JP3075647B2 - X線検査装置の設計方法及びx線検査装置 - Google Patents

X線検査装置の設計方法及びx線検査装置

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JP3075647B2 JP04345741A JP34574192A JP3075647B2 JP 3075647 B2 JP3075647 B2 JP 3075647B2 JP 04345741 A JP04345741 A JP 04345741A JP 34574192 A JP34574192 A JP 34574192A JP 3075647 B2 JP3075647 B2 JP 3075647B2
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rays
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裕史 宮井
博司 北口
滋 出海
智 川崎
克利 佐藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はX線検査装置の設計方法
及びX線検査装置に係り、特に、小形の検出素子を高密
度に配置することにより、撮影時間の短縮に好適なX線
検査装置の設計方法及びX線検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】X線検査装置として種々の装置があり、
最も一般的なものとしてX線CT装置がある。
【0003】X線CT装置は、試料にX線を照射し、あ
らゆる方向からの試料の透過データを収集し、計算機で
演算処理することにより断層像を再構成する。断層像を
高い分解能で再構成するためには、X線検出素子が見込
む視野を小さくすることが必要である。このために検出
素子の前面にはスリットを形成するコリメータを配置す
る。また、あらゆる方向から試料の透過データを取るた
めに、試料を回転並進移動するための操作手段を備えて
いる。さらに、透過データを効率よく取るために、扇状
に広がるファンビームX線を放射するX線源とこのX線
源を中心とする円周上に配列された複数の検出素子とを
備えている。
【0004】従来のX線CT装置として、たとえば、コ
ンファレンス,レコード,オブ,ザ,1991,アイ・
イー・イー・イー,ニュークリアー,サイエンス,シン
ポジューム,アンド,メディカル,イメージング,コン
ファレンス,ボリューム 2(Conference
Record of the 1991 IEEENU
CLEAR SCIENCE SYMPOSIUM a
nd MEDICAL IMAGING CONFER
ENCE,Volume 2),(pp1070−10
74)に記載されているものがある(以下、第1の従来
技術という)。この第1の従来技術では、使用するX線
が高い透過力をもつ必要があるため、電子線加速器など
を利用した高エネルギーX線源を用いている。高い透過
力をもつX線は、逆に遮蔽および検出が困難となる。そ
こで、例えば検出素子としてCWO(CdWO4 )シン
チレータのような密度の高い物質を使用している。ま
た、検出素子は隣接する検出素子からの散乱線によるク
ロストークを避けるために検出素子間に遮蔽板を挿入し
ている。
【0005】また、他の従来技術として、特開平3−2
95493号公報に記載されているものがある(以下、
第2の従来技術という)。この第2の従来技術では、複
数のシンチレータ素子が配列されているX線CT装置の
X線検出器において、シンチレータのX線入射面に、各
シンチレータ素子のX線入射面における端部を覆うフィ
ルタと、シンチレータへの散乱線入射を防止するための
グリッドとを設けている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】X線CT装置におい
て、検出素子の配列を密にすることができれば、同時に
取れるデータの数が増えるために試料の撮影時間を短縮
することができる。また、検出素子の感度が高くなると
S/Nが良くなり再構成画像の画質が向上する。このた
め、検出素子の小形・高感度化の要求が常にある。
【0007】一方、CT装置のX線検出器において、
「放射線計測ハンドブック」、第2版、p313−31
8(以下、参考文献という)に記載のように、検出素子
が小形になると検出素子の感度が低下する。また検出素
子の詳細な応答関数は一般的に複雑過ぎるため、実際の
検出器の寸法や組成を考慮し各々の経歴をモンテカルロ
計算すること以外、当該応答関数を予測することは困難
である。
【0008】上記第1及び第2の従来技術では、検出素
子の寸法と感度との関係について検討しておらず、感度
を維持しつつ検出素子を小形化することや、コリメータ
の最適な開口幅を簡便に求めることができなかった。
【0009】また、上記第1の従来技術において、検出
素子の配列を密にするために検出素子の幅と遮蔽板の幅
を小さくすると、まず、上記参考文献に記載のように検
出素子の感度が低下し、更に、遮蔽板から漏れてくる散
乱線の強度が強くなるためにクロストークが増加すると
いう問題があった。
【0010】更に、上記第2の従来技術においては、検
出素子を構成するシンチレータの端部へX線の入射を防
ぐために設けたフィルタがシンチレータの受光面を制限
しており、このためフィルタの開口部の幅、フィルタの
遮光部の幅及びスペーサの幅を適切に選ばないとシンチ
レータへ入射するX線の強度が下がり、S/N比が悪く
なるという問題があった。
【0011】本発明の第1の目的は、X線検査装置にお
ける基本構成である検出素子やコリメータの最適寸法に
ついての設計基準を与え、検出素子やコリメータの設計
を容易にするX線検査装置の設計方法を提供することに
ある。
【0012】本発明の第2の目的は、検出素子を小形化
し、多数の検出素子を高密度に配列することにより高速
撮影が可能なX線検査装置の設計方法及びX線検査装置
を提供することにある。
【0013】本発明の第3の目的は、検出素子を小形化
し、散乱X線の検出を減らすことによりクロストークを
下げ、良好な断層像を得ることが可能なX線検査装置の
設計方法及びX線検査装置を提供することにある。
【0014】本発明の第4の目的は、検出素子間に存在
する遮蔽材を不要とし、遮蔽材によるクロストークの増
加を防止して良好な断層像を得ることが可能なX線検査
装置の設計方法及びX線検査装置を提供することにあ
る。
【0015】
【0016】
【課題を解決するための手段】上記第1〜第3の目的
達成するために、本発明によれば、試料にX線を照射す
るためのX線源と、回転並進移動して試料を操作する操
作手段と、前記X線源により発生したX線の進行方向と
垂直な方向に一列に配列され、前記試料を透過したX線
を検出する複数の検出素子を有するX線検出器と、前記
複数の検出素子の前方に配置され、前記各検出素子の有
効開口幅を画定するコリメータとを備えるX線検査装置
の設計方法において、前記X線源により発生するX線の
最大エネルギーが3MeV以上であるときは、前記X線
が前記検出素子に入射することにより発生する2次電子
の有効最大エネルギーを前記X線の最大エネルギーの4
0%〜60%として求め、前記X線源により発生するX
線の最大エネルギーが1MeV〜3MeVであるとき
は、前記X線が前記検出素子に入射することにより発生
する2次電子の有効最大エネルギーを前記X線の最大エ
ネルギーの50%〜80%として求め、前記X線源によ
り発生するX線の最大エネルギーが1MeV以下である
ときは、前記X線が前記検出素子に入射することにより
発生する2次電子の有効最大エネルギーを前記X線の最
大エネルギーの80%〜100%として求め、この2次
電子の有効最大エネルギーから前記X線が前記検出素子
に入射することにより発生する2次電子の有効最大飛程
を計算すること;前記コリメータにより画定される前記
各検出素子の有効開口幅をa、前記2次電子の有効最大
飛程をbとするとき、前記各検出素子の有感部の幅Wd
を、 a≦Wd≦a+2b を満たすように設計する ことを特徴とするX線検査装置
の設計方法が提供される。また、上記第1〜第4の目的
を達成するために、本発明によれば、試料にX線を照射
するためのX線源と、回転並進移動して試料を操作する
操作手段と、前記X線源により発生したX線の進行方向
と垂直な方向に一列に配列され、前記試料を透過したX
線を検出する複数の検出素子を有するX線検出器と、前
記複数の検出素子の前方に配置され、前記各検出素子の
有効開口幅を画定するコリメータとを備えるX線検査装
置の設計方法において、前記X線源により発生するX線
の最 大エネルギーが3MeV以上であるときは、前記X
線が前記検出素子に入射することにより発生する2次電
子の有効最大エネルギーを前記X線の最大エネルギーの
40%〜60%として求め、前記X線源により発生する
X線の最大エネルギーが1MeV〜3MeVであるとき
は、前記X線が前記検出素子に入射することにより発生
する2次電子の有効最大エネルギーを前記X線の最大エ
ネルギーの50%〜80%として求め、前記X線源によ
り発生するX線の最大エネルギーが1MeV以下である
ときは、前記X線が前記検出素子に入射することにより
発生する2次電子の有効最大エネルギーを前記X線の最
大エネルギーの80%〜100%として求め、この2次
電子の有効最大エネルギーから前記X線が前記検出素子
に入射することにより発生する2次電子の有効最大飛程
を計算すること;前記コリメータにより画定される前記
各検出素子の有効開口幅をa、前記2次電子の有効最大
飛程をb、前記入射するX線の最大エネルギーと等しい
エネルギーの2次電子の最大飛程をcとするとき、前記
各検出素子の有感部の幅Wdを、 a+2b<Wd<a+2c を満たすように設計することを特徴とするX線検査装置
の設計方法が提供される。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】また、上記第2〜第3の目的を達成するた
め、本発明によれば、試料にX線を照射するためのX線
源と、回転並進移動して試料を操作する操作手段と、前
記X線源により発生したX線の進行方向と垂直な方向に
一列に配列され、前記試料を透過したX線を検出する複
数の検出素子を有するX線検出器と、前記複数の検出素
子の前方に配置され、前記各検出素子の有効開口幅を画
定するコリメータとを備えるX線検査装置において、前
記各検出素子のX線入射面の有感部の幅をWd、前記コ
リメータによって画定される前記各検出素子の有効開口
幅をa、前記X線が前記検出素子に入射することにより
発生する2次電子の有効最大エネルギーを前記X線の最
大エネルギーの40%〜60%として求めた2次電子の
有効最大飛程をb、前記入射するX線の最大エネルギー
と等しいエネルギーの2次電子の最大飛程をcとすると
き、a≦Wd≦a+2b 満たすように前記各検出素子の有感部の幅Wdが設定
されており、前記X線源により発生するX線の最大エネ
ルギーが3MeV以上で要求分解能が0.1mm〜0.
