JP2001042048A - 中性子検出装置および検出方法 - Google Patents

中性子検出装置および検出方法

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JP2001042048A
JP2001042048A JP21162899A JP21162899A JP2001042048A JP 2001042048 A JP2001042048 A JP 2001042048A JP 21162899 A JP21162899 A JP 21162899A JP 21162899 A JP21162899 A JP 21162899A JP 2001042048 A JP2001042048 A JP 2001042048A
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neutron detector
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Mikio Uematsu
幹夫 上松
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Toshiba Corp
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    • G01MEASURING; TESTING
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フォアグラウンドに対する相対的な感度を高め
るとともにバックグラウンドの評価を可能とすることに
より、低レベルのフォアグラウンドを精度よく測定する
ことのできる中性子検出装置および中性子源の種類を推
定することのできる中性子検出方法を提供する。 【解決手段】円柱状の主中性子検出器1と、この主中性
子検出器の円周部および後部に設けられ中性子吸収材層
7と中性子減速材層8を交互に重畳してなる多層構造体
と、中性子減速材からなり前記主中性子検出器の前部に
設けられた中性子検出窓9とを備えた構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中性子源を内蔵す
る機器や貯溜槽などあるいは中性子源を含む可能性のあ
る機器や貯溜槽などの周辺において中性子を測定し、そ
の測定結果に基づいて中性子源強度を評価するための中
性子検出装置および検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】中性子検出装置には、熱中性子を吸収し
て荷電粒子を放出するヘリウム3や3ふっ化ホウ素を封
入した検出器が広く用いられているが、これらの検出器
は低エネルギー中性子に対する感度が高く、高エネルギ
ー中性子に対する感度が低いため、核分裂中性子源など
の中性子源測定には向いていない。
【0003】一般に高エネルギー中性子用としては前記
中性子検出器の周りにポリエチレンなどの中性子減速材
を巻いた減速材付きの中性子検出装置が利用されてい
る。このような減速材付きの中性子検出装置は高エネル
ギー中性子に対して高い感度を有するが、低エネルギー
中性子に対しても感度を持っているので、壁面からの散
乱中性子などのバックグラウンドの影響を受けることと
なる。バックグラウンドは測定の邪魔となるが、その除
去対策としては散乱線を遮るための遮蔽体を設ける方法
が最も一般的である。
【0004】図13に減速材付きの従来の中性子検出装置
の一般的な構造を示す。図13(a)は図13(b)のa−
a線に沿う断面図であり、図13(b)は図13(a)のb
−b線に沿う断面図である。中央の円柱形の比例計数管
である主中性子検出器1にはHe-3またはBF3 などの封入
ガス2が封入されており、入射中性子との反応で運動量
を持った荷電粒子が発生し、その軌跡の周辺がイオン化
される。イオン化によって発生した電子は主中性子検出
器1の心線3に集められ、ケーブル4を介して信号処理
系に送られる。
【0005】比例計数管は通常低エネルギー側に感度が
高いため、中性子源測定などには適しない。そのため周
りをポリエチレンなどの中性子減速材からなる減速材層
5で囲むとともに、この減速材層5の表面に、バックグ
ラウンドの影響を除去するためにカドミウム等の中性子
吸収材からなる被覆6を設ける。
【0006】このような構造にすると、高速中性子は一
旦減速材層5で熱化されたのち主中性子検出器1に入射
するので、高速中性子であっても高い感度で検出され
る。しかしながら、低エネルギー側にも高い感度を有す
るので、高バックグラウンドの条件下で特定の中性子源
