JP6991805B2 - 身体装着具 - Google Patents

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Description

本発明は、身体装着具に関し、詳細には、身体の生体情報を取得、計測するための身体装着具に関する。
身体の心拍数、脈拍数、呼吸数、血圧、体温、筋電などの生体情報を運動中に取得、計測し、運動内容を見直したり、運動負荷を調整することによって、運動の安全性を高めたり、運動効率を向上できる。また、身体の生体情報は、例えば、病人の治療や介護などにも利用できる。
身体の生体情報を取得、計測する身体装着具として、ウェアラブル電子機器が開発されている。ウェアラブル電子機器とは、身体に極近接するか、身体に密着した状態で使用する機器であり、この機器では、身体の生体情報を入出力、演算、外部へ通信などできる。ウェアラブル電子機器には、各種センサを付属させることもでき、気温、湿度、気圧などの環境情報も計測できる。
ウェアラブル電子機器としては、例えば、腕時計、メガネ、イヤホン、ベルトなどのアクセサリ型の電子機器の他、衣服に電子機能を組み込んだテキスタイル集積型の電子機器が知られている。
テキスタイル集積型の電子機器としては、例えば、特許文献1に、衣料の表面または裏面に導電部材を固着することにより配線パターンを形成すると共に、所定の電気的機能を発揮させるための電気回路を形成した電気回路付き衣料が提案されている。また、特許文献2には、電子デバイスと、該電子デバイスを機能させるための配線パターンおよび/または電子回路を有する電子布または電子布から構成される電子衣料が提案されている。
テキスタイル集積型の電子機器は、電子機能が衣服に組み込まれているため、装着者は衣服を着るだけでよく、アクセサリ型の電子機器のように、電子機器を身体に装着する必要がない。そのため、電子機器を新たに装着するという装着者のストレスを低減できる。また、電子機器の遺失を防止できる。
こうしたウェアラブル電子機器には、身体の生体情報を取得、計測するために、電極が備えられており、電極で、身体の電気信号を取得する。また、ウェアラブル電子機器には、電極で取得した電気信号を計測する機能を有する電子ユニットを備えており、電極と電子ユニットは、電力供給用や信号伝送用の電気配線で接続されている。
テキスタイル集積型の電子機器の場合は、衣服は、身体の動きに合わせて伸縮するため、衣服に設けられた電気配線には伸縮性が求められる。しかし、電気配線の素材となる金属線や金属箔は、伸縮性を有していないため、金属線や金属箔からなる電気配線を、例えば、波形模様やジグザグ模様、馬蹄形が繰り返された模様として衣服に形成することにより、擬似的に伸縮性を付与している。例えば、金属線からなる電気配線の場合は、金属線を刺繍糸と見なして衣服にジグザグ模様に縫い付けることにより、擬似的に伸縮性を付与できる。また、金属箔からなる電気配線の場合は、金属箔と、伸縮性を有する樹脂シートとを貼り合わせ、プリント配線板と同様の手法で衣服に波形模様などを形成することにより、擬似的に伸縮性を付与できる。
電気配線に伸縮性を付与する方法として、例えば、特許文献3には、ゴムを主成分とした伸縮性を有する基材に、導電性粒子を互いに接触させて形成した導電部を設けたゴム材料が開示されている。ゴムとしては、シリコーンゴムが用いられており、導電性粒子としては、銀粒子が用いられている。
また、電気配線に伸縮性を付与する方法として、導電性ペーストを用いて電気配線を衣服に印刷、描画する方法も知られている。導電性ペーストとしては、例えば、銀粒子、カーボン粒子、カーボンナノチューブ等の導電性粒子と、伸縮性を有するウレタン樹脂などのエラストマー、天然ゴム、合成ゴム等のバインダーと、溶剤などを混練したものが用いられる。例えば、特許文献4には、ポリウレタン分散液と導電粒子の導電性ペーストを乾燥させて形成される電気配線が記載されている。導電粒子としては銀粒子が用いられている。
導電性ペーストを用いて電気配線を衣服に印刷、描画する方法としては、衣服に導電性ペーストを直接印刷、描画する方法の他、導電性ペーストと伸縮性のフィルム基材などを組み合わせたものを衣服に印刷、描画する方法などが知られている。
導電性ペーストを用いて電気配線を形成すると、巨視的には、電気配線に伸縮性を付与できる。この電気配線の比抵抗は、巨視的には、金属線や金属箔を用いて形成した電気配線の比抵抗よりも高いが、導電性ペーストを用いて形成した電気配線は、それ自体が伸縮性を有するため、電気配線の形状を、波形模様やジグザグ模様、馬蹄形が繰り返された模様などにする必要が無い。そのため、電気配線の幅と厚さの自由度が高くなり、結果として、金属線や金属箔を用いて形成した電気配線よりも低抵抗な電気配線を形成できる。
特開平2-234901号公報 特許第3723565号公報 特開2007-173226号公報 特開2012-54192号公報
人は、発汗によって体温を調節でき、運動すると発汗量が増加するため、衣服は著しく湿潤する。しかし、ウェアラブル電子機器として、電子機能を組み込んだテキスタイル集積型の衣服を着用している場合には、衣服が湿潤したり、土砂や泥等で汚れても、身体の生体情報を取得、計測し続けるために、衣服を着用し続けなければならない。もちろん、衣服を着替えることもできるが、電子機能を組み込んだテキスタイル集積型の衣服は、一般の衣服と比べて高価なため、同様の衣服を複数準備することは経済的に難しく、気軽に着替えられないのが実情である。また、衣服を着替えると、電子機器によっては、身体の生体情報を取得、計測するための設定を再度行う必要があるため、操作が煩雑となる場合がある。そのため、テキスタイル集積型のウェアラブル電子機器よりも、アクセサリ型のウェアラブル電子機器の方が、衣服を替えやすいという利点がある。
また、身体の生体情報を取得するにあたっては、電極が身体に密着するように、電極部分に伸縮性を持たせればよいが、テキスタイル集積型の衣服の場合は、衣服全体に伸縮性を持たせる必要があるため、着用者は必要以上に衣服による圧迫を受けることとなり、不快感を覚える。
アクセサリ型のウェアラブル電子機器としては、心拍ベルト(チェストベルト)に代表されるベルトが知られている。
