以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、1台の室外機と1台の室内機が2本の冷媒配管で接続された空気調和機を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1(A)に示すように、本実施例における空気調和機1は、屋外に設置される室外機2と、室内に設置されて室外機2に液管4およびガス管5で接続された室内機3を有している。
室内機3は、横長の略直方体形状とされた室内機筐体30を有している。室内機筐体30は、天面パネル30aと、右側面パネル30bと、左側面パネル30cと、底面パネル30dと、前面パネル30eで形成されている。これら各パネルは、全て樹脂材を用いて形成されている。
天面パネル30aは略四方形状に形成されて室内機筐体30の天面を形成する。天面パネル30aには、図1(B)に示すように、室内機3の内部に室内空気を取り込むための吸込口30fが設けられている。図示は省略するが、吸込口30fは格子状に形成されている。
右側面パネル30bおよび左側面パネル30cは、室内機筐体30の左右側面を形成する。右側面パネル30bおよび左側面パネル30cは、所定の曲率を有する曲面に形成されており、左右対称形状とされている。
底面パネル30dは略四方形状に形成されて室内機筐体30の底面を形成する。底面パネル30dには、図1(B)に示すように、後述するベース30jが固定されている。前面パネル30eは略四方形状に形成されて室内機筐体30の前面を覆うように配置されている。前面パネル30eは、室内機3の意匠面を形成する。
前述したように、天面パネル30aには吸込口30fが設けられており、また、前面パネル30eの下方には、後述する室内熱交換器31で冷媒と熱交換を行った室内空気を室内に吹き出すための吹出口30gが設けられている。吸込口30fと吹出口30gとを繋ぐ通風路30hには、吸込口30fから室内空気を吸い込み、吹出口30gから吹き出すための室内ファン32が設けられている。また、室内ファン32の上方には逆V字型とされた室内熱交換器31が配置されている。室内熱交換器31や室内ファン32は、室内機3を壁面に取り付けるためのベース30jに固定されている。
吹出口30gは、ベース30jの下部と前面パネル30eに取り付けられたケーシング30kの下面で形成されており、吹出口30gには、吹出口30gから吹き出される空気を上下方向に偏向する2枚の上下風向板35が設けられている。また、上下風向板35から見て吹出口30gの上流側(室内機筐体30の内部側)には、吹出口30gから吹き出される空気を左右方向に偏向する複数枚の左右風向板36が設けられている。これら上下風向板35および左右風向板36は、各々が樹脂材で形成されている。尚、ケーシング30kの上面は、室内熱交換器31で生じた結露水を受けるドレンパンとされている。
2枚の上下風向板35は、各々図示しない回転軸に固定されており、上下方向に回動することで吹出口30gから吹き出される空気を上下方向に偏向する。また、2枚の上下風向板35は、室内機3が運転を停止しているときは、吹出口30gを塞ぐことができる形状とされている。
通風路30hにおける室内熱交換器31の上流側(室内熱交換器31と吸込口30fとの間)には、室内機3の内部に取り込んだ空気に含まれる塵埃を除去するためのフィルタ38が配置されている。このフィルタ38は、例えば、樹脂材からなる繊維を網目状に編み込んで形成されている。吸込口30fから室内機3の筐体30の内部に取り込まれた室内空気がフィルタ38を通過する際は、この室内空気に含まれるフィルタ38の網目より大きな塵埃が、フィルタ38に捕捉される。
フィルタ38と室内熱交換器31の間には、電気集塵機37が配置されている。この電気集塵機37は、例えば、樹脂材で形成されて空気の取込口と放出口を有する図示しない筐体の内部に、図示しない放電電極と集塵電極が設けている。電気集塵機37では、取込口から筐体内部に流入した室内空気に含まれる、フィルタ38で除去できなかった細かな塵埃を放電電極によるコロナ放電により発生させたイオンによって帯電させ、帯電した塵埃を集塵電極で捕捉する。
次に、室外機2および室内機3を構成する各装置と、室外機2と室内機3が冷媒配管で接続されてなる空気調和機1の冷媒回路について、図2を用いて詳細に説明する。前述したように、室外機2と室内機3は冷媒配管である液管4とガス管5で接続されている。詳細には、液管4は、一端が室外機2の閉鎖弁25に、他端が室内機3の液管接続部33に接続されている。また、ガス管5は、一端が室外機2の閉鎖弁26に、他端が室内機3のガス管接続部34に接続されている。以上により、空気調和機1の冷媒回路10が構成されている。
