JPH071309B2 - 多重コンプトン散乱を利用したx線又はガンマ線測定方法及び装置 - Google Patents

多重コンプトン散乱を利用したx線又はガンマ線測定方法及び装置

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JPH071309B2
JPH071309B2 JP31412686A JP31412686A JPH071309B2 JP H071309 B2 JPH071309 B2 JP H071309B2 JP 31412686 A JP31412686 A JP 31412686A JP 31412686 A JP31412686 A JP 31412686A JP H071309 B2 JPH071309 B2 JP H071309B2
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常好 釜江
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良治 榎本
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、多層の位置敏感型放射線検出器を用いたX線
又はガンマ線測定方法及び装置に係り、特に該検出器中
で約100キロ電子ボルト(keV)から5メガ電子ボル(Me
V)程度のエネルギを持つX線又はガンマ線を複数回反
応させて吸収させることにより(以下では、コンプトン
散乱と光電効果を併せて反応と呼ぶこととする。)、個
々のX線又はガンマ線のエネルギと入射方向及び偏光面
を同時に測定することの可能な多重コンプトン散乱を利
用したX線又はガンマ線測定方法及び装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、ポジトロンCTにおいては、人体或いは動植物内の
放射性同位元素から放出された陽電子が電子と対消滅す
る際に出てくる約511keVの2個のガンマ線を、多数のNa
I、CsI、或いはBGO等のガンマ線検出器を配列して同時
計測することにより、X線又はガンマ線同位元素の空間
分布を、同時計測した2個の検出器を結ぶ一直線上に限
定し、更に同一線源から多数のガンマ線対を検出し、検
出データを計算機で統計処理することにより、線源の位
置或いは分布を3次元的に測定することが行われてい
る。
また、1回のコンプトン散乱を使ってX線又はガンマ線
の方向や偏光を測定できることが単コンプトン法として
知られており、測定対象に近い前部に配置され、コンプ
トン散乱の位置と反跳電子のエネルギを測るための位置
敏感型放射線検出器と、該検出器から適当な距離後方に
配置され、散乱後のX線又はガンマ線を吸収し、エルネ
ギと位置を測定するNaIのシンチレーション・カウンタ
とからなる測定装置により、例えば宇宙からくるX線の
方向を測定したり、X線の偏光を測定するのに用いられ
た例が報告されている。
またX線又はガンマ線の検出器の前面に遮蔽板(コリメ
ータ)を配置し、ある方向から入射するX線またはガン
マ線のみを検出することにより、ガンマ線の方向を測定
する方法もある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、従来のポジトロンCT法には、次の様な欠
点がある。
(イ)使用可能な放射性同位元素が陽電子を放出する比
較的短寿命な核種に限られるため、その様な核種が近く
で生成可能な場所でしか利用できない。
(ロ)線源の位置を限定する位置精度は、およそガンマ
線検出器の大きさで決まるため、コリメータ等を使って
も数ミリ×数ミリ角が現時点での実用化の限度である。
またコリメーターの使用は計数効率の低下をまねく。
(ハ)同時計測をするため計数効率が非常に低くなり、
測定に長時間を要する。
(ニ)陽電子を出す放射性同位元素の場合、陽電子は比
