A:第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る通信システム1の構成を例示するブロック図である。通信システム1は、複数の端末装置10と管理システム100とを具備する。管理システム100は、演出システム20と情報システム30とを具備するコンピュータシステムである。
演出システム20は、各種のイベントが開催される施設200内に設置される。第1実施形態の施設200は、複数のチームが競技する各種のスポーツの試合がイベントとして開催される競技場である。演出システム20は、施設200内においてイベントを演出するためのコンピュータシステムである。なお、実際には、相異なるイベントが開催される複数の施設200の各々に演出システム20が設置される。しかし、以下の説明においては、便宜的に1個の演出システム20に着目する。
演出システム20は、放音システム21と制御システム22とを具備する。放音システム21は、施設200内に設置された放送設備で構成される音響システムであり、施設200内の相異なる場所に設置された複数の放音装置25を具備する。複数の放音装置25の各々は、制御システム22から指示された音響(以下「演出音」という)を施設200内に放射するスピーカである。演出音は、例えば、多数の観客が発声する歓声、多数の観客の拍手により発音される音、または観客の指笛により発音される音等の各種の効果音である。また、例えば太鼓または笛等の楽器の演奏により発音される楽音を効果音としてもよい。以上の説明から理解される通り、演出システム20による演出は、放音システム21による演出音の再生である。なお、放音システム21を構成する放音装置25の個数は、施設200毎またはイベント毎に相違する。
制御システム22は、各放音装置25による再生を制御するシステムである。制御システム22は、相異なる放音装置25に対応する複数の制御端末40を具備する。複数の制御端末40の各々は、当該制御端末40に対応する1個の放音装置25に有線または無線により接続される。複数の制御端末40の各々は、例えばスマートフォンまたはタブレット端末等の可搬型の情報端末である。なお、据置型のパーソナルコンピュータを制御端末40として利用してもよい。各制御端末40は、例えばインターネット等の通信網300を介して情報システム30と通信する。なお、複数の制御端末40の機能を単体の装置により実現してもよい。図1の制御端末40を使用する利用者Ubは、例えば施設200またはイベントを運営する組織の従業員である。
情報システム30は、演出システム20による演出を管理するためのコンピュータシステムである。演出システム20および端末装置10の各々は、例えばインターネット等の通信網300を介して情報システム30と通信する。
複数の端末装置10の各々は、例えばスマートフォンまたはタブレット端末等の可搬型の情報端末である。なお、据置型のパーソナルコンピュータを端末装置10として利用してもよい。端末装置10の利用者Uaは、施設200の外側に所在する。具体的には、利用者Uaは、施設200から遠隔の地点(例えば自宅)に位置する。利用者Uaは、端末装置10を利用して、演出システム20によるイベントの演出に関与することが可能である。具体的には、相異なる複数種の演出音のうち放音装置25が実際に再生する演出音の選択に利用者Uaが関与できる。
利用者Uaは再生装置50を使用可能である。再生装置50は、例えば、施設200内で開催されるイベントの状況を表すコンテンツ(以下「中継コンテンツ」という)を再生する。例えば、放送電波の受信により中継コンテンツを再生するテレビジョン受像機が再生装置50として利用される。再生装置50は、中継コンテンツの映像を表示する表示装置と、中継コンテンツの音響を放射する放音装置とを具備する(図示略)。なお、例えばスマートフォンまたはタブレット端末等の情報端末を再生装置50として利用してもよい。また、多数の利用者Uaが視聴可能な大型の映像機器(パブリックビューイング)を再生装置50として利用してもよい。
再生装置50は、スポーツの試合等のイベントに関する中継コンテンツを当該イベントの進行に並行して再生する。利用者Uaは、再生装置50が再生する中継コンテンツの視聴により、施設200内で進行するイベントの状況を実時間的に把握できる。すなわち、利用者Uaは、再生装置50が再生する中継コンテンツを視聴することでイベントの状況を随時に確認しながら、端末装置10を利用して演出システム20によるイベントの演出(演出音の再生)に関与することが可能である。なお、利用者Ubは、中継コンテンツを提供する組織(例えば放送局)の従業員でもよい。また、中継コンテンツは、音響のみで構成されるラジオ番組、または、通信網300を介して提供されるネット配信番組でもよい。
A1:情報システム30
図2は、情報システム30の構成を例示するブロック図である。情報システム30は、制御装置31と記憶装置32と通信装置33とを具備する。なお、情報システム30は、単体の装置として実現されるほか、相互に別体で構成された複数の装置の集合としても実現される。
制御装置31は、情報システム30の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。例えば、制御装置31は、CPU(Central Processing Unit)、SPU(Sound Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の1種類以上のプロセッサにより構成される。通信装置33は、通信網300を介して制御システム22(各制御端末40)および各端末装置10と通信する。
記憶装置32は、制御装置31が実行するプログラムと制御装置31が使用する各種のデータとを記憶する単数または複数のメモリである。記憶装置32は、例えば磁気記録媒体または半導体記録媒体等の公知の記録媒体により構成される。なお、複数種の記録媒体の組合せにより記憶装置32を構成してもよい。
記憶装置32は、相異なるイベントに対応する複数の参照データXを記憶する。図3は、参照データXの模式図である。複数の参照データXの各々は、第1データXaと第2データXbとで構成される。第1データXaは、識別情報Xa1と解説情報Xa2と画像Xa3と要件情報Xa4とを含む。なお、解説情報Xa2と画像Xa3と要件情報Xa4とのうちの少なくともひとつは省略されてもよい。
識別情報Xa1は、イベントを識別するための符号列である。解説情報Xa2は、イベントの内容を表す文字列または画像である。例えば、解説情報Xa2は、イベントの名称および概要(例えば出場者または開催日時等)を含む文字列である。画像Xa3は、イベントに関連する画像である。例えば、画像Xa3は、イベント内で競技する各チームのロゴマークである。
要件情報Xa4は、各利用者Uaがイベントの演出に参加する方法を指定する。具体的には、要件情報Xa4は、第1方法と第2方法と第3方法との何れかを指定する。第1方法は、特段の条件の成立を必要とせずに利用者Uaによる参加を許容する方法である。