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、室外ファン24と、液管4の一端が接続された閉鎖弁25と、ガス管5の一端が接続された閉鎖弁26と、膨張弁27を備えている。そして、室外ファン24を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路10aを構成している。
圧縮機21は、図示しないインバータにより回転数が制御されることで、運転容量を変えることができる容量可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出側は、四方弁22のポートaと吐出管61で接続されている。また、圧縮機21の冷媒吸入側は、四方弁22のポートcと吸入管66で接続されている。
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したように圧縮機21の冷媒吐出側と吐出管61で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と冷媒配管62で接続されている。ポートcは、上述したように圧縮機21の冷媒吸入側と吸入管66で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁26と室外機ガス管64で接続されている。
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外ファン24の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気を熱交換させるものである。室外熱交換器23の一方の冷媒出入口は、上述したように四方弁22のポートbと冷媒配管62で接続され、他方の冷媒出入口は室外機液管63で閉鎖弁25と接続されている。
膨張弁27は、例えば電子膨張弁である。膨張弁27は、その開度が調整されることで、室外熱交換器23に流入する冷媒量、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒量を調節する。膨張弁27の開度は、室内機3で要求される冷房能力や暖房能力に応じた開度とされる。
室外ファン24は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外ファン24は、図示しないファンモータによって回転することで室外機2の図示しない吸込口から室外機2内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を室外機2の図示しない吹出口から室外機2外部へ放出する。
以上説明した各装置の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1(A)に示すように、吐出管61には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力を検出する高圧センサ71と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ73が設けられている。吸入管66には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する低圧センサ72と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ74とが設けられている。
室外機液管63における室外熱交換器23と膨張弁27の間には、室外熱交換器23から流出、または、室外熱交換器23に流入する冷媒の温度を検出するための熱交温度センサ75が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ76が備えられている。
次に、室内機3について説明する。室内機3は、前述した室内熱交換器31、室内ファン32、上下風向板35、電気集塵機37、およびフィルタ38に加えて、液管4の他端が接続された液管接続部33と、ガス管5の他端が接続されたガス管接続部34と、本発明の制御手段である室内機制御手段100を備えている。そして、室内ファン32、上下風向板35、電気集塵機37、フィルタ38、および室内機制御手段を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路10bを構成している。
