(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1は、投影装置10の外観斜視図である。本実施形態の投影装置10は、上ケース10a及び下ケース10bからなるケースを備える。投影装置10の筐体の側板である正面パネル12、背面パネル13、右側パネル14、及び左側パネル15は、上ケース10aの外周縁から下方に向かって立設する。各パネル12~15の下端は、下ケース10bの外周縁と当接する。したがって、投影装置10は、上ケース10aと下ケース10bにより略直方体状に形成される。なお、本実施形態において、投影装置10における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
投影装置10の筐体の上面パネル11には、キー/インジケータ部37、投影画像調整部11aが設けられる。このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源装置や表示素子又は制御回路等が過熱した時に報知をする過熱インジケータ等の各種設定を行うためのキーやインジケータが配置されている。投影画像調整部11aは、一つ又は複数の回動摘みを備える。この回動摘みを操作することにより、図4で後述する投影側光学系の可動レンズの位置が調節され、投影画像の大きさやピントの調整が行われる。また、投影装置10は、図示しないが、リモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
正面パネル12と右側パネル14の前方右側の角部501には、吸気口310が設けられる。正面パネル12の左側には、すり鉢状に窪んだ光出射部12aが設けられる。この光出射部12aの左側パネル15側の内壁には、吸気口320が形成される。換言すれば、正面パネル12の前方左側の角部502には、吸気口320が設けられる。投影装置10は、光出射部12aに、投影口12bと、投影口12bを覆うレンズカバー19を有する。正面パネル12の下端には、高さ調整ボタン12cが設けられる。投影装置10は、正面パネル12側の内部に支脚を備える。投影装置10は、高さ調整ボタン12cが押下されている間、下方からその支脚を出没させることができる。よって、使用者は、高さ調整ボタン12cを操作することにより支脚を任意の出代量で固定し、投影装置10の高さや傾きを調節することができる。
背面パネル13には、USB端子や画像信号入力用のD-SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。また、背面パネル13において、右側パネル14側の角部に排気口330が形成され、左側パネル15側の角部にも排気口340が形成される。換言すれば、投影装置10の後方右側の角部503に排気口330が配置され、後方左側の角部504にも排気口340が配置される。
次に、投影装置10の投影装置制御部について図2の機能ブロック図を用いて述べる。投影装置制御部は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成される。
制御部38は、投影装置10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
そして、この投影装置制御部により、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものである。
投影装置10は、光源である光源装置60から出射された光源光の光線束を、後述する導光光学系を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光像(画像)を形成する。投影装置10は、その形成した光像を同じく後述する投影側光学系を介してスクリーンに投影し、画像を表示させる。なお、この投影側光学系の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。
また、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時はメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長する。そして、画像圧縮/伸長部31は、その画像データを、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいた動画等を表示する処理を行う。
筐体の上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出される。リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
