材の固定部を、長尺物自身が有する長孔に対して貫通させやすくなるためである。
又、相対的に幅が小さいくびれ部を起点として、所定の大きさを有する環状部を形成しやすくなるためである。
なお、くびれ部を起点として、更に正確かつ容易に環状形成し、しかも、良好なクッション性等が得やすくなるために、1.1×W1>1.1×W2>W3の関係を満足することがより好ましく、1.2×W1>1.2×W2>W3の関係を満足することが更に好ましい。
同様に、固定部における短径方向の幅W2も、通常、1.5~6mmの範囲内の値とすることが好ましく、2~5mmの範囲内の値とすることがより好ましく、2.5~4mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
更に同様に、くびれ部17cの幅W3も、通常、1.5~2.8mmの範囲内の値とすることが好ましく、2~3mmの範囲内の値とすることがより好ましく、2.2~3.5mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
但し、円相当径が過度に大きくなると、眼鏡の外側に対して、緩衝部材が飛び出て、眼鏡を装着した場合に、顔の一部に接触する場合があるので、それについては、一般的には避けるほうが好ましい。
なお、緩衝部材の厚さについては、0.05~3mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.1~2mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.5~1.3mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、図4(a)に例示するように、長径方向(図面上、横方向)に沿った、長孔17aの長さをL1(mm)とし、固定部17dにおける長径方向に沿った長さをL2(mm)とし、くびれ部17cにおける長径方向に沿った長さをL3(mm)とした場合に、L1、L2、L3が、L1>L2>L3の関係式(2)を満たすことが好ましい。
この理由は、このように各部が所定長さ関係を満足することから、少なくとも緩衝部材の固定部及びくびれ部を長尺物自身が有する長孔に対して貫通させやすくなるためである。
又、このような所定の長さ関係を満足することにより、くびれ部を起点として、所定の大きさを有する環状に、更に正確かつ容易に形成しやすくなるためである。
1.1×L1>1.05×L2>L3の関係を満足することがより好ましく、1.2×L1>1.1×L2>L3の関係を満足することが更に好ましい。
同様に、固定部における長径方向の長さL2を、通常、5~50mmの範囲内の値とすることが好ましく、10~35mmの範囲内の値とすることがより好ましく、20~40mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
更に同様に、くびれ部における長径方向に沿った長さL3を、通常、3~40mmの範囲内の値とすることが好ましく、5~30mmの範囲内の値とすることがより好ましく、10~20mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、図3(a)に示すように、ヒンジ15がコマであって、当該コマの回転中心線(S2)と、緩衝部材の環状部の想定中心線(S1)と、を平行とすることが好ましい。
この理由は、このような複数の回転中心線をもとに、ヒンジ15と、緩衝部材17の環状部の傾きの関係を考慮することによって、ヒンジと協働して、環状部を有する緩衝部材が、外部応力を有効に吸収し、良好なクッション性や型崩れ防止性等を発揮できるためである。
なお、コマの回転中心線(S2)と、緩衝部材の環状部の想定中心線(S1)とは、実質的に並行であればよい。
従って、緩衝部材の環状部の想定中心線(S1)に対して、コマの回転中心線(S2)がなす角度が、±20°以内の値であれば好ましく、±10°以内の値であればより好ましく、±5°以内の値であれば更に好ましい。
又、緩衝部材の材質は、眼鏡の仕様に応じた任意の材料で構成できるが、典型的には、金属製材料、具体的には、チタンやベータチタンが好ましい。