ところが、身体のくびれた部分以外の箇所にベルトを装着すると、運動時の動きや自重に伴ってズレやすいため、ベルトを身体の特定位置に固定することは難しい。例えば、肩、腋窩(わきのした)、肘窩(肘の反対側)、肘、膝蓋(膝)などの関節周りや、頸の特定位置、上腕の特定位置、前腕の特定位置、胸や腹など体幹の特定位置、大腿の特定位置、下腿の特定位置、殿(臀)などに固定することは難しい。
ベルトがズレないように、きつく締め付けることが考えられるが、きつく締め付けると、装着者は不快になるし、身体の自由度が制限されたり、血行が悪くなる。また、きつく締め付けると、ベルトと身体が擦れ、擦り傷が生じることがある。更に、ベルトを体幹に固定すると、呼吸の妨げになることがある。そのため、ベルトを用いて自然な状態で身体の生体情報を取得、計測することは困難であった。
更に、ベルトは意匠性に乏しいため、そのようなベルトを装着することに魅力は感じにくい。また、胸部にベルトを装着すると、ブラジャーを付けているように見えるため、特に男性はベルトの装着に抵抗を示すことがある。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、身体の特定位置に固定しやすく、自然な状態で身体の生体情報を取得、計測でき、意匠性にも優れる身体装着具を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る身体装着具は、以下の構成からなる。
[1]装着者の肌に接触する複数の電極を有する身体装着具であって、装着者の右腕を通す右側布帛部と、装着者の左腕を通す左側布帛部と、を有し、前記右側布帛部と前記左側布帛部は、装着者の背面側において接続されており、装着者の前面側において1本のベルトにより接続されている身体装着具。
[2]前記ベルトは、長さ調節手段を有する[1]に記載の身体装着具。
[3]前記右側布帛部および前記左側布帛部は帯状である[1]または[2]に記載の身体装着具。
[4]前記帯状の右側布帛部および前記帯状の左側布帛部は、長さ調節手段を有する[3]に記載の身体装着具。
[5]前記右側布帛部は前記右腕の上腕を覆う袖筒部を有し、前記左側布帛部は前記左腕の上腕を覆う袖筒部を有する[1]または[2]に記載の身体装着具。
[6]前記装着者の腹側に一対の電極を少なくとも一組有する[1]~[5]のいずれかに記載の身体装着具。
[7]前記装着者の背側に一対の電極を少なくとも一組有する[1]~[5]のいずれかに記載の身体装着具。
[8]前記装着者の右外側と左外側で一対となる電極を少なくとも一組有する[1]~[5]のいずれかに記載の身体装着具。
[9]前記装着者の腹側と背側で一対となる電極を少なくとも一組有する[1]~[5]のいずれかに記載の身体装着具。
[10]前記装着者の腹側には、鎖骨と乳頭の間に一方電極を有し、前記装着者の背側には、前記一方電極より身長方向の下方に他方電極を有する[9]に記載の身体装着具。
[11]小物収容部を有する[1]~[10]のいずれかに記載の身体装着具。
本発明によれば、身体装着具の形状を、装着者の右腕を通す右側布帛部と、装着者の左腕を通す左側布帛部と、を有し、前記右側布帛部と前記左側布帛部は、装着者の背面側において接続されており、装着者の前面側において1本のベルトにより接続する形状としているため、身体の特定位置に固定できる。また、きつく締め付けなくても固定できるため、自然な状態で身体の生体情報を取得、計測できる。更に、意匠性を改善できるため、男性も抵抗なく装着可能となる。
図1は、本発明に係る身体装着具1の装着状態を示す模式図であり、(a)は装着者を背面から見た図、(b)は装着者を正面から見た図である。 図2は、図1に示した身体装着具1の拡大図であり、(a)は身体装着具1の背面図、(b)は身体装着具1の正面図である。 図3は、本発明に係る他の身体装着具1の装着状態を示す模式図であり、(a)は装着者を背面から見た図、(b)は装着者を正面から見た図である。 図4は、図3に示した身体装着具1の拡大図であり、(a)は身体装着具1の背面図、(b)は身体装着具1の正面図である。
本発明に係る身体装着具は、装着者の肌に接触する複数の電極を有しており、装着者の右腕を通す右側布帛部と、装着者の左腕を通す左側布帛部と、を有している。そして、前記右側布帛部と前記左側布帛部は、装着者の背面側において接続されており、装着者の前面側において1本のベルトにより接続されているところに特徴がある。以下、本発明に係る身体装着具に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明は図示例に限定される訳ではなく、前記および後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
図1は、本発明に係る身体装着具1の装着状態を示す模式図である。図1に示した点線は、人の輪郭を示しており、図1の(a)は、装着者を背面から見た図、図1の(b)は、装着者を正面から見た図をそれぞれ示している。図2は、図1に示した身体装着具1の拡大図であり、図2の(a)は身体装着具1の背面図、図2の(b)は身体装着具1の正面図である。なお、図2の(b)では、ベルト7は図示していない。
本発明の身体装着具1は、図1の(a)および図2の(a)に示すように、装着者の右腕を通す右側布帛部41aと、装着者の左腕を通す左側布帛部41bと、を有し、前記右側布帛部41aと前記左側布帛部41bは、装着者の背面側において接続されている。
上記身体装着具1は、右側布帛部41aと左側布帛部41bのパーツが縫い合わされて接続されていてもよいし、身体装着具1を背面から見たときに、右側布帛部41aと左側布帛部41bが左右対称となるように一つの布帛で構成されていてもよい。
上記右側布帛部41aと上記左側布帛部41bは、いずれも環状であり、図1の(b)に示すように、上記右側布帛部41aには装着者の右腕を通すことができ、上記左側布帛部41bには装着者の左腕を通すことができる。即ち、右側布帛部41aは、一方肩部2aと一方腋窩31aを通っており、左側布帛部41bは、他方肩部2bと他方腋窩31bを通っている。このように、装着者の右腕と左腕とを通す形状としているため、身体の特定位置に固定できる。なお、腋窩とは、わきの下を意味する。また、一方腋窩31aは、一方肩部2a側のわきの下であり、他方腋窩31bは、他方肩部2b側のわきの下である。