なお、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
また、制御部38は、光源制御部としての光源制御回路41を制御している。この光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源装置60から出射されるように、光源装置60の緑色光源装置における励起光照射装置や、赤色光源装置の発光を個別に制御する。光源装置60から出射された所定の波長帯域の光は、照射ミラー185で反射され、表示素子51に照射される。
制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、仕様環境温度外で使用されており、製品に致命的なダメージを与える温度ではないか測定している。また、制御部38は、投影装置10の電源をOFFにする指示を受けると、冷却ファン駆動制御回路43にタイマーを用いて投影装置10本体の電源OFF後も冷却ファンの回転を持続させたり、温度センサによる温度検出の結果に応じて投影装置10本体の電源を切るタイミングを定める等の制御を行うことができる。
次に、投影装置10の内部構造について述べる。図3は、投影装置10の内部構造を示す平面模式図である。投影装置10は、電源装置301、制御回路基板302、光源装置60を備える。また、投影装置10は、冷却ファンが取り付けられたファンケースとして、吸気ファンケース260、中間ファンケース270、排気ファンケース280を備える。
光源装置60は、投影装置10の筐体の略中央に配置される。光源装置60は、光源ケース61によって内部にレンズやミラー等の光学部材を収納する。電源装置301は、光源装置60の左側パネル15側に配置される。電源装置301の基板は、左側パネル15と略平行に配置される。制御回路基板302は、光源装置60の背面パネル13側に配置される。制御回路基板302は、上下方向に対し略垂直に配置される。制御回路基板302は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備える。また、制御回路基板302は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等の機能毎に分けて、複数備えることができる。
光源装置60の内部構造について説明する。図4は、光源装置60の平面模式図である。光源装置60は、赤色波長帯域光の光源とされる赤色光源装置120と、緑色波長帯域光の光源とされる緑色光源装置80と、青色波長帯域光の光源とされる青色光源装置であると共に励起光源ともされる励起光照射装置70と、を備える。緑色光源装置80は、励起光照射装置70と、蛍光板装置100と、により構成される。光源装置60は、導光光学系140を有する。導光光学系140は、緑色波長帯域光及び青色波長帯域光及び赤色波長帯域光の光線束を合わせて、各色波長帯域の光線束を同一光路上に導光する。
励起光照射装置70は、投影装置10筐体の右側パネル14側に配置される。励起光照射装置70は、背面パネル13と光軸が平行になるよう配置された複数の固体発光素子を備える。本実施形態の固体発光素子は、青色波長帯域光を発する青色レーザダイオード71である。また、青色レーザダイオード71は、右側パネル14と平行に配置されている。これら青色レーザダイオード71は、固定ホルダ74に固定される。また、励起光照射装置70は、反射ミラー76、拡散板78、ヒートシンク81、を備える。反射ミラー76は、各青色レーザダイオード71からの出射光の光軸を拡散板78に向けて90度変換する。拡散板78は、反射ミラー76で反射した各青色レーザダイオード71からの出射光を予め定められた拡散角度で拡散する。ヒートシンク81は、青色レーザダイオード71と右側パネル14(図3参照)との間に配置される。
図4に戻り、各青色レーザダイオード71からの光路上には、青色レーザダイオード71からの出射光の指向性を高めて平行光に変換するコリメータレンズ73が夫々配置されている。これらコリメータレンズ73は、青色レーザダイオード71と共に固定ホルダ74に固定される。
赤色光源装置120は、青色レーザダイオード71の光線束と光軸が平行となるように配置された赤色光源121と、赤色光源121からの出射光を集光する集光レンズ群125と、を備える。この赤色光源121は、赤色波長帯域光を発する固体発光素子である赤色発光ダイオードである。赤色光源装置120は、赤色光源装置120が出射する赤色波長帯域光の光軸が、蛍光板101から出射される緑色波長帯域光の光軸と交差するように配置される。また、赤色光源装置120は、赤色光源121の右側パネル14側にヒートシンク130を備える。