5mmであり、前記複数の検出素子の配列ピッチが2.
6mm〜16mmであることを特徴とするX線検査装置
が提供される。また、上記第2〜第4の目的を達成する
ために、本発明によれば、試料にX線を照射するための
X線源と、回転並進移動して試料を操作する操作手段
と、前記X線源により発生したX線の進行方向と垂直な
方向に一列に配列され、前記試料を透過したX線を検出
する複数の検出素子を有するX線検出器と、前記複数の
検出素子の前方に配置され、前記各検出素子の有効開口
幅を画定するコリメータとを備えるX線検査装置におい
て、前記各検出素子のX線入射面の有感部の幅をWd、
前記コリメータによって画定される前記各検出素子の有
効開口幅をa、前記X線が前記検出素子に入射すること
により発生する2次電子の有効最大エネルギーを前記X
線の最大エネルギーの40%〜60%として求めた2次
電子の有効最大飛程をb、前記入射するX線の最大エネ
ルギーと等しいエネルギーの2次電子の最大飛程をcと
するとき、 a+2b<Wd<a+2c を満たすように前記各検出素子の有感部の幅Wdが設定
されており、前記X線源により発生するX線の最大エネ
ルギーが3MeV以上で要求分解能が0.1mm〜0.
5mmであり、前記複数の検出素子の配列ピッチが2.
6mm〜16mmであることを特徴とするX線検査装置
が提供される。
【0030】更に、本発明によれば、前記各検出素子の
X線入射面の有感部の幅をWd、前記コリメータによっ
て画定される前記各検出素子の有効開口幅をa、前記X
線が前記検出素子に入射することにより発生する2次電
子の有効最大エネルギーを前記X線の最大エネルギーの
50%〜80%として求めた2次電子の有効最大飛程を
b、前記入射するX線の最大エネルギーと等しいエネル
ギーの2次電子の最大飛程をcとするとき、a≦Wd≦a+2b 満たすように前記各検出素子の有感部の幅Wdが設定
されており、前記X線源により発生するX線の最大エネ
ルギーが1MeV〜3MeVで要求分解能が0.1mm
〜0.5mmであり、前記複数の検出素子の配列ピッチ
が1mm〜16mmであることを特徴とするX線検査装
置が提供される。また、本発明によれば、前記各検出素
子のX線入射面の有感部の幅をWd、前記コリメータに
よって画定される前記各検出素子の有効開口幅をa、前
記X線が前記検出素子に入射することにより発生する2
次電子の有効最大エネルギーを前記X線の最大エネルギ
ーの50%〜80%として求めた2次電子の有効最大飛
程をb、前記入射するX線の最大エネルギーと等しいエ
ネルギーの2次電子の最大飛程をcとするとき、 a+2b<Wd<a+2c を満たすように前記各検出素子の有感部の幅Wdが設定
されており、前記X線源により発生するX線の最大エネ
ルギーが1MeV〜3MeVで要求分解能が0.1mm
〜0.5mmであり、前記複数の検出素子の配列ピッチ
が1mm〜16mmであることを特徴とするX線検査装
置が提供される。
【0031】また、本発明によれば、前記各検出素子の
X線入射面の有感部の幅をWd、前記コリメータによっ
て画定される前記各検出素子の有効開口幅をa、前記X
線が前記検出素子に入射することにより発生する2次電
子の有効最大エネルギーを前記X線の最大エネルギーの
80%〜100%として求めた2次電子の有効最大飛程
をb、前記入射するX線の最大エネルギーと等しいエネ
ルギーの2次電子の最大飛程をcとするとき、a≦Wd≦a+2b 満たすように前記各検出素子の有感部の幅Wdが設定
されており、前記X線源により発生するX線の最大エネ
ルギーが1MeV以下で要求分解能が0.1mm〜0.
5mmであり、前記複数の検出素子の配列ピッチが0.
4mm〜10mmであることを特徴とするX線検査装置
が提供される。また、本発明によれば、前記各検出素子
のX線入射面の有感部の幅をWd、前記コリメータによ
って画定される前記各検出素子の有効開口幅をa、前記
X線が前記検出素子に入射することにより発生する2次
電子の有効最大エネルギーを前記X線の最大エネルギー
の80%〜100%として求めた2次電子の有効最大飛
程をb、前記入射するX線の最大エネルギーと等しいエ
ネルギーの2次電子の最大飛程をcとするとき、 a+2b<Wd<a+2c を満たすように前記各検出素子の有感部の幅Wdが設定
されており、 前記X線源により発生するX線の最大エネ
ルギーが1MeV以下で要求分解能が0.1mm〜0.
5mmであり、前記複数の検出素子の配列ピッチが0.
4mm〜10mmであることを特徴とするX線検査装置
が提供される。
【0032】
【作用】各検出素子の有効開口幅をa、2次電子の有効
最大飛程をbとするとき、X線が検出素子に入射するこ
とにより発生する2次電子の有効最大エネルギーを求め
てから、この2次電子の有効最大エネルギーからX線が
前記検出素子に入射することにより発生する2次電子の
有効最大飛程bを計算し、各検出素子の有感部の幅Wd
をa+2bを基準にして設計することにより、複雑なモ
ンテカルロ計算を実施する必要がなく容易に検出素子の
寸法設計が可能となり、検出素子の寸法設計に要する時
間が短縮される。
【0033】各検出素子の有感部の幅Wdを、a≦Wd
≦a+2bを満たすように設計することにより、検出素
子が小形化され、多数の検出素子を高密度に配列するこ
とにより高速撮影が可能となる。また、検出素子の小形
化により散乱X線によるクロストークが小さくなるの
で、S/N比を上げて良好な断層像が得られる。また、
遮蔽材は2次電子の強度を下げるだけでよいので、遮蔽
材が薄くなり、検出素子の高密度配列が容易となる。
【0034】また、各検出素子の有感部の幅Wdを、a
+2b<Wd<a+2cを満たすように設計することに
より、検出素子が小形化され、多数の検出素子を高密度
に配列することにより高速撮影が可能となる。また、遮
蔽材が全く不要となるので、散乱X線が遮蔽材に当たる
ことにより発生する2次電子によるクロストーク成分が
なくなり、更にクロストークが小さくなる。また、発生
した散乱X線及び有効最大エネルギー以上のエネルギー
を持つ2次電子の吸収量も増大し、X線の検出感度が良
くなる。このため、S/N比を上げて良好な断層像が得
られる。
【0035】
【0036】更に、各検出素子の有効開口幅aをWd−
2bを基準にして設定し、この有効開口幅が得られるよ
うコリメータの開口幅を決定することにより、複雑なモ
ンテカルロ計算を実施する必要がなく容易にコリメータ
の寸法設計が可能となり、コリメータの寸法設計に要す
る時間が短縮される。
【0037】また、各検出素子の有効開口幅aをWd−
2b≦a≦Wdを満たすように設計することにより、発
生した2次電子を効率よく検出しながらX線の入射領域
を拡張し、X線検査装置の感度を向上できる。
【0038】
【実施例】原理 まず、本発明のX線検査装置の設計方法の原理について
図2及び図3を用いて説明する。本発明は、検出素子に
X線を入射することにより生じる2次電子の振舞に着目
したものであり、その検討結果を以下に説明する。
【0039】図2は、円筒型の検出素子の円形端面の中
心に、円筒の軸に平行に一定エネルギーでペンシルビー
ム状のX線を入射させ、検出素子の円筒の半径を変えた
ときに、円筒の半径に対して検出素子への付与エネルギ
ーがどのように変化するかについて、本願発明者等が行
った計算結果を示す。
【0040】図2において、横軸は検出素子の円筒の半
径を、検出素子の材質および入射X線のエネルギーによ
らない単位(円筒の実際の半径に検出素子を構成してい
る物質の密度を掛け、入射X線のエネルギーで割った
値)で示し、縦軸は検出素子への付与エネルギーを、付
与エネルギーと入射X線のエネルギーの比で示した。検
出素子への付与エネルギーは検出素子の感度に比例す
る。また、円筒型の検出素子の長さは、入射したX線が
99%以上反応する長さとした。計算は、検出素子の材
質として、CWO(CdWO4 シンチレータ)及びSi
(シリコン半導体検出素子)の2種類について行った。
入射X線のエネルギーは3MeVとした。
【0041】図2から分かるように、検出素子の円筒の
半径と検出素子への付与エネルギーとの関係は、検出素
子の材質に係わらずほとんど同じ傾向を示す。即ち、検
出素子への付与エネルギーは、検出素子の半径が増すに
つれて2段階の変化をする。検出素子の半径が大きくな