この理由は、チタンやベータチタンは弾性、耐久性、加工性に優れ、特にベータチタンは好ましいためである
なお、図4(a)の上図が、長尺物17´の概略を示す平面図であり、図4(a)の下図が、長尺物17´の概略を示す側面図である。
図1(a)~(b)等に示すように、フロント13は、使用者の正面にレンズ11を安定に支持するとともに、回転支持するヒンジ15及び鼻あて23が接続固定される部材である。
従って、フロント13の形態や重量等については特に制限されるものでなく、公知の各種形態とすることが好ましいが、上述した緩衝部材17と、マッチングしたり、重量バランスにつき適合したりすることが好ましい。
よって、典型的には、使用者の顔や目に対応させて、例えば、二つの円形、楕円形、四角形等の個別フレーム13a、13bが左右に並列させて二個配列してあり、その間を、ブリッジ13cによって、一体的に連結してあることが好ましい。
特に、機械的強度、軽量性、装飾性(着色性)、経済性等を考慮すると、フロントの構成材料としては、アルミ、セルロイド樹脂、ポリエステル樹脂の少なくとも一つがより好ましく、チタン、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂が最も好ましい。
例えば、各種フィラーとして、金属フィラーや金属酸化物フィラーを、全体量の0.01~1重量%の範囲で配合することによって、メガネの帯電防止性や機械的強度を著しく高めることができる。
又、ヒンジ15は、図1等に示すように、フロント13の両端部に設けられており、所定角度に、緩衝部材17と、後述するツル19とが左右に開閉自由となるように、当該フロント13と、緩衝部材17及びツル19と、を、所定角度をなすように回転軸支する部材である。
すなわち、かかるヒンジ15は、機械的強度等も高いことから、少なくとも二つの金属部品が係合してなる、回転軸支するタイプであることが好ましい。
(1)形態
図1等に示すように、ツル19の形態については特に制限されるものでなく、ヒンジ及び緩衝部材を介して、レンズが固定されたフロントと、後述するモダンとを連結する、長尺部材とすることが好ましい。
従って、ヒンジ及びを介して、レンズが固定されたフロントと、モダンとを連結する長尺部材であって、例えば、厚さ1~8mm、長さ6~12cm、高さ(垂直方向幅)3~8mmの平板状部材に由来していることが好ましい。
又、ツル(テンプル)の構成材料の種類は特に制限されるものではないが、通常、金属としては、チタン、βチタン、洋白(ニッケル合金)、NT合金、ステンレス、アルミ等の少なくとも一つが挙げられる。
特に、機械的強度、軽量性、装飾性(着色性)、経済性等を考慮すると、ツル(テンプル)の構成材料としては、アルミ、セルロイド樹脂、ポリエステル樹脂の少なくとも一つがより好ましく、チタン、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂が最も好ましい。
例えば、着色剤を、全体量の0.01~3重量%の範囲で配合することによって、ツルの装飾性や艶等を所望の範囲において、著しく高めることができる。
又、図1(a)に示すように、ツル19の先端に、所定方向に、直線状物を変形等してあるモダン21を装着することが好ましい。
そして、かかるモダン21の一部又は別部を、長さ緩衝部材として設けることによって、図2(a)に示すように、ツル19の角度調整や長さ調節が容易である。
なお、ツル19のフロント13の側に近い箇所、すなわち、全体長さをH(mm)としたときに、通常、1/10H~1/3Hの位置に、高さ(鉛直方向幅)が段階的あるいは急に狭くなるテーパ部を設けることも好ましい。
図1(a)に示すように、鼻あて23は、フロント13の個別フレーム13a、13bの間に設けられており、装着した際に、使用者の鼻に当接して、眼鏡10の重量の一部を支えて保持するとともに、フロント13との距離を一定に保つための部材である。
かかる鼻あて23の形態については特に制限されるものでなく、通常、支持部品としてのクリングスを介して、フロントに結合されている形態とすることが好ましい。