第2方法は、正規の識別情報の入力を条件として利用者Uaによる参加を許容する方法である。第2方法に利用される識別情報は、イベント毎に設定される符号列(パスワード)である。要件情報Xa4が第2方法を指定する場合、当該要件情報Xa4は、当該イベントの識別情報を指定する。識別情報は、例えば利用者Uaが事前に購入するチケット、または購入を通知する電子メールに掲載される。また、例えばイベントに関連する書籍または広告に掲載されたQRコード(登録商標)等の図像を読取ることで端末装置10が識別情報を取得してもよい。再生装置50が再生する中継コンテンツとともに識別情報が表示されてもよいし、中継コンテンツ内で発音される音声により識別情報が利用者Uaに告知されてもよい。利用者Uaについて事前に登録された会員番号等の登録番号を識別情報として利用してもよい。
第3方法は、端末装置10による識別情報Dの受信を条件として利用者Uaによる参加を許容する方法である。識別情報Dは、イベント毎に設定される符号列である。第3方法が指定されるイベントに対応する中継コンテンツの音響には、識別情報Dの音響成分が含まれる。図1の再生装置50は、識別情報Dの音響成分を再生する。すなわち、再生装置50は、中継コンテンツの再生に利用されるほか、音響通信により識別情報Dを送信する送信機として機能する。音響通信は、音波を伝送媒体とする近距離無線通信である。中継コンテンツの音響は可聴帯域の音響成分であるのに対し、識別情報Dは、人間が聴取し難い周波数帯域(例えば18kHz以上かつ20kHz以下)の音響成分である。したがって、利用者Uaは、中継コンテンツの音響を聴取できるけれども識別情報Dの音響成分を殆ど聴取できない。ただし、識別情報Dの音響成分の周波数帯域は任意である。
図3に例示される通り、参照データXの第2データXbは、放音装置リストXb1と画像Xb2とを含む。各イベントに対応する放音装置リストXb1は、当該イベントが開催される施設200内に設置された複数の放音装置25のリストである。具体的には、放音装置リストXb1は、施設200内の複数の放音装置25の各々について識別情報Ya(Ya1,Ya2,…)と装置名称Yb(Yb1,Yb2,…)とを含む。放音装置リストXb1に登録される放音装置25の総数および組合せは、施設200毎またはイベント毎に個別に設定される。
識別情報Yaは、放音装置25を識別するための符号列である。複数の放音装置25は施設200内の相異なる場所に設置されるから、識別情報Yaは、施設200内の場所(演出音が再生される場所)を識別するための情報とも換言される。装置名称Ybは、放音装置25に付与された名称である。また、画像Xb2は、放音装置リストXb1に登録された複数の放音装置25の何れかを利用者Uaが選択するための選択画面Gb(図10参照)に配置される画像である。
図2に例示される通り、記憶装置32は、相異なる放音装置25に対応する複数の演出音リストZを記憶する。すなわち、識別情報Ya毎に演出音リストZが記憶される。図4は、演出音リストZの模式図である。各放音装置25に対応する演出音リストZは、当該放音装置25が再生する複数の演出音のリストである。具体的には、演出音リストZは、放音装置25が再生する複数の演出音の各々について識別情報Za(Za1,Za2,…)と演出音名称Zb(Zb1,Zb2,…)とを含む。演出音リストZに登録される演出音の総数および組合せは、放音装置25毎に個別に設定される。
図2に例示される通り、記憶装置32は、相異なる演出音に対応する複数の音響データVを記憶する。すなわち、識別情報Za毎に音響データVが記憶される。各演出音に対応する音響データVは、当該演出音の波形を表すデータである。音響データVは、例えばMP3(MPEG-1 Audio Layer-3)等の任意の形式のデータである。
A2:端末装置10
図5は、端末装置10の構成を例示するブロック図である。端末装置10は、制御装置11と記憶装置12と通信装置13と表示装置14と操作装置15と収音装置16とを具備する。なお、端末装置10は、単体の装置として実現されるほか、相互に別体で構成された複数の装置の集合としても実現される。
制御装置11は、端末装置10の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。例えば、制御装置11は、CPU、SPU、DSP、FPGA、またはASIC等の1種類以上のプロセッサにより構成される。通信装置13は、通信網300を介して情報システム30と通信する。
記憶装置12は、制御装置31が実行するプログラムと制御装置31が使用する各種のデータとを記憶する単数または複数のメモリである。記憶装置12は、例えば磁気記録媒体または半導体記録媒体等の公知の記録媒体により構成される。なお、複数種の記録媒体の組合せにより記憶装置12を構成してもよい。
表示装置14は、制御装置11による制御のもとで画像を表示する再生装置である。表示装置14は、例えば液晶表示パネルまたは有機EL(ElectroLuminescence)表示パネル等の表示パネルである。操作装置15は、利用者Uaからの指示を受付ける入力機器である。操作装置15は、例えば、利用者Uaが操作する複数の操作子、または、表示装置14と一体に構成されたタッチパネルである。
収音装置16は、周囲の音響を収音するマイクロホンである。具体的には、収音装置16は、再生装置50が再生した音響を収音する。収音装置16が収音する音響には識別情報Dの音響成分が含まれる。すなわち、収音装置16は、音声通話または動画撮影時の音声入力に利用されるほか、識別情報Dを音響通信により受信する受信機として機能する。
図6および図7は、制御装置11が実行する第1制御処理Saの具体的な手順を例示するフローチャートである。第1制御処理Saは、演出システム20による演出に利用者Uaが参加するための処理である。例えば操作装置15に対する利用者Uaからの操作を契機として第1制御処理Saが開始される。例えばイベントの開始の直前に第1制御処理Saが開始され、当該イベントの進行に並行して第1制御処理Saが継続的に実行される。第1制御処理Saに連動して情報システム30の制御装置31が実行する処理が図6には併記されている。
第1制御処理Saが開始されると、制御装置11は、利用者Uaが現時点で参加可能な複数のイベントの各々に関する参照データXの第1データXaを、通信装置13により情報システム30から取得する(Sa1)。具体的には、現時点で開催されているイベント、または現時点の直後に開始されるイベントを含む複数のイベントの各々について、第1データXaが取得される。
制御装置11は、各イベントについて取得した第1データXaを利用して、図8の選択画面Gaを表示装置14に表示させる(Sa2)。選択画面Gaは、利用者Uaが参加可能な複数のイベントのリストである。具体的には、選択画面Gaにおいては、第1データXaに含まれる解説情報Xa2と画像Xa3とがイベント毎に表示される。なお、画像Xa3の表示は省略されてもよい。