較的高いエネルギを持って放出されるため、消滅して2
個のガンマ線に変わる位置が線源の位置よりずれてしま
い、線源の位置を正確に測定することができない。
また単コンプトン散乱法には次の様な欠点がある。
(イ)検出効率を上げるためにはコンプトン散乱するシ
ート状のX線又はガンマ線検出器を厚くする必要がある
が、一方、方向の測定精度を良くするためには薄くする
必要があり、そうすると検出効率は極めて低くなり実用
的でなく、検出効率と測定精度とが二律背反の関係にあ
る。
(ロ)測定対象となるX線又はガンマ線のエネルギが数
100keV以上になると、散乱後のX線又はガンマ線を吸収
しエネルギと位置を測定する後方の検出器ではさらに何
回かコンプトン散乱した後に吸収されることが多くな
り、その結果、入射X線又はガンマ線の方向を決めるの
に最も重要な散乱後のX線又はガンマ線の方向が良く分
からず、線源の方向や位置の測定精度が悪くなる。
(ハ)後部に配置される検出器は、コンプトン散乱の起
きる前部検出器より圧倒的に厚くなるため、前部検出器
を素通りし、後部検出器で180度近い後方にコンプトン
散乱した後、前部検出器で検出される確率が大きくな
り、その結果、測定の信頼度が著しく低下する。
以上(イ)、(ロ)、(ハ)の理由により単コンプトン
法は数100keV以上のエネルギでは実用的でなくなる。
また遮蔽板を使用する方法は、コインシデンス法によら
ず細かいコリメータ(鉛等で製作)で方向を限定するた
め計数効率を極端に低下させてしまうと共に、X線また
はガンマ線源と検出器との距離をある範囲に固定した
り、単独で立体視でがきない等の欠点がある。
本発明は上記問題点を解決するためのもので、線スペク
トルを持つX線源又はガンマ線源であればどのような核
種でも使用可能であり、側定位置精度が良く、しかも計
数効率の高い多重コンプトン散乱を利用したX線又はガ
ンマ線測定方法及び装置を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
そのために本発明の多重コンプトン散乱を利用したX線
又はガンマ線測定方法及び装置は、二次元位置敏感型放
射線検出器を複数層配置し、入射X線又はガンマ線によ
り反応の起きた各層における反応位置及び該位置での電
子の得たエネルギを検出し、可能な全ての反応順序を仮
定し、各反応順序における反応の一部又は全部の各反応
位置での散乱が、エネルギ・運動量保存則と所定の許容
誤差範囲内で矛盾しないかどうかをチェックすることに
より反応順序を求めること、及び複数層配置され、入射
X線又はガンマ線により反応の起きた各層における反応
位置及び該位置での電子の得たエネルギを検出する二次
元位置敏感型放射線検出器、前面に窓部を有すると共
に、該検出器を包囲し、検出器で光電吸収されなかった
X線又はガンマ線を検出するアンチ・コインシデンス・
カウンタ、アンチ・コインシデンス・カウンタにおける
検出値が所定値以下のときの入射X線又はガンマ線の可
能な全ての反応順序を仮定し、各反応順序における反応
の一部又は全部の各反応位置での散乱が、エネルギ・運
動量保存則と所定の許容誤差範囲内で矛盾しないかどう
かをチェックする手段を備えたこと、及び複数層配置さ
れ、入射X線又はガンマ線により反応の起きた各層にお
ける反応位置及び該位置での電子の得たエネルギを検出
する二次元位置敏感型放射線検出器、前面に窓部を有す
ると共に、該二次元位置敏感型放射線検出器を包囲し、
検出器で光電吸収されなかったX線又はガンマ線を検出
する補助検出器、前面に窓部を有すると共に該補助検出
器を包囲し、窓部以外の方向より入射するX線又はガン
マ線を検出するアンチ・コインシデンス・カウンタ、ア
ンチ・コインシデンス・カウンタにおける検出値が所定
値以下のときの入射X線又はガンマ線の可能な全ての反
応順序を仮定し、各反応順序における反応の一部又は全