ると、横軸の0.44の付近で一度飽和し、更に半径が
大きくなると縦軸の1.0に近づく。初めの飽和は、X
線の入射によりX線の入射軸上で発生した2次電子の吸
収過程であり、後の飽和は、散乱線の吸収過程であると
考えられる。2次電子は荷電粒子であるため散乱線に比
べて格段にエネルギーの付与効率が高く、検出素子の半
径に対する付与エネルギーの勾配は2次電子の吸収過程
のほうが大きい。図2は、入射X線のエネルギーが3M
eVの場合を示したが、入射X線のエネルギーが数10
0keV以上であれば、ほぼ同じ傾向を示す。
【0042】図2の結果より、検出素子の感度を10%
〜20%向上させるためには、検出素子の幅寸法を1桁
大きくしなければならず、検出素子の幅を適切に選ばな
ければ、極めて検出素子の利用効率が悪くなる。X線C
T装置のように検出素子を密に配置する場合には、検出
素子の幅を適切に設計することが特に重要となる。ま
た、2次電子は荷電粒子であるため散乱線に比べて格段
にエネルギーの付与効率が高いため、X線CT用検出素
子の寸法を設計する場合、2次電子の振舞を考慮するこ
とが重要となる。本願発明者等は2次電子の有効最大飛
程に着目し、検出素子の幅を2次電子の有効最大飛程を
基準として設計することにより、小形の検出素子を多数
配置することを可能とし、高速撮影が可能なX線検査装
置を実現できることを見出だした。以上が本発明の第1
の原理である。
【0043】なお、「2次電子の有効最大飛程」とは、
X線が検出素子に入射することにより発生する2次電子
のうち有効最大エネルギーを持つ2次電子の最大飛程の
ことであり、「2次電子の有効最大エネルギー」とは、
X線により発生する2次電子の実用的な最大エネルギー
のことである。
【0044】次に、2次電子の有効最大飛程を基準とし
て検出素子の幅を設計する場合、入射するX線により発
生する2次電子の有効最大エネルギーを決定することが
カギとなる。図3に、連続X線の最大エネルギーと発生
2次電子の有効最大エネルギーとの関係について、本願
発明者等が行った検討結果を示す。図中、点線は、2次
電子の有効最大エネルギーがX線の最大エネルギーにほ
ぼ等しくなる(100%)場合と、2次電子の有効最大
エネルギーがX線の最大エネルギーのほぼ半分になる
(50%)の場合の参考線である。
【0045】高エネルギーX線では電子対生成反応が支
配的で、この反応により発生する2次電子の有効最大エ
ネルギーは、X線のエネルギーのほぼ半分になる。ま
た、低エネルギーX線では光電効果が支配的となり、こ
の反応により発生する2次電子の有効最大エネルギー
は、X線のエネルギーにほぼ等しくなる。
【0046】以上より、連続X線の最大エネルギーとそ
こから発生する2次電子の実用的な最大エネルギー(有
効最大エネルギー)の関係は、連続X線の最大エネルギ
ーが3MeV以上では、発生する2次電子の有効最大エ
ネルギーは連続X線の最大エネルギーの40%〜60%
であり、連続X線の最大エネルギーが1MeVから3M
eVまでは発生する2次電子の有効最大エネルギーは連
続X線の最大エネルギーの50%〜80%であり、連続
X線の最大エネルギーが1MeV以下では発生する2次
電子の有効最大エネルギーは連続X線の最大エネルギー
の80%〜100%となる。
【0047】一方、2次電子の最大飛程は、2次電子の
最大エネルギーをE[MeV]、検出素子の密度をρ
[g/cm3 ]とし、2次電子の最大飛程をb[cm]
とすれば、 b=0.407×E1.38/ρ (0.8>E>0.15) b=(0.542×E−0.133)/ρ (E>0.8) …(1) で求められる(原子核・放射線の基礎:真田順平著:共
立全書,p93)。
【0048】したがって、上記のように2次電子の有効
最大エネルギーが求まると、当該(1)式から2次電子
の最大飛程bを計算することができる。以上が本発明の
第2の原理である。
【0049】ちなみに、図2の計算例では、入射X線の
エネルギーが3MeVであるので、発生する2次電子の
有効最大エネルギーは図3より、入射X線エネルギーの
約50%の1.5MeVであり、検出素子の密度をCW
Oシンチレータの7.9g/cm3 とし、上記(1)式
で2次電子の最大飛程bを計算すると、約0.86mm
となる。更にこの値に密度を掛け、入射X線のエネルギ
ーで割ると0.23g/cm3 ・MeVとなる。図2に
この有効最大飛程に対応する検出素子の半径を示すと、
点線の位置となる。この半径は、前述の飽和半径の約半
分である。
【0050】設計方法の基本概念 次に、上記原理に基づく本発明のX線検査装置の設計方
法の基本概念を図1により説明する。
【0051】図1において、20はX線検査装置におけ
る基本構成の1つである検出素子を示し、検出素子20
は、例えばX線の入射により螢光を発生するシンチレー
タ20aからなり、シンチレータ20aで発生した螢光
はフォトダイオード20bにより電流に変換される。シ
ンチレータ20aの前面には、シンチレータ20aに入
射するX線を絞り、シンチレータ20aの有効開口幅を
画定するコリメータ21が配置されている。
【0052】本発明にしたがってシンチレータ20aの
有感部の幅Wdを設計する場合、まず、コリメータ21
の開口幅に対応するシンチレータ20aの有効開口幅a
を決める。これは、シンチレータ20aに要求される分
解能をΔxとすると、分解能ΔxとX線検査装置の構造
的寸法から求まる。X線検査装置の構造的寸法について
は後述する。シンチレータ20aの有効開口幅aが決ま
れば、これに対応してコリメータ21の開口幅が決ま
る。
【0053】次に、X線がシンチレータ20aに入射す
ることにより発生する2次電子の有効最大飛程bを計算
する。この有効最大飛程bは上記第2の原理に基づき計
算する。即ち、使用するX線が連続X線(制動X線)の
とき、2次電子の有効最大エネルギーを図3の特性から
求め、この求めた2次電子の有効最大エネルギーから上
記(1)式により2次電子の有効最大飛程bを求める。
例えば、X線の最大エネルギーが3MeV以上のとき
は、2次電子の有効最大エネルギーをX線の最大エネル
ギーの40%〜60%として求め、X線の最大エネルギ
ーが1MeV〜3MeVのときは、2次電子の有効最大
エネルギーをX線の最大エネルギーの50%〜80%と
して求め、X線の最大エネルギーが1MeV以下のとき
は、2次電子の有効最大エネルギーをX線の最大エネル
ギーの80%〜100%として求め、それぞれ(1)式
より2次電子の有効最大飛程bを計算する。
【0054】次に、このようにしてシンチレータ20a
の有効開口幅aと2次電子の有効最大飛程bが求まる
と、上記第1の原理に基づきa+2bを基準にしてシン
チレータ20aの有感部の幅Wdを決定する。
【0055】シンチレータ20aの有感部の幅WdをW
d=a+2bとしたとき、理論上、発生した2次電子
(有効最大エネルギー以下のエネルギーを持つ2次電
子:以下、有効最大飛程bとの関係で使用する場合はこ
の意味で使用するものとする)がシンチレータ20aの
外部に漏れることがなくなる。このため、シンチレータ
20aは発生した2次電子の全てを検出することにな
る。前述したように、このシンチレータ20aで検出さ
れる2次電子は散乱線に比べて格段にエネルギーの付与
効率が高い。したがって、この2次電子を効率よく検出
することで感度を落とさずにシンチレータ20aを小形
化できる。即ち、シンチレータ20aの最適寸法の設計
に際してa+2bを基準に用いることができることが分
かる。
【0056】一方、シンチレータ20aの有感部の幅W
dが予め決まっている場合は、上記のように発生する2
次電子の有効最大飛程bを決めた後、シンチレータ20
aの有効開口幅aがWd−2bとなるようにコリメータ
21の開口幅を決定する。これにより、発生した2次電
子を効率よく検出しながらX線の入射領域を最大限に拡
張し、高感度の検出器を提供できる。
【0057】したがって、本発明によれば、X線検査装
置における基本構成である検出素子やコリメータの最適
寸法についての設計基準が確立され、高速撮影を可能と
したり良好な断層像を得るための検出素子の設計や、X
線検査装置の感度を向上するためのコリメータの設計が
容易となる。
【0058】X線エネルギーの適用範囲 本発明は2次電子の有効最大飛程bがポイントである。
検出素子の設計でbの値が工作精度や固定精度以下にな