利用者Uaは、表示装置14の選択画面Gaを確認しながら操作装置15を操作することで、選択画面Ga内の複数のイベントの何れか(以下「選択イベント」という)を選択可能である。制御装置11は、選択イベントの選択を利用者Uaから受付けるまで待機する(Sa3:NO)。選択イベントの選択を受付けた場合(Sa3:YES)、制御装置11は参加処理Sa4を実行する。以上の説明から理解される通り、制御装置11は、複数のイベントのうち何れかのイベントの選択を利用者Uaから受付ける要素(第1受付部)として機能する。
図9は、参加処理Sa4の具体的な手順を例示するフローチャートである。制御装置11は、選択イベントの第1データXaに含まれる要件情報Xa4が第1方法を指定するか否かを判定する(Sa41)。要件情報Xa4が第1方法を指定する場合(Sa41:YES)、制御装置11は、選択イベントへの参加を利用者Uaに許可する(Sa42)。
要件情報Xa4が第1方法を指定しない場合(Sa41:NO)、制御装置11は、要件情報Xa4が第2方法を指定するか否かを判定する(Sa43)。要件情報Xa4が第2方法を指定する場合(Sa43:YES)、制御装置11は、操作装置15に対する識別情報の入力を利用者Uaから受付ける(Sa44)。制御装置11は、利用者Uaが入力した識別情報が、要件情報Xa4に登録された正規の識別情報に合致するか否かを判定する(Sa45)。利用者Uaが正規の識別情報を入力した場合(Sa45:YES)、制御装置11は、選択イベントへの参加を利用者Uaに許可する(Sa42)。他方、利用者Uaが入力した識別情報が正規の識別情報に合致しない場合(Sa45:NO)、制御装置11は、選択イベントへの参加を利用者Uaに許可しない。選択イベントの参加が利用者Uaに許可されない場合、第1制御処理Saに移行することなく制御装置11は処理を終了する。
要件情報Xa4が第3方法を指定する場合(Sa43:NO)、制御装置11は、抽出処理を実行する(Sa46)。抽出処理Sa46は、収音装置16が再生装置50から収音する音響から識別情報Dを抽出するための信号処理である。例えば、抽出処理Sa46は、収音装置16が生成する信号のうち識別情報Dの音響成分を含む周波数帯域を強調するフィルタ処理と、処理後の信号から識別情報Dを抽出する復調処理とを含む。
制御装置11は、抽出処理Sa46により識別情報Dが抽出されたか否かを判定する(Sa47)。識別情報Dが抽出された場合(Sa47:YES)、制御装置11は、選択イベントへの参加を利用者Uaに許可する(Sa42)。他方、識別情報Dが抽出されない場合(Sa47:NO)、制御装置11は、選択イベントへの参加を利用者Uaに許可しない。
以上に例示した参加処理Sa4で選択イベントへの参加が許可された場合、制御装置11は、図6に例示される通り、選択イベントの第1データXaに含まれる識別情報Xa1を情報システム30に送信する(Sa5)。以上の説明から理解される通り、制御装置11は、選択イベントを示す識別情報Xa1を管理システム100に送信する要素として機能する。
情報システム30の制御装置31は、端末装置10から送信された識別情報Xa1を通信装置33により受信する(Sb1)。制御装置31は、記憶装置32に記憶された複数の参照データXのうち、識別情報Xa1が示す選択イベントに対応する参照データXの第2データXbを、通信装置33から端末装置10に送信する(Sb2)。端末装置10の制御装置11は、情報システム30から送信された第2データXbを通信装置13により受信する(Sa6)。
制御装置11は、情報システム30から受信した第2データXbを利用して、図10の選択画面Gbを表示装置14に表示させる(Sa7)。選択画面Gbは、選択イベントについて選択可能な複数の放音装置25を利用者Uaに提示する画像である。具体的には、選択画面Gbには、放音装置リストXb1に登録された放音装置25毎に操作画像Gb1が配置される。操作画像Gb1は、利用者Uaが操作可能なソフトウェアボタンである。各放音装置25に対応する操作画像Gb1には、当該放音装置25について放音装置リストXb1に登録された装置名称Ybが配置される。また、選択画面Gbには、第2データXbに含まれる画像Xb2が配置される。画像Xb2は、施設200内において各放音装置25が設置される場所を利用者Uaに提示する画像である。なお、前述の通り、複数の放音装置25は施設200内の相異なる場所に設置される。したがって、例えば図10からも理解される通り、放音装置リストXb1は、施設200内の各放音装置25が設置される場所(メインスタンド,バックスタンド等)のリストとも換言される。
利用者Uaは、表示装置14の選択画面Gbを確認しながら操作装置15を操作することで、選択画面Gb内の複数の放音装置25の何れか(以下「選択放音装置25」という)を選択可能である。選択放音装置25は、複数の放音装置25のうち利用者Uaが指示する演出音を再生する放音装置25である。制御装置11は、図7に例示される通り、選択放音装置25の選択を利用者Uaから受付けるまで待機する(Sa8:NO)。以上の説明から理解される通り、制御装置11は、選択イベントが開催される施設200において演出音が再生される放音装置25の選択を利用者Uaから受付ける要素(第3受付部)として機能する。以上に例示した機能は、演出音が再生される場所の選択を利用者Uaから受付ける機能とも換言される。
選択放音装置25の選択を受付けた場合(Sa8:YES)、制御装置11は、放音装置リストXb1に登録された複数の識別情報Yaのうち選択放音装置25の識別情報Yaを情報システム30に送信する(Sa9)。すなわち、制御装置11は、利用者Uaが選択した選択放音装置25を示す識別情報Yaを管理システム100に送信する要素として機能する。
情報システム30の制御装置31は、端末装置10から送信された識別情報Yaを通信装置33により受信する(Sb3)。制御装置31は、記憶装置32に記憶された複数の演出音リストZのうち、識別情報Yaが示す選択放音装置25に対応する演出音リストZを、通信装置33から端末装置10に送信する(Sb4)。端末装置10の制御装置11は、情報システム30から送信された演出音リストZを通信装置13により受信する(Sa10)。
制御装置11は、情報システム30から受信した演出音リストZを利用して、図11の選択画面Gcを表示装置14に表示させる(Sa11)。選択画面Gcは、利用者Uaが選択可能な複数の演出音を利用者Uaに提示する画像である。具体的には、選択画面Gcには、演出音リストZに登録された演出音毎に操作画像Gc1が配置される。操作画像Gc1は、利用者Uaが操作可能なソフトウェアボタンである。各演出音に対応する操作画像Gc1には、当該演出音について演出音リストZに登録された演出音名称Zbが配置される。例えば、図11の「歓声(大)」は、観客が発音する大音量の歓声の演出音を意味し、「歓声(小)」は、「歓声(大)」よりも音量が小さい歓声の演出音を意味する。また、「拍手」は複数の観客による拍手で発音される演出音であり、「指笛」は観客による指笛で発音される演出音である。なお、「歓声(大)」は、「歓声(小)」と比較して盛上がった雰囲気の演出音、または、「歓声(小)」と比較して多数の観客が発音する歓声の演出音とも換言される。