上記右側布帛部41aおよび上記左側布帛部41bは、図1、図2に示すように、帯状であってもよいし、後述する図3、図4に示すように、右側布帛部41aは右腕の上腕を覆う袖筒部を有し、左側布帛部41bは左腕の上腕を覆う袖筒部を有してもよい。
上記右側布帛部41aおよび上記左側布帛部41bが帯状の場合、帯の幅は特に限定されないが、例えば、20cm以下が好ましく、より好ましくは15cm以下、更に好ましくは10cm以下である。幅の下限は特に限定されないが、幅が狭すぎると身体へ食い込み、装着者に不快感を与えることがあるため、例えば、1.5cm以上が好ましく、より好ましくは2cm以上、更に好ましくは2.5cm以上である。
上記右側布帛部41aおよび上記左側布帛部41bが帯状の場合は、幅は一定でもよいし、変化させてもよい。例えば、背側の幅は広くし、腹側の幅は狭くしてもよいし、逆でもよい。
上記右側布帛部41aおよび上記左側布帛部41bが帯状の場合は、図1の(b)に示すように、長さ調節手段12a、12bを設けることが好ましい。長さ調節手段12a、12bを有することにより、身体装着具1のズレを一層防止できるため、きつく締め付けなくても身体の特定位置に固定でき、自然な状態で身体の生体情報を取得、計測できる。
上記長さ調節手段12a、12bとしては、例えば、バックル、ホック、面ファスナー、ボタン、スナップボタン、コキ(リュックカン、アジャスター)などの係合部材を用いることができ、単独で、或いは2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、留め外し易さの観点から、コキまたはバックルが好ましい。上記長さ調節手段12aと12bは異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。なお、図1の(b)に示した長さ調節手段12a、12bは、コキである。
上記長さ調節手段12a、12bの数は特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。長さ調節手段12a、12bを複数設け、間に、例えば、長さ調節ベルトを接続することにより、体格の異なる人同士で上記身体装着具を共有できる。
上記右側布帛部41aと上記左側布帛部41bは、図1の(b)に示すように、装着者の前面側において1本のベルト7で接続されている。1本のベルト7で上記右側布帛部41aと上記左側布帛部41bとを接続することによって、装着者が動いても身体装着具1がズレにくくなるため、身体の特定位置に固定できる。また、本発明の身体装着具1は、テキスタイル集積型の衣服や、アクセサリ型のベルトのように、きつく締め付けなくても固定できるため、自然な状態で身体の生体情報を取得、計測できる。更に、本発明の身体装着具1は意匠性が改善されており、装着してもブラジャーを付けているようには見えないため、男性も抵抗なく装着可能となる。本発明の身体装着具1は、衣服の下に装着できるため、衣服が湿潤したり、汚れた場合には、衣服を気軽に着替えることができるし、着用者は好みの衣服を着用できる。
上記ベルト7を設ける位置は特に限定されないが、例えば、鎖骨と乳頭との間であってもよいし、乳頭と腹との間であってもよい。
上記ベルト7には、図1の(b)に示すように、長さ調節手段12を設けることが好ましい。長さ調節手段12を有することにより、身体装着具1のズレを一層防止できるため、きつく締め付けなくても身体の特定位置に固定でき、自然な状態で身体の生体情報を取得、計測できる。
上記長さ調節手段12としては、上記長さ調節手段12a、12bとして例示したものを用いることができる。なお、図1の(b)に示した長さ調節手段12は、コキである。
上記長さ調節手段12の数は特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。長さ調節手段12を複数設け、間に、例えば、長さ調節ベルトを接続することにより、体格の異なる人同士で上記身体装着具を共有できる。
上記ベルトの幅は特に限定されないが、例えば、8cm以下が好ましく、より好ましくは5cm以下、更に好ましくは3cm以下である。幅の下限も特に限定されないが、幅が狭すぎると身体へ食い込み、装着者に不快感を与えることがあるため、例えば、1.5cm以上が好ましく、より好ましくは2cm以上、更に好ましくは2.5cm以上である。
上記右側布帛部41aと上記左側布帛部41bとの境界付近には、図2の(a)に示したように、電子ユニット13を設けることが好ましい。電子ユニット13は、装着者の肌に接触しない側に設けることが好ましい。一方、装着者の肌に接触する側には、例えば、図2の(b)に示したように、複数の電極5を設け、電極5と電子ユニット13は、電気配線6で接続すればよい。電子ユニット13、電極5、および電気配線6については、後で説明する。
次に、本発明に係る身体装着具1の他の構成例について、図3および図4を用いて説明する。なお、上記図1、図2と同じ箇所には同一の符号を付すことにより重複説明を避ける。
図3は、本発明に係る他の身体装着具1の装着状態を示す模式図である。図3に示した点線は、人の輪郭を示しており、図3の(a)は、装着者を背面から見た図、図3の(b)は、装着者を正面から見た図をそれぞれ示している。図4は、図3に示した身体装着具1の拡大図であり、図4の(a)は身体装着具1の背面図、図4の(b)は身体装着具1の正面図である。
図3、図4に示した本発明に係る他の身体装着具1は、上記図1、図2に示した身体装着具1と同様、装着者の右腕を通す右側布帛部41aと、装着者の左腕を通す左側布帛部41bと、を有し、前記右側布帛部41aと前記左側布帛部41bは、装着者の背面側において接続されている点で同じである。