れば、本発明の上記効果は十分に得られない。図4
(a)にX線の最大エネルギーと2次電子の有効最大飛
程(半導体素子とシンチレータ(CWO))の関係を示
す。この図より、工作精度や固定精度が0.05mm程
度とすれば、X線の最大エネルギーが300keVより
高いエネルギーで本発明が有意義になり、特に1MeV
以上でその効果が顕著に現れることが分かる。なお、こ
の図ではX線の最大エネルギーを10MeVの場合まで
例示したが、本発明は、それ以上の最大エネルギーを持
つX線に対しても適用できるものである。
【0059】設計方法の実施例 次に、上記設計概念を用いた具体的な設計方法を説明す
る。設計方法の第1の実施例 本発明の第1の実施例による設計方法は、シンチレータ
20aの有感部の幅Wdを、 a≦Wd≦a+2b …(2) を満たすように設計することである。
【0060】シンチレータ20aの有感部の幅Wdがa
+2bの値よりも小さくなると、発生した2次電子の一
部はシンチレータの外部に漏れる。その漏れ量はWd=
aのとき最大となる。しかし、漏れ量の割合は、有効開
口幅aの端部位置に発生した2次電子で見て、発生した
2次電子の半分であり、端部位置から内側に行くにした
がって漏れ量の割合は減少する。したがって、a≦Wd
≦a+2bの範囲であれば発生した2次電子を十分に検
出することができる。一方、有感部の幅Wdをa+2b
より小さくすれば、シンチレータ20aの一層の小形化
が可能となる。したがって、検出素子6の小形化を主眼
とした場合には、この設計方法は有利であり、多数の検
出素子6を高密度に配列することにより高速撮影が可能
となる。
【0061】また、シンチレータ20aが小形化するこ
とにより散乱X線の検出が減り、クロストークが小さく
なる効果もある。以下、このことを詳細に説明する。
【0062】高エネルギーのX線を使用するCT用検出
器には散乱X線によるクロストークの問題がある。この
クロストークとは、検出素子へ入射したX線がコンプト
ン散乱反応で散乱X線を発生し、これを隣接する検出素
子が検出する現象である。したがって、クロストークは
隣接する検出素子へ入射する散乱X線の強度と入射した
散乱X線を検出する効率の積に比例する。従来は、前者
の散乱X線の強度を下げるために遮蔽材を設置した。本
実施例では、上記のようにシンチレータ20aの幅を従
来に比較して小さくできるため、後者の散乱X線を検出
する効率を下げることができる。また、散乱X線は全方
向に発生するため、検出素子の高さが小さくなれば、散
乱X線が検出素子へ入射する強度も下がる。両方の効果
でクロストークをより小さくできる。
【0063】したがって、本実施例では、散乱X線の強
度を下げるための遮蔽材の設置は不要となり、2次電子
の強度を下げるためだけの遮蔽材を設置するだけで従来
よりも散乱X線によるクロストークを小さくでき、S/
N比を上げて良好な断層像を得ることができる。また、
遮蔽材は2次電子の強度を下げるだけでよいので、遮蔽
材を薄くすることができ、検出器を更に小形化できる。
【0064】設計方法の第2の実施例 本発明の第2の実施例による設計方法は、シンチレータ
20aに入射するX線の最大エネルギーと等しいエネル
ギーの2次電子の最大飛程をcとするとき、シンチレー
タ20aの有感部の幅Wdを、 a+2b<Wd<a+2c …(3) を満たすよう設計することである。
【0065】シンチレータ20aの有感部の幅Wdがa
+2bの値よりも大きくなると、上記したように発生し
た2次電子はシンチレータの外部に漏れなくなる。した
がって、上記第1の実施例では必要としていた2次電子
の強度を下げるための遮蔽材が不要となる。
【0066】一方、シンチレータ20aの有感部の幅W
dをa+2bの値よりも大きくする場合、上記第1の原
理からそれ以上無闇に大きくしても、発生した2次電子
の検出効率は増大しない。したがって、通常はこの幅W
dの値はa+2bの近傍に設定する。このようにa+2
bの近傍に幅Wdを設定することにより検出素子6は小
形化でき、多数の検出素子6を高密度に配列することに
より高速撮影が可能となる。また、検出素子が小形にな
ることで散乱X線の検出が減り、遮蔽材を用いずとも散
乱X線によるクロストークが小さくなる。すなわち、こ
の場合は遮蔽材がまったく不要となる。
【0067】また、第1の実施例と同様に検出素子が小
形になることで散乱X線の検出が減り、散乱X線による
クロストークが小さくなる。
【0068】更に、遮蔽材を配置した場合、散乱X線が
遮蔽材を通るときに遮蔽材から電子をたたき出し、この
電子を隣接する検出素子が検出することによるクロスト
ークの成分が生じる。検出素子が小さくなると、上記の
ように散乱X線によるクロストークが小さくなるので、
この遮蔽材からたたき出された電子によるクロストーク
成分が無視できなくなる。本実施例では、遮蔽材が全く
不要となるので、この遮蔽材によるクロストークの増加
も防止される。
【0069】一方、シンチレータ20aの有感部の幅W
dがa+2bを越えて大きくなるにしたがって、発生し
た散乱X線をそのシンチレータ20a自身の内部で吸収
する量も徐々に増えて行く。
【0070】また、今までは、発生した2次電子として
有効最大エネルギー以下のエネルギーを持つ2次電子に
ついて考察した。すなわち、2次電子の有効最大エネル
ギーをX線の最大エネルギーの大きさに応じその40%
〜100%として求めており、このため、例えば高エネ
ルギ側では2次電子の有効最大エネルギーはX線の最大
エネルギーの約半分としている。しかし、この場合も、
0でない確率(無視できる程度)でX線のエネルギーと
同じエネルギーの2次電子が発生している。この2次電
子を検出素子内で吸収するためには、この2次電子の最
大飛程で計算する必要がある。つまり、入射X線のエネ
ルギーと等しいエネルギー(100%)の2次電子の最
大飛程を上記のcとすると、検出素子の有感部の幅Wd
の上限はa+2cとなる。なお、低エネルギ側では2次
電子のエネルギーを入射X線のエネルギーのほぼ100
%で計算するので、a+2cとa+2bの値はほぼ等し
くなる。
【0071】図4(b)に、CWOシンチレータを例と
して、X線の最大エネルギーと2種類に最大飛程bとc
の関係を示す。cの値はbと同様に上記(1)式より計
算した。
【0072】したがって、シンチレータ20aの有感部
の幅Wdがa+2bを越えて大きくなるにしたがって、
X線のエネルギーと同じエネルギーの2次電子を含む有
効最大エネルギー以上のエネルギーを持つ2次電子をシ
ンチレータ20a自身の内部で吸収する量も徐々に増え
て行く。この2次電子の吸収する量は幅Wdがa+2c
に等しくなったときに最大となり、これ以上シンチレー
タ20aの有感部の幅Wdを大きくしても、発生した2
次電子の吸収という観点からは無駄である。
【0073】以上のように、シンチレータ20aの有感
部の幅Wdの上限をa+2cに設定し、この範囲内で幅
Wdを大きくして行けば、発生した散乱X線及び有効最
大エネルギー以上のエネルギーを持つ2次電子の吸収量
も増大し、X線の検出感度が良くなり、S/N比を向上
できる。
【0074】したがって、本実施例では第1の実施例以
上にクロストークを小さくできると共に、X線の検出感
度が良くなり、S/N比を更に向上させて良好な断層像
を得ることができる。
【0075】設計方法の第3の実施例 本発明の第3の実施例による設計方法は、シンチレータ
20aの有感部の幅Wdが予め決まっている場合に、シ
ンチレータ20aの有効開口幅aを、 Wd−2b≦a≦Wd …(4) を満たすように設計し、この有効開口幅aが得られるよ
うコリメータ21の開口幅を決めることである。
【0076】シンチレータ20aの有感部の幅Wdが予
め決まっている場合に、シンチレータ20aの有効開口
幅aをWd−2bより大きくすると、発生した2次電子
の一部はシンチレータの外部に漏れる。その漏れ量はa
=Wdのとき最大となる。しかし、漏れ量の割合は、有
効開口幅aの端部位置に発生した2次電子で見て、発生
した2次電子の半分であり、端部位置から内側に行くに
したがって漏れ量の割合は減少する。したがって、a≦
Wd≦a+2bの範囲であれば発生した2次電子を十分
に検出することができる。一方、シンチレータ20aの
有効開口幅aをWd−2bより大きくすれば、X線の入