のみを測定するのは困難であるという問題がある。
【0007】その他、測定対象と検出器の間の遮蔽体
(シャドウコーン)の有無による計数の差から測定対象
寄与(フォアグラウンド)を評価する方法もよく用いら
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】減速材付き検出器と遮
蔽体を併用した従来の中性子検出装置によれば、フォア
グラウンドがバックグラウンドと同等あるいはそれ以上
である場合には、バックグラウンドが十分除去できる。
しかしながら、実際にはバックグラウンドがフォアグラ
ウンドに比べて極めて高い場合も発生する。例えば核燃
料の再処理施設の、プルトニウム溶液の貯槽が複数個置
かれた室内において、特定の貯槽に対してプルトニウム
の有無を中性子源測定に基づいて判断する作業を行う場
合、バックグラウンドに対して極めて低いレベルのフォ
アグラウンドを検出しなければならない。
【0009】本発明は上記のような問題点を解決するた
めになされたもので、フォアグラウンドに対する相対的
な感度を高めるとともにバックグラウンドの評価を可能
とすることにより、低レベルのフォアグラウンドを精度
よく測定することのできる中性子検出装置および中性子
源の種類を推定することのできる中性子検出方法を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に対応する発明
は、円柱状の主中性子検出器と、この主中性子検出器の
円周部および後部に設けられ中性子吸収材層と中性子減
速材層を交互に重畳してなる多層構造体と、中性子減速
材からなり前記主中性子検出器の前部に設けられた中性
子検出窓とを備えたことを特徴とする。
【0011】この発明は、主中性子検出器を中性子吸収
材の層と中性子減速材の層からなる多層構造体で囲むこ
とによりバックグラウンドの寄与を低減し、主中性子検
出器の前方、多層構造体に中性子減速材で充填した中性
子検出窓を設けることによって、測定対象からの中性子
に対する感度を高める様にしたものである。中性子検出
窓と測定対象の間の遮蔽体の有無によりフォアグラウン
ドの寄与を知る事ができる。
【0012】請求項2に対応する発明は、多層構造体中
に主中性子検出器と同軸に設けられた複数の副中性子検
出器を備えたことを特徴とする。この発明は、請求項1
の発明に於いて中性子吸収材の層と中性子減速材の層か
らなる多層構造体の中に複数の副中性子検出器を配置
し、多層構造体中の計数率分布からバックグラウンドの
寄与が測定できるようにしたものである。
【0013】請求項3に対応する発明は、多層構造体中
に主中性子検出器と直交する向きに設けられた位置分析
型中性子検出器を備えたことを特徴とする。この発明
は、請求項2の発明における複数の副中性子検出器の代
りに1個の位置分析型中性子検出器を用いて多層構造体
中の計数率分布を測定し、その結果から多層構造体中心
部の主検出器に対するバックグラウンドの寄与が評価で
きるようにしたものである。
【0014】請求項4に対応する発明は、主中性子検出
器の代りに位置分析型中性子検出器を備え、この位置分
析型中性子検出器は多層構造体の中心を通って多層構造
体を径方向に貫いて設けられていることを特徴とする。
【0015】この発明は、請求項1の発明において主検
出器の代りに設けた1個の位置分析型中性子検出器のみ
で多層構造体中の計数率分布を測定し、その結果から多
層構造体に設けた中性子検出窓からのフォアグラウンド
の寄与も評価できるようにしたものである。
【0016】請求項5に対応する発明は、円柱状の主中
性子検出器と、この主中性子検出器の円周部および後部
に設けられた中性子遮蔽体と、中性子減速材からなり前
記主中性子検出器の前部に設けられた中性子検出窓とを
備えたことを特徴とする。
【0017】この発明は、主中性子検出器を中性子遮蔽
体で囲むことによりバックグラウンドの寄与を低減し、
遮蔽体前方に中性子減速材で充填した中性子検出窓を設
けることによって、測定対象からの中性子に対する感度
を高めるようにしたものである。中性子検出窓と測定対
象の間の遮蔽体の有無によりフォアグラウンドの寄与を
知る事ができる。
【0018】請求項6に対応する発明は、中性子遮蔽体
中に主中性子検出器と同軸に設けられた複数の副中性子
検出器を備えたことを特徴とする。
【0019】この発明は、請求項5の発明に於いて中性
子遮蔽体の中に複数の副中性子検出器を配置し、中性子
遮蔽体中の計数率分布からバックグラウンドの寄与が測
定できるようにしたものである。
【0020】請求項7に対応する発明は、中性子遮蔽体
中に主中性子検出器と直交する向きに設けられた位置分
析型中性子検出器を備えたことを特徴とする。この発明