部の各反応位置での散乱が、エネルギ・運動量保存則と
所定の許容誤差範囲内で矛盾しないかどうかをチェック
する手段を備えたことを特徴とする。
〔作用〕
本発明の多重コンプトン散乱を利用したX線又はガンマ
線測定方法及び装置は、二次元位置敏感型放射線検出器
を複数層配置し、入射X線又はガンマ線により反応の起
きた各層における反応位置及び該位置での電子の得たエ
ネルギをそれぞれ検出し、可能な全ての反応順序を仮定
し、各反応順序における反応の一部又は全部の各反応位
置での散乱が、エネルギ・運動量保存則と所定の許容誤
差範囲内で矛盾しないかどうかをチェックすることによ
り少なくとも最初と第2回目の反応順序を求めるもの
で、線源からの多数のX線又はガンマ線を測定し、測定
結果を統計的に処理することにより、線源のエネルギお
よび空間分布を高精度に測定することができ、この場
合、測定対象となるX線やガンマ線源は、人体、動植
物、物質等の中に混入されたり残存する微量のX線又は
ガンマ線を出す放射性同位元素で、多種の放射性同位元
素が混在し分布している場合等でも良く、個々の同位元
素の空間分布を同時に測定することが可能になり、また
X線蛍光法のように励起された原子(又はエキゾチック
原子)が出すX線のエネルギ及び空間分布の測定にも利
用できる。
〔実施例〕
以下、実施例を図面に基づき説明する。
第1図は本発明において使用される多層の二次元位置敏
感型放射線検出器を一部切り欠いた斜視図、第2図は多
層の二次元位置敏感型放射線検出器によるX線又はガン
マ線入射方向の決定法を説明するための図、第3図は同
一線源から3個のX線又はガンマ線が検出された場合の
線源の3次元位置決定法を説明するための図で、S1、S2
…Snは二次元位置敏感型放射線検出器、P1、P2、…Pn
それぞれ第1回目、第2開目…第n回目のコンプトン散
乱位置、PEは光電効果による吸収位置、Gはギャップ、
CはX線又はガンマ線が限定する円錐面、C1、C2、C3
それぞれ第1番目、第2番目、第3番目のX線又はガン
マ線が限定する円錐面、Q1、Q2、R1、R2、T1、T2はそれ
ぞれ第1番目、第2番目、第3番目のX線又はガンマ線
の第1回目、第2回目のコンプトン散乱位置を示してい
る。
図において、二次元位置敏感型放射線検出器としては、
例えば面積約10平方センチメートルから500平方センチ
メートル程度で、厚さ200ミクロンから5ミリメートル
程度の、高純度シリコン、Liドリフト型シリコン、高純
度ゲルマニウム、Liドリフト型ゲルマニウム、又は高純
度ガリウム・ヒ素等で構成した半導体検出器を用い、こ
れを約1ミリメートルから2センチメートル程度のギャ
ップ(間隔)で、3層以上50層程度に重ね合わせた構造
が好ましいが、大きさ、厚み、ギャップ、層数とも必ず
しもこれに限定する必要はない。又検出器は、P型及び
N型電極が互いに直交するストリップになっているスト
リップ型等で構成すれば良く、この他にも、希ガスを充
填した比例計数箱の層、或いはドリフト型半導体検出器
等を用いても良い。
2次元位置敏感型半導体検出器の場合に要求される位置
測定精度の目安は、半導体の厚みとギャップにより異な
るが、厚さ1ミリの場合で約1ミリ×1ミリ角である。
位置精度がこれより悪い場合には位置測定誤差が、これ
より良い場合にはエネルギの測定誤差が、X線又はガン
マ線の線源の分布決定の誤差の主要な原因となる。半導
体がゲルマニウムの場合でも絶対温度約200度以下、で
きれば150度以下にすることが必要となる。シリコンの
場合でも、エネルギ測定精度を向上させるには、約200
度以下にすることが望ましい。このためには、液体窒素
等の冷却用の熱伝達(冷却)棒、冷凍機等を使えば良
い。
次に作用を説明すると、物質中を通過する約100keVから
5MeV程度のエネルギを持つX線又はガンマ線は、大きな
確率で複数回のコンプトン散乱でエネルギを下げ、最後