又、鼻あて23やクリングスの突起部分によって、皮膚を傷めないように、鼻あてカバー等を設けることや、フロントの個別フレームの鼻に位置する場所を広くして、フロントと一体型の鼻あて部とすることも好ましい。
又、構成樹脂としては、セルロイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂等の少なくとも一つが挙げられる。
特に、機械的強度、軽量性、装飾性(着色性)、経済性等を考慮すると、フロントの構成材料としては、アルミ、セルロイド樹脂、ポリエステル樹脂の少なくとも一つがより好ましく、チタン、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂が最も好ましい。
又、本発明の眼鏡10の変形例を、図6を参照して説明する。
ここで、変形例1は、緩衝部材30の固定部17dの構造が、ヒンジとの関係で、相違しており、図6(a)及び図6(c)に示したように、長孔17aの端部に、緩衝部材の挿入方向に沿って拡大するテーパ状導入部32が設けてある点である。
従って、眼鏡10における緩衝部材30における長孔17aの長孔壁面17a´の他端同士は、非接続状態である。
この理由は、このような緩衝部材の挿入方向に沿って拡大するテーパ状導入部32を設けることによって、緩衝部材30の固定部17dの幅や厚さ、あるいはネジ孔17d´の位置が多少ずれたような場合であっても、所定テーパがガイドになって、長孔17aの内部への挿入自体が容易になるためである。
従って、変形例1の緩衝部材30を製造する場合、図6(c)に示したように、変形前は、長孔17aの長孔壁面17a´のくびれ部17cとは反対側端部に、緩衝部材の挿入方向に沿って拡大するテーパ状導入部32を有し、非接続状態の長尺物30´を用意することが好ましい。
そして、図6(c)に示すように、後述する第2実施形態で詳細に説明する曲げ加工等を施し、環状に変形させてなる緩衝部材30とすることが好ましい。
その後、かかる緩衝部材30における長孔17aの長孔壁面17a´の他端間に渡って、拡大するテーパ状導入部に対して、ヒンジ挿入部としての凸部15cをろう付け等によって固定すれば良い。
本発明の眼鏡の別の変形例(変形例2)を、図7(a)~(d)を参照しつつ説明する。
かかる変形例2の相違点は、図7(a)~(b)、あるいは図7(c)に示すように、緩衝部材40における、長孔17aを構成する第1長孔部材41a及び第2長孔部材41bの構造である。
又、図7(a)~(b)、あるいは図7(d)に示すように、複数の第1長孔部材41a及び第2長孔部材41bと対応する、ヒンジ15における複数の受け部41(第1受け部41c及び第2受け部41d)の構造の違いにある。
従って、眼鏡10における緩衝部材17における、長孔17aを構成する第1長孔部材41a、第2長孔部材41bの他端同士は、非接続状態である。
そして、後述する第2実施形態で説明するように、図7(d)に示すように、金型内(図示せず)等の内部で、所定の曲げ加工をし、環状に変形させてなる緩衝部材40とすることが好ましい。
次いで、長孔17aを構成する第1長孔部材41a、第2長孔部材41bの他端間に渡って、2つの受け部41(第1受け部41c及び第2受け部41d)を、ろう付け等によって固定し、ヒンジ15の一部とすることが好ましい。
すなわち、図7(b)に示すように、ヒンジ15として、第1受け部41cと第2受け部41dに挿入される凸部15cを有した構造とし、第1受け部41c、第2受け部41d、及び凸部15cと、をネジ15bによって貫通接続することが好ましい。
よって、変形例2の場合、くびれ部17cを、長孔17aを構成する第1長孔部材41aと、第2長孔部材41bとの間隙に通すことが容易になることに加え、異なる構造のヒンジを有した眼鏡にも対応することができる。
第2の実施形態は、少なくともフロント13と、ヒンジ15と、緩衝部材17と、ツル19と、モダン21と、を順次に備えた眼鏡10の製造方法であって、下記工程(1)~(4)を有することを特徴とする眼鏡の製造方法である。
(1)少なくとも端部に、長孔17aが設けてあり、長孔壁面17a´に、ヒンジ15を介して、フロント13と連結するための連結部17bが設けてあり、更に、もう一方の端部に、所定のくびれ部に連なる、ツル19に対して固定するための固定部17dが設けてある、変形前の長尺状の緩衝部材(長尺物17´)を準備する工程
