JP6990385B2 - 多重遺伝子導入手法 - Google Patents
多重遺伝子導入手法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6990385B2 JP6990385B2 JP2017097706A JP2017097706A JP6990385B2 JP 6990385 B2 JP6990385 B2 JP 6990385B2 JP 2017097706 A JP2017097706 A JP 2017097706A JP 2017097706 A JP2017097706 A JP 2017097706A JP 6990385 B2 JP6990385 B2 JP 6990385B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- dna
- sequence
- nucleotide sequence
- transposon
- homologous
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
2コピー以上点在する、200bp以上のヌクレオチド配列を含むゲノム二本鎖DNAを有する宿主細胞内において、
該ゲノム二本鎖DNA、並びに
該200bp以上のヌクレオチド配列又はその部分配列と相同なヌクレオチド配列、及び外来DNA配列を含むドナーDNAを、
該200bp以上のヌクレオチド配列中の選択された標的ヌクレオチド配列と特異的に結合し、該標的ヌクレオチド配列内でDNAを切断するヌクレアーゼと接触し、
該ゲノム二本鎖DNA上の該200bp以上のヌクレオチド配列と該ドナーDNAに含まれる該200bp以上のヌクレオチド配列又はその部分配列と相同なヌクレオチド配列との間で相同組換えを生じさせることにより、該外来DNA配列を、ゲノム二本鎖DNAに含まれる2コピー以上の該200bp以上のヌクレオチド配列に挿入することを含み、
該相同なヌクレオチド配列は、該標的ヌクレオチド配列を含み、該標的ヌクレオチド配列内でDNAを切断した場合、該200bp以上のヌクレオチド配列を含むゲノムDNAに対して、相同組換えを生じるのに十分な程度の配列同一性及び長さを有する、方法。
[2] 該200bp以上のヌクレオチド配列が、トランスポゾン配列である、[1]記載の方法。
[3] ヌクレアーゼが、該ドナーDNAに含まれる該200bp以上のヌクレオチド配列又はその部分配列と相同なヌクレオチド配列中の標的配列を優先的に切断する、[1]又は[2]記載の方法。
[4] ドナーDNAが、クローン化されたドナーDNAである、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5] ドナーDNAが、異なる外来DNA配列をそれぞれ含む2種以上のドナーDNAの混合物である、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 外来DNA配列が構造遺伝子をコードする、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7] ドナーDNAが環状二本鎖DNAである、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 該ヌクレアーゼが、核酸配列認識モジュール及びDNA切断ドメインを含んでなり、核酸配列認識モジュールが、ジンクフィンガーモチーフ、TALエフェクター及びPPRモチーフから成る群より選択される、[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 該ヌクレアーゼが、CRISPR-CasシステムにおけるガイドRNAとCasタンパク質との複合体である、[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[10] 該ヌクレアーゼが、ガイドRNAとCas9タンパク質との複合体である、[9]記載の方法。
[11] トランスポゾンがレトロトランスポゾンである、[2]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12] レトロトランスポゾンが、Ty1-copia群のレトロトランスポゾンである、[11]記載の方法。
[13] 宿主細胞が、原核生物細胞、酵母、脊椎動物細胞、昆虫細胞又は植物細胞である、[1]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14] 宿主細胞が、酵母である、[13]記載の方法。
[15] 酵母が、出芽酵母である、[14]記載の方法。
[16] 標的ヌクレオチド配列が、配列番号3で表される配列を含む、[1]~[15]のいずれかに記載の方法。
[17] 配列番号5で表されるヌクレオチド配列を含む、CRISPR/Cas9システムのガイドRNA。
2コピー以上点在する、200bp以上のヌクレオチド配列を含むゲノム二本鎖DNAを有する宿主細胞内において、
該ゲノム二本鎖DNA、並びに
該200bp以上のヌクレオチド配列又はその部分配列と相同なヌクレオチド配列、及び外来DNA配列を含むドナーDNAを、
該200bp以上のヌクレオチド配列中の選択された標的ヌクレオチド配列と特異的に結合し、該標的ヌクレオチド配列内でDNAを切断するヌクレアーゼと接触し、
該ゲノム二本鎖DNA上の該200bp以上のヌクレオチド配列と該ドナーDNAに含まれる該200bp以上のヌクレオチド配列又はその部分配列と相同なヌクレオチド配列との間で相同組換えを生じさせることにより、該外来DNA配列を、ゲノム二本鎖DNAに含まれる2コピー以上の該200bp以上のヌクレオチド配列に挿入することを含み、