は、請求項6の発明における複数の副中性子検出器の代
りに1個の位置分析型中性子検出器を用いて遮蔽体中の
計数率分布を測定し、その結果から遮蔽体中心部の検出
器に対するバックグラウンドの寄与が評価できるように
したものである。
【0021】請求項8に対応する発明は、主中性子検出
器の代りに位置分析型中性子検出器を備え、この位置分
析型中性子検出器は中性子遮蔽体の中心を通って中性子
の遮蔽体を径方向に貫いて設けられていることを特徴と
する。
【0022】この発明は、請求項5の発明において1個
の位置分析型中性子検出器のみで遮蔽体中の計数率分布
を測定し、その結果から遮蔽体に設けた中性子検出用窓
からのフォアグラウンドの寄与が評価できるようにした
ものである。
【0023】請求項9に対応する発明は、請求項1また
は2または3または4記載の中性子検出装置と請求項5
または6または7または8記載の中性子検出装置を用い
て任意の中性子スペクトルの中性子場において測定対象
の中性子の寄与(フォアグラウンド)と周辺からの中性
子の寄与(バックグラウンド)を評価することを特徴と
する。
【0024】この発明は、中性子透過特性の異なる請求
項1,2,3,4の発明の中性子検出装置と請求項5,
6,7,8の発明の中性子検出装置の組合せにより、任
意の中性子スペクトルの中性子場においてバックグラウ
ンドの寄与が評価できるようにしたものである。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の
中性子検出装置を示したものである。図1(a)は図1
(b)のa−a線に沿う断面図であり、図1(b)は図
1(a)のb−b線に沿う断面図である。中央の比例計
数管である主中性子検出器1の周辺を、Cd(カドミウ
ム)などの中性子吸収材層7とポリエチレンなどの中性
子減速材層8を交互に重ねた多層構造体で囲み、さらに
その外側を中性子減速材層5とCdの被覆6で囲む。主
中性子検出器1の前方の多層構造体に円錐状の切り欠き
を作り、そこにポリエチレンなどの中性子減速材を充填
した中性子検出窓9を設ける。
【0026】中性子吸収材層7はCd等の薄板を巻き付
けて厚さ 0.5〜 1.0mmに構成する。中性子減速材層8は
ポリエチレンのフィルムを巻付けてまたはブロックから
削って厚さ10〜20mmに構成する。中性子吸収材層7と中
性子減速材層8の間には隙間がないようにする。中性子
検出窓9はポリエチレンのブロックからの削り出しまた
は成形によって製作する。
【0027】この構成により、側面および後方(ケーブ
ル4の方向)から入射する中性子に対しては感度が低
く、中性子検出窓9から流入する中性子に対しては感度
を高くすることができる。即ち、検出窓9を測定対象の
中性子源に向けることによって、高いバックグラウンド
の条件下でも中性子源強度の測定ができる。バックグラ
ウンドの評価を行う際には例えば検出窓9を取り外し、
検出窓9と同じ形状の中性子遮蔽材を取り付けて測定を
行う。
【0028】図2は本発明の第2の実施の形態を示す。
この構成は、中性子吸収材層7と中性子減速材層8で構
成された多層構造体の減速材層8に複数の副中性子検出
器10を配置したものである。副中性子検出器10も比例計
数管である。この構成によって多層構造体における中性
子の径方向分布を測定し、その分布傾向から中性子検出
窓9から流入する中性子(フォアグラウンド)と側面お
よび後方から流入する中性子(バックグラウンド)の比
を評価することができる。
【0029】図3は、上記第2の実施の形態の中性子検
出装置をフォアグラウンド、バックグラウンドとも核分
裂中性子のような硬いスペクトルの中性子である場合に
適用した例である。中性子検出窓9の方向からの中性子
に対しては11aのように中心軸に近づくにしたがって計
数率が高くなるのに対し、側面からの中性子に対しては
11bのように平坦な計数率分布となる。全計数率11cの
分布からフォアグラウンドとバックグラウンドの比率を
評価する。
【0030】図4は、同じく第2の実施の形態の中性子
検出装置をフォアグラウンド、バックグラウンドともコ
ンクリートなどを透過させて得られる軟らかいスペクト
ルの中性子である場合に適用した例である。中性子検出
窓9の方向からの中性子に対しては12aのように中心軸
に近づくにしたがって計数率が高くなるのに対し、側面
からの中性子に対しては12bのように逆に中心軸に近づ
くにしたがって計数率が低くなる。全計数率12cの分布
からフォアグラウンドとバックグラウンドの比率を評価
する。
【0031】図3,図4とも、中性子スペクトルが既知
であればフォアグラウンドとバックグラウンドの合計に
対する応答11c、12cの分布からフォアグラウンドを抽
