JP6989830B2 - 光触媒材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、可視光による水の光分解が可能な水素発生用光触媒粒子および酸素発生用光触媒粒子を含む光触媒層が基材に固定化されてなる光触媒材およびその製造方法に関する。
可視光応答型光触媒は、太陽光に多く含まれる可視光線を利用することが可能な光触媒である。この可視光応答型光触媒は、有機物の光分解や、水の光分解による水素製造への応用が期待されている。中でも、水素の製造を目的とした水分解用光触媒は、再生可能エネルギーを利用した水素製造方法に用いられる光触媒として注目されている。そして、高い活性が得られる水分解用光触媒が求められている。
WO2014/046305号公報には、基材と、当該基材に固定化されてなる光触媒層とを含んでなる光触媒材であって、前記光触媒層が、一次粒子径が100nm以下である水素発生用可視光応答型光触媒粒子と、酸素発生用可視光応答型光触媒粒子とを含むものが例示されている。この例では、前記水素発生用可視光応答型光触媒粒子と前記酸素発生用可視光応答型光触媒粒子とが互いに接触している。WO2014/046305号公報によれば、この光触媒材は高い水素発生能を有することが報告されているが、光触媒材の水素発生能について更なる向上が求められている。
特開2012-187520号公報には、基材上に光触媒層を有する水分解用光触媒固定化物であって、光触媒層が窒化物又は酸窒化物である可視光応答型光半導体と、可視光応答型光半導体に担持された助触媒と、親水性無機材料とを含む、光触媒固定化物が例示されている。
特開2001-219073号公報には、助触媒を担持した光触媒をシリカ等のバインダーを用いて基板上に固定した光酸化触媒が記載されており、光触媒の配合割合がバインダーに対して20~60重量%程度であることが好ましいことが記載されている。
WO2014/046305号公報 特開2012-187520号公報 特開2001-219073号公報
固相法などを利用して高温で焼成することで高い結晶性を有する光触媒粒子が得られる。高温焼成しているため、これらの粒子の粒径は比較的大きくなる(数百nm)。この粒子を水に分散させた懸濁液を攪拌しつつ光照射することで、水分解活性が確認されている。実用化には光触媒粒子を基材に固定した光触媒シートとする必要がある。このような大きな粒径の粒子を基材上に配置して固定する場合、水との接触面積を増やすために、ある程度の細孔を設けることが好ましい。しかしながらこの場合、例えば流水等によりこれらの粒子の脱粒が生じやすくなる。一方、従来のようにバインダーを使用する場合には、光触媒粒子と水との接触面積が減少し、水分解性能が低下してしまう。
本発明は、細孔径と剥離防止部の厚さとを工夫することで、脱粒および光触媒活性の低下の双方を抑制することを可能とした。すなわち、本発明による光触媒材は、
基材と、
前記基材上に設けられた光触媒層と、
を含む光触媒材であって、
前記光触媒層は、
水素発生用可視光応答型の複数の第1の光触媒粒子と、
酸素発生用可視光応答型の複数の第2の光触媒粒子と、
前記複数の第1の光触媒粒子同士の間、前記複数の第2の光触媒粒子同士の間、前記複数の第1の光触媒粒子と前記複数の第2の光触媒粒子との間、前記複数の第1の光触媒粒子と前記基材との間、および前記複数の第2の光触媒粒子と前記基材との間、の少なくとも一部に設けられた剥離防止部と、
前記複数の第1の光触媒粒子、前記複数の第2の光触媒粒子、および前記剥離防止部、の間に設けられた細孔と、
を含み、
前記第1の光触媒粒子および前記第2の光触媒粒子の平均一次粒子径は100nm以上5000nm以下であり、
前記細孔径は20nm以上500nm以下であり、
前記剥離防止部は、金属の水酸化物、酸化物およびリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、
前記剥離防止部の厚みの平均は50nm以下であることを特徴とするものである。
本発明による光触媒材によれば、脱粒および光触媒活性の低下の双方を抑制することができる。
本発明による光触媒材を示す模式断面図である。 本発明による光触媒材を示す模式断面図である。 本発明による光触媒材を示す模式断面図である。 本発明による光触媒層のSEM画像である。 本発明による光触媒層のTEM画像である。 本発明による光触媒材のXPS測定の結果である。
定義
本明細書において、「可視光」とは、人間の目で視認可能な波長の電磁波(光)を意味する。好ましくは、波長380nm以上の可視光線を含む光、より好ましくは、波長420nm以上の可視光線を含む光を意味する。また、可視光線を含む光としては、太陽光、集光してエネルギー密度を高めた集光太陽光、あるいはキセノンランプ、ハロゲンランプ、ナトリウムランプ、蛍光灯、発光ダイオード等の人工光源を光源として用いることが可能である。好ましくは、地球上に無尽蔵に降り注いでいる太陽光を光源として用いる。これにより、太陽光線の約52%を占める可視光線を利用可能であり、水から水素および酸素を効率的に取り出すことが可能となる。
本明細書において、「水素発生用可視光応答型光触媒粒子」とは、可視光による水の光分解反応により水素を発生可能な光触媒粒子を意味し、「酸素発生用可視光応答型光触媒粒子」とは、可視光による水の光分解反応により酸素を発生可能な光触媒粒子を意味する。
本明細書において、粒子同士が「接続する(couple)」とは、該粒子間において正孔および/または電子が移動可能なように複数の粒子が配置される状態を少なくとも意味する。例えば、粒子同士は物理的に接触して(contact)いないが正孔および/または電子が移動可能なよう配置される態様も含む。一方、粒子同士が「接触する(contact)」とは、粒子の一部同士が接して(contact)配置される状態を意味する。粒子同士が「接触する(contact)」態様には、粒子の一部同士が接する(contact)ことにより、該粒子間において正孔および/または電子が移動可能となっている状態、つまり粒子同士が電気的に接続している状態が含まれる。また、粒子同士が「接合する(bind)」とは、粒子同士が、「接触する(contact)」場合よりも強固に接して(contact)配置される状態を意味する。「接合する」とは、例えば、化学的に結合された状態を含む。
光触媒材
本発明による光触媒材の全体構成について図1を参照しつつ説明する。
光触媒材100は、基材90と、基材90に固定化されてなる光触媒層70とを含む。光触媒層70は、水素発生用可視光応答型の第1の光触媒粒子10(以下、単に「第1の光触媒粒子」ともいう)と、酸素発生用可視光応答型の第2の光触媒粒子20(以下、単に「第2の光触媒粒子」ともいう)と、剥離防止部60と、細孔71とを含む。この例では、剥離防止部60は、複数のコロイド粒子61を含んでいる。光触媒層70において、剥離防止部60は、第1の光触媒粒子10同士の間、第2の光触媒粒子20同士の間、第1の光触媒粒子10と第2の光触媒粒子20との間、第1の光触媒粒子10と基材90との間、および第2の光触媒粒子20と基材90との間、の少なくとも一部に配置される。細孔71は、第1の光触媒粒子10、第2の光触媒粒子20および剥離防止部60の間に配置される。本発明による光触媒材は、上述したような構成を有することにより、可視光照射下で高い光触媒活性を発現することができ、高い効率で水を光分解することが可能となり、非常に高い水素発生能を有するとともに、脱粒を抑制することができる。
基材
本発明による光触媒材に含まれる基材90は、その表面に光触媒層70を固定化し得るものであればよい。このような基材90の具体例としては、有機基材や、無機基材が挙げられる。有機基材としては、例えば、プラスチック基材が挙げられる。無機基材としては、例えば、アルミナ基板などのセラミックス基材、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラスなどのガラス基材、石英基材が挙げられる。例えば250℃以上、あるいは300℃以上の加熱によって分解されにくい基材がより好ましい。光透過性を有する基材を用いてもよい。
また、基材90として金属基材を用いてもよい。金属の具体例としては、チタン、アルミニウム、鉄、ステンレス等が挙げられる。実用上、金属よりも上記有機物あるいは無機物が好ましい。
なお、本発明による光触媒材において、基材90として、絶縁性基材を用いることができる。
基材90は、その表面に乾燥または焼成によって光触媒層70が固定化され得る形状を有するものであればよい。このような基材90の具体例としては、平滑表面を有する平板体(例えばガラス基板、アルミナ基板等)、あるいは表面多孔性の平板体(例えば陽極酸化アルミナ)、多孔体(例えばポーラスセラミックス)、繊維体(例えばガラスファイバー、炭素繊維)等を好ましく用いることができる。繊維体としては、より好ましくは、光透過性の高いガラスファイバーを用いることができる。これにより、繊維体の光照射面よりも層内部への光透過が可能となり、光吸収量の増大が期待できる。また、基材90の表面形状は、波打った形状、くし型の形状、繊維状、メッシュ状であってもよい。
基材90は、複数の空孔を有していてもよい。それぞれの空孔の径は、例えば、0.1~30μmであることが好ましい。これらの空孔は連続気孔として配置されることが好ましい。これにより、例えば、光触媒層70の内部に配置される光触媒粒子10、20の表面で水分解反応により生成した水素ガスが、光触媒層70内部の細孔71を拡散した後、例えば、この細孔71より大きい開口部をもつこれら空孔を通して光触媒層70の外部に到達することが可能となり、より効率的な水素ガスの発生が可能となる。