図3、図4に示した身体装着具1は、上記図1、図2に示した身体装着具1と異なり、上記右側布帛部41aは右腕の上腕を覆う袖筒部4aを有し、上記左側布帛部41bは左腕の上腕を覆う袖筒部4bを有している。袖筒部4a、4bにそれぞれ腕を通すことにより、身体装着具1を身体の特定位置に固定できる。特に、図3、図4に示した身体装着具1は、身体と接触する面積が広いため、きつく締め付けなくても固定できるため、自然な状態で身体の生体情報を取得、計測できる。更に、本発明の身体装着具1は意匠性が改善されており、装着してもブラジャーを付けているようには見えないため、男性も抵抗なく装着可能となる。本発明の身体装着具1は、衣服の下に装着できるため、衣服が湿潤したり、汚れた場合には、衣服を気軽に着替えることができるし、着用者は好みの衣服を着用できる。
上記右側布帛部41aが上記袖筒部4aを有する場合は、上記右側布帛部41aのうち胴体を覆う部分と袖筒部4aとの縫い目をなくして一体成形してもよいし、胴体を覆う部分と袖筒部4bとを別パーツとして準備し、縫い合わせて接続してもよい。一体成形することが好ましく、身体への負担を軽減できる。上記左側布帛部41bが上記袖筒部4bを有する場合についても同様である。
上記袖筒部4a、4bの長さは特に限定されず、一方肩部2a側の上腕および他方肩部2b側の上腕を少なくとも覆うことが好ましく、上腕および前腕(即ち、上肢)を覆ってもよい。
上記袖筒部4a、4bの袖口には、例えば、装着者の肌に接触する側に滑り止めを設けることが好ましい。滑り止めとしては、袖口と装着者の肌との摩擦力を大きくするために、例えば、シリコーンやゴムなどを袖口に設けることが好ましい。
図3、図4に示した身体装着具1の着丈は特に限定されないが、ウエストラインより短いボレロ形状であることが好ましく、一方腋窩31aと他方腋窩31bとを結ぶラインまでの着丈であってもよい。
上記右側布帛部41aと上記左側布帛部41bは、図3の(b)および図4の(b)に示すように、装着者の前面側において1本のベルト7で接続されている。
上記ベルト7を設ける位置は着丈に応じて調整すればよく、特に限定されないが、例えば、鎖骨と乳頭との間であってもよいし、乳頭と腹との間であってもよい。
上記ベルト7には、図3の(b)および図4の(b)に示すように、長さ調節手段12を設けることが好ましい。上記長さ調節手段12としては、上記長さ調節手段12a、12bとして例示したものを用いることができる。なお、図3の(b)および図4の(b)に示した長さ調節手段12は、コキである。
上記長さ調節手段12の数は特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。長さ調節手段12を複数設け、間に、例えば、長さ調節ベルトを接続することにより、体格の異なる人同士で上記身体装着具を共有できる。
上記ベルト7の幅は特に限定されないが、例えば、8cm以下が好ましく、より好ましくは5cm以下、更に好ましくは3cm以下である。幅の下限も特に限定されないが、幅が狭すぎると身体へ食い込み、装着者に不快感を与えることがあるため、例えば、1.5cm以上が好ましく、より好ましくは2cm以上、更に好ましくは2.5cm以上である。
上記右側布帛部41aと上記左側布帛部41bとの境界付近には、図4の(a)に示したように、電子ユニット13を設けることが好ましい。電子ユニット13は、装着者の肌に接触しない側に設けることが好ましい。一方、装着者の肌に接触する側には、例えば、複数の電極5を設け、電極5と電子ユニット13は、電気配線6で接続すればよい(図示せず)。電子ユニット13、電極5、および電気配線6については、後で説明する。
図1~図4に示した上記身体装着具1の身体への密着圧力は、例えば、0.5kPa以上が好ましい。密着圧力は、より好ましくは0.6kPa以上、更に好ましくは0.8kPa以上である。上限は、例えば、1.2kPa以下が好ましい。上記密着圧力は、例えば、歪みゲージ、ウォーターバック型圧力センサ、エアパック式圧力センサ等を用いて測定できる。
図1~図4に示した上記身体装着具1には、例えば、上記右側布帛部41aや上記左側布帛部41bに、小物収容部を設けることが好ましい。小物収容部を設けることにより、例えば、スマートフォンや携帯電話、財布、鍵などの小物を入れることができる。
上記小物収容部としては、小物を出し入れするための開口部と、小物を収容し、保持するための保持部を有していればよく、具体的には、ポケット、網状の小物ホルダーなどを設ければよい。
上記小物収容部の素材は特に限定されないが、例えば、通気性を高めるためにメッシュ素材で構成してもよいし、収容物を濡らさないように、耐水性を有する素材で構成してもよい。
上記小物収容部は、装着者の肌に接触しない側に設けてもよいし、装着者の肌に接触する側に設けてもよい。
上記右側布帛部41a、上記左側布帛部41b、上記袖筒部4a、4b、ベルト7を構成する布帛としては、織物、編み物、不織布を例示できる。
上記布帛が織物の場合は、例えば、平織、綾織、朱子織等で織られたものを用いることができる。
上記布帛が編み物の場合は、例えば、平編、鹿の子編、アムンゼン編、レース編、アイレット編、添え糸編、パイル編、リブ編、リップル編、亀甲編、ブリスター編、ミラノリブ編、シングルピケ編、ダブルピケ編、斜文編、ヘリボーン編、ポンチローマ編、バスケット編、トリコット編、ハーフトリコット編、サテントリコット編、ダブルトリコット編、クインズコード編、ストライプサッカー編、ラッセル編、チュールメッシュ編、およびこれらを変形・組み合わせて編まれたものを用いることができる。
上記不織布としては、例えば、エラストマー繊維などを用いたものが挙げられる。
上記布帛の素材となる繊維の種類は特に限定されず、天然繊維または化学繊維を用いることができる。上記天然繊維としては、例えば、綿や麻などの植物繊維、羊毛、絹、カシミヤなどの動物繊維などを用いることができる。上記化学繊維としては、例えば、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリウレタンなどを用いることができる。
上記繊維は、それぞれ単独で、または混紡して用いることができる。
上記繊維を混紡する場合は、天然繊維と化学繊維を混紡してもよいし、複数種類の天然繊維を混紡してもよいし、複数種類の化学繊維を混紡してもよい。
混紡する場合の組み合わせとしては、例えば、綿とポリウレタンの組み合わせや、綿、ポリエステル、およびポリウレタンの組み合わせが挙げられる。
