JP6991501B2 - 中性子検出器及び中性子測定装置 - Google Patents

中性子検出器及び中性子測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6991501B2
JP6991501B2 JP2017105099A JP2017105099A JP6991501B2 JP 6991501 B2 JP6991501 B2 JP 6991501B2 JP 2017105099 A JP2017105099 A JP 2017105099A JP 2017105099 A JP2017105099 A JP 2017105099A JP 6991501 B2 JP6991501 B2 JP 6991501B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
neutron
shell
neutrons
outer shell
neutron detector
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017105099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018200235A (ja
Inventor
一輝 土田
章 瓜谷
直樹 須田
和也 佐藤
賢一 渡辺
淳 山▲崎▼
幸子 吉橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
YAGAMI CO., LTD.
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Original Assignee
YAGAMI CO., LTD.
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by YAGAMI CO., LTD., Tokai National Higher Education and Research System NUC filed Critical YAGAMI CO., LTD.
Priority to JP2017105099A priority Critical patent/JP6991501B2/ja
Publication of JP2018200235A publication Critical patent/JP2018200235A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6991501B2 publication Critical patent/JP6991501B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Measurement Of Radiation (AREA)

Description

本発明は、熱外領域の中性子に対して特異な感度を有するボナー球型の中性子検出器、及び、それを備える中性子測定装置に関する。
がんを治療する放射線療法の一種に、ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy;BNCT)がある。ホウ素中性子捕捉療法は、がん細胞に選択的に蓄積させたホウ素化合物に中性子を照射し、10B(n,α)Liの核反応により生成するα粒子やリチウム原子核によってがん細胞を破壊する治療法である。α粒子やリチウム原子核の飛程は細胞の大きさと同程度であるため、ホウ素中性子捕捉療法によると、正常細胞を大きく損傷すること無く、がん細胞のみを選択的に破壊することが可能である。
ホウ素中性子捕捉療法においては、ホウ素10(10B)を含むホウ素化合物を患者に投与し、ホウ素化合物が集積されたがん細胞に中性子線を照射して治療を行う。中性子のエネルギが低いほど、反応断面積が大きくなり、正常細胞の損傷も避けることができる一方、患者の組織の深部に到達する程度の高いエネルギも必要である。そのため、治療に用いる中性子線は、熱外中性子の強度が高く、高速中性子の混入率が低く、且つ、熱外中性子束に対する熱中性子束の比率が低いことが要求される。
ホウ素中性子捕捉療法の中性子源は、研究用原子炉等から加速器に移行しつつあり、中性子源が出射した高速の中性子線は、熱外領域以下まで減速されて治療に用いられている。ホウ素中性子捕捉療法の治療計画を適正に作成するには、中性子線による治療の効果や患者の被爆線量を正確に把握しておくことが肝要である。また、治療中にリアルタイムで正確な線量を把握することも望まれている。このような状況の下、ホウ素中性子捕捉療法の治療体系をはじめ、中性子場の強度や線量等を評価するために、中性子スペクトルの測定が行われている。
中性子を検出する中性子検出器としては、ヘリウム3( 3He)や、ホウ素10(10B)を含むBFを利用する比例計数管、リチウム6( 6Li)を含むガラスシンチレータを利用するシンチレーション検出器等が代表的である。熱中性子が測定の対象である場合は、減速材が組み合わされたり、高速中性子が測定の対象である場合は、反跳陽子を検出する比例計数管等も使用されたりしている。また、中性子全般について、金属箔や金属線を利用する放射化法も用いられている。ホウ素中性子捕捉療法の治療体系の測定には、箔放射化法や、ボナー球型の中性子検出器が用いられている。
箔放射化法は、自己吸収が少ない箔状の金属を中性子で放射化させた後、放出されるガンマ線を測定することにより行われる。放射化後に半導体検出器やシンチレータ等を利用してガンマ線を測定し、崩壊定数を用いて計算することによって、放射化時の中性子束が絶対測定される。熱外領域についての評価が必要なホウ素中性子捕捉療法の治療体系では、金属箔として、金箔が用いられることが多い。熱外中性子束の測定の際には、カドミウム等が併用されている。
一方、ボナー球型の中性子検出器は、一般に、比例計数管やシンチレータと、それを覆う減速材とを備えている。減速材の厚さが互いに異なり応答関数が相違するボナー球でエネルギ毎に中性子を計数し、その結果をアンフォールディング法で解析することにより、熱外領域を含む範囲の中性子スペクトルが推定されている。非特許文献1には、 3He比例計数管を備えたボナー球の応答関数を減速材の厚さを変えて解析した結果が開示されている。
Vladimir Mares et al. "Calculated neutron response of a Bonner sphere spectrometer with 3He counter", Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A Accelerators Spectrometers Detectors and Associated Equipment, 1911, 307(2-3), p. 398-412