該相同なヌクレオチド配列は、該標的ヌクレオチド配列を含み、該標的ヌクレオチド配列内でDNAを切断した場合、該200bp以上のヌクレオチド配列を含むゲノムDNAに対して、相同組換えを生じるのに十分な程度の配列同一性及び長さを有する、方法を提供する。
例えば、宿主細胞がエシェリヒア属菌である場合、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター、T7プロモーターなどが用いられるが、これらに限定されない。
宿主細胞がバチルス属菌である場合、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなどが用いられるが、これらに限定されない。
宿主細胞が酵母である場合、Gal1プロモーター、Gal1/10プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが用いられるが、これらに限定されない。
宿主細胞が昆虫細胞である場合、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが用いられるが、これらに限定されない。
宿主細胞が植物細胞である場合、CaMV35Sプロモーター、CaMV19Sプロモーター、NOSプロモーターなどが用いられるが、これらに限定されない。
宿主細胞が脊椎動物細胞である場合、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、RSV(ラウス肉腫ウイルス)プロモーター、MoMuLV(モロニーマウス白血病ウイルス)LTR、HSV-TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)プロモーターなどが用いられるが、これらに限定されない。
CRISPR/Casシステムは一本鎖DNAも基質として認識し、切断する活性を有する(Ma, E., Mol. Cell, (2015) 60 (3), 398-407)。一態様として、ドナーDNAは一本鎖DNAを含む二本鎖DNAであり得る。相同組換えではドナーDNAの切断末端がトリミングされ一本鎖DNAが露出し、その一本鎖が染色体上の相同配列部位に結合するので、より効率よく相同組換えによってドナーDNAが染色体中に組み込まれる可能性がある。
CasをコードするDNAは、当該技術分野で周知の方法により、Casを産生する細胞からクローニングすることができる。
得られたCasをコードするDNAは、宿主に応じた発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することができる。
一方、ガイドRNAをコードするDNAは、標的ヌクレオチド配列(但しRNA配列)と既知のtracrRNA配列(例えば、gttttagagctagaaatagcaagttaaaataaggctagtccgttatcaacttgaaaaagtggcaccgagtcggtggtgctttt; 配列番号2)とを連結したオリゴDNA配列を設計し、DNA/RNA合成機を用いて、化学的に合成することができる。ガイドRNAをコードするDNAも、宿主に応じた発現ベクターに挿入することができる。ガイドRNA及びCasは、同一の発現ベクター上にコードされていてもよいし、異なる発現ベクター上に、それぞれコードされていてもよい。好適には、CasをコードするDNAとガイドRNA及びtracrRNAをコードするDNAを、同一の発現ベクター中、別個のプロモーターの下流に挿入する。
宿主細胞として出芽酵母Saccharomyces cerevisiae、トランスポゾンとしてTy1レトロトランスポゾンが使用される場合、標的ヌクレオチド配列は、例えば、配列番号3で表されるヌクレオチド配列である。この場合、配列番号3で表されるヌクレオチド配列の3’側にtracrRNA配列(例えば、gttttagagctagaaatagcaagttaaaataaggctagtccgttatcaacttgaaaaagtggcaccgagtcggtggtgctttt; 配列番号2)が連結したガイドRNAが宿主細胞内で発現するように、上記発現ベクターが設計される。
ガイドRNAは、標的ヌクレオチド配列(但しRNA配列)と既知のtracrRNA配列とを連結したオリゴRNA配列を設計し、DNA/RNA合成機を用いて、化学的に合成することができる。
従って、核酸配列認識モジュール、又は核酸配列認識モジュール及びDNA切断ドメインは、それらの融合タンパク質をコードする核酸として、或いは、タンパク質に翻訳後、宿主細胞内で複合体形成し得るような形態で、各構成因子をコードする核酸として調製することが好ましい。ここで核酸は、DNAであってもRNAであってもよい。DNAの場合は、好ましくは二本鎖DNAであり、宿主細胞内で機能的なプロモーターの制御下に各構成因子を発現し得る発現ベクターの形態で提供される。RNAの場合は、好ましくは一本鎖RNAである。
DNA切断ドメインをコードするDNAも、同様に、使用するドメインのcDNA配列情報をもとにオリゴDNAプライマーを合成し、当該ドメインを産生する細胞より調製した全RNA若しくはmRNA画分を鋳型として用い、RT-PCR法によって増幅することにより、クローニングすることができる。例えば、FokIをコードするDNAはそのcDNA配列をもとに、CDSの上流及び下流に対して適当なプライマーを設計し、Flavobacterium okeanokoites (IFO 12536)由来mRNAからRT-PCR法によりクローニングできる。