には光電効果により吸収されてしまう。位置敏感型放射
線検出器S1〜Snは、同一層内で2回以上コンプトン散乱
の起きる確率が無視できる程度に薄いシート状にし、ま
た検出器の全層数は、入射するX線又はガンマ線の全エ
ネルギが高い確率で検出装置内で吸収される程度の数に
する。このように構成した検出装置の各層を貫く方向
が、ほぼX線又はガンマ線を出す検査体の方を向くよう
にすると、入射してくるX線又はガンマ線は高い確率で
検出器集合体内で複数回のコンプトン散乱をし、最後に
光電効果により吸収されてしまう。そこで、位置敏感型
放射線検出器S1〜Snにより、全ての反応が起きた位置
と、反応で電子が得たエネルギを電気信号として取り出
し、適当な電子回路で処理したのち計算機等に記録す
る。記録された測定結果を、次に説明する原理でオンラ
イン処理、或いはオフライン処理する。今、 N:二次元位置敏感型放射線検出器の反応点の総数(総ヒ
ット数) i:反応点の番号(i=1〜N) E:i番目の反応点での電子の得たエネルギ (x,y,z):i番目の反応点の座標 E:Eの総和(入射してきたX線又はガンマ線のエネル
ギ) としたとき、まず、N>1の事象を選び、Eを計算し、
そのスペクトルを調べ、スペクトル中から測定対象とす
る線スペクトルを選ぶ。そして観測された線スペクトル
のエネルギ値を中心に観測された巾より広い「窓」を決
め、全事象の中からEがこの「窓」内に入る事象だけを
選別する。
ここで、i番目の散乱における散乱角をθ1、電子の静
止質量エネルギをm、i番目の散乱前のエネルギをEib
とすると、エネルギ・運動量保存則から となる。そこで可能な全ての反応順序を仮定し、各反応
位置での散乱が、エネルギ・運動量保存則から導かれる
上記式と所定の許容誤差範囲内で矛盾しないかどうかを
チェックする。そして上記式と矛盾しない順序があれば
これを正しい順序として採用する。
例えばN=4だと仮定すると、反応順序としては、123
4、1243、1324、1342、1423、1432、2134、2143、231
4、2341、2413、2431等の24通りが考えられる。この中
で3回のコンプトン散乱で矛盾しない順序が1通りだけ
あれば、それを正しい順序として登録する。もし矛盾し
ない順序が複数あれば、X線又はガンマ線が現実にその
順序を経由する確率を推測し、その高さに比例したウエ
イトを各順序に与えて全ての順序を登録する。もし一つ
も残らなければ、その事象は破棄する。二次元位置敏感
型放射線検出器の厚さや層数により、Nが大きい場合
は、最初の4或いは5といった適当なM回(M<N)の
散乱だけをチェックし、後を打ち切ることもできる。即
ちN回の内の可能な全てのM回に対して上記のチェック
をする。そして複数の順序が生き残れば、上記の総和が
1となるウエイトを各順序に与えて登録する。
こうして反応の起きた順序を高い確率で正しく推測し、
第2図に示すように、入射X線又はガンマ線の方向を最
初のコンプトン散乱が起きたと推測される電気信号発生
位置を頂点とし、最初と2回目の反応の起きたと推測さ
れた位置とを結ぶ直線を回転中心とした一つの円錐面上
に限定することができる。この反応の起きた順序が正し
く推測される確率は、前述のように2回目以降の反応で
のエネルギ・運動量保存則をチェックすることにより飛
躍的に増大する。また、一定の時間にわたり測定を続け
れば、同一線源から多数のX線又はガンマ線が測定さ
れ、エネルギ及び方向の測定精度が計測されるX線又は
ガンマ線の数の平方根に比例して良くなるだけでなく、
第3図に示すように、線源の3次元的な分布を多数の円
錐面の交点として精度良く知ることができる。
ところで、多重コンプトン散乱を利用した本発明のX線
又はガンマ線測定では、測定装置内でX線又はガンマ線
の全エネルギがコンプトン散乱や光電効果により二次元
位置敏感型放射線検出器内で吸収され、記録されている