室内熱交換器31は、冷媒と室内ファン32の回転により室内機3の吸込口30fから室内機3の内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものであり、一方の冷媒出入口が液管接続部33と室内機液管67で接続され、他方の冷媒出入口がガス管接続部34と室内機ガス管68で接続されている。室内熱交換器31は、室内機3が冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機3が暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。尚、液管接続部33やガス管接続部34では、各冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
室内ファン32は樹脂材で形成されており、前述したように通風路30hにおける室内熱交換器31の下流側に配置されている。室内ファン31は、図示しないファンモータによって回転することで、室内機3の吸込口30fから室内機3内に室内空気を取り込み、室内熱交換器31において冷媒と熱交換した室内空気を室内機3の吹出口30gから室内へ吹き出す。
以上説明した各装置の他に、室内機3には各種のセンサが設けられている。室内機液管67には、室内熱交換器31に流入あるいは室内熱交換器31から流出する冷媒の温度を検出する液側温度センサ77が設けられている。室内機ガス管68には、室内熱交換器31から流出あるいは室内熱交換器31に流入する冷媒の温度を検出するガス側温度センサ78が設けられている。
また、図1(B)に示すように、室内機3の吸込口30fとフィルタ38の間には、室内機3の内部に流入する室内空気の温度、すなわち室温を検出する室温センサ79と、室内機3の内部に流入する室内空気に含まれる塵埃の量、つまり、室内機3が設置された室内の塵埃の量を検出する塵埃センサ80がそれぞれ設けられている。
室内機制御手段100は、室内機3の図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。図2(B)に示すように、室内機制御手段100は、CPU110と、記憶部120と、通信部130と、センサ入力部140を備えている。
記憶部120は、ROMやRAMで構成されており、室内機3の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、室内ファン32の制御状態等を記憶している。通信部130は、室外機2の図示しない室外機制御部との通信を行うためのインターフェイスである。センサ入力部140は、室内機3の室温センサ79や塵埃センサ80等の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU110に出力する。
CPU110は、前述した室内機3の各種センサでの検出結果をセンサ入力部140を介して取り込む。また、CPU110は、使用者が操作する図示しないリモコンから送信される、運転モード(冷房/暖房)や風量等を含む運転情報信号を通信部130を介して取り込む。CPU110は、取り込んだ検出結果や運転情報信号に基づいて、室内ファン32や上下風向板35、左右風向板36の駆動制御を行う。
次に、本実施形態における空気調和機1の空調運転時の冷媒回路10における冷媒の流れや各部の動作について、図2(A)を用いて説明する。尚、以下の説明では、まず室内機3が冷房運転を行う場合について説明し、次に室内機3が暖房運転を行う場合について説明する。尚、図1(A)において、実線矢印は冷房運転時の冷媒の流れを示し、破線矢印は暖房運転時の冷媒の流れを示している。
<冷房運転>
室内機3が冷房運転を行う場合、図2(A)に示すように、四方弁22が実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbとが連通するよう、また、ポートcとポートdとが連通するよう、切り換えられる。これにより、冷媒回路10において室外熱交換器23が凝縮器として機能するとともに室内熱交換器31が蒸発器として機能するようになり、冷媒回路10は実線矢印で示す方向に冷媒が循環する冷房サイクルとなる。
上記のような冷媒回路10の状態で、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管61を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から冷媒配管62を流れて室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン24の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器23から室外機液管63に流出した冷媒は、室内機3で使用者により要求される冷房能力に応じた開度とされている膨張弁27を通過する際に減圧され、閉鎖弁25を介して液管4に流入する。