上記布帛が綿を含む場合は、布帛全体の質量を100%としたとき、綿を25質量%以上含有することが好ましい。上記綿の含有量は、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは65質量%以上である。上限は特に限定されず、綿100質量%であってもよいが、より好ましくは95質量%以下である。
上記布帛は、綿以外に、更に伸縮性を有する素材を含むことが好ましい。上記伸縮性を有する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、天然ゴム、合成ゴム、各種エラストマー等からなるスパンデックスなどが挙げられる。
上記伸縮性を有する素材は、布帛全体の質量を100%としたとき、5質量%以上含有することが好ましい。上記伸縮性を有する素材は、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。上限は特に限定されないが、例えば、55質量%以下が好ましい。
上記布帛は、繰り返し10%以上の伸縮が可能な伸縮性を有することが好ましい。伸縮性は、例えば、JIS L1096(2010)における伸縮織物及び編物の伸縮性試験を繰り返し行う事で測定できる。
また、上記布帛は、50%以上の破断伸度(引張伸び)を有することが好ましい。破断伸度は、引張強度試験によって測定できる。
上記布帛には、樹脂を被覆したり、樹脂を含浸させてもよい。上記布帛に被覆したり、含浸させる樹脂としては、例えば、ポリウレタン、合成ゴム、天然ゴムなどを用いることができる。
また、上記布帛の一部に、ゴムシートを用いてもよい。ゴムシートとしては、例えば、クロロプレンに代表される合成ゴムシートの発泡体を用いることができる。合成ゴムシートは、ネオプレン(登録商標)として販売されているものを用いることができる。
上記右側布帛部41aを構成する布帛と、上記左側布帛部41bを構成する布帛の素材は異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
上記右側布帛部41aが上記袖筒部4aを有する場合は、上記右側布帛部41aのうち胴体を覆う部分の布帛と、上記袖筒部4aを構成する布帛の素材は異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。上記右側布帛部41bが上記袖筒部4bを有する場合も同様である。
上記右側布帛部41aおよび上記左側布帛部41bを構成する布帛の素材と、上記ベルトを構成する布帛の素材は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
次に、電子ユニット13、電極5、および電気配線6について説明する。上記身体装着具1は、装着者の肌に接触する複数の電極を有しており、上記電極では、電気信号を取得する。
上記身体装着具1は、(a)装着者の腹側に一対の電極を少なくとも一組有してもよいし、(b)装着者の背側に一対の電極を少なくとも一組有してもよいし、(c)装着者の右外側と左外側で一対となる電極を少なくとも一組有してもよいし、(d)装着者の腹側と背側で一対となる電極を少なくとも一組有してもよい。上記(d)の場合は、装着者の腹側には、鎖骨と乳頭の間に一方電極を有し、装着者の背側には、前記一方電極より身長方向の下方に他方電極を有してもよい。上記電極は、一組でもよいし、二組以上設けてもよい。
上記電極の形状や大きさは特に限定されず、上記身体装着具1の形状や大きさを考慮して定めればよい。
上記電極としては、例えば、(1)金属箔、(2)導電性ファブリック、(3)伸縮性導体層などを形成すればよい。
(1)金属箔
上記金属箔としては、例えば、銅箔、りん青銅箔、ニッケルメッキ銅箔、錫メッキ銅箔、ニッケル/金メッキ銅箔、アルミニウム箔、銀箔、および金箔よりなる群から選択される少なくとも一種の金属箔が好ましい。
上記金属箔の平均厚さは、例えば、0.08μm以上が好ましい。また、平均厚さは、50μm以下が好ましく、より好ましくは25μm以下、更に好ましくは15μm以下、特に好ましくは8μm以下、最も好ましくは4μm以下である。
上記金属箔は、例えば、電解法、無電解法、圧延法、蒸着法、スパッタリング法など公知の方法で形成すればよい。
また、上記金属箔は、例えば、エッチング法、リフトオフ法、アディティブ法、打ち抜き法、レーザーカッティング法などの方法により、所定のパターン形状に加工することが好ましい。
(2)導電性ファブリック
上記導電性ファブリックとは、導電性を有する繊維構造体を意味する。上記導電性ファブリックとしては、例えば、導電糸(導電性糸、導電性繊維を含む意味。以下、同じ。)を含む繊維で構成された織物、編み物、不織布が挙げられる。上記導電糸とは、繊維長1cmあたりの抵抗値が100Ω以下の糸を意味する。
上記導電糸とは、導電性繊維、導電性繊維の繊維束、導電性繊維を含む繊維から得られる撚糸、組み糸、紡績糸、混紡糸、金属線を極細に延伸した極細金属線、フィルムを極細の繊維状に切断した極細フィルムの総称である。
上記導電性繊維としては、例えば、金属で被覆された化学繊維または天然繊維、導電性金属酸化物で被覆された化学繊維または天然繊維、グラファイト、カーボン、カーボンナノチューブ、グラフェンなどのカーボン系導電性材料で被覆された化学繊維または天然繊維、導電性高分子で被覆された化学繊維または天然繊維などが挙げられる。
また、上記導電性繊維として、例えば、金属、導電性金属酸化物、カーボン系導電性材料、および導電性高分子よりなる群から選ばれる少なくとも1種の導電性材料を含む高分子材料を紡糸して得られた繊維を用いることができる。
上記導電性繊維の繊維束としては、例えば、上記導電性繊維のマイクロファイバーやナノファイバーなどからなる繊維束に、導電性フィラーや導電性高分子等を担持、含浸させて得られたものを用いることができる。
上記導電糸として、上記導電性繊維を含む繊維を用いて得られた撚糸、組み糸、紡績糸、混紡糸など用いてもよい。
上記導電糸には、金属線を極細に延伸した極細金属線も包含される。