出する。中性子スペクトルが不確実であれば、中性子窓
9を取り外して代りに中性子遮蔽材を取り付けた状態で
測定し、バックグラウンドの寄与を評価する。
【0032】図5は本発明の第3の実施の形態の中性子
検出装置を示す。上記の第2の実施の形態における複数
の副中性子検出器10を一個の位置分析型中性子検出器13
で置き換えたものである。位置分析型中性子検出器13も
比例計数管があるが、信号を両端のケーブル14aと14b
から取出すようになっており、中性子入射位置とパルス
波高が同時に計測できる。
【0033】中央の主中性子検出器1によるバックグラ
ウンドとフォアグラウンドの混在した計数率を位置分析
型中性子検出器13の計数率分布で補正することによりフ
ォアグラウンドを抽出する。その方法は、上記第2の実
施の形態として図3と図4を用いて説明したものと同じ
である。
【0034】図6は本発明の第4の実施の形態を示す。
上記第3の実施の形態において主中性子検出器1と位置
分析型中性子検出器13で行う測定を、一個の位置分析型
中性子検出器13のみで行うようにしたものである。フォ
アグラウンド測定方法は第2の実施の形態として図3と
図4を用いて説明したものと同じである。
【0035】図7は本発明の第5の実施の形態を示した
ものである。中央の比例計数管からなる主中性子検出器
1の周辺を炭素鋼などの中性子減速効果のない中性子遮
蔽材層15で囲み、主中性子検出器1と遮蔽材層15の間に
Cdからなる中性子吸収材層16を設けるとともに、遮蔽
材層15の外側にCd板の被覆6を設ける。遮蔽材層15の
主中性子検出器1前方側に円錐状の切り欠きを作り、ポ
リエチレンなどの中性子減速材で充填した中性子検出窓
9を設ける。
【0036】この構造により、側面および後方(ケーブ
ル4の方向)から入射する中性子に対しては感度が低
く、中性子検出窓9から流入する中性子に対しては感度
を高くすることができる。即ち、検出窓9を測定対象の
中性子源に向けることによって、高いバックグラウンド
の条件下でも中性子源強度の評価ができる。バックグラ
ウンドの評価を行う際には例えば検出窓9を取り外し、
検出窓9と同じ形状の中性子遮蔽材を取り付けて測定を
行う。
【0037】図8は本発明の第6の実施の形態を示した
ものである。中性子遮蔽材層15内に複数の副中性子検出
器10を配置し、遮蔽材層15内部における中性子の径方向
分布を測定し、その分布傾向から中性子検出窓9から流
入する中性子(フォアグラウンド)と側面および後方か
ら流入する中性子(バックグラウンド)の比を評価す
る。
【0038】図9は、上記第6の実施の形態の中性子検
出装置をフォアグラウンド、バックグラウンドとも核分
裂中性子のような硬いスペクトルの中性子である場合に
適用した例である。中性子検出窓9の方向からの中性子
(17a)、側面からの中性子(17b)とも同様の計数率
分布となるので、中性子検出窓9を取り外して代りに中
性子遮蔽材を取り付けた状態で測定しバックグラウンド
の寄与を評価する。
【0039】図10は、同じく第6の実施の形態の中性子
検出装置をフォアグラウンド、バックグラウンドともコ
ンクリートなどを透過させて得られる軟らかいスペクト
ルの中性子である場合に適用した例である。中性子検出
窓9の方向からの中性子に対しては18a のように平坦な
計数率分布であるのに対し、側面からの中性子に対して
は18b のように中心軸に近づくにしたがって計数率が低
くなる。中性子スペクトルが既知であれば、計測された
全計数率18cの分布からフォアグラウンドとバックグラ
ウンドの比率を評価する。中性子スペクトルが不確実で
あれば、中性子検出窓9を取り外して代りに中性子遮蔽
材を取り付けた状態で測定し、バックグラウンドの寄与
を評価する。
【0040】図11は本発明の第7の実施の形態を示す。
上記第6の実施の形態における複数の副中性子検出器10
を一個の位置分析型中性子検出器13で置き換えたもので
ある。位置分析型中性子検出器13は信号を両端のケーブ
ル14aと14bから取出すようになっており、中性子入射
位置とパルス波高が同時に計測できる。中央の比例計数
管の主中性子検出器1によるバックグラウンドとフォア
グラウンドの混在した計数率を位置分析型中性子検出器
13の計数率分布で補正することによりフォアグラウンド
を抽出する。その方法は上記第6の実施の形態として図
9と図10を用いて説明したものと同じである。
【0041】図12は本発明の第8の実施の形態を示した
ものである。上記第7の実施の形態において主中性子検
出器1と位置分析型中性子検出器13を備えた構成に代え
て、中心に一個の位置分析型中性子検出器13のみを備え
る構成としたものである。フォアグラウンド測定方法は