従来、一般的に用いられている箔放射化法やボナー球型の中性子検出器を用いると、ホウ素中性子捕捉療法の治療体系をはじめ、中性子場の中性子スペクトルを得ることができる。また、箔放射化法で閾値反応を利用したり、ボナー球の減速材の厚さを変えて適切な測定を行うことにより、熱外領域の中性子スペクトルを或る程度の精度で求めることができる。
しかしながら、箔放射化法による測定では、金属を放射化させた後にガンマ線の測定を行うため、照射時の中性子スペクトルをリアルタイムで知ることができないという問題がある。また、中性子スペクトルを測定するには、異なる種類の金属箔を使用した測定が必要となり、それに応じたガンマ線検出器が必要になる。ホウ素中性子捕捉療法の治療計画を適切に進める等の観点からは、熱外領域の中性子スペクトルを高精度で即時に求め得る手法が望まれるため、箔放射化法による測定は、ホウ素中性子捕捉療法の治療体系への適用に沿うものではない。
また、一般的なボナー球型の中性子検出器は、非特許文献1に記載されているように、熱外領域におけるエネルギの分解能が低いという問題がある。一般的なボナー球型の中性子検出器で中性子スペクトルを求める場合、分解能が低いエネルギ域ほど、減速材の厚さを種々に変えて多数のエネルギ群の測定を行う必要がある。そのため、時間的或いは空間的に測定の再現性が低くなる虞があるし、ボナー球の設置や交換のために被爆する可能性も高くなる。
また、一般的なボナー球型の中性子検出器は、 3He比例計数管を備えることが多いので、比例計数管の大きさに応じて減速材の外径も大きくなり、全体の直径が数cmから数十cmと大型である。そのため、ボナー球自体が中性子場を擾乱したり、ボナー球を配置する空間の確保が難しくなったりして、中性子スペクトルの測定の精度を損なう問題もある。
そこで、本発明は、熱外領域の中性子スペクトルを高精度で求めることを可能にする中性子検出器及び中性子測定装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る中性子検出器は、熱外領域の中性子スペクトルの測定に用いられる複数の中性子検出器の組み合わせであって、前記中性子検出器は、飛来する中性子を受けて発光を生じるLi含有シンチレータと、前記Li含有シンチレータを囲む第1殻と、前記第1殻の外側を覆う第2殻と、を備え、前記第1殻は、中性子を減速する減速材で構成され、前記第2殻は、共鳴吸収反応の断面積の主ピークが1eV以上10keV以下の範囲にある材料で構成されており、複数の前記中性子検出器のそれぞれは、前記第2殻の材料が、互いに異なるエネルギの範囲に中性子の共鳴吸収反応の断面積の主ピークを有することを特徴とする。
また、本発明に係る中性子測定装置は、熱外領域の中性子スペクトルの測定に用いられる中性子測定装置であって、飛来する中性子を受けて発光を生じるLi含有シンチレータ、前記Li含有シンチレータを囲む第1殻、及び、前記第1殻の外側を覆う第2殻を備え、前記第1殻は、中性子を減速する減速材で構成され、前記第2殻は、共鳴吸収反応の断面積の主ピークが1eV以上10keV以下の範囲にある材料で構成された複数の中性子検出器と、前記Li含有シンチレータに導光体を介して接続された光電子増倍管と、を備え、複数の前記中性子検出器のそれぞれは、前記第2殻の材料が、互いに異なるエネルギの範囲に中性子の共鳴吸収反応の断面積の主ピークを有することを特徴とする。
本発明によれば、熱外領域の中性子スペクトルを高精度で求めることを可能にする中性子検出器及び中性子測定装置を提供することができる。中性子検出器及び中性子測定装置は、小型に設けることが可能であり、中性子場に与える擾乱を少なくすると共に、迅速な測定を可能にする。
本発明の実施形態に係る中性子検出器の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係る中性子検出器の他例を模式的に示す断面図である。 外殻の材料が金である中性子検出器の応答関数を示す図である。 金の外殻による感度の差分を示す図である。 外殻の材料がインジウムである中性子検出器の応答関数を示す図である。 インジウムの外殻による感度の差分を示す図である。 外殻の材料が銀である中性子検出器の応答関数を示す図である。 銀の外殻による感度の差分を示す図である。 外殻の材料がマンガンである中性子検出器の応答関数を示す図である。 マンガンの外殻による感度の差分を示す図である。 外殻の材料がタングステンである中性子検出器の応答関数を示す図である。 タングステンの外殻による感度の差分を示す図である。 外殻の材料がニッケルである中性子検出器の応答関数を示す図である。 ニッケルの外殻による感度の差分を示す図である。 材料がカドミウムである中性子検出器の応答関数を示す図である。 中性子検出器の応答関数を示す図である。 中性子検出器の応答関数を示す図である。 アンフォールディング法を利用して求めた中性子スペクトルを示す図である。 本発明の実施形態に係る中性子測定装置の要部を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る中性子検出器、及び、それを備える中性子検出装置について、図を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において共通する構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る中性子検出器の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る中性子検出器1は、中性子を検出するLi含有シンチレータ5と、Li含有シンチレータ5に接続した導光体6と、Li含有シンチレータ5を囲む内殻(第1殻)10と、内殻(第1殻)10の外側を覆う外殻(第2殻)20と、を備えている。
中性子検出器1は、中性子場の中性子を検出する装置であり、装置に飛来する中性子を減速材で減速してから検出するボナー球型の中性子検出器とされている。中性子検出器1は、熱外領域の中性子に対して特異な感度を有しており、応答関数の差異により熱外領域の中性子スペクトルを測定する用途に使用され得る。なお、本明細書においては、運動エネルギが0.5eV未満の中性子を熱中性子、0.5eV以上10keV以下の中性子を熱外中性子、10keVを超える中性子を高速中性子と定義し、それぞれのエネルギの範囲を熱領域、熱外領域、高速領域と呼称する。
中性子検出器1は、図1に示すように、外形が球状であり、球体の中心部に、中性子を受けて発光を生じる固体型のLi含有シンチレータ5を備えている。Li含有シンチレータ5は、発光による光信号を伝搬する導光体6のコアの端面に接着した状態で支持されている。導光体6としては、例えば、光ファイバ、ライトガイド等の光信号を伝搬可能な適宜の部材が用いられる。導光体6の材料は、例えば、フッ素系ポリマー、ポリカーボネート、ポリスチレン、石英ガラス等のいずれであってもよい。