緑色光源装置80を構成する蛍光板装置100は、蛍光板101、モータ110、入射側の集光レンズ群117、出射側の集光レンズ115、を備える。蛍光板101は、励起光照射装置70からの出射光の光軸と直交するように配置された蛍光ホイールである。この蛍光板101はモータ110により回転駆動する。集光レンズ群117は、励起光照射装置70から出射される励起光の光線束を蛍光板101に集光する。集光レンズ115は、蛍光板101から正面パネル12方向に出射される光線束を集光する。なお、蛍光板101の一部は、集光レンズ群117及び集光レンズ115の上方に位置される。そのため、蛍光板101の下方の一部が集光レンズ群117と集光レンズ115の光路上に配置される。
蛍光板101には、蛍光発光領域と拡散透過領域とが周方向に並設されている。蛍光発光領域は、青色レーザダイオード71から出射された青色波長帯域光を励起光として受けて、励起された緑色波長帯域の蛍光光を出射する。拡散透過領域は、青色レーザダイオード71からの出射光を拡散透過する。拡散透過した出射光は、光源装置60の青色波長帯域光として出射される。
導光光学系140は、第一ダイクロイックミラー141、集光レンズ149、第二ダイクロイックミラー148、第一反射ミラー143、集光レンズ146、第二反射ミラー145、集光レンズ147を有する。第一ダイクロイックミラー141は、励起光照射装置70から出射される青色波長帯域光及び蛍光板101から出射される緑色波長帯域光と、赤色光源装置120から出射される赤色波長帯域光とが交差する位置に配置される。第一ダイクロイックミラー141は、青色波長帯域光及び赤色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射する。第一ダイクロイックミラー141で反射した緑色波長帯域光の光軸は、集光レンズ149に向かう左側パネル15方向に90度変換される。したがって、第一ダイクロイックミラー141を透過した赤色波長帯域光の光軸は、第一ダイクロイックミラー141により反射された緑色波長帯域光の光軸と一致する。
集光レンズ149は、第一ダイクロイックミラー141の左側パネル15側に配置される。第一ダイクロイックミラー141を透過した赤色波長帯域光及び第一ダイクロイックミラー141により反射された緑色波長帯域光は、共に集光レンズ149に入射する。第二ダイクロイックミラー148は、集光レンズ149の左側パネル15側であって、集光レンズ147の背面パネル13側に配置される。第二ダイクロイックミラー148は、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を反射し、青色波長帯域光を透過する。したがって、集光レンズ149で集光された赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、第二ダイクロイックミラー148によって反射されて、背面パネル13側に90度変換される。第二ダイクロイックミラー148の背面パネル13側には、集光レンズ173が配置される。第二ダイクロイックミラー148により反射された赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、集光レンズ173に入射する。
第一反射ミラー143は、蛍光板101を透過した青色波長帯域光の光軸上、つまり、集光レンズ115と正面パネル12との間に配置される。第一反射ミラー143は、青色波長帯域光を反射して、この青色波長帯域光の光軸を左側パネル15方向に90度変換する。集光レンズ146は、第一反射ミラー143の左側パネル15側に配置される。また、第二反射ミラー145は、集光レンズ146の左側パネル15側に配置される。第二反射ミラー145は、第一反射ミラー143により反射されて、集光レンズ146により集光された青色波長帯域光の光軸を、背面パネル13側に90度変換する。集光レンズ147は、第二反射ミラー145の背面パネル13側に配置される。第二反射ミラー145により反射された青色波長帯域光は、集光レンズ147を介して第二ダイクロイックミラー148を透過し、集光レンズ173に入射する。このようにして、導光光学系140により導光された赤色、緑色、青色の各波長帯域光の光線束は、光源側光学系170の同一光路上に導光される。
光源側光学系170は、集光レンズ173、ライトトンネル175、集光レンズ178、光軸変換ミラー179、集光レンズ183、照射ミラー185、コンデンサレンズ195を備える。なお、コンデンサレンズ195は、コンデンサレンズ195の背面パネル13側に配置される表示素子51から出射された画像光を、投影側光学系220に向けて出射するため、投影側光学系220の一部でもある。