第6の実施の形態として図9と図10を用いて説明したも
のと同じである。
【0042】以上において本発明の第1から第8の実施
の形態の中性子検出装置を説明したが、中央の比例計数
管からなる主中性子検出器1の周辺をCdなどからなる
中性子吸収材層7とポリエチレンなどからなる中性子減
速材層8からなる多層構造体で囲んだ第1から第4の実
施の形態の検出装置と、中性子減速効果のない炭素鋼等
からなる中性子遮蔽材層15で囲んだ第5から第8の実施
の形態の検出装置では,同じ中性子場で測定しても計数
率が異なるだけでなく、図3,4及び図9,10に示した
ようにフォアグラウンドとバックグラウンドの比が異な
る。この差を利用して任意の測定対象について中性子ス
ペクトルの形に対する情報を同時に取得することができ
る。
【0043】すなわち、核分裂中性子のようにエネルギ
ーが高い中性子源について中性子減速材層8を備えた第
1から第4の実施の形態の中性子検出装置で測定した場
合には、図3に示したようにフォアグラウンドとバック
グラウンドがほぼ同レベルになる。
【0044】炭素鋼等からなる中性子遮蔽材層15を備え
た第5から第8の実施の形態の中性子検出装置で測定し
た場合には、図9に示したようにフォアグラウンドとバ
ックグラウンドの比がほぼ2:1になる。
【0045】また、軟スペクトルのようにエネルギーが
低い中性子源について中性子減速材層8を備えた第1か
ら第4の実施の形態の中性子検出装置で測定した場合に
は、図4に示したようにフォアグラウンドとバックグラ
ウンドが大きく、ほぼ6:1になる。
【0046】炭素鋼等からなる中性子遮蔽材層15を備え
た第5から第8の実施の形態の中性子検出装置で測定し
た場合には、図10に示したようにフォアグラウンドとバ
ックグラウンドがほぼ同レベルになる。
【0047】これらの事実から、2種類の検出器のフォ
アグラウンドとバックグラウンドの比が同じレベルであ
れば、エネルギーが低い(散乱線などの影響が強い)こ
とが推定できる。他方、フォアグラウンドとバックグラ
ウンドの比に明らかな差がある場合は、高エネルギー成
分を含んでいると推定することができる。
【0048】以上のように本発明の各実施の形態によれ
ば、測定対象からの中性子に対する感度を相対的に高め
るとともにバックグラウンドの影響を評価することがで
き、従って、測定対象に含まれる中性子源強度を精度良
く測定することができる。
【0049】
【発明の効果】本発明の中性子検出装置によれば、フォ
アグラウンドがバックグラウンドに対して極めて低いレ
ベルであっても中性子を検出測定することができる。し
たがって、バックグラウンドの強い条件のもとでの中性
子源強度の測定あるいは中性子源の有無の判定に役立て
ることができる。また本発明の中性子検出方法によれ
ば、フォアグラウンドとバックグラウンドの比から中性
子源の種類を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の中性子検出装置を
示し、(a)は(b)のa−a線に沿う断面図、(b)
は(a)のb−b線に沿う断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の中性子検出装置を
示し、(a)は(b)のa−a線に沿う断面図、(b)
は(a)のb−b線に沿う断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態の中性子検出装置に
よって核分裂中性子のような硬いスペクトルの中性子を
検出する場合に得られる計数率分布を示す図。
【図4】本発明の第2の実施の形態の中性子検出装置に
よってコンクリートなどを透過させて得られる軟らかい
スペクトルの中性子を検出する場合に得られる計数率分
布を示す図。
【図5】本発明の第3の実施の形態の中性子検出装置を
示し、(a)は(b)のa−a線に沿う断面図、(b)
は(a)のb−b線に沿う断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態の中性子検出装置を
示し、(a)は(b)のa−a線に沿う断面図、(b)
は(a)のb−b線に沿う断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態の中性子検出装置を
示し、(a)は(b)のa−a線に沿う断面図、(b)
は(a)のb−b線に沿う断面図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態の中性子検出装置を
示し、(a)は(b)のa−a線に沿う断面図、(b)
は(a)のb−b線に沿う断面図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態の中性子検出装置に