利用者Uaは、表示装置14の選択画面Gcを視認しながら操作装置15を操作することで、選択画面Gc内の複数の演出音の何れか(以下「選択演出音」という)を選択可能である。制御装置11は、選択演出音の選択を利用者Uaから受付けるまで待機する(Sa12:NO)。以上の説明から理解される通り、制御装置11は、複数の演出音のうち何れかの演出音の選択を利用者Uaから受付ける要素(第2受付部)として機能する。また、利用者Uaによる選択演出音の選択は、「演出効果の指示」の一例である。
選択演出音の選択を受付けた場合(Sa12:YES)、制御装置11は送信処理を実行する(Sa13)。送信処理Sa13において、制御装置11は、出力要求Raを通信装置13から情報システム30に送信する。出力要求Raは、選択イベントにおいて施設200内の選択放音装置25から選択演出音を出力する動作の指示である。具体的には、出力要求Raは、選択イベントの識別情報Xa1と、選択放音装置25の識別情報Yaと、選択演出音の識別情報Zaとを含む。選択演出音の識別情報Zaは、演出音リストZから検索される。なお、操作画像Gc1に対する利用者Uaからの操作は、所定長(例えば1秒間)の期間毎に1回だけ有効な操作として受付けられる。すなわち、利用者Uaが短い間隔で操作画像Gc1を何度も操作した場合でも、当該期間内における最初の操作のみが有効に受付けられ、他の操作は無視される。
以上の説明から理解される通り、制御装置11は、選択イベントにおいて選択放音装置25から選択演出音を出力する動作の出力要求Raを、管理システム100に送信する要素(送信制御部)として機能する。情報システム30の制御装置31は、端末装置10から送信された出力要求Raを通信装置33により受信する(Sb5)。制御装置31は、出力要求Raを記憶装置32に格納する(Sb6)。
以上に例示した通り、要件情報Xa4が第2方法を指定する場合、制御装置11は、選択イベントに対応する識別情報の入力を条件として出力要求Raを送信する。以上の構成によれば、施設200内において再生される演出音を端末装置10により指示できる利用者Uaを、識別情報を取得した利用者Uaに制限できる。
また、要件情報Xa4が第3方法を指定する場合、制御装置11は、選択イベントの中継コンテンツを再生する再生装置50を利用した音響通信により当該選択イベントの識別情報Dを受信することを条件として、出力要求Raを送信する。以上の構成によれば、端末装置10により演出音を指示できる利用者Uaを、施設200内のイベントの進行に並行して実際に中継コンテンツを視聴している利用者Uaに制限できる。
送信処理Sa13を実行すると、端末装置10の制御装置11は、利用者Uaから終了が指示されたか否かを判定する(Sa14)。終了が指示されない場合(Sa14:NO)、制御装置11は、利用者Uaによる選択演出音の選択を待機する(Sa12:NO)、以上の説明から理解される通り、利用者Uaによる選択演出音の選択(すなわち操作画像Gc1の操作)毎に、選択演出音を指定した出力要求Raが端末装置10から管理システム100に送信される。各端末装置10が以上の処理を実行することで、複数の端末装置10から送信された複数の出力要求Raが情報システム30の記憶装置32に蓄積される。
他方、情報システム30の制御装置31は、複数の端末装置10から受信した出力要求Raを集計する処理(以下「集計処理」という)を実行する(Sb7)。集計処理Sb7は、例えば、出力要求Raにより要求された回数(以下「指示回数」という)Nを演出音毎に計数する統計処理である。具体的には、各イベントにおいて使用される複数の放音装置25の各々について、当該放音装置25に対応する演出音毎の指示回数Nが集計される。各演出音の指示回数Nは所定の周期でゼロに初期化される。
A3:演出システム20
図12は、演出システム20を構成する1個の制御端末40の構成を例示するブロック図である。制御端末40は、制御装置41と記憶装置42と通信装置43と表示装置44と操作装置45とを具備する。なお、制御端末40は、単体の装置として実現されるほか、相互に別体で構成された複数の装置の集合としても実現される。
制御装置41は、制御端末40の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。例えば、制御装置41は、CPU、SPU、DSP、FPGA、またはASIC等の1種類以上のプロセッサにより構成される。通信装置43は、通信網300を介して情報システム30と通信する。
記憶装置42は、制御装置41が実行するプログラムと制御装置41が使用する各種のデータとを記憶する単数または複数のメモリである。記憶装置42は、例えば磁気記録媒体または半導体記録媒体等の公知の記録媒体により構成される。なお、複数種の記録媒体の組合せにより記憶装置42を構成してもよい。
表示装置44は、制御装置41による制御のもとで画像を表示する再生装置である。表示装置44は、例えば液晶表示パネルまたは有機EL表示パネル等の表示パネルである。操作装置45は、利用者Ubからの指示を受付ける入力機器である。操作装置45は、例えば、利用者Ubが操作する複数の操作子、または、表示装置44と一体に構成されたタッチパネルである。
図13は、演出システム20を利用したイベントの演出を準備するために制御装置41が実行する処理(以下「準備処理」という)Scの具体的な手順を例示するフローチャートである。準備処理Scは、施設200内におけるイベントの開始前に実行される。例えば操作装置45に対する利用者Ubからの操作を契機として準備処理Scが開始される。制御システム22を構成する複数の制御端末40の各々について準備処理Scが並列または順次に実行される。
準備処理Scが開始されると、制御装置41は、図14の設定画面Gdを表示装置44に表示させる(Sc1)。設定画面Gdは、制御端末40を利用した演出のための各種の設定を利用者Ubが指示する画面である。具体的には、設定画面Gdは、操作画像Gd1と操作画像Gd2と操作画像Gd3とを含む。
操作画像Gd1は、演出システム20が利用されるイベントを利用者Ubが選択するための画像である。操作画像Gd2は、演出システム20の複数の放音装置25のうち当該制御端末40が制御する放音装置25を利用者Ubが選択するための画像である。操作画像Gd3は、第2制御処理Sd(後述)の開始を利用者Ubが指示するための画像である。