液管4を流れて液側接続部33を介して室内機3に流入した冷媒は、室内機液管67を流れて室内熱交換器31に流入し、室内ファン32の回転により吸込口30fから室内機3の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って蒸発する。このように、室内熱交換器31が蒸発器として機能し、室内熱交換器31で冷媒と熱交換を行った室内空気が吹出口30gから室内に吹き出されることによって、室内機3が設置された室内の冷房が行われる。
室内熱交換器31から流出した冷媒は室内機ガス管68を流れガス側接続部34を介してガス管5に流入する。ガス管5を流れて閉鎖弁26を介して室外機2に流入した冷媒は、順に室外機ガス管64、四方弁22、吸入管66を流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
<暖房運転>
室内機3が暖房運転を行う場合、図2(A)に示すように、四方弁22が破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdとが連通するよう、また、ポートbとポートcとが連通するよう、切り換えられる。これにより、冷媒回路10において室外熱交換器23が蒸発器として機能するとともに室内熱交換器31が凝縮器として機能するようになり、冷媒回路10は破線矢印で示す方向に冷媒が循環する暖房サイクルとなる。
上記のような冷媒回路10の状態で、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管61を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から室外機ガス管64を流れて閉鎖弁26を介してガス管5に流入する。ガス管5を流れる冷媒は、ガス管接続部34を介して室内機3に流入する。
室内機3に流入した冷媒は、室内機ガス管68を流れて室内熱交換器31に流入し、室内ファン32の回転により吸込口30fから室内機3の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。このように、室内熱交換器31が凝縮器として機能し、室内熱交換器31で冷媒と熱交換を行った室内空気が吹出口30gから室内に吹き出されることによって、室内機3が設置された室内の暖房が行われる。
室内熱交換器31から流出した冷媒は室内機液管67を流れ、液管接続部33を介して液管4に流入する。液管4を流れ閉鎖弁25を介して室外機2に流入した冷媒は、室外機液管63を流れて、室内機3で使用者により要求される暖房能力に応じた開度とされている膨張弁27を通過する際に減圧される。
膨張弁27を通過して室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン24の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器23から冷媒配管62に流出した冷媒は、四方弁22、吸入管66を流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
<室内ファン制御>
次に、主に図3乃至図5を用いて、空気調和機1の運転中に、電気集塵機37で室内機5に流入する室内空気に含まれる塵埃を捕捉する際の室内ファン32の制御について説明する。本実施形態の空気調和機1では、冷房運転や暖房運転(以降、個別に言及する必要がある場合を除いて空調運転と記載する)を行っているときに、温調優先モードと空清優先モードのいずれかを選択できるようになっている。
温調優先モードでは、従来の空気調和機と同様に、室温センサ79で検出した室温が、使用者が設定した設定温度となるように、検出した室温と設定温度の温度差のみに応じて、室内ファン32の回転数を制御することによって吹出口30gから吹き出される風量を調整する。
一方、空清優先モードでは、塵埃センサ80で検出した室内機3の内部に流入する室内空気に含まれる塵埃の量(以降、汚れレベルと記載する)が、予め定められた汚れレベル、例えば、10μg/m3より低くなるように、検出した汚れレベルと室温と設定温度の温度差に応じて、室内ファン32の回転数を制御することによって吹出口30gから吹き出される風量、つまりは、電気集塵機37に流入する空気量を調整する。