(2)少なくとも固定部17dを長孔17aに貫通させた状態で、環状となる、緩衝部材17を成形する工程
(3)緩衝部材17の一部である連結部17bによって、ヒンジ15を介してフロント13と連結するする工程
(4)緩衝部材17の一部である固定部17dによって、ツル19に対して、緩衝部材17を固定する工程
以下、第2の実施形態の眼鏡の製造方法につき、各工程に分け、第1の実施形態の眼鏡と可能な限り重複しない範囲で、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
工程(1)は、所定の長尺薄片状の緩衝部材17の変形前の物である長尺物17´を準備する工程である。
図4(a)に示すように、通常、長尺状の薄片であって、少なくとも端部に、長孔が設けてあり、端部側面に、ヒンジを介して、フロントと連結するための連結部が設けてあり、更に、もう一方の端部に、所定のくびれ部に連なる、ツルに対して固定するための固定部が設けてあることが特徴である。
より具体的には、先ず、図4(a)に示したように、長孔17aを有する連結部17b、くびれ部17c、固定部17dが、長尺状の一体物となっている、所定の出発材料としての長尺物17´を用意する。
すなわち、チタン又はベータチタンの板材からプレス加工で打ち抜く等の、金型加工によって、図4(a)に示すように、緩衝部材17の変形前の長尺薄片状の長尺物17´を用意することが好ましい。
次いで、工程(2)は、図4(a)の下図に示す通り、点線Bで示すように、少なくとも、出発材料としての長尺物17´の固定部17dを、長孔17aに貫通させた状態で、環状となるように形成する工程である。
より具体的には、固定部17d及びくびれ部17cの一端を、長孔17aに通した状態として、所定湾曲部が生じて、円又は楕円等の環状となるように、例えば、金型内で、プレス成型等により曲げ加工することが好ましい。
但し、所定の折り曲げ治具を用いて、半人工的に、固定部17d及びくびれ部17cの一端を、長孔17aに通した状態に固定し、所定の環状となるように、折り曲げ装置等により、加圧して曲げ加工することも好ましい。
そして、後述する固定部17dのネジ孔17d´は、長尺物17´の変形前の状態において形成しても良いし、あるいは、曲げ加工後に、形成しても良い。
更に言えば、環状に変形されてなる緩衝部材17につき、この段階で、顕微鏡検査、三次元レーザー検査、ノギス検査等によって、所望の形状及び大きさ(直径:φ)に変形できているか、検査して、確認することが好ましい。
次いで、工程(3)は、緩衝部材17の一部である連結部17bによって、ヒンジ15を介して、フロント13と連結する工程である。
より具体的には、緩衝部材17の端部にある連結部17b(更には、長さ調整部17eを含む場合がある)の側面端部において、図3(a)~(b)に示すように、ヒンジ15の一部であるヒンジ挿入部としての凸部15cが、例えば、ろう付けによって固定される。
そして、図3(b)に示すように、かかる凸部15cは、側面がコの字状のヒンジ15の受け部15aに挿入され、ヒンジ15のネジ15bによって、ヒンジ15に接続され、所定角度に回転支持できるように構成したものである。
次いで、工程(4)は、緩衝部材17の一部である固定部17dによって、ツル19に対して、環状に形成された緩衝部材17を固定する工程である。
より具体的には、緩衝部材17の一部である固定部17dは、図3(a)に示したよう、くびれ部17cの右端部に構成してあり、具体的には、固定部17dの長手方向に沿った2か所に、ツル19に接続するためのネジ孔17d´を備えたものである。
従って、ツル19の、上記ネジ孔17d´に対応する箇所に、1つ又は複数の雌ネジが各々切ってあることから、緩衝部材17は、この固定部17dを用いて、ネジ止め等によって、ツル19に対して強固に固定される。
然も、このような固定部17dであれば、くびれ部17cの面をツル19に当てて、かつ、ネジ孔17d´を通したネジによって固定する構造であるので、緩衝部材17のツル19への固定を簡易にかつ強固に行える。
(1)装飾工程