よって核分裂中性子のような硬いスペクトルの中性子を
検出する場合に得られる計数率分布を示す図。
【図10】本発明の第6の実施の形態の中性子検出装置
によってコンクリートなどを透過させて得られる軟らか
いスペクトルの中性子を検出する場合に得られる計数率
分布を示す図。
【図11】本発明の第7の実施の形態の中性子検出装置
を示し、(a)は(b)のa−a線に沿う断面図、
(b)は(a)のb−b線に沿う断面図である。
【図12】本発明の第8の実施の形態の中性子検出装置
を示し、(a)は(b)のa−a線に沿う断面図、
(b)は(a)のb−b線に沿う断面図である。
【図13】従来の減速材付き中性子検出装置の一般的な
構造を示す図。
【符号の説明】
1…主中性子検出器、2…封入ガス、3…心線、4…ケ
ーブル、5…中性子減速材層、6…被覆、7…中性子吸
収材層、8…中性子減速材層、9…中性子検出窓、10…
副中性子検出器、11a…核分裂中性子に対するフォアグ
ラウンド計数率分布を示す曲線、11b…核分裂中性子に
対するバックグラウンド計数率分布を示す曲線、11c‥
‥核分裂中性子に対する全計数率分布を示す曲線、12a
…軟スペクトル中性子に対するフォアグラウンド計数率
分布を示す曲線、12b…軟スペクトル中性子に対するバ
ックグラウンド計数率分布を示す曲線、12c…軟スペク
トル中性子に対する全計数率分布を示す曲線、13…位置
分析型中性子検出器、14a,14b…位置分析型中性子検
出器用ケーブル、15…中性子遮蔽体、16…中性子吸収材
層、17a…核分裂中性子に対するフォアグラウンド計数
率分布を示す曲線、17b…核分裂中性子に対するバック
グラウンド計数率分布を示す曲線、17c…核分裂中性子
に対する全計数率分布を示す曲線、18a…軟スペクトル
中性子に対するフォアグラウンド計数率分布を示す曲
線、18b…軟スペクトル中性子に対するバックグラウン
ド計数率分布を示す曲線、18c…軟スペクトル中性子に
対する全計数率分布を示す曲線。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円柱状の主中性子検出器と、この主中性
    子検出器の円周部および後部に設けられ中性子吸収材層
    と中性子減速材層を交互に重畳してなる多層構造体と、
    中性子減速材からなり前記主中性子検出器の前部に設け
    られた中性子検出窓とを備えたことを特徴とする中性子
    検出装置。
  2. 【請求項2】 多層構造体中に主中性子検出器と同軸に
    設けられた複数の副中性子検出器を備えたことを特徴と
    する請求項1記載の中性子検出装置。
  3. 【請求項3】 多層構造体中に主中性子検出器と直交す
    る向きに設けられた位置分析型中性子検出器を備えたこ
    とを特徴とする請求項1記載の中性子検出装置。
  4. 【請求項4】 主中性子検出器の代りに位置分析型中性
    子検出器を備え、この位置分析型中性子検出器は多層構
    造体の中心を通って多層構造体を径方向に貫いて設けら
    れていることを特徴とする請求項1記載の中性子検出装
    置。
  5. 【請求項5】 円柱状の主中性子検出器と、この主中性
    子検出器の円周部および後部に設けられた中性子遮蔽体
    と、中性子減速材からなり前記主中性子検出器の前部に
    設けられた中性子検出窓とを備えてなることを特徴とす
    る中性子検出装置。
  6. 【請求項6】 中性子遮蔽体中に主中性子検出器と同軸
    に設けられた複数の副中性子検出器をを備えたことを特
    徴とする請求項5記載の中性子検出装置。
  7. 【請求項7】 中性子遮蔽体中に主中性子検出器と直交
    する向きに設けられた位置分析型中性子検出器を備えた
    ことを特徴とする請求項5記載の中性子検出装置。
  8. 【請求項8】 主中性子検出器の代りに位置分析型中性
    子検出器を備え、この位置分析型中性子検出器は中性子
    遮蔽体の中心を通って中性子の遮蔽体を径方向に貫いて
    設けられていることを特徴とする請求項5記載の中性子
    検出装置。
  9. 【請求項9】 請求項1または2または3または4記載
    の中性子検出装置と請求項5または6または7または8
    記載の中性子検出装置を用いて任意の中性子スペクトル
    の中性子場において測定対象の中性子の寄与(フォアグ
    ラウンド)と周辺からの中性子の寄与(バックグラウン
    ド)を評価することを特徴とする中性子検出方法。
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