ことを前提としている。現実には放射線検出器の厚さの
積分値(層数と各層の厚さの積)にも、各層の面積にも
限りがあるために、入射してきた全エネルギの一部が測
定装置から逃げてしまう確率が残る。全エネルギの一部
でも逃げると、X線又はガンマ線のエネルギスペクトル
が正しく測れないだけでなく、方向も正しく測れず、測
定対象のエネルギスペクトルや線源分布を歪めるノイズ
となってしまう。このようなノイズを最小限にするた
め、アンチ・コインシデンス法(反同時計測法)を採用
することができる。
第4図はアンチ・コインシデンス法を用いたX線又はガ
ンマ線を示す図で、同図(A)は側断面図、同図(B)
は平面図で、1は複数層からなる二次元位置敏感型放射
線検出器、2はアンチ・コインシデンスカウンタ、3は
開口部である。
図において、アンチ・コインシデンス・カウンタ2は多
層の放射線検出器の集合体1を、X線又はガンマ線が入
射してくる開口部3を残して覆い尽くすように取り囲
む。そして、このアンチ・コインシデンス・カウンタに
僅かなエネルギでも検出されれば、それと同時に多層の
放射線検出器で検出されたX線又はガンマ線の信号は破
棄する。この方法で、比較的少数の小面積放射線検出器
を集めただけの測定装置でも、全エネルギが測定された
場合だけを選び出して記録し、X線又はガンマ線の線ス
ペクトルに対するノイズを減らすことができる。
ただ第4図の装置の場合、検出すべき放射線でもアンチ
・コインシデンス・カウンタに逃げた分は捨ててしまっ
ており、この点は第5図のような構成にすることにより
解決される。
第5図は全エネルギを検出するようにした他の実施例を
示す図で、同図(A)は側断面図、同図(B)は平面図
で、4は補助検出器、5はアンチ・コインシデンス・カ
ウンタである。
図において、補助検出器4で多層の放射線検出器の集合
体1を、X線又はガンマ線が入射してくる開口部3を残
して覆い尽くすように取り囲み、さらにこの周囲をアン
チ・コインシデンス・カウンタ5で開口部3を残して覆
い尽くすように取り囲む。この場合は補助検出器4で検
出されたエネルギは、それと同時に多層の放射線検出器
で検出されたX線又はガンマ線のエネルギとの総和をと
り、入射X線又はガンマ線のエネルギとして扱う。ま
た、アンチ・コインシデンス・カウンタ5で僅かなエネ
ルギでも検出されれば、このときは開口部以外からの外
部ノイズがあるとしてそれと同時に多層の放射線検出器
で検出されたX線又はガンマ線の信号は破棄する。この
ように、補助検出器で検出されたものも補足して全エネ
ルギを算出し得るようにすることにより、X線又はガン
マ線のエネルギを正しく測定することができ、二次元位
置敏感型放射線検出器内の反応順序、少なくとも最初と
第2開目の反応順序を正しく求め、方向も正しく測定す
ることができる。そのため、比較的少数の小面積放射線
検出器を集めただけの測定装置であっても、全エネルギ
を測定することが可能となり、多重コンプトン法が可能
となる。
第6図はアンチ・コインシデンス・カウンタの付いた測
定装置で、アンチ・コインシデンス・カウンタに50keV
以上のエネルギが検出された場合を排除したエネルギス
ペクトルを示す図で、D1は0.511MeVの線スペクトル、D2
はアンチ・コインシデンス・カウンタに50keV以上のエ
ネルギが検出された場合を排除したエネルギスペクト
ル、D3は排除する前のエネルギスペクトルを示す。
図から、アンチ・コインシデンス・カウンタを用いるこ
とによりノイズが減少することが分かる。
なお補助検出器やアンチ・コインシデンス・カウンタと
しては、半導体検出器又は沃化セシウム(CsI)あるい
は沃化ナトリウム(NaI)あるいはBGO等のシンチレーシ
ョン・カウンタを使うことができる。約100keVから約5M
eVまでのX線又はガンマ線を逃がさず検出するには、約
2センチ以上の厚さが必要となる。補助検出器もアンチ