クローン化されたDNAは、そのまま、又は所望により制限酵素で消化するか、適当なリンカー及び/又は核移行シグナル(目的の二本鎖DNAがミトコンドリアや葉緑体DNAの場合は、各オルガネラ移行シグナル)を付加した後に、核酸配列認識モジュールをコードするDNAとライゲーションして、融合タンパク質をコードするDNAを調製することができる。或いは、核酸配列認識モジュールをコードするDNAと、DNA切断ドメインをコードするDNAに、それぞれ結合ドメイン若しくはその結合パートナーをコードするDNAを融合させるか、両DNAに分離インテインをコードするDNAを融合させることにより、核酸配列認識モジュールとDNA切断ドメインとが宿主細胞内で翻訳された後に複合体を形成できるようにしてもよい。これらの場合も、所望により一方若しくは両方のDNAの適当な位置に、リンカー及び/又は核移行シグナルを連結することができる。
プロモーターとしては、宿主細胞の種類に対応して、該宿主細胞内において機能し得る適切なプロモーターを選択することができる。
例えば、宿主細胞がエシェリヒア属菌である場合、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター、T7プロモーターなどが用いられるが、これらに限定されない。
宿主がバチルス属菌である場合、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなどが用いられるが、これらに限定されない。
宿主が酵母(例、分裂酵母、出芽酵母)である場合、Gal1/10プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが用いられるが、これらに限定されない。
宿主が昆虫細胞である場合、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが用いられるが、これらに限定されない。
宿主が植物細胞である場合、CaMV35Sプロモーター、CaMV19Sプロモーター、NOSプロモーターなどが用いられるが、これらに限定されない。
宿主が脊椎動物細胞である場合、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、RSV(ラウス肉腫ウイルス)プロモーター、MoMuLV(モロニーマウス白血病ウイルス)LTR、HSV-TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)プロモーターなどが用いられるが、これらに限定されない。
バチルス属菌は、例えば、Molecular & General Genetics,168,111 (1979)などに記載の方法に従ってベクター導入することができる。
酵母は、例えば、Methods in Enzymology,194,182-187 (1991)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,75,1929 (1978)などに記載の方法に従ってベクター導入することができる。
昆虫細胞は、例えば、Bio/Technology,6,47-55 (1988)などに記載の方法に従ってベクター導入することができる。
脊椎動物細胞は、例えば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験プロトコール,263-267 (1995)(秀潤社発行)、Virology,52,456 (1973)に記載の方法に従ってベクター導入することができる。
以上のようにして、上記ヌクレアーゼ(核酸配列認識モジュール、又は核酸配列認識モジュールとDNA切断ドメインとの複合体)を細胞内で発現させることができる。
2コピー以上点在する、200bp以上のヌクレオチド配列(例、トランスポゾン配列)を含むゲノム二本鎖DNAを有する宿主細胞内において、
該ゲノム二本鎖DNA、並びに
該200bp以上のヌクレオチド配列(例、トランスポゾン配列)又はその部分配列と相同なヌクレオチド配列、及び外来DNA配列を含むドナーDNA(例、環状二本鎖DNA)を、
該200bp以上のヌクレオチド配列(例、トランスポゾン配列)中の選択された標的ヌクレオチド配列と特異的に結合し、該標的ヌクレオチド配列内でDNAを切断するヌクレアーゼと接触し、
該ゲノム二本鎖DNA上の該200bp以上のヌクレオチド配列(例、トランスポゾン配列)と該ドナーDNA(例、環状二本鎖DNA)に含まれる該200bp以上のヌクレオチド配列(例、トランスポゾン配列)又はその部分配列と相同なヌクレオチド配列との間で相同組換えを生じさせることにより、該外来DNA配列を、ゲノム二本鎖DNAに含まれる2コピー以上の該200bp以上のヌクレオチド配列(例、トランスポゾン配列)に挿入することを含み、
該相同なヌクレオチド配列は、該標的ヌクレオチド配列を含み、該標的ヌクレオチド配列内でDNAを切断した場合、該200bp以上のヌクレオチド配列(例、トランスポゾン配列)を含むゲノムDNAに対して、相同組換えを生じるのに十分な程度の配列同一性及び長さを有する、方法を提供する。
標的配列5’-acgtcttagaacggtctga-3’(配列番号3)(図1)のRNA配列、5’-acgucuuagaacggucuga-3’(配列番号5)を含むガイドRNAを用いて、CRISPR/Cas9による相同組換えにより、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeのゲノム上に存在するトランスポゾンTy1へ、pTy1プラスミドの挿入を行った。具体的には、Ty1レトロトランスポゾン内のTy1配列(Ty1 HR sequence)(配列番号1)をトランスポゾン相同配列として、該相同配列及び導入する遺伝子をPHM661等のプラスミドにクローニングして(図2)pTy1プラスミドを調製した。また、iCas9及びgTy1(ガイドRNA)をコードするDNA配列を含むプラスミドを調製した。形質転換により、これらを出芽酵母に導入した。
1. YPD寒天培地
ポリペプトン 20 g
Yeast extract 10 g