光触媒層
本発明において、光触媒層70は、緻密な連続層であってもよい。光触媒層70は、例えば、不連続な部分を有していてもよい。例えば、光触媒層70は基材90の表面に島状に離散して存在していてもよい。光触媒層70は、波状、くし型状、ファイバー状、メッシュ状などの状態であってもよい。
光触媒層70は、例えば、水、水素および酸素ガスが拡散可能な細孔71を有する。細孔71は、例えば、第1の光触媒粒子10、第2の光触媒粒子20、および剥離防止部60の間に配置される。この細孔71を介することにより、光触媒層70の表面だけでなく、その内部に位置する光触媒粒子も、水および光と接触することが可能となる。細孔径は20nm以上500nm以下であり、好ましくは20nm以上100nm以下である。
本発明において、光触媒層70の厚みは、0.1μm以上50μm以下であることが好ましい。より好ましい光触媒層70の厚みは0.2μm以上30μm以下である。
ここで、光触媒層70の厚みは、例えば、光触媒材断面の走査型電子顕微鏡観察により求めることができる。詳細には、基材90の表面のある点における水平方向の接線から、この接線に対する垂線における光触媒層70の最上部までの距離である。例えば、基材90が図1などに示されるような平板の場合、光触媒層70の厚みは基材90の表面から鉛直方向に光触媒層70の最上部までの距離である。また、基材90の表面がファイバーのようなものである場合、光触媒層70の厚みはファイバーの表面のある点における水平方向の接線から、この接線に対する垂線における光触媒層70の最上部までの距離である。
図2に示すように、光触媒材101において、光触媒層70は導電性粒子40を含んでもよい。この場合、導電性粒子40は、その表面の任意の部位(点、面など)で、第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20の双方と接触している。光触媒層70において、導電性粒子40の表面は、第1領域と、第2領域と、第3領域と、を有する。第1領域において、導電性粒子40は第1の光触媒粒子10と物理的に接触している。第2領域において、導電性粒子40は第2の光触媒粒子20と物理的に接触している。第3領域は、導電性粒子40の表面において、第1領域および第2領域以外の領域である。すなわち、第3領域において、導電性粒子40は、第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20のいずれとも接触しない。
光触媒層70において、第1の光触媒粒子10と第2の光触媒粒子20とが、導電性粒子40を介して電気的に接続されているため、第1の光触媒粒子10の価電子帯で生成する励起正孔と、第2の光触媒粒子20の伝導帯で生成する励起電子との導電性粒子40を介した電気的接続の程度がより強くなる。そのため、光触媒材101においては、導電性粒子40における光励起正孔と光励起電子との間の電荷再結合反応が起こる。その結果、光触媒層70の光触媒活性をより高めることができ、光触媒層70の水素発生能がより向上される。
水素発生用可視光応答型光触媒粒子(第1の光触媒粒子)
第1の光触媒粒子10は、光学的バンドギャップを有する半導体粒子である。第1の光触媒粒子10が可視光を吸収することで、第1の光触媒粒子10におけるバンド間遷移等の電子遷移により、伝導帯あるいはバンドギャップ内に存在する電子アクセプター準位に励起電子を生じ、かつ価電子帯あるいはバンドギャップ内に存在する電子ドナー準位に励起正孔を生じる。第1の光触媒粒子10は、この励起電子および励起正孔のそれぞれが反応対象物を還元および酸化することが可能な光触媒材料である。つまり、第1の光触媒粒子10は、可視光線を照射することで生成する励起電子が、水を還元して水素を生成可能な光触媒材料である。第1の光触媒粒子10の伝導帯あるいはバンドギャップ内に存在する電子アクセプター準位は、例えば、水の還元電位(0V vs.NHE(標準水素電極電位)at pH=0)よりも負な位置にある。また、第1の光触媒粒子10の価電子帯あるいはバンドギャップ内に存在する電子ドナー準位は、例えば、第2の光触媒粒子の伝導帯位置よりも正な位置にある。
第1の光触媒粒子10の好ましい例としては、RhドープSrTiO3(SrTi1-xRhx3:x=0.002~0.1)、IrドープSrTiO3(SrTi1-xIrxO3:x=0.002~0.1)、CrドープSrTiO3(SrTi1-xCrx3:x=0.002~0.1)、CrおよびTaドープSrTiO3(SrTi1-x―yCrxTay3:x=0.002~0.1、y=0.002~0.1)、LaおよびRhドープSrTiO3(Sr1-xLaxTi1―yRhy3:x=0.005~0.2、y=0.005~0.2)等の遷移金属あるいは貴金属の少なくとも1種類がドープされたペロブスカイト型SrTiO3、Cu2O、CuO、CaFe24、NiO、Bi23、BiOX(X=Cl,Br,I)、GaN-ZnO固溶体、LaTiO2N、BaTaO2N、BaNbO2N、TaON、Ta35、Ge34等の遷移金属あるいは典型金属を含有する酸窒化物あるいは窒化物、CuGaS2、CuInS2、Cu(Ga,In)S2、CuGaSe2、CuInSe2、Cu(Ga,In)Se2、Cu2ZnSnS4(CZTS)、Cu2ZnSn(S,Se)4等のGa、In、Al等の典型金属を含む銅セレン化物、銅硫化物、または銅複合硫セレン化物、La5Ti2CuS57、La5Ti2AgS57、La5Ti2CuSe57、La5Ti2AgSe57等の酸硫セレン化物およびその金属ドープ化合物等の酸硫化物からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
第1の光触媒粒子10のより好ましい例としては、RhドープSrTiO3(SrTi1-xRhx3:x=0.005~0.05)、IrドープSrTiO3(SrTi1-xIrxO3:x=0.005~0.05)、CrドープSrTiO3(SrTi1-xCrx3:x=0.002~0.1)、CrおよびTaドープSrTiO3(SrTi1-x―yCrxTay3:x=0.002~0.1、y=0.002~0.1)、LaおよびRhドープSrTiO3(Sr1-xLaxTi1―yRhy3:x=0.005~0.2、y=0.005~0.2)等の遷移金属あるいは貴金属の少なくとも1種類がドープされたペロブスカイト型SrTiO3、Cu2O、CuO、CaFe24、NiO、Bi23、BiOX(X=Cl,Br,I)、GaN-ZnO固溶体、LaTiO2N、BaTaO2N、BaNbO2N、TaON、Ta35、Ge34、CuGaS2、CuInS2、Cu(Ga,In)S2、CuGaSe2、CuInSe2、Cu(Ga,In)Se2、Cu2ZnSnS4(CZTS)、Cu2ZnSn(S,Se)4、La5Ti2CuS57およびその金属ドープ化合物、La5Ti2AgS57およびその金属ドープ化合物等の酸硫化物からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
第1の光触媒粒子10の最も好ましい例としては、RhドープSrTiO3(SrTi1-xRhx3:x=0.01~0.04)、CrドープSrTiO3(SrTi1-xCrx3:x=0.002~0.1)、CrおよびTaドープSrTiO3(SrTi1-x―yCrxTay3:x=0.002~0.1、y=0.002~0.1)、LaおよびRhドープSrTiO3(Sr1-xLaxTi1―yRhy3:x=0.005~0.2、y=0.005~0.2)等の遷移金属あるいは貴金属の少なくとも1種類がドープされたペロブスカイト型SrTiO3、TaON、Ta35、からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
第1の光触媒粒子の平均一次粒子径
第1の光触媒粒子10の平均一次粒子径は100nm以上5000nm以下である。このような小さな粒径を有することで、第1の光触媒粒子10において、水と接触可能な単位重量当たりの表面積が大きくなる。これにより、水の還元反応サイトが増加し、その結果、高効率な水素発生が可能となる。第1の光触媒粒子10の平均一次粒子径の好ましい下限は、100nmであり、好ましい上限は1000nmである。
酸素発生用可視光応答型光触媒粒子(第2の光触媒粒子)
第2の光触媒粒子20は、光学的バンドギャップを有する半導体粒子である。第2の光触媒粒子20が可視光を吸収することで、第2の光触媒粒子20におけるバンド間遷移等の電子遷移により、伝導帯に励起電子を生じ、かつ価電子帯に励起正孔が生じる。第2の光触媒粒子20は、この励起電子および励起正孔のそれぞれが反応対象物を還元および酸化することが可能な光触媒材料である。つまり、第2の光触媒粒子20は、可視光線を照射することで生成する励起正孔が、水を酸化して酸素を生成可能な光触媒材料である。第2の光触媒粒子20の価電子帯は、例えば、水の酸化電位(+1.23V vs.NHE(標準水素電極電位)at pH=0)よりも正な位置にある。また、第2の光触媒粒子20の伝導帯は、例えば第1の光触媒粒子の価電子帯位置よりも負な位置にある。
第2の光触媒粒子20の好ましい例としては、BiVO4、XドープBiVO4(X:Mo,W)、SnNb26、WO3、Bi2WO6、Fe2TiO5、Fe23、Bi2MoO6、GaN-ZnO固溶体、LaTiO2N、BaTaO2N、BaNbO2N、TaON、Ta35、Ge34等の遷移金属あるいは典型金属を含有する酸窒化物あるいは窒化物からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
第2の光触媒粒子20のより好ましい例としては、BiVO4、XドープBiVO4(X:Mo,W)、SnNb26、WO3、Bi2WO6、Bi2MoO6、Fe23、GaN-ZnO固溶体、LaTiO2N、BaTaO2N、BaNbO2N、TaON、Ta35、Ge34からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
第2の光触媒粒子20の最も好ましい例としては、BiVO4、MoドープBiVO4、WO3、SnNb26、Bi2WO6、BaTaO2N、Fe23からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
第2の光触媒粒子の平均一次粒子径
第2の光触媒粒子20の平均一次粒子径は100nm以上5000nm以下である。このような小さな粒径を有することで、第2の光触媒粒子20において、水と接触可能な単位重量当たりの表面積が大きくなる。これにより、水の酸化反応サイトが増加し、その結果、高効率な酸素発生が可能となる。第2の光触媒粒子20の平均一次粒子径の好ましい下限は、100nmであり、好ましい上限は1000nm以下である。
第1および第2の光触媒粒子の平均一次粒子径の評価手法
第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20の平均一次粒子径の評価手法としては、例えば、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、“S-4100”、以下「SEM」ともいう。)により、倍率40000倍で観察した際の結晶粒子50個の円形近似による平均値で定義することが可能である。
導電性粒子
(定義)
本発明において、導電性粒子40とは、第1の光触媒粒子10の価電子帯上端の電子エネルギー準位よりも負な位置であり第2の光触媒粒子20の伝導帯下端の電子エネルギー準位よりも正な位置にフェルミ準位を有しており、電子および正孔を貯蔵可能な、導電性を有する粒子である。導電性粒子40が、このような特定のフェルミ準位を有することにより、光触媒材101による水の光分解を向上させることができる。なお、導電性粒子のフェルミ準位に関しては、電子エネルギー準位の換わりに電位を基準として用い表現することもでき、この場合、導電性粒子40は、第1の光触媒粒子10の価電子帯上端よりも負な電位であり、第2の光触媒粒子20の伝導帯下端よりも正な電位にフェルミ準位を有する。
(材料)
導電性粒子40の好ましい材料の例としては、金、銀、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム等の金属、カーボン材料、TiN等の窒化物、TiC等の炭化物、マンガン酸化物(MnO2、AMnO3(A:CaまたはSr)、BドープAMnO3(A:CaまたはSr、B:La3+、Y3+、Bi3+、Nb5+、またはTa5+))、スズドープ酸化インジウム(ITO)、金属(B,Al,Ga)ドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化ロジウム、スピネル型酸化物AB24(A=Fe、Ni、Mn、Co、Zn等、B=Fe、Co、Mn等、A=Bでもよく、A≠Bでもよい)等の導電性の金属酸化物からなる群から選択される1種以上のものが挙げられる。これらの中でも、金、カーボン材料、ITO、および金属(B,Al,Ga)ドープ酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、マグネタイト(Fe34)等の導電性の金属酸化物からなる群から選択される1種以上のものがより好ましい。カーボン材料としては、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等を用いることが出来る。
導電性粒子および光触媒粒子の材料がいずれも金属酸化物である場合、光触媒粒子と導電性粒子とは金属酸化物同士であるため、導電性粒子は優れたバインダー効果を得ることができ、導電性粒子と光触媒粒子との接触をより強固なものとすることができる。また、基材の材料としてガラス、アルミナ等の無機物、特に金属酸化物を用い、導電性粒子の材料も金属酸化物である場合、基材と導電性粒子との間で金属-酸素結合が形成される。そのため、導電性粒子と基材との密着性が向上する。その結果、光触媒材全体の機械的強度を向上させることが可能となる。また、金属酸化物を材料とする導電性粒子としては、アモルファス構造を有するものよりも、結晶構造を有するものが好ましい。これにより、高い導電性と酸化還元に対する高い安定性が得られる。
なお、一般に導電性材料として知られているバリウム、セシウム、ナトリウムは、仕事関数が小さく上述したフェルミ準位を有さない。そのため、これらの材料は、本発明における導電性粒子40には含まれない。
(形状および粒子状態)
導電性粒子40はいかなる粒子状態であってもよい。導電性粒子40が、図2に示すように、例えば、いわゆる一次粒子であって、第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20と、1つの導電性粒子40とが接触していてもよい。あるいは、導電性粒子40として、例えば一次粒子が凝集した状態のいわゆる二次粒子を用い、第1の光触媒粒子10と第2の光触媒粒子20とを複数個の導電性粒子40の集合体で接続してもよい。また、導電性粒子40は、例えば加熱などにより、複数の一次粒子および/または単数もしくは複数の二次粒子が接合した状態であってもよい。上記いずれの態様も、導電性粒子40と、第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20とが、同じ導電性粒子40を介して接続される状態に含まれる。
本発明において、導電性粒子40はいかなる形状であってもよい。導電性粒子40の形状は、例えば、等方性形状(球状、概多角形状など)または異方性形状(柱状、棒状、板状、薄片状など)である。異方性形状の粒子として、たとえば導電性ワイヤーを用いることができる。導電性ワイヤーの例として、棒状あるいは針状の形態を持つ粒子が挙げられる。
(平均一次粒子径)
本発明において、導電性粒子40の平均一次粒子径は、第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20それぞれの平均一次粒子径に比べて小さいことが好ましい。これにより、光触媒層70において、例えば、第1および第2の光触媒粒子10、20に効果的に光を照射することが可能となる。また、導電性粒子40の平均一次粒子径が第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20それぞれの平均一次粒子径に比べて小さい場合には、基材90と光触媒層70を構成する各粒子との単位面積当たりの接触点を増やすことができる。そのため、光触媒層70と基材90との密着性を向上させることができる。
また、導電性粒子40の平均一次粒子径は、光触媒層70において第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20への光照射が確保される範囲で適宜選択することができる。例えば、導電性粒子40として、光透過性を有する粒子を用いる場合には、その粒子径が比較的大きいものを用いることができる。一方、導電性粒子40として、光透過性を有さない粒子を用いる場合には、その粒子径がより小さいものを用いることが好ましい。
導電性粒子40の平均一次粒子径は、例えば、1nm以上1000nm以下であることが好ましく、5nm以上500nm以下であることがより好ましく、5nm以上200nm以下がさらにより好ましい。これにより、光触媒層70において、第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20に可視光を効果的に照射することが可能となる。また、光触媒層70において、例えば、導電性粒子40と光触媒粒子10、20とを良好に接触させることが可能となる。また、光触媒層70に適切な細孔71を形成することができる。また、導電性粒子の平均一次粒子径を上記範囲内で比較的大きくすることで、第1の光触媒粒子10と第2の光触媒粒子20との間において電荷再結合反応が起こる確率を高くすることができる。その結果、光触媒材において、高い水分解活性をより確実に得ることができる。
導電性粒子40の平均一次粒子径は、10nm以上200nm以下であることがとりわけ好ましい。この粒径範囲とすることにより、導電性粒子40は、第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20を接続することができるのみならず、バインダーとしての優れた機能を発揮して、光触媒粒子同士の密着性を高めることができる。
導電性粒子40が等方性形状の粒子である場合、平均一次粒子径は、例えば1nm以上1000nm以下が好ましく、5nm以上500nm以下がより好ましく、5nm以上200nm以下がさらにより好ましく、10nm以上200nm以下がとりわけ好ましい。このような平均一次粒子径を有することで、導電性粒子40と光触媒粒子10、20との効率的な接触が可能となる。また、導電性粒子40により、光触媒粒子10、20の光吸収を妨げることが抑制される。本発明において、導電性粒子40が等方性形状の粒子である場合、例えば、導電性粒子40をSEMあるいはTEM観察して得られる導電性粒子の面積を、円の面積に換算することにより求められる直径を、その平均一次粒子径としてもよい。あるいは、導電性粒子40の最大断面の直径を導電性粒子40の平均一次粒子径としてもよい。
導電性粒子40が異方性形状の粒子である場合、導電性粒子40のアスペクト比(長軸径/短軸径)は好ましくは5以上1000以下である。このようなアスペクト比とすることで、第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20と、導電性ワイヤーとが接触する確率を十分に高くすることができる。そのため、後述する電荷再結合反応が促進される。その結果、水の効率的な光分解が可能となる。さらに、異方性形状の導電性粒子40を用いた場合には、導電性粒子40によるバインダー効果を高めることができる。
異方性形状の導電性粒子40として導電性ワイヤーを用いる場合、その平均一次粒子径は、例えば、1nm以上1000nm以下が好ましく、5nm以上200nm以下が好ましい。ここで、導電性ワイヤーの平均一次粒子径とは、導電性ワイヤーのうち、最小断面積となる断面を円形近似した際の直径をいう。
導電性ワイヤーの長軸の長さは、特に制限はないが、好ましくは、10nm以上10000nm以下である。このような形状およびサイズを有することで、導電性ワイヤーと、光触媒粒子10、20とを効率的に接触させることが可能である。また、導電性粒子40により、光触媒粒子10、20の光吸収を妨げることが抑制される。また、導電性粒子40によるバインダー効果を高めることができる。
また、異方性の導電性粒子40として板状あるいは薄片状の形態を持つ導電性プレートを用いる場合、板面あるいは薄片の長軸径は、20nm以上1000nm以下が好ましい。板面あるいは薄片の平均一次粒子径は、1nm以上1000nm以下が好ましい。ここで、導電性プレートの平均一次粒子径とは、導電性プレートのうち、例えば、最大断面積となる断面を円形近似した際の直径をいう。導電性プレートのアスペクト比(長軸径/短軸径)は、例えば3以上5000以下が好ましく、10以上1000以下がより好ましい。このような形状およびサイズを有する導電性プレートを導電性粒子40として用いることにより、光触媒粒子10、20と導電性粒子40とを効率的に接触させることが可能である。また、導電性粒子40により、光触媒粒子10、20の光吸収を妨げることが抑制される。また、導電性粒子40によるバインダー効果を高めることもできる。
(導電率・体積抵抗率)
導電性粒子40の導電率は、0.1Scm-1以上であることが好ましい。導電性粒子40の体積抵抗率は、例えば、10Ωcm以下であることが好ましい。
(含有量)
本発明において、光触媒材は、第1の光触媒粒子10と第2の光触媒粒子20との間における電気的接続点を増やすことができる程度の量の導電性粒子40を含むことが好ましい。また、光触媒材は、第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20の光吸収を妨げない程度の量の導電性粒子40を含むことが好ましい。その含有量は、第1の光触媒粒子10、第2の光触媒粒子20および導電性粒子40の平均一次粒子径、あるいは導電性粒子40の比重を考慮して適宜設定することができる。その含有量は、例えば、光触媒層70に細孔71を形成可能な範囲で適宜設定することが好ましい。例えば、第1の光触媒粒子10、第2光触媒粒子20および導電性粒子40の合計含有量に対して、導電性粒子40を、1wt%以上99wt%以下含むことが好ましい。導電性粒子40の含有量の割合は、5wt%以上60wt%以下、5wt%以上50wt%以下であることがより好ましい。
可視光線を照射することにより、第1の光触媒粒子10の価電子帯で生成する励起正孔は、第1の光触媒粒子10の表面に拡散し、価電子帯上端の電子エネルギー準位より負な位置にフェルミ準位を有する導電性粒子40内に移動すると考えられる。また、可視光線を照射することにより、第2の光触媒粒子20の伝導帯で生成する励起電子は、第2の光触媒粒子20の表面に拡散し、伝導帯下端の電子エネルギー準位より正な位置にフェルミ準位を有する導電性粒子40内に移動すると考えられる。そして、導電性粒子40内に貯蔵される第1の光触媒粒子10の価電子帯で生成した光励起正孔と、第2の光触媒粒子20の伝導帯で生成した光励起電子とが反応して、電荷再結合反応が起こり、これら2つの励起キャリアは消滅すると考えられる。この電荷再結合反応により、従来水の光分解反応に関与することがなく、むしろ水の光分解反応における個々の粒子の光触媒活性を低下させる傾向にあった光励起正孔および光励起電子を高効率で消滅させることが可能となり、これにより水の光分解反応が効率的に起こることを可能にすると考えられる。その結果、導電性粒子40により電気性に接続された第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20は高い光触媒活性を発現することが可能となり、水素発生能の向上が実現されると考えられる。
(仕事関数)
本発明において、導電性粒子40のフェルミ準位は、真空準位とフェルミ準位とのエネルギー差である仕事関数を用いて見積もることができる。仕事関数は、例えばケルビンプローブフォース顕微鏡(KPFM)を用いた電位測定により求めることができる。
剥離防止部
本発明において、光触媒材100の光触媒層70は、第1の光触媒粒子同士の間、第2の光触媒粒子同士の間、第1の光触媒粒子と第2の光触媒粒子との間、第1の光触媒粒子と基材との間、および第2の光触媒粒子と基材との間、の少なくとも一部に設けられた剥離防止部60をさらに含む。また、剥離防止部60は、光触媒層70が導電性粒子40を含む場合、導電性粒子40の第3領域の少なくとも一部に設けられてもよい。光触媒層70が剥離防止部60を有することにより、光触媒粒子10、20の基材からの剥離を防止することができる。
本発明の光触媒材では、可視光を照射することで水を分解し、水素及び酸素を生成することができる。このとき、水中での水分解反応により生成した水素および酸素ガスが、導電性粒子の表面で導電性粒子を触媒として反応することにより、水を生成する逆反応が生じてしまい、生成される水素及び酸素の量が低下してしまう課題がある。導電性粒子が金などの金属粒子であるとき、この金属粒子が逆反応の触媒として作用し、逆反応が促進される傾向がある。これに対して、例えば減圧状態で水分解を行うことで、逆反応を防止することができるが、実用上より簡便な方法が好ましい。本発明では、導電性粒子40に設けた剥離防止部60により、水分解により生成した水素あるいは酸素分子が導電性粒子40の外表面である第3領域40cへ拡散し、導電性粒子40表面で水素および酸素の逆反応に伴う水の生成が生じるのを防ぐことができることを見出した。そのため、簡便な構成で効果的に逆反応を防止することができ、水素生成能の低下を抑制することができる。
本発明にかかる光触媒材は使用時に流水等と接する状態に長期間曝される。そのため、光触媒層70が基材90から剥離しないことが重要である。光触媒層70と基材90との間に実用上十分な密着強度を持たせるために、例えば、光触媒層70を高温で基材に焼き付けることが考えられる。しかしながら、量産化、低コスト化のためには、焼成しない、あるいは低温焼成であっても十分な密着性を確保できることが好ましい。
本発明では、光触媒層70において、第1の光触媒粒子同士の間、第2の光触媒粒子同士の間、第1の光触媒粒子と第2の光触媒粒子との間、第1の光触媒粒子と基材との間、および第2の光触媒粒子と基材との間、の少なくとも一部に剥離防止部60を設けることで、光触媒粒子10、20の剥離を抑制することができる。剥離防止部60を、例えば光触媒層70と基材90との密着性を高めるフィラーとして機能する粒子を用いて形成することができる。
本発明において剥離防止部60は、金属の水酸化物、酸化物あるいはリン酸塩の少なくとも1種を含む。剥離防止部60は、鉄、シリコン、クロム、チタン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、アルミニウム、マグネシウム、ランタン、セリウムから選ばれる1種の金属の水酸化物、酸化物あるいはリン酸塩を含むことが好ましい。剥離防止部60は、より好ましくは三酸化二鉄(Fe23)、シリカ(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タンタル(Ta25)、酸化セリウム(CeO2)、あるいは二酸化チタン(TiO2)を含む。剥離防止部60の厚みt60は水分解性能を阻害しない範囲で適宜選択することができ、例えば剥離防止部の厚みの平均は50nm以下である。好ましくは、剥離防止部60の厚みの平均は2.5nm以上20nm以下である。剥離防止部60の厚みをこのような範囲とすることにより、光触媒反応が阻害されることもなく、また逆反応抑制効果が得られる。ここで、逆反応とは、水中での水分解反応により生成した水素および酸素ガスが、導電性粒子の表面で導電性粒子を触媒として反応することにより、水を生成する反応を意味する。剥離防止部60をコロイド粒子により形成する場合には、単粒子膜とすることが好ましい。
また、剥離防止部60を、例えば、ガラスフリットや無機酸化物の微粒子を用いて形成することができる。ガラスフリットとしては、低融点ガラスフリットが好ましく用いられる。無機酸化物としては、例えば、シリカ、アルミナ、ZrO2、TiO2等の材料が好ましく用いられる。ガラスフリットまたは無機酸化物微粒子の平均一次粒子径は、100nm以下であることが好ましい。この粒径範囲とすることで、光触媒活性を低下させずに、光触媒層中への水や水素および酸素ガスの拡散をスムーズに行うことが可能となる。
本発明において、剥離防止部60の状態としては、例えば連続的な層や、不連続な島状構造としてもよい。剥離防止部60は、導電性粒子40の第3領域にコロイド粒子を担持してもよい。また、剥離防止部60を、例えば緻密な連続層で構成してもよい。なお、剥離防止部60については、透過型電子顕微鏡(TEM)による光触媒材の破断面の高倍率観察で分析することができる。
剥離防止部60の具体例について、図2および図3を参照しつつさらに詳しく説明する。図2および図3は、本発明による光触媒材を説明するための模式的断面図である。第1の例として、光触媒材101を示す。図2に示すように、光触媒材101において、光触媒層70は導電性粒子40を含む。この例では、剥離防止部60は、複数のコロイド粒子61を含んでいる。光触媒材101において、複数のコロイド粒子61が、第1および第2の光触媒粒子10、20並びに導電性粒子40の外表面に配置されている。ここで、「外表面」とは、対象粒子の表面のうち、対象粒子以外の光触媒層70に含まれる粒子と物理的に接触している部分(第1領域、第2領域)以外の部分(第3領域)を言う。
「第1の光触媒粒子10の外表面」とは、第1の光触媒粒子10の表面のうち、導電性粒子40および第2の光触媒粒子20など、光触媒層70に含まれる粒子と物理的に接触している部分以外の部分を言う。第1の光触媒粒子10の表面は、第1領域と第2領域と第3領域とを有する。第1領域において、第1の光触媒粒子10は第2の光触媒粒子20と接触する。第2領域において、第1の光触媒粒子10は導電性粒子40と接触する。第1の光触媒粒子10において、第3領域は、第1領域および第2領域以外の領域である。第3領域が、第1の光触媒粒子10の外表面に相当する。
「第2の光触媒粒子20の外表面」とは、第2の光触媒粒子20の表面のうち、導電性粒子40および第1の光触媒粒子10など、光触媒層70に含まれる粒子と物理的に接触している部分以外の部分を言う。第2の光触媒粒子20の表面は、第1領域と第2領域と第3領域とを有する。第1領域において、第2の光触媒粒子20は第1の光触媒粒子10と接触する。第2領域において、第2の光触媒粒子20は導電性粒子40と接触する。第2の光触媒粒子20において、第3領域は、第1領域および第2領域以外の領域である。第3領域が、第2の光触媒粒子20の外表面に相当する。
光触媒材101においては、導電性粒子40の外表面(第3領域)に、剥離防止部60として複数のコロイド粒子61が配置されているため、光触媒層70の強度が高められ、耐久性が向上する。
複数のコロイド粒子61を含む剥離防止部60の形成方法としては、例えば、第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20並びに導電性粒子40を含む層を基材上に形成後、剥離防止部60となるコロイド粒子61を含む分散液を上記層表面に吸着させる方法を用いることができる。あるいは、化学還元法や光還元法等により導電性粒子40の表面に直接コロイドを析出させる方法を用いてもよい。また、第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20、導電性粒子40並びに剥離防止部60となるコロイド粒子61を含む層を基材90上に形成させる方法を用いてもよい。この場合、各粒子の配合比(重量比)を、光触媒粒子、コロイド粒子、導電性粒子の順、あるいは、光触媒粒子、導電性粒子、コロイド粒子の順に少なくすることで、例えば、高効率な光触媒特性とすることができる。あるいは、一次粒子径が、光触媒粒子、コロイド粒子、導電性粒子の順、あるいは、光触媒粒子、導電性粒子、コロイド粒子の順に小さくしてもよい。
第2の例として、光触媒材102を示す。図3に示すように、光触媒材102において、剥離防止部60は、連続的な被覆層62からなる。被覆層62は、第1の光触媒粒子10、第2の光触媒粒子20および導電性粒子40のそれぞれの外表面を覆うように配置されている。この例では、被覆層62は、略連続した層構造を有しているが、不連続な部分を一部有していてもよい。光触媒材102にあっては、光触媒層70の強度が高められ、耐久性も向上する。被覆層62は、アモルファス相、結晶相、水酸化物相のいずれであっても良い。
被覆層62の形成方法としては、例えば、モノマー、オリゴマーあるいはポリマー状の金属を含む原料を、導電性粒子40あるいは/および光触媒粒子10、20の表面に吸着させ、場合によっては加熱や化学反応により導電性粒子40あるいは/および光触媒粒子10、20表面で原料を重合させる方法を用いることができる。これにより、被覆層を形成することが可能である。また、乾式製膜法(スパッタ法、蒸着法、CVD法、原子層堆積法など)または化学還元法もしくは光還元法等によって、被覆層を形成することも可能である。
光触媒材100は、基材90と光触媒層70との間に中間層80をさらに含んでもよい。中間層80は、基材90と光触媒層70との間に配置され、基材90及び光触媒層70のそれぞれと接続される。これによって、例えば、基材90と光触媒層70との間の密着性を向上させることができる。中間層80に用いられる材料としては、例えば導電性粒子40や後述するアスペクト比の小さい非導電性粒子が挙げられる。導電性粒子40を用いて形成された中間層80は、水の光分解性能に優れる。アスペクト比の小さい非導電性粒子を用いて形成された中間層80は、バインダーとして機能して光触媒層70を基材90により強固に密着させることができる。光触媒材100が、中間層80を含む場合には、中間層80の厚みは、走査型電子顕微鏡による層の破断面観察により、評価することができる。
その他の粒子
本発明の好ましい態様によれば、光触媒材100の光触媒層70は、光触媒粒子10、20および導電性粒子40以外のその他の粒子をさらに含んでもよい。
また、本発明において、その他の粒子は、光触媒粒子10、20の表面を覆うことがない粒子であることが好ましい。これにより、光触媒材100の光触媒活性の低下を抑制することができる。その他の粒子の好ましい例としては、アスペクト比の小さい粒子が挙げられる。また、その他の粒子としては、可視光域の吸収が小さい粒子を用いることが好ましい。これにより、光触媒粒子10、20の光吸収が阻害されることを抑制できる。
光触媒粒子の助触媒
本発明において、第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20を用いて水を光分解する場合、これら光触媒粒子の表面に助触媒を担持させることができる。これにより、水の還元および酸化反応が促進され、水素および酸素の生成効率が向上する。助触媒は、例えば第1の光触媒粒子10の第3領域、および/または第2の光触媒粒子20の第3領域の一部に設けられる。
第1の光触媒粒子10の助触媒としては、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム等の金属粒子からなる群から選択される1種以上、あるいは、酸化ルテニウム、酸化ニッケル等の酸化物粒子からなる群から選択される1種以上、あるいは、これらの金属粒子あるいは酸化物粒子を混合させたもの、あるいは、ロジウムおよびクロムを含む複合水酸化物もしくは複合酸化物を好ましく用いることがでる。より好ましくは、白金、ルテニウムの金属粒子、あるいはロジウムおよびクロムを含む複合水酸化物もしくは複合酸化物を用いることができる。この助触媒を、粒子形状で第1の光触媒粒子10の表面に担持させることにより、水の還元反応における活性化エネルギーを減少させることが可能となるため、速やかな水素の発生が可能となる。
本発明において、第1の光触媒粒子10の助触媒表面のうち、第1の光触媒粒子10と物理的に接触している部分以外の部分の少なくとも一部を別の層で被覆することも可能である。これにより、第1の光触媒粒子10の助触媒表面での水素および酸素分子の逆反応による水分子生成を抑制することができる。この別の層は、シリコン、クロム、チタン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、アルミニウム、マグネシウムから選ばれる少なくとも1つを含むアモルファス酸化物もしくは水酸化物、酸化物結晶、あるいはリン酸塩を含むことが好ましい。助触媒を覆う別の層を構成する材料は、アモルファスであることが好ましい。それによって、助触媒表面へプロトンと水分子が拡散するのを抑制することができる。また、水素ガスおよび酸素ガスが、助触媒に侵入するのを抑制することができる。別の層の厚みは、1nm以上50nm以下が好ましく、より好ましくは、2nm以上20nm以下である。
第2の光触媒粒子20の助触媒としては、Mn、Fe、Co、Ir、Ru、Ni等の金属からなる群から選択される1種以上、あるいは、これらの金属を混合させた金属酸化物、金属水酸化物もしくは金属リン酸塩からなる粒子を好ましく用いることができる。より好ましくは、Mn、Co、Ruから選択される1種以上を含む金属酸化物粒子あるいは金属水酸化物粒子を用いることができる。
これら助触媒の平均一次粒子径は10nm未満であることが好ましく、さらに好ましくは5nm以下である。平均一次粒子径を小さくすることにより、水素および酸素発生反応の活性点として効率的に機能させることができ、助触媒として十分な機能を発揮させることが可能となる。助触媒の平均一次粒子径が10nm以上である場合、水の還元あるいは酸化反応サイトとして、担持重量あたりの活性点数の減少が起こるため、効率的な水分解が抑制される恐れがある。
助触媒の担持方法としては、含浸法や吸着法などが好ましく挙げられる。含浸法や吸着法は、光触媒粒子10、20を助触媒前駆体が溶解した溶液に分散させて、光触媒粒子10、20の表面に助触媒前駆体を吸着させる方法である。助触媒前駆体としては、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、ニッケル等の金属の塩化物、硝酸塩、アンミン塩等が挙げられる。
また、光触媒粒子10の表面に助触媒前駆体を担持させる場合、金属の状態とすることで活性が高くなる。そこで、助触媒前駆体を光触媒粒子10の表面上で還元させて金属を含む状態で析出させることが好ましい。助触媒前駆体の還元方法としては、光還元法、化学還元法等が好ましく用いられる。光還元法は、光触媒粒子への紫外光あるいは可視光の照射により、光触媒粒子10内に生成する励起電子によって、光触媒粒子10に吸着した助触媒前駆体を還元させる方法である。また、化学還元法は、400℃以下、好ましくは300℃以下の水素ガス気流下で、助触媒前駆体を還元する方法である。このような方法で担持された助触媒は粒子形状である。第1の光触媒粒子10の表面に助触媒を担持させることにより、水の還元反応における活性化エネルギーを減少させることが可能となるため、速やかな水素の発生が可能となる。
光触媒粒子の表面に担持される助触媒の量は、助触媒の存在により光触媒粒子への照射光が遮蔽されないような範囲で適宜決定することができる。助触媒の量は少量であることが好ましい。
光触媒材の製造方法
本発明による光触媒材100~102の製造方法としては、基材90に、第1の光触媒粒子10と、第2の光触媒粒子20と、剥離防止部60と、細孔71とを含む光触媒層70を固定化して、上記構造を形成することができる方法を用いることができる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明による光触媒材100~102の製造方法としては、第1の光触媒粒子10と溶媒とを含む分散液を、基材90に適用して、乾燥することによって、細孔71を有する第1の構造層を形成する工程、および金属モノマー、金属オリゴマーおよび金属ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む溶液を第1の構造層の表面に適用して、乾燥することによって、剥離防止部60を形成する工程を含む方法を用いることができる。また、本発明の別の好ましい態様によれば、本発明による光触媒材100~102の製造方法としては、第1の光触媒粒子10と第2の光触媒粒子20と溶媒とを含む分散液を、基材90に適用して、乾燥することによって、細孔71を有する第1の構造層を形成する工程、および金属モノマー、金属オリゴマーおよび金属ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む溶液を第1の構造層の表面に適用して、乾燥することによって、剥離防止部60を形成する工程を含む方法を用いることができる。なお、分散液としては、例えばペースト状のものを用いることができる。金属モノマーとしては、例えばジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。また、金属オリゴマーとしては、例えばジルコニウムブトキシドの加水分解重縮合物などが挙げられる。また、金属ポリマーとしては、例えばジルコニウムブトキシドの加水分解重縮合物などが挙げられる。剥離防止部60を形成するための乾燥条件としては、例えば40~100℃で30分~5時間などが挙げられる。
導電性粒子40は、前記分散液に含ませてもよいし、別途、例えば後から添加する方法を用いてもよい。具体的には、本発明の別の好ましい態様によれば、本発明による光触媒材101および102の製造方法は、導電性粒子40を湿式分散させた分散液を、第1の構造層に滴下する工程を含む。このとき、乾燥に伴い、例えば、導電性粒子40が第1および第2の光触媒粒子の10、20の粒界に移動する。それによって、光触媒材101および102を得ることができる。
本発明の別の好ましい態様によれば、本発明による光触媒材101および102の製造方法は、第1の光触媒粒子10または第2の光触媒粒子20のいずれかの表面に予め導電性粒子40を担持させた後に、導電性粒子40を担持した第1の光触媒粒子10または第2の光触媒粒子20と、溶媒とを含む分散液(さらに、導電性粒子40を担持していない他方の光触媒粒子(第1または第2の光触媒粒子10、20)を含んでもよい)を、基材90に塗布して、乾燥する工程を含む方法である。この際、第1の光触媒粒子10または第2の光触媒粒子20のいずれかの表面に予め導電性粒子40を担持させる方法としては、これら光触媒粒子に助触媒を担持させる方法と同様の方法(含浸法、吸着法、光還元法、化学析出法等)を用いることができる。
上記の態様において、分散液に釉薬微粒子をさらに添加してもよい。釉薬微粒子が添加された分散液を例えば300℃以下に加熱することにより、各釉薬微粒子が基材90の表面に密着する。そのため、光触媒層70の基材90への密着性を向上させることができる。また、釉薬微粒子は光触媒粒子10、20の表面を完全には覆わないので、光触媒材の光触媒活性の低下を抑制することができる。
また、上記の態様において、光触媒粒子を含む分散液を塗布する前に、例えば、中間層を形成してもよい。中間層は、例えば、導電性粒子40あるいはアスペクト比の小さい非導電性粒子を含む分散液を基材90に塗布して形成することができる。中間層を形成後、光触媒粒子を含む分散液を塗布して光触媒層70を形成してもよい。中間層を形成後、乾燥させてから光触媒層70を形成してもよい。あるいは、第1の光触媒粒子、第2の光触媒粒子および導電性粒子を含む光触媒膜を第1の基材上に形成後、該光触媒膜の上にさらに、例えば、導電性粒子を含むペーストを塗布し乾燥、焼成して導電性粒子膜をさらに形成させる。その後、カーボンテープ等の粘着層を設けた第2の基材を該導電性粒子膜に押し付け、第1の基材を除去する。こうして第2の基材上に導電性粒子膜(中間層)を介して光触媒膜が形成された光触媒材を得ることができる。
本発明において、粒子10、20、40を溶媒中で分散させる方法として、それぞれの粒子の表面に、水や有機溶媒などの溶媒あるいは分散剤を吸着させる方法を好ましく使用することができる。これにより、各粒子が一次粒子に近い形態で、安定に混合された状態を実現することが可能となる。つまり、第1の光触媒粒子10同士、第2の光触媒粒子20同士、あるいは導電性粒子40同士の凝集を抑制することができる。従って、光触媒層70においては、第1の光触媒粒子10と第2の光触媒粒子20とが導電性粒子40を介して近い距離で存在できる。そのため、水分解反応が促進され、水素の発生効率を高めることができる。
本発明において、湿式分散の方法としては、超音波照射、ボールミルおよびビーズミル等の機械分散法を好ましく用いることができる。
本発明において、溶媒としては、分散液に含まれる粒子を分散することが可能な溶媒を用いることができる。本発明の好ましい態様によれば、このような溶媒として、水あるいはエタノール等の有機溶剤や、α―テルピネオール等の有機ビヒクル溶剤を用いることができる。また、粒子の溶媒中での分散性を向上させるため、溶媒に分散剤を添加してもよい。
本発明において、分散液を基材90へ塗布する方法としては、スピンコート法、ディップコート法、スプレー法、ドクターブレード法、電気泳動法、スクリーン印刷法等を好ましく利用することができる。また、塗布方法は、基材90の形状や種類に応じて適宜選択することができる。
狙いの層厚を達成するために、光触媒層70の形成方法を適宜選択することができる。例えば、1μm以下の厚みを有する光触媒層70を得る場合は、スピンコート法、ディップコート法、スプレー法等を用いることが好ましい。また、1μm以上の厚みを有する光触媒層70を得る場合は、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、電気泳動法等を用いることが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、第1の光触媒粒子10と第2の光触媒粒子20を液体媒体中で分散させる方法は、第1の光触媒粒子10と第2の光触媒粒子20それぞれを、例えば、アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーのように異なる電荷を有するポリマーを含む溶液中で分散させて、一次粒子の状態で分散した単分散に近い状態とする工程を含む。その後、得られた分散液を混合し、それぞれの光触媒粒子10、20表面に吸着したポリマーの異なる電荷同士によるクーロン相互作用により、第1の光触媒粒子10と第2の光触媒粒子20はそれぞれ互いに自発的に吸着し、近接または接触することが可能となる。例えば、第1の光触媒粒子10をアニオン性ポリマーを含む溶液中で分散させ、第2の光触媒粒子20をカチオン性ポリマーを含む溶液中で分散させる。その後これらの分散液を混合することにより、一次粒子同士が高密度に近接または接触可能な状態とすることが可能となる。その後、一次粒子同士が高密度に近接または接触した状態で加熱または焼成し、ポリマーを除去することで、可視光応答型水分解用光触媒材として高活性な状態を実現できる。
本発明において、第1の光触媒粒子10と第2の光触媒粒子20と導電性粒子40はこれらを含む分散液を乾燥させることにより、好ましくは乾燥および焼成することにより、基材90へ固定化される。焼成温度は、溶媒や分散剤等の加熱分解温度以上であり、さらに、基材90と第1の光触媒粒子10、第2の光触媒粒子20および導電性粒子40、あるいは導電性粒子40と第1の光触媒粒子10および第2の光触媒粒子20、あるいは第1の光触媒粒子10、第2の光触媒粒子20および導電性粒子40同士の焼成が促進可能な温度であることが好ましい。具体的には、100℃以上700℃以下であり、より好ましくは、200℃以上600℃以下、さらに好ましくは300℃以上400℃以下である。この範囲の温度で焼成することで、基材90との密着性および粒子10、20、40間の密着性の高い、長期安定性の可視光応答型水分解用光触媒材を得ることが可能となる。また、焼成雰囲気は、大気、窒素、還元ガス(アンモニア、水素)のいずれの雰囲気であってもよい。好ましくは、大気あるいは窒素雰囲気である。これにより、焼成時のバインダーの消失が効率的に起こる。また、窒素雰囲気での焼成では、導電性粒子の酸化を抑制することが可能である。従って、導電性粒子の導電性低下を抑制できる。
(混合比率)
本発明による光触媒材の製造方法において、第1の光触媒粒子と第2の光触媒粒子の混合比率は、重量比で、第1の光触媒粒子:第2の光触媒粒子=10:90~90:10であることが好ましく、20:80~80:20であることがより好ましい。この範囲で混合することで、粒子界面における電荷再結合反応を促進することが可能となる。その結果、光触媒材の水分解効率を高めることが可能となる。
水分解用光触媒モジュール
本発明による水分解用光触媒モジュールは、上述の光触媒材を含む。本発明の好ましい態様によれば、本発明による水分解用光触媒モジュールは、概ね透明な光入射面を有し、モジュール内部に設置した光触媒材に光が入射する構造を有する。また、光触媒材が常に水と接触可能なように、水を封入可能な密閉パネル形状を有している。また、本発明のより好ましい態様によれば、本発明による水分解用光触媒モジュールは、水分解反応の進行により減少する水を遂次的に追加供給可能な通水孔等の機構をさらに有することが好ましい。このような構成の水分解光触媒モジュールとすることで、実用的に利用可能な水素を製造することが可能となる。
水素製造システム
本発明による水素製造システムは、前記水分解用光触媒モジュールを含む。本発明の好ましい態様によれば、本発明による水素製造システムは、水の供給装置、水中の不純物をある程度除去するためのろ過装置、水分解光触媒モジュール、水素分離装置、および水素貯蔵装置からなるものである。このような構成の水素製造システムとすることで、再生可能エネルギーである太陽光と水から水素を実用的に製造可能なシステムを実現することが可能となる。
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
原料
原料として用いた第1の光触媒粒子、第2の光触媒粒子、および導電性粒子について説明する。
第1の光触媒粒子(3%RhドープSrTiO3粒子)の作製
3%RhドープSrTiO3(SrTi0.97Rh0.033)粒子を固相法により作製した。具体的には、SrCO3(和光純薬製,99.9%)、TiO2(高純度化学研究所製,99.99%)、およびRh23(和光純薬製)を1.05:0.97:0.03のモル比でアルミナ製乳鉢に入れ、メタノールを添加した後、2時間混合した。次いで、得られた混合物をアルミナ製るつぼに入れて、900℃で1時間仮焼きした後、1050℃で10時間本焼成した。焼成後、焼成体を室温まで放冷させた後、解砕して、3%RhドープSrTiO3(SrTi0.97Rh0.033)粒子からなる粉末を作製した。
(平均一次粒子径)
SEM観察により3%RhドープSrTiO3粒子(第1の光触媒粒子)の平均一次粒子径を算出した。具体的には、SEM(株式会社日立製作所製、“S-4100”)により、倍率40000倍で観察した際の結晶粒子50個の円形近似による平均値を一次粒子径とした。その結果、3%RhドープSrTiO3粒子の平均一次粒子径は約500nmであった。
(バンド構造)
3%RhドープSrTiO3粒子のバンド位置は、Wang et al., J.Catal. 305-315, 328 (2015)を参照して以下のとおりとみなした。
価電子帯上端:-6.6eV(vs.真空準位)
伝導帯下端:-4.1eV(vs.真空準位)
なお、3%RhドープSrTiO3粒子における価電子帯上端とは、SrTiO3のバンドギャップ内に生じた、ドープされたRh3+由来のドナー軌道の上端に由来するものであると考えられる。
第2の光触媒粒子(0.05%MoドープBiVO4粒子)の作製
0.05%MoドープBiVO4粒子は、液固相法により作製した。具体的には、まず、K2CO3(関東化学製,99.5%)、V25(和光純薬製,99.0%)およびMoO3(関東化学製,99.5%)をK:V:Mo=3.03:4.9975:0.0025 (mol比)になるようにメノー乳鉢に入れ、エタノール(10mL)を添加した後30分間混合した。次いで、得られた混合物を磁性るつぼに入れて、電気炉にて大気中450℃で5時間焼成した。焼成後、焼成体を室温まで放冷させた後、解砕した。
得られた粉末を、100mlの水およびBi(NO33・5H2O(和光,99.9%)が入った300mL三角フラスコに入れて(Bi :(V+Mo)=1 :1)、70℃で10時間、攪拌子を用いて1500rpmで撹拌した。得られた沈殿物を吸引濾過により回収して水洗浄を行った後、乾燥器にて60℃で12時間乾燥させて、0.05%MoドープBiVO4粉末を得た。
(平均一次粒子径)
SEM観察により0.05%MoドープBiVO4粒子(第2の光触媒粒子)の平均一次粒子径を算出した。その結果、平均一次粒子径は約800nmであった。
(バンド構造)
BiVO4のバンド位置は、Wang et al., J.Catal. 305-315, 328 (2015)を参照して以下のとおりとみなした。
価電子帯上端:-6.8eV(vs.真空準位)
伝導帯下端:-4.6eV(vs.真空準位)
導電性粒子の用意
金コロイドの10wt%エタノール分散液(新光化学工業所製)を用いた。金コロイド粒子の平均一次粒子径は20nmであった。なお、この平均一次粒子径は、TEM観察により算出された値としてカタログに掲載された値である。また、金コロイド粒子の電子特性は、仕事関数:5.1eV、フェルミ準位:-5.1eV(vs.真空準位)であった(A. Sharma et al., Applied Physics letters, 93, 163308 (2008))。
光触媒材1~10の作製
(塗布用ペーストの作製)
第1の光触媒粒子と第2の光触媒粒子とを0.125gずつ秤量した。これを、有機分散媒0.75gに混合し、光触媒粒子を分散させた。有機分散媒としては、α-テルピネオール(関東化学製)と、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール(和光純薬製)と、ポリアクリル樹脂(SPB-TE1、綜研化学製)とが、この順に重量比で、62.5:12.5:25.0の割合で混合されたものを用いた。次いで、金コロイド(平均粒子径:20nm)を添加して、第1の光触媒粒子と第2の光触媒粒子と導電性粒子との合計固形分濃度が25wt%となるような塗布用ペーストを作製した。
(光触媒材1~10の作製)
この塗布用ペーストを基材(合成石英ガラス、サイズ:5cm×5cm×厚さ1mm)に、塗布厚が60μm、塗布面積が6.25cm2(2.5cm角)となるようにスクリーン印刷法で塗布した。その後、80℃で30分間乾燥させた後、300℃で30分間焼成して光触媒材1~10を作製した。焼成後の光触媒層の厚さは、いずれも10μmであった。
(剥離防止部を有する光触媒材1~8および10の作製)
光触媒材1~8および10に表1に記載の材料を用いて剥離防止部を形成した。光触媒材への剥離防止部の配置は、以下の手順で行った。まず光触媒材1~4、7および8では、光触媒層の表面に、表1に記載の20mMの金属モノマーのアルコール溶液を満遍なく50~200μL滴下した。光触媒材5、6および10では0.4wt%の金属酸化物コロイドのアルコール分散液を満遍なく50~200μL滴下した。光触媒材1~4では金属モノマーのアルコール溶液として、ジルコニウムブトキシドのブタノール溶液を用いた。光触媒材7では金属モノマーのアルコール溶液として、テトラエトキシシランのエタノール溶液を用いた。光触媒材8では金属モノマーのアルコール溶液として、タンタルエトキシドのメタノール溶液を用いた。その後、100℃で30分乾燥させ、光触媒層表面に剥離防止部を形成した。なお、光触媒材9については剥離防止部を形成しなかった。
光触媒材5では、三酸化二鉄(Fe23)コロイドゾルとして、平均一次粒子径約10nmのα-Fe23コロイドの水およびエタノール混合溶液(水:エタノール=0.1:99.9程度、固形分0.4wt%)を用いた。
光触媒材6では、酸化セリウム(CeO2)ゾルとして、平均一次粒子径約8nmのCeO2コロイドの水およびエタノール混合溶液(水:エタノール=0.1:99.9程度、固形分0.4wt%)を用いた。
光触媒材10では、酸化チタン(TiO2)ゾルとして、平均一次粒子径約10nmのTiO2コロイドの水およびエタノール混合溶液(水:エタノール=0.1:99.9程度、固形分0.4wt%)を用いた。
評価
光触媒層の構造
作製した光触媒材について、光触媒層の構造をSEM観察した。代表的な結果を図4に示す。この表面観察像は、基材から光触媒層に向かう積層方向(Z軸方向)に対して垂直な平面を観察した像である。
図4に示すように、光触媒層が、細孔71を有することが確認された。また、光触媒層において、第1の光触媒粒子および第2の光触媒粒子は、導電性粒子と物理的に接触していることが確認された。
また、作製した光触媒材について、光触媒層の構造をTEM観察した。光触媒材3の結果を図5に示す。図5に示すように、剥離防止部60が第1の光触媒粒子10、第2の光触媒粒子20、および導電性粒子40を被覆していることが確認された。また、作製した剥離防止部の厚みは表1に示されるとおりであった。
また、作製した光触媒材について、XPS測定を行った。剥離防止部を形成していない光触媒材(光触媒材9)、および剥離防止部(ZrOX)を有する光触媒材(光触媒材3)の結果を図6に示す。図6に示すように、剥離防止部を形成していない光触媒材と比較して剥離防止部を有する光触媒材では、第1の光触媒粒子10、第2の光触媒粒子20、および導電性粒子40に由来するピーク強度が減少し、剥離防止部60に含まれるZr由来のピークが観測されることが確認された。
剥離試験
作製した光触媒材について、剥離試験を行った。剥離試験は、以下の手順で行った。パイレックス(登録商標)製のガラスセルに100mLの純水を入れた。このセル中に、ガラス冶具で固定した光触媒材を入れた。ホットスターラーを用いて純水を40度に加熱し、1000rpmで3時間攪拌した。攪拌後、光触媒材をセルから取り出し、室温で水分を乾燥させた。乾燥後、顕微鏡で膜表面を観察し、基板露出点数を調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、剥離防止部の無い光触媒材9と比較して、剥離防止部を有することにより、剥離が防止されたことが確認された。
光触媒材の光触媒活性(水分解活性)
剥離防止部の材料と、水素生成活性(水素生成速度に基づく逆反応防止率)との関係
逆反応防止効果を確認するための試験を次のように行った。まずは逆反応が生じにくいように減圧下で水素および酸素の生成速度を測定した。その後、半常圧まで気圧を高め、逆反応が生じうる環境下で水素および酸素の生成速度を測定した。なお、水素および酸素の生成速度は、以下の方法で評価した。パイレックス(登録商標)製上方照射用の窓付きのガラスフラスコに、光触媒材と、超純水100mlを入れて、反応溶液とした。この反応溶液を入れたガラスフラスコを閉鎖循環装置(幕張理化学製)に装着し、反応系内の雰囲気をアルゴン置換した。UVカットフィルター(L-42、HOYA製)を装着した300Wキセノンランプ(Cermax製、PE-300BF)により、可視光をパイレックス(登録商標)窓側から照射した。光照射した後3時間の、水が還元されて生成する水素の生成量および水が酸化されて生成する酸素の生成量を、ガスクロマトグラフ(島津製作所製、GC-8A、TCD検出器、MS-5Aカラム)により経時的に調べ、生成速度を算出した。ここで減圧環境を80torrとし、半常圧環境を380torrとした。そして下記式に示すように、減圧下(80torr)での生成速度に対する、半常圧下(380torr)での生成速度の百分率を逆反応防止率(%)として算出した。すなわち剥離防止部の形成により逆反応が完全に防止された場合、減圧下および半常圧下での水素および酸素生成速度は同じ値となり、逆反応防止率は100%となる。
逆反応防止率(%)=半常圧下(380torr)での生成速度(μmol/hr)/減圧下(80torr)での生成速度(μmol/hr)×100
導電性粒子としてAuコロイド粒子を共通に含み、剥離防止部の材料が異なる複数の光触媒材の、減圧下(80torr)での水素生成速度(μmol/hr)、半常圧下(380torr)での水素生成速度(μmol/hr)、および逆反応防止率(%)を表1に示す。光触媒材1~8のいずれも、剥離防止部を有していない光触媒材9に比べて高い逆反応防止率を示し、三酸化二鉄(Fe23)、シリカ(SiOX)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タンタル(Ta25)、酸化セリウム(CeO2)を剥離防止部として用いた場合には、Au粒子表面での逆反応防止効果が得られることが確認された。光触媒材1~8の逆反応防止率は65%以上と高く、中でも光触媒材3の逆反応防止率は80%を超え、より高かった。これにより、酸化ジルコニウム(ZrO2)を剥離防止部の材料として用いた場合には、高い逆反応防止効果が得られることが確認された。また、光触媒材5、1、2は、減圧下での水素生成速度が、光触媒材9以上に高く、これらの光触媒材が元々優れた水素生成能を有することが確認された。減圧下では、逆反応が生じにくいため、減圧下での水素生成速度が高いことは、光触媒材が元々優れた水素生成能を有すると考えられる。以上より、三酸化二鉄(Fe23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)を剥離防止部の材料として用いた場合には、高い逆反応防止効果が得られ、高い水素成生能が得られることが確認された。
剥離防止部の材料と、酸素生成活性(酸素生成速度に基づく逆反応防止率)との関係
上記した水素生成活性の評価方法と同様の方法で、導電性粒子としてAuコロイド粒子を共通に含み、剥離防止部の材料が異なる複数の光触媒材の、減圧下(80torr)での酸素成生速度(μmol/hr)、半常圧下(380torr)での酸素成生速度(μmol/hr)、および逆反応防止率(%)を求めた。結果を表1に示す。光触媒材1~8のいずれも、剥離防止部を有していない光触媒材9に比べて高い逆反応防止率を示し、三酸化二鉄(Fe23)、シリカ(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タンタル(Ta25)、酸化セリウム(CeO2)を剥離防止部の材料として用いた場合には、Au粒子表面での逆反応防止効果が得られることが確認された。光触媒材1、3の逆反応防止率はとりわけ高く、酸化ジルコニウム(ZrO2)を剥離防止部の材料として用いた場合には、高い逆反応防止効果が得られることが確認された。また、光触媒材5、2は、減圧下での酸素生成速度が、光触媒材9より高く、これらの光触媒材が元々優れた酸素生成能を有することが確認された。減圧下では、逆反応が生じにくいため、減圧下での酸素生成速度が高いことは、光触媒材が元々優れた酸素生成能を有すると考えられる。以上より、三酸化二鉄(Fe23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)を剥離防止部の材料として用いた場合には、高い逆反応防止効果が得られ、高い酸素生成能が得られることが確認された。
剥離防止部を含まない光触媒材9にあっては、表1にも示すように、減圧下での水素の生成量は2.88μmol/hrであったのに対し、逆反応防止率は54%と低かった。
これに対し、導電性粒子としてAuコロイド粒子を含み、酸化ジルコニウム剥離防止部の厚さが異なる光触媒材1~4にあっては、剥離防止部の厚さが10nm以下のときは、減圧下での水素発生速度はさほど低下しなかったが、20nmまで厚くなると、水素生成速度は大きく低下した。また、剥離防止部の厚さが10nmまでは、厚さに応じて逆反応防止率が増加した。一方、剥離防止部の厚さが20nmと厚いと、逆反応防止率が低下した。以上より、剥離防止部を金属モノマーより形成する場合、その厚さは50nm以下が好ましいことが確認された。
剥離防止部を含まない光触媒材9にあっては、表1にも示すように、減圧下での酸素の生成量は1.26μmol/hrであったのに対し、逆反応防止率は56%と低かった。
これに対し、導電性粒子としてAuコロイド粒子を含み、酸化ジルコニウム剥離防止部の厚さが異なる光触媒材1~4にあっては、剥離防止部の厚さが10nm以下のときは、減圧下での酸素生成速度はさほど低下しなかったが、20nmまで厚くなると、酸素生成速度は大きく低下した。また、剥離防止部の厚さが10nmまでは、厚さに応じて逆反応防止率が概ね増加した。一方、剥離防止部の厚さが20nmと厚いと、逆反応防止率が低下した。以上より、剥離防止部を金属モノマーより形成する場合、その厚さは50nm以下が好ましいことが確認された。
Figure 0006989830000001

Claims (4)

  1. 基材と、
    前記基材上に設けられた光触媒層と、
    を含む光触媒材の製造方法であって、
    前記光触媒層は、
    水素発生用可視光応答型の複数の第1の光触媒粒子と、
    酸素発生用可視光応答型の複数の第2の光触媒粒子と、
    前記複数の第1の光触媒粒子同士の間、前記複数の第2の光触媒粒子同士の間、前記複数の第1の光触媒粒子と前記複数の第2の光触媒粒子との間、前記複数の第1の光触媒粒子と前記基材との間、および前記複数の第2の光触媒粒子と前記基材との間、の少なくとも一部に設けられた剥離防止部と、
    前記複数の第1の光触媒粒子、前記複数の第2の光触媒粒子、および前記剥離防止部、の間に設けられた細孔と、
    を含むものであり
    第1の光触媒粒子および第2の光触媒粒子を含む層を前記基材上に形成させる工程と、
    コロイド粒子を含む分散液を、当該層に吸着させる工程と、
    を含む、光触媒材の製造方法
  2. 前記光触媒層は、前記第1の光触媒粒子と前記第2の光触媒粒子とを電気的に接続する複数の導電性粒子をさらに含み、
    前記導電性粒子の表面は、
    前記第1の光触媒粒子と物理的に接触する第1領域と、
    前記第2の光触媒粒子と物理的に接触する第2領域と、
    前記第1および第2の光触媒粒子のいずれとも接触しない第3領域と、
    を少なくとも有し、
    前記剥離防止部は前記第3領域の少なくとも一部設けられるものであり
    前記基材上に形成された第1の光触媒粒子および第2の光触媒粒子を含む層が、さらに導電性粒子を含む、
    請求項1に記載の光触媒材の製造方法
  3. 前記剥離防止部は、Fe23、CeO2、ZrO2、SiO2、Ta25およびTiO2からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の光触媒材の製造方法
  4. 前記剥離防止部の厚みの平均は0nm以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の光触媒材の製造方法
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