上記導電性繊維、上記導電性繊維の繊維束、上記導電性繊維を含む繊維から得られる撚糸、組み糸、紡績糸、混紡糸、上記極細金属線の平均直径は、250μm以下が好ましく、より好ましくは120μm以下、更に好ましくは80μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
上記導電糸には、フィルムを極細の繊維状に切断した極細フィルムも包含され、上記極細フィルムとは、金属、導電性金属酸化物、カーボン系導電性材料、および導電性高分子よりなる群から選ばれる少なくとも1種の導電性材料を被覆した高分子フィルムを幅800μm以下に切断して得られた繊維状フィルムを意味する。
上記導電糸のなかでも、金属で被覆された化学繊維、導電性高分子を担持、含浸させた導電性繊維の繊維束、および平均直径が50μm以下の極細金属線よりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
上記導電性ファブリックとしては、具体的には、非導電性の布帛に導電糸を刺繍した繊維構造体、非導電性の布帛に導電性高分子含有溶液を含浸、乾燥させた繊維構造体、導電性フィラーとバインダー樹脂とを含む溶液を含浸、乾燥させた繊維構造体などが挙げられる。これらのなかでも、非導電性の布帛に導電性高分子含有溶液を含浸、乾燥させた繊維構造体を用いることが好ましい。
上記導電性高分子としては、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸とを含む混合物を好ましく用いることができる。
上記導電糸を含む繊維としては、合成繊維マルチフィラメントが好ましく、該合成繊維マルチフィラメントの少なくとも一部が、繊度が30dtex未満の極細フィラメントであるか、或いは、繊度が400dtexを超え、かつ単糸繊度が0.2dtex以下の合成繊維マルチフィラメントであることが好ましい。
上記導電性ファブリックが、導電糸を含む繊維で構成された織物であるか、編み物である場合は、目付けは50g/m2未満が好ましく、導電性高分子の脱落を防止できる。また、目付けは300g/m2を超えることが好ましく、充分な導電性を確保できる。
(3)伸縮性導体層
上記伸縮性導体層とは、伸縮性を有し、且つ比抵抗が1×100Ωcm以下の層を意味する。上記伸縮性とは、導電性を保った状態で、繰り返し10%以上の伸縮が可能であることを意味する。
上記伸縮性導体層は、層単独で40%以上の破断伸度を有することが好ましい。破断伸度は、より好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上である。破断伸度は、導電性ペーストを離型シート上に所定の膜厚に塗布し、乾燥後に剥離し、引張試験を行って測定できる。
上記伸縮性導体層は、引張弾性率が10~500MPaであることが好ましい。
上記伸縮性導体層の平均厚さは、例えば、15μm以上が好ましく、より好ましくは30μm以上である。平均厚さは、例えば、250μm以下が好ましく、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは80μm以下である。
このような伸縮性導体層を形成できる材料を、以下、伸縮性導体層用組成物と呼ぶことがある。
上記伸縮性導体層は、例えば、伸縮性導体層用組成物として導電性ペーストを用いて形成できる。
導電性ペーストは、少なくとも(i)導電性粒子、(ii)柔軟性樹脂、および(iii)溶剤を含むものである。
(i)導電性粒子
上記導電性粒子とは、比抵抗が1×10-1Ωcm以下の粒子を意味する。上記比抵抗が1×10-1Ωcm以下の粒子としては、例えば、金属粒子、合金粒子、カーボン粒子、カーボンナノチューブ粒子、ドーピングされた半導体粒子、導電性高分子粒子、ハイブリッド粒子などが挙げられる。
上記金属粒子としては、例えば、銀粒子、金粒子、白金粒子、パラジウム粒子、銅粒子、ニッケル粒子、アルミニウム粒子、亜鉛粒子、鉛粒子、錫粒子などが挙げられる。上記合金粒子としては、例えば、黄銅粒子、青銅粒子、白銅粒子、半田粒子などが挙げられる。上記ドーピングされた半導体粒子としては、例えば、錫の酸化物、インジウムと錫の複合酸化物などが挙げられる。上記導電性高分子粒子としては、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸とを含む混合物からなる粒子や、金属被覆した高分子粒子が挙げられる。上記ハイブリッド粒子としては、例えば、金属被覆した金属粒子、金属被覆したガラス粒子、金属被覆したセラミック粒子などが挙げられる。上記金属被覆した金属粒子としては、例えば、銀被覆銅粒子が挙げられる。
上記導電性粒子の平均粒子径は、例えば、100μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは12μm以下である。上記平均粒子径の下限は特に限定されないが、例えば、0.08μm以上である。
上記粒子は、例えば、フレーク状粉であってもよいし、不定形凝集粉であってもよい。例えば、上記銀粒子としては、フレーク状銀粒子や不定形凝集銀粉を用いることができる。
上記フレーク状粉の平均粒子径は、動的光散乱法により測定した平均粒子径(50%D)が、例えば、0.5~20μmであるものが好ましい。平均粒子径が0.5μm未満では、粒子同士が接触できないことがあり、導電性が悪化するおそれがある。平均粒子径は、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上である。しかし、平均粒子径が20μmを超えると、微細な配線の形成が困難になることがある。また、スクリーン印刷などを行うと、目詰まりすることがある。平均粒子径は、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは12μm以下である。
上記不定形凝集粉の平均粒子径は、光錯乱法により測定した平均粒子径(50%D)が、例えば、1~20μmであるものが好ましい。平均粒子径が1μm未満では、凝集粉としての効果が失われ、導電性を維持できないことがある。平均粒子径は、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上である。しかし、平均粒子径が20μmを超えると、溶剤への分散性が低下し、ペースト化が難しくなる。平均粒子径は、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは12μm以下である。