射領域が拡張される。
【0077】したがって、本実施例によれば、発生した
2次電子を効率よく検出しながらX線の入射領域を最大
限に拡張し、X線検査装置の感度を向上できる。
【0078】X線検査装置の実施例 次に、上記設計方法に基づいて製作されたX線検査装置
のいくつかの実施例を図面により説明する。
【0079】X線検査装置の第1の実施例 まず、本発明のX線検査装置の第1の実施例を図5〜図
9により説明する。本実施例は上記設計方法の第1の実
施例をX線CT装置を適用したものである。
【0080】図5において、本実施例のX線CT装置
は、試料2にX線を照射するためのX線源として連続X
線を発生するX線発生装置1と、回転並進移動して試料
2を操作するスキャナー3と、X線発生装置1により発
生したX線の進行方向と垂直な方向に配列され、試料2
を透過したX線を検出する複数の検出素子6を有するX
線検出器6Aと、X線発生装置1とスキャナー3との間
に配置され、X線発生装置1により発生するX線の拡が
り角を制限するコリメータ4と、スキャナー3と各検出
素子6との間に配置され、各検出素子6に入射されるX
線の幅を制限し、各検出素子6の有効開口幅を画定する
コリメータ5と、信号処理回路7と、演算装置8と、表
示装置9とを備えている。
【0081】X線検出器6Aの各検出素子6は、図6に
示すように、X線の入射により螢光を発生するシンチレ
ータ6aからなっている。また、X線検出器6Aは、シ
ンチレータ6aで発生した螢光を電流に変換し、電気信
号として信号処理回路7に出力するフォトダイオード6
bと、フォトダイオード6bと隣接するシンチレータ6
aとの間に配置された遮蔽板6cとを有している。ま
た、シンチレータ6aの側面のフォトダイオード6bが
張り付いている部分以外の面には、遮光のため反射材が
塗布されている。
【0082】X線発生装置1により発生したX線は、試
料2を透過した後、X線検出器6Aのへ入射する。X線
検出器6Aからの電気信号は信号処理回路7に送られ、
ここでデジタルデータに変換され、演算装置7に送られ
る。スキャナー3の回転並進移動により試料2のある断
面についてあらゆる方向からの透過データを収集した
後、演算装置8により再構成演算を実施し断層像を再構
成し、その断層像を表示装置9に表示する。
【0083】また、図6において、シンチレータ6aは
幅Wdの有感部を有し、シンチレータ6aのX線入射面
には、コリメータ5の開口幅aに対応して同じ寸法aの
有効開口幅が画定されている。シンチレータ6aは、図
6に示すように矩形の横断面形状をしており、コリメー
タ5によるシンチレータ6aの有効開口幅aは配列方向
にのみ設定されている。また、シンチレータ6aの有感
部の幅Wdは、X線がシンチレータ6aに入射すること
により発生する2次電子の有効最大飛程をbとすると、
前述の(2)式である、 a≦Wd≦a+2b を満たすように設定されており、特に図示実施例では、
Wd=a+2bに設定されている。
【0084】本実施例によれば、本発明の設計方法の第
1の実施例で述べたように、Wd=a+2bに設計する
ことにより感度を維持しつつシンチレータ6aを小形化
できる。
【0085】一例として、X線の最大エネルギー6Me
Vの高エネルギーX線CT装置に本発明を適用した場合
について説明する。高エネルギーX線の検出では、第1
の従来技術の例のようにCWOシンチレータなどを使用
したとすると、密度が7.9[g/cm3 ]である。ま
た、最大エネルギー6MeVのX線から発生する2次電
子の有効最大エネルギーは、図3より、2.8MeVと
なり、先の(1)式より2次電子の有効最大飛程bが、
b=(0.542×2.8−0.133)/7.9=
0.18[cm]となる。検出素子に要求される空間分
解能から有効開口幅aが0.5mmとすれば、CWOシ
ンチレータの幅は、4.1mmとすることが可能とな
り、従来のCWOシンチレータに比べて大幅に小形化さ
れる。これによって、検出素子の高密度配置が容易とな
り、多数の検出素子を配置することにより撮影時間を1
/2以上に短縮することができる。
【0086】また、シンチレータ6aが小形化すること
により、散乱X線の検出が減り、クロストークが小さく
なるので、S/N比を上げて良好な断層像を得ることが
できる。また、遮蔽材は2次電子の強度を下げるだけで
よいので、遮蔽材を薄くすることができ、検出器を更に
小形化できる。
【0087】上記実施例では、a≦Wd≦a+2bのう
ち特にWd=a+2bに設定した場合について説明し
た。しかし、本発明の設計方法の第1の実施例で説明し
たように、a≦Wd≦a+2bの範囲内であればそれ以
外であってもよい。a<Wd<a+2bとした場合を図
8に、Wd=aとした場合を図9に示す。これら変形例
でも実質的に上記実施例と同様な効果が得られる。
【0088】X線検査装置の第2の実施例 本発明のX線検査装置の第2の実施例を図10により説
明する。本実施例は上記設計方法の第2の実施例をX線
CT装置に適用したものである。
【0089】図10において、シンチレータ6aの有感
部の幅Wdは、X線がシンチレータ6aに入射すること
により発生する2次電子の有効最大飛程b及びシンチレ
ータ20aに入射するX線の最大エネルギーと等しいエ
ネルギーの2次電子の最大飛程cに対して、前述の
(3)式である、 a+2b<Wd<a+2c を満たすよう設定されている。隣接するシンチレータ6
a間には遮蔽板はなく、シンチレータ6aは空気層6d
により互いに隔てられている。
【0090】本実施例によれば、本発明の設計方法の第
2の実施例で述べたように、a+2b<Wd<a+2c
に設計することによりシンチレータ6aを小形化できる
ので、多数の検出素子を高密度に配列することにより高
速撮影が可能となる。また、本実施例によれば、遮蔽板
が不要となるので、更に検出素子の高密度配列が容易と
なる。また、発生した散乱X線及び有効最大エネルギー
以上のエネルギーを持つ2次電子の吸収量も増大し、X
線の検出感度が良くなる。その結果、S/N比を更に向
上させて良好な断層像を得ることができる。
【0091】X線検査装置の第3の実施例 本発明のX線検査装置の第3の実施例を図11により説
明する。本実施例は上記設計方法の第3の実施例をX線
CT装置を適用したものである。
【0092】図11において、シンチレータ6aの有感
部の幅Wdは予め決まっており、シンチレータ6aの有
効開口幅aは、X線がシンチレータ6aに入射すること
により発生する2次電子の有効最大飛程bに対して、前
述の(4)式である、 Wd−2b≦a≦Wd を満たすように設定され、特に本実施例ではa=Wd−
2bになるように有効開口幅aが設定されている。コリ
メータ5の開口幅はこの有効開口幅aが得られるよう決
められている。
【0093】本実施例によれば、本発明の設計方法の第
3の実施例で述べたように、Wd−2b≦a≦Wdとす
ることにより、発生した2次電子を効率よく検出しなが
らX線の入射領域を最大限に拡張し、X線検査装置の感
度を向上できる。
【0094】X線検査装置のその他の実施例 本発明の更に他のいくつかの実施例を図12〜図19に
より説明する。図12は、コリメータ6aの有効開口幅
の設定をコリメータ6aの配列方向以外の方向にも適用
した一実施例である。直方体形のコリメータ6aの場
合、有効開口幅の境界は、長方形の断面の境界と、長方
形の断面の境界から、入射X線により発生する2次電子
の有効最大飛程bの帯を差し引いた境界までとの間に設
定することができる。これによって、更にコリメータ6
aが小形となり、散乱X線によるクロストークが25%
以上減少し、S/N比が向上し、良好な断層像を得るこ
とが可能となる。
【0095】図13は、コリメータ6aの有効開口幅の
設定をコリメータ6aの配列方向以外の方向にも適用し
た他の一実施例である。楕円形の断面を持つコリメータ
6aの場合、有効開口幅の境界は、楕円形の断面の境界
と、楕円形の断面の境界から、入射X線により発生する
2次電子の有効最大飛程bの帯を差し引いた境界までと
の間に設定することができる。これによって、更にコリ
メータ6aが小形となり、散乱X線によるクロストーク
が減少し、S/N比が向上し、良好な断層像を得ること
が可能となる。
【0096】図14は、コリメータ6aの有効開口幅の