制御装置41は、開催が予定されている複数のイベントの各々に対応する参照データXの第1データXaを、通信装置43により情報システム30から取得する(Sc2)。具体的には、情報システム30に参照データXが登録された複数のイベントの各々について第1データXaが取得される。
制御装置41は、操作画像Gd1に対する操作を契機として選択リストL1を表示装置44に表示させる(Sc3)。選択リストL1は、利用者Ubが選択可能な複数のイベントの配列である。具体的には、選択リストL1においては、第1データXaに含まれる解説情報Xa2(イベント名)がイベント毎に表示される。
利用者Ubは、表示装置44の選択リストL1を確認しながら操作装置45を操作することで、選択リストL1内の複数のイベントの何れか(以下「設定イベント」という)を選択可能である。制御装置41は、設定イベントの選択を利用者Ubから受付けるまで待機する(Sc4:NO)。設定イベントの選択を受付けた場合(Sc4:YES)、制御装置41は、設定イベントに対応する参照データXの第2データXbを通信装置43により受信する(Sc5)。
制御装置41は、操作画像Gd2に対する操作を契機として図14の選択リストL2を表示装置44に表示させる(Sc6)。選択リストL2は、利用者Ubが選択可能な複数の放音装置25の配列である。具体的には、選択リストL2においては、情報システム30から受信した第2データXbの放音装置リストXb1に含まれる装置名称Ybが放音装置25毎に配置される。
利用者Ubは、表示装置44の選択リストL2を確認しながら操作装置45を操作することで、選択リストL2内の複数の放音装置25の何れか(以下「設定放音装置25」という)を選択可能である。制御装置41は、設定放音装置25の選択を利用者Ubから受付けるまで待機する(Sc7:NO)。
設定放音装置25の選択を受付けた場合(Sc7:YES)、制御装置41は、記憶装置32に記憶された複数の音響データVのうち、設定放音装置25に対応する演出音リストZに登録された複数の音響データVを、通信装置43により情報システム30から受信する(Sc8)。以上の例示の通り、設定イベントに使用される複数の放音装置25のうち設定放音装置25に対応する複数の音響データVが、当該設定放音装置25に接続された制御端末40の記憶装置42に記憶される。なお、各種のイベントにおいて利用可能な複数の音響データVが記憶装置42に事前に記憶されてもよい。例えば、以下に例示する第2制御処理Sdを実現するためのプログラムとともに複数の音響データVが提供されてもよい。具体的には、例えばイベントに出場するチームの楽曲(応援曲)、または、当該チームに特有の掛声等、イベントにおいて頻繁に利用される基本的な演出音を表す音響データVは、記憶装置42に定常的に記憶されてもよい。
以上に例示した準備処理Scを実行すると、制御端末40の制御装置41は、図15に例示された第2制御処理Sdを実行する。第2制御処理Sdは、複数の端末装置10から送信された出力要求Raに応じて放音システム21に演出音を再生させる処理である。例えば、設定画面Gd内の操作画像Gd3に対する利用者Ubからの操作を契機として第2制御処理Sdが実行される。制御システム22を構成する複数の制御端末40について第2制御処理Sdが並列に実行される。
第2制御処理Sdが開始されると、制御装置41は、所定長(例えば数秒間)の単位期間が経過するまで待機する(Sd1:NO)。単位期間が経過すると、制御装置41は、情報要求Rbを通信装置43から情報システム30に送信する(Sd2)。情報要求Rbは、複数の端末装置10による出力要求Raの送信に関する状況を情報システム30に要求する信号である。情報要求Rbは、制御端末40において利用者Ubが選択した設定イベントの識別情報Xa1と、利用者Ubが選択した設定放音装置25の識別情報Yaとを含む。
情報システム30の制御装置31は、制御端末40から送信された情報要求Rbを通信装置33により受信する(Se1)。制御装置31は、情報要求Rbに対する応答として状況データWを通信装置33から要求元の制御端末40に送信する(Se2)。状況データWは、複数の端末装置10による出力要求Raの送信の状況を表すデータである。具体的には、状況データWは、情報要求Rb内の識別情報Xa1が示す設定イベントに使用される複数の放音装置25のうち、当該情報要求Rb内の識別情報Yaが示す設定放音装置25に対応する演出音毎に指示回数Nを含む。
制御端末40の制御装置41は、情報システム30から送信された状況データWを通信装置43により受信する(Sd3)。以上の説明から理解される通り、制御装置41は、複数の端末装置10による出力要求Raの送信状況を単位期間毎に照会(すなわちポーリング)する。
制御装置41は、準備処理Scにより記憶装置42に記憶された複数の音響データVから、状況データWに応じた音響データVを選択する(Sd4)。例えば、制御装置41は、状況データWが表す指示回数Nが最大である演出音の音響データVを選択する。制御装置41は、音響データVが表す演出音を設定放音装置25に再生させる(Sd5)。具体的には、制御装置41は、音響データVに応じた音響信号を設定放音装置25に供給する。以上の説明から理解される通り、施設200内に設置された複数の放音装置25の各々から、当該放音装置25を選択した多数の利用者Uaが選択した演出音が再生される。なお、指示回数Nの最大値が所定の閾値を下回る場合に、放音装置25に演出音を再生させない構成も想定される。また、参加処理Sa4により選択イベントへの参加が許可された利用者Uaの総数(すなわち管理システム100が提供するサービスを実際に利用している利用者Uaの総数)が所定の閾値を上回ることを条件として、制御装置41が放音装置25による演出音の再生(Sd5)を実行してもよい。すなわち、利用者Uaの総数が閾値を下回る場合には、放音装置25による演出音の再生を停止してもよい。
制御装置41は、所定の終了条件が成立したか否かを判定する(Sd6)。終了条件は、例えば操作装置45に対する操作で利用者Ubから第2制御処理Sdの終了が指示されたことである。終了条件が成立しない場合(Sd6:NO)、制御装置41は、処理をステップSd1に移行し、単位期間の経過を待機する。以上の説明から理解される通り、制御装置41は、単位期間毎に状況データWを取得し、当該状況データWに応じて選択された音響データVが表す演出音を放音装置25に再生させる。終了条件が成立した場合(Sd6:YES)、制御装置41は第2制御処理Sdを終了する。
以上に説明した通り、第1実施形態においては、複数のイベントのうち利用者Uaが選択したイベントにおいて、利用者Uaが指示した演出音を出力する指示が、端末装置10から管理システム100に送信される。したがって、複数のイベントのうち利用者Uaが選択したイベントにおいて利用者Uaの所望の演出音を出力できる。すなわち、イベントに寄与できる利用者Uaを増加させることが可能である。
B:第2実施形態