(ii)柔軟性樹脂
上記柔軟性樹脂とは、弾性率が1~1000MPaの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムなどを用いることができる。膜の伸縮性を発現させるために、ゴムを用いることが好ましい。上記弾性率は、好ましくは3MPa以上、より好ましくは10MPa以上、更に好ましくは30MPa以上である。上記弾性率は、好ましくは600MPa以下、より好ましく500MPa以下、更に好ましくは300MPa以下である。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステルなどを用いることができる。上記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。
上記ゴムとしては、例えば、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴムや水素化ニトリルゴムなどのニトリル基含有ゴム、イソプレンゴム、硫化ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ化ビニリデンコポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、ニトリル基含有ゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムが好ましく、ニトリル基含有ゴムが特に好ましい。
上記ニトリル基含有ゴムは、ニトリル基を含有するゴムやエラストマーであれば特に限定されず、例えば、ニトリルゴムと水素化ニトリルゴムが好ましい。ニトリルゴムはブタジエンとアクリロニトリルの共重合体であり、結合アクリロニトリル量が多いと金属との親和性が増加するが、伸縮性に寄与するゴム弾性は逆に減少する。従って、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム中の結合アクリロニトリル量は18~50質量%が好ましく、より好ましくは40~50質量%である。
上記柔軟性樹脂の配合量は、導電性粒子と柔軟性樹脂の合計に対して、7~35質量%であり、より好ましくは9質量%以上、更に好ましくは12質量%以上、より好ましくは28質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
(iii)溶剤
上記溶剤は特に限定されず、公知の有機溶媒または水系溶媒を用いることができる。
上記電極の表面、即ち、装着者の肌に接触する側には、電極表面層を有することが好ましい。一方、上記電極と上記布帛部との境界には、絶縁性を高めるために、下地層を有することが好ましい。
(電極表面層)
上記電極表面層としては、例えば、貴金属メッキ層、不動態形成により酸化しにくい金属層、耐食性合金層、カーボン層、伸縮性導電層などが挙げられ、単独で、あるいは2種以上を積層して設けてもよい。
上記貴金属メッキ層としては、例えば、金、銀、白金、ロジウム、およびルテニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の層が挙げられる。上記不動態形成により酸化しにくい金属層としては、例えば、クロム、モリブデン、タングステン、およびニッケルよりなる群から選ばれる1種の層が挙げられる。上記耐食性合金層としては、例えば、モネル合金などの層が挙げられる。上記カーボン層は、上記電極の表面に、例えば、カーボンペーストなどを印刷して層を形成することが好ましい。上記伸縮性導電層としては、例えば、導電性フィラーと柔軟性樹脂などを含む伸縮性導電組成物を用いて層を形成することが好ましい。
上記電極表面層の平均厚さは、12μm以上が好ましく、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは40μm以上である。上記平均厚さとは、電極表面層の算術平均厚さであり、厚さを無作為に10点測定した値の算術平均値である。
(下地層)
上記絶縁性とは、電気的な絶縁性に加え、機械的、化学的、生物学的な絶縁性を含む意味である。即ち、布帛を透過してくる汗などの水分や、化学物質、生体物質から電極を絶縁する機能を有している。
上記下地層は、柔軟な高分子材料であることが好ましい。上記柔軟な高分子材料としては、ゴム、エラストマーと呼ばれる材料を用いることができる。上記ゴム、エラストマーとしては、伸縮性導体層用組成物として例示した柔軟性樹脂で具体的に挙げたゴム、エラストマーを好ましく用いることができる。
上記下地層の平均厚さは、12μm以上が好ましく、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは40μm以上である。上記平均厚さとは、下地層の算術平均厚さであり、厚さを無作為に10点測定した値の算術平均値である。
上記下地層は、繰り返し10%以上の伸縮が可能な伸縮性を有することが好ましい。また、上記下地層は、50%以上の破断伸度を有することが好ましい。更に、上記下地層は、引張弾性率が10~500MPaであることが好ましい。
上記下地層は、布帛の表面に、例えば、コーティング液、浸漬液、印刷インクまたは印刷ペースト等の液状物、スラリー状物を介して形成することが好ましい。
また、上記下地層として、予めウレタン樹脂、あるいはゴムなどをシート化したものを準備しておき、ホットプレスなどの手法で布帛と貼り合わせて形成してもよい。
(電子ユニット)
上記身体装着具は、上記電極の他、電極で取得した電気信号を演算する機能(演算手段)を有する電子ユニットを備えていることが好ましい。上記電子ユニットでは、電極で取得した電気信号を演算することにより、例えば、心拍数、脈拍数、呼吸数、血圧、体温、筋電などの身体の生体情報が得られる。
上記電子ユニットは、更に、表示手段、記憶手段、通信手段、USBコネクタなどを有することが好ましい。