Glucose 20 g
agar 20 g
イオン交換水 1 L
オートクレーブ後、100 mm diameter dishに小分けする。
2. 形質転換用試薬
4 M LiAc 5 μl
1 M DTT 10 μl
60% PEG (average MW. 4000) 67 μl
dH2O 18 μl
計 100 μl
3. アミノ酸要求性選択培地
Yeast Nitrogen Base 6.7 g
Glucose 20 g
Agar 20 g
x20 Amino acid drop (-Leu, -URA) 50 ml
10 mg/ml Leucine 4 ml
10 mg/ml Leucine 10 ml
add dH2O up to 1 L
NaOHでpHを中性付近に調整する。
オートクレーブ後、100 mm diameter dishに小分けする。
*x20 Amino acid drop (-Leu, -URA)
Adenine sulfate 400 mg
L-Tryptophan 400 mg
L-Histidine HCl 400 mg
L-Arginine HCl 400 mg
L-Methionine 400 mg
L-Tyrosine 600 mg
L-Isoleucine 600 mg
L-Lysine HCl 600 mg
L-Phenylalanine 1 g
L-Glutamic acid 2 g
L-Aspartic acid 2 g
L-Valine 3 g
L-Threonine 4 g
L-Serine 8 g
Add dH2O up to 1 L
ガイドRNAのgTy1存在下又は非存在下で、形質転換を行い、pTy1の染色体への組換え効率を算出した。pTy1の組換え効率は、コントロールの、Ty1を含まないベクターの染色体への組換え効率と同様に、gTy1有無による影響を受けなかった(図3)。
CRISPR/Cas9によってpTy1が導入された染色体Ty1部位の塩基配列解析を行った(図4)。形質転換体10株について解析したが、そのすべてにおいて、塩基配列に変化はなかった。このことにより、染色体上のTy1部位への、相同組換えによるpTy1の正確な導入が、高い再現性で達成されることが示された。
次に、ガイドRNAのgTy1存在下又は非存在下で形質転換を行い、pTy1が、染色体上のTy1に正確に導入された形質転換体株の頻度を算出した。ゲノム上のTy1遺伝子座に隣接する塩基配列に基づいて設計したプライマーと、プラスミド上のpTy1に隣接する塩基配列に基づいて設計したプライマーにより、形質転換体株のDNAを鋳型としてPCRを行い、電気泳動の際、予想される分子量の位置にバンドが出現するか否かで、Ty1が正確に導入されたか否かを判定した。ネガティブコントロールとして、Ty1を含まないベクターを用いた。gTy1存在下で、pTy1が出芽酵母染色体上のTy1に正確に導入されることが示された(図5)。
形質転換体株の染色体DNAをパルスフィールド電気泳動によって分離し、マーカーとしての出芽酵母染色体及び形質転換前の親株の染色体の泳動パターンと比較した。各形質転換体株のDNAの泳動パターンは、親株のDNAの泳動パターンと同一であった。このことにより、CRITGIシステムによって、形質転換体株の染色体腕の転座などのゲノムの不安定化は起こらないことが確認された(図6)。また、この結果により、CRISPR/Cas9はPlasmid上のTy1配列を優先的に切断しており、この切断されたplasmidが染色体上のTy1レトロトランスポゾン領域に相同組換え反応を介して挿入されていることが示唆された。
染色体中に導入されたpTy1の数を調査した(図7)。図7中、“Integration”はpTy1中のTy1配列をSalIでカットし、形質転換を行った。“CRISPR/Transposon”はCRITGIを使用した。染色体中のpTy1数の測定にはRT-qPCRを使用した。ACT1をリファレンスとし、pTy1中のLEU2遺伝子数を計測した。その結果、“Integration”では1コピーが、“CRISPR/Transposon”では1~11コピーのpTy1が挿入されたことが、明らかとなった。
CRITGIにより、図8の左上に示された構成の相同組換えを行い、得られた形質転換体株に対して、更にCRITGIにより図8右上に示されたプラスミドによる相同組換えを行った。1回目及び2回目の相同組換えのそれぞれの段階で、得られた形質転換体株中のTy1及びAmp遺伝子座のコピー数を測定した。結果を図8下のグラフに示す。2回目の相同組換えにより、ゲノム中に挿入される配列のコピー数が更に飛躍的に増大し得ることが判明した。
1回目のCRITGIによりLEU2マーカーを導入し、得られた形質転換体株に更に2回目のRITGIを行ってURA3マーカーを導入した。得られた形質転換体株を解析したところ、最初に導入したpTy1(LEU2)が2回目のCRITGIではpTy1(URA3)の導入部位として利用されることが判明した(図9)。
宿主株として出芽酵母株BY4742+DpaA gene integrated(Genotype: Matαtrp1Δhis3Δleu2Δura3ΔTy1 locus:DpaA(LEU2))を用い、以下の表1、図10、図11に示す、大腸菌のリジン合成経路遺伝子群(DpaA、DpaB、DpaC、DpaD、DpaE、DpaF、LysA)のいずれか1つを含むプラスミド(PHM721、PHM712、PHM716、PHM703、PHM717、PHM704、PHM724)とPHM663のすべてを導入して形質転換した。PHM663はiCas9、gTy1(ガイドRNA)、URA3を含むプラスミドである。
Claims (14)
- ゲノムDNA上の2以上の部位へ外来DNAを挿入する方法であって、