具体的には、温調優先モード時あるいは空清優先モード時の室内ファン32の回転による風量は、図3に示す風量テーブル300に定められる風量とされる。この風量テーブル300は、予め試験などを行って求められて、室外機制御手段100の記憶部120に記憶されているものである。
風量テーブル300において、空清優先モードでの風量は、設定温度(単位:℃、以降、設定温度Tpと記載する)から室温センサ79で検出する室温(単位:℃、以降、室温Tiと記載する)を減じた値の絶対値を温度差ΔT(単位:℃)とし、この温度差ΔTと塵埃センサ80で検出する汚れレベル(以降、汚れレベルPと記載する)に基づいて定められている。一方、風量テーブル300において、温調優先モードでの風量は、温度差ΔTのみに基づいて定められている。
尚、風量テーブル300において、汚れレベルPは、塵埃センサ80で検出した室内空気1立方メートル(1m3)当たりの塵埃量に基づいて定められる「大」、「中」、「小」の3段階で示される。これら各汚れレベルPは、例えば、汚れレベルP:「大」は塵埃量が150μg/m3以上、汚れレベルP:「中」は塵埃量が50μg/m3以上150μg/m3未満、汚れレベルP:「小」は塵埃量が10μg/m3以上50μg/m3未満、とされる。また、風量は、一番小さい風量を1、一番大きい風量を5とした5段階(風量が1から5に向かうにつれて大きくなる)で表している。
ここで、温度差ΔTを設定温度Tpから室温Tiを減じた値の絶対値としている理由と、空清優先モードにおける風量を温度差ΔTと汚れレベルPに応じて決定している理由について説明する。
まず、温度差ΔTについて説明する。設定温度Tpから室温Tiを減じた値は、冷房運転時と暖房運転時で異なる。空気調和機1が冷房運転を行っているときは、運転開始時は設定温度Tpより高い温度である室温Tiが、冷房運転を開始してからの時間が経過するのにつれて低くなる。そして、室温Tiが設定温度Tpより所定値(例えば、0.5℃)高い温度より低くなれば、空気調和機1は圧縮機21、室外ファン23、および室内ファン32を停止してサーモオフ状態となる。空気調和機1がサーモオフ状態となれば、室温Tiが設定温度Tpより低くなることがないため、冷房運転時の設定温度Tpから室温Tiを減じた値は、常にマイナスの温度となる。
これに対し、空気調和機1が暖房運転を行っているときは、運転開始時は設定温度Tpより低い温度である室温Tiが、暖房運転を開始してからの時間が経過するのにつれて高くなる。そして、室温Tiが設定温度Tpより所定値(例えば、0.5℃)低い温度より高くなれば、空気調和機1は圧縮機21、室外ファン23、および室内ファン32を停止してサーモオフ状態となる。空気調和機1がサーモオフ状態となれば、室温Tiが設定温度Tpより高くなることがないため、暖房運転時の設定温度Tpから室温Tiを減じた値は、常にプラスの温度となる。
空気調和機1において温調優先モードが選択されているとき、すなわち、従来の空気調和機と同様の制御が行われる場合は、冷房運転/暖房運転に関わりなく室温Tiと設定温度Tpの差が大きい程風量を多くして室内熱交換器31で冷媒と熱交換を行った室内空気を多量に室内に供給することで、室温Tiが早く設定温度Tpに到達するようにする。
以上記載した内容を踏まえて、風量テーブル300においては温度差ΔTを絶対値とし、この温度差ΔTが大きい程、室内ファン32の回転数を高くすることで温調優先モードにおける風量を大きくしている。尚、本実施形態の風量テーブル300では、上述した温調優先モードにおける風量は、温度差ΔTが0.5℃以上2℃未満のときは風量が1、温度差ΔTが2℃以上3℃未満のときは風量が2、温度差ΔTが3℃以上のときは風量が3とされている。このとき、室内ファン32の回転数は、温度差ΔTが0.5℃以上2℃未満のときと比べて温度差ΔTが2℃以上3℃未満のときのほうが高い。また、室内ファン32の回転数は、温度差ΔTが2℃以上3℃未満のときと比べて温度差ΔTが3℃以上のときのほうが高い。また、温度差ΔTが0.5℃未満のとき、つまり、空気調和機1がサーモオフ状態となっているときは、室内ファン32は停止とされている。
次に、空清優先モードにおける風量を、温度差ΔTと汚れレベルPに基づいて定めている理由について説明する。空清優先モードでは、塵埃センサ80で検出した汚れレベルPが「小」より小さく、つまり、汚れレベルPが10μg/m3未満とすることを目指し、できる限り早く汚れレベルPを小さくするために、温調優先モード時のように温度差ΔTのみに応じて風量を決めたり、温度差ΔTが0.5℃未満となったときに室内ファン32を停止させたりせずに、汚れレベルPが大きい程風量を大きくする、というように汚れレベルPに応じて風量を決定することが考えられる。