任意工程ではあるが、眼鏡やその一部に対する装飾工程を設けて、目的や用途に応じて、眼鏡の一部又は全体に、装飾材料を後加工として着色したり、装飾したり、更には、所定文字や図形等を付することが好ましい。
更に長さ調節工程は、任意工程ではあるものの、目的や用途に応じて、図4(a)に示すように、緩衝部材17の最端部に設けてある長さ調整部17eの突起長さを変更したり、図示しないものの、長さ調整部材の表面に対して、弾性部材を被覆して、突起長さを変更等したりする工程を設けることが好ましい。
これによって、連結部17bの位置、固定部17dの位置、あるいは、ツル19の長さが適宜調整され、より使い勝手が良好な眼鏡とすることができる。
そのため、眼鏡を装着した場合のクッション性やフィット感やの調整のみならず、過剰な外部応力が付加されたとしても、それらの応力を吸収し、型崩れが少ない眼鏡を提供できるようになった。
Claims (7)
- 少なくともフロントと、ヒンジと、緩衝部材と、ツルと、モダンと、を順次に備えた眼鏡であって、
前記緩衝部材の端部に、長孔が設けてあるとともに、同端部側面に、前記ヒンジを介して、前記フロントと連結するための連結部が設けてあり、
更に、前記緩衝部材のもう一方の端部に、所定のくびれ部に連なる、前記ツルに対して固定するための固定部が設けてあり、
かつ、前記緩衝部材が、前記緩衝部材の前記長孔に、少なくとも前記固定部を貫通させた状態で、環状としてある環状部を有しており、
前記緩衝部材は、環状としてある前には長尺物であって、長尺方向に沿って、少なくとも長径及び短径を有する前記長孔を備えた連結部と、くびれ部と、固定部と、から構成されており、前記長孔における短径方向の幅をW1(mm)とし、前記固定部における短径方向の幅をW2(mm)とし、前記くびれ部の幅をW3(mm)とした場合に、前記W1、前記W2及び前記W3が、以下の関係式(1)を満たすことを特徴とする眼鏡。
- 前記長孔の短径方向の幅W1(mm)を、長尺方向に沿って、前記連結部側の幅W1a(mm)から、前記固定部側の幅W1b(mm)に向かって、段階的又は徐々に狭くすることを特徴とする請求項1又は2に記載の眼鏡。
- 前記連結部における、前記長孔の一端に、切り欠き、又は、テーパ状導入部を設けることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の眼鏡。
- 前記ヒンジがコマであって、当該コマの回転中心線と、前記緩衝部材の環状部の想定中心線と、を平行とすることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の眼鏡。
- 前記緩衝部材の、前記フロント側の端部に、当該フロントと、前記ツルとの距離を調整するための調整部を、設けることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の眼鏡。
- 少なくともフロントと、ヒンジと、緩衝部材と、ツルと、モダンと、を順次に備えた眼鏡の製造方法であって、下記工程(1)~(4)を有することを特徴とする眼鏡の製造方法。
(1)少なくとも端部に、長孔が設けてあり、端部側面に、前記ヒンジを介して、前記フロントと連結するための連結部が設けてあり、更に、もう一方の端部に、所定のくびれ部に連なる、前記ツルに対して固定するための固定部が設けてある、変形前の長尺状の緩衝部材であって、
前記変形前の長尺状の緩衝部材は、長尺方向に沿って、少なくとも長径及び短径を有する前記長孔を備えた連結部と、くびれ部と、固定部と、から構成されており、前記長孔における短径方向の幅をW1(mm)とし、前記固定部における短径方向の幅をW2(mm)とし、前記くびれ部の幅をW3(mm)とした場合に、前記W1、前記W2及び前記W3が、以下の関係式(1)を満たす変形前の長尺状の緩衝部材を準備する工程
(3)前記緩衝部材の一部である前記連結部によって、前記ヒンジを介して前記フロントと前記緩衝部材とを連結する工程
(4)前記緩衝部材の一部である前記固定部によって、前記ツルに対して、前記緩衝部材を固定する工程
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