Li含有シンチレータ5は、リチウム6( 6Li)を含有し、中性子が入射すると、 6Li(n,α) 3Hの反応を生じる。この核反応のQ値は、約4.78MeVである。この核反応によって生じたα粒子と三重水素粒子がLi含有シンチレータ5中の電子を励起し、その後の脱励起に伴って発光が生じる。
Li含有シンチレータ5の材料としては、例えば、フッ化リチウムカルシウムアルミニウム(LiCaAlF6 )を用いることができる。フッ化リチウムカルシウムアルミニウムは、高い発光量、短い発光寿命、及び、潮解し難い化学的安定性を示すため、中性子検出用のLi含有シンチレータ5の材料として好適である。また、一般的なボナー球型の中性子検出器が備える 3He比例計数管等と比較して、微小であっても十分な検出効率が得られるため、内殻10や外殻20等の外径を小さくすることが可能である。
リチウム6( 6Li)の核反応により生じるα粒子や三重水素粒子の飛程は、数十μmである。一方、中性子場に混在するガンマ線がフッ化リチウムカルシウムアルミニウムに入射して生じる高速電子の飛程は、約1~2mmである。そのため、Li含有シンチレータ5として、高速電子の飛程よりも十分に小さいフッ化リチウムカルシウムアルミニウムを用いることにより、中性子線をガンマ線と弁別して検出することができる。
フッ化リチウムカルシウムアルミニウムは、ユウロピウム、セリウム、ナトリウム及びプラセオジムのうちの一種以上がドープされ得る。Li含有シンチレータ5の材料としては、発光量等の観点から、ユウロピウムがドープされたフッ化リチウムカルシウムアルミニウム(Eu:LiCaAlF)が特に好ましい。なお、フッ化リチウムカルシウムアルミニウムは、カルシウムが、マグネシウム、ストロンチウム及びバリウムのうちの一種以上で置換されていてもよいし、アルミニウムが、ガリウム及びスカンジウムのうちの一種以上で置換されていてもよい。
フッ化リチウムカルシウムアルミニウムは、単結晶であることが好ましい。単結晶のフッ化リチウムカルシウムアルミニウムは、例えば、ブリッジマン法、チョクラルスキー法、ベルヌーイ法、水熱法、フラックス法、化学気相成長法、物理気相成長法等の適宜の結晶育成法で製造可能である。
フッ化リチウムカルシウムアルミニウムは、短手方向の長さが100μm以上700μm以下であることが好ましく、200μm以上500μm以下であることがより好ましい。短手方向の長さがこのような範囲であれば、中性子場に混入しているガンマ線を弁別しつつ、検出率を高くすることができる。
なお、図1において、Li含有シンチレータ5は、立方体形状であり、導光体6の端面に接着されているが、Li含有シンチレータ5の形状や、Li含有シンチレータ5と導光体6とが接する接面の形状は、特に制限されるものではない。Li含有シンチレータ5の形状は、平板状、角柱状、円柱状、球状等の適宜の形状とすることが可能である。また、Li含有シンチレータ5と導光体6とが接する接面の形状は、平面、球面、集光形状等の適宜の形状とすることが可能である。Li含有シンチレータ5は、発光による光が取り出される出射面以外の面が、ポリテトラフルオロエチレン製のテープ等の反射材で被覆されていてもよい。
内殻(第1殻)10は、図1において、Li含有シンチレータ5の外側に球殻を成しており、Li含有シンチレータ5の全体を囲んでいる。内殻10は、中性子を減速する減速材で構成される。内殻10の材料は、具体的には、ポリエチレン、パラフィン、ホウ素を混合した材料等であることが好ましい。特に好ましい内殻10の材料は、密度が約0.94g/cm以上の高密度ポリエチレンである。
内殻10は、例えば、二つ割の構造とされてもよいし、複数の減速材が径方向に配列した多層構造や周方向に配列した分割構造で構成されてもよい。内殻10の厚さは、検出の対象とする中性子のエネルギに応じて決定される。例えば、内殻10の径方向の厚さは、数百μm以上1cm以下等とすることができる。
外殻(第2殻)20は、図1において、内殻(第1殻)10の外側に球殻を成しており、内殻(第1殻)10の外側の表面を覆っている。外殻20は、共鳴吸収反応の微視的断面積の主ピークが1eV以上10keV以下の範囲にある材料で構成される。なお、共鳴吸収反応の微視的断面積の主ピークとは、中性子エネルギ-微視的断面積の線図上の積分面積が最大のピークを意味する。
外殻20は、熱外領域から高速領域にかけた中性子と共鳴吸収反応を生じるため、装置に飛来する中性子が内殻10やLi含有シンチレータ5に達するのが遮蔽される。そのため、異なるエネルギ域に吸収断面積の極大を有する材料を用いると、材料種に応じたエネルギ域毎に特異な感度が得られる。すなわち、中性子検出器同士の間では、外殻20の材料種毎に異なる応答関数を得ることができる。
外殻20の材料は、具体的には、金、インジウム、銀、マンガン、タングステン、ニッケル、カドミウムや、これらの合金等であることが好ましい。特に好ましい外殻20の材料は、金、インジウム、銀、マンガン、タングステン、又は、ニッケルである。
外殻20は、例えば、箔で構成されてもよいし、二つ割の構造とされてもよいし、複数の部材が周方向に配列した分割構造で構成されてもよい。外殻20の厚さは、検出の対象とする所定のエネルギ域の熱外中性子が十分に吸収される程度の厚さとする。例えば、外殻20の径方向の厚さは、数十μm以上数千μm以下等とすることができる。
図2は、本発明の実施形態に係る中性子検出器の他例を模式的に示す断面図である。
前記の本実施形態に係る中性子検出器1は、図2に示すように、中性子を検出するLi含有シンチレータ5と、Li含有シンチレータ5に接続した導光体6と、Li含有シンチレータ5を囲む内殻(第1殻)10と、内殻(第1殻)10の外側を覆う外殻(第2殻)20とに加えて、外殻(第2殻)20の外側を覆う熱中性子遮蔽殻(第3殻)30を更に備える中性子検出器2としてもよい。
熱中性子遮蔽殻(第3殻)30は、図2において、外殻(第2殻)20の更に外側に球殻を成しており、外殻(第2殻)20の外側の表面を覆っている。熱中性子遮蔽殻30は、熱中性子を吸収する材料で構成される。
熱中性子遮蔽殻30は、中性子場に混在している熱中性子を吸収するため、装置に飛来する熱中性子が内殻10や外殻20やLi含有シンチレータ5に達するのが遮蔽される。そのため、熱中性子遮蔽殻30を備える中性子検出器2を使用したり、熱中性子遮蔽殻30を備える中性子検出器2と熱中性子遮蔽殻30を備えない中性子検出器1とを併用したりすることにより、熱領域のエネルギ測定や、バックグラウンドの影響を低減した測定を行うことが可能になる。
熱中性子遮蔽殻30の材料は、具体的には、カドミウム、ガドリニウム、ハフニウム、タンタル、ホウ素や、これらの合金、化合物等である。特に好ましい熱中性子遮蔽殻30の材料は、カドミウムである。
熱中性子遮蔽殻30は、例えば、箔で構成されてもよいし、二つ割の構造とされてもよいし、複数の部材が周方向に配列した分割構造で構成されてもよい。熱中性子遮蔽殻30の厚さは、熱中性子が十分に吸収される程度の厚さとする。例えば、熱中性子遮蔽殻30の径方向の厚さは、200μm以上2000μm以下とすることができる。