しかし、単純に汚れレベルPに応じて風量を決定すると、過剰な空調運転となってしまう恐れがある。例えば、冷房運転時に汚れレベルPが「大」で風量が5となるように室内ファン32を制御しているときは、大きい風量が継続されることによって室温Tiが設定温度Tp以下となる、つまり、室内が冷えすぎてしまう恐れがある。また、暖房運転時に汚れレベルPが「大」で風量が5となるように室内ファン32を制御しているときは、大きい風量が継続されることによって室温Tiが設定温度Tp以上となる、つまり、室内が暖かくなりすぎてしまう恐れがある。
そこで、本実施形態では、空清優先モードにおける風量を温度差ΔTと汚れレベルPに応じて決定しており、温度差ΔTが大きい程風量が大きくなるように、また、温度差ΔTの範囲毎に汚れレベルPに応じた風量となるように室内ファン32の回転数を制御している。
具体的には、温度差ΔTが0.5℃未満のとき、つまり、温調優先モードでは空気調和機1がサーモオフ状態となる温度差ΔTのときには、汚れレベルPが「大」のときの風量が3、汚れレベルPが「中」のときの風量が2、汚れレベルPが「小」のときの風量が1とされている。このとき、室内ファン32の回転数は、汚れレベルPが「小」のときと比べて汚れレベルPが「中」のときのほうが高い。また、室内ファン32の回転数は、汚れレベルPが「中」のときと比べて汚れレベルPが「大」のときのほうが高い。
このように、温度差ΔTが0.5℃未満のときは、風量を最大3までに抑えることで、室温Tiが過剰に低下あるいは上昇することによって室内が冷やされすぎたり暖められすぎたりすることを防ぎつつ、できる限り迅速に汚れレベルPを小さくするようにしている。尚、上記温度差ΔT=0.5℃が、本発明の第1閾温度である。
また、温度差ΔTが0.5℃以上2℃未満のときは、汚れレベルPが「大」のときの風量が4、汚れレベルPが「中」のときの風量が3、汚れレベルPが「小」のときの風量が2とされている、また、温度差ΔTが2℃以上3℃未満のときは、汚れレベルPが「大」のときの風量が5、汚れレベルPが「中」のときの風量が4、汚れレベルPが「小」のときの風量が3とされている。これらの場合も上述した温度差ΔTが0.5℃未満のときと同様に、室内ファン32の回転数は、汚れレベルPが「小」のときと比べて汚れレベルPが「中」のときのほうが高い。また、室内ファン32の回転数は、汚れレベルPが「中」のときと比べて汚れレベルPが「大」のときのほうが高い。
このように、温度差ΔTが大きいときのほうが、温度差ΔTが大きいときと比べて風量が大きくなったときに室温Tiが設定温度Tp以下(冷房運転時)あるいは以上(暖房運転時)となりやすい温度差ΔTが小さいときより、同じ汚れレベルPにおける風量を大きく設定する。これにより、風量を大きくしたことによる空調運転への影響を抑えつつ、より迅速に汚れレベルPを小さくするようにしている。
そして、温度差ΔTが3℃以上のときは、汚れレベルPに関わらず風量を一番大きい5としている。これにより、室温Tiが早く設定温度Tpに到達するようにしつつより迅速に汚れレベルPを小さくするようにしている。尚、上記温度差ΔT=3℃が、本発明の第2閾温度である。
以上説明したように、空気調和機1で空清優先モードが選択されているときに、図3に示す風量テーブル300を参照して、温度差ΔTと汚れレベルPに基づいた風量となるように室内ファン32を制御する。これにより、電気集塵機37を通過する室内空気の量を適切に調整して室内空気の汚れレベルPを迅速に小さくでき、かつ、室内が冷やされすぎる、あるいは、暖められすぎるといった空調運転への影響を抑えることができるので、空清優先モードが選択されているときに使用者の快適性が損なわれることを防止できる。
次に、空気調和機1において空調運転時に空清優先モードが選択された場合、あるいは、温調優先モードが選択された場合の、それぞれにおいて室内機制御手段100のCPU110が実行する処理について、図4および図5を用いて説明する。図4に示すフローチャートは、空調運転時に空清優先モードが選択された場合にCPU110が実行する室内ファン32の制御に関する処理の流れを示すものである。また、図5に示すフローチャートは、空調運転時に温調優先モードが選択された場合にCPU110が実行する室内ファン32の制御に関する処理の流れを示すものである。