第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各態様において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第1実施形態においては、利用者Uaが選択した演出音(選択演出音)の識別情報Zaを含む出力要求Raが端末装置10から管理システム100に送信される。第2実施形態においては、利用者Uaが発音した音響(以下「入力音」という)を表す収音データqを含む出力要求Raが、端末装置10から管理システム100に送信される。
図16は、第2実施形態における選択画面Gcの模式図である。第2実施形態の選択画面Gcは、第1実施形態の選択画面Gcに操作画像Gc2を追加した構成である。操作画像Gc2は、利用者Uaによる入力音の入力を受付けるためのソフトウェアボタンである。具体的には、制御装置11は、操作画像Gc2が操作されている期間内において、収音装置16が収音する入力音を表す収音データqを生成する。利用者Uaは、操作画像Gc2を操作した状態で所望の入力音を発音する。例えば、イベントに出場するチームを応援する音声、または利用者Uaによる演奏で楽器から発音される楽音等の任意の入力音を表す収音データqが生成される。なお、入力音は、イベントの進行に並行して実時間的に収音されてもよいし、イベントの開始前に事前に収音されてもよい。収音データqは、例えばMP3等の任意の形式のデータである。なお、利用者Uaによる入力音の入力は「演出効果の指示」の一例である。
図7の送信処理Sa13において、制御装置11は、収音データqを含む出力要求Raを通信装置13から情報システム30に送信する。具体的には、出力要求Raは、選択イベントの識別情報Xa1および選択放音装置25の識別情報Yaと、収音データqとを含む。情報システム30の制御装置31は、端末装置10から送信された出力要求Raを受信し(Sb5)、収音データqを記憶装置32に格納する(Sb6)。複数の端末装置10から送信された出力要求Raに含まれる出力要求Raが、情報システム30の記憶装置32に蓄積される。
図17は、第2実施形態における集計処理Sb7の説明図である。情報システム30の制御装置31は、集計処理Sb7において、記憶装置32に記憶された複数の収音データq(q1,q2,…)を混合することで音響データQを生成し、当該音響データQを記憶装置32に格納する。音響データQは、複数の利用者Uaが発音した入力音を混合した演出音の波形を表す。
図15に例示される通り、情報要求Rbを受信すると(Se1)、情報システム30の制御装置31は、記憶装置32に記憶された音響データQを含む状況データWを通信装置33から制御端末40に送信する。状況データWを受信すると(Sd3)、制御端末40の制御装置11は、音響データQが表す演出音を設定放音装置25に再生させる(Sd5)。以上に説明した通り、複数の利用者Uaが発音した入力音を混合した演出音が施設200内の放音装置25から再生される。
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態においては、各利用者Uaが発音した入力音に応じた演出音が施設200内の各放音装置25から再生される。したがって、施設200内に再生される演出音を多様化することが可能である。
C:変形例
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された複数の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
(1)第1実施形態においては、相異なる音響データVに対応する複数の演出音のうち、指示回数Nが最大である演出音を放音装置25に再生させたが、放音装置25に再生させる演出音は以上の例示に限定されない。例えば、複数の音響データVのうち指示回数Nに応じて選択された音響データVを当該指示回数Nに応じて調整したうえで放音装置25に供給してもよい。例えば、音響データVが表す演出音の音量を指示回数Nに応じて調整してもよい。具体的には、指示回数Nが多いほど演出音が大音量で再生される。複数の音響データVを混合した演出音を放音装置25に再生させてもよい。例えば、各演出音の指示回数Nを加重値とした複数の音響データVの加重和を放音装置25に供給することで、複数の演出音の混合音を再生してもよい。
また、1種類の演出音について用意された複数の音響データVの何れかを、当該演出音の指示回数Nに応じて選択してもよい。例えば、演出音の一例である拍手音について、少人数による拍手音と中人数による拍手音と多人数による拍手音との各々に対応する音響データVが用意される。指示回数Nが最大である拍手音を選択した場合(Sd4)、制御端末40の制御装置41は、拍手音に対応する複数の音響データVの何れかを指示回数Nに応じて選択し、当該音響データVが表す拍手音を放音装置25に再生させる。例えば、指示回数Nが所定の閾値Nth1を下回る場合には、少人数の拍手音に対応する音響データVが放音装置25に供給される。指示回数Nが閾値Nth1以上の閾値Nth2を上回る場合には、多人数の拍手音に対応する音響データVが放音装置25に供給される。また、指示回数Nが閾値Nth1と閾値Nth2との間の数値である場合、中人数の拍手音に対応する音響データVが放音装置25に供給される。以上の例示の通り、相異なる数値範囲に対応する複数の音響データVのうち、指示回数Nが含まれる数値範囲に対応する音響データVに応じた演出音が放音装置25により再生される。
(2)第2実施形態においては、各利用者Uaが発音した入力音の混合音を放音装置25に再生させたが、各利用者Uaの挙動を放音装置25による再生音に反映させる方法は以上の例示に限定されない。例えば、操作装置15に対する操作で各利用者Uaが任意の文字列(以下「指示文字列」という)を指示してもよい。制御装置11は、指示文字列を含む出力要求Raを通信装置13から管理システム100(情報システム30)に送信する。管理システム100の制御装置31は、指示文字列に対応する音声を表す音声データを公知の音声合成処理により生成する。制御装置31は、指示文字列から生成された複数の音声データを集計処理Sb7において混合することで音響データQを生成する。音響データQに応じた演出音を放音装置25に放音させる動作は第2実施形態と同様である。また、制御装置31は、第1言語で表現された指示文字列を第2言語に翻訳し、当該翻訳後の指示文字列に対応する音声データを音声合成処理により生成してもよい。第2実施形態の収音データqに対する音声認識で指示文字列を生成し、当該指示文字列に対する音声合成処理により音声データを生成してもよい。また、相異なる利用者Uaが入力した指示文字列に対する統計処理で文字列を生成し、当該文字列に対する音声合成処理により音声データを生成してもよい。
(3)再生装置50の操作に利用されるリモコン装置が端末装置10として利用されてもよい。リモコン装置に搭載された複数の操作子のうち特定の操作子の操作により、利用者Uaは複数の演出音の何れかを選択できる。