集光レンズ173から出射した各光線束は、ライトトンネル175に入射する。ライトトンネル175に入射される各光線束は、ライトトンネル175により均一な強度分布の光線束とされる。
ライトトンネル175の背面パネル13側の光軸上には、集光レンズ178を介して、光軸変換ミラー179が配置されている。ライトトンネル175の出射口から出射した光線束は、集光レンズ178で集光された後、光軸変換ミラー179により、集光レンズ183に向かう光軸に変換される。
光軸変換ミラー179で反射した光線束は、集光レンズ183により集光された後、照射ミラー185により、コンデンサレンズ195を介して表示素子51に所定の角度で照射される。なお、背面パネル13側にはヒートシンク190が設けられている。DMDとされる表示素子51は、このヒートシンク190により冷却される。また、ヒートシンク190の後方に形成されたフィン191の板面は、上下方向に対して垂直に形成される。
光源側光学系170により表示素子51の画像形成面に照射された光源光である光線束は、表示素子51の画像形成面で反射され、投影光として投影側光学系220を介してスクリーンに投影される。
投影側光学系220は、コンデンサレンズ195、可動レンズ群235、固定レンズ群225により構成される。固定レンズ群225は、固定鏡筒に内蔵される。可動レンズ群235は、可動鏡筒に内蔵され、手動又は自動により移動されることにより、ズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
このように投影装置10を構成することで、蛍光板101を回転させると共に励起光照射装置70及び赤色光源装置120から異なるタイミングで光を出射すると、赤色、緑色及び青色の各波長帯域光が導光光学系140を介してライトトンネル175に入射され、さらに光源側光学系170を介して表示素子51に入射される。よって、投影装置10の表示素子51であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像を投影することができる。
図3に戻り、吸気ファンケース260は、前方右側の角部501において、上ケース10a(図1参照)の内壁に近接して、吸気口310の内側に配置される。吸気ファンケース260は、吸気側261である前面260a(図6(a)、図7(a)、(b)参照)を吸気口310に向けると共に、排気側262である後面260b(図6(b)、図7(a)、(b)参照)を投影装置10の略中央に向けて、斜めに傾けて配置される。このように、吸気ファンケース260は、下ケース10bの取付部に取り付けられる。
図5(a)乃至(c)は、吸気ファンケース260(図6(a)、(b)参照)を下ケース10bに取り付けるための取付部10cの斜視図である。取付部10cは、図5(a)に示すように、吸気ファンケース260が載置される上面側に、取付規制部10dが設けられる。取付部10cは、吸気ファンケース260を載置する載置部10c1と、吸気ファンケース260を側方から支持する複数の支持板10c2を備えている。載置部10c1は、吸気ファンケース260の土台を形成し、載置される吸気ファンケース260の底面の外枠と一致するように形成される。載置部10c1は、内部の領域が3つに分割され、上面が開口された略直方体状に形成される。従って、載置部10c1の上面は、枠状に形成される。支持板10c2は、載置部10c1の周囲に、下ケース10bから柱状に、複数立設されている。
取付部10cには、図5(b)の領域RE1の拡大図にも示すように、取付規制部10dが設けられる。取付規制部10dは、載置部10c1の外側の上面における長手方向の略中央に、載置部10c1の上面から立設する平板状の弾性部10d1と、吸気ファンケース260におけるファンブレード264(図6(a)、(b)参照)の前面側(正方向)に突出した平板状の突出部10d2とを備えている。取付規制部10dは、突出部10d2の反対側(即ち、吸気ファンケース260の前面260aと反対側)に平板状の取り外し用摘み10d3を有している。
弾性部10d1の板厚方向は、取り付けられる吸気ファンケース260のファンブレード264の回転軸方向と一致する。突出部10d2及び取り外し用摘み10d3は連続して形成され、板厚方向が吸気ファンケース260の回転方向と直交する。このようにして、取付規制部10dは、側面視略T字型に形成される。