図4および図5に示す各フローチャートにおいて、STは処理のステップを示しこれに続く数字はステップ番号を表している。尚、図4および図5では、本発明に関わる処理を中心に説明しており、これら以外の処理、例えば、空調運転時の温度差ΔTに応じた圧縮機21の回転数制御や、冷媒回路10における冷媒の温度や圧力に応じた膨張弁27の開度制御といった、空気調和機1の運転に関わる一般的な処理については説明を省略する。また、本実施形態の空気調和機1では、使用者がリモコン等を操作して、空清優先モードあるいは温調優先モードのうち、いずれか一方を選択できるものとする。
<空清優先モード選択時の室内ファン制御>
空気調和機1が空調運転を行っているときに空清優先モードが選択されている場合は、CPU110は、設定温度Tpと室温Tiを取り込み、取り込んだ設定温度Tpから室温Tiを減じて温度差ΔTを算出する(ST1)。
設定温度Tpは、使用者がリモコン等を操作して設定される度に、室内機制御手段100の記憶部120に上書き保存されており、CPU110は記憶部120から最新の設定温度Tpを取り込む。また、室温Tiは、定期的(例えば、30秒ごと)に室温センサ79で検出した最新の室温Tiが取り込まれて記憶部120に上書き保存され、CPU110は記憶部120から最新の室温Tiを取り込む。また、前述したように、温度差ΔTは、設定温度Tpから室温Tiを減じた値を絶対値として算出するたびに記憶部120に上書き保存される。
次に、CPU110は、汚れレベルPを取り込む(ST2)。汚れレベルPは、定期的(例えば、30秒ごと)に塵埃センサ80で検出した最新の塵埃量に対応する汚れレベルPが記憶部120に上書き保存されており、CPU110は記憶部120から最新の汚れレベルPを取り込む。
次に、CPU110は、記憶部120に記憶している最新の温度差ΔTを読み出し、読み出した温度差ΔTが0.5℃未満であるか否かを判断する(ST3)。読み出した温度差ΔTが0.5℃未満であれば(ST3-Yes)、CPU110は、記憶部120に記憶している最新の汚れレベルPを読み出し、読み出した汚れレベルPが「大」であるか否かを判断する(ST8)。
読み出した汚れレベルPが「大」であれば(ST8-Yes)、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して風量を3と決定し(ST11)、ST7に処理を進める。読み出した汚れレベルPが「大」でなければ(ST8-No)、CPU110は、読み出した汚れレベルPが「中」であるか否かを判断する(ST9)。
読み出した汚れレベルPが「中」であれば(ST9-Yes)、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して風量を2と決定し(ST12)、ST7に処理を進める。読み出した汚れレベルPが「中」でなければ(ST9-No)、つまり、読み出した汚れレベルPが「小」であれば、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して風量を1と決定し(ST10)、ST7に処理を進める。
ST3において読み出した温度差ΔTが0.5℃未満でなければ(ST3-No)、CPU110は、読み出した温度差ΔTが0.5℃以上2℃未満であるか否かを判断する(ST4)。読み出した温度差ΔTが0.5℃以上2℃未満であれば(ST4-Yes)、CPU110は、読み出した汚れレベルPが「大」であるか否かを判断する(ST13)。
読み出した汚れレベルPが「大」であれば(ST13-Yes)、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して風量を4と決定し(ST16)、ST7に処理を進める。読み出した汚れレベルPが「大」でなければ(ST13-No)、CPU110は、読み出した汚れレベルPが「中」であるか否かを判断する(ST14)。
読み出した汚れレベルPが「中」であれば(ST14-Yes)、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して風量を3と決定し(ST17)、ST7に処理を進める。読み出した汚れレベルPが「中」でなければ(ST14-No)、つまり、読み出した汚れレベルPが「小」であれば、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して風量を2と決定し(ST15)、ST7に処理を進める。
ST4において読み出した温度差ΔTが0.5℃以上2℃未満でなければ(ST4-No)、CPU110は、読み出した温度差ΔTが2℃以上3℃未満であるか否かを判断する(ST5)。読み出した温度差ΔTが2℃以上3℃未満であれば(ST5-Yes)、CPU110は、読み出した汚れレベルPが「大」であるか否かを判断する(ST18)。