(4)前述の各形態においては、第1方法と第2方法と第3方法との何れかにより利用者Uaがイベントに参加したが、以上に例示した方法から任意に選択された2種類の方法の何れかが要件情報Xa4により指定されてもよい。なお、再生装置50のリモコン装置を端末装置10として利用する前述の構成においては、端末装置10が収音装置16を具備しない。したがって、識別情報Dの音響通信を必要としない第1方法および第2方法が利用される。また、事前に決定された1種類の方法のみにより利用者Uaがイベントに参加してもよい。利用者Uaによる参加の方法が1種類に限定される構成では、要件情報Xa4が参照データXから省略されてもよい。
(5)前述の各形態においては、再生装置50が中継コンテンツを再生したが、端末装置10が中継コンテンツを再生してもよい。中継コンテンツを再生するためのプログラムと、第1制御処理Saを実現するためのプログラムとは、単体のプログラムを構成してもよいし相互に別個のプログラムでもよい。
(6)前述の各形態においては、放音装置25に演出音を再生させたが、演出システム20が出力する演出効果は、演出音の再生(すなわち音響効果)に限定されない。例えば、施設200内に設置された照明装置を利用した照明効果を演出システム20が制御してもよい。例えば、各利用者Uaからの指示に応じた条件(発光色,発光量,発光パターン)により制御システム22が照明装置を制御する。また、施設200内に設置された演出用の発煙装置を利用した演出効果を演出システム20が制御してもよい。例えば、各利用者Uaからの指示に応じた条件(発煙量,煙色等)により制御システム22が発煙装置を制御する。以上の例示から理解される通り、「演出効果」は、施設200内で出力される任意の効果を意味する。放音装置25による演出音の再生、照明装置による発光、および発煙装置による発煙は、「演出効果の出力」の例示である。また、管理システム100は、イベントにおける演出効果の出力を管理するためのコンピュータシステムとして表現される。
(7)前述の各形態においては、利用者Uaが選択した選択放音装置25に、当該利用者Uaが選択した選択演出音を再生させたが、利用者Uaによる放音装置25の選択(Sa8)は必須ではない。例えば、利用者Uaが選択した演出音を、施設200内の全部の放音装置25から再生してもよい。また、前述の各形態においては、複数の演出音のうち利用者Uaが選択した演出音を放音装置25に再生させたが、利用者Uaによる演出音の選択は必須ではない。例えば1種類の演出音のみが用意された構成においては、利用者Uaからの指示に応じて当該演出音が放音装置25により再生される。
(8)任意の入力音を利用者Uaが指示できる第2実施形態の機能の利用を、特定の条件を充足する利用者Uaのみに許可してもよい。例えば、電子決済により所定の金額を支払った利用者Uaのみに限定して、任意の入力音の指示が許可される。また、利用者Uaに許可される動作の範囲を、当該利用者Uaが支払った金額に応じて変化させてもよい。例えば、利用者Uaによる支払の金額が大きいほど、当該利用者Uaが入力音を指示できる回数を増加させる構成が想定される。また、利用者Uaが指示できる演出音の種類数または各演出音の選択の回数を、当該利用者Uaによる支払の金額に応じて制御してもよい。
(9)施設200内のイベントに関連する各種の機能を、端末装置10が第1制御処理Saを実現するためのプログラムに搭載してもよい。例えば、イベントに関連する商品を利用者Uaが電子商取引により購入するための機能、イベントの主催者に所定の金銭(いわゆる投げ銭)を電子的に提供する機能を、第1制御処理Saのためのプログラムに搭載してもよい。
(10)前述の各形態においては、施設200内の複数の放音装置25の何れかを利用者Uaが選択する構成を例示したが、演出音が再生される場所を利用者Uaが選択するための方法は以上の例示に限定されない。例えば、複数の放音装置25は施設200内の相異なる場所に設置されるから、図10の例示の通り、施設200内の場所を利用者Uaが選択することで、当該場所に設置された放音装置25が選択されてもよい。また、例えば複数のチームがスポーツで競技するイベントを想定すると、施設200内の多数の座席がチーム毎の領域(以下「座席領域」という)に区分される場合がある。以上の状況では、利用者Uaがチームを選択することで、施設200内の複数の座席領域のうち当該チームに対応する座席領域が特定される。したがって、イベントに参加する複数のチームの何れかを利用者Uaが選択することで、当該チームに対応する座席領域内の放音装置25が選択されてもよい。また、例えば利用者Uaについて事前に登録された属性情報に、当該利用者Uaが応援するチームが登録される場合が想定される。以上の状況では、利用者Uaの属性情報に応じて選択放音装置25が自動的に選択されてもよい。例えば、施設200内の複数の座席領域のうち属性情報に登録されたチームに対応する座席領域が特定され、当該座席領域に設置された放音装置25が選択される。
(11)前述の各形態においては、管理システム100が演出システム20と情報システム30とで構成される態様を例示したが、管理システム100の構成は以上の例示に限定されない。例えば、情報システム30および制御システム22に搭載された前述の機能が単体の装置で実現されてもよい。
前述の各形態において例示した情報システム30の一部の機能が制御システム22に搭載されてもよい。例えば、端末装置10から送信された複数の出力要求Raを記憶する機能(Sb6)、または、複数の出力要求Raについて集計処理Sb7を実行する機能は、制御システム22に搭載されてもよい。また、前述の各形態において例示した制御システム22の一部の機能が情報システム30に搭載されてもよい。例えば、複数の音響データVの何れかを指示回数Nに応じて選択する機能(Sd4)は、情報システム30に搭載されてもよい。
(12)前述の各形態においては、複数の競技者(チーム)がスポーツで競技する競技イベントを例示したが、演出効果が出力されるイベントの種類は以上の例示に限定されない。例えば、歌手またはダンサー等の実演者が実演する実演イベント(ライブ)、各種の物品を展示する展示イベント、または、学校や学習塾等の各種の教育機関が生徒に授業を提供する教育イベント、または専門家等の講演者が各種の題材について講演する講演イベント等、特定の目的で開催される各種の行事が「イベント」の概念に包含される。また、動画配信サイトにより配信される動画の作成者が自宅等の施設内で自身の活動を実時間的に収録および配信(すなわち生放送)する場面を想定すると、当該活動も「イベント」の概念には包含される。以上の例示から理解される通り、イベントは、演出効果が出力される各種の興行を意味する。