取付規制部10dの突出部10d2の先端には、下方に傾斜するよう傾斜する傾斜面Sが形成される。更に、図5(c)に示すように、取付規制部10dにおける傾斜面Sが形成される突出部10d2の先端の形状は、円形状に形成されている。このようにして、突出部10d2及び取り外し用摘み10d3は、弾性部10d1に支持される。
次に、取付部10cに取り付けられる吸気ファンケース260について、図6(a)、(b)を用いて、説明する。吸気ファンケース260は、図6(a)に示すように、下ケース10bの取付部10cの載置部10c1に載置して設けられる。吸気ファンケース260は、回転可能に設けられた軸流型のファンブレード264が取り付けられたファンケースである。一般に、吸気ファンケース260は、略正方形とされる前面260a及び後面260bを備えて、略直方体として形成される。ファンブレード264は、軸流回転ファンとして形成され、吸気ファンケース260の前面260aと後面260bの間に配置される。吸気ファンケース260は、ファンブレード264が前面260aよりも後面260b側にオフセットして配置されている。吸気ファンケース260は、ファンブレード264が回転すると、前面260aから後面260bに空気が流れるように形成されている。
このオフセット量は、本実施形態では、吸気ファンケース260の前面260aからファンブレード264までの距離は、約10[mm](図7(a)の距離W1)であり、後面260bからファンブレード264までの距離は、約2[mm](図7(b)の距離W2)とされる。
吸気ファンケース260の取付部10cへの取付は、吸気ファンケース260の底面を載置部10c1に載置するように、取付部10cの上方から挿入する。このとき、吸気ファンケース260の底面の縁部近傍が、取付規制部10dにおける突出部10d2の上面に当接する。取付規制部10dの突出部10d2は下方向に撓みながら、取付規制部10dの弾性部10d1は外側に撓み、その後、吸気ファンケース260の底面は、取付規制部10dの突出部10d2に形成された傾斜面Sに当接する。この当接により、取付規制部10dの弾性部10d1は外側に撓んだまま、吸気ファンケース260の底面の終端近傍が取付規制部10dの傾斜面Sに倣って下降して、吸気ファンケース260の底面と突出部10d2の上面の当接が解除された後、吸気ファンケース260が取付部10cに載置される。
ここで、吸気ファンケース260が取付部10cに正しく取り付けられた場合には、図6(a)に示すように、吸気側261である前面260aが外側に向けて配置される。このとき、図7(a)で示すように、取付規制部10dの突出部10d2の先端とファンブレード264とは、十分離間されている。
しかしながら、吸気ファンケース260を取付部10cに挿入する際、誤って吸気ファンケース260の前後方向を逆にして取付部10cに取付けた場合、図6(b)に示すように、排気側262である後面260bが外側に向かって配置される。このとき、図7(b)で示すように、ファンブレード264の回転位置によっては、突出部10d2がファンブレード264に当接する。当接すると、ファンブレード264の回転が規制されるため、容易に吸気ファンケース260を有する軸流型ファンの取付ミスを認識することができる。
即ち、取付規制部10dは、吸気ファンケース260の前面260aに対応する位置からの長さが、吸気ファンケース260の後面260bからファンブレード264までの距離W2よりも長く、吸気ファンケース260の前面260aからファンブレード264までの距離W1よりも短くなるように形成される。具体的には、突出部10d2の吸気ファンケース260の前面260aからの長さが、ファンブレード264の回転軸方向に、2[mm]よりも長く、10[mm]よりも短くなるように形成される。これにより、取付規制部10dは、吸気ファンケース260を取付部10cに逆付した場合、取付規制部10dの突出部10d2の先端とファンブレード264とが当接するよう形成されている。
なお、上記実施形態は、吸気ファンケース260について説明したが、投影装置10に設けられる他の冷却ファンケース(中間ファンケース270、排気ファンケース280)の取付部に上記の取付規制部10dと同様の取付規制部を設けることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、投影装置10は、吸気ファンケース260と取付部10cを備える冷却装置CDを有する。具体的には、この冷却装置CDは、ケース(上ケース10a,下ケース10b)と、取付部10cに配置され、一対の開口部を有するファンケース260、ファンブレード264、及び図示しないファンモータから成る軸流型ファンと、取付部10cの近傍に設けられ、軸流型ファンが取り付けられた状態において一方の開口部からその内部に向けて所定量突出している突出部10d2を備える取付規制部10dと、を有する。