読み出した汚れレベルPが「大」であれば(ST18-Yes)、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して風量を5と決定し(ST21)、ST7に処理を進める。読み出した汚れレベルPが「大」でなければ(ST18-No)、CPU110は、読み出した汚れレベルPが「中」であるか否かを判断する(ST19)。
読み出した汚れレベルPが「中」であれば(ST19-Yes)、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して風量を4と決定し(ST22)、ST7に処理を進める。読み出した汚れレベルPが「中」でなければ(ST19-No)、つまり、読み出した汚れレベルPが「小」であれば、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して風量を3と決定し(ST20)、ST7に処理を進める。
ST5において読み出した温度差ΔTが2℃以上3℃未満でなければ(ST5-No)、つまり、読み出した温度差ΔTが3℃以上であれば、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して風量を5と決定し(ST6)、ST7に処理を進める。そして、上記各ステップで風量を決定したCPU110は、決定した風量に対応する回転数で室内ファン32を駆動して(ST7)、ST1に処理を戻す。
<温調優先モード選択時の室内ファン制御>
空気調和機1が空調運転を行っているときに温調優先モードが選択されている場合は、CPU110は、ST31およびST32の処理を行う。尚、ST31の処理は空清優先モード選択時のST1の処理と同じであり、ST32の処理は空清優先モード選択時のST2の処理と同じであるため、詳細な説明は省略する。
次に、CPU110は、記憶部120に記憶している最新の温度差ΔTを読み出し、読み出した温度差ΔTが0.5℃未満であるか否かを判断する(ST33)。読み出した温度差ΔTが0.5℃未満であれば(ST33-Yes)、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して室内ファン32は停止すると決定し(ST38)、ST37に処理を進める。
ST33において読み出した温度差ΔTが0.5℃未満でなければ(ST33-No)、CPU110は、読み出した温度差ΔTが0.5℃以上2℃未満であるか否かを判断する(ST34)。読み出した温度差ΔTが0.5℃以上2℃未満であれば(ST34-Yes)、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して風量を1と決定し(ST39)、ST37に処理を進める。
ST34において読み出した温度差ΔTが0.5℃以上2℃未満でなければ(ST34-No)、CPU110は、読み出した温度差ΔTが2℃以上3℃未満であるか否かを判断する(ST35)。読み出した温度差ΔTが0.5℃以上2℃未満であれば(ST35-Yes)、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して風量を3と決定し(ST40)、ST37に処理を進める。読み出した温度差ΔTが0.5℃以上2℃未満でなければ(ST35-No)、つまり、読み出した温度差ΔTが3℃以上であれば、CPU110は、記憶部120に記憶している風量テーブル300を参照して風量を5と決定し(ST36)、ST37に処理を進める。
そして、上記各ステップで風量を決定したCPU110は、決定した風量に対応する回転数で室内ファン32を駆動して(ST37)、ST31に処理を戻す。
以上説明したように、本実施形態の空気調和機1では、空調運転時に電気集塵機37で塵埃や花粉などを捕捉することを優先する空清優先モードが選択されている場合に、室内機3の内部に取り込んだ室内空気の汚れレベルPと設定温度Tpと室温Tiの温度差ΔTに応じた風量となるように、室内ファン32が駆動制御される。これにより、空清優先モード選択時に電気集塵機37を通過する室内空気の量を適切に調整して室内空気の汚れレベルPを迅速に小さくでき、かつ、室温Tiが設定温度Tpより大きく低下するあるいは大きく上昇することをふせぐことができる。従って、空清優先モードが選択されているときに使用者の快適性が損なわれることを防止できる。
尚、以上説明した実施形態では、集塵機として電気集塵機37を室内機3に備える場合について説明した。しかし、これに限るものではなく、取り込む空気量に応じて捕捉する塵埃量が変化する集塵機であればよい。