次に、中性子検出器の応答関数について、モンテカルロ法を用いて計算した結果を示して説明する。
図3~図14は、図2に示す中性子検出器2を想定した応答関数の計算結果を示している。計算体系としては、Li含有シンチレータ5と、内殻10と、外殻20と、熱中性子遮蔽殻30を備え、導光体6を備えない仮想上の中性子検出器2に対して、真空中、検出器の直径を上回る円盤状の中性子面線源から中性子を照射する体系を設定した。なお、Li含有シンチレータ5としては、密度が2.988g/cmのEu:LiCaAlF6 を半径200μmの球体として設定した。また、内殻10としては、密度が0.95g/cmのポリエチレンを径方向の厚さを0.8cm又は2.0cmとして設定した。また、外殻20としては、各種の金属を径方向の厚さを0.1cm又は0.5cmとして設定した。また、熱中性子遮蔽殻30としては、カドミウムを径方向の厚さを0.05cmとして設定した。計算コードとしては、PHITSを使用し、感度[cm]は、中性子の計数率を単位中性子束で除算して求め、中性子エネルギは、対数軸上で30分割して示した。
図3は、外殻の材料が金である中性子検出器の応答関数を示す図である。図4は、金の外殻による感度の差分を示す図である。
図3は、厚さ0.8cmのポリエチレンの内殻を、厚さ0.1cmの金の外殻と、厚さ0.05cmのカドミウムの熱中性子遮蔽殻で覆った中性子検出器の応答関数である。図4においては、図3に示す外殻の材料が金である中性子検出器の応答関数と、厚さ0.8cmのポリエチレンの内殻を厚さ0.05cmのカドミウムで直接覆った外殻を備えない中性子検出器の応答関数との差分を示す。
金は、吸収断面積の最大ピークが約4.89eVにある。そのため、図3に示すように、約4.89eVの付近の中性子を検出する感度が低くなっている。図4に示すように、外殻の材料が金である中性子検出器の応答関数と、外殻を備えない中性子検出器の応答関数とで差分をとると、約4.89eVの付近に顕著な感度差が生じている。一方、約4.89eVの付近よりも高いエネルギ域においては、大きな感度差が生じていない。したがって、外殻の材料を金とし、必要に応じて熱中性子遮蔽殻を併用することによって、熱外領域のうち約4.89eVの付近のエネルギ域の応答のみが特異な応答関数を取得できることが分かる。
図5は、外殻の材料がインジウムである中性子検出器の応答関数を示す図である。図6は、インジウムの外殻による感度の差分を示す図である。
図5は、厚さ0.8cmのポリエチレンの内殻を、厚さ0.1cmのインジウムの外殻と、厚さ0.05cmのカドミウムの熱中性子遮蔽殻で覆った中性子検出器の応答関数である。図6においては、図5に示す外殻の材料がインジウムである中性子検出器の応答関数と、厚さ0.8cmのポリエチレンの内殻を厚さ0.05cmのカドミウムで直接覆った外殻を備えない中性子検出器の応答関数との差分を示す。
インジウムは、吸収断面積の最大ピークが約1.46eVにある。そのため、図5に示すように、約1.46eVの付近の中性子を検出する感度が低くなっている。図6に示すように、外殻の材料がインジウムである中性子検出器の応答関数と、外殻を備えない中性子検出器の応答関数とで差分をとると、約1.46eVの付近に顕著な感度差が生じている。一方、約1.46eVの付近よりも高いエネルギ域においては、大きな感度差が生じていない。したがって、外殻の材料をインジウムとし、必要に応じて熱中性子遮蔽殻を併用することによって、熱外領域のうち約1.46eVの付近のエネルギ域の応答のみが特異な応答関数を取得できることが分かる。
図7は、外殻の材料が銀である中性子検出器の応答関数を示す図である。図8は、銀の外殻による感度の差分を示す図である。
図7は、厚さ0.8cmのポリエチレンの内殻を、厚さ0.1cmの銀の外殻と、厚さ0.05cmのカドミウムの熱中性子遮蔽殻で覆った中性子検出器の応答関数である。図8においては、図7に示す外殻の材料が銀である中性子検出器の応答関数と、厚さ0.8cmのポリエチレンの内殻を厚さ0.05cmのカドミウムで直接覆った外殻を備えない中性子検出器の応答関数との差分を示す。
銀は、吸収断面積の最大ピークが約5.2eVにある。また、二次的なピークが、約10eVの付近等にある。そのため、図7に示すように、約5.2eVの付近や約10eVの付近の中性子を検出する感度が低くなっている。図8に示すように、外殻の材料が銀である中性子検出器の応答関数と、外殻を備えない中性子検出器の応答関数とで差分をとると、約5.2eVの付近に顕著な感度差が生じている。一方、約10eVの付近よりも高いエネルギ域においては、大きな感度差が生じていない。したがって、外殻の材料を銀とし、必要に応じて熱中性子遮蔽殻を併用することによって、熱外領域のうち約5.2eVの付近や約10eVの付近のエネルギ域の応答が特異な応答関数を取得できることが分かる。
図9は、外殻の材料がマンガンである中性子検出器の応答関数を示す図である。図10は、マンガンの外殻による感度の差分を示す図である。
図9は、厚さ2.0cmのポリエチレンの内殻を、厚さ0.5cmのマンガンの外殻と、厚さ0.05cmのカドミウムの熱中性子遮蔽殻で覆った中性子検出器の応答関数である。図10においては、図9に示す外殻の材料がマンガンである中性子検出器の応答関数と、厚さ2.0cmのポリエチレンの内殻を厚さ0.05cmのカドミウムで直接覆った外殻を備えない中性子検出器の応答関数との差分を示す。
マンガンは、吸収断面積の最大ピークが約341eVにある。また、二次的なピークが、約1keVから約10keVの付近にある。そのため、図9に示すように、約341eVの付近や約1keVから約10keVの付近の中性子を検出する感度が低くなっている。図10に示すように、外殻の材料がマンガンである中性子検出器の応答関数と、外殻を備えない中性子検出器の応答関数とで差分をとると、約341eVの付近に顕著な感度差が生じている。したがって、外殻の材料をマンガンとし、必要に応じて熱中性子遮蔽殻を併用することによって、熱外領域のうち約341eVの付近や約1keVから約10keVの付近のエネルギ域の応答が特異な応答関数を取得できることが分かる。
図11は、外殻の材料がタングステンである中性子検出器の応答関数を示す図である。図12は、タングステンの外殻による感度の差分を示す図である。
図11は、厚さ2.0cmのポリエチレンの内殻を、厚さ0.5cmのタングステンの外殻と、厚さ0.05cmのカドミウムの熱中性子遮蔽殻で覆った中性子検出器の応答関数である。図12においては、図11に示す外殻の材料がタングステンである中性子検出器の応答関数と、厚さ2.0cmのポリエチレンの内殻を厚さ0.05cmのカドミウムで直接覆った外殻を備えない中性子検出器の応答関数との差分を示す。