(13)放音装置25が再生する複数の演出音のセット(以下「演出音セット」という)を、施設200内で開催されるイベントの種類に応じて制御装置41が自動的に切替えてもよい。例えば、実演イベントと競技イベントとで各演出音を切替えてもよい。具体的には、制御端末40の記憶装置42は、相異なる種類のイベントに対応する複数の演出音セットを記憶する。操作装置45に対する操作で利用者Ubがイベントの種類を指示すると、制御装置41は、複数の演出音セットのうち当該種類に対応する演出音セットを選択する。制御装置41は、種類に応じて選択した演出音セット内の複数の演出音の何れかを状況データWに応じて放音装置25に再生させる。
(14)管理システム100が提供する以上のサービスを実際に利用している利用者Uaの総数を、管理システム100から各端末装置10に通知し、各端末装置10の制御装置11が、例えば表示装置14の表示により当該数値を各利用者Uaに報知してもよい。また、複数の演出音の各々について当該演出音を選択した利用者Uaの総数、または、収音装置16を利用して入力音を入力した利用者Uaの総数を、制御装置11が例えば表示装置14の表示により各利用者Uaに報知してもよい。また、以上に例示した各数値に応じて、表示装置14に表示される画像(例えば選択画面Gc)の表示態様を変化させてもよい。例えば、利用者Uaに報知される数値に応じて、選択画面Gcの表示色を変化させる構成が想定される。以上の構成によれば、施設200内の演出効果に寄与している利用者Uaの規模を各利用者Uaが把握できるから、演出効果に寄与する誘因を利用者Uaに付与することが可能である。
(15)以上の例示した端末装置10の機能(例えば第1制御処理Sa)は、前述の通り、制御装置11を構成する単数または複数のプロセッサと、記憶装置12に記憶されたプログラムとの協働により実現される。情報システム30の機能は、前述の通り、制御装置31を構成する単数または複数のプロセッサと、記憶装置32に記憶されたプログラムとの協働により実現される。制御システム22の機能(準備処理Sc,第2制御処理Sd)は、前述の通り、制御装置41を構成する単数または複数のプロセッサと、記憶装置42に記憶されたプログラムとの協働により実現される。
以上に例示したプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、配信装置が通信網を介してプログラムを配信する構成では、当該配信装置においてプログラムを記憶する記録媒体が、前述の非一過性の記録媒体に相当する。
D:付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
本開示のひとつの態様(態様1)に係る演出管理方法は、端末装置が、複数のイベントのうち何れかのイベントの選択を利用者から受付け、前記イベントにおいて出力される演出効果の指示を利用者から受付け、前記イベントにおける前記演出効果の出力の要求を、前記複数のイベントの各々における演出効果の出力を管理するための管理システムに送信する。以上の態様においては、複数のイベントのうち利用者が選択したイベントにおいて、利用者が指示した演出効果を出力する指示が、端末装置から管理システムに送信される。したがって、複数のイベントのうち利用者が選択したイベントにおいて利用者の所望の演出効果を出力できる。すなわち、イベントに寄与できる利用者を増加させることが可能である。
「演出効果」は、イベントを盛上げるための演出的な効果である。例えば、イベントが開催される施設の照明設備を利用した照明効果、当該施設の音響設備を利用した音響効果等の、施設内に所在する利用者が知覚可能な各種の効果が「演出効果」の概念に包含される。
本開示の好適な態様は、イベントが開催される施設から遠隔に所在する端末装置が要求を管理システムに送信する態様である。以上の態様によれば、施設から離間した遠隔地に所在する利用者が、当該施設内の演出効果に寄与することが可能である。例えば、種々の事情により無観客で開催されるイベントでも、遠隔地に所在する複数の利用者からの指示に応じた演出効果(例えば歓声の再生)を施設内において出力することで、当該イベントの雰囲気を盛上げることが可能である。ただし、施設内に所在する利用者の端末装置を利用してもよい。以上の態様によれば、例えば、施設内に所在するが障碍等の事情により応援できない状況にある利用者が、当該施設内の演出効果に影響することが可能である。
態様1の具体例(態様2)において、前記演出効果は、前記イベントが開催される施設内に放音される演出音を含む。以上の態様によれば、利用者からの指示に応じた演出音が施設内に放音される。したがって、施設内で開催されるイベント(特に競技イベント)の雰囲気を効果的に盛上げることが可能である。
態様1または態様2の具体例(態様3)において、前記イベントに対応する識別情報の入力を条件として、前記要求の送信を実行する。以上の態様においては、イベントに対応する識別情報の入力を条件として要求が管理システムに送信されるから、イベントが開催される施設内の演出効果を端末装置により指示できる利用者を、識別情報を取得した利用者に制限できる。
態様1または態様2の具体例(態様4)において、前記イベントに関するコンテンツを再生する再生装置を利用した音響通信により、当該イベントの識別情報を受信することを条件として、前記要求の送信を実行する。以上の態様においては、イベントに関するコンテンツを再生する再生装置を利用した音響通信により当該イベントの識別情報を受信することを契機として、要求が管理システムに送信される。したがって、端末装置により演出効果を指示できる利用者を、当該コンテンツを実際に視聴している利用者に制限できる。
態様1から態様4の何れかの具体例(態様5)において、前記イベントが開催される施設において前記演出効果が出力される場所の選択を受付け、前記要求は、前記場所における前記演出効果の出力の要求である。以上の態様においては、イベントが開催される施設において利用者が選択した出力場所での演出効果の出力が要求される。したがって、開催施設のうち端末装置の利用者が希望する場所において、当該利用者からの指示に応じた演出効果が出力される。なお、「演出効果が出力される場所」は、例えば、演出効果を出力する出力装置の場所、または、施設内の観客席を区分した複数の領域の何れかである。
本開示のひとつの態様(態様6)に係る演出管理方法は、複数のイベントのうち利用者が選択したイベントにおいて、当該利用者が指示した演出効果を出力する動作の要求を、複数の端末装置から受信し、前記複数のイベントのうち一のイベントが開催される施設において、前記複数の端末装置のうち当該一のイベントが選択された2以上の端末装置において指示された演出効果を出力する。
なお、本開示は、前述の各態様(態様1から態様5)に係る演出管理方法を実現する端末装置、または、当該演出管理方法をコンピュータに実行させるプログラム、としても実現される。また、本開示は、前述の態様6に係る演出管理方法を実現する管理システム、または、当該演出管理方法をコンピュータに実行させるプログラム、としても実現される。