突出部10d2の所定量は、ファンケース260の一方の開口部からファンブレード264の突出部10d2が対応する位置までの距離より短く、ファンケース260の他方の開口部からファンブレード264の突出部10d2が対応する位置までの距離より長い。即ち、取付規制部10dは、吸気ファンケース260の前面260aからの長さが、吸気ファンケース260の後面260bからファンブレード264までの距離W2よりも長く、吸気ファンケース260の前面260aからファンブレード264までの距離W1よりも短くなるように形成されている。
これにより、吸気ファンケース260を取付部10cに逆付した場合、出荷検査時に投影装置10の吸気ファンケース260を駆動すると瞬間に、ファンブレード264が取付規制部10dの突出部10d2と接触して干渉する。従って、吸気ファンケース260が取付部10cに逆付された場合、冷却装置CDは、吸気ファンケース260が逆付された投影装置10を即座に検出することができる。これにより、冷却装置CD及び投影装置10は、製品の組み立て作業性を向上させることができる。
また、取付規制部10dには、吸気ファンケース260を取付部10cから取り外すための取り外し用摘み10d3が設けられている。吸気ファンケース260が取付部10cに逆付された場合、取り外し用摘み10d3は、押下されることにより突出部10d2を取付部10cから解除して、吸気ファンケース260を取付部10cから取り外すことができる。これにより、取付規制部10dは、逆付された吸気ファンケース260を取付部10cから取り外すことができると共に、吸気ファンケース260を取付部10cに正方向に取り付け直すことができる。
また、本実施形態では、取付規制部10dは、突出部10d2の先端の形状が、下ケース10bの取付部10cの取付方向に傾斜する傾斜面Sを有している。これにより、吸気ファンケース260を取付部10cに取り付ける際、取付規制部10dが弾性部10d1により撓みながら、この傾斜面Sによって吸気ファンケース260を取付部10cに導くことができ、スムーズに取り付けることができる。
更に、本実施形態では、取付規制部10dは、突出部10d2の傾斜面Sの先端の形状が、吸気ファンケース260の回転軸方向に向けて、円形状に形成されている。これにより、取付規制部10dは、吸気ファンケース260のファンブレード264から出力される送風による風切音を低減することができ、騒音対策もすることができる。
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態として、上記の第1実施形態における取付規制部10dに代えて、突出部が上下2段で形成された取付規制部10fを示した説明図である。なお、第1実施形態と同じ部材や箇所には同じ符号を付して、その説明は省略又は簡略化する。
取付規制部10fは、図8(a)及び図8(b)の領域RE2に示すように、載置部10c1の上面から板状の第1弾性部10f1-1が立設する。第1弾性部10f1-1からは、載置される吸気ファンケース260に向けて、板状の突出部10f2が突出して形成される。突出部10f2の反対側には、取り外し用摘み10d3が設けられる。そして、第1弾性部10f1-1に対応する、突出部10f2及び取り外し用摘み10d3の上面からは、板状の第2弾性部10f1-2が形成される。第2弾性部10f1-2の上端からは、吸気ファンケース260に向けて、突出部10f3が形成される。このようにして、突出部10f2,10f3及び取り外し用摘み10d3は、第1弾性部10f1-1及び第2弾性部10f1-2により支持される。
また、突出部10f2は、突出部10d2と同様の傾斜面Sを備えているが、突出部10f3は、傾斜面Sとは異なる傾斜面Tを備えている。傾斜面Tは、傾斜面Sと同一の傾斜角であるが、傾斜面Sは、突出部10d2,10f2の先端の一部が傾斜するようになっている。一方、傾斜面Tは、突出部10f3の先端の全部が傾斜面を形成するようになっている。
第2実施形態の場合、下ケース10bから上ケース10aに向けて、第1実施形態の取付規制部10dよりも1段多く突出部10f3を備えているため、吸気ファンケース260が逆付された場合、上下2段の突出部10f2,10f3で検出することができる。即ち、吸気ファンケース260を駆動する瞬間に、突出部10f2,10f3の2つの突出部のうち、何れか一方の突出部がファンブレード264と接触しない場合であっても、もう一方の突出部がファンブレード264と接触し干渉することができる。