設定をコリメータ6aの配列方向以外の方向にも適用し
た更に他の一実施例である。円形の断面を持つコリメー
タ6aの場合、有効開口幅の境界は、円形の断面の境界
と、円形の断面の境界から、入射X線により発生する2
次電子の有効最大飛程bの帯を差し引いた境界までとの
間に設定することができる。これによって、更にコリメ
ータ6aが小形となり、散乱X線によるクロストークが
減少し、S/N比が向上し、良好な断層像を得ることが
可能となる。
【0097】図15は、上記第1の実施例の変形例であ
り、シンチレータ6a間の2次電子の漏れによるクロス
トークを防止するために、2種類以上の密度の異なる材
質を3層以上備えた遮蔽板を配置したものある。即ち、
シンチレータ6aの間に遮蔽材6e,6fが配置されて
いる。遮蔽板6dの密度は遮蔽板6eの密度よりも小さ
くする。検出素子から漏れ出ようとする2次電子は、遮
蔽板6e,6fにより隣接するシンチレータへの侵入を
防止できる。更に、隣接するシンチレータからの散乱X
線により密度の高い遮蔽板6eの部分で発生した新たな
2次電子は、遮蔽板6dにより吸収され隣接する他のシ
ンチレータへの侵入を防止できる。これによって、高密
度にシンチレータを配置してもなお、クロストークを防
止することが可能となるため、2倍以上の高速撮影が可
能で、しかも、S/N比の良い画質で良好な断層像を得
ることができる。
【0098】図16は、本発明のシンチレータの固定方
法を示す一実施例である。特に、シンチレータの間に空
気層を設けるための固定方法に関する。シンチレータ6
aは、シンチレータの幅に応じた溝を備えた、上下2個
の固定板6gにより支持する。シンチレータは溝に挿入
されているために位置ずれの恐れがなく、更に、精度良
く位置決めが可能である。これによって、小形のシンチ
レータを効率良く利用することができ、S/N比の良い
画質が良好な断層像を得ることができる。
【0099】図17は、本発明のシンチレータの固定方
法を示す、他の一実施例である。特に、シンチレータの
間に空気層を設けるための固定方法に関する。シンチレ
ータ6aは、シンチレータは、上下2個の固定板6gに
接着剤6hにより接着し支持する。シンチレータは接着
剤で固定されているために位置ずれの恐れがなく、更
に、固定板の溝加工が不要となり、製造コストが少なく
できる。また、小形のシンチレータを効率良く利用する
ことができ、S/N比の良い画質が良好な断層像を得る
ことができる。
【0100】図18は、本発明のシンチレータの固定方
法を示す他の一実施例である。特に、シンチレータの間
に空気層を設けるための固定方法に関する。シンチレー
タ6aは、シンチレータは、シンチレータの位置に応じ
た凸部を備えた、上下2個の固定板6gに接着剤6hに
より接着し支持する。シンチレータは接着剤で固定され
ているために位置ずれの恐れがなく、更に、凸部を利用
して固定位置を決めることができるため精度良く位置決
めが可能である。また、小形のシンチレータを効率良く
利用することができ、S/N比の良い画質が良好な断層
像を得ることができる。
【0101】図19はX線発生装置1として、連続X線
ではなく略単色X線を発生するX線源を用いた場合の実
施例である。X線は高電圧で加速した電子がターゲット
に衝突することにより発生する。ここで発生するX線は
低エネルギーほど強い連続X線である。このような連続
X線をフィルターを用いることにより疑似的に単色化す
ることができる。図19はその原理を示す。ターゲット
に適当な材料を選ぶことによりAのような特性をもつ連
続X線を得ることができる。このX線をBのような吸収
特性を持ったフィルターに通すことにより単色のX線C
を得ることができる。
【0102】なお、本発明に使用できるシンチレータと
しては、CWO(CdWO4 ),BGO(Bi4 Ge3
12),BSO(Bi4 Si3 12),NaI(T
l),CsI(Tl),CsI(Na),CWO(Ca
WO4 ),CsF,BaF2 ,LiI(Eu),CaF
2 (Eu),ZnS(Ag),ZnO(Ga)などがあ
る。また、シンチレータ以外に使用できる検出素子とし
て、シリコン半導体検出器、ゲルマニウム半導体検出
器、p−i−n型検出器等があり、p−i−n型検出器
にはリシウムイオンドリフト検出器などがある。
【0103】本発明の実際の適用例 最後に、本発明のX線検査装置の実際の適用例について
説明する。図20は、本発明のX線検査装置の実際の適
用例についての検出素子の配列ピッチを計算するための
評価体系を示す。この評価体系において、検出素子の角
度ピッチθは断層像の再構成をどのようなサイズ(再構
成マトリックス)で実施するかにより決まる。また、検
出素子の配列ピッチP[mm]はX線源から検出素子ま
での距離L[mm]と前述の角度ピッチθ[°]とから
次式で計算する。
【0104】P=2πL×θ/360° 距離LはL=2s+2g+Dで得られる。ここで、sは
コリメータの長さであり、タングステンでX線の減衰が
1/1000となる長さを基準にした。X線の平均エネ
ルギーが3MeV以上ではコリメータの長さsは25c
m、X線の平均エネルギーが1〜3MeVではコリメー
タの長さsは10cm、X線の平均エネルギーが1Me
V以下ではコリメータの長さsは2cmとなる。また、
gはスキャナーとコリメータとの隙間であり、5cmと
した。Dはスキャナーの大きさであり、検出可能な被検
体の最大寸法をどの位にするかにより決まる。ここで
は、スキャナーDの大きさは次の手順で決めた。
【0105】X線のエネルギーを決める(3MeV,
1MeV,300keV)。
【0106】分解能Δxを決める(1mm〜0.1m
m)。
【0107】被検体の材質を決める(アルミニウム、
鉄)。
【0108】検出器のダイナミックレンジを決める
(80dB)。
【0109】分解能Δxを検出器のダイナミックレン
ジの範囲で検出できる被検体の最大の寸法Wを決める。
【0110】 W=loge (1×10-4/μΔx)/−μ ただし、μは被検体のX線に対する線減弱係数 被検体の充填率を決める(アルミニウム10%、鉄1
00%) 最大寸法Wに被検体の充填率を掛け、これをスキャナ
ーDの大きさとする(D=最大寸法W×充填率)。
【0111】一般的に、再構成マトリックスをN×Nと
すると、並進数M[X]と回転数M[θ]は次式で表わ
すことができる。
【0112】M[X]=N M[θ] π/2×N+1 (サンプリング定理) この適用例では、再構成マトリックスを1024×10
24とし、角度ピッチをθ=0.2°とした。
【0113】以上により計算した検出素子の配列ピッチ
Pを図21に示す。本願発明者等は、分解能Δxの範囲
を0.1〜0.5mmに設定し、図21からX線のエネ
ルギーと実用的な配列ピッチPの範囲を次のように決め
た。
【0114】 X線の最大エネルギー 検出素子の配列ピッチ 3MeV以上 2.6mm<P<16mm 1〜3MeV 1mm<P<16mm 1MeV以下 0.4mm<P<10mm 上記の配列ピッチ範囲において、配列ピッチPの範囲の
最小ピッチは、X線エネルギー範囲の低エネルギーでの
Fe(鉄)でΔx=0.1mmのときの値とし、最大ピ
ッチは、X線エネルギー範囲の高エネルギー側でのAl
(アルミニウム)でΔx=0.5mmのときの値とし
た。ただし、3MeV以上のエネルギーではX線に対す
る線減弱係数がほぼ一定なので、最大ピッチをX線のエ
ネルギー3MeVでのAlでΔx=0.5mmのときの
値とした。1MeV以下のエネルギーではX線のエネル
ギー300keVの値を使用した。
【0115】一方、本発明の設計方法において、検出素
子の幅Wdを例えばWd=a+2bとした場合、コリメ
ータの開口幅に対応する検出素子の有効開口面積aは、
要求される分解能ΔxとX線検査装置の構造的寸法から
決まり、一般的に以下の式で求められる。
【0116】a=Δx×L/(s+g+D) この式に、上記の分解能Δxの値0.1〜0.5と、図
21のs,g,Dの値をあてはめて有効開口面積aを求
めると、X線のエネルギーが3MeV以上で0.1mm
〜0.7mm、1〜3MeVで0.1mm〜0.8m
m、1MeV以下で0.1mm〜0.5mmとなる。一
方、図4から、CWOシンチレータの場合で2次電子の
有効最大飛程bは、X線のエネルギーが10MeVで
2.9mm、3MeVで0.86mm、1MeVで0.