2コピー以上点在する、200bp以上のヌクレオチド配列を含むゲノム二本鎖DNAを有する宿主細胞内において、
該ゲノム二本鎖DNA、並びに
該200bp以上のヌクレオチド配列又はその部分配列と相同なヌクレオチド配列、及び外来DNA配列を含むドナーDNAを、
該200bp以上のヌクレオチド配列中の選択された標的ヌクレオチド配列と特異的に結合し、該標的ヌクレオチド配列内でDNAを切断するヌクレアーゼと接触し、
該ゲノム二本鎖DNA上の該200bp以上のヌクレオチド配列と該ドナーDNAに含まれる該200bp以上のヌクレオチド配列又はその部分配列と相同なヌクレオチド配列との間で相同組換えを生じさせることにより、該外来DNA配列を、ゲノム二本鎖DNAに含まれる2コピー以上の該200bp以上のヌクレオチド配列に挿入することを含み、
該相同なヌクレオチド配列は、該標的ヌクレオチド配列を含み、該標的ヌクレオチド配列内でDNAを切断した場合、該200bp以上のヌクレオチド配列を含むゲノムDNAに対して、相同組換えを生じるのに十分な程度の配列同一性及び長さを有し、
該200bp以上のヌクレオチド配列が、トランスポゾン配列であり、
トランスポゾンがレトロトランスポゾンである、方法。 - ヌクレアーゼが、該ドナーDNAに含まれる該200bp以上のヌクレオチド配列又はその部分配列と相同なヌクレオチド配列中の標的配列を優先的に切断する、請求項1記載の方法。
- ドナーDNAが、クローン化されたドナーDNAである、請求項1又は2記載の方法。
- ドナーDNAが、異なる外来DNA配列をそれぞれ含む2種以上のドナーDNAの混合物である、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
- 外来DNA配列が構造遺伝子をコードする、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
- ドナーDNAが環状二本鎖DNAである、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
- 該ヌクレアーゼが、核酸配列認識モジュール及びDNA切断ドメインを含んでなり、核酸配列認識モジュールが、ジンクフィンガーモチーフ、TALエフェクター及びPPRモチーフから成る群より選択される、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
- 該ヌクレアーゼが、CRISPR-CasシステムにおけるガイドRNAとCasタンパク質との複合体である、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
- 該ヌクレアーゼが、ガイドRNAとCas9タンパク質との複合体である、請求項8記載の方法。
- レトロトランスポゾンが、Ty1-copia群のレトロトランスポゾンである、請求項1記載の方法。
- 宿主細胞が、原核生物細胞、酵母、脊椎動物細胞、昆虫細胞又は植物細胞である、請求項1~10のいずれか1項記載の方法。
- 宿主細胞が、酵母である、請求項11記載の方法。
- 酵母が、出芽酵母である、請求項12記載の方法。
- 標的ヌクレオチド配列が、配列番号3で表される配列を含む、請求項1~13のいずれか1項記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017097706A JP6990385B2 (ja) | 2017-05-16 | 2017-05-16 | 多重遺伝子導入手法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017097706A JP6990385B2 (ja) | 2017-05-16 | 2017-05-16 | 多重遺伝子導入手法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018191561A JP2018191561A (ja) | 2018-12-06 |
JP6990385B2 true JP6990385B2 (ja) | 2022-02-03 |
Family
ID=64568725
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017097706A Active JP6990385B2 (ja) | 2017-05-16 | 2017-05-16 | 多重遺伝子導入手法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6990385B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021100731A1 (ja) * | 2019-11-19 | 2021-05-27 | 国立大学法人 長崎大学 | Cas9ヌクレアーゼを用いて相同組み換えを誘導する方法 |
JP6867635B1 (ja) * | 2020-04-06 | 2021-04-28 | 株式会社Logomix | ゲノム改変方法及びゲノム改変キット |
JP6944226B1 (ja) * | 2021-03-03 | 2021-10-06 | 株式会社Logomix | ゲノムdnaを改変する方法および改変を検出する方法 |
WO2023228969A1 (ja) * | 2022-05-25 | 2023-11-30 | キッコーマン株式会社 | 遺伝子導入のための糸状菌 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014513535A (ja) | 2011-04-27 | 2014-06-05 | アミリス, インコーポレイテッド | ゲノム修飾のための方法 |