このように、第2実施形態の取付規制部10fによれば、冷却装置CDは、出荷検査において上下2段の突出部10f2,10f3でファンブレード264と接触し干渉することができるので、吸気ファンケース260が逆付された投影装置10を、より確実に検出することができる。
また、突出部10f2,10f3は、夫々傾斜面S,Tを備えているため、突出部10f2,10f3の夫々が風切音を軽減し、騒音対策をすることができる。
(各実施形態の変形例)
次に、本発明の第1実施形態及び第2実施形態の変形例について説明する。この変形例では、第1実施形態の取付規制部10d及び第2実施形態の取付規制部10fを、夫々複数個配置する場合について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材や箇所には同じ符号を付して、その説明は省略又は簡略化する。
図9に示すように、図9(a)では、取付部10cの載置部10c1の外側の上面における長手方向に沿って取付規制部10dを3個配置した場合を示しており、図9(b)では、同様に、取付規制部10fを3個配置した場合を示している。
このように、取付規制部10d,取付規制部10fは、夫々複数個配置することができる。従って、図9(a)又は図9(b)に示すように、3個の取付規制部10dにより3個の突出部10d2、又は3個の取付規制部10fにより6個の突出部10f2,10f3で、ファンブレード264と接触して干渉することができるので、吸気ファンケース260が逆付された投影装置10を、容易にかつ確実に検出することができる。
また、本発明の第1実施形態及び第2実施形態では、取付規制部10d,10fは、ケース(上ケース10a,下ケース10b)の取付部10cと一体として形成されている。これにより、ケースを樹脂材料による射出成型で成形すれば、ケースの加工と同時に、取付規制部10d,10fを形成することができる。
上述したように、本発明に係る本実施形態によれば、冷却装置CDは、ケース(上ケース10a,下ケース10b)と、回転可能に設けられる軸流型の吸気ファンが取り付けられた吸気ファンケース260と、ケースに設けられ、吸気ファンケース260が取り付けられる取付部10cと、取付部10cに設けられ、吸気ファンケース260に向けて突出する突出部10d2,10f2,10f3を備える取付規制部10d,取付規制部10fと、を備えている。取付規制部10d,10fは、吸気ファンケース260の前面260aからの長さが、吸気ファンケース260の後面260bからファンブレード264までの距離W2よりも長く、吸気ファンケース260の前面260aからファンブレード264までの距離W1よりも短くなるように形成されている。
これにより、冷却装置CDは、出荷検査時に投影装置10の吸気ファンケース260を駆動すると瞬間に、ファンブレード264が取付規制部10d,10fの突出部10d2,10f2,10f3と接触して干渉し、吸気ファンケース260が逆付された投影装置10を即座に検出することができる。これにより、冷却装置CD及び投影装置10は、製品の組み立て作業性を向上させることができる。
また、取付規制部10d,10fは、突出部10d2,10f2,10f3の先端の形状が、下ケース10bの取付部10cの取付方向に傾斜する傾斜面S,Tを有している。これにより、吸気ファンケース260を取付部10cに取り付ける際、取付規制部10dが弾性部10d1により撓みながら、この傾斜面S,Tによって吸気ファンケース260を取付部10c部に導くことができ、スムーズに取り付けることができる。
また、取付規制部10d,10fは、突出部10d2,10f2,10f3の傾斜面S,Tの先端の形状が、吸気ファンケース260の回転軸方向に向けて、円形状に形成されている。これにより、取付規制部10d,10fは、吸気ファンケース260のファンブレード264から出力される送風による風切音を低減することができ、騒音対策もすることができる。
また、取付規制部10d,10fは、突出部10d2,10f2,10f3の反対側に、ケースの取付部10cから吸気ファンケース260を取り外すための取り外し用摘み10d3が設けられている。取り外し用摘み10d3は、押下されることにより突出部10d2,10f2,10f3を取付部10cから解除して、吸気ファンケース260を取付部10cから取り外すことができる。
また、取付規制部10fは、突出部10f2,10f3が上下2段で形成されている。これにより、吸気ファンケース260を駆動する瞬間に、突出部10f2,10f3の2つの突出部のうち、何れか一方の突出部がファンブレード264と接触しない場合であっても、もう一方の突出部がファンブレード264と接触し干渉することができる。