上記通信手段としては、例えば、ブルートゥース(登録商標)などにより変換された生体情報を、外部機器(例えば、腕時計や、パーソナルコンピューター、タブレット型パーソナルコンピューター、スマートフォンなどの携帯情報機器など)へ無線で送信できる機能を備えることが好ましい。また、電子ユニットにコネクタを設け、電子ユニットと外部機器とを有線で接続し、電子ユニット内に記憶させた生体情報を外部機器へ送信できる機能を備えることも好ましい。
上記電子ユニットは、気温、湿度、気圧などの環境情報を計測できるセンサや、GPSを用いた位置情報を計測できるセンサなどを備えてもよい。
上記電子ユニットは、身体装着具に対して脱着できることが好ましい。
(電気配線)
上記電極と上記電子ユニットは、電力供給用や信号伝送用の電気配線で接続されている。
上記電気配線としては、上記電極と同様、例えば、(1)金属箔、(2)導電性ファブリック、(3)伸縮性導体層などを形成すればよい。
電気配線の厚みは、電極の厚みと同じであってもよい。
上記電気配線として、金属箔を形成する場合は、例えば、ゴムシート、ウレタンシート、シリコーンゴムシートなどの伸縮可能なシートと金属箔との積層体を形成した後、サブトラクティブ法で、金属箔の不要部分を除去し、所定のパターンを形成すればよい。上記サブトラクティブ法とは、一般的なプリント配線板製法に用いられるエッチング法と同義である。
上記伸縮可能なシートは、布帛との境界に、下地層を兼ねてもよく、下地層の一部として構成してもよい。
上記電気配線として、導電性ファブリックを形成する場合は、電気配線を導電糸とし、導電性ファブリックを用いた電極と組み合わせることが好ましい。
上記電気配線は、冗長性を有することが好ましい。上記冗長性とは、空間中に、点A、点Bの二点を定義したときに、二点間の最短距離Xに対して、最短距離よりも長い経路Yを用いて2点を結ぶことにより、二点間の距離が伸びた際にも余裕をもって接続状態が維持される状態を意味する。冗長性は、下記式で定義される冗長性係数で評価できる。
冗長性係数=Y/X
二点間の距離を測定して冗長性係数を算出するにあたり、線路が幅を有している場合は、線路の中央を通る線の長さを測定すればよい。
上記電気配線に冗長性を持たせるには、上記電気配線の形状を、例えば、波形模様やジグザグ模様、馬蹄形が繰り返された模様などにすればよい。例えば、導電性ファブリックの場合は、導電糸をニットに組み込み、導電糸でループを作って冗長性を確保し、ニット生地そのものを電気配線として用いることができる。
本発明において、上記冗長性係数は1.41以上が好ましく、より好ましくは1.8以上、更に好ましくは2.2以上、特に好ましくは2.8以上である。
上記電気配線の表面、即ち、布帛とは反対側には、電気配線表面層を設けることが好ましい。一方、上記電極と同様、上記電気配線と上記布帛部との境界には、絶縁性を高めるために、下地層を設けることが好ましい。
(電気配線表面層)
上記電気配線表面層としては、絶縁性を有する絶縁皮膜を設けることが好ましい。上記絶縁皮膜の抵抗率は、1×109Ωcm以上が好ましい。
上記絶縁皮膜としては、例えば、ポリウレタン、シリコーンゴム、ポリアクリル酸エステルなどからなる絶縁層を設けることが好ましい。
上記電気配線表面層の平均厚さは、12μm以上が好ましく、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは40μm以上である。上記平均厚さとは、絶縁皮膜の算術平均厚さであり、厚さを無作為に10点測定した値の算術平均値である。
上記絶縁皮膜は、絶縁性の他、更に伸縮性を有することが好ましい。
以上の通り、本発明の身体装着具によれば、身体の特定位置に固定でき、自然な状態で身体の生体情報を取得、計測できる。また、男性も抵抗なく装着できる。
上記身体装着具は、例えば、空手、ボクシング、テコンドー、剣道、フェンシング、柔道などの格闘技、野球、ソフトボール、サッカー、ラグビー、アメリカンフットボール、テニス、卓球、バスケットボール、ハンドボール、バレーボールなどの球技、ジョギング、ランニング、競歩などの陸上競技、自転車競技などスポーツを行う際に好ましく装着できる。また、上記身体装着具は、例えば、病人や要介護者に装着してもよい。
1 身体装着具
2a 一方肩部
2b 他方肩部
4a、4b 袖筒部
5 電極
6 電気配線
7 ベルト
12、12a、12b 長さ調節手段
13 電子ユニット
31a 一方腋窩
31b 他方腋窩
41a 右側布帛部
41b 左側布帛部

Claims (11)

  1. 装着者の肌に接触する複数の電極を有する身体装着具であって、
    装着者の右腕を通す右側布帛部と、装着者の左腕を通す左側布帛部と、を有し、
    前記右側布帛部と前記左側布帛部は、装着者の背面側において接続されており、装着者の前面側において1本のベルトにより接続されており、
    前記ベルトは、着用者の鎖骨と乳頭との間に配置されている身体装着具。
  2. 前記ベルトは、長さ調節手段を有する請求項1に記載の身体装着具。
  3. 前記右側布帛部および前記左側布帛部は帯状である請求項1または2に記載の身体装着具。
  4. 前記帯状の右側布帛部および前記帯状の左側布帛部は、長さ調節手段を有する請求項3に記載の身体装着具。
  5. 前記右側布帛部は前記右腕の上腕を覆う袖筒部を有し、前記左側布帛部は前記左腕の上腕を覆う袖筒部を有する請求項1または2に記載の身体装着具。
  6. 前記装着者の腹側に一対の電極を少なくとも一組有する請求項1~5のいずれかに記載の身体装着具。
  7. 前記装着者の背側に一対の電極を少なくとも一組有する請求項1~5のいずれかに記載の身体装着具。
  8. 前記装着者の右外側と左外側で一対となる電極を少なくとも一組有する請求項1~5のいずれかに記載の身体装着具。
  9. 前記装着者の腹側と背側で一対となる電極を少なくとも一組有する請求項1~5のいずれかに記載の身体装着具。
  10. 前記装着者の腹側には、鎖骨と乳頭の間に一方電極を有し、前記装着者の背側には、前記一方電極より身長方向の下方に他方電極を有する請求項9に記載の身体装着具。
  11. 小物収容部を有する請求項1~10のいずれかに記載の身体装着具。
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