・コインシデンス・カウンタも、X線又はガンマ線が入
射する開口部、電気信号を取り出すための電線の通路、
冷却棒の通路等(図示せず)を除き、隙間なく覆いつく
さねばならない。このためには一体としてより、複数の
半導体検出器、或いは複数のシンチレーション・カウン
タの集合体の方が製作が容易である。またシンチレーシ
ョン・カウンタから信号を取り出すには、光電子増倍管
やアバランシェ型フォト・ダイオードやPIN型フォト・
ダイオード等を使う。
第4図のアンチ・コインシデンス・カウンタを用いてX
線又はガンマ線入射方向を決定する場合のフローチャー
トを第7図に示す。
図において二次元位置敏感型放射線検出器での総ヒット
数N>1、アンチ・コインシデンス・カウンタ部で電子
が得たエネルギの総和EAが設定値以下の事象を選び(ス
テップ)、Nによる場合分けと、可能なN!通りの順序
全てに対してコンプトン散乱におけるエネルギ・運動量
保存則が満たされるかどうかチェックし(ステップ、
)、無矛盾の順序が有れば(ステップ)、第2図で
示したように、第1回目のコンプトン散乱を用いて円錐
面を決定して登録し、複数の無矛盾の順序がある場合
は、ウェィト(総和=1)をつけ、各円錐面を登録する
(ステップ)。前にも述べたように、Nが4〜5を越
える場合には、最初の適当なM回(M=4〜5)のコン
プトン散乱の順序が無矛盾であればそこで打ち切ること
ができる。但しN回の散乱から可能な全てのM回(N!/
(N−M)!通り)を全てチェックしなければならな
い。
なお補助検出器を用いた第5図の場合には、補助検出器
での検出エネルギをエネルギの総和に入れる点が異なる
のみで他は同様である。
第8図は本発明のX線又はガンマ線測定における電気信
号所理回路の一実施例のブロック回路を示し、10は二次
元位置敏感型放射線検出器、111、112…は増幅器、1
21、122…は波形整形回路、13はトリガー信号発生回
路、141、142…はサンプルホールド回路、15はディジタ
ル回路、16は計算機、17は補助検出器である。
図において、二次元位置敏感型放射線検出器10から得ら
れた信号を増幅、波形整形してトリガー信号発生回路13
でトリガー信号を発生させ、このトリガー信号をゲート
信号として検出信号をサンプリングし、A/D変換したデ
ータは計算機に送り記憶・処理する。また補助検出器を
用いた場合には図の点線で示すように検出器17から得ら
れた信号を同様に信号処理すればよい。
第9図は多数のX線又はガンマ線が観測された場合の解
析法の1例を示す図で、同図(A)に示すようにエネル
ギスペクトルの一部分を選びだせば、同図(B)に示す
ように対応する放射性同位元素や蛍光原子の空間分布を
精度よく知ることができ、放射性同位元素或いは蛍光原
子の種別(エネルギ・スペクトル)、空間分布、時間変
化等も知ることができる。
第10図は本発明のX線又はガンマ線測定装置を3台用い
たX線又はガンマ線同位元素又は蛍光原子の空間分布測
定の例を示す図で20、21、22はX線又はガンマ線測定装
置、24は限定された線源の位置を示している。
図で示すように本発明のX線又はガンマ線測定装置を複
数使い、それぞれの測定装置により限定された円錐の交
点を求めることにより、統計精度が改善されるだけでな
く、立体視の角度が大きくなり3次元的な測定位置精度
を飛躍的に改善することができる。
この場合も補助検出器を設けたX線又はガンマ線測定装
置を複数使うことにより測定精度をより一層向上させる
ことが可能となる。
第11図は偏光したX線又はガンマ線のコンプトン散乱断
面積の方位角依存性を示す図で、Eは入射ガンマ線の電
場ベクトルの向き、φは入射ガンマ線の電場方向と散乱
方向のなす方位角、θは散乱の極角を示す。
図において、入射ガンマ線は0.511MeVで100%偏光とし
ており、分布曲線の山と谷の差から偏光率がわかり、ま