タングステンは、吸収断面積の最大ピークが約18.8eVにある。また、二次的なピークが、約1keVから約10keVの付近等にある。そのため、図11に示すように、約18.8eVの付近や約1keVから約10keVの付近の中性子を検出する感度が低くなっている。図12に示すように、外殻の材料がタングステンである中性子検出器の応答関数と、外殻を備えない中性子検出器の応答関数とで差分をとると、約18.8eVの付近に顕著な感度差が生じている。したがって、外殻の材料をタングステンとし、必要に応じて熱中性子遮蔽殻を併用することによって、熱外領域のうち約18.8eVの付近や約1keVから約10keVの付近のエネルギ域の応答が特異な応答関数を取得できることが分かる。
図13は、外殻の材料がニッケルである中性子検出器の応答関数を示す図である。図14は、ニッケルの外殻による感度の差分を示す図である。
図13は、厚さ2.0cmのポリエチレンの内殻を、厚さ0.5cmのニッケルの外殻と、厚さ0.05cmのカドミウムの熱中性子遮蔽殻で覆った中性子検出器の応答関数である。図14においては、図13に示す外殻の材料がニッケルである中性子検出器の応答関数と、厚さ2.0cmのポリエチレンの内殻を厚さ0.05cmのカドミウムで直接覆った外殻を備えない中性子検出器の応答関数との差分を示す。
ニッケルは、吸収断面積の最大ピークが約15keVにある。そのため、図13に示すように、約15keVの付近の中性子を検出する感度が低くなっている。図14に示すように、外殻の材料がニッケルである中性子検出器の応答関数と、外殻を備えない中性子検出器の応答関数とで差分をとると、約15keVの付近に顕著な感度差が生じている。したがって、外殻の材料をニッケルとし、必要に応じて熱中性子遮蔽殻を併用することによって、熱外領域のうち約15keVの付近のエネルギ域の応答が特異な応答関数を取得できることが分かる。
図15は、材料がカドミウムである中性子検出器の応答関数を示す図である。
図15は、Li含有シンチレータ5を、厚さ0.05cmのカドミウムで直接覆った中性子検出器の応答関数を、図3~図14に示す計算体系と同様にして求めた結果である。カドミウムは、熱領域の中性子を遮蔽する能力があるので、バックグラウンドの影響を低減するのに有効であることが分かる。
次に、所定の中性子線源からの中性子スペクトルを、中性子検出器を使用し、アンフォールディング法を利用して求めた結果を示す。
計算体系としては、計8種の中性子検出器を直径15cmの円環状に配列し、直径16cmの円盤状の中性子面線源から、計8種の中性子検出器の全体に中性子線を照射する体系を設定した。中性子面線源から照射させる中性子線は、ホウ素中性子捕捉療法に用いられる熱外領域の中性子線を出射する中性子減速照射装置を模擬したスペクトルとした。アンフォールディングによる中性子スペクトルの計算は、悪条件の逆問題となるため、この中性子減速照射装置を模擬したスペクトルを初期推定スペクトル(初期値)として用いた。また、アンフォールディングコードとしては、SANDIIコードを使用した。
図16及び図17は、中性子検出器の応答関数を示す図である。
アンフォールディング法による計算において、中性子検出器としては、図16及び図17に応答関数を示す計8種を設定した。すなわち、Li含有シンチレータのフッ化リチウムカルシウムアルミニウムの単体の中性子検出器、厚さ0.8cmのポリエチレンの内殻を厚さ0.05cmのカドミウムで直接覆った中性子検出器、厚さ0.8cmのポリエチレンの内殻を、厚さ0.1cmの金の外殻と、厚さ0.05cmのカドミウムの熱中性子遮蔽殻で覆った中性子検出器(図3参照)、厚さ0.8cmのポリエチレンの内殻を、厚さ0.1cmのインジウムの外殻と、厚さ0.05cmのカドミウムの熱中性子遮蔽殻で覆った中性子検出器(図5参照)、厚さ2.0cmのポリエチレンの内殻を厚さ0.05cmのカドミウムで直接覆った中性子検出器、厚さ2.0cmのポリエチレンの内殻を、厚さ0.5cmのマンガンの外殻と、厚さ0.05cmのカドミウムの熱中性子遮蔽殻で覆った中性子検出器(図9参照)、厚さ2.0cmのポリエチレンの内殻を、厚さ0.5cmのタングステンの外殻と、厚さ0.05cmのカドミウムの熱中性子遮蔽殻で覆った中性子検出器(図11参照)、厚さ2.0cmのポリエチレンの内殻を、厚さ0.5cmのニッケルの外殻と、厚さ0.05cmのカドミウムの熱中性子遮蔽殻で覆った中性子検出器(図13参照)を設定した。
図18は、アンフォールディング法を利用して求めた中性子スペクトルを示す図である。
図18において、破線は、初期推定スペクトルとして設定した中性子減速照射装置を模擬したスペクトルであり、実線は、アンフォールディング法を利用して求めた中性子スペクトルである。アンフォールディングによる計算の繰り返しの回数は20回である。図18に示すように、20回の反復計算によって、波高分布の差異は十分に収束しており、熱外領域の中性子スペクトルの凡その形状は再現されている。
以上のとおり、前記の中性子検出器1,2によれば、外殻等の材料を変えて複数組み合わせて使用することにより、熱外領域の中性子スペクトルを高精度で求めることが可能である。Li含有シンチレータ5は、光透過性が高く、発光による光の収率が高いため、中性子の検出の精度を高くすることができる。また、フッ化リチウムカルシウムアルミニウム等のLi含有シンチレータ5では、波高によりガンマ線を弁別することが可能である。また、Li含有シンチレータ5を小片としても、高い発光量が得られるため、全体の外径を小さくすることが可能である。そのため、中性子検出器自体が中性子場に与える擾乱や、外殻20が中性子場に与える擾乱を小さくすることができる。また、狭隘な空間における測定や、複数の中性子検出器を併用した測定を障害少なく行うことが可能になり、測定精度の向上やリアルタイムの測定の実現にも適するものとなる。
次に、中性子検出器を備える中性子検出装置について説明する。
図19は、本発明の実施形態に係る中性子測定装置の要部を示す図である。
図19に示すように、本実施形態に係る中性子測定装置100は、複数の中性子検出器Bと、検出部120と、支持管140と、光電子増倍管160と、を備えている。
中性子測定装置100は、中性子場の中性子を検出して中性子スペクトルの測定を行うための装置である。中性子測定装置100は、複数の中性子検出器Bが取り付けられると共に、光電子増倍管160が不図示の信号処理部と信号線を介して接続された状態で用いられる。取り付けられる中性子検出器Bは、少なくとも1個以上、好ましくは2個以上が、前記の中性子検出器1及び中性子検出器2のうちのいずれかと同様の構成である。
検出部120は、飛来する中性子を減速材で減速せず検出する部位である。検出部120は、例えば、前記のLi含有シンチレータ5で形成することが可能であり、導光体6の端面に接着したLi含有シンチレータ5を反射材で被覆して設置することができる。検出部120を設けることによって、熱平衡に達している熱中性子等を検出することが可能であるが、検出部120は、設置が省略されてもよい。
支持管140は、中性子検出器Bを中性子場に支持する部材であり、各中性子検出器Bのそれぞれについて備えられる。支持管140は、中性子検出器Bのそれぞれと、中性子検出器B毎に備えられた光電子増倍管160との間を連結している。支持管140は、光電子増倍管160に連結した中性子検出器B同士が、中性子場に互いに離隔して配置されるように、長手方向に沿って湾曲した形状に設けられている。このような形状により、中性子検出器B同士に擾乱が与えられるのを防止することができる。
支持管140は、アルミ合金製等の管体の内部に、発光による光信号を伝搬する導光体6が通された構造を有している。導光体6は、図1及び図2に示すように、一端がLi含有シンチレータ5に接着しており、内殻10等を貫通して中性子検出器Bの外部に引き出されている。導光体6の他端は、支持管140に連結した光電子増倍管160の入射窓に繋がっており、Li含有シンチレータ5と光電子増倍管160との間を光導波路によって接続している。
光電子増倍管160は、光エネルギを増幅された電流に光電変換する検出器である。光電子増倍管160は、各中性子検出器Bのそれぞれについて備えられ、各中性子検出器BのLi含有シンチレータ5に導光体を介して個別に接続されている。光電子増倍管160は、例えば、入射窓を有する真空管の内部に、光電変換を行う光電面、光電子を集束させる集束電極、電子を増幅する複数段のダイノード、増幅された二次電子を取り出すための陽極等を備え、高圧電源や各種回路が接続されて用いられる。Li含有シンチレータ5が生じた発光パルスは、光電子増倍管160によって電気信号に変換され、信号線を介して接続された不図示の信号処理部に出力される。
信号処理部は、光電子増倍管160が出力した電気信号を信号処理し、中性子検出器Bが計測した計測値に基いて中性子スペクトルを推定するために備えられる。信号処理部は、例えば、前置増幅器、整形増幅器、多重波高分析器等の信号処理回路と、中性子スペクトルの推定を行うコンピュータ等で構成される。但し、信号処理部は、測定する中性子場等に応じて、計数処理、アナログ信号処理、デジタル信号処理等のいずれを行う構成とされてもよく、各種増幅器、フィルタ、変換器等を用いて構成されてもよい。
信号処理部は、中性子スペクトルの推定を、次の行列式に基くアンフォールディング法により行う。
φ=R-1・C
式中、φは中性子束の群、Rは応答関数、Cは中性子検出器による出力の群である。すなわち、既知の中性子束の波高分布の群とエネルギ毎の中性子検出器Bによる出力の群との関係を表す応答関数を予め得ておき、中性子検出器Bによる出力を応答関数の逆行列で変換する操作で妥当な解を求めることによって中性子スペクトルを導出する。アンフォールディングの処理は、例えば、SANDIIコード、モンテカルロ法、J1法等の適宜の手法で行うことができる。
以上の中性子測定装置100は、複数の中性子検出器Bが取り付けられると共に、光電子増倍管160が不図示の信号処理部と信号線を介して接続された状態で、測定の対象の中性子場に設置される。取り付けられる中性子検出器B、支持管140及び光電子増倍管160の系列の数が、図19に示す3個に制限されるものではなく、中性子検出器B、支持管140及び光電子増倍管160の系列の数は、任意の数とすることができる。
中性子測定装置100に取り付ける中性子検出器Bとしては、Li含有シンチレータ5と減速材で構成された内殻10を備え、外殻20を備えない中性子検出器を、前記の中性子検出器1及び中性子検出器2のうちのいずれかと共に併用することも可能である。但し、熱外領域のうち所定のエネルギ域の中性子スペクトルを高精度に求める観点からは、そのエネルギ域で特異な応答を得るために、2個以上、より好ましくは3個以上、更に好ましくは4個以上が、前記の中性子検出器1及び中性子検出器2のうちのいずれかと同様の構成であることが好ましい。
また、中性子測定装置100が備える複数の中性子検出器Bのそれぞれは、外殻(第2殻)20の材料が、互いに異なる範囲に中性子の共鳴吸収反応の断面積の主ピークを有する組み合わせで用いられることが好ましい。外殻20の材料が互いに異なる中性子検出器Bを併用すると、単一回の測定であっても、共鳴吸収反応を生じる複数のエネルギ域毎に特異な応答を得ることが可能である。そのため、1回の測定、或いは、リアルタイムの測定で、熱外領域のうち複数のエネルギ域の中性子スペクトルを高精度で求めることができる。
中性子測定装置100が備える複数の中性子検出器Bのそれぞれは、外殻20の材料だけでなく、内殻10や外殻20の厚さが互いに異なる中性子検出器1,2を含むように構成されてもよい。内殻10や外殻20の厚さが互いに異なる中性子検出器Bを併用すると、共鳴吸収反応を生じるエネルギ域以外を含めて異なる応答を得ることが可能である。そのため、より広範なエネルギ域の中性子スペクトルを高精度で求めることができる。
中性子測定装置100が備える複数の中性子検出器Bのそれぞれは、外殻20の材料が、金、インジウム、銀、マンガン、タングステン、及び、ニッケルのうちの好ましくは2種以上、より好ましくは3種以上、更に好ましくは4種以上となる組み合わせで構成されることが好ましい。外殻20の材料がこれらの組み合わせで併用されると、単一回の測定であっても、共鳴吸収反応を生じるエネルギ域毎に特異な応答を得ることが可能である。そのため、1回の測定、或いは、リアルタイムの測定で、熱外領域のうち広範なエネルギ域の中性子スペクトルを高精度で求めることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、本発明は、必ずしも前記の実施形態が備える全ての構成を備えるものに限定されるものではない。実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えたり、実施形態の構成の一部を省略したりすることも可能である。
例えば、前記の中性子検出器1,2は、ボナー球型の中性子検出器とされている。しかしながら、中性子検出器は、Li含有シンチレータを囲む第1殻10と、第1殻10の外側を覆う第2殻20とを備える限り、中性子位置検出器等の他の形態や形状とされてもよい。
また、前記の中性子検出器1,2は、導光体6に接着したLi含有シンチレータ5を備えている。しかしながら、Li含有シンチレータ5は、採光機能付与型光ファイバ、ライトガイド等に適宜の接面で接続されていてもよい。また、光ファイバとしては、波長シフトファイバ等の適宜のものが用いられてもよい。
また、前記の中性子測定装置100は、光電子増倍管160を備え、Li含有シンチレータ5が光電子増倍管160に接続されている。しかしながら、中性子測定装置100は、光電子増倍管160に代えて、フォトダイオード、光導電素子等を備えてもよい。中性子測定装置100は、前記の中性子検出器1,2を適宜の形状や構造の支持材で支持するものであってもよい。
1,2 中性子検出器
5 Li含有シンチレータ
6 導光体
10 内殻(第1殻)
20 外殻(第2殻)
30 熱中性子遮蔽殻(第3殻)
100 中性子測定装置
120 検出部
140 支持管
160 光電子増倍管
B 中性子検出器

Claims (4)

  1. 熱外領域の中性子スペクトルの測定に用いられる複数の中性子検出器の組み合わせであって、
    前記中性子検出器は、
    飛来する中性子を受けて発光を生じるLi含有シンチレータと、
    前記Li含有シンチレータを囲む第1殻と、
    前記第1殻の外側を覆う第2殻と、を備え、
    前記第1殻は、中性子を減速する減速材で構成され、
    前記第2殻は、共鳴吸収反応の断面積の主ピークが1eV以上10keV以下の範囲にある材料で構成されており、
    複数の前記中性子検出器のそれぞれは、前記第2殻の材料が、互いに異なるエネルギの範囲に中性子の共鳴吸収反応の断面積の主ピークを有する中性子検出器の組み合わせ
  2. 前記第2殻の材料が、金、インジウム、銀、マンガン、タングステン、又は、ニッケルである請求項1に記載の中性子検出器の組み合わせ
  3. 前記第2殻の外側を覆う第3殻を更に備え、
    前記第3殻は、熱中性子を吸収する材料で構成される請求項1に記載の中性子検出器の組み合わせ
  4. 熱外領域の中性子スペクトルの測定に用いられる中性子測定装置であって、
    飛来する中性子を受けて発光を生じるLi含有シンチレータ、前記Li含有シンチレータを囲む第1殻、及び、前記第1殻の外側を覆う第2殻を備え、前記第1殻は、中性子を減速する減速材で構成され、前記第2殻は、共鳴吸収反応の断面積の主ピークが1eV以上10keV以下の範囲にある材料で構成された複数の中性子検出器と、
    前記Li含有シンチレータに導光体を介して接続された光電子増倍管と、を備え
    複数の前記中性子検出器のそれぞれは、前記第2殻の材料が、互いに異なるエネルギの範囲に中性子の共鳴吸収反応の断面積の主ピークを有する中性子測定装置。
JP2017105099A 2017-05-26 2017-05-26 中性子検出器及び中性子測定装置 Active JP6991501B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017105099A JP6991501B2 (ja) 2017-05-26 2017-05-26 中性子検出器及び中性子測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017105099A JP6991501B2 (ja) 2017-05-26 2017-05-26 中性子検出器及び中性子測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018200235A JP2018200235A (ja) 2018-12-20
JP6991501B2 true JP6991501B2 (ja) 2022-01-12