35mm、300keVで0.098mmである。ま
た、半導体素子の場合で2次電子の有効最大飛程bは、
X線のエネルギーが10MeVで9.6mm、3MeV
で2.5mm、1MeVで1.0mm、300keVで
0.28mmである。
【0117】したがって、検出素子の幅Wd(=a+2
b)は、CWOシンチレータの場合、X線のエネルギー
が3MeV以上で0.1mm〜6.5mm(ただし、上
限の値はX線のエネルギーを例えば10MeVとして計
算した)、1〜3MeVで0.1mm〜2.5mm、1
MeV以下で0.1mm〜1.2mmとなり、半導体素
子の場合、X線のエネルギーが3MeV以上で0.1m
m〜20mm(ただし、上限の値はX線のエネルギーを
例えば10MeVとして計算した)、1〜3MeVで
0.1mm〜5.8mm、1MeV以下で0.1mm〜
2.5mmとなる。したがって、特に高エネルギー領域
ではCWOシンチレータなどの高密度素子を使えば、十
分に上述の配列ピッチを実現可能である。
【0118】したがって、本発明によれば、X線の最大
エネルギーが3MeV以上のX線検査装置は、材質がア
ルミニウムなどの低密度の構造材で最大径が410cm
(ただし、充填率が10%として)、また鉄などの高密
度の構造材で最大径が41cm(充填率が100%)ま
でを0.5mm以下の分解能で断層撮影が可能である。
特に、このような装置において、検出素子の配列ピッチ
を2.6mm〜16mm程度にすることにより、回転角
度に対する透過データを短時間にとることができ、撮影
時間を効果的に短縮できる。同様に、X線の最大エネル
ギーが1MeV〜3MeVのX線検査装置は、前記最大
径がそれぞれ410cmと41cmで、前記配列ピッチ
が1mmから16mm程度、更に、X線の最大エネルギ
ーが1MeV以下のX線検査装置は、前記最大径がそれ
ぞれ260cmと11cmで、前記配列ピッチが0.4
mmから10mm程度にすることにより、撮影時間を効
果的に1/2以上短縮できる。
【0119】なお、以上の実施例では本発明をX線検査
装置に適用した場合について説明したが、コバルト60
やセシウム137などのγ線を用いた放射線検査装置に
おいても同様に適用することができる。
【0120】
【発明の効果】本発明によれば、X線検査装置における
基本構成である検出素子やコリメータの最適寸法につい
ての設計基準を与え、検出素子やコリメータの設計を容
易にすることができる。
【0121】また、本発明によれば、検出素子を小形化
し、多数の検出素子を高密度に配列することにより高速
撮影が可能となる。
【0122】また、本発明によれば、検出素子を小形化
し、散乱X線の検出を減らすことによりクロストークを
下げ、良好な断層像を得ることが可能となる。
【0123】更に、本発明によれば、検出素子間に存在
する遮蔽材を不要とし、遮蔽材によるクロストークの増
加を防止して良好な断層像を得ることが可能となる。
【0124】また、本発明によれば、X線の入射領域を
最大限に拡張し、X線検査装置の感度を高めることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線検査装置の設計方法の基本概念を
説明するための図である。
【図2】本発明の第1の原理を示すための円筒形検出素
子の付与エネルギーと検出素子の半径の関係を示す図で
ある。
【図3】本発明の第2の原理を説明するための検出素子
の寸法設計に必要な発生2次電子の有効最大エネルギー
と連続X線の最大エネルギーとの関係を示す図である。
【図4】本発明の設計方法によるX線の最大エネルギー
と2次電子の有効最大飛程の関係を示す図である。
【図5】本発明のX線検査装置の第1の実施例の構成を
示すブロック図である。
【図6】図5に示すX線検出器の拡大図である。
【図7】図6に示す検出素子の端面形状を示す斜視図で
ある。
【図8】図5に示す実施例の変形による検出器の構造を
示す図6と同様な図である。
【図9】図5に示す実施例の変形による検出器の構造を
示す図6と同様な図である。
【図10】本発明のX線検査装置の第2の実施例におけ
るX線検出器の構造を示す図6と同様な図である。
【図11】本発明のX線検査装置の第3の実施例におけ
るX線検出器の構造を示す図6と同様な図である。
【図12】本発明のX線検査装置の更に他の実施例にお
けるX線検出素子を示す斜視図である。
【図13】本発明のX線検査装置の更に他の実施例にお
けるX線検出素子を示す斜視図である。
【図14】本発明のX線検査装置の更に他の実施例にお
けるX線検出素子を示す斜視図である。
【図15】本発明のX線検査装置の更に他の実施例にお
けるX線検出器を示す平面図である。
【図16】本発明のX線検査装置の更に他の実施例にお
けるX線検出素子の固定方法を示す斜視図である。
【図17】本発明のX線検査装置の更に他の実施例にお
けるX線検出素子の固定方法を示す斜視図である。
【図18】本発明のX線検査装置の更に他の実施例にお
けるX線検出素子の固定方法を示す斜視図である。
【図19】連続X線から略単色X線を得るための原理を
示す図である。
【図20】本発明のX線検査装置の実際の適用例につい
ての検出素子の配列ピッチを計算するための評価体系を
示す図である。
【図21】図20に示す評価体系を用いて計算した検出
素子の配列ピッチを示す図である。
【符号の説明】
1 X線源 2 試料 3 スキャナ 4,5 コリメータ 6A X線検出器 6 検出素子 6a シンチレータ 6b フォトダイオード 6c 遮蔽板 6d 空気層 7 信号処理回路 8 演算装置 9 表示装置 20 検出素子 20a シンチレータ 20b フォトダイオード 21 コリメータ a 有効開口幅 b 2次電子の有効最大飛程 Wd 有感部の幅
フロントページの続き (72)発明者 出海 滋 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社 日立製作所 エネルギー研究 所内 (72)発明者 川崎 智 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社 日立製作所 エネルギー研究 所内 (72)発明者 佐藤 克利 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社 日立製作所 エネルギー研究 所内 (72)発明者 服部 行也 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 昭63−122428(JP,A) 特開 昭58−33877(JP,A) 特開 昭63−90176(JP,A) 特開 昭62−177472(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01T 1/20 A61B 6/03 320

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料にX線を照射するためのX線源と、回
    転並進移動して試料を操作する操作手段と、前記X線源
    により発生したX線の進行方向と垂直な方向に一列に配
    列され、前記試料を透過したX線を検出する複数の検出
    素子を有するX線検出器と、前記複数の検出素子の前方
    に配置され、前記各検出素子の有効開口幅を画定するコ
    リメータとを備えるX線検査装置の設計方法において、 前記X線源により発生するX線の最大エネルギーが3M
    eV以上であるときは、前記X線が前記検出素子に入射
    することにより発生する2次電子の有効最大エネルギー
    を前記X線の最大エネルギーの40%〜60%として求
    め、前記X線源により発生するX線の最大エネルギーが
    1MeV〜3MeVであるときは、前記X線が前記検出
    素子に入射することにより発生する2次電子の有効最大
    エネルギーを前記X線の最大エネルギーの50%〜80
    %として求め、前記X線源により発生するX線の最大エ
    ネルギーが1MeV以下であるときは、前記X線が前記
    検出素子に入射することにより発生する2次電子の有効
    最大エネルギーを前記X線の最大エネルギーの80%〜
    100%として求め、この2次電子の有効最大エネルギ
    ーから前記X線が前記検出素子に入射することにより発
    生する2次電子の有効最大飛程を計算すること; 前記コリメータにより画定される前記各検出素子の有効
    開口幅をa、前記2次電子の有効最大飛程をbとすると
    き、前記各検出素子の有感部の幅Wdを、 a≦Wd≦a+2b を満たすように設計することを特徴とするX線検査装置
    の設計方法。
  2. 【請求項2】試料にX線を照射するためのX線源と、回
    転並進移動して試料を操作する操作手段と、前記X線源
    により発生したX線の進行方向と垂直な方向に一列に配
    列され、前記試料を透過したX線を検出する複数の検出
    素子を有するX線検出器と、前記複数の検出素子の前方
    に配置され、前記各検出素子の有効開口幅を画定するコ
    リメータとを備えるX線検査装置の設計方法において、 前記X線源により発生するX線の最大エネルギーが3M
    eV以上であるときは、前記X線が前記検出素子に入射