た谷がどの方位角になるかによって偏光面を求めること
ができる。
〔発明の効果〕
以上のように本発明によれば、個々の入射X線又はガン
マ線のエネルギを、例えば二次元位置敏感型放射線検出
器、或いは補助検出器を併用して検出すれば、半導体検
出器固有の高精度(約2keVから10kev程度)で測定し、
方向を高精度(約1度から3度程度)で円錐面内に限定
でき、エネルギ、偏光面も同時に測定することができる
と共に、一定の時間にわたり測定を繰り返しデータを蓄
積することと、必要に応じて複数の測定装置を使用する
ことにより、線スペクトルの中心エネルギでは1kev以下
の分解能を、空間座標では1ミリ×1ミリ×1ミリ角の
分解能を得ることができる。
また補助検出器だけをNaIやCsI等の検出器を使った場合
でもエネルギ精度のみ約10倍劣化するだけで方向、偏光
は同様の精度で測定でき、同様の空間分解能を得ること
ができる。
また、線スペクトルを持つX線あるいはガンマ線源なら
ばどのような核種でも使用可能となるため、人体や動植
物の臓器等に取り込まれ易い核種を選んだり、比較的長
寿妙な核種や生成しやすい核種を選ぶことが可能にな
り、応用範囲を飛躍的に広げることが可能となり、また
1個のX線又はガンマ線を計測するため計数効率が高
く、さらに装置が小さいため、測定対象に近づけること
により、位置測定精度を高め、大きな立体角を利用する
ことが可能となると共に、弱い線量での測定が可能にな
る。このため、線源の分布や強度の時間変化も測定する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明において使用される多層の二次元位置敏
感型放射線検出器を一部切り欠いた斜視図、第2図は第
1図の二次元位置敏感型放射線検出器によるX線又はガ
ンマ線の入射方向の決定法を説明するための図、第3図
は同一線源から3個のX線又はガンマ線が検出された場
合の線源の3次元位置決定法を説明するための図、第4
図はアンチ・コインシデンス法を用いたX線又はガンマ
線検出器を示す図で、同図(A)は側断面図、同図
(B)は平面図、第5図は補助検出器を設けたX線又は
ガンマ線検出器を示す図で、同図(A)は側断面図、同
図(B)は平面図、第6図はアンチ・コインシデンス・
カウンタの付いた測定装置により得られたエネルギスペ
クトルを示す図、第7図は入射方向を決定するためのフ
ローチャートを示す図、第8図は本発明のX線又はガン
マ線測定における電気処理回路のブロック図、第9図は
多数のX線又はガンマ線が検出された場合の解析法を示
す図で、同図(A)はエネルギスペクトルを示す図、同
図(B)は選ばれた線スペクトルを出すX線又はガンマ
線同位元素又は蛍光原子の空間分布を示す図、第10図は
複数の測定装置により放射性同位元素又は蛍光原子の空
間分布を測定する場合を示す図、第11図は偏光したX線
又はガンマ線のコンプトン散乱断面積の方位角依存性を
示す図である。 S1、S2…Sn……二次元位置敏感型放射線検出器、P1、P2
…Pn……第1回目、第2回目…第n回目のコンプトン散
乱位置、PE……光電効果による吸収位置、G……ギャッ
プ、C……X線又はガンマ線が限定する円錐面、C1
C2、C3……第1番目、第2番目、第3番目のX線又はガ
ンマ線が限定する円錐面、Q1、Q2、R1、R2、T1、T2……
第1番目、第2番目、第3番目のX線又はガンマ線の第
1回目、第2回目のコンプトン散乱位置、1……複数層
からなる二次元位置敏感型放射線検出器、2……アンチ
・コインシデンスカウンタ、3……開口部、4……補助
検出器、5……アンチ・コインシデンスカウンタ、10…
…二次元位置敏感型放射線検出器、111、112…は増幅
器、121、122…は波形整形回路、13はトリガー信号発生
回路、141、142…はサンプルホールド回路、15……ディ
ジタル回路、16……計算機、17……補助検出器、20〜22