Family

ID=64667141

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017105099A Active JP6991501B2 (ja) 2017-05-26 2017-05-26 中性子検出器及び中性子測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6991501B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109613602A (zh) * 2018-12-25 2019-04-12 中国辐射防护研究院 一种掺铟玻璃测量中子的方法
CN109613605A (zh) * 2018-12-25 2019-04-12 中国辐射防护研究院 一种掺镉玻璃测量中子的方法
JP7279383B2 (ja) * 2019-02-04 2023-05-23 東京電力ホールディングス株式会社 シンチレータ
CN111190218B (zh) * 2020-01-10 2022-09-30 四川轻化工大学 小型套筒中子能谱探测装置及探测方法
CN113504559B (zh) * 2021-07-05 2022-11-01 中国科学院近代物理研究所 一种强流脉冲宽能谱中子剂量率监测装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001042048A (ja) 1999-07-27 2001-02-16 Toshiba Corp 中性子検出装置および検出方法
JP2003232863A (ja) 2002-12-24 2003-08-22 Natl Inst For Fusion Science 放射線検出器
JP2011053218A (ja) 2009-09-02 2011-03-17 3833364 Canada Inc 中性子エネルギースペクトル測定装置
JP2016151447A (ja) 2015-02-16 2016-08-22 三菱重工業株式会社 中性子測定装置
JP2016164519A (ja) 2015-03-06 2016-09-08 住友重機械工業株式会社 中性子線検出装置
JP2017009393A (ja) 2015-06-19 2017-01-12 株式会社東芝 中性子測定装置、中性子測定方法、及びホウ素中性子捕捉療法用治療装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001042048A (ja) 1999-07-27 2001-02-16 Toshiba Corp 中性子検出装置および検出方法
JP2003232863A (ja) 2002-12-24 2003-08-22 Natl Inst For Fusion Science 放射線検出器
JP2011053218A (ja) 2009-09-02 2011-03-17 3833364 Canada Inc 中性子エネルギースペクトル測定装置
JP2016151447A (ja) 2015-02-16 2016-08-22 三菱重工業株式会社 中性子測定装置
JP2016164519A (ja) 2015-03-06 2016-09-08 住友重機械工業株式会社 中性子線検出装置
JP2017009393A (ja) 2015-06-19 2017-01-12 株式会社東芝 中性子測定装置、中性子測定方法、及びホウ素中性子捕捉療法用治療装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018200235A (ja) 2018-12-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6991501B2 (ja) 中性子検出器及び中性子測定装置
Starfelt et al. Differential cross-section measurements of thin-target bremsstrahlung produced by 2.7-to 9.7-MeV electrons
Hurst et al. Techniques of measuring neutron spectra with threshold detectors—tissue dose determination
Chugunov et al. Development of gamma-ray diagnostics for ITER
JP5554322B2 (ja) 放射線画像検出器
US20230126701A1 (en) Neutron capture treatment device
Ishikawa et al. Development of Optical-fiber-based Neutron Detector Using Li-glass Scintillator for an Intense Neutron Field
US20230277874A1 (en) Neutron capture therapy device and correction method therefor
JPWO2014136990A1 (ja) シンチレータの自己放射化を用いた高感度中性子検出法
Ishikawa et al. Evaluation of the thermal neutron sensitivity, output linearity, and gamma-ray response of optical fiber-based neutron detectors using Li-glass scintillator
JPS63259952A (ja) 位置検出器
WO2012032816A1 (ja) 放射線画像検出器
CN211318768U (zh) 一种具有康普顿抑制功能的磁约束核聚变伽马射线探测器
Freeman et al. Gamma-rays from inelastic neutron scattering in Na23
Kang et al. Neutron capture measurements and resonance parameters of gadolinium
De Bruin Glossary of terms used in nuclear analytical chemistry (Provisional)
JP2024000810A (ja) 中性子及びガンマ線コリメータ、ラジオグラフィ装置
Lamotte et al. Design and irradiation test of an innovative optical ionization chamber technology
Dzhilavyan et al. Photofission of 238 U in the giant-resonance region
Chen et al. Study on the gamma rays and neutrons energy response optimization of a scintillating fiber detector for EAST with Geant4
Rout et al. Copious low energy emissions from palladium loaded with hydrogen or deuterium
JPH0213736B2 (ja)
Jo et al. Characterization of photo-multiplier tube as ex-vessel radiation detector in tokamak
Al-Khasawneh et al. Determination of the Bi 209 (n, γ) Bi 210 g cross section using the NICE detector
Ejiri et al. Development of a Compact Hard X-Ray Camera on the TST-2 Spherical Tokamak

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170621

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210216

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210416

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210611

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211102

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211129

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6991501

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150