    することにより発生する2次電子の有効最大エネルギー
    を前記X線の最大エネルギーの40%〜60%として求
    め、前記X線源により発生するX線の最大エネルギーが
    1MeV〜3MeVであるときは、前記X線が前記検出
    素子に入射することにより発生する2次電子の有効最大
    エネルギーを前記X線の最大エネルギーの50%〜80
    %として求め、前記X線源により発生するX線の最大エ
    ネルギーが1MeV以下であるときは、前記X線が前記
    検出素子に入射することにより発生する2次電子の有効
    最大エネルギーを前記X線の最大エネルギーの80%〜
    100%として求め、この2次電子の有効最大エネルギ
    ーから前記X線が前記検出素子に入射することにより発
    生する2次電子の有効最大飛程を計算すること; 前記コリメータにより画定される前記各検出素子の有効
    開口幅をa、前記2次電子の有効最大飛程をb、前記入
    射するX線の最大エネルギーと等しいエネルギーの2次
    電子の最大飛程をcとするとき、前記各検出素子の有感
    部の幅Wdを、 a+2b<Wd<a+2c を満たすように設計することを特徴とするX線検査装置
    の設計方法。
  3. 【請求項3】試料にX線を照射するためのX線源と、回
    転並進移動して試料を操作する操作手段と、前記X線源
    により発生したX線の進行方向と垂直な方向に一列に配
    列され、前記試料を透過したX線を検出する複数の検出
    素子を有するX線検出器と、前記複数の検出素子の前方
    に配置され、前記各検出素子の有効開口幅を画定するコ
    リメータとを備えるX線検査装置において、 前記各検出素子のX線入射面の有感部の幅をWd、前記
    コリメータによって画定される前記各検出素子の有効開
    口幅をa、前記X線が前記検出素子に入射することによ
    り発生する2次電子の有効最大エネルギーを前記X線の
    最大エネルギーの40%〜60%として求めた2次電子
    の有効最大飛程をb、前記入射するX線の最大エネルギ
    ーと等しいエネルギーの2次電子の最大飛程をcとする
    とき、a≦Wd≦a+2b 満たすように前記各検出素子の有感部の幅Wdが設定
    されており、 前記X線源により発生するX線の最大エネルギーが3M
    eV以上で要求分解能が0.1mm〜0.5mmであ
    り、前記複数の検出素子の配列ピッチが2.6mm〜1
    6mmであることを特徴とするX線検査装置。
  4. 【請求項4】試料にX線を照射するためのX線源と、回
    転並進移動して試料を操作する操作手段と、前記X線源
    により発生したX線の進行方向と垂直な方向に一列に配
    列され、前記試料を透過したX線を検出する複数の検出
    素子を有するX線検出器と、前記複数の検出素子の前方
    に配置され、前記各検出素子の有効開口幅を画定するコ
    リメータとを備えるX線検査装置において、 前記各検出素子のX線入射面の有感部の幅をWd、前記
    コリメータによって画定される前記各検出素子の有効開
    口幅をa、前記X線が前記検出素子に入射することによ
    り発生する2次電子の有効最大エネルギーを前記X線の
    最大エネルギーの50%〜80%として求めた2次電子
    の有効最大飛程をb、前記入射するX線の最大エネルギ
    ーと等しいエネルギーの2次電子の最大飛程をcとする
    とき、a≦Wd≦a+2b 満たすように前記各検出素子の有感部の幅Wdが設定
    されており、 前記X線源により発生するX線の最大エネルギーが1M
    eV〜3MeVで要求分解能が0.1mm〜0.5mm
    であり、前記複数の検出素子の配列ピッチが1mm〜1
    6mmであることを特徴とするX線検査装置。
  5. 【請求項5】試料にX線を照射するためのX線源と、回
    転並進移動して試料を操作する操作手段と、前記X線源
    により発生したX線の進行方向と垂直な方向に一列に配
    列され、前記試料を透過したX線を検出する複数の検出
    素子を有するX線検出器と、前記複数の検出素子の前方
    に配置され、前記各検出素子の有効開口幅を画定する コリメータとを備えるX線検査装置において、 前記各検出素子のX線入射面の有感部の幅をWd、前記
    コリメータによって画定される前記各検出素子の有効開
    口幅をa、前記X線が前記検出素子に入射することによ
    り発生する2次電子の有効最大エネルギーを前記X線の
    最大エネルギーの80%〜100%として求めた2次電
    子の有効最大飛程をb、前記入射するX線の最大エネル
    ギーと等しいエネルギーの2次電子の最大飛程をcとす
    るとき、a≦Wd≦a+2b 満たすように前記各検出素子の有感部の幅Wdが設定
    されており、 前記X線源により発生するX線の最大エネルギーが1M
    eV以下で要求分解能が0.1mm〜0.5mmであ
    り、前記複数の検出素子の配列ピッチが0.4mm〜1
    0mmであることを特徴とするX線検査装置。
  6. 【請求項6】 試料にX線を照射するためのX線源と、回
    転並進移動して試料を操作する操作手段と、前記X線源
    により発生したX線の進行方向と垂直な方向に一列に配
    列され、前記試料を透過したX線を検出する複数の検出
    素子を有するX線検出器と、前記複数の検出素子の前方
    に配置され、前記各検出素子の有効開口幅を画定するコ
    リメータとを備えるX線検査装置において、 前記各検出素子のX線入射面の有感部の幅をWd、前記
    コリメータによって画定される前記各検出素子の有効開
    口幅をa、前記X線が前記検出素子に入射することによ
    り発生する2次電子の有効最大エネルギーを前記X線の
    最大エネルギーの40%〜60%として求めた2次電子
    の有効最大飛程をb、前記入射するX線の最大エネルギ
    ーと等しいエネルギーの2次電子の最大飛程をcとする
    とき、 a+2b<Wd<a+2c を満たすように前記各検出素子の有感部の幅Wdが設定
    されており、 前記X線源により発生するX線の最大エネルギーが3M
    eV以上で要求分解能が0.1mm〜0.5mmであ
    り、前記複数の検出素子の配列ピッチが2.6mm〜1
    6mmであることを特徴とするX線検査装置。
  7. 【請求項7】 試料にX線を照射するためのX線源と、回
    転並進移動して試料を操作する操作手段と、前記X線源
    により発生したX線の進行方向と垂直な方向に一列に配
    列され、前記試料を透過したX線を検出する複数の検出
    素子を有するX線検出器と、前記複数の検出素子の前方
    に配置され、前記各検出素子の有効開口幅を画定するコ
    リメータとを備えるX線検査装置において、 前記各検出素子のX線入射面の有感部の幅をWd、前記
    コリメータによって画定される前記各検出素子の有効開
    口幅をa、前記X線が前記検出素子に入射する ことによ
    り発生する2次電子の有効最大エネルギーを前記X線の
    最大エネルギーの50%〜80%として求めた2次電子
    の有効最大飛程をb、前記入射するX線の最大エネルギ
    ーと等しいエネルギーの2次電子の最大飛程をcとする
    とき、 a+2b<Wd<a+2c を満たすように前記各検出素子の有感部の幅Wdが設定
    されており、 前記X線源により発生するX線の最大エネルギーが1M
    eV〜3MeVで要求分解能が0.1mm〜0.5mm
    であり、前記複数の検出素子の配列ピッチが1mm〜1
    6mmであることを特徴とするX線検査装置。
  8. 【請求項8】 試料にX線を照射するためのX線源と、回
    転並進移動して試料を操作する操作手段と、前記X線源
    により発生したX線の進行方向と垂直な方向に一列に配
    列され、前記試料を透過したX線を検出する複数の検出
    素子を有するX線検出器と、前記複数の検出素子の前方
    に配置され、前記各検出素子の有効開口幅を画定するコ
    リメータとを備えるX線検査装置において、 前記各検出素子のX線入射面の有感部の幅をWd、前記
    コリメータによって画定される前記各検出素子の有効開
    口幅をa、前記X線が前記検出素子に入射することによ
    り発生する2次電子の有効最大エネルギーを前記X線の
    最大エネルギーの80%〜100%として求めた2次電
    子の有効最大飛程をb、前記入射するX線の最大エネル
    ギーと等しいエネルギーの2次電子の最大飛程をcとす
    るとき、 a+2b<Wd<a+2c を満たすように前記各検出素子の有感部の幅Wdが設定
    されており、 前記X線源により発生するX線の最大エネルギーが1M
    eV以下で要求分解能が0.1mm〜0.5mmであ
    り、前記複数の検出素子の配列ピッチが0.4mm〜1
    0mmであることを特徴とするX線検査装置。
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