……X線又はガンマ線測定装置、23……線源の位置。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二次元位置敏感型放射線検出器を複数層配
    置し、入射X線又はガンマ線により反応の起きた各層に
    おける反応位置及び該位置での電子の得たエネルギを検
    出し、可能な全ての反応順序を仮定し、各反応順序にお
    ける反応の一部又は全部の各反応位置での散乱が、エネ
    ルギ・運動量保存則と所定の許容誤差範囲内で矛盾しな
    いかどうかをチェックすることにより反応順序を求める
    ことを特徴とする多重コンプトン散乱を利用したX線又
    はガンマ線測定方法。
  2. 【請求項2】前記反応の起きた各層において検出された
    エネルギの総和から入射X線又はガンマ線のエネルギを
    求めることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の多
    重コンプトン散乱を利用したX線又はガンマ線測定方
    法。
  3. 【請求項3】前記求めた反応順序からX線又はガンマ線
    入射方向を求めることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載の多重コンプトン散乱を利用したX線又はガンマ
    線測定方法。
  4. 【請求項4】散乱断面積の方位角分布から偏光面又は偏
    光率を求めることを特徴とする特許請求の範囲第1項記
    載の多重コンプトン散乱を利用したX線又はガンマ線測
    定方法。
  5. 【請求項5】複数層配置され、入射X線又はガンマ線に
    より反応の起きた各層における反応位置及び該位置での
    電子の得たエネルギを検出する二次元位置敏感型放射線
    検出器、前面に窓部を有すると共に、該検出器を包囲
    し、検出器で光電吸収されなかったX線又はガンマ線を
    検出するアンチ・コインシデンス・カウンタ、アンチ・
    コインシデンス・カウンタにおける検出値が所定値以下
    のときの入射X線又はガンマ線の可能な全ての反応順序
    を仮定し、各反応順序における反応の一部又は全部の各
    反応位置での散乱が、エネルギ・運動量保存則と所定の
    許容誤差範囲内で矛盾しないかどうかをチェックする手
    段を備えた多重コンプトン散乱を利用したX線又はガン
    マ線測定装置。
  6. 【請求項6】複数層配置され、入射X線又はガンマ線に
    より反応の起きた各層における反応位置及び該位置での
    電子の得たエネルギを検出する二次元位置敏感型放射線
    検出器、前面に窓部を有すると共に、該二次元位置敏感
    型放射線検出器を包囲し、検出器で光電吸収されなかっ
    たX線又はガンマ線を検出する補助検出器、前面に窓部
    を有すると共に該補助検出器を包囲し、窓部以外の方向
    より入射するX線又はガンマ線を検出するアンチ・コイ
    ンシデンス・カウンタ、アンチ・コインシデンス・カウ
    ンタにおける検出値が所定値以下のときの入射X線又は
    ガンマ線の可能な全ての反応順序を仮定し、各反応順序
    における反応の一部又は全部の各反応位置での散乱が、
    エネルギ・運動量保存則と所定の許容誤差範囲内で矛盾
    しないかどうかをチェックする手段を備えた多重コンプ
    トン散乱を利用したX線又はガンマ線測定装置。
JP31412686A 1986-08-04 1986-12-25 多重コンプトン散乱を利用したx線又はガンマ線測定方法及び装置 Expired - Lifetime JPH071309B2 (ja)

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