また、取付規制部10d,10fは、突出部10d2,10f2,10f3を支持する、弾性部10d1,10f1-1, 10f1-2を備えている。これにより、取付規制部10d,10fは、外側に撓みながら、取付規制部10d,10fの傾斜面S,Tに倣って下降し、吸気ファンケース260を取付部10cに載置することができる。
また、取付規制部10d,10fは、ケース(上ケース10a,下ケース10b)の取付部10cと一体として形成されている。これにより、ケースを樹脂材料による射出成型で成形すれば、ケースの加工と同時に、取付規制部10d,10fを形成することができる。
また、上述した冷却装置CDと、光源光を出射する光源装置60と、を備える投影装置10を構成することができる。これにより、投影装置10は、光源装置60に設けられる吸気ファンケース260の逆付を検出することができる。
また、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、本発明の第1実施形態及び第2実施形態では、下ケース10bの取付部10cの載置部10c1に取付規制部10d,10fが取り付けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、取付規制部10d,10fは、吸気ファンケース260の周辺に設けられる上下方向に延伸する複数の支持板10c2の何れかに設けられていればよく、吸気ファンケース260のファンブレード264と接触し干渉できる位置であれば、取付規制部10d,10fの位置は、限定されるものではない。
また、取付規制部10d,10fは、下ケース10bの取付部10cと一体として形成されるようになっていた。本発明の実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、取付規制部10d,10fは、別体で形成されていても良い。
また、本発明の第1実施形態及び第2実施形態の変形例において、3個の取付規制部10d、10fが配置されるようになっていたが、取付部10cに配置される複数個の取付規制部は同一形状の取付規制部に限定されるものではない。即ち、異なる形状の取付規制部を組み合わせて複数個配置することもできる。この場合、例えば、取付規制部10dと取付規制部10fを組み合わせ、複数個の取付規制部10d,10fを備える取付部10cを形成してもよく、ファンブレード264の形状や種類に合わせ、異なる取付規制部の形状や異なる取付規制部の長さを備える取付部10cを形成するようにしてもよい。
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 取付部が設けられたケースと、
前記取付部に配置され、一対の開口部を有するファンケース、ファンブレード及びファンモータから成る軸流型ファンと、
前記取付部の近傍に設けられ、前記軸流型ファンが取り付けられた状態において一方の開口部からその内部に向けて所定量突出している突出部を備える取付規制部と、
を有し、
前記突出部の前記所定量は、前記ファンケースの前記一方の開口部からファンブレードの前記突起部が対応する位置までの距離より短く、前記ファンケースの他方の開口部からファンブレードの前記突起部が対応する位置までの距離より長い
ことを特徴とする冷却装置。
[2] 前記突出部は、先端の形状が、前記ケースの取付部の取付方向に傾斜している
ことを特徴とする前記[1]に記載の冷却装置。
[3] 前記突出部は、先端の形状が、前記ファンケースの回転軸方向に向けて、円形状に形成されている
ことを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載の冷却装置。
[4] 前記取付規制部は、前記突出部の反対側に、前記ケースの取付部から前記ファンケースを取り外す取り外し用摘みを有する
ことを特徴とする前記[1]乃至前記[3]の何れかに記載の冷却装置。
[5] 前記取付規制部は、複数設けられている、及び/または突出部が上下2段で形成されている
ことを特徴とする前記[1]乃至前記[4]の何れかに記載の冷却装置。
[6] 前記取付規制部は、前記突出部を支持する弾性部を備える
ことを特徴とする前記[1]乃至前記[5]の何れかに記載の冷却装置。
[7] 前記取付規制部は、前記ケースの取付部と一体として形成される
ことを特徴とする前記[1]乃至前記[6]の何れかに記載の冷却装置。
[8] 前記[1]乃至前記[7]の何れかに記載の冷却装置と、
光源光を出射する光源装置と、
を備えることを特徴とする投影装置。