US20150275235A1 (en) | 2012-10-16 | 2015-10-01 | Dsm Ip Assets B.V. | Cells with improved pentose conversion |
WO2015166272A2 (en) | 2014-05-02 | 2015-11-05 | Iontas Limited | Preparation of libraries of protein variants expressed in eukaryotic cells and use for selecting binding molecules |
-
2017
- 2017-05-16 JP JP2017097706A patent/JP6990385B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014513535A (ja) | 2011-04-27 | 2014-06-05 | アミリス, インコーポレイテッド | ゲノム修飾のための方法 |
US20150275235A1 (en) | 2012-10-16 | 2015-10-01 | Dsm Ip Assets B.V. | Cells with improved pentose conversion |
WO2015166272A2 (en) | 2014-05-02 | 2015-11-05 | Iontas Limited | Preparation of libraries of protein variants expressed in eukaryotic cells and use for selecting binding molecules |
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
Molecular Therapy,2011年,Vol.9, No.9,p.1636-1644 |
Nucleic Acids Research,2007年,Vol.35, No.12,p.1-8 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018191561A (ja) | 2018-12-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US11718846B2 (en) | Genomic sequence modification method for specifically converting nucleic acid bases of targeted DNA sequence, and molecular complex for use in same | |
JP6153180B2 (ja) | 脱塩基反応により標的化したdna配列に特異的に変異を導入する、ゲノム配列の改変方法、並びにそれに用いる分子複合体 | |
KR102237151B1 (ko) | 뉴클레아제-매개 dna 조립 | |
JP6990385B2 (ja) | 多重遺伝子導入手法 | |
KR20180069898A (ko) | 핵염기 편집제 및 그의 용도 | |
FR2821855A1 (fr) | Genes synthetiques et plasmides bacteriens depourvus de cpg | |
JP7001272B2 (ja) | ゲノム配列改変技術における変異導入効率の向上方法、及びそれに用いる分子複合体 | |
JP2023063448A (ja) | 細胞の有する二本鎖dnaの標的部位を改変する方法 | |
WO2021100731A1 (ja) | Cas9ヌクレアーゼを用いて相同組み換えを誘導する方法 | |
JP7133856B2 (ja) | 細胞内在性のdna修飾酵素を利用して標的化したdnaの核酸塩基を特異的に変換する、細胞の核酸配列の変換方法、及びそれに用いる分子複合体 | |
KR20180128864A (ko) | 매칭된 5' 뉴클레오타이드를 포함하는 가이드 rna를 포함하는 유전자 교정용 조성물 및 이를 이용한 유전자 교정 방법 | |
WO2022050413A1 (ja) | 小型化シチジンデアミナーゼを含む二本鎖dnaの改変用複合体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A80 | Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80 Effective date: 20170605 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200423 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210427 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210624 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210907 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20211105 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20211124 